JP2013203942A - 熱可塑性プリプレグとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、シート状の強化繊維材料とこれに含浸せしめられた熱可塑性樹脂とからなる、トータル目付け(繊維材料の目付け+樹脂の目付け)の斑が少なく、均一性に優れたプリプレグを提供することを目的とするものである。
【解決手段】 単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維束と熱可塑性樹脂とからなるプリプレグであって、トータル目付けのバラツキ値が5%以下である熱可塑性樹脂プリプレグ、また、これを用いた炭素繊維プリプレグテープ、炭素繊維強化複合材料、自動車部品により解決される。
【選択図】 なし
【解決手段】 単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維束と熱可塑性樹脂とからなるプリプレグであって、トータル目付けのバラツキ値が5%以下である熱可塑性樹脂プリプレグ、また、これを用いた炭素繊維プリプレグテープ、炭素繊維強化複合材料、自動車部品により解決される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、平行に配された複数の強化繊維束を拡幅して所望の幅及び目付けをもつ一枚の強化繊維シートを形成するための強化繊維束を拡幅し、シート状の強化繊維材料とこれに含浸せしめられた熱可塑性樹脂とからなる、均一性に優れたプリプレグを製造する太繊度に関する。
近年、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の強化繊維材料は、各種のマトリックス樹脂と複合化され、得られる強化繊維複合材料は種々の分野・用途に広く利用されるようになってきた。そして、高度の機械的特性や耐熱性等を要求される航空・宇宙分野や、一般産業分野では、従来、マトリックス樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が使用されてきた。しかし、特に航空・宇宙分野では、これらのマトリックス樹脂は、脆く、耐衝撃性に劣るという欠点を有するため、その改善が求められてきた。また、熱硬化性樹脂の場合、これをプリプリグとしたとき、樹脂のライフ等によるプリプレグの保存管理上の問題点や、成形時間が長く生産性が低い等の問題もあった。
これに対して、熱可塑性樹脂プリプレグの場合は、複合材料としたときの耐衝撃性が優れ、プリプレグの保存管理が容易で、かつ成形時間が短く、成形コスト低減の可能性もある。熱可塑性樹脂プリプレグの製造法としては、従来、例えば、フィルム状の樹脂を加熱溶融して強化繊維材料に含浸させる方法(溶融含浸法)、粉末状の樹脂を流動床法や懸濁法によって強化繊維材料に塗布・融着させる方法(パウダー法)、樹脂を溶液化し、強化繊維材料に含浸後溶媒を除去する方法(溶液含浸法)が知られている。しかしながら、溶融含浸法は、樹脂の溶融粘度が高いため繊維材料の内部にまで均一に樹脂を含浸させるのが困難であり、パウダー法では、樹脂の付着量を調整するのが難しく、溶液含浸法では、使用できる樹脂や溶媒の種類が制限されるという問題点・欠点があった。
従来技術を改良したプリプレグの製造方法として、熱可塑性樹脂の粉末をアルコール等の有機溶媒又は有機溶媒と水との混合溶媒に分散させてサスペンジョンとし、かかるサスペンジョンに炭素繊維のストランド又はシートを浸漬し、樹脂粉末をストランド又はシートに付着させた後加熱して、樹脂を溶融させて熱可塑性樹脂と炭素繊維のストランド又はシートを一体化させる方法が提案されている。この方法によると、樹脂が比較的均一に含浸したプリプレグ(含浸樹脂量のバラツキ値が4.2〜5.0)が得られること、更にサスペンジョンに通電処理を行う方法を組合わせると、バラツキ値が2.8〜3.8のもの
も得られたことが例示されている。
も得られたことが例示されている。
また強化繊維材料の複数のストランドを一方向に引き揃えて得られたシート状物に、熱可塑性樹脂を含浸させてプリプレグを製造するに当たり、(1)強化繊維材料の複数のストランドを一方向に引き揃えてシート状物にし、このシート状物を熱可塑性樹脂を含む処理浴に導入する前に、ストランドピッチのバラツキ値が7%以下となるように調整し、次いで(2)このシート状物を、熱可塑性樹脂の粉末をアルコール等の有機溶媒又は有機溶媒と水との混合溶媒に分散させてサスペンジョンとし、かかるサスペンジョンに炭素繊維のストランド又はシートを浸漬し、処理浴から導出した後に、このシート状物に拡幅処理を行う方法が提案されている。この方法によると、トータル目付けバラツキ値が4.2〜6.9のものも得られたことが例示されている。
