JP2013199658A - 熱可塑性樹脂発泡体、およびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡体、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 強度、柔軟性、クッション性、歪回復性等に優れ、特に樹脂の復元力による気泡構造の収縮の少ない熱可塑性樹脂発泡体を提供する。
【解決手段】 本発明の熱可塑性樹脂発泡体は、主成分としての熱可塑性エラストマー及び活性エネルギー線硬化型樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して発泡構造体を形成した後、該発泡構造体に活性エネルギー線を照射して、発泡構造体中に活性エネルギー線硬化型樹脂による架橋構造を形成させて得られ、前記熱可塑性エラストマーが、アクリル系熱可塑性エラストマー及びウレタン系エラストマーからなる群より選択される少なくとも1の熱可塑性エラストマーであり、電子機器に用いられることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、クッション性、圧縮永久歪性等の点で優れる熱可塑性樹脂発泡体、およびその製造方法に関する。詳細には、例えば電子機器等の内部絶縁体、緩衝材、遮音材、断熱材、食品包装材、衣用材、建材用として極めて有用な、クッション性があり高温での圧縮永久歪性に優れる熱可塑性樹脂発泡体、およびその製造方法に関するものである。
従来から、例えば電子機器等の内部絶縁体、緩衝材、遮音材、断熱材、食品包装材、衣用剤、建材用として用いられる発泡体には、部品として組み込まれる場合にそのシール性という観点から、柔らかく、クッション性、および断熱性等に優れているという点が求められており、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン系などに代表される熱可塑性樹脂発泡体がよく知られている。しかしながら、これらの発泡体は、強度が弱く、柔らかさ、クッション性が悪く特に高温時で圧縮保持されたときに歪回復性に劣りシール性が低下するという欠点があった。これを改良する試みとして、ゴム成分などを配合し弾性を付与することによって素材自体を柔らかくすることと合わせて弾性による復元性を持たせ歪回復性を改良することが行われている。しかしながら通常エラストマー成分を配合すると弾性による復元性は改良されるものの、発泡体を作る工程において、発泡剤による発泡変形した後、樹脂の復元力により気泡構造が収縮し、最終的に得られる発泡体の発泡倍率は低いものとなってしまう。
従来の一般的な発泡体を得る方法としては、通常物理的方法によるものと化学的方法によるものとがある。一般的な物理的方法としては、クロロフルオロカーボン類または炭化水素類などの低沸点液体(発泡剤)をポリマーに分散させ、次に加熱し発泡剤を揮発させることにより気泡を形成させるものである。また化学的方法においては、ポリマーベースに添加された化合物(発泡剤)の熱分解により生じたガスによりセルを形成し、発泡体を得るものである。物理的手法による発泡技術は、発泡剤として用いる物質の有害性やオゾン層の破壊など各種の環境への問題が存在する。また化学的手法を用いた場合には、発泡後、発泡体中に残る、腐食性ガスや不純物による汚染が問題となり、特に電子部品用途などにおいては、低汚染性への要求が高いため好ましくない。
さらに、近年は、セル径が小さく、セル密度の高い発泡体として、窒素や二酸化炭素等の気体を高圧にてポリマー中に溶解させた後、圧力を解放し、ポリマーのガラス転移温度や軟化点付近まで加熱することにより気泡を形成させる方法が提案されている。このような窒素や二酸化炭素の気体を高圧にてポリマー中に溶解させた後、圧力を解放し、場合によってはガラス転移温度まで加熱することにより気泡を成長させる方法は、今までにない微孔質発泡体を得る優れた方法である。この発泡は、熱力学的不安定な状態から核を形成し、核が膨張成長することで気泡が形成され微孔性発泡体が得られる。さらに、この発泡方法を用いて柔らかい発泡体を作る目的で熱可塑性ポリウレタンなどの熱可塑性エラストマーへ適用しようとする試みが種々提案されている。例えば、特許文献1には、この発泡方法により、熱可塑性ポリウレタン樹脂を発泡させ、均一で微細な気泡を有し、変形しにくい発泡体を得る方法が開示されている。
しかしながら、この気泡中に残る窒素や二酸化炭素等の気体は圧力が大気に解放された後、核が膨張成長することで気泡が形成され一旦は高い倍率の発泡体が形成されるが、徐々に気泡中に残存する窒素や二酸化炭素等の気体がポリマー壁を透過していき、これにより発泡後ポリマーが収縮し、徐々にセル形状が変形してしまったり、セルが小さくなり、十分な発泡倍率が得られないという問題点があった。
特開平10−168215号公報
従って、本発明の目的は、強度、柔軟性、クッション性、歪回復性等に優れ、特に樹脂の復元力による気泡構造の収縮の少ない熱可塑性樹脂発泡体を提供することにある。
本発明の他の目的は、さらに、強度、柔軟性、クッション性、歪回復性等に優れ、特に樹脂の復元力による気泡構造の収縮の少ない熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂組成物を発泡成形することにより得られる熱可塑性樹脂発泡体において、原料となる熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して発泡構造体を形成後に、発泡構造体中に架橋構造を形成させれば、熱可塑性樹脂発泡体の圧縮歪回復性を改善できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、主成分としての熱可塑性エラストマー及び活性エネルギー線硬化型樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して発泡構造体を形成した後、該発泡構造体に活性エネルギー線を照射して、発泡構造体中に活性エネルギー線硬化型樹脂による架橋構造を形成させて得られ、
前記熱可塑性エラストマーが、アクリル系熱可塑性エラストマー及びウレタン系エラストマーからなる群より選択される少なくとも1の熱可塑性エラストマーであり、
電子機器に用いられることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体を提供する。
また、本発明は、主成分としての熱可塑性エラストマー、活性エネルギー線硬化型樹脂、及び熱架橋剤を含む熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して発泡構造体を形成した後、該発泡構造体に活性エネルギー線を照射して、発泡構造体中に活性エネルギー線硬化型樹脂による架橋構造を形成させ、さらに加熱して、発泡構造体中に熱架橋剤による架橋構造を形成させて得られ、
前記熱可塑性エラストマーが、アクリル系熱可塑性エラストマー及びウレタン系エラストマーからなる群より選択される少なくとも1の熱可塑性エラストマーであり、
電子機器に用いられることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体を提供する。
熱可塑性樹脂組成物の発泡成形は、熱可塑性樹脂組成物を成形して未発泡樹脂成形体とした後、該未発泡樹脂成形体に発泡剤を含浸させて減圧することにより発泡させることが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物は、該熱可塑性樹脂組成物を成形することにより得られる厚さ0.5mmシート状の未発泡成形体における引張応力保持率(80℃雰囲気下、10%引張歪み、1400秒後)で、40%以上の該保持率を有することが好ましい。
発泡剤は、二酸化炭素又は窒素であること好ましく、さらにまた、超臨界状態の流体であることが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物における活性エネルギー線硬化型樹脂の配合量は、熱可塑性エラストマー100重量部に対して3〜100重量部であることが好ましい。
