以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の商品払出装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である商品払出装置が適用された自動販売機の内部構造を示す断面側面図である。ここで例示する自動販売機は、商品を冷却若しくは加熱した状態で販売するもので、本体キャビネット1、外扉2及び内扉3を備えて構成されている。
本体キャビネット1は、複数の鋼板を適宜組み合わせることによって前面が開口した直方状に構成されたもので、その内部に断熱構造の商品収容庫4を有している。外扉2は、本体キャビネット1の前面開口を覆うためのもので、本体キャビネット1の一側縁部に開閉可能に配設されている。この外扉2の前面には、ディスプレイウィンドウ、商品選択ボタン、紙幣挿通口、硬貨投入口、返却レバー、一体表示器、硬貨返却口、商品取出口2a等々、商品を販売する際に必要となるものが設けられている。内扉3は、商品収容庫4の前面開口を覆うための断熱扉であり、外扉2よりも内方となる位置において本体キャビネット1の一側縁部に開閉可能に配設されている。この内扉3の下方部には、商品を商品収容庫4の外部に搬出するための商品搬出口3aが設けられている。
また、上記自動販売機には、商品収容庫4の内部に商品シュータ5が設けられており、この商品シュータ5よりも下方となる領域(以下、「熱交換領域」ともいう)に温度調節ユニット6が配設されている一方、商品シュータ5よりも上方となる領域(以下、「商品収納領域」ともいう)に商品収納装置10が配設されている。
商品シュータ5は、商品収納装置10から払い出された商品を内扉3の商品搬出口3aに案内するためのプレート状部材であり、前方側に向けて漸次下方に傾斜する態様で配設されている。図には明示していないが、この商品シュータ5には、熱交換領域と商品収納領域との間を連通させる通気孔(図示せず)が多数穿設されている。
温度調節ユニット6は、商品収容庫4の内部雰囲気を所望の温度状態に維持するためのもので、冷凍サイクルの蒸発器6a、電熱ヒータ6b及び送風ファン6cを備えて構成されている。この温度調節ユニット6においては、例えば冷凍サイクルを運転した状態で送風ファン6cを駆動すると、蒸発器6aにおいて冷却された空気が商品シュータ5の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納領域を低温状態に維持することができる。一方、電熱ヒータ6bに通電した状態で送風ファン6cを駆動すると、電熱ヒータ6bによって加熱された空気が商品シュータ5の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納領域を高温状態に維持することができる。尚、冷凍サイクルの圧縮機、凝縮器及び膨張弁は、図には明示しないがいずれも商品収容庫4の外部となる機械室7に配設されている。
上記商品収納装置10は、図示の例では前後3列に並ぶように配設されており、一対のベース側板(ラック側板)11の間に通路構成要素12が配設されることによって上下方向に沿って蛇行状に構成された商品収納通路13を備え、商品収納通路13の内部に上下方向に沿って複数の商品を横倒し姿勢で収納するものである。より詳細に説明すると、通路構成要素12は、商品収納通路13の前方側と、後方側とに互いに対向するよう適宜配設されたものであって、ベース側板11に固定されている。
また、通路構成要素12には、図には明示しないフラッパが設けられている。フラッパは、商品収納通路13に対して進退移動する態様で通路構成要素12に揺動可能に配設されている。このフラッパは、コイルバネ(図示せず)に付勢されて常態においては商品収納通路13に進出移動した姿勢となる。そして、商品収納通路13を通過する商品に当接することにより自身はコイルバネの付勢力に抗して蛇行状の商品収納通路13に沿うように退行移動して該商品の姿勢を修正するものである。
このような商品払出装置においては、商品収納通路13の上方側にトップトレイ14が設けられている一方、商品収納通路13の下方側に商品払出装置20が設けられている。
トップトレイ14は、平板状の板金を屈曲して構成されるもので、前方から後方に向けて漸次下方に傾斜する態様でベース側板11間に配設されている。このようなトップトレイ14の上面は、投入口を通じて投入された商品を商品収納通路13まで案内する商品案内通路15を構成している。
