JP2012174735A - 薄膜太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】所定のナノ粒子を用いて凹凸層の屈折率を制御することにより光電変換ユニットに取り込まれる光の量を増やすこと。
【解決手段】
基材上に凹凸層、透明電極層、少なくとも1つ以上の光電変換ユニット、裏面電極をこの順に有する薄膜太陽電池であって、前記凹凸層は、亜鉛・ニオブ・チタン・ジルコニウム・アルミニウム・セリウム・イットリウムの中から選ばれる少なくとも1種類の金属酸化物のナノ粒子およびマトリクス材料を有することを特徴とする薄膜太陽電池。
【選択図】図2
【解決手段】
基材上に凹凸層、透明電極層、少なくとも1つ以上の光電変換ユニット、裏面電極をこの順に有する薄膜太陽電池であって、前記凹凸層は、亜鉛・ニオブ・チタン・ジルコニウム・アルミニウム・セリウム・イットリウムの中から選ばれる少なくとも1種類の金属酸化物のナノ粒子およびマトリクス材料を有することを特徴とする薄膜太陽電池。
【選択図】図2
Description
本発明は、主として非単結晶シリコン系などの薄膜太陽電池の透明電極において、高い光取り込み効率または光取り出し効率を可能とするものである。
非単結晶シリコン系を代表とする薄膜太陽電池は、透明基板上に形成された透明電極層上に、光電変換層となる半導体シリコン層が形成されているものであり、光電変換効率を向上させるための研究が精力的に行われている。光電変換効率を向上させるための一つの方策として、「光閉じ込め効率の向上」が挙げられる。光閉じ込め効率は、透明基板より入射した光が透明電極層または光電変換層内で拡散され、光路長を長くするために、基板/透明電極層や、透明電極層/光電変換層の界面において、各層の屈折率差に起因して基板に対して垂直に入射した光も屈折する。この光の屈折により光電変換ユニットを通る光の進行距離は膜厚方向よりも長くなる。これにより「見かけ上の膜厚」が増加することになり、結果として短絡電流を大きくすることができる。
上記の手段の一つとして、透明基板上に凹凸形状を有する凹凸層を設ける手法が知られている。特許文献1には、薄膜太陽電池の裏面電極側に、金属酸化物やシリコン酸化物などからなる透光性導電膜に、金属酸化物材料などからなる散乱体を添加して凹凸形状を形成し、光散乱効果を高める旨が記載されている。
しかしながら、上記のような透光性導電膜を用いる技術は裏面電極側には有効であるが、以下に示すように吸収等の観点から光入射側に用いることは困難であると考えられる。すなわち上記透光性導電膜として用いられる金属酸化物やシリコン酸化物などは、長波長側には「自由電子に由来する反射・吸収」、短波長側には「バンド間の励起子吸収」が存在し、いずれも透過率を低下させる。このため、例えば凹凸層を形成しうるような厚みの透光性導電膜を、光入射側の透明電極層として形成した場合、この透明電極層自体への光の吸収があるため、使用し難いと考えられる。
ここで入射した光は一番初めに到達する光入射側の透明基板〜透明電極層間で最も光量が高いため、光入射側に凹凸形状を設けることは極めて重要である。このため、光入射側に凹凸層を形成して光閉じ込め効率を高める研究が精力的に行われている。
例えば特許文献2では、酸化ケイ素を主成分とし、屈折率が1.4〜1.5程度のゾルゲル材料を薄膜太陽電池の光入射側の凹凸層として用いている。これは後述するように、光学的なロスがほとんどない状態で光を取り込めるためと考えられる。
しかしながらゾルゲル材料のみによって凹凸層を形成した場合、凹凸層が透明基板よりも低い屈折率となり、光学的には不利となる。すなわち透明基板と凹凸層との界面で反射が起こり、さらに大きな屈折率差が生じる凹凸層と透明電極層との界面で大きな反射が起こるため、光電変換層に導入される光が少なくなることが想定される。
しかしながらゾルゲル材料のみによって凹凸層を形成した場合、凹凸層が透明基板よりも低い屈折率となり、光学的には不利となる。すなわち透明基板と凹凸層との界面で反射が起こり、さらに大きな屈折率差が生じる凹凸層と透明電極層との界面で大きな反射が起こるため、光電変換層に導入される光が少なくなることが想定される。
このため、特許文献2には、凹凸層の屈折率を調整する為に、ケイ素やチタンなどの金属酸化物を添加する技術が記載されており、このような金属酸化物は、空気中でケイ素やチタンのカップリング剤を反応させることにより形成している。
しかしながら、特許文献2では、特にチタンのカップリング剤を用いる場合、酸化が十分に起こらずにチタンが低酸化状態になりやすく、チタンに由来する電子移動遷移による吸収が発生するため光学的に不利になりやすいことが懸念される。特にプラズマ等で処理する場合には、表面のみが酸化され、内部にある低酸化状態のチタンを処理できずに、吸収ロスが懸念される。また充分に酸化させるためには1000℃近くの高温にする必要があるため基板の種類が限定されてしまい、一般的に使用されるガラスが使用できないためコスト的に不利となる。
