JP2013179217A - 太陽電池およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】テクスチャ構造を持つ透明導電層の上に、導電性物質によりモスアイ構造を形成することで、光電変換層と透明導電層との界面の光反射を小さくできる太陽電池を提供する。
【解決手段】透明基材、第1の透明導電層、第2の透明導電層および光電変換層を光入射側からこの順に備え、前記第1の透明導電層はテクスチャ構造を有し、前記第2の透明導電層はモスアイ構造を有する太陽電池、ならびに、透明基材、第1の透明導電層、第2の透明導電層および光電変換層を光入射側からこの順に備え、前記第1の透明導電層はテクスチャ構造を有し、前記第2の透明導電層はモスアイ構造を有する太陽電池を製造する方法であって、金属源とヘキサメチレンテトラミンを含む前駆体水溶液を50〜100℃にて保持することで、前記第2の透明導電層を析出させる工程を含む、太陽電池の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】透明基材、第1の透明導電層、第2の透明導電層および光電変換層を光入射側からこの順に備え、前記第1の透明導電層はテクスチャ構造を有し、前記第2の透明導電層はモスアイ構造を有する太陽電池、ならびに、透明基材、第1の透明導電層、第2の透明導電層および光電変換層を光入射側からこの順に備え、前記第1の透明導電層はテクスチャ構造を有し、前記第2の透明導電層はモスアイ構造を有する太陽電池を製造する方法であって、金属源とヘキサメチレンテトラミンを含む前駆体水溶液を50〜100℃にて保持することで、前記第2の透明導電層を析出させる工程を含む、太陽電池の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、太陽電池の変換効率について改善可能な手段を提供するものであり、特に太陽電池における透明導電層の改良に関する。
現在、多くの薄膜系太陽電池は透明導電層上に作製されている。透明導電層にはITO、SnO2、ZnOなどが存在し、その表面構造はフラットなものからテクスチャ構造を有するものまで、その用途により様々である。これらの太陽電池の性能向上のためには光反射による光損失、電荷の再結合による損失、エネルギーの不完全利用による損失、抵抗による電気損失などの損失を少なくする必要がある。
太陽電池の光電変換層は屈折率が大きく、透明導電層との界面における光反射による光損失が大きくなることが懸念され、透明導電層と光電変換層の界面における反射防止技術が必要とされている。
一方、ガラスなどの透明基材への反射防止技術として、たとえば特表2001−517319号公報(特許文献1)、特開2004−205990号公報(特許文献2)、特開2004−287238号公報(特許文献3)、特開2001−272505号公報(特許文献4)および特開2002−286906号公報(特許文献5)などには、凹凸の周期が可視光の波長以下に制御された100nm程度の微細な凹凸パターンを表面に形成することによって反射防止を図る技術が開示されている。このような方法は、いわゆるモスアイ(moth eye:蛾の目)構造の原理を利用したものであり、基板に入射した光に対する屈折率を連続的に変化させ、屈折率の不連続界面を消失させることによって光の反射を防止するものである。このようなモスアイ構造は、その微細な凹凸形状を反転させた形状を有する金型(スタンパあるいは鋳型)を用いて、その凹凸を任意の平坦な樹脂層に転写することによって製造されるのが一般的である。
しかしながら、太陽電池の光電変換層と透明導電層の界面へ適用するには、透明導電層の特性を落とさないためにモスアイ構造とする材料が高い透明性と導電性を有していなければならず、樹脂などの絶縁体では太陽電池として作動させる際に電子が取り出せなくなる問題がある。また、モスアイ構造を形成できるのは、主にフラットな面上に限られており、透明導電層の性質・構造に依存せずにモスアイ構造を形成することは難しかった。
また、太陽電池用の透明導電層には、光を散乱させ、光電変換層内に光を閉じ込めるため(光閉じ込め効果)、ピラミッド形状の凹凸をもつテクスチャ構造が形成されることが一般的である。この光閉じ込め効果を維持するためにも、テクスチャ構造の上にモスアイ構造を作製しなければならず、従来技術をそのまま適用できないという問題点があった。