図2及び図3は、それぞれ図1に示した商品払出装置20を示す斜視図であり、図4〜図6は、それぞれ図1に示した商品払出装置20を側方より模式的に示す説明図である。ここに例示する商品払出装置20は、通路幅規定板16との間において商品の挙動を制御することにより、待機状態においては商品収納通路13に商品を収納する一方、払出指令が与えられた場合には対応する商品を1つずつ商品シュータ5に払い出すように機能するもので、ベース部材21を備えている。
ベース部材21は、鋼板に切削加工及び屈曲加工を施して構成されたものであり、自身の表面を通路幅規定板16に対向させる態様で配設されており、その中間部に挿通孔22が形成されている。この挿通孔22は、矩形状の貫通開口である。また、このベース部材21の両側部には、屈曲されることで側壁21aが形成されている。
このベース部材21の挿通孔22の両側部に設けられた左右一対の軸受片23には、第1揺動支持軸24a及び第2揺動支持軸25aが架設されている。
第1揺動支持軸24aは、略水平方向に沿って延在する態様で配設された軸状部材であり、その中間部に第1ペダル部材24を支承している。第2揺動支持軸25aは、第1揺動支持軸24aよりも上方となる個所に略水平方向に沿って延在する態様で配設された軸状部材であり、その中間部に第2ペダル部材25を支承している。
第1ペダル部材24は、プレート状部材であり、基端部に第1揺動支持軸24aを挿通させることによりこの第1揺動支持軸24aの軸心回りに揺動可能となる態様で配設されている。
第1ペダル部材24の先端部は、第1揺動支持軸24aの径外方向に向けて延在しており、第1揺動支持軸24aの軸心回りに揺動した場合に挿通孔22を通じて商品収納通路13に進退移動することが可能である。つまり、第1ペダル部材24は、商品収納通路13に対し進退移動する態様で揺動可能に配設されている。
第1ペダル部材24とベース部材21との間には、第1ペダル部材バネ(図示せず)が介装されている。第1ペダル部材バネは、商品収納通路13に対して第1ペダル部材24を進出移動する方向に向けて常時付勢するものである。
上記第1ペダル部材24は、板状のペダル本体部241と、一対の案内部242とを備えている。一対の案内部242は、上記ペダル本体部241の背面側に設けられている。各案内部242は、上下方向に沿って延在する板状部材であり、互いに対向するよう形成されている。各案内部242の互いに対向する対向面には案内溝243が形成されている。
案内溝243は、第1ペダル部材24を商品収納通路13に対して最も進出移動させた進出位置に配置した状態(図4に示す状態)において、最も下方に位置し、かつ後述する回動ストッパ部材29が嵌入される嵌入部243aと、第1ペダル部材24を商品収納通路13に対して最も退行移動させた退行位置に配置した状態(図6に示す状態)において、最も上方に位置し、かつ回動ストッパ部材29が当接する当接部243dと、これら嵌入部243a及び当接部243dとが連続するよう接続する第1案内部243b及び第2案内部243cとを備えている。
第1案内部243bは、第1ペダル部材24を商品収納通路13に対して最も進出移動させた位置(進出位置)に配置した状態において、嵌入部243aからベース部材21に対して離隔するよう斜め上方に傾斜した後、ベース部材21に対して近接するよう斜め上方に傾斜して当接部243dに至る態様で案内部242に形成されている。
第2案内部243cは、第1ペダル部材24を商品収納通路13に対して最も進出移動させた位置(進出位置)に配置した状態において、当接部243dからベース部材21に対して離隔するよう斜め下方に傾斜して嵌入部243aに至る態様で案内部242に形成されている。
このような第1ペダル部材24の第1揺動支持軸24aからの径外方向の長さは、商品収納通路13に対して最も進出移動した位置(進出位置)に位置する場合に、図4にも示すように通路幅規定板16との間に最大幅の小さい販売対象商品の最大幅よりも小さい間隙を確保することが可能な長さに設定されている。
第2ペダル部材25は、プレート状部材であり、基端部に第2揺動支持軸25aを挿通させることによりこの第2揺動支持軸25aの軸心回りに揺動可能となる態様でベース部材21に配設されている。
第2ペダル部材25の先端部は、第2揺動支持軸25aの径外方向に向けて延在しており、第2揺動支持軸25aの軸心回りに揺動した場合には、挿通孔22を通じて商品収納通路13に進退移動することが可能である。つまり、第2ペダル部材25は、商品収納通路13に対し進退移動する態様で揺動可能に配設されている。
