JP2013179292A - 導電性高分子製造用酸化剤溶液及びそれを用いた固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベンゼンスルホン酸第二鉄塩をアルコール溶媒に溶解させた導電性高分子製造用酸化剤溶液、及び該導電性高分子製造用酸化剤溶液を用いて製造した高い静電容量、低い等価直列抵抗、かつ、耐熱性に優れた固体電解コンデンサとその製造方法。
【選択図】なし
Description
該文献によれば、従来高濃度の酸化剤溶液を用いることで導電性高分子の重合効率を向上させ、導電性高分子層の電気伝導度を高め、固体電解コンデンサのESRを低下できることが記載されている。
しかしながら、従来知られている酸化剤溶液の酸化剤濃度を向上させると、酸化剤溶液の粘度も急激に向上し、導電性高分子層形成工程における酸化剤溶液の取扱いが極めて困難になる問題点が指摘されている。
酸化剤溶液が、第一から第五の発明のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
これらの中でも、高濃度に調整した場合の酸化剤溶液の保存安定性の面から、ブタノールを主溶媒とするものが特に好ましい。特に、ブタノールとメタノールの混合溶媒、n−ブタノールとエタノールの混合溶媒が好ましく挙げられる。
該副溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、プロピレングリコール類等のグリコール類等を添加することができる。
水分含有量としては、好ましくは15質量%未満であり、より好ましくは0.01〜10質量%含むものである。水分含有量が15質量%以上の場合、重合効率が低下する場合がある。
上記モル比の範囲にすることで、より耐熱性に優れた導電性高分子層を形成することができる。
ベンゼンスルホン酸の水溶液に、酸化鉄を加え、撹拌後、ろ過により、未反応酸化鉄及び不純物を除去した後、水を除去し目的とするベンゼンスルホン酸第二鉄塩を得る。反応に用いるベンゼンスルホン酸の水溶液濃度は40〜80%の濃度のものを用いることができる。また、加える酸化鉄の量は、ベンゼンスルホン酸に対し、概ね当量加える。通常、反応は100〜120℃にて5〜72時間行うことにより、目的とするベンゼンスルホン酸第二鉄塩を生成させることができる。
次に、本発明の酸化剤溶液を用いる固体電解コンデンサの製造方法について説明する。まず、巻回型コンデンサの場合を例にとり説明する。
導電性高分子製造用酸化剤溶液の好ましい粘度は500mPa・s以下、より好ましくは200mPa・s以下であり、好ましい重合速度は70〜200秒である。また、重合反応させる際のモノマーと酸化剤との質量配合比は、好ましくは1:1〜1:10である。重合速度が、70秒未満では、微細な空隙を有する多孔性コンデンサ素子内部へ重合液が浸入し難くなり、取り扱いの面で問題があり、200秒超では、電導度の小さい導電性高分子ができる問題がある。
重合後、重合残渣や余剰のモノマーと酸化剤を取り除くために洗浄を行っても良い。その後、金属製ケースに封入し、必要に応じてエージング等の処理を行い、巻回型コンデンサを完成する。
アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等の弁作用金属の板状箔又は焼結体を準備し、この陽極体表面を酸化し誘電体酸化皮膜を形成させた陽極体を準備する。この陽極体に導電性高分子層、導電性カーボンを含有するカーボン層、銀ペーストなどからなる陰極引き出し層が順次形成されコンデンサ素子が構成される。
該陽極体の一端面に植立された陽極リード部材に陽極端子が接続され、陰極引き出し層に陰極端子が接続され、コンデンサ素子がエポキシ樹脂等の外装樹脂によって被覆密封され、チップ型コンデンサを完成する。
ベンゼンスルホン酸一水和物(東京化成工業社製)50.0gに水3.28gを加え、酸化鉄7.60gを撹拌しながら混合し、温度100℃で3時間還流した。
反応後、水を留去し、ブタノールとメタノールの混合溶媒(質量比=1:1)20mlを加え、水と共沸させ、この操作を5回繰り返し、水を留去した。その後、ブタノールを加え、ベンゼンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を得た。
なお、各酸化剤溶液中の水分量は、カールフィッシャー法によって測定し、それぞれ0.5質量%であった。
また、ベンゼンスルホン酸アニオンと第二鉄アニオンとのモル比は、滴定によって求めた。測定したモル比は、ベンゼンスルホン酸アニオン:第二鉄アニオン=2.98:1であった。
表1に対応するように酸化剤と濃度と溶媒を代えた以外は、酸化剤溶液1と同様にして作製し、酸化剤溶液2〜11を得た。
上記工程にて調整した酸化剤溶液を準備し、粘度重合速度及び落下時間の評価を行った。なお、粘度は振動式粘度計(CBCマテリアルズ社製、VM−100A)を用いて測定した。落下時間は、各酸化剤溶液と3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、「EDOT」と略記する。)をスクリュー管に入れ、18℃サーモプレート上に30分以上保持した。10mlメスシリンダーに酸化剤溶液10mlを充填してその上からEDOTを1滴落としてメスシリンダー底部に達するまでの時間を計測し、これを落下時間とした。重合速度は、各酸化剤溶液と3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、「EDOT」と略記する。)をスクリュー管に入れ、18℃サーモプレート上に30分以上保持した。酸化剤溶液とEDOTを酸化剤:EDOT=2.67:1(モル比、EDOTは1gで固定)で、混合して25℃で30分間撹拌して、エタノールで洗浄し、乾燥させた重合物の質量を測定した。これを重合速度とした。