しかしながら、最近の特に航空・宇宙分野の材料としては、より一層均一性等に優れたプリプレグが求められるようになっており、しかもその製造法も出来るだけシンプルなものである必要がある。
本発明は、シート状の強化繊維材料とこれに含浸せしめられた熱可塑性樹脂とからなる、トータル目付け(繊維材料の目付け+樹脂の目付け)の斑が少なく、均一性に優れたプリプレグを提供することを目的とするものである。
本発明の目的は、シート状の強化繊維材料とこれに含浸せしめられた熱可塑性樹脂とからなるプリプレグであって、プリプレグのトータル目付けのバラツキ値が5%以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂プリプレグによって達成される。なお、ここで含浸とは、強化繊維材料に付着した樹脂が、一旦融解し、繊維間又は繊維表面に樹脂が実質的に連続層として存在する状態をいう。また、トータル目付けとはプリプレグの目付け、即ち、繊維材料の目付けと樹脂の目付けの合計を意味し、プリプレグのトータル目付けのバラツキ値とは、プリプレグの幅方向(シート状物の長さ方向に対して幅方向)でのバラツキ値を意味する。
そして本発明者は、平均単繊維繊度がと単繊維の繊維軸に垂直な断面の形状を限定することによりにより、かかるプリプレグを製造するに際して、プリプレグのトータル目付け斑も改善できることを見出した。即ち、かかるプリプレグは、平均単繊維繊度が1.0〜2.4dtx、単繊維の繊維軸に垂直な断面の形状が真円度0.70以上0.90以下である炭素繊維束を使用するシート状の強化繊維材料に熱可塑性樹脂に溶融含浸させることにより、トータル目付けのバラツキ値が7%以下である均一性に優れた熱可塑性樹脂プリプレグを製造することで達成される。
本発明の熱可塑性樹脂プリプレグの製造法としては、溶融含浸法であり、ペレット状、フィルム状、パウダー状の樹脂を加熱溶融して、炭素繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させる方法である。例えば、押出成形法、フィルムスタック法などを使用する事ができる。この場合の樹脂溶融温度Tは、融点を示す熱可塑性樹脂の場合はメトラーDSCにより測定された曲線の吸熱ピークが示される温度(測定時の昇温速度は10℃/分とする)、融点を示さない熱可塑性樹脂の場合は該樹脂のカタログに掲載されている推奨射出成形温度の下限値+20℃とする。また含浸をさらに促進させるためには、工程にロールプレス装置、ダブルベルトプレス装置を併用する事ができる。
本発明によれば、単繊維繊度が太繊度の剛直性から繊維束が直線性をもつため開繊時に繊維束中の撚りができにくく、設定の目付けに安定し樹脂流れが滞ることなく繊維束全体に流れるため含浸性が上がり、新たな製造プロセスを加えることなく、また様々な製造方法において強化繊維材料に熱可塑性樹脂を均一にかつ内部にまで含浸させることができ、トータル目付けの斑が少なく、均一性に優れたプリプレグが得られる。そして、得られたプリプレグは、これを用いて色々な用途の強化繊維複合材料に成形でき、プリプレグの均一性が高いが故に、得られた複合材料の機械的特性等の物性が非常に優れたものとなる。
本発明は、均一性等に優れたプリプレグを製造するに当たり、単繊維繊度が1.0〜2.4dtex、真円度が0.70以上0.90以下である炭素繊維束を使用したシート状の強化繊維材料とこれに含浸せしめられた熱可塑性樹脂とからなる、トータル目付けの斑が少ない、即ち、そのバラツキ値が7%以下、好ましくは5%以下の均一性に優れたプリプレグであるが、また、プリプレグ中の熱可塑性樹脂の含有率が10〜70質量%、より好ましくは20〜50質量%のものである。
本発明では、炭素繊維として、単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維を使用する。このような太い炭素繊維を使うことにより、繊維状あるいはパウダー状の熱可塑性樹脂を使用することなく、炭素繊維と熱可塑性樹脂を良好に含浸させることができ、表面品を高めることができる。
また、本発明に用いる強化繊維としては、断面形状が真円度0.70以上0.90以下であることが好ましい。さらに、断面形状が空豆型であることが好ましい。断面形状を比較的単純な形状である真円度0.70以上0.90以下の空豆型とすることで、単繊維の繊度が大きくなつても、真円度が0.90より大きい丸に近い断面形状の強化繊維より、ストランド強度は高い数値を維持できる。また、単繊維を密に詰めることが出来るため、プリプレグ中での繊維含有率が向上し、複合材料の力学特性を向上させることが可能となる。