このように、透明導電層として、より高透過率・低抵抗の実現が望まれ、この透明導電層の高透過率化には、モスアイ構造が効果的であるものの、透明導電層にモスアイ構造を付与するには、材料が透明性と導電性を有し、透明導電層の構造には依存せずに作製できる技術が必要となる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、テクスチャ構造を持つ透明導電層の上に、透明導電性物質によりモスアイ構造を形成することで、光電変換層と透明導電層との界面の光反射を小さくできる太陽電池を提供することである。
本発明の太陽電池は、透明基材、第1の透明導電層、第2の透明導電層および光電変換層を光入射側からこの順に備え、前記第1の透明導電層はテクスチャ構造を有し、前記第2の透明導電層はモスアイ構造を有することを特徴とする。
本発明の太陽電池において、前記第2の透明導電層におけるモスアイ構造の凹凸形状の凸部が、高さ10〜300nmの範囲内、直径10〜100nmの範囲であることが好ましい。
本発明の太陽電池において、前記第2の透明導電層が酸化亜鉛を含むことが好ましく、この場合、前記第1の透明導電層が酸化錫を含むことがさらに好ましい。
本発明の太陽電池において、前記第1の透明導電層と前記第2の透明導電層との間に、前記第2の透明導電層と同じ材料で形成され、かつモスアイ構造を有さない第3の透明導電層が形成されていることが好ましい。
本発明はまた、透明基材、第1の透明導電層、第2の透明導電層および光電変換層を光入射側からこの順に備え、前記第1の透明導電層はテクスチャ構造を有し、前記第2の透明導電層はモスアイ構造を有する太陽電池を製造する方法であって、金属源とヘキサメチレンテトラミンを含む前駆体水溶液を50〜100℃にて保持することで、前記第2の透明導電層を析出させる工程を含む太陽電池の製造方法についても提供する。
本発明の太陽電池の製造方法において、前記第1の透明導電層を酸化錫で形成し、前記第2の透明導電層を酸化亜鉛で形成し、前記第2の透明導電層を形成後、100〜300℃の熱処理を施す工程を含むことが、好ましい。
本発明によれば、第1の透明導電層と光電変換層との間の屈折率を連続的に変化させることができ、屈折率の不連続界面を消失させることによって光の反射を防止することができる。これにより、光電変換層内へ侵入する光子の数を増加させることができ、高効率な太陽電池が提供される。
図1は、本発明の好ましい一例の太陽電池1を模式的に示す断面図である。本発明の太陽電池1は、図1に示されるように、透明基材2、第1の透明導電層3、第2の透明導電層4および光電変換層5を光入射側からこの順に備え、前記第1の透明導電層3はテクスチャ構造を有し、前記第2の透明導電層4はモスアイ構造を有することを特徴とする。このような構造にすることで、第1の透明導電層3と光電変換層5との間(第2の透明導電層、図1に示す例では第2の透明導電層4および第3の透明導電層6)の屈折率を連続的に変化させることができ、屈折率が不連続となる部分を消失させることによって光の反射を防止することができる。これにより、光電変換層内へ侵入する光子の数を増加させることができる。
本発明の太陽電池1における透明基材2としては、ポリイミド、ポリビニルなどの耐熱性を有する透光性樹脂、ガラス、またはこれらが積層されたものなどを適宜用いることができるが、光透過性が高く、太陽電池全体を構造的に支持し得るものであれば特に限定されない。
本発明の太陽電池1における第1の透明導電層3は、従来公知の適宜の透明導電性材料で形成されればよく、このような材料としては、たとえば酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムなどが挙げられるが、特に制限されるものではない。中でも、後述する100〜300℃の熱処理による高導電率化の観点から、第1の透明導電層3は酸化錫で形成されたものであることが好ましい。なお、第1の透明導電層3には、上述した透明導電性材料以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、たとえば酸化インジウムには、錫、フッ素など、酸化錫にはフッ素、アンチモンなど、酸化亜鉛にはインジウム、ガリウム、アルミニウム、ホウ素などの微量の不純物が添加されていてもよい。
本発明における第1の透明導電層3は、その平均厚みについては特に制限されないが、赤外光の吸収をできるだけ抑えつつ、導電性を確保する観点からは、100〜3000nmの範囲内であることが好ましく、500〜1500nmの範囲内であることがより好ましい。