なお、この重合速度の測定方法で得られる重合速度の値が概ね70〜200秒、特に110〜120秒であるものが、固体電解コンデンサにおける導電性高分子層の形成に適する。測定結果を表1に示す。
上記で調整した酸化剤溶液1と、導電性高分子モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンとを質量比が2.5:1となるように加え、18℃サーモプレート上で攪拌し重合溶液を準備した。該重合溶液に巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ素子(直径7mm、高さ6mm)を1分間含浸させた。その後45℃で1時間、次いで100℃で10分重合し、さらに150℃で10分、200℃で10分乾燥し、巻回型コンデンサに導電性高分子層を形成させて固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液2に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液3に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液4に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液5に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液6に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液7に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液8に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液9に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1〜7及び比較例1、2により得られた固体電解コンデンサを用いて125℃の恒温槽中で負荷電圧4.0V、500時間の耐熱試験を行い、LCRメーター(型式名 4284A、Agilent Technologeis製)で静電容量(μF@120Hz)、ESR(mΩ@100kHz)を測定した。測定結果を表2に示す。
酸化剤溶液1の製造方法において、モル比を表3に対応するように、ベンゼンスルホン酸−水和物と酸化第二鉄の質量を変え、ベンゼンスルホン酸第二鉄塩の濃度を60%にした以外は、酸化剤溶液1の製造方法と同様にして酸化剤溶液10〜18を作製した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液10に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液11に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液12に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液13に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液14に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液15に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液16に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液17に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
実施例1に記載の酸化剤溶液1を、酸化剤溶液18に代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを完成した。
Claims (7)
- ベンゼンスルホン酸第二鉄塩が、アルコール溶媒に溶解されてなることを特徴とする導電性高分子製造用酸化剤溶液。
- 導電性高分子製造用酸化剤溶液におけるベンゼンスルホン酸第二鉄塩の含有量が、50質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液。
- アルコール溶媒が、ブタノールとメタノールの混合溶媒、又は、ブタノールとエタノールの混合溶媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液。
- 導電性高分子製造用酸化剤溶液における水分含有量が、15質量%未満であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液。
- ベンゼンスルホン酸第二鉄塩におけるベンゼンスルホン酸アニオンと第二鉄カチオンとのモル比が、2.95〜2.99:1であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液。
- 請求項1から5のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液を用いて重合した導電性高分子層を有することを特徴とする固体電解コンデンサ。
- 導電性高分子モノマーと酸化剤溶液との混合液をコンデンサ素子に含浸させることにより、又は導電性高分子モノマー溶液と酸化剤溶液とをコンデンサ素子に含浸させることにより、モノマーと酸化剤を重合反応させて導電性高分子層をコンデンサ素子に形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法において、
酸化剤溶液が、請求項1から5のいずれかに記載の導電性高分子製造用酸化剤溶液であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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