JP2013174865A - 銅又は銅合金層上にインジウム−銀合金層を有する積層構造物、及び該積層構造物の製造方法 - Google Patents

銅又は銅合金層上にインジウム−銀合金層を有する積層構造物、及び該積層構造物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、薄いめっき厚で、剥がれにくく、ワイヤーボンディング性、耐硫化性に優れ、反射率の低下がなく、長寿命化が可能であり、コスト低減と品質向上が可能な積層構造物を提供することを目的とする。
【解決手段】銅又は銅合金上に、インジウムを40質量%以上90質量%以下含有するインジウム−銀合金層、さらに該インジウム−銀合金層上にその酸化物層を有し、該インジウム−銀合金層に銅が拡散していることを特徴とする積層構造物。
【選択図】なし

Description

本発明は、銅又は銅合金層上にインジウム−銀合金層を有する積層構造物、及び該積層構造物の製造方法に関する。
銀膜は高い光反射率(以下、反射率と略記)を有することからダウンライト照明用の反射板やLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)パッケージの反射面に広く用いられている。LEDパッケージでは、LEDへの入力電流が所定の光出力が得られるまで高められるため、取り出せる光出力に影響する反射面の反射率が低いとLEDの寿命に大きく影響する。このため、住宅照明や自動車用ヘッドライト等の主照明に適用される高出力LEDパッケージでは、反射面の反射率と分光特性が製品性能を左右する極めて重要な要素となり、特に、可能な限り高い反射率が要求される。具体的には、銀膜は、近紫外光を含む可視光の波長領域(350〜700nm)において高い反射率を有することが必要であるとされ、特許文献1のように反射率を高める方法が提案されている。
しかし、特許文献1記載の方法では、無電解めっき処理により銀膜が製造されているために、通常用いられる膜厚200nmを形成する場合でも10〜30分程度の時間を要し、生産性が極めて低い。また、めっき処理に用いられる浴の寿命が短いためにランニングコストが高くなるなどの問題があった。
また、銀皮膜の表面は塩化などにより変色し易く、特に硫黄を含む雰囲気中では腐食されて茶褐色や青黒色に変色する。また銀皮膜の下地に銀以外の金属、金属酸化物、硫化物が存在する場合には銀皮膜中にこれらの物質が拡散し易く銀皮膜表面に移行して、いずれも銀皮膜の光反射性に影響し、その性能を低下させる。前記LEDパッケージの構成でいえば、リードフレームを形成する銅の上に光反射部として銀皮膜を形成すると、銅が銀皮膜中に拡散して銀皮膜の表面にまで達してその反射率の低下を招くこととなる。
前記銀皮膜中への拡散を防止するための技術については例えば、銀めっき皮膜の形成前に、白金族金属のパラジウム、ロジウム、白金、ルテニウム、イリジウムのいずれかまたはそれらの合金からなる拡散防止層を設けることが提案されている(特許文献2)。
さらに、銀皮膜の硫黄を含む雰囲気中での変色については、特許文献3に、銀層又は銀合金層の表面に酸化層を形成することにより耐硫化性が向上することが記載されている。銀合金層としては銀−インジウム合金層も挙げられているが、インジウムの含有率は0.01〜5wt%であり、この合金めっきの場合、めっき厚さを薄くすると、被膜耐久性が悪く、銀ベースではめっき膜が剥がれ易くなる場合がある。
従って、上記の方法では銀皮膜の光反射性能の改善、特に硫黄を含む雰囲気中での変色による光反射性能の低下に対する対策、及び被膜耐久性については、十分とは言えず、特に白色光源としての利用促進に資する上でこうした改善が要望されている。
また、インジウム合金めっき膜に関しては、特許文献4に基材上に銀とインジウムの合金めっき皮膜が形成されためっき部材が開示されている。前記銀とインジウムの合金めっき皮膜は、インジウム含有率が重量%で0.1%以上60%未満であり、めっき皮膜中に金属間化合物Ag9In4を形成させ、耐硫化性と耐摺動特性に優れるめっき部材としている。インジウム含有率が31%以上36%未満の範囲外の濃度領域では、合金めっきでは前記金属間化合物は極めて得られにくく、前記金属間化合物を形成させるために、前記銀とインジウムの合金のめっき皮膜は、基材に銀めっきとインジウムめっきとをそれぞれ別に施し二層のめっき層を得た後に、熱拡散によって形成している。
特開2000−155205号公報 特開2007−258514号公報 国際公開第2011/145647号 特開2009−249648号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、薄いめっき厚で、剥がれにくく、ワイヤーボンディング性、耐硫化性に優れ、反射率の低下がなく、長寿命化が可能であり、コスト低減と品質向上が可能な積層構造物及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、薄いめっき厚で、剥がれにくく、ワイヤーボンディング性、耐硫化性に優れ、反射率の低下がなく、長寿命化が可能であり、コスト低減と品質向上が可能な積層構造物を反射板として有する光反射板及び発光ダイオードデバイスを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、銅又は銅合金層上にインジウムを40質量%以上90質量%以下含有したインジウム−銀合金層、さらに該インジウム−銀合金層上にその酸化物層を有し、該インジウム−銀合金層に銅が拡散している積層構造物とすることにより、薄いめっき厚で、剥がれにくく、ワイヤーボンディング性、耐硫化性に優れ、反射率の低下がなく、長寿命化が可能であり、コスト低減と品質向上が可能な積層構造物を得ることができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