本発明における第1の透明導電層3は、光散乱性をもたせるために、表面にテクスチャ構造を有する。この第1の透明導電層3は、スパッタリング法、常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法、減圧CVD法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、電子ビーム蒸着法、ゾルゲル法、電析法、スプレー法など、従来公知の適宜の方法で形成することができる。また、テクスチャ構造は、第1の透明導電層3の製膜時に形成されていることもあるが、第1の透明導電層3の製膜後に、ドライエッチングまたはウェットエッチングなど、従来公知の適宜の方法で形成することもできる。
本発明における第2の透明導電層4も、第1の透明導電層3について上述したような従来公知の適宜の透明導電性材料で形成されればよい。中でも、光電変換層5の形成時にCVD法により非晶質シリコンなどを製膜する際には、Hプラズマに曝されるため、耐Hプラズマ性に優れた、酸化亜鉛で形成されたものであることが好ましい。なお、第2の透明導電層4には、上述した第1の透明導電層3と同様に、本発明の効果を阻害しない範囲で、たとえば酸化インジウムには、錫、フッ素など、酸化錫にはフッ素、アンチモンなど、酸化亜鉛にはインジウム、ガリウム、アルミニウム、ホウ素などの微量の不純物が添加されていてもよい。
光電変換層5から電子を取り出すためには、モスアイ構造を備える第2の透明導電層4を形成する材料が導電性を示さなければならない。従来のモスアイ構造を形成する技術では、材料が絶縁体であることが一般的であったが、本発明では、透明導電性を有する材料(たとえば、上述した酸化亜鉛、酸化錫など)を用いてモスアイ構造を形成する。たとえば、酸化亜鉛は、化学溶液析出法により第1の透明導電層3または第3の透明導電層6(後述)上に円柱状の一次元ナノ構造体を有した結晶を析出させることができ、析出条件を制御することで、所望のモスアイ構造が得られる。これにより、導電性を損なうことなく、反射を防止することができる。
本発明における第2の透明導電層4は、モスアイ構造を備える。第2の透明導電層4のこのモスアイ構造は、凹凸形状の凸部の高さが10〜300nmの範囲内であることが好ましく、50〜200nmの範囲内であることがより好ましい。モスアイ構造の凸部の高さが10nm未満である場合には、モスアイ構造による反射防止の効果が得られにくい傾向にあるためであり、また、300nmを超える場合には、後方散乱による光損失が大きくなる傾向にあるためである。
また、モスアイ構造は、凹凸形状の凸部の直径(ここで、直径は、凸部の断面形状が丸状でない場合には、当該断面のあらゆる方向の長さのうち最大の長さを指すものとする。また、錐体状の場合は直径が最大の部分を指すものとする。)が10〜100nmの範囲内であることが好ましく、20〜80nmの範囲内であることがより好ましい。モスアイ構造の凸部の直径が10nm未満である場合には、光電変換層5をモスアイ構造の隙間に形成することが困難となる傾向にあるためであり、また、100nmを超える場合には、後方散乱による光損失が大きくなる傾向にあるためである。
なお、上述した第2の透明導電層4のモスアイ構造の凸部の高さおよび直径は、たとえば、電界放出型走査電子顕微鏡(XL30FEG)(PHILIPS社製)を用いて、観察された第2の透明導電層の断面および表面の画像から、観察時の倍率を用いて算出された値を指す。
このようなモスアイ構造を備える第2の透明導電層4の形成方法は特に制限されないが、化学溶液析出法が好適である。これは、後に析出させる結晶の原料を含む前駆体溶液中に、透明基材2上に第1の透明導電層3を形成した構造物、または、透明基材2上に第1の透明導電層3および第3の透明導電層6(後述)を形成した構造物を浸漬させ、温度などを変化させることで、第1の透明導電層3上または第3の透明導電層6上に結晶を析出させる方法である。この化学溶液析出法を利用することで、前駆体溶液の材料や濃度、温度などを制御することで様々な構造を有した結晶を析出させることができる。モスアイ構造となる円柱状または錐体状の構造もこの方法により形成できる。さらに、この化学溶液析出法により、第1の透明導電層3または第3の透明導電層6の形状に依存せずに、結晶を析出させることができ、テクスチャ構造をもつ第1の透明導電層3の上であっても、モスアイ構造を形成することが可能となる。これにより、テクスチャによる光散乱とモスアイによる反射防止を両立させ、太陽電池の特性を向上させることができる。