熱可塑性エラストマーと活性エネルギー線硬化型樹脂との組み合わせは、熱可塑性エラストマーの溶解度パラメーター(SP値)δ1[(J/cm31/2]と活性エネルギー線硬化型樹脂の溶解度パラメーター(SP値)δ2[(J/cm31/2]との差Δδ(δ1−δ2)が±2.5[(J/cm31/2]以内となる組み合わせであることが好ましい。
本発明は、電子機器に用いられる熱可塑性樹脂発泡体の製造方法であり、
主成分としての熱可塑性エラストマー及び活性エネルギー線硬化型樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して発泡構造体を形成した後、該発泡構造体に活性エネルギー線を照射して、発泡構造体中に活性エネルギー線硬化型樹脂による架橋構造を形成させることにより得られ、
前記熱可塑性エラストマーが、アクリル系熱可塑性エラストマー及びウレタン系エラストマーからなる群より選択される少なくとも1の熱可塑性エラストマーであることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供する。
また、本発明は、電子機器に用いられる熱可塑性樹脂発泡体の製造方法であり、
主成分としての熱可塑性エラストマー、活性エネルギー線硬化型樹脂、及び熱架橋剤を含む熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して発泡構造体を形成した後、該発泡構造体に活性エネルギー線を照射して、発泡構造体中に活性エネルギー線硬化型樹脂による架橋構造を形成させ、さらに加熱して、発泡構造体中に熱架橋剤による架橋構造を形成させることにより得られ、
前記熱可塑性エラストマーが、アクリル系熱可塑性エラストマー及びウレタン系エラストマーからなる群より選択される少なくとも1の熱可塑性エラストマーであることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供する。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体によれば、前記構成を有しているので、強度、柔軟性、クッション性、歪回復性等に優れ、特に樹脂の復元力による気泡構造の収縮の少ない点で有用である。また、本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法によれば、強度、柔軟性、クッション性、歪回復性等に優れ、特に樹脂の復元力による気泡構造の収縮の少ない点で有用である熱可塑性樹脂発泡体を効率よく製造することができる。
歪回復率(80℃、50%圧縮永久歪)の測定方法を説明する図である。
(熱可塑性樹脂組成物)
熱可塑性樹脂組成物は、少なくとも熱可塑性エラストマー及び活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する組成物であり、熱可塑性樹脂発泡体の原料となる。熱可塑性樹脂組成物を発泡成形することによって発泡構造体を得ることができ、該発泡構造体に活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化型樹脂を硬化させて、発泡構造体中に架橋構造を形成することによって、強度、柔軟性、クッション性、歪回復性等に優れた熱可塑性樹脂発泡体を作製することができる。
このような熱可塑性樹脂組成物に主成分として含まれる熱可塑性エラストマー(熱可塑性樹脂)としては、例えばアクリル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。中でも、アクリル系熱可塑性エラストマーやウレタン系熱可塑性エラストマーが好ましい。なお、熱可塑性エラストマーは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。アクリル系熱可塑性エラストマーは、アクリル酸エステルを主モノマー成分とする共重合体であり、ガラス転移温度の低いもの(例えば、ガラス転移温度が0℃以下のもの)が好ましい。より具体的には、アクリル系熱可塑性エラストマーは、主モノマー成分としてのアクリル系モノマー(特にアクリル酸エステル)に、コモノマー、さらに官能基含有モノマーを共重合させることにより形成される。
前記アクリル系モノマー(特にアクリル酸エステル)としては、例えばエチルアクリレート(EA)、ブチルアクリレート(BA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレートなどが挙げられる。
このようなアクリル系モノマーは、アクリル系熱可塑性エラストマーの主モノマー成分として用いられているので、その割合は、例えば、アクリル系熱可塑性エラストマーを構成する全モノマー成分のうち50重量%以上(好ましくは、70重量%以上)であることが重要である。なお、該アクリル系モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記コモノマーとしては、酢酸ビニル(VAc)、アクリロニトリル(AN)、アクリルアマイド(AM)、スチレン(St)、メチルメタクリレート(MMA)、メチルアクリレート(MA)などが挙げられる。
このようなコモノマーの使用量は、例えば、アクリル系熱可塑性エラストマーを構成する全モノマー成分に対して0〜50重量%である。なお、該コモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
官能基含有モノマーとしては、例えばメタクリル酸(MMA)、アクリル酸(AA)、イタコン酸(IA)などのカルボキシル基含有モノマー;ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)などのヒドロキシル基含有モノマー;ジメチルアミノエチルメタクリレート(DM)などのアミノ基含有モノマー;アクリルアマイド(AM)、メチロールアクリルアマイド(N−MAN)などのアミド基含有モノマー;グリシジルメタクリレート(GMA)などのエポキシ基含有モノマー;無水マレイン酸などの酸無水物基含有モノマー等が挙げられる。中でも、アクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレートなどが好ましい。
このような官能基含有モノマーの使用量は、例えば、アクリル系熱可塑性エラストマーを構成する全モノマー成分に対して0〜5重量%である。なお、該官能基含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、イソシアネート化合物とポリオール化合物とのウレタン化反応により得られる樹脂をいずれも使用することができ、特に制限されない。また、反応性官能基を有するウレタン系熱可塑性エラストマーを用いてもよい。
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物が挙げられる。中でも、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが好ましい。なお、イソシアネート化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブテンジオール、へキサンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルジオール、ペンタンジオール等の多価アルコールと、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸などの脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸との縮合反応により得られるポリエステル系ポリオール化合物;ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリへキサメチレンエーテルグリコール等のポリエーテル系ポリオール化合物;ポリカプロラクトングリコール、ポリプロピオラクトングリコール、ポリバレロラクトングリコール等のラクトン系ポリオール化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール等の多価アルコールと、ジエチレンカーボネート、ジプロピレンカーボネート等との脱アルコール反応により得られるポリカーボネート系ポリオール化合物が挙げられる。また、ポリエチレングリコールなどの低分子量ジオールを用いることもできる。中でも、ポリエステル系ポリオール化合物、ポリエーテル系ポリオール化合物などが好ましい。なお、ポリオール化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