第2ペダル部材25とベース部材21との間には、第2ペダル部材バネ(図示せず)が介装されている。第2ペダル部材バネは、商品収納通路13に対して第2ペダル部材25が退行移動する方向に向けて常時付勢するものである。
上記第2ペダル部材25には、押圧傾斜面251、凹部252、ストッパ当接部253及び突起部254が設けられている。押圧傾斜面251は、第2ペダル部材25の先端部分に設けてあり、第2ペダル部材25を商品収納通路13に対して退行移動させた場合には、商品収納通路13に向けて漸次低くなる態様で形成された湾曲状の傾斜面である。凹部252は、第2ペダル部材25の背面側に設けてあり、第2ペダル部材25の両側面に開口する態様で形成した略水平方向に沿って延在する一条の凹所である。ストッパ当接部253は、後述するストッパピン28aが当接する部位であり、第2ペダル部材25の背面において凹部252の上方に傾斜する態様で設けられている。
突起部254は、第2ペダル部材25の基端部において商品収納通路13に向けて突出した態様で設けられている。
この第2ペダル部材25は、上記第2ペダル部材バネの付勢力によって商品収納通路13に退行移動するよう付勢されているが、上記凹部252にストッパピン28aが当接することにより商品収納通路13に対して退行移動した状態に初期位置が設定されている。
このような第2ペダル部材25は、商品収納通路13に対して最も進出移動した位置(進出位置)に位置する状態(図6に示す状態)において、第2揺動支持軸25aを通過する鉛直面に対して前傾した状態にある。そして第2ペダル部材25の第2揺動支持軸25aからの径外方向の長さは、上述した前傾した状態において、通路幅規定板16との間に最大幅の小さい販売対象商品の最大幅よりも小さい間隙を確保することが可能な長さに設定されている。
また、このベース部材21には、軸受部26が設けられている。軸受部26は、アクチュエータであるソレノイド(駆動源)40に連結されたリンク部材27の上下方向に沿った移動を案内するものであり、上下方向に沿って延在する態様で形成してあり、一方の端部を挿通孔22の上端縁に取り付けてあり、他方の端部を挿通孔22の下端縁に取り付けてあり、挿通孔22を縦断するよう設けられている。
軸受部26は、樹脂材から構成されるもので、第2揺動支持軸挿通孔261と、第1揺動支持軸挿通孔262と、ストッパピン挿通孔263と、ペダルストッパピン支持溝264と、ストッパ支持孔265とを備えている。
第2揺動支持軸挿通孔261は、第2揺動支持軸25aを挿通し、かつ第2揺動支持軸25aを軸支するための孔である。第1揺動支持軸挿通孔262は、第1揺動支持軸24aを挿通し、かつ第1揺動支持軸24aを軸支するための孔である。この第1揺動支持軸挿通孔262は、第2揺動支持軸挿通孔261よりも下方に形成されている。
ストッパピン挿通孔263は、後述するストッパピン28aを摺動自在に軸支する孔であって、軸状に形成したストッパピン28aの直径に比して上下方向への延在長さが大きくなるよう形成されている。よって、このストッパピン挿通孔263は、ストッパピン28aの上下方向に沿っての移動を許容するものであり、軸受部26において、上端部と、第2揺動支持軸挿通孔261を形成した部位との略中間となる部位に設けられている。
ペダルストッパピン支持溝264は、後述するペダルストッパピン28bを摺動自在に軸支する孔であって、軸状に形成したペダルストッパピン28bの直径に比して上下方向への延在長さが大きくなるよう形成されている。よって、このペダルストッパピン支持溝264は、ペダルストッパピン28bの上下方向に沿っての移動を許容するものであり、軸受部26において、第1揺動支持軸挿通孔262を形成した部位と、下端部との略中間となる部位に設けられている。
ストッパ支持孔265は、後述するストッパ軸28cを軸支するための孔であり、軸受部26においてその下端部に形成されている。
また、一方の軸受片23と軸受部26との間には、ストッパピン28a、ペダルストッパピン28b及びストッパ軸28cが架設されている。
ストッパピン28aは、一方の軸受片23と軸受部26との間に略水平方向に沿って配設された軸状部材であり、一端部が該軸受片23のストッパピン挿通孔(図示せず)に挿通され、他端部が軸受部26のストッパピン挿通孔263に挿通されている。このストッパピン28aは、リンク部材27に連結されており、当該リンク部材27の上下方向への移動に伴ってストッパピン挿通孔263の内部において上下方向に沿っての移動が可能である。また、ストッパピン28aは、初期位置にある第2ペダル部材25の凹部252に当接している。