<炭素繊維束の直径及び真円度>
(1)サンプルの作製
長さ5cmに切断した炭素繊維束をエポキシ樹脂(エポマウント主剤:エポマウント硬化剤=100:9(質量比))に包埋し、2cmに切断して横断面を露出させ、鏡面処理した。
(2)観察面のエッチング処理
更に、繊維の外形を明瞭にするために、サンプルの横断面を次の方法でエッチング処理した。
・使用装置:プラズマエッチング装置(日本電子(株)社製、製品名:P―170)
・処理条件:雰囲気ガス:Ar/O2=75/25、プラズマ出力:50W、真空度:約120Pa、処理時間:5min
(3)SEM観察
前記(1)及び(2)により得られたサンプルの横断面を、SEM(PHILIPS社製、製品名:FEI―XL20)を用いて観察し、画面上に5個以上の繊維断面が写っている写真を任意に5枚撮影した。
(4)炭素繊維束の単繊維の直径測定
各サンプルについて5枚のSEM写真から任意に20個、ただし、1枚の写真から3個以上の単繊維断面を選んで、画像解析ソフトウェア(日本ロ―パー(株)製、製品名:Image― Pro PLUS)を用いて繊維断面の外形をトレースし、断面の長径(最大フェレ径)dを計測した。選んだ単繊維断面全ての長径dの平均を、炭素繊維束の単繊維の直径Diとした。
(5)真円度測定
画像解析ソフトウェア(日本ロ―パー(株)製、製品名:Image― Pro PLUS)を用いて繊維断面の外形をトレースし、周長Lおよび面積Sを計測した。各サンプルについて5枚の写真から任意に20個、ただし、1枚の写真から3個以上の繊維断面を選んで計測し、LおよびSの平均値を求め、次式により真円度を算出した。
真円度=4πS/L2 ・・・(a)
(1)サンプルの作製
長さ5cmに切断した炭素繊維束をエポキシ樹脂(エポマウント主剤:エポマウント硬化剤=100:9(質量比))に包埋し、2cmに切断して横断面を露出させ、鏡面処理した。
(2)観察面のエッチング処理
更に、繊維の外形を明瞭にするために、サンプルの横断面を次の方法でエッチング処理した。
・使用装置:プラズマエッチング装置(日本電子(株)社製、製品名:P―170)
・処理条件:雰囲気ガス:Ar/O2=75/25、プラズマ出力:50W、真空度:約120Pa、処理時間:5min
(3)SEM観察
前記(1)及び(2)により得られたサンプルの横断面を、SEM(PHILIPS社製、製品名:FEI―XL20)を用いて観察し、画面上に5個以上の繊維断面が写っている写真を任意に5枚撮影した。
(4)炭素繊維束の単繊維の直径測定
各サンプルについて5枚のSEM写真から任意に20個、ただし、1枚の写真から3個以上の単繊維断面を選んで、画像解析ソフトウェア(日本ロ―パー(株)製、製品名:Image― Pro PLUS)を用いて繊維断面の外形をトレースし、断面の長径(最大フェレ径)dを計測した。選んだ単繊維断面全ての長径dの平均を、炭素繊維束の単繊維の直径Diとした。
(5)真円度測定
画像解析ソフトウェア(日本ロ―パー(株)製、製品名:Image― Pro PLUS)を用いて繊維断面の外形をトレースし、周長Lおよび面積Sを計測した。各サンプルについて5枚の写真から任意に20個、ただし、1枚の写真から3個以上の繊維断面を選んで計測し、LおよびSの平均値を求め、次式により真円度を算出した。
真円度=4πS/L2 ・・・(a)
本発明において、シート状の強化繊維材料とは、繊維材料のストランド(モノフィラメントの集合体)を一方向に引き揃えたシート状物を意味する。強化繊維材料としては、無機繊維、有機繊維、金属繊維又はそれらの混合からなる繊維材料がある。具体的には、無機繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維を挙げることが出来る。有機繊維としては、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維が挙げられる。併用して使用でき、2種以上を混合してもよい。好ましいのは、炭素繊維とアラミド繊維である。
炭素繊維は、力学的特性の付与効果のために必須であり、炭素繊維束の表面には予め表面処理、カップリング剤、サイジング剤の付与を行うことができる。