また、反応性官能基を有するウレタン系熱可塑性エラストマーは、例えば、重合の際にイソシアネート化合物をポリオール化合物に対して等モル量より過剰に配合することにより、重合体にイソシアネート基を残す方法などを用いることにより得ることができる。
活性エネルギー線硬化型樹脂(特に紫外線硬化型樹脂)としては、活性エネルギー線(特に紫外線)の照射によって硬化する樹脂である限り特に制限されないが、不揮発性でかつ重量平均分子量が10000以下の低分子量体である重合性不飽和化合物が好ましい。熱可塑性樹脂組成物に活性工ネルギー線硬化型樹脂を含有していると、熱可塑性樹脂組成物を発泡成形することにより得られる発泡構造体において、活性エネルギー線を照射することにより活性エネルギー線硬化型樹脂を反応(硬化)させ架橋構造を形成することができる。これにより、熱可塑性樹脂発泡体の形状固定性がさらに向上し、熱可塑性樹脂発泡体における気泡構造の経時的な変形や収縮を防ぐことができる。また、このような架橋構造を有する熱可塑性樹脂発泡体は、高温下で圧縮した場合の歪回復性にも優れており、発泡時の高い発泡倍率を維持することができる。
前記重合性不飽和化合物の具体例としては、例えばフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、ウレタン(メタ)アクリレート、多官能ウレタンアクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、前記重合性不飽和化合物は、モノマーであってもよいし、オリゴマーであってもよい。なお、本発明にいう「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、他も同様である。
熱可塑性樹脂組成物における活性エネルギー線硬化型樹脂の配合量は、発泡構造体に活性エネルギー線を照射することによって発泡構造体中に架橋構造を形成できる限り特に制限されないが、例えば前記重合性不飽和化合物を活性エネルギー線硬化型樹脂として使用する場合、熱可塑性エラストマー100重量部に対して3〜100重量部(好ましくは5〜60重量部)である。活性エネルギー線硬化型樹脂の配合量が多すぎると(例えば前記重合性不飽和化合物の配合量が熱可塑性エラストマー100重量部に対して100重量部を超えていると)、硬度が高くなり、クッション性が低下する場合がある。一方、活性エネルギー線硬化型樹脂の配合量が少なすぎると(例えば前記重合性不飽和化合物の配合量が熱可塑性エラストマー100重量部に対して3重量部未満であると)高い発泡倍率を維持することができない場合がある。なお、活性エネルギー線硬化型樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
熱可塑性エラストマーと活性エネルギー線硬化型樹脂との組み合わせは、熱可塑性エラストマーの溶解度パラメーター(SP値)δ1[(J/cm31/2]と活性エネルギー線硬化型樹脂の溶解度パラメーター(SP値)δ2[(J/cm31/2]との差Δδ(δ1−δ2)が、±2.5[(J/cm31/2]以内(好ましくは±2[(J/cm31/2]以内)となる組み合わせが好ましい。熱可塑性エラストマーと活性エネルギー線硬化型樹脂との組み合わせが、このような組み合わせであると、熱可塑性エラストマーと活性エネルギー線硬化型樹脂との相溶性が極めて良好となるため、熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性エラストマーに対する活性エネルギー線硬化型樹脂の配合量をより多くすることができる。例えば、熱可塑性エラストマーと前記重合性不飽和化合物とがこのような組み合わせに該当する場合、熱可塑性樹脂発泡体の原料となる熱可塑性樹脂組成物において、前記重合性不飽和化合物を、熱可塑性エラストマー100重量部に対して3〜150重量部(好ましくは5〜120重量部)配合することができる。
熱可塑性エラストマーと活性エネルギー線硬化型樹脂との組み合わせが前記組み合わせであると、熱可塑性エラストマーに対する活性エネルギー線硬化型樹脂の配合量をより多くすることができることにより、熱可塑性樹脂発泡体において、形状固定性が向上する。また、相溶性が優れると、活性エネルギー線硬化型樹脂を反応させ架橋構造を形成させた際に熱可塑性エラストマー分子鎖と活性エネルギー線硬化型樹脂ネットワークが相互侵入網目構造(IPN)を形成し、その効果によっても発泡体の形状固定性が向上する。
なお、溶解度パラメーター(SP値)は、Fedors法による計算により求めた値である。Fedors法の計算式によれば、SP値は、各原子団のモル凝集エネルギーの和を体積で割ったものの平方根とされ、単位体積あたりの極性を示す。
熱可塑性樹脂組成物には、光重合開始剤が含まれていてもよい。光重合開始剤が含まれていると、熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して得られる発泡構造体に、活性エネルギー線を照射して発泡構造体中の活性エネルギー線硬化型樹脂を反応させて架橋構造を形成させることがより容易となる。
光重合開始剤としては、特に制限されず、各種のものを特に制限なく使用することができる。例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどのべンゾインエーテル系光重合開始剤;2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチルージクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系光重合開始剤;2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどのα−ケトール系光重合開始剤;2−ナフタレンスルホニルクロライドなどの芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤;1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどの光活性オキシム系光重合開始剤;ベンゾインなどのべンゾイン系光重合開始剤;ベンジルなどのべンジル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α −ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系光重合開始剤;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル」−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などのα−アミノケトン系光重合開始剤;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤などが挙げられる。
光重合開始剤の使用量としては、特に制限されないが、例えば、熱可塑性樹脂組成物の熱可塑性エラストマー100重量部に対して0.01〜5重量部(好ましくは0.2〜4重量部)の範囲から選択することができる。なお、光重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