ペダルストッパピン28bは、一方の軸受片23と軸受部26との間に略水平方向に沿って配設された軸状部材であり、一端部が該軸受片23のペダルストッパピン支持溝(図示せず)に挿通され、他端部が軸受部26のペダルストッパピン支持溝264に挿通されている。このペダルストッパピン28bは、リンク部材27に連結されており、当該リンク部材27の上下方向への移動に伴ってペダルストッパピン支持溝264の内部において上下方向に沿っての移動が可能である。このペダルストッパピン28bの周面は、リンク部材27を上下方向に移動させた場合には、ペダルストッパピン支持溝264の内周面に当接することとなる。
ストッパ軸28cは、一方の軸受片23と軸受部26との間に略水平方向に沿って配設された軸状部材であり、その中間部に回動ストッパ部材29を支承している。
回動ストッパ部材29は、基端部にストッパ軸28cを挿通させ、かつこのストッパ軸28cの軸心回りに揺動可能となる態様で一方の軸受片23と軸受部26との間に配設されている。
回動ストッパ部材29の先端部は、ストッパ軸28cの径外方向に向けて延在しており、ストッパ軸28cの軸心回りに揺動した場合に挿通孔22を通じて商品収納通路13に進退移動することが可能である。
この回動ストッパ部材29は、先端部にペダル操作軸29aを有している。ペダル操作軸29aは、略水平方向に沿って配設された軸状部材であり、その両端部を上記第1ペダル部材24の案内溝243に嵌入されている。
上記回動ストッパ部材29とベース部材21との間には、ペダル操作部材バネ(図示せず)が介装されている。ペダル操作部材バネは、商品収納通路13に対して回動ストッパ部材29を退行移動させる方向に向けて常時付勢するものである。
このような回動ストッパ部材29は、ペダル操作部材バネによって商品収納通路13に対して退行移動する方向に向けて付勢されているが、該回動ストッパ部材29の背面側の所定部位にペダルストッパピン28bが当接することにより退行移動する方向への移動が規制されており、商品収納通路13に対して進出移動した状態での初期位置が設定されている。また、第1ペダル部材24が第1ペダル部材バネに付勢されているため、回動ストッパ部材29は、ペダル操作軸29aの両端が案内溝243の嵌入部243aに位置しており、第1ペダル部材24が商品収納通路13に対して進出移動した位置に初期位置が設定されている。
ソレノイド40は、プランジャ43を下方に向ける態様で配設されたアクチュエータである。このソレノイド40は、詳細は後述するが、ベース部材21に設けられた固定片31にネジ等の締結部材を用いて固定されており、プランジャ43の下端部にリンク部材27が連結されている。
リンク部材27は、上端部を商品収納通路13と反対側に屈曲させることにより形成された係合爪(爪部)27aを有しており、この係合爪27aがプランジャ43の下端部に形成した係合孔43aに挿通することでプランジャ43に係合して連結されている。
このようなリンク部材27とベース部材21との間には、リンクバネ(付勢手段)30が介装されている。リンクバネ30は、リンク部材27を下方に向けて常時付勢するものである。また、リンク部材27とベース部材21との間には、図には明示していないが、第2リンクバネが介装されている。この第2リンクバネは、一端部をリンク部材27の下端に形成した係合孔に係止してあり、他端部をストッパ軸28cに係止されている。この第2リンクバネは、自身の弾性力により、通常リンク部材27とペダルストッパピン28bとの係合が解除されることを防止するものである。
リンク部材27がリンクバネ30によって付勢されて下方に配置された状態では、ストッパピン挿通孔263の下端部にストッパピン28aが配置され、かつペダルストッパピン支持溝264の下端部にペダルストッパピン28bが配置されることになる(以下、ペダルストッパピン支持溝264の下端部にペダルストッパピン28bが配置された状態をペダルストッパピン28bの規制位置という)。この状態では、ストッパピン28aに、退行位置に配置された第2ペダル部材25の凹部252が当接している。しかもペダルストッパピン28bに進出位置に配置された回動ストッパ部材29が当接しており、回動ストッパ部材29の退行移動が規制されている。また、進出位置に配置された回動ストッパ部材29のペダル操作軸29aは上記第1ペダル部材24の嵌入部243aに嵌入してあり、これにより進出位置に配置された第1ペダル部材24の退行移動が規制されている。