(1)銅又は銅合金上に、インジウムを40質量%以上90質量%以下含有するインジウム−銀合金層、さらに該インジウム−銀合金層上にその酸化物層を有し、該インジウム−銀合金層に銅が拡散していることを特徴とする積層構造物。
(2)前記酸化物層が50nm以下の厚さであることを特徴とする前記(1)記載の積層構造物。
(3)前記インジウム−銀合金層と酸化物層の厚さの合計が、0.1〜5μmであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の積層構造物。
(4)前記積層構造物が、酸化物層表面に対面する側から照射される光を反射する反射板であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の積層構造物。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の積層構造物の製造方法であって、銅又は銅合金上にインジウムを40質量%以上90質量%以下含有するインジウム−銀合金層を電解めっきにより形成した後、インジウム−銀合金層表面部にその酸化物層を形成し、銅をインジウム−銀合金層中に拡散させることを特徴とする積層構造物の製造方法。
(6)酸素を含む雰囲気中で加熱することにより、インジウム−銀合金層表面部にその酸化物層を形成し、銅をインジウム−銀合金層中に拡散させることを特徴とする前記(5)に記載の積層構造物の製造方法。
(7)前記酸素を含む雰囲気中での加熱が、酸化ガス雰囲気中で50℃以上、300℃以下であることを特徴とする前記(6)に記載の積層構造物の製造方法。
(8)前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の積層構造物を備え、積層構造物の酸化物層表面に対面する側から照射される光を反射することを特徴とする反射板。
(9)前記光が、積層構造物に付設された1つまたは複数の光源に由来する光であることを特徴とする前記(8)記載の反射板。
(10)前記光源が発光ダイオードまたはレーザーダイオードであることを特徴とする前記(9)に記載の反射板。
(11)前記(8)〜(10)のいずれか一項に記載の反射板を備えることを特徴とする発光ダイオードデバイス。
本発明によれば、薄いめっき厚で、剥がれにくく、ワイヤーボンディング性、耐硫化性に優れ、反射率の低下がなく、長寿命化が可能であり、コスト低減と品質向上が可能な積層構造物及びその製造方法を提供することができる。
また、薄いめっき厚で、剥がれにくく、ワイヤーボンディング性、耐硫化性に優れ、反射率の低下がなく、長寿命化が可能であり、コスト低減と品質向上が可能な積層構造物を反射板として有する光反射板及び発光ダイオードデバイスを提供することができる。
本発明の積層構造物は、銅又は銅合金上に、インジウムを40質量%以上90質量%以下含有するインジウム−銀合金層、さらに該インジウム−銀合金層上にその酸化物層を有し、該インジウム−銀合金層に銅が拡散している。
従来、銅又は銅合金層上に銀層を形成する場合、銀層中に銅が拡散し易く、銀層表面に移行して、銀層の光反射性に影響し、その性能を低下させるという問題があり、その対策として、銅又は銅合金層上にNi層等のバリア層を設け、該バリア層の上に3〜5μm厚の銀又は銀合金層を形成した。また、バリア層を設けた場合であっても銀皮膜は変色し易く、特に硫黄を含む雰囲気中では腐食されて茶褐色や青黒色に変色する。
また。銅層上にNi等のバリア層を形成し、インジウム−銀合金層を設けた場合は、銅の拡散が防止されるので、熱をかけるとインジウムは溶ける。そのため、Niを銅のバリア材として使用すると、WB(wire bonding)のボンディング強度が十分に得られず、剥がれ易くなる。
本発明においては、銅又は銅合金層上に直接インジウム−銀の薄い合金層を形成し、該インジウム−銀合金層上にその酸化物層を設ける。
インジウムは融点が156.4℃と低く、柔らかい金属であり、熱をかけると溶け易いため、反射板に用いた場合、ワイヤーボンディングが剥がれる等の問題が生じる。従って、インジウムを多く含有する層は、反射板には適さないと考えられてきた。しかし、本発明者等は銅又は銅合金層上にインジウムを40質量%以上90質量%以下含有するインジウム−銀合金層を設け、該インジウム−銀合金層中に銅を適度に拡散させることにより、比較的簡便にインジウム−銀合金膜の融点が上がることを見出した。更に、融点が上がることにより、WB(wire bonding)のボンディング強度が高くなり、ワイヤーボンディング性も向上することを見出した。
また、前記インジウム−銀合金層上に酸化物層を設けることにより、銅の拡散が表面にまで及ぶことを抑制することができ、さらに表面が不活性化し変色を防止することができることを見出した。
即ち、銅又は銅合金上にインジウムを40質量%以上90質量%以下含有するインジウム−銀合金層を形成し、該インジウム−銀合金層表面にその酸化物層を形成し、インジウム−銀合金層中に銅を拡散させることにより、加熱してもインジウムが溶けにくくなる。