以上のことに鑑み、本発明は、薄膜太陽電池の光入射側の透明基板と透明電極層間に、金属酸化物のナノ粒子を用いて凹凸層を設けることで、基板〜透明電極における光の反射を低減し、太陽電池特性の向上が可能となる薄膜太陽電池を提供することを目的としている。
上記課題を解決する為に、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、所定の凹凸層を用いることで、太陽電池特性を向上することが可能であることを見出した。すなわち、本発明は以下に関する。
(1)基材上に凹凸層、透明電極層、少なくとも1つ以上の光電変換ユニット、裏面電極をこの順に有する薄膜太陽電池であって、
前記凹凸層は、亜鉛・ニオブ・チタン・ジルコニウム・アルミニウム・セリウム・イットリウムの中から選ばれる少なくとも1種類の金属酸化物のナノ粒子およびマトリクス材料を有することを特徴とする薄膜太陽電池。
(2)上記凹凸層は、ゾルゲル材料により形成されるマトリクス材料を有することを特徴とする(1)に記載の薄膜太陽電池。
(3)上記凹凸層は、屈折率が1.55〜2.25の範囲であることを特徴とする(1)〜(2)のいずれかに記載の薄膜太陽電池。
(4)上記ナノ粒子は、粒径が10〜60nmの範囲であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の薄膜太陽電池。
(5)上記光電変換ユニットは、非単結晶シリコン層を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の薄膜太陽電池。
前記凹凸層は、亜鉛・ニオブ・チタン・ジルコニウム・アルミニウム・セリウム・イットリウムの中から選ばれる少なくとも1種類の金属酸化物のナノ粒子およびマトリクス材料を有することを特徴とする薄膜太陽電池。
(2)上記凹凸層は、ゾルゲル材料により形成されるマトリクス材料を有することを特徴とする(1)に記載の薄膜太陽電池。
(3)上記凹凸層は、屈折率が1.55〜2.25の範囲であることを特徴とする(1)〜(2)のいずれかに記載の薄膜太陽電池。
(4)上記ナノ粒子は、粒径が10〜60nmの範囲であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の薄膜太陽電池。
(5)上記光電変換ユニットは、非単結晶シリコン層を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の薄膜太陽電池。
本発明の凹凸層を薄膜太陽電池の光入射側に用いることにより、透明基板から透明電極層にかけて起こる各界面での光の反射を抑制することができ、光電変換ユニットに多くの光を取り込むことが可能となり、結果として太陽電池特性を向上させることができる。
本発明は、「基材上に凹凸層、透明電極層、少なくとも1つ以上の光電変換ユニット、裏面電極をこの順に有する薄膜太陽電池であって、前記凹凸層は、亜鉛・ニオブ・チタン・ジルコニウム・アルミニウム・セリウム・イットリウムの中から選ばれる少なくとも1種類の金属酸化物のナノ粒子およびマトリクス材料を有することを特徴とする薄膜太陽電池。」に関するものである。
図1に、本発明の薄膜太陽電池の代表的な模式図を示す。
図1における薄膜太陽電池は、透明基板1上に、透明電極層3、光電変換ユニット4、裏面電極5がこの順に形成されているものであり、本発明の凹凸層2は透明基板と透明電極層の間に設けられるものである。
上記透明基板1については、公知の透明材料を用いることができる。その中でもガラス、サファイヤなどを用いることが好ましい。ガラスの具体例としては、アルカリガラスやホウ珪酸ガラス、無アルカリガラスなどがあげられる。
ガラスあるいはサファイヤを用いた透明基板の厚みは使用目的により任意に選択することができるが、取り扱いと重量のバランスを加味して、0.5mm〜10.0mmが好ましい範囲として例示できる。薄すぎると強度が不足するために、衝撃により割れやすい。また厚すぎると重量が重くなることと、機器の厚みに影響を及ぼすことから、ポータブル機器への利用は困難となる上、透明性とコストの面からも好ましくない。
上記透明基板1に凹凸層2を形成する方法としては、特に限定されないが、インプリント技術がもっとも簡便でパターニングの再現性が高い方法として使用できる。インプリント技術は、所望するパターンの反転パターンをモールドに作製し、モールドのパターンを基板に転写することで基板上にパターンを形成する方法であり、モールドのパターンをナノメートルレベルの微細にすることで、ナノ凹凸構造の形成が可能である。また透明基板とモールドの温度を設定することで、透明基板として熱可塑性樹脂などの低融点材料やガラスなどの高融点材料を用いた場合にも凹凸構造を形成することができる。
モールドの材質は、特に限定されないが、熱による劣化や変形が少なく、複数回のインプリントに耐えられる材質のものが好ましく、例えばシリコンやニッケル、モリブデンなどの金属材料も使用可能である。光で硬化する場合には石英製のモールドを使用することで対応することが可能となる。モールドとしては例えば、単結晶シリコン基板をアルカリ処理して該基板に微細凹凸を作ることにより作製することが出来る。モールドには公知の離型剤を用いて表面処理することで、パターン形成時のバリ不良が低減し、凹凸構造を精度よく転写可能であり、また複数回使用時のモールドの耐久性が向上する。