化学溶液析出法を用いたモスアイ構造を備える第2の透明導電層4の形成は、たとえば以下の手順で行なうことができる。まず、前駆体水溶液として、金属源(酢酸塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩など)とヘキサメチレンテトラミン(以下、「ヘキサミン」)を水に溶解させたものを準備する。次に、透明基材2上に第1の透明導電層3を形成した構造物、または、透明基材2上に第1の透明導電層3および第3の透明導電層6を形成した構造物を上述の前駆体水溶液中に浸漬させ、溶液の温度を50〜100℃に保持する。これにより、モスアイ構造を備える第2の透明導電層4が、第1の透明導電層3または第3の透明導電層6上に析出する。
本発明は、このように、透明基材2、第1の透明導電層3、第2の透明導電層4および光電変換層5を光入射側からこの順に備え、前記第1の透明導電層3はテクスチャ構造を有し、前記第2の透明導電層4はモスアイ構造を有する太陽電池1を製造する方法であって、金属源とヘキサメチレンテトラミンを含む前駆体水溶液を50〜100℃にて保持することで、前記第2の透明導電層4を析出させる工程を含む、太陽電池1の製造方法についても提供する。なお、前記構造物を浸漬後の前駆体水溶液の保持温度が50℃未満である場合には、第2の透明導電層4が析出しないという不具合があり、また、100℃を超える場合には、反応が速すぎて制御し難く、また、発生する気泡が第1の透明導電層3に付着し、第2の透明導電層4の均一な形成を阻害するという不具合がある。これらの理由から、前記構造物を浸漬後の前駆体水溶液の保持温度は50〜100℃の範囲内であることが好ましく、60〜85℃の範囲内であることがより好ましい。このような第2の透明導電層4の形成は、従来公知の適宜の装置・設備を用いることで行なうことができ、たとえばマントルヒーター(大科電器(株)製)などの市販品を好適に用いることができる。
このような本発明の太陽電池の製造方法において、上述のように前記第1の透明導電層3を酸化錫で形成し、前記第2の透明導電層4を酸化亜鉛で形成した場合、第2の透明導電層4を形成後、100〜300℃の熱処理を施すことが好ましい。このような熱処理を施すことで、導電率が向上された第1の透明導電層および第2の透明導電層を製造することができ、これにより、光損失だけでなく、電気損失も抑えることができ、さらに特性が向上された太陽電池を製造することが可能となる。なお、熱処理温度が100℃未満である場合には、導電率は向上しない傾向にあり、また、300℃を超える場合には、導電率は低下してしまう傾向にある。これらの理由から、第2の透明導電層4を形成後の熱処理温度は100〜300℃の範囲内であることが好ましく、200〜280℃の範囲内であることがより好ましい。このような熱処理も従来公知の適宜の装置・設備を用いることで行なうことができ、たとえば恒温乾燥器(DR−22)(ヤマト科学(株)製)などの市販品を好適に用いることができる。
本発明の太陽電池1では、上述したモスアイ構造を備える第2の透明導電層4上に、光電変換層5が形成される。光電変換層5の材料としては、たとえばシリコン系材料(アモルファス、微結晶、多結晶)やCIGS系材料、II−VI族系材料、色素増感金属酸化物材料などを用いることができる。
本発明において、光電変換層5の形成方法は特に制限されるものではなく、従来公知の方法を必要に応じて適宜組み合わせて形成することができる。たとえば、非晶質シリコンの場合、プラズマCVD装置(ACV-T440L型)(神港精機(株)製)などの市販品を用いて、以下の条件で光電変換層5を形成する場合が例示される。
(p層(10nm))
・原料ガスおよび原料ガス流量;SiH4:6sccm、CH4:10sccm、H2:22sccm、H2(B2H6を0.1%含む):18sccm
・圧力:30Pa
・基板温度:180℃
・電極間距離:40mm
・電力:70W
(i層(300nm))
・原料ガスおよび原料ガス流量;SiH4:20sccm、H2:50sccm
・圧力:30Pa
・基板温度:200℃
・電極間距離:45mm
・電力:35W
(n層(20nm))
・原料ガスおよび原料ガス流量;SiH4:20sccm、H2:25sccm、H2(PH3を0.2%含む):25sccm
・圧力:30Pa
・基板温度:200℃
・電極間距離:45mm
・電力:35W
また、本発明の太陽電池1は、図1に示す例のように、第1の透明導電層3と第2の透明導電層4との間に、第2の透明導電層4と同じ材料で形成され、かつモスアイ構造を有さない第3の透明導電層6が形成されていてもよい。このような第3の透明導電層6をさらに備えることで、第2の透明導電層4のモスアイ構造がより緻密かつ均質な構造となり、その反射防止効果を大きくすることができる。
(p層(10nm))
・原料ガスおよび原料ガス流量;SiH4:6sccm、CH4:10sccm、H2:22sccm、H2(B2H6を0.1%含む):18sccm