これに対してソレノイド40を励磁(駆動)させるとプランジャ43が縮退動作し、リンクバネ30の付勢力に抗してリンク部材27が上方に位置されることとなる。リンクバネ30の付勢力に抗してリンク部材27が上方に配置された状態では、図6に示すように、ストッパピン挿通孔263の上端部にストッパピン28aが配置され、かつペダルストッパピン支持溝264の上端部にペダルストッパピン28bが配置されることになる。この状態では、上記ストッパピン28aに第2ペダル部材25のストッパ当接部253が当接することにより、第2ペダル部材25の退行移動が規制され、第2ペダル部材バネの付勢力に抗して第2ペダル部材25が進出移動して進出位置に配置される。しかもペダル操作部材バネの付勢力により、回動ストッパ部材29がペダルストッパピン28bに当接しながら、退行位置に配置されることになる。また回動ストッパ部材29が退行位置に配置されると、ペダル操作軸29aが第1ペダル部材24の嵌入部243aから外れるため、商品の自重により第1ペダル部材24は退行移動して退行位置に配置されることとなる。
以上のように構成した商品搬出装置では、販売待機状態においてリンクバネ30の付勢力によりリンク部材27が下方に配置された状態にある。しかもソレノイド40が消磁された状態(非通電状態)にあり、図4に示すようにペダルストッパピン28bが規制位置に配置されており、回動ストッパ部材29の退行移動を規制している。これにより、退行移動が規制された回動ストッパ部材29のペダル操作軸29aが第1ペダル部材24の案内溝243の嵌入部243aに嵌入され、進出位置に配置された第1ペダル部材24の退行移動が規制されている。この結果、第1ペダル部材24に当接した最下位の商品の下方への移動が規制され、商品収納通路13に商品がそれぞれ横倒し姿勢で収納されている。この間、熱交換器の駆動により所定温度に調整された空気が商品収容庫4に供給されるため、商品収納通路13に収納された商品が所望の温度状態に維持される。
ところで、かかる販売待機状態においては、第2ペダル部材25は、第2ペダル部材バネに付勢され、かつ凹部252にストッパピン28aが当接することにより、商品収納通路13から退行移動した初期位置(待機位置)に待機することになる(待機状態)。
このような販売待機状態において利用者の商品購入操作により払出指令が与えられると、ソレノイド40が励磁され、プランジャ43が縮退動作し、リンクバネ30の付勢力に抗してリンク部材27が上方に移動を開始する。
このリンク部材27の上方への移動に伴い、ストッパピン28aはストッパピン挿通孔263の下端部から上方に移動するとともに、ペダルストッパピン28bはペダルストッパピン支持溝264の下端部から上方に移動する。
このときストッパピン28aが第2ペダル部材25のストッパ当接部253に当接しながら上方に移動するため、第2ペダル部材25は、第2ペダル部材バネの付勢力に抗して初期位置から進出移動する。この第2ペダル部材25の進出移動は、ストッパピン28aの上方への移動により行われる。
そして、進出移動する第2ペダル部材25は、図5に示すように、最下位から2番目の商品(以下、次商品ともいう)に当接し、次商品が下方に向けて移動することを規制する。
一方、回動ストッパ部材29は、ペダル操作部材バネにより退行位置に向けて付勢されており、上記ペダルストッパピン28bの上方への移動とともに該ペダルストッパピン28bに当接しながら退行移動する。
このように回動ストッパ部材29が移動すると、ペダル操作軸29aが嵌入部243aから抜け出し、商品の自重によって第1ペダル部材バネの付勢力に抗して第1ペダル部材24が退行移動を開始する。嵌入部243aから抜け出した回動ストッパ部材29のペダル操作軸29aは、第1案内部243bに沿い、第1案内部243bと第2案内部243cとが交差する位置に向けて移動する。
この後、最下位の商品の自重により第1ペダル部材24が退行移動し、図6に示すように、最下位の商品の下方への移動が許容され、最下位の商品は下方に搬出される。搬出された商品は、商品シュータ5を通じて商品搬出口3aに案内され、更に商品取出口2aを介して取り出し可能な状態になる。
この間、リンク部材27が上方に移動し、ストッパピン28aがストッパピン挿通孔263の上端部に位置し、かつペダルストッパピン28bがペダルストッパピン支持溝264の上端部に位置することになる。その後、所定時間経過後にソレノイド40は消磁される。
ソレノイド40が消磁されると、リンクバネ30にリンク部材27は付勢されて下方に移動する。