熱可塑性樹脂組成物には、熱可塑性樹脂組成物中に含まれる反応性官能基と反応する熱架橋剤が含まれていてもよい。このような熱架橋剤としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート;へキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、へキサメチレンジアミンカルバメート、N,N´−ジシンナミイデン−1,6−へキサンジアミン、4,4´−メチレンビス(シクロへキシルアミン)カルバメート、4,4´−(2−クロロアニリン)などのポリアミン等が挙げられる。なお、熱架橋剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
このような熱架橋剤は、後述する所望の特性が得られるように適宜調節して使用することができる。熱架橋剤の使用量としては、特に制限されないが、通常、熱可塑性樹脂組成物の熱可塑性エラストマー100 重量部に対して、0.01〜10重量部(好ましくは0.05〜5重量部)程度である。
熱可塑性樹脂組成物に熱架橋剤が含まれていると、熱可塑性樹脂組成物を発泡成形することにより得られる発泡構造体において、該発泡構造体を加熱することにより架橋構造を形成することができる。このような架橋構造の形成は、熱可塑性樹脂発泡体の形状固定性の向上や気泡構造の経時的な変形や収縮の防止の点で有利である。
また、熱架橋剤は、反応性官能基を有する熱可塑性エラストマー(熱可塑性樹脂)に配合しても差し支えなく、さらに反応性官能基を有する熱可塑性エラストマーと、反応性官能基を有しない熱可塑性樹脂と、反応性官能基を有する架橋剤とを同時に使用してもよい。これらの配合量は、後述する所望の特性が得られるように適宜調節して使用することができる。
本発明では、熱可塑性樹脂発泡体は、さらに、パウダー粒子を含んでいてもよい。パウダー粒子は、発泡成形時の発泡核剤としての機能を発揮することができる。そのため、パウダー粒子を配合することにより、良好な発泡状態の熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。パウダー粒子としては、例えば、パウダー状のタルク、シリカ、アルミナ、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マイカ、モンモリナイト等のクレイ、カーボン粒子、グラスファイバー、カーボンチューブなどを用いることができる。パウダー粒子は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本発明では、パウダー粒子としては、平均粒子径(粒径)が0.1〜20μm程度のパウダー状の粒子を好適に用いることができる。パウダー粒子の平均粒子径が0.1μm未満では核剤として十分機能しない場合があり、粒径が20μmを超えると発泡成形時にガス抜けの原因となる場合があり好ましくない。
パウダー粒子の配合量としては、特に制限されないが、例えば、熱可塑性エラストマー100重量部に対して5〜150重量部(好ましくは10〜120重量部)の範囲から適宜選択することができる。パウダー粒子の配合量が熱可塑性エラストマー100重量部に対して5重量部未満であると、均一な発泡体を得ることが困難になり、一方150重量部を超えると、熱可塑性樹脂組成物の粘度が著しく上昇するとともに、発泡成形時にガス抜けが生じてしまい、発泡特性を損なうおそれがある。
また、熱可塑性樹脂発泡体は、熱可塑性エラストマーにより構成されているため、燃えやすいという特性(もちろん、欠点でもある)を有している。そのため、特に、熱可塑性樹脂発泡体を、電気・電子機器用途などの難燃性の付与が不可欠な用途では、パウダー粒子として、難燃性を有しているパウダー粒子(例えば、パウダー状の各種の難燃剤など)を配合してもよい。なお、難燃剤は、難燃剤以外のパウダー粒子とともに用いることができる。
パウダー状の難燃剤において、難燃剤としては無機難燃剤が好適である。無機難燃剤としでは、例えば、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン系難燃剤などであってもよいが、塩素系難燃剤や臭素系難燃剤は、燃焼時に人体に対して有害で機器類に対して腐食性を有するガス成分を発生し、また、リン系難燃剤やアンチモン系難燃剤は、有害性や爆発性などの問題があるため、ノンハロゲン−ノンアンチモン系無機難燃剤を好適に用いることができる。ノンハロゲン−ノンアンチモン系無機難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム・酸化ニッケルの水和物、酸化マグネシウム・酸化亜鉛の水和物等の水和金属化合物などが挙げられる。なお、水和金属酸化物は表面処理されていてもよい。難燃剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
難燃剤を用いる場合、難燃剤の使用量としては、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂組成物全量に対して5〜150重量%(好ましくは10〜120重量%)の範囲から適宜選択することができる。難燃剤の使用量が少なすぎると、難燃化効果が小さくなり、逆に多すぎると、高発泡の発泡体を得ることが困難になる。
熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、各種添加剤が配合されていてもよい。熱可塑性樹脂に必要に応じて添加される添加剤の種類は特に限定されず、発泡成形に通常使用される各種添加剤を用いることができる。具体的には、添加剤として、例えば、気泡核剤、結晶核剤、可塑剤、滑剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、界面活性剤、張力改質剤、収縮防止剤、流動性改質剤、クレイ、加硫剤、表面処理剤、パウダー状以外の各種形態の難燃剤などが挙げられる。これらの添加剤の配合量は、特に制限されず、通常熱可塑性樹脂発泡体の製造に用いられる配合量で使用できる。熱可塑性樹脂発泡体の強度、柔軟性、圧縮永久歪性等の所望の良好な特性の発現を阻害しない範囲内で適宜調節して使用すればよい。
熱可塑性樹脂組成物の作製方法は、特に制限されないが、例えば、必要に応じて、熱可塑性エラストマー、活性エネルギー線硬化型樹脂、熱架橋剤、光重合開始剤、パウダー粒子、添加剤等を、混合、混錬、溶融混合等することにより得ることができる。
熱可塑性樹脂組成物は、該熱可塑性樹脂組成物を成形することにより得られる厚さ0.5mmシート状の未発泡成形体における引張応力保持率(80℃雰囲気下、10%引張歪み、1400秒後)で、40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上(とりわけ70%以上)となるものが好ましい。40%以上であれば、発泡体を形成する際の材料の応力保持率が高いことにより、発泡体を圧縮した際に発生する反発応力が保持され歪回復率の向上につながる。
引張応力保持率(80℃雰囲気下、10%引張歪み、1400秒後)は、以下のようにして求めることができる。レオメトリックス動的粘弾性装置ARES(ティー・エイ・インスツルメント社製)の引っ張り応力緩和測定モードで、80℃ の雰囲気下、前記熱可塑性樹脂組成物により得られる厚さ0.5mmのシート状の未発泡成形体に、10%の引っ張り歪を加え、歪みを加えた直後、及び1400秒後に発生する応力を測定し、それぞれ初期の引張応力、1400秒後の引張応力とする。そして、下記式より求める。
引張応力保持率(80℃雰囲気下、10%引張歪み、1400秒後)=1400秒後の引張応力/初期の引張応力×100
(発泡構造体)
発泡構造体は、前記熱可塑性樹脂組成物を発泡成形することによって得ることができ、構造体中に気泡構造(発泡構造、セル構造)を有している。この発泡構造体に、架橋構造を形成させることにより、本発明の熱可塑性樹脂発泡体を製造することができる。なお、発泡構造体の厚さや形状等は、特に制限されず、必要に応じて適宜選択することができる。