・圧力:30Pa
・基板温度:180℃
・電極間距離:40mm
・電力:70W
(i層(300nm))
・原料ガスおよび原料ガス流量;SiH4:20sccm、H2:50sccm
・圧力:30Pa
・基板温度:200℃
・電極間距離:45mm
・電力:35W
(n層(20nm))
・原料ガスおよび原料ガス流量;SiH4:20sccm、H2:25sccm、H2(PH3を0.2%含む):25sccm
・圧力:30Pa
・基板温度:200℃
・電極間距離:45mm
・電力:35W
また、本発明の太陽電池1は、図1に示す例のように、第1の透明導電層3と第2の透明導電層4との間に、第2の透明導電層4と同じ材料で形成され、かつモスアイ構造を有さない第3の透明導電層6が形成されていてもよい。このような第3の透明導電層6をさらに備えることで、第2の透明導電層4のモスアイ構造がより緻密かつ均質な構造となり、その反射防止効果を大きくすることができる。
本発明における第3の透明導電層6は、その平均厚みについては特に制限されないが、赤外光の吸収をできるだけ抑え、なおかつ、後に形成する第2の透明導電層4を緻密で均一な構造とするために、10〜2000nmの範囲内であることが好ましく、20〜100nmの範囲内であることがより好ましい。
この第3の透明導電層6の形成方法についても特に制限されるものではなく、従来公知の方法を必要に応じて適宜組み合わせて、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、パルスレーザ蒸着法、ゾル−ゲル法、CVD法などで形成することができる。たとえば、スパッタ法の場合、スパッタリング装置(ヒラノ光音(株)製)などの市販品を用いて、以下の条件で第1の透明導電層3上に第3の透明導電層6を形成する場合が例示される。
(スパッタ条件)
・ターゲット:ZnO
・スパッタガス:Ar
・ガス圧力:4.0mTorr
・投入電力:1.5kW
以下、実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(スパッタ条件)
・ターゲット:ZnO
・スパッタガス:Ar
・ガス圧力:4.0mTorr
・投入電力:1.5kW
以下、実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実験例1>
まず、ガラス基板(透明基材2)上に、テクスチャ構造を備え、フッ素を不純物として含むSnO2で形成された透明導電層(第1の透明導電層3)が形成された基体(Asahi−U:旭硝子(株)製)を準備する。図2は、形成された第1の透明導電層3のテクスチャ構造を備える表面のSEM写真(80000倍)である。次に、スパッタリング装置(ヒラノ光音(株)製)を用いて上述した条件で3分間製膜し、第1の透明導電層3上に、ZnOで厚み50nmの透明導電層(第3の透明導電層6)を形成した。
まず、ガラス基板(透明基材2)上に、テクスチャ構造を備え、フッ素を不純物として含むSnO2で形成された透明導電層(第1の透明導電層3)が形成された基体(Asahi−U:旭硝子(株)製)を準備する。図2は、形成された第1の透明導電層3のテクスチャ構造を備える表面のSEM写真(80000倍)である。次に、スパッタリング装置(ヒラノ光音(株)製)を用いて上述した条件で3分間製膜し、第1の透明導電層3上に、ZnOで厚み50nmの透明導電層(第3の透明導電層6)を形成した。
0.025mol/Lの硝酸亜鉛、0.025mol/Lのヘキサミンを含む前駆体水溶液を調製し、この前駆体水溶液に、上述のようにして形成した透明基材2上に第1の透明導電層3および第3の透明導電層6が形成された構造物を浸漬した。前駆体水溶液の温度を80℃にて30分間保持することで、凸部の高さが30〜150nmの範囲内であり、直径が15〜80nmの範囲内である円柱状の酸化亜鉛結晶が析出した。このようにして、第3の透明導電層6上に、モスアイ構造を備える第2の透明導電層4が形成された。図3は、形成された第2の透明導電層4のモスアイ構造を備える表面のSEM写真(80000倍)である。
ここで、図4は、本発明により作製した第2の透明導電層による透明導電層の透過率向上を示したグラフであり、縦軸は透過率(%)、横軸は波長(nm)である。図4は、分光光度計(UV−3150)((株)島津製作所製)を用いて300〜1100nmの範囲の波長での透過率の測定結果を示しており、グラフ中、実線が第2の透明導電層4を形成後のサンプル(glass/SnO2/モスアイZnO)についての結果、破線が参照用としての第2の透明導電層4を形成する前のサンプル(glass/SnO2)についての結果をそれぞれ示している。なお、参照用のサンプルは、上述した第3の透明導電層6も形成していない。図4から、モスアイ構造を備える第2の透明導電層4を形成することで、可視光域(400〜1000nm)での透過率が最大で8.5%増加していることが分かる。