本発明におけるマトリックスとなる熱可塑性樹脂の種類としては、特に制限はないが、耐衝撃性に優れ、かつ、成形が容易である熱可塑性樹脂が好ましい。そのような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィンや、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリメチレンメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フェノール(ノボラック型)等やこれらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂等が挙げられる。また、更に耐衝撃性向上のために、上記樹脂にエラストマー、もしくは、ゴム成分を添加した樹脂であっても良い。これらの樹脂は、2種以上併用しても良い。
本発明におけるマトリックスとなる熱可塑性樹脂の種類としては、特に制限はないが、耐衝撃性に優れ、かつ、成形が容易である熱可塑性樹脂が好ましい。そのような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィンや、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリメチレンメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フェノール(ノボラック型)等やこれらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂等が挙げられる。また、更に耐衝撃性向上のために、上記樹脂にエラストマー、もしくは、ゴム成分を添加した樹脂であっても良い。これらの樹脂は、2種以上併用しても良い。
本発明の熱可塑性樹脂プリプレグの製造法としては、溶融含浸法であり、ペレット状、フィルム状、パウダー状の樹脂を加熱溶融して、炭素繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させる方法である。例えば、押出成形法、フィルムスタック法などを使用する事ができる。この場合の樹脂溶融温度Tは、融点を示す熱可塑性樹脂の場合はメトラーDSCにより測定された曲線の吸熱ピークが示される温度(測定時の昇温速度は10℃/分とする)、融点を示さない熱可塑性樹脂の場合は該樹脂のカタログに掲載されている推奨射出成形温度の下限値+20℃とする。また含浸をさらに促進させるためには、工程にロールプレス装置、ダブルベルトプレス装置を併用する事ができる。
炭素繊維束Aは、炭素繊維束Aの複数の巻取パッケージ1から、撚りが入らないようにいわゆる横取りをされ、マトリックスとなる熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂B)の供給ダイ2に導入される。この場合、複数の巻取パッケージ1から炭素繊維束Aを引き揃え、一束にして供給ダイ2に導入することもできる。炭素繊維束の一部を他の強化繊維にした場合も同様である。
ここで、強化繊維束Aを供給ダイ2に導入する前に、熱可塑性樹脂Bと異なる他の熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂H)を付与しておくことができる。これは、熱可塑性樹脂Bを付与する前に、粘度が0.1〜10.0Pa・sの範囲内の熱可塑性樹脂Hを強化繊維束に付与、含浸を行うことにより、含浸を阻害する原因である強化繊維束内の空気を予め追い出し、熱可塑性樹脂が強化繊維束内に十分に含浸しやすくするためである。
ここで、強化繊維束Aを供給ダイ2に導入する前に、熱可塑性樹脂Bと異なる他の熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂H)を付与しておくことができる。これは、熱可塑性樹脂Bを付与する前に、粘度が0.1〜10.0Pa・sの範囲内の熱可塑性樹脂Hを強化繊維束に付与、含浸を行うことにより、含浸を阻害する原因である強化繊維束内の空気を予め追い出し、熱可塑性樹脂が強化繊維束内に十分に含浸しやすくするためである。
また、炭素繊維束Aが供給ダイ2に導入される前に、適当な加熱装置により炭素繊維束Aを熱可塑性樹脂Bの樹脂溶融温度T±40℃の範囲内に加熱する。炭素繊維束加熱温度がT−40℃を下回ると、溶融した熱可塑性樹脂が炭素繊維束Aに冷却されて樹脂粘度が増加し、含浸効率が悪化するため好ましくない。一方、炭素繊維束加熱温度がT+40℃を上回ると、付与した熱可塑性樹脂が急激に加熱され、樹脂の熱分解を招き、熱可塑性樹脂の炭化による強化繊維束の融着などが発生するため好ましくない。好ましい炭素繊維束の加熱範囲は、熱可塑性樹脂の溶融温度T±20℃、更に好ましくは溶融温度T±10℃である。