また、本発明の熱可塑性樹脂発泡体を形成する際に用いられる発泡剤としての高圧ガスとしては、常温常圧では気体であって、熱可塑性エラストマー(熱可塑性樹脂)に対して不活性で且つ含浸可能なものであれば特に制限されず、例えば、希ガス(例えば、へリウム、アルゴンなど)、二酸化炭素、窒素、空気等が挙げられる。これらのガスは混合して用いてもよい。これらのうち、発泡体の素材として用いる熱可塑性エラストマーへの含浸量が多く、含浸速度の速い点から、二酸化炭素又は窒素を好適に用いることができる。
さらに、熱可塑性エラストマーへの含浸速度を速めるという観点から、前記高圧ガス(特に、二酸化炭素又は窒素)は、超臨界状態の流体であることが好ましい。超臨界状態では、熱可塑性エラストマーへのガスの溶解度が増大し、高濃度の混入が可能である。また、含浸後の急激な圧力降下時には、前記のように高濃度で含浸することが可能であるため、気泡核の発生が多くなり、その気泡核が成長してできる気泡の密度が、気孔率が同じであっても大きくなるため、微細な気泡を得ることができる。なお、二酸化炭素の臨界温度は31℃ 、臨界圧力は7.4MPaである。
熱可塑性エラストマー及び活性エネルギー線硬化型樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して発泡構造体を形成する際には、予め熱可塑性樹脂組成物を、例えば、シート状などの適宜な形状に成形して未発泡樹脂成形体(未発泡成形物)とした後、この未発泡樹脂成形体に、発泡剤としての高圧ガスを含浸させ、圧力を解放することにより発泡させるバッチ方式で行ってもよく、熱可塑性樹脂組成物を加圧下、発泡剤としての高圧ガスと共に混練し、成形すると同時に圧力を解放し、成形と発泡を同時に行う連続方式で行ってもよい。このように、予め成形した未発泡樹脂成形体に高圧ガスを含浸させてもよく、また、溶融した熱可塑性エラストマーに高圧ガスを加圧状態下で含浸させた後、減圧の際に成形に付してもよい。
具体的には、バッチ方式で発泡構造体を製造する際、未発泡樹脂成形体を製造する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂組成物(発泡構造体様組成物)を、単軸押出機、二軸押出機等の押出機を用いて成形する方法、熱可塑性樹脂組成物をローラ、カム、ニーダ、バンバリ型等の羽根を設けた混錬機を使用して均一に混錬しておき、熱板プレスなどを用いて所定の厚みにプレス成形する方法、射出成形機を用いて成形する方法などが挙げられる。所望の形状や厚さの成形体が得られる適宜な方法により成形すればよい。こうして得られた未発泡樹脂成形体(熱可塑性樹脂組成物による成形体)を耐圧容器(高圧容器)中に入れて、高圧ガス(例えば二酸化炭素や窒素など)を注入(導入)し、未発泡樹脂成形体中に高圧ガスを含浸させるガス含浸工程、十分に高圧ガスを含浸させた時点で圧力を解放し(通常、大気圧まで)、熱可塑性エラストマー中に気泡核を発生させる減圧工程、場合によっては(必要に応じて)、加熱することによって気泡核を成長させる加熱工程を経て、熱可塑性エラストマー中に気泡を形成させる。なお、加熱工程を設けずに、室温で気泡核を成長させてもよい。このようにして気泡を成長させた後、必要により冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することにより、本発明の熱可塑性樹脂発泡体を構成する発泡構造体を得ることができる。なお、未発泡樹脂成形体の形状は特に限定されず、ロール状、板状等の何れであってもよい。また、高圧ガスの導入は連続的に行ってもよく不連続的に行ってもよい。さらに、気泡核を成長させる際の加熱の方法としては、ウォーターバス、オイルバス、熱ロール、熱風オーブン、遠赤外線、近赤外線、マイクロ波などの公知乃至慣用の方法を採用できる。また、発泡に供する未発泡樹脂成形体は、押出成形、プレス成形、射出成形以外に、他の成形方法により作製することもできる。
一方、連続方式で発泡構造体を製造する場合は、少なくとも熱可塑性エラストマー及び活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物(発泡構造体用組成物)を、単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して混錬しながら、高圧ガス(例えば二酸化炭素や窒素など)を注入(導入)し、十分に高圧ガスを熱可塑性エラストマー(熱可塑性樹脂)に含浸させる混練含浸工程、押出機の先端に設けられたダイスなどを通して熱可塑性樹脂組成物を押し出すことにより圧力を解放し(通常、大気圧まで)、成形と発泡を同時に行う成形減圧工程により製造することができる。また、場合によっては(必要に応じて)、加熱することによって気泡を成長させる加熱工程を設けてもよい。このようにして気泡を成長させた後、必要により冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することにより、本発明の熱可塑性樹脂発泡体の形成に用いる発泡構造体を得ることができる。なお、上記混練含浸工程及び成形減圧工程では、押出機のほか、射出成形機などを用いて行うこともできる。また、シート状、角柱状、その他の任意の形状の発泡構造体を得られる方法を適宜選択すればよい。
高圧ガスの混合量は特に制限されないが、例えば、熱可塑性エラストマー成分全量に対して2〜10重量%程度である。所望の密度や発泡倍率が得られるように、適宜調節して混合すればよい。
バッチ方式におけるガス含浸工程や連続方式における混練含浸工程で、高圧ガスを未発泡樹脂成形体や熱可塑性樹脂組成物に含浸させるときの圧力は、高圧ガスの種類や操作性等を考慮して適宜選択できるが、例えば、高圧ガスとして二酸化炭素を用いる場合には、6MPa以上(例えば、6〜100MPa程度)、好ましくは8MPa以上(例えば、8〜100MPa程度)とするのがよい。高圧ガスの圧力が6MPaより低い場合には、発泡時の気泡成長が著しく、気泡径が大きくなりすぎ、例えば、防塵効果が低下するなどの不都合が生じやすくなり、好ましくない。これは、圧力が低いと高圧ガスの含浸量が高圧時に比べて相対的に少なく、気泡核形成速度が低下して形成される気泡核数が少なくなるため、1気泡あたりのガス量が逆に増えて気泡径が極端に大きくなるからである。また、6MPaより低い圧力領域では、含浸圧力を少し変化させるだけで気泡径、気泡密度が大きく変わるため、気泡径及び気泡密度の制御が困難になりやすい。
また、バッチ方式におけるガス含浸工程や連続方式における混練含浸工程で、高圧ガスを未発泡樹脂成形体や熱可塑性樹脂組成物に含浸させるときの温度は、用いる高圧ガスや熱可塑性エラストマーの種類等によって異なり、広い範囲で選択できるが、操作性等を考慮した場合、例えば、10〜350℃程度である。例えば、バッチ方式において、シート状の未発泡樹脂成形体に高圧ガスを含浸させる場合の含浸温度は、10〜200℃(好ましくは40〜200℃)程度である。また、連続方式において、熱可塑性樹脂組成物(熱可塑性樹脂発泡体用組成物)に高圧ガスを注入し混練する際の温度は、60〜350℃程度が一般的である。なお、高圧ガスとして二酸化炭素を用いる場合には、超臨界状態を保持するため、含浸時の温度(含浸温度)は32℃以上(特に40℃以上)であることが好ましい。
なお、前記減圧工程において、減圧速度は、特に限定されないが、均一な微細気泡を得るため、好ましくは5〜300MPa/秒程度である。また、前記加熱工程における加熱温度は、例えば、40〜250℃(好ましくは60〜250℃)程度である。