上記モールドには、一般的な凹凸構造を有するものを使用することができ、例えばピラミッド型や逆ピラミッド型、円柱型やライン&スペース型などがあるが、本発明においてはいずれの形状でも使用できる。
本発明における凹凸層2は、ナノ粒子2−1とマトリクス材料2−2を有する。凹凸層2の屈折率は、500nmの波長で測定される値として1.55〜2.25が好ましく、1.60〜2.05の範囲にあることがより好ましい。
上記マトリクス材料2−2としては、ゾルゲル材料を用いることが好ましい。この理由としては、透明なゾルゲル材料を光入射側に用いることで光学的なロスがほとんどない状態で光を取り込めることである。ここで上記ゾルゲル材料は導電性を持たない、すなわち絶縁性の材料であるため、裏面電極側(すなわち光電変換層〜裏面電極の間)に設けた場合、直列抵抗が大幅に上昇してしまう。従って光電変換層で生成した導電性キャリアは全て熱として消費され、電気として取り出せなくなるため、ゾルゲル材料を裏面電極側に用いることは困難である。
一方、本発明のように光入射側の凹凸層としてゾルゲル材料を用いる場合、凹凸層が絶縁であっても、光誘起キャリアを取り出すことができるため好ましい。またゾルゲル材料は凹凸形状の設計自由度が高いため、光電変換層の材料やバンドギャップに適した凹凸形状の設計・実現が可能となり、さらにナノ粒子が分散しやすくなるため好ましい。
上記ゾルゲル材料としては、耐熱性と広い波長領域での透明性の観点から無機材料を用いることが好ましい。中でも、酸化アルミニウム・酸化マグネシウム・酸化珪素・酸化チタンの中から1種類以上選択した材料を有することがより好ましい。これらの材料を凹凸層に使用することで、光線透過率の高い透明電極付き基板を作製することができる。特に、ナノ粒子との相溶性を考えると酸化珪素を用いることが好ましい。
本発明におけるマトリクス材料の屈折率は、1.35〜1.55であることが好ましく、1.40〜1.50であることがより好ましい。
本発明において、凹凸層2に含まれるナノ粒子2−1は、亜鉛・ニオブ・チタン・ジルコニウム・アルミニウム・セリウム・イットリウムの中から選ばれる少なくとも1種類の金属酸化物のナノ粒子であることを特徴とする。上記金属酸化物のナノ粒子を用いることで、凹凸層中に分散しやすく、凹凸層を形成した時の屈折率の制御が可能となる。また上記金属酸化物は高屈折で透明であるため、最低限の添加量で最適の屈折率を制御することができ、光学特性の向上とそれに伴う太陽電池特性の向上が期待できる。
中でも、透明性や生産性の観点から、亜鉛・ニオブ・チタン・ジルコニウム・アルミニウムが好ましい。この場合、凹凸層付き基板の透過率が向上し、その結果、薄膜太陽電池の短絡電流の向上が期待できる。また上記ナノ粒子を用いることにより、カップリング剤を使用する特許文献2のものと比べて、凹凸層の透明性を上げることができる。これは、カップリング剤に必ず含まれる有機官能基が存在しない為、可視光領域でのCT遷移に由来する吸収がないためと考えられる。
中でも、透明性や生産性の観点から、亜鉛・ニオブ・チタン・ジルコニウム・アルミニウムが好ましい。この場合、凹凸層付き基板の透過率が向上し、その結果、薄膜太陽電池の短絡電流の向上が期待できる。また上記ナノ粒子を用いることにより、カップリング剤を使用する特許文献2のものと比べて、凹凸層の透明性を上げることができる。これは、カップリング剤に必ず含まれる有機官能基が存在しない為、可視光領域でのCT遷移に由来する吸収がないためと考えられる。
ナノ粒子の屈折率は、バルク換算で、550nmの波長において1.60〜2.50であることが好ましい。ナノ粒子に上記の屈折率の材料を用いることで、凹凸層2の屈折率を1.55〜2.25の範囲にすることができる。この範囲の屈折率とすることで、透明基板〜透明電極層の各界面での光の反射を抑制することができ、より多くの光を透過させることができる。
ここで、より多くの光を透過させるためには、ナノ粒子はマトリクス材料に混練・分散する必要がある。マトリクス材料として例えば酸化珪素を用いる場合には、凹凸層形成前の原料にナノ粒子を混ぜることで、塗布液を作製することができる。
酸化珪素の原料としては、例えばポリジメチルシロキサンがあり、これは極性のある化合物であり、酸化物のナノ粒子を良好に分散させることができる為好ましく用いられる。マトリクス材料として、酸化珪素以外のものを用いた場合にも同様にして塗布液を作製することができる。
酸化珪素の原料としては、例えばポリジメチルシロキサンがあり、これは極性のある化合物であり、酸化物のナノ粒子を良好に分散させることができる為好ましく用いられる。マトリクス材料として、酸化珪素以外のものを用いた場合にも同様にして塗布液を作製することができる。
ナノ粒子の添加量は、マトリクス材料(上記ではポリジメチルシロキサン)100重量部に対して50〜200重量部が好ましく、さらには75〜150重量部、特には80〜120重量部が好ましい。この範囲で混合することで、加工性と光学特性を両立することが可能となる。