このリンク部材27の下方への移動に伴い、ストッパピン28aはストッパピン挿通孔263の上端部から下方に移動するとともに、ペダルストッパピン28bはペダルストッパピン支持溝264の上端部から下方に移動する。
ペダルストッパピン28bは回動ストッパ部材29に当接しながら下方に移動するため、ペダル操作部材バネの付勢力に抗して回動ストッパ部材29が進出位置に向けて移動する。
このように回動ストッパ部材29が移動すると、第1案内部243bと第2案内部243cとが交差する位置に保持されていたペダル操作軸29aが嵌入部243aに向けて第2案内部243cに沿って移動する。ペダル操作軸29aが嵌入部243aに向けて移動すると、第1ペダル部材24は、第1ペダル部材バネに付勢されて進出移動する。
一方、第2ペダル部材25は、第2ペダル部材バネに付勢されて、ストッパピン28aの下方への移動に伴い退行移動する。これにより次商品の下方への移動が許容され、その後該次商品は進出移動した第1ペダル部材24に当接して下方への移動が規制されて販売待機状態に戻る。
上記商品払出装置20においては、更に以下のような構成を有している。ベース部材21には、図7及び図8に示すように、その下縁部には支持部32が形成されている。支持部32は、一方の軸受片23と軸受部26との間、すなわちストッパ軸28cを支持する構成要素の間において、ベース部材21の下縁部の一部を切り起こすことにより形成されたものであり、該ストッパ軸28cを載置させた状態で支持するものである。
またベース部材21には、図9及び図10に示すように、左右一対の軸受片23と、自身の側壁21aとの間に軸当接部33が設けられている。この軸当接部33は、切欠によって形成された舌片状の部位を屈曲させることにより形成されたものであり、軸受片23の孔231を貫通する軸(第1揺動支持軸24a及び第2揺動支持軸25a)が中心軸方向に変位した場合に当接してそれ以上の変位を規制するものである。また、図11に示すように、軸受片23の挿通孔22を臨む面には、該軸受片23に形成された孔(第1揺動支持軸24a及び第2揺動支持軸25aのそれぞれを貫通させる孔)231に連通する円筒状の軸受部分232が形成されている。この軸受部分232の内経は、自身を貫通する軸(第1揺動支持軸24a又は第2揺動支持軸25a)の外径よりも僅かに大きく調整されている。
更にベース部材21には、図12に示すように、既述の固定片31及び係止片34が設けられている。固定片31は、ベース部材21におけるソレノイド40の取付部位に切り起こしにより形成された左右一対のものである。これら固定片31は、それぞれ根元部311と取付部312とを有して構成されている。
根元部311は、図13にも拡大して示すように、ベース部材21に連続する部位であり、ソレノイド40の駆動方向、すなわちプランジャ43の移動方向と平行となる態様で該ベース部材21から離隔する態様で延在している。また、この根元部311の両端部分には、ソレノイド40に向けて湾曲された湾曲部311aが形成されることで、該固定片31に絞り構造が設けられている。更に、根元部311の両端部分である湾曲部311aには円弧状の切欠311bが形成されている。
取付部312は、根元部311の延在端部より側方に向けて延在している。この取付部312には、締結部材が挿通するためのネジ孔312aが形成されている。
係止片34は、ベース部材21の段曲げすることにより形成されており、ソレノイド40を自身に係止させるものである。尚、図12中の符号35は、商品払出装置20の組立作業時において、ソレノイド40がベース部材21から離隔する方向に移動することを規制する押片である。
図14及び図15は、図2〜図6に示すソレノイド40の内部構造を示す模式図である。ここに例示するソレノイド40は、ヨーク(固定鉄芯)41と、ボビン42と、プランジャ(可動鉄芯)43とを備えて構成されている。ヨーク41はコ字状を成しており、ボビン42はコイルが巻回されるものでヨーク41に保持されている。プランジャ43は、上下方向に沿って移動可能なものであり、ボビン42の内部に挿入されている。このようなソレノイド40においては、ヨーク41の吸引部41aがボビン42の内部から離脱する態様で設けられている。また、かかるソレノイド40においては、コイルへの通電によりプランジャ43がヨーク41の吸引部41aに吸引された場合、言い換えると、コイルが非通電状態となる場合に、ヨーク41の吸引部41aとプランジャ43との離間距離は、従来構成のものと同程度にしてある。つまり、ヨーク41の吸引部41aがボビン42の内部から離脱した分だけ、プランジャ43の延在長さを延ばしている。これにより、コイルが非通電状態となるときのボビン42の内部にあるプランジャ43の長さは、従来のものよりも長くなっている。