また、このような発泡構造体の製造方法によれば、高発泡倍率の発泡構造体を製造することができるので、厚い熱可塑性樹脂発泡体を製造することが出来るという利点を有する。例えば、連続方式で発泡構造体を製造する場合、混練含浸工程において押出し機内部での圧力を保持するためには、押出し機先端に取り付けるダイスのギャップを出来るだけ狭く(通常0.1〜1.0mm)する必要がある。従って、厚い発泡構造体を得るためには、狭いギャップを通して押出された熱可塑性樹脂発泡体組成物を高い倍率で発泡させなければならないが、従来は、高い発泡倍率が得られないことから、形成される発泡構造体の厚みは薄いもの(例えば0.5〜2.0mm程度)に限定されてしまっていた。これに対して、高圧ガスを用いて製造される発泡構造体は、最終的な厚みで0.50〜5.00mmの発泡体としての発泡構造体を連続して得ることが可能である。なお、このような厚い発泡構造体を得るためには、発泡構造体の相対密度(発泡後の密度/未発泡状態での密度)が0.02〜0.3(好ましくは0.05〜0.25) であることが望ましい。前記相対密度が0.3を超えると発泡が不十分であり、また0.02未満では発泡構造体の強度が著しく低下する場合があり好ましくない。
発泡構造体の形状や厚みなどは、特に制限されず、この発泡構造体に活性エネルギー線を照射することにより形成する熱可塑性樹脂発泡体の用途に応じて、適宜選択することができる。なお、発泡構造体は、前記の製造方法によって作製された後、架橋構造の形成を目的とする活性エネルギー線の照射や加熱の前に、種々の形状や厚みに加工されてもよい。
(熱可塑性樹脂発泡体)
本発明において、熱可塑性樹脂発泡体は、熱可塑性樹脂組成物を発泡成形することにより得られる前記発泡構造体に、活性エネルギー線を照射すること、さらに必要に応じて活性エネルギー線の照射後にさらに加熱することより、架橋構造を形成させることにより得ることができる。このようにして得られる熱可塑性樹脂発泡体は、架橋構造を有するため、良好な形状固定性を有し、また経時的に生じる発泡体内の気泡構造の変形や収縮を防ぐことができる。特に、樹脂の復元力による気泡構造の収縮が少なく、発泡時の高い発泡倍率を維持することができる。
活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好適である。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは、活性エネルギー線硬化型樹脂による架橋構造を形成することができる限り特に制限されない。このような活性エネルギー線の照射としては、例えば、発泡構造体がシート状の形状であって、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、シート状の発泡構造体に対して、一方の面に対する紫外線の照射(照射エネルギー:750mJ/cm2)した後、再び、他方に面に対する紫外線の照射(照射エネルギー:750mJ/cm2)をすることが挙げられる。
発泡体の加熱方法としては、発泡構造体中に熱架橋剤による架橋構造を形成することができる限り特に制限されない。例えば、40〜150℃(好ましくは60〜140℃、さらに好ましくは80℃〜130℃)の温度雰囲気下で、10分〜10時間(好ましくは30分〜8時間、さらに好ましくは1〜5時間)放置することが挙げられる。なお、このような温度雰囲気下は、例えば公知の加熱方法(例えば電熱ヒーターを用いた加熱方法、赤外線等の電磁波を用いた加熱方法、ウォーターバスを用いた加熱方法など)により得ることができる。
熱可塑性樹脂発泡体(又は発泡構造体)の密度は、40mm×40mmの打抜き刃型にて、熱可塑性樹脂発泡体(又は発泡構造体)を打抜き、打ち抜いた試料の寸法を測定する。また、測定端子の直径(φ)20mmである1/100ダイヤルゲージにて厚みを測定する。これらの値から打ち抜いた試料の体積を算出する。次に、打ち抜いた試料の重量を最小目盛り0.01g以上の上皿天秤にて測定する。これらの値より、密度(g/cm3)を算出することができる。
熱可塑性樹脂発泡体の厚み、密度等や、発泡構造体の厚み、密度、相体密度等は、用いる高圧ガス、熱可塑性エラストマー(熱可塑性樹脂)の成分に応じて、例えば、発泡構造体作製時の、ガス含浸工程や混錬含浸工程における温度、圧力、時間などの操作条件、減圧工程や成形減圧工程における減圧速度、温度、圧力などの操作条件、減圧後又は成形減圧後の加熱工程における加熱温度などを適宜選択、設定することにより調整することができる。
なお、このような熱可塑性樹脂発泡体において、気泡構造としては、独立気泡構造、半連続半独立気泡構造(独立気泡構造と連続気泡構造とが混在している気泡構造であり、その割合は特に制限されない)が好ましく、特に、熱可塑性樹脂発抱体中に独立気泡構造部が80%以上(なかでも90%以上)となっている気泡構造が好適である。
熱可塑性樹脂発泡体の形状や厚みなどとしては、特に制限されず、用途などに応じて適宜選択することができる。例えば、厚みとしては、0.1〜3.0mm(好ましくは、0.2〜2.0mm)程度の範囲から選択することができる。また、形状としては、例えば、シート状、テープ状、フィルム状などである。
熱可塑性樹脂発泡体は、高い発泡倍率を有し、クッション性に優れている。また、形状固定性に優れており、気泡構造が変形・収縮しにくいため歪回復性が良好である。
本発明において歪回復率(80℃、50%圧縮永久歪)は、以下に説明する方法で求めることができる。図1において、1a、1b、1cは、それぞれ50%圧縮状態前、50%圧縮状態、50%圧縮状態解放後をあらわし、また11、12、13は、それぞれ、サンプル、スペーサー、板をあらわしている。サンプル11は、熱可塑性樹脂発泡体を厚さ約2mmのシート状に成形し、これを5枚重ねたものである。サンプル11の厚さaを正確に測りとり、スペーサー12の厚みbがaの2分の1となるようにする。図1の1aに示すように2枚の板13の間に、サンプル11とスペーサー12とを挟むように配置する。板13に垂直な圧力をかけて、図1の1bに示すように、サンプル11の厚さがスペーサー12の厚さbと等しくなるまで圧縮する。この圧縮状態を維持したまま、80℃雰囲気下、24時間保管する。24時間経過後、圧縮状態を維持したまま常温に戻す。サンプル11が常温に戻ってから圧縮状態を解き、30分間常温に放置する。図1の1cは圧縮状態解放後の様子を示している。30分後にサンプルの厚さcを測る。以下の計算式により求められる値を歪回復率(80℃ 、50%圧縮永久歪)と定義する。
歪回復率(80℃、50%圧縮永久歪)[%] =(c−b)/(a−b)×100
熱可塑性樹脂発泡体は、強度、柔軟性、クッション性、圧縮歪回復性などに優れ、また高温下で圧縮保持された後の歪回復性も優れている。従って、熱可塑性樹脂発泡体は、例えば、電子機器等の内部絶縁体、緩衝材、遮音材、断熱材、食品包装材、衣用材、また建材用として、極めて有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
JISA硬度60度でポリオールがアジペートタイプである熱可塑性ウレタンエラストマー(商品名「ミラクトランE660MZAA」日本ポリウレタン工業社製、SP値:20.9[(J/cm31/2])100重量部を、ローラ型の羽根を設けた混錬機(商品名「ラボプラストミル」東洋精機社製)により、180℃の温度で混錬した後、多官能ウレタンアクリレート(商品名「UV1700B」日本合成化学社製、SP値:21.3[(J/cm31/2]):6重量部、光重合開始剤として2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル」−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.225重量部を添加して120℃で混錬することにより樹脂組成物を得た。
該樹脂組成物を、120℃に加熱した熱板プレスを用いて、厚さ2mmのシート状に成形して、未発泡樹脂成形体を得た。
該未発泡樹脂成形体を、耐圧容器に入れ、60℃の雰囲気中、10MPaの加圧下で、20分間保持することにより、二酸化炭素を含浸させた。20分後に、急激に減圧することにより発泡させ、発泡構造体を得た。
該発泡構造体に、片面ずつ紫外線を照射し(片面あたりの照射エネルギー:750mJ /cm2)、架橋構造を形成させて、発泡体(厚さ:2.5mm)を得た。
(実施例2)