ナノ粒子の粒径は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)などで知ることができるが、10〜60nmが好ましく、さらには20〜50nmが好ましい。この範囲とすることで、凹凸層中に均一に分散した時に、良好な光学特性を得ることが可能となる。
さらにナノ粒子の形状は、特に限定されず、球形であっても多角体であってもよく、上記粒径の範囲に入っていれば、良好な凹凸層を形成することができる。ここで言う粒径とは、最も長い径(Lmax)と最も短い径(Lmin)の平均((Lmax+Lmin)/2)のことを示す。なお、本発明における凹凸層2としては、本発明の機能を損なわない限り、上記ナノ粒子2−1とマトリクス材料2−2以外の別の材料を含有していても良い。
さらにナノ粒子の形状は、特に限定されず、球形であっても多角体であってもよく、上記粒径の範囲に入っていれば、良好な凹凸層を形成することができる。ここで言う粒径とは、最も長い径(Lmax)と最も短い径(Lmin)の平均((Lmax+Lmin)/2)のことを示す。なお、本発明における凹凸層2としては、本発明の機能を損なわない限り、上記ナノ粒子2−1とマトリクス材料2−2以外の別の材料を含有していても良い。
基板1と透明電極層3の間に、上記の屈折率を有する凹凸層2を設けることで、基板1/凹凸層2、および凹凸層2/透明電極層3の各界面で、光の反射を抑制することが可能となる。さらに凹凸形状が存在することで、界面での光の全反射を抑制することができるため、結果として光線透過率の向上が可能となる。屈折率の測定は特に限定はないが、例えば分光エリプソメーターを用いて測定することが出来る。
ここでの入射角とは、反射面(基板面)に垂直な線分と入射光に平行な線分とがなす角度である。さらに、凹凸層の屈折率を基板と透明電極層の中間的な値とすることで、それぞれの界面での反射ロスを抑制し、多くの光をデバイス特性に活用することが可能となる。
凹凸層2を基板1上に形成する方法としては、例えば塗布などが挙げられ、塗布はスピンコートやディッピング、ロールコート、スプレーコートなど任意の手法で塗布が可能である。このとき、無溶媒で塗布することが好ましいが、溶媒を用いる場合には高級アルコールなどの室温での揮発性が低いものなどを好ましく用いることができる。これにより、塗布液を塗布した直後の乾燥を防ぐことができ、さらに凹凸形状加工後の加熱によって充分に溶媒を除去することができる。
塗布後は溶媒を除去する為の予備加熱を、溶媒の沸点±20℃で行うことが好ましい。温度が高すぎるとマトリクス材料の酸化・硬化が促進してしまい、インプリントできなくなる為好ましくない。一方温度が低いと溶媒の除去ができずに、インプリント後に流れやすくなり、パターンの消滅の原因となるため好ましくない。
上記のような塗布液を基板上に塗布した後、その上にモールドをのせて、上述したように加熱・転写することにより、凹凸層2を形成することができる。インプリント後は大気中で200℃〜500℃で焼成することができる。このように焼成を行うことにより、凹凸層の硬化と溶媒の除去を充分に行うことが可能となる。
上記のように形成した凹凸層2は、Ra(算術平均粗さ)が100nm以上250nm以下であることが好ましく、105以上200nm以下がより好ましい。この範囲とすることで透明電極付き基板の透過率の向上が期待できる。またこれを用いた薄膜太陽電池では、光電変換ユニットへの光の取り込み量が多くなることが期待される。
凹凸層2は、Rmax(最大高低差)が700nm以上1300nm以下であることが好ましく、さらには750nm以上1200nm以下がより好ましい。この範囲とすることで、薄膜太陽電池に用いた時に、正極と負極の接触(短絡)の抑制が期待される。
また単位面積当たりの頂点の数を表す指標としてSdsがあるが、本発明における凹凸層2のSdsは、3.5μm−2以上14.5μm−2以下が好ましく、5.0μm−2以上10.0μm−2以下がより好ましい。この範囲とすることで、透明電極付き基板の透過率の向上が期待できる。またこれを用いた薄膜太陽電池では、光電変換ユニットへの光の取り込み量が多くなることが期待できる。
これら凹凸を表す指標は、例えばAFMなどにより測定することが出来る。Ra、Rmaxについては、SEM等の断面画像を座標化して計算することでも算出することができ、これらの値はAFMでの測定結果と概ね一致するものである。
ここで、本発明における凹凸層2の形状は、特に限定されるものではなく、例えばランダム構造や、周期的構造などの形状が好ましい。このような構造は、上述したナノインプリント法により形成する場合、モールドの形状を設計することにより容易に形成することができる。なかでもランダム構造は、幅広い波長の光に対して均等に散乱を起こすことにより、光電変換特性を向上させることができるため、好ましい。