次に、供給ダイ2に導入された炭素繊維束Aには熱可塑性樹脂Bが付与され、複合体Bが成形される。熱可塑性樹脂Bを付与する具体的方法としては、押出機および電線被覆法用のコーティングダイを用いて連続的に炭素繊維束Aの周囲を熱可塑性樹脂Bで被覆する押出法や、ロールなどで扁平化した炭素繊維束Aの片面あるいは両面から押出機とTダイを用いて溶融したフィルム状のマトリックス樹脂を付着させるフィルムスタック法などが挙げられる。
ここで複合体Bは下記のものから構成される。
(1)炭素繊維束A、または炭素繊維束Aと熱可塑性樹脂Hとの混合体
(2)熱可塑性樹脂B
ここで複合体Bは下記のものから構成される。
(1)炭素繊維束A、または炭素繊維束Aと熱可塑性樹脂Hとの混合体
(2)熱可塑性樹脂B
このとき、供給ダイ2の炭素繊維束Aの導入口および導出口には、所望の形状及び大きさに加工された孔を持つノズルを設置し、炭素繊維束Aを通過させることによって、付与される熱可塑性樹脂Bの付着形状および付着量を任意に制御することができる。複合体Bの構成比は、好ましくは炭素繊維束Aが10〜70質量部に対し、熱可塑性樹脂Bが30〜90質量部であることが好ましい。炭素繊維束Aが10質量部未満であると、この成形体を用いてなる成形品の補強効果が著しく低下することがある。炭素繊維束Aが70質量部を越えると繊維が補強する足場が過小となり、成形品物性が著しく低下することがある。更に好ましくは炭素繊維束Aが15〜50質量部に対し熱可塑性樹脂Bが50〜85質量部である。
次に複合体Bを、直線上に配置された少なくとも1つの含浸ロール3に擦過させ、樹脂Bの含浸の促進を行う。含浸ロール3の形状は、炭素繊維束Aの通過を妨げない形状であれば特に限定されない。また含浸ロール3の前後に、複合体Bに振動を与えて更なる含浸を行うために、振動子を有する含浸バーを使う事もできる。
ここで、含浸ロール3を熱可塑性樹脂Bの樹脂溶融温度T±60℃の範囲内に加熱することができる。溶融温度T−60℃を下回ると溶融した熱可塑性樹脂Bが炭素繊維束Aに冷却され、溶融粘度が増加し、含浸の効率が悪化するため好ましくないことがある。溶融温度T+60℃を上回ると付与した熱可塑性樹脂が急激に加熱され熱分解を招き、樹脂の炭化による強化繊維束の融着などが発生するため好ましくない。より好ましい含浸ロール3の加熱範囲としては熱可塑性樹脂の溶融温度T±40℃、更に好ましくは溶融温度T±20℃である。
ここで、含浸ロール3を熱可塑性樹脂Bの樹脂溶融温度T±60℃の範囲内に加熱することができる。溶融温度T−60℃を下回ると溶融した熱可塑性樹脂Bが炭素繊維束Aに冷却され、溶融粘度が増加し、含浸の効率が悪化するため好ましくないことがある。溶融温度T+60℃を上回ると付与した熱可塑性樹脂が急激に加熱され熱分解を招き、樹脂の炭化による強化繊維束の融着などが発生するため好ましくない。より好ましい含浸ロール3の加熱範囲としては熱可塑性樹脂の溶融温度T±40℃、更に好ましくは溶融温度T±20℃である。
複合体Bを含浸ロール3に通過させることにより、炭素繊維束BAへの熱可塑性樹脂Bの含浸が十分になされた、目的の成形体Cを得る。かくして成形体Cは、巻取ロール4により連続的にボビンに巻取られる。巻取速度が低速である方が走行速度が低速になるので熱可塑性樹脂Bの炭素繊維束Aへの含浸が容易になる。ただし、炭素繊維束の走行速度は成形体Cの生産性における律速段階となるため、走行速度と含浸性のバランスを考える必要がある。その点から15〜50分/mであることが好ましく、20〜50m/分であることが、含浸性と生産性を両立するためにはさらに好ましい。また、巻取りの際、該成形体が巻取ロール4の巻取用ニップローラ等へ融着する場合があるため、成形体Cをボビンに巻取る直前に、空冷や水冷により成形体Cの冷却を行うことが好ましい。さらに好ましくは、冷却ロールを使用し冷却をすることも出来る。また少なくとも1つ以上の含浸ロール3と冷却ロールの組み合わせの代わりにダブルベルトプレス装置を使用することもできる。なお、上記に例示した工程によって得られる成形体Cの長手方向の断面形状としては特に限定されない。
上記に例示した工程によって得られる成形体Cを巻取る際、作製した成形体Cを複数本一方向に引き揃えて加熱・融着させることによりシート状の成形体を作製することもできる。この工程により作製されたシート状成形体は、従来法で作製されたシート状成形体と比較すると含浸性に優れている。そのため、このシート状成形体を用いてなる成形品のトータル目付のバラツキを低めることができ、成形品外観や力学的特性を向上させることができる。