多官能ウレタンアクリレート(商品名「UV1700B」日本合成化学社製)を20重量部、光重合開始剤(商品名「イルガキュア907」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.75重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡体(厚さ:2.5mm)を得た。
(実施例3)
多官能ウレタンアクリレート(商品名「UV1700B」日本合成化学社製)を40重量部、光重合開始剤(商品名「イルガキュア907」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を1.5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡体(厚さ:2.8mm)を得た。
(実施例4)
樹脂組成物として、JISA硬度68度である熱可塑性アクリル系エラストマー(商品名「Nipol AR12」日本ゼオン社製、SP値:20.2[(J/cm31/2])100重量部を、ローラ型の羽根を設けた混錬機(商品名「ラボプラストミル」東洋精機社製)により、180℃の温度で混錬した後、多官能ウレタンアクリレート(商品名「UV1700B」日本合成化学社製):40重量部、光重合開始剤(商品名「イルガキュア907」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):1.5重量部を添加して120℃で混錬することにより得られる樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡体(厚さ:2.6mm)を得た。
(実施例5)
樹脂組成物として、JISA硬度60度でポリオールがアジペートタイプである熱可塑性ウレタンエラストマー(商品名「ミラクトランE660MZAA」日本ポリウレタン工業社製)100重量部を、ローラ型の羽根を設けた混錬機(商品名「ラボプラストミル」東洋精機社製)により、180℃の温度で混錬した後、ポリプロピレングリコールジアクリレート(商品名「アロニックスM225」東亜合成社製、SP値:18.4[(J/cm31/2]):40重量部、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名「イルガキュア819」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):1.5重量部を添加して120℃で混錬することにより得られる樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡体(厚さ:2.5mm)を得た。
(実施例6)
ポリプロピレングリコールジアクリレート(商品名「アロニックスM225」東亜合成社製)を100重量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名「イルガキュア819」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を3.75重量部としたこと以外は、実施例5と同様にして、発泡体(厚さ:2.6mm)を得た。
(実施例7)
樹脂組成物として、JISA硬度60度でポリオールがアジペートタイプである熱可塑性ウレタンエラストマー(商品名「ミラクトランE660MZAA」日本ポリウレタン工業社製)100重量部を、ローラ型の羽根を設けた混錬機(商品名「ラボプラストミル」東洋精機社製)により、180℃の温度で混錬した後、トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名「アロニックスM309」東亜合成社製、SP値:20.7[(J/cm31/2]):100重量部、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名「イルガキュア819」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):3.75重量部を添加して120℃で混錬することにより得られる樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、発泡体(厚さ:8.2mm)を得た。
(実施例8)
アクリル酸ブチル:85重量部、アクリロニトリル:15重量部、アクリル酸2.5重量部をバンバリ型の羽根を設けた混錬機(商品名「ラボプラストミル」東洋精機社製)により130℃の温度で混錬することにより、熱可塑性アクリル系エラストマー(SP値:20.9[(J/cm31/2])を得て、該熱可塑性アクリル系エラストマー:100重量部に、トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名「アロニックスM309」東亜合成社製):100重量部、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名「イルガキュア819」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):3.75重量部を添加して120℃で混錬し、さらにポリイソシアネート化合物(商品名「コロネートHX」日本ポリウレタン工業社製):4重量部添加して70℃で2分間混錬して樹脂組成物を得た。
該樹脂組成物を、70℃に加熱した熱板プレスを用いて、厚さ1mmのシート状に成形して、未発泡樹脂成形体を得た。
該未発泡樹脂成形体を、耐圧容器に入れ、75℃の雰囲気中、10MPaの加圧下で、20分間保持することにより、二酸化炭素を含浸させた。20分後に、急激に減圧することにより発泡させ、発泡構造体を得た。
該発泡構造体に、片面ずつ紫外線を照射し(片面あたりの照射エネルギー:750mJ /cm2)、架橋構造を形成させ、さらに100℃の雰囲気下で3時間放置することにより加熱処理を行い、架橋構造を形成させて、発泡体(厚さ:3.0mm)を得た。
(比較例1)
190℃での溶融張力が20cNであるポリプロピレン100重量部を、ローラ型の羽根を設けた混錬機(商品名「ラボプラストミル」東洋精機社製)により、180℃の温度で混錬して樹脂組成物を得た。
該樹脂組成物を、180℃に加熱した熱板プレスを用いて、厚さ2mmのシート状に成形して、未発泡樹脂成形体を得た。
該未発泡樹脂成形体を、耐圧容器に入れ、160℃の雰囲気中、10MPaの加圧下で、20分間保持することにより、二酸化炭素を含浸させた。20分後に、急激に減圧することにより発泡させ、発泡体(厚さ:4.2mm)を得た。
(比較例2)
樹脂組成物として、JISA硬度60度で、ポリオールがアジペートタイプである熱可塑性ウレタンエラストマー(商品名「ミラクトランE660MZAA」日本ポリウレタン工業社製)100重量部を、ローラ型の羽根を設けた混錬機(商品名「ラボプラストミル」東洋精機社製)により、180℃の温度で混錬して樹脂組成物を得た。
該樹脂組成物を、160℃に加熱した熱板プレスを用いて、厚さ2mmのシート状に成形して、未発泡樹脂成形体を得た。
該未発泡樹脂成形体を、耐圧容器に入れ、60℃の雰囲気中、10MPaの加圧下で、20分間保持することにより、二酸化炭素を含浸させた。20分後に、急激に減圧することにより発泡させ、発泡体(厚さ:2.5mm)を得た。
(評価)
実施例及び比較例について、密度と歪回復率(80℃、50%圧縮永久歪)とを測定すること、樹脂組成物の成形により得られる未発泡成形体の引張応力保持率(80℃雰囲気下、10%引張歪み、1400秒後)を測定することにより評価した。その結果を表1に示した。
[密度(見掛け密度)の測定方法]
電子比重計(商品名「MD−200S」アルファーミラージュ社製)を用いて、比重測定を行うことにより密度を求めた。なお、密度の測定は、発泡体(発泡構造体)製造後室温で24時間保存してから行った。