また、上記ベース部材21には、図2及び図3に示すように、補強部材50が設けられている。補強部材50は、ストッパ軸28cを支持する構成要素の間、すなわち一方の軸受片23と軸受部26との間を連結する態様で配設された平板状部材であり、リンクバネ30の商品収納通路13の反対側を覆うものである。
以上のような構成を有する本実施の形態である商品払出装置20によれば、ベース部材21の下縁部の一部を切り起こすことにより形成された支持部32が、ストッパ軸28cを載置させた状態で支持するので、該ストッパ軸28cに過大な荷重や曲げモーメントが作用して破損等することを防止することができる。よって、種々の商品収納通路13に適用可能な汎用性を有する幅寸法の小さい回動ストッパ部材29を用いることが可能になり、回動ストッパ部材29を共用化させることができる。従って、回動ストッパ部材29のストッパ軸28cが破損等してしまうことを防止して、製造コストの低減化を図ることができる。
また、ベース部材21に設けられた軸当接部33により、第1揺動支持軸24a及び第2揺動支持軸25aのそれぞれの長さを短くすることが可能になり、これにより第1揺動支持軸24a及び第2揺動支持軸25aの長さを必要最小限の長さにすることができ、これら第1揺動支持軸24a及び第2揺動支持軸25aに要する材料コストを低減させることが可能になる。更に、軸受片23には、孔(第1揺動支持軸24a及び第2揺動支持軸25aのそれぞれを貫通させる孔)231に連通する態様で円筒状の軸受部分232が設けられているので、ベース部材21の厚みを小さくする薄肉化を施したとしても第1揺動支持軸24a及び第2揺動支持軸25aを良好に支持することができる。
上記商品払出装置20によれば、ソレノイド40を固定する固定片31は、ベース部材21に連続する根元部311がソレノイド40の駆動方向(プランジャ43の移動方向)と平行となる態様で切り起こすことにより形成されているので、ベース部材21の厚みを小さくした場合でも十分な強度を有し、根元部311が経時的に劣化して破損等してしまう虞れがない。従って、製造コストの低減化を図りつつソレノイド40を良好に支持することができる。特に、根元部311の両端部分に湾曲部311aを形成する絞り構造を設けるとともに、該湾曲部311aに円弧状の切欠311bが形成されることでソレノイド40の駆動により応力が集中する部分をなくすことができ、これによってもソレノイド40を良好に支持することができる。また、ベース部材21に設けた係止片34によりソレノイド40を係止することができるので、ソレノイド40の位置決めを容易に行うことができ、しかも治具等を必要とせずに組み付けが可能になる。
上記商品払出装置20によれば、ソレノイド40による往復動するプランジャ43の係合孔43aに挿通して該プランジャ43に係合するリンク部材27の係合爪27aは、該リンク部材27の上端部が商品収納通路13と反対側に向けて屈曲されることにより形成されているので、商品払出装置20の組立作業時においては、リンク部材27を取り付けてからソレノイド40を組み付けることが可能になり、従来のようにソレノイドを取り付けた後にリンク部材を取り付けることとなる弊害を解消することができ、それぞれの構成部材を独立して組み立てることができる。従って、組立作業を容易なものとすることができる。
上記商品払出装置20によれば、ソレノイド40は、コイルが巻回されたボビン42の内部よりヨーク41の吸引部41aを離脱させ、かつコイルが非通電状態となるときのヨーク41の吸引部41aと、ボビン42の内部に挿入されたプランジャ43の先端部との離間距離を維持させたので、ボビン42の内部におけるプランジャ43の長さが大きくなっており、これにより外径寸法及びプランジャ43のストロークを維持しつつ初期吸引力を向上させることができる。このような初期吸引力を向上させることで、プランジャ43及びヨーク41の薄型化を実現でき、結果として製造コストの低減化を図ることができる。
上記商品払出装置20によれば、補強部材50が、ストッパ軸28cを支持する構成要素の間、すなわち一方の軸受片23と軸受部26との間を連結し、かつリンクバネ30の商品収納通路13の反対側を覆うので、互いに背中合わせに設置された場合にリンクバネ30が破損等されることを防止するとともに、ストッパ軸28cを支持する構成要素(一方の軸受片23及び軸受部26)を補強することができる。