上記に例示した工程によって得られる成形体Cを、少なくとも1〜50mmの範囲内で一定間隔にカットし不連続な繊維強化樹脂成形体を生成して使用する成形法、例えば射出成形やプレス成形に対応させて好ましいものとすることができる。この場合、切断長が1mmに満たないと成形品中の炭素繊維束としての繊維長が短くなり繊維補強効果が低下することがある。また、切断長が50mmを越えると成形性や、成形体の取り扱い性が低下することがある。好ましくは2〜40mm、最も好ましくは2〜30mmである。またシート状成形体の厚みとしては、繊維補強効果を発揮するためには0.15mm以下が好ましい。好ましくは0.05〜0.12mm、最も好ましくは0.07〜0.09mmである。
なお、本発明の製造方法により得られる炭素繊維強化樹脂成形体には、難燃剤、耐候性改良剤、その他酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、充填剤、導電性フィラー、カーボンブラック等を適宜添加しておくことができる。また、これら2種以上の混合体を添加してもよい。
本発明の製造方法により得られる繊維強化樹脂成形体は、通常の成形法により最終的な形状の製品に加工できる。成形方法としては例えば、フィラメントワインディング成形、プレス成形、射出成形、及びこれらの組合せ等が挙げられる。
以上に述べた本発明の製造方法によって得られる成形品としては、例えば、高強度中空パイプ、シリンダーヘッドカバー、ベアリングリテーナ、インテークマニホールド、ペダル等の自動車部品、モンキー、レンチ等の工具類、電子機器の筐体等が挙げられる。
本発明の製造方法により得られる繊維強化樹脂成形体は、通常の成形法により最終的な形状の製品に加工できる。成形方法としては例えば、フィラメントワインディング成形、プレス成形、射出成形、及びこれらの組合せ等が挙げられる。
以上に述べた本発明の製造方法によって得られる成形品としては、例えば、高強度中空パイプ、シリンダーヘッドカバー、ベアリングリテーナ、インテークマニホールド、ペダル等の自動車部品、モンキー、レンチ等の工具類、電子機器の筐体等が挙げられる。
以下、具体的な実施例により本発明を説明する。各実施例及び比較例において、得られたプリプレグの均一性の評価は、トータル目付けのバラツキ値で評価した。バラツキ値は、シート状のプリプレグの幅方向で、200mm×200mm四方の試験片を10mm間隔で10点切り取り、トータル目付けを測定し、その平均値からの偏差値(%)で示した。
(実施例1、2、3、5、比較例1)
炭素繊維束Aとして、表1記載の炭素繊維束を用い、目付が150g/m2になるように炭素繊維束数にて、炭素繊維束は直径40mmの単軸押出機に設置された電線被覆法用のコーティングダイ中を通過させ、押出機からダイ中に200℃で溶融させた熱可塑性樹脂Aである変性PP樹脂(三菱化学(株)製、製品名:モディックP958、溶融温度160℃)を吐出させ、強化繊維束Aの周囲を連続的に被覆して複合体Bを得た。
次に前記複合体Bを一直線上に配置された表面温度220℃、圧力0.2MPaの含浸ロール3を通過させ、複合体Bを扁平に賦形し、成形体Cを得た。また、このときの巻取速度は30m/分であった。得られたプリプレグ(成形体C)のトータル目付けのバラツキは表1に示した通りであった。
炭素繊維束Aとして、表1記載の炭素繊維束を用い、目付が150g/m2になるように炭素繊維束数にて、炭素繊維束は直径40mmの単軸押出機に設置された電線被覆法用のコーティングダイ中を通過させ、押出機からダイ中に200℃で溶融させた熱可塑性樹脂Aである変性PP樹脂(三菱化学(株)製、製品名:モディックP958、溶融温度160℃)を吐出させ、強化繊維束Aの周囲を連続的に被覆して複合体Bを得た。
次に前記複合体Bを一直線上に配置された表面温度220℃、圧力0.2MPaの含浸ロール3を通過させ、複合体Bを扁平に賦形し、成形体Cを得た。また、このときの巻取速度は30m/分であった。得られたプリプレグ(成形体C)のトータル目付けのバラツキは表1に示した通りであった。
(実施例4、比較例2)
炭素繊維束Aとして、表1記載の炭素繊維束を用い、目付が150g/m2になる炭素繊維束数にて、直径40mmの単軸押出機に設置された電線被覆法用のコーティングダイ中を通過させ、押出機からダイ中に260℃で溶融させた熱可塑性樹脂Aであるポリアミド樹脂(宇部興産(株)製、商品名:UBEナイロン1013B、溶融温度220℃)を吐出させ、強化繊維束Aの周囲を連続的に被覆して複合体Bを得た。次に前記複合体Bを一直線上に配置された表面温度260℃、圧力0.2MPaの含浸ロール3を通過させ、複合体Bを扁平に賦形し、成形体Cを得た。また、このときの巻取速度は30m/分であった。得られたプリプレグ(成形体C)のトータル目付けのバラツキは表1に示した通りであった。