密度の測定は、実施例1〜7については、発泡構造体及び発泡体について行い、その結果を、それぞれ、表1の「紫外線照射前」「紫外線照射後」の欄に示した。また、実施例8については、発泡構造体、紫外線照射後加熱処理前の架橋構造を形成させた発泡構造体及び発泡体について行い、その結果を、それぞれ、表1の「紫外線照射前」「紫外線照射後」「紫外線照射+加熱処理後」の欄に示した。さらに、比較例1及び2については、発泡体について行い、その結果を表1の「紫外線照射前」の欄に示した。
[歪回復率(80℃、50%圧縮永久歪)の測定方法]
発泡体を、1辺の長さが25mmの正方形に切断し、5枚重ねて、試験片(図1のサンプル11に相当)とし、その厚さを正確に測りとった。このときの試験片の厚さをaとした(図1の厚さaに相当)。試験片の厚さの半分の厚さb(図1の厚さbに相当)を有するスペーサー(図1のスペーサー12に相当)を用いて、試験片を50%の厚さ(厚さb)になるように圧縮し、その状態(図1の50%圧縮状態1bに相当)で、80℃で24時間保存した。24時間後、圧縮状態を維持しつつ常温に戻し、圧縮状態を解放する。解放してから30分後に試験片の厚みを正確に測りとった。このときの試験片の厚さをcとした(図1の厚さcに相当)。圧縮した距離に対する回復した距離の比率を歪回復率(80℃、50%圧縮永久歪)とした。
歪回復率(80℃、50%圧縮永久歪)[%] =(c−b)/(a−b)×100
歪回復率(80℃、50%圧縮永久歪)の測定は、実施例1〜8については、発泡構造体及び発泡体について行い、その結果を、それぞれ、表1の「架橋構造形成前」「架橋構造形成後」の欄に示した。また、比較例1及び2については、発泡体について行い、その結果を表1の「架橋構造形成前」の欄に示した。
[樹脂組成物の成形により得られる未発泡成形体の引張応力保持率(80℃雰囲気下、10%引張歪み、1400秒後)の測定方法]
樹脂組成物を、120℃に加熱した熱板プレスを用いて、厚さ0.5mmのシート状に成形して、未発泡成形体を得た。該未発泡成形体に、レオメトリックス動的粘弾性装置ARES(ティー・エイ・インスツルメント社製)の引っ張り応力緩和測定モードで、10%の引っ張り歪を加え、歪みを加えた直後、及び1400秒後に発生する応力を測定し、それぞれ初期の引張応力、1400秒後の引張応力とした。そして、下記式より求めた。
引張応力保持率(80℃雰囲気下、10%引張歪み、1400秒後)=1400秒後の引張応力/初期の引張応力×100
樹脂組成物の成形により得られる未発泡成形体の引張応力保持率(80℃雰囲気下、10%引張歪み、1400秒後)の結果は、表1の「引張応力保持率」の欄に示した。
Figure 2013199658
1a 50%圧縮状態前
1b 50%圧縮状態
1c 50%圧縮状態解放後
11 サンプル(試験片)
12 スペーサー
13 板
a 50%圧縮状態前のサンプル11の厚さ
b スペーサー12の厚さ(50%圧縮状態前のサンプル11の厚さに対する半分の厚さ)
c 50%圧縮状態後のサンプル11の厚さ

Claims (10)

  1. 主成分としての熱可塑性エラストマー及び活性エネルギー線硬化型樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して発泡構造体を形成した後、該発泡構造体に活性エネルギー線を照射して、発泡構造体中に活性エネルギー線硬化型樹脂による架橋構造を形成させて得られ、
    前記熱可塑性エラストマーが、アクリル系熱可塑性エラストマー及びウレタン系エラストマーからなる群より選択される少なくとも1の熱可塑性エラストマーであり、
    電子機器に用いられることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体。
  2. 主成分としての熱可塑性エラストマー、活性エネルギー線硬化型樹脂、及び熱架橋剤を含む熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して発泡構造体を形成した後、該発泡構造体に活性エネルギー線を照射して、発泡構造体中に活性エネルギー線硬化型樹脂による架橋構造を形成させ、さらに加熱して、発泡構造体中に熱架橋剤による架橋構造を形成させて得られ、
    前記熱可塑性エラストマーが、アクリル系熱可塑性エラストマー及びウレタン系エラストマーからなる群より選択される少なくとも1の熱可塑性エラストマーであり、
    電子機器に用いられることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体。
  3. 熱可塑性樹脂組成物の発泡成形が、熱可塑性樹脂組成物を成形して未発泡樹脂成形体とした後、該未発泡樹脂成形体に発泡剤を含浸させて減圧することにより発泡させることである請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  4. 熱可塑性樹脂組成物が、該熱可塑性樹脂組成物を成形することにより得られる厚さ0.5mmシート状の未発泡成形体における引張応力保持率(80℃雰囲気下、10%引張歪み、1400秒後)で、40%以上の該保持率を有する請求項1〜3何れか1項に記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  5. 発泡剤が、二酸化炭素又は窒素である請求項3記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  6. 発泡剤が、超臨界状態の流体である請求項3又は5記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  7. 熱可塑性樹脂組成物における活性エネルギー線硬化型樹脂の配合量が、熱可塑性エラストマー100重量部に対して3〜100重量部である請求項1〜6何れか1項に記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  8. 熱可塑性エラストマーと活性エネルギー線硬化型樹脂との組み合わせが、熱可塑性エラストマーの溶解度パラメーター(SP値)δ1[(J/cm31/2]と活性エネルギー線硬化型樹脂の溶解度パラメーター(SP値)δ2[(J/cm31/2]との差Δδ(δ1−δ2)が±2.5[(J/cm31/2]以内となる組み合わせである請求項1〜7何れか1項に記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  9. 電子機器に用いられる熱可塑性樹脂発泡体の製造方法であり、
    主成分としての熱可塑性エラストマー及び活性エネルギー線硬化型樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して発泡構造体を形成した後、該発泡構造体に活性エネルギー線を照射して、発泡構造体中に活性エネルギー線硬化型樹脂による架橋構造を形成させることにより得られ、
    前記熱可塑性エラストマーが、アクリル系熱可塑性エラストマー及びウレタン系エラストマーからなる群より選択される少なくとも1の熱可塑性エラストマーであることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  10. 電子機器に用いられる熱可塑性樹脂発泡体の製造方法であり、
    主成分としての熱可塑性エラストマー、活性エネルギー線硬化型樹脂、及び熱架橋剤を含む熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して発泡構造体を形成した後、該発泡構造体に活性エネルギー線を照射して、発泡構造体中に活性エネルギー線硬化型樹脂による架橋構造を形成させ、さらに加熱して、発泡構造体中に熱架橋剤による架橋構造を形成させることにより得られ、
    前記熱可塑性エラストマーが、アクリル系熱可塑性エラストマー及びウレタン系エラストマーからなる群より選択される少なくとも1の熱可塑性エラストマーであることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
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