凹凸層の膜厚は、凹凸形状を維持できる膜厚(凹凸形状の最高点と最低点の差)より大きいことが好ましく、さらに光学的な観点から0.5〜5.0ミクロン程度が好ましく、さらには0.6〜2.5ミクロンが好ましい。この範囲の膜厚とすることで、膜厚が薄すぎることによって凹凸形状が形成できないという欠点を解消し、さらに厚すぎることによる光の吸収ロスを抑制することができる。ここで、凹凸層の膜厚とは、凹凸形状の頂点部と、基板/凹凸層の界面の距離をいう。
凹凸層2上に設けられる透明電極層3は、350〜1500nmの波長領域において高い透明性を示し、且つ導電性のものであれば制限なく使用可能であるが、例えば太陽電池や有機ELデバイスとして用いた場合、これらの作製時にかかる熱履歴の観点から、酸化物を用いることが好ましく、特には酸化亜鉛を主成分とする透明導電性酸化物や、酸化インジウム、インジウム−錫複合酸化物、インジウム−モリブデン複合酸化物、インジウム−チタン複合酸化物などが使用できる。ここで「酸化亜鉛を主成分とする」とは、透明電極層3に酸化亜鉛を50%より多く含むことを意味し、好ましくは70%以上含む。これらの酸化物を100〜2000nmの膜厚で製膜することにより透明電極層3を形成できる。この範囲の膜厚とすることで、導電性と透明性に優れた透明導電層を形成することができる。
透明電極層3の形成方法としては、導電性の観点から気相堆積法が好ましい。気相堆積法には大きく分けて「化学的気相堆積法(CVD)」と「物理的気相堆積法(PVD)」があり、どちらの手法を用いても構わない。具体的にはCVDであれば、気化した有機金属化合物と水や酸素との反応による有機金属CVD(MOCVD)やプラズマCVDがある。PVDであれば、透明電極材料をアルゴンイオンでスパッタするマグネトロンスパッタリングやパルスレーザー堆積や反応性イオン蒸着などがあるが、生産性の観点からマグネトロンスパッタリングが好ましい。
また、透明電極層3として、結晶性や配向性が異なる複数の層を積層することで、凹凸層2上にさらに微細な凹凸を形成してもよい。デバイス設計に拠るが、これにより凹凸層2のみよりもさらに広い波長領域において光学特性の向上が予想される。
上記のように、基板1上に、凹凸層、透明導電層3を形成することにより、本発明における透明電極付き基板を形成することができる。
本発明の透明電極付き基板は、少なくとも1つ以上の光電変換ユニット、裏面電極をこの順に有する薄膜太陽電池の光入射側の透明電極層として用いることを特徴とする。
上記光電変換ユニットは、結晶シリコン層を有することが好ましい。具体的には、透明電極層上に、非晶質および/または結晶質のシリコン半導体が積層されたアモルファスシリコン太陽電池や薄膜多結晶シリコン太陽電池、またはその両者を直列接続したような多接合型太陽電池に適用すると、基板から光電変換層に向けて屈折率が順次に高くなるため、反射ロスが少なくなり効果的に光を発電層に取り込むことができる。
上記光電変換ユニットは、結晶シリコン層を有することが好ましい。具体的には、透明電極層上に、非晶質および/または結晶質のシリコン半導体が積層されたアモルファスシリコン太陽電池や薄膜多結晶シリコン太陽電池、またはその両者を直列接続したような多接合型太陽電池に適用すると、基板から光電変換層に向けて屈折率が順次に高くなるため、反射ロスが少なくなり効果的に光を発電層に取り込むことができる。
光電変換ユニット4は、例えば1ユニットがp−i−n接合からなるシリコン半導体積層構造体を少なくとも1つ配置して構成することができる。用いられるシリコンの構造は多結晶構造や非晶質構造のものが用いることができ、p/i/nで結晶構造が異なっても構わない。なお、非晶質あるいは結晶質のシリコン系材料としては、半導体を構成する主要元素としてシリコンのみを用いる場合だけでなく、炭素、酸素、窒素、ゲルマニウムなどの元素をも含む合金材料であってもよい。
各々の半導体層は、プラズマCVD法により好適に作製することができる。プラズマCVD法とは、シランガスをシリコン材料と用い、プラズマエネルギーを利用してシリコンを形成する方法であり、p型層やn型層の製膜には、それぞれジボランやホスフィンなどのガスを適量添加することで可能となる。
さらに、上記光電変換ユニットを複数積み重ねることで発電性能を向上させることができる。光電変換ユニットを複数ユニット積層する場合、光入射側から順にバンドギャップが広い光電変換ユニットを設けると入射光が有効に利用できるので性能向上が期待できる。
例えば薄膜シリコン太陽電池の場合には、ワイドバンドギャップの第1の光電変換ユニット4−1を光入射側に配置し、その上にナローバンドギャップの第2の光電変換ユニット4−3を配置すればよい。この場合、第1の光電変換ユニット4−1として非晶質シリコンからなる光電変換ユニットを、第2の光電変換ユニット4−3として微結晶シリコンからなる光電変換ユニットを配置することができる。上記第1の光電変換ユニット4−1や第2の光電変換ユニット4−3以外に、さらに1つ以上の光電変換ユニットを配置してもかまわない。
これら複数の光電変換ユニット間には、透明導電性中間層4−2を形成し、光の反射と透過を選択的に行う層を設けることができる。これにより、上記の例では第1の光電変換ユニット4−1に取り込まれる光をより多くすることができ、さらに透過した光で第2の光電変換ユニット4−3の発電に寄与することができる。