炭素繊維束Aとして、表1記載の炭素繊維束を用い、目付が150g/m2になる炭素繊維束数にて、直径40mmの単軸押出機に設置された電線被覆法用のコーティングダイ中を通過させ、押出機からダイ中に260℃で溶融させた熱可塑性樹脂Aであるポリアミド樹脂(宇部興産(株)製、商品名:UBEナイロン1013B、溶融温度220℃)を吐出させ、強化繊維束Aの周囲を連続的に被覆して複合体Bを得た。次に前記複合体Bを一直線上に配置された表面温度260℃、圧力0.2MPaの含浸ロール3を通過させ、複合体Bを扁平に賦形し、成形体Cを得た。また、このときの巻取速度は30m/分であった。得られたプリプレグ(成形体C)のトータル目付けのバラツキは表1に示した通りであった。
表1の結果から、炭素繊維プリプレグを製造するに際し、本発明の範囲内にある炭素繊維束を使用し、溶融含浸法を使用する場合に限って、トータル目付のバラツキとも十分に満足すべきものが得られていることがわかる。
Claims (10)
- 単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維束と熱可塑性樹脂とからなるプリプレグであって、トータル目付けのバラツキ値が5%以下である熱可塑性樹脂プリプレグ。
- 前記炭素繊維束を構成する単繊維の繊維軸に垂直な断面の真円度0.70以上0.90以下である請求項1に記載の熱可塑性樹脂プリプレグ。
- 前記炭素繊維束が、シート状の強化繊維材料である請求項1または2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂プリプレグ。
- 前記プリプレグに含まれる熱可塑性樹脂が、10〜70質量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂プリプレグ。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリプロピレンの変性樹脂、ポリアミドの変性樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂プリプレグ。
- 前記熱可塑性樹脂を加熱溶融させて、炭素繊維束に含浸させる請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂プリプレグ。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂プリプレグを用いた熱可塑性樹脂プリプレグテープ。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂プリプレグを用いた炭素繊維強化複合材料。
- 請求項7に記載の熱可塑性樹脂プリプレグテープを用いた炭素繊維強化複合材料。
- 請求項8または9に記載の炭素繊維強化複合材料を用いた自動車用部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012075988A JP2013203942A (ja) | 2012-03-29 | 2012-03-29 | 熱可塑性プリプレグとその製造方法 |
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JP2012075988A JP2013203942A (ja) | 2012-03-29 | 2012-03-29 | 熱可塑性プリプレグとその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20170130407A (ko) | 2015-03-24 | 2017-11-28 | 데이진 가부시키가이샤 | 탄소섬유 강화 수지 복합재료 |
JP7435607B2 (ja) | 2019-02-08 | 2024-02-21 | 東レ株式会社 | トウプレグの製造方法 |
-
2012
- 2012-03-29 JP JP2012075988A patent/JP2013203942A/ja active Pending
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