また、ヘーズメーター(NDH5000)(日本電色工業(株)製)を用いて上述のサンプルについてヘイズ率を測定したところ、第2の透明導電層4を形成前の構造物では16.6%、第2の透明導電層4を形成後の構造物では16.7%であった。すなわち、第2の透明導電層4を形成しても、光散乱性を殆ど変化させずに、透過率を向上させることができた。
また、第2の透明導電層4を形成する前のサンプル(glass/SnO2)(当該サンプルには上述した第3の透明導電層6は形成していない)および第2の透明導電層4を形成後のサンプル(glass/SnO2/モスアイZnO)に加え、さらに第2の透明導電層4を形成後に260℃で90分間熱処理を行なったサンプル(glass/SnO2/モスアイZnO(熱処理:260℃、90分)について、シート抵抗測定装置(RT−8A/RG−8)(ナプソン(株)製)を用いてシート抵抗(Ω/□)を測定した。結果を表1に示す。表1から分かるように、第2の透明導電層4を形成しても、シート抵抗は殆ど増加せず、また、上述したような熱処理を行なうことで、抵抗が低下し、導電率を向上させることができることが分かる。
第2の透明導電層4上に、アモルファスシリコンで光電変換層5を形成し、さらに酸化亜鉛(ZnO)および銀(Ag)を用いて裏面電極(図示せず)を形成し、本発明の太陽電池のサンプルを得た。一方、第2の透明導電層4を形成せずに、第1の透明導電層3上に、上述と同様に光電変換層5および裏面電極を形成したサンプルを得た。
各サンプルについて、透明基材2側から光を入射し、薄膜層評価装置((株)マキ製作所製)を用いて全反射率を測定した結果を図5に示す。図5において、縦軸は全反射率(%)、横軸は波長(nm)であり、グラフ中、実線が第2の透明導電層4を形成後した場合のサンプル(glass/SnO2/モスアイZnO/a−Si/ZnO/Ag)についての結果、破線が参照用としての第2の透明導電層4を形成する前のサンプル(glass/SnO2/a−Si/ZnO/Ag)についての結果をそれぞれ示している。なお、参照用のサンプルは、上述した第3の透明導電層6は形成していない。図5から分かるように、モスアイ構造を備える第2の透明導電層4を形成することで、可視光域において反射率が低減されており、より多くの光子を光発電層に吸収させることができることが分かる。
今回開示された実施の形態および実験例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 太陽電池、2 透明基材、3 第1の透明導電層、4 第2の透明導電層、5 光電変換層、6 第3の透明導電層。
Claims (7)
- 透明基材、第1の透明導電層、第2の透明導電層および光電変換層を光入射側からこの順に備え、前記第1の透明導電層はテクスチャ構造を有し、前記第2の透明導電層はモスアイ構造を有する、太陽電池。
- 前記第2の透明導電層におけるモスアイ構造の凹凸形状の凸部が、高さ10〜300nmの範囲内、直径10〜100nmの範囲である、請求項1に記載の太陽電池。
- 前記第2の透明導電層は酸化亜鉛を含む、請求項1または2に記載の太陽電池。
- 前記第1の透明導電層は酸化錫を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池。
- 前記第1の透明導電層と前記第2の透明導電層との間に、前記第2の透明導電層と同じ材料で形成され、かつモスアイ構造を有さない第3の透明導電層が形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池。
- 透明基材、第1の透明導電層、第2の透明導電層および光電変換層を光入射側からこの順に備え、前記第1の透明導電層はテクスチャ構造を有し、前記第2の透明導電層はモスアイ構造を有する太陽電池を製造する方法であって、
金属源とヘキサメチレンテトラミンを含む前駆体水溶液を50〜100℃にて保持することで、前記第2の透明導電層を析出させる工程を含む、太陽電池の製造方法。 - 前記第1の透明導電層を酸化錫で形成し、前記第2の透明導電層を酸化亜鉛で形成し、前記第2の透明導電層を形成後、100〜300℃の熱処理を施す工程を含む、請求項6に記載の太陽電池の製造方法。
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