透明電極層3と光電変換ユニット4の間には、電気的なコンタクトの改善を目的とした層を設けることができる。この層としては、光電変換ユニットよりもバンドギャップの広い半導体層を用いると、透明電極層と光電変換層の界面付近での電子−正孔の再結合を抑制できる。その結果、光電変換層で生成した電子−正孔を電極に効率よく取り出すことが可能となり、結果として変換効率を向上することが可能となり好ましい。この様な半導体としては例えばp型シリコンカーバイドなどが挙げられる。
こうして設けられた光電変換ユニット4上に裏面電極5を形成する。裏面電極5としては、例えば図2に示すように、透明導電性酸化物層5−1と裏面金属電極層5−2の2層を設けることができるが、さらに他の層を設けて、2層以上の層で形成することもできる。
透明導電性酸化物層5−1は、光電変換ユニット4を形成するシリコンと、裏面金属電極層5−2を形成する金属原子の相互拡散を抑制する為に用いられる。また別の理由としては、「シリコン/透明導電性酸化物層5−1」と「透明導電性酸化物層5−1/裏面金属電極5−2」で反射した光が干渉を起こすが、この干渉する波長を、透明導電性酸化物層5−1の膜厚で制御して任意の波長の光を強めて太陽電池特性を向上させるために、透明導電性酸化物層5−1が用いられる。
ここで透明導電性酸化物層5−1は、透明であり導電性である透明導電性酸化物を用いればよく、例えば酸化インジウムや酸化亜鉛、酸化チタンなどを含有するものを用いることができる。
裏面金属電極層5−2は、充分に導電性が高く、且つ光電変換ユニット4を通過してきた光を反射して、再び光電変換ユニット4に入れるために、反射率が高いものが好ましい。このような材料として例えば銀やアルミニウムなどが挙げられる。
透明導電性酸化物層5−1は、膜厚を25〜120nmの範囲で設けることが好ましい。さらには30〜85nmの範囲が光学的に好ましい。この範囲の膜厚とすることで、光学的な効果や、導電性・コストの面で好ましいだけでなく、裏面金属電極層5−2に用いる金属原子と、光電変換ユニット4を形成するシリコン原子との原子拡散を抑制するバリア層の役割を果たすことができるため好ましい。
上記のようにして、本発明における透明電極付き基板を用いた薄膜太陽電池を作製することができる。
上記のように、例えばCVD法により各層を製膜することにより、製膜する毎に各層の凹凸差が小さくなる。すなわち凹凸層の凹凸差よりも、裏面電極形成後の凹凸差を小さくすることができる。ここで「凹凸差」とは、上記Ra、Rmaxのことを意味する。
裏面金属電極形成後の表面形状はRaが5〜150nmであることが好ましい。この範囲とすることで裏面金属側での効率の良い光の反射と、光電変換ユニットへの光の取り込みを可能とする。さらには10〜80nmであることが好ましい。裏面金属電極形成後の表面形状は、Rmaxは300〜1000nmが好ましく、さらには400〜800nmが好ましい。
以下に、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本発明において、表面抵抗測定は抵抗率計ロレスタGP MCT−610(三菱化学社製)を用いた。透明導電性酸化物層の膜厚は分光エリプソメーターVASE(J.Aウーラム社製)を使用した。フィッティングはChaucyモデルにより行った。凹凸層の膜厚は基板と凹凸層との界面から頂上部までの距離とした。
(実施例1)
凹凸構造形成用モールドは、「西本陽一郎、表面技術、Vol.56、No.1(2005)」に記載の方法にしたがって作製した。具体的には水酸化カリウム100gを純水1700gに溶かした水溶液にイソプロピルアルコールを200g加え、ウェットエッチング液を作製した。この液を70℃に加温し、マグネチックスターラーで攪拌しながら単結晶シリコンウェハ(100面)を投入し、30秒浸漬した。取出し後純水で洗浄、乾燥することで凹凸構造形成用モールドを作製した。このようにして作製された凹凸構造はランダム四角錐構造であった。本モールドをAFMで観察したところ、Ra:110nm、Rmax:800nmだった。
凹凸構造形成用モールドは、「西本陽一郎、表面技術、Vol.56、No.1(2005)」に記載の方法にしたがって作製した。具体的には水酸化カリウム100gを純水1700gに溶かした水溶液にイソプロピルアルコールを200g加え、ウェットエッチング液を作製した。この液を70℃に加温し、マグネチックスターラーで攪拌しながら単結晶シリコンウェハ(100面)を投入し、30秒浸漬した。取出し後純水で洗浄、乾燥することで凹凸構造形成用モールドを作製した。このようにして作製された凹凸構造はランダム四角錐構造であった。本モールドをAFMで観察したところ、Ra:110nm、Rmax:800nmだった。
凹凸層を形成する為の塗布液は、マトリクス材料としてポリジメチルシロキサン200gに、ナノ粒子として酸化チタン(TiO2)200gを添加し、充分に攪拌してナノ粒子を分散させることで作製した。
基板には無アルカリガラス(膜厚0.7mm、商品名OA−10、日本電気硝子社製)を用い、この上に上記塗布液を塗布して上記モールドを押し当て、全面に均一に10MPaの圧力をかけ、200℃に加熱し、10分間保持した。このようにして基板上に凹凸層2(膜厚600nm)を形成した。
上記凹凸層上に透明電極層3を形成した。透明電極層3としては、熱CVD法により作製したフッ素化酸化錫(F:SnO2)を用いた。この際の透明電極層3の膜厚は800nm、シート抵抗は10Ω/□であった。
この上に、高周波プラズマCVD装置を用いて、ボロンドープのp型シリコンカーバイド(SiC)層を10ナノメートル、ノンドープの非晶質シリコン光電変換層を200ナノメートル、リンドープのn型μc−Si層を20ナノメートルの膜厚で製膜した。これにより、前方光電変換ユニットであるp−i−n接合の非晶質シリコンからなる第1の光電変換ユニット4−1(トップセル)を形成した。
第1の光電変換ユニット4−1を形成した基板を大気中に取り出すことなく、高周波プラズマCVD装置にて導電性酸素化シリコン層からなる透明導電性中間層4−2を形成した。このときの製膜条件については、プラズマの励起周波数を13.56MHz、基板温度を150℃、反応室内圧力を666Paとして形成した。プラズマCVD反応室内に導入される原料ガスとしてSiH4、PH3、CO2、およびH2を用いた。以上の条件で600Åの導電性酸素化シリコン層4−2を製膜した。
更に、ボロンドープのp型微結晶シリコン層を15ナノメートル、ノンドープの結晶質シリコン光電変換層を1500ナノメートル、リンドープのn型微結晶シリコン層を20ナノメートルの膜厚でそれぞれプラズマCVD法により製膜した。これにより、後方光電変換ユニットであるp−i−n接合の結晶質シリコンからなる第2の光電変換ユニット4−3(ボトムセル)を形成した。
第2の光電変換ユニット4−3形成済み工程仕掛品を、高周波プラズマCVD装置から大気中に取り出した後、高周波マグネトロンスパッタリング装置の製膜室に導入し、第2の光電変換ユニット4−3の上に、透明導電性酸化物層5−1を製膜した。
透明導電性酸化物層5−1は、製膜圧力を0.2Pa、基板温度を150℃として、基板/ターゲット距離を60mmに設定して製膜を実施した。膜厚は80nmとした。引き続き、真空蒸着装置を用いて金属電極層5−2として、Ag膜を250ナノメートルの膜厚で製膜した。製膜中の真空度は1×10−4Pa以下、製膜速度は0.2±0.02ナノメートル/秒とした。
こうして薄膜太陽電池を作製した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:65nm、Rmax:500nmであった。
(実施例2)
凹凸層を形成するナノ粒子として酸化ジルコニウム(ZrO2)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:70nm、Rmax:500nmであった。
凹凸層を形成するナノ粒子として酸化ジルコニウム(ZrO2)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:70nm、Rmax:500nmであった。
(実施例3)
凹凸層を形成するナノ粒子として酸化ニオブ(Nb2O5)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:80nm、Rmax:600nmであった。
凹凸層を形成するナノ粒子として酸化ニオブ(Nb2O5)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:80nm、Rmax:600nmであった。
(実施例4)
凹凸層を形成するナノ粒子として酸化アルミニウム(Al2O3)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:40nm、Rmax:550nmであった。
凹凸層を形成するナノ粒子として酸化アルミニウム(Al2O3)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:40nm、Rmax:550nmであった。
(実施例5)
凹凸層を形成するナノ粒子として酸化イットリウム(Y2O3)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:40nm、Rmax:600nmであった。
凹凸層を形成するナノ粒子として酸化イットリウム(Y2O3)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:40nm、Rmax:600nmであった。
(実施例6)
凹凸層を形成するナノ粒子として酸化セリウム(CeO2)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:70nm、Rmax:600nmであった。
凹凸層を形成するナノ粒子として酸化セリウム(CeO2)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:70nm、Rmax:600nmであった。
(実施例7)
凹凸層を形成するナノ粒子として酸化亜鉛(ZnO)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:60nm、Rmax:600nmであった。
凹凸層を形成するナノ粒子として酸化亜鉛(ZnO)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:60nm、Rmax:600nmであった。
(比較例1)
凹凸層を形成するナノ粒子として酸化ケイ素(SiO2)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:50nm、Rmax:700nmであった。
凹凸層を形成するナノ粒子として酸化ケイ素(SiO2)を用いた以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:50nm、Rmax:700nmであった。
(比較例2)
凹凸層を形成するナノ粒子を用いなかった、すなわちマトリクス材料のみを用いて凹凸層を形成した以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:40nm、Rmax:500nmであった。
凹凸層を形成するナノ粒子を用いなかった、すなわちマトリクス材料のみを用いて凹凸層を形成した以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:40nm、Rmax:500nmであった。
(比較例3)
凹凸層を設けずに、無アルカリガラス基板1上に、直接、透明電極層2を形成した以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:10nm、Rmax:400nmであった。
凹凸層を設けずに、無アルカリガラス基板1上に、直接、透明電極層2を形成した以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作成した。この薄膜太陽電池の裏面電極側の表面形状をAFMで測定したところ、Ra:10nm、Rmax:400nmであった。
表1に用いたナノ粒子と、凹凸層の屈折率、膜厚および表面形状を示す。また表2に薄膜太陽電池の光電変換特性を示す。
表2より、実施例と比較例2、3を比較すると、ナノ粒子を含まない比較例2および凹凸層を有さない比較例3に比べて、太陽電池特性のうち特に電流(Isc)が高くなった。これは基板と凹凸層、および凹凸層と透明電極層の各界面での光の反射が減少し、光電変換ユニットへの光の取り込み量が増えたためと考えられる。
また実施例と比較例1を比較すると、いずれもナノ粒子を含有しているにもかかわらず、短絡電流(Isc)に差が見られた。これは、凹凸層に添加する粒子の屈折率差によると考えられる。すなわち、透明基板と透明電極層の屈折率に対して中間的な屈折率の凹凸層を設けた各実施例では、基板/凹凸層および凹凸層/透明電極層各界面での反射を抑制できるが、比較例1では凹凸層の屈折率が1.5と小さく、すなわち凹凸層と透明電極層の屈折率差が大きく、その界面での反射が大きくなり、光電変換層に取り込まれる光の量が実施例に比べて少ないためと考えられる。
以上のように、本発明の凹凸層を用いることで、薄膜太陽電池の光取り込み効率が向上することがわかった。
1 基板
2 凹凸層
2−1 ナノ粒子
2−2 マトリクス層
3 透明電極層
4 光電変換ユニット
4−1 第1の光電変換ユニット
4−2 透明導電性中間層
4−3 第2の光電変換ユニット
5 裏面電極
5−1 透明導電性酸化物層
5−2 裏面金属電極層
2 凹凸層
2−1 ナノ粒子
2−2 マトリクス層
3 透明電極層
4 光電変換ユニット
4−1 第1の光電変換ユニット
4−2 透明導電性中間層
4−3 第2の光電変換ユニット
5 裏面電極
5−1 透明導電性酸化物層
5−2 裏面金属電極層
Claims (5)
- 基材上に凹凸層、透明電極層、少なくとも1つ以上の光電変換ユニット、裏面電極をこの順に有する薄膜太陽電池であって、
前記凹凸層は、亜鉛・ニオブ・チタン・ジルコニウム・アルミニウム・セリウム・イットリウムの中から選ばれる少なくとも1種類の金属酸化物のナノ粒子およびマトリクス材料を有することを特徴とする薄膜太陽電池。 - 上記マトリクス材料は、ゾルゲル材料より形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池。
- 上記凹凸層は、屈折率が1.55〜2.25の範囲であることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の薄膜太陽電池。
- 上記ナノ粒子は、粒径が10〜60nmの範囲であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜太陽電池。
- 上記光電変換ユニットは、非単結晶シリコン層を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜太陽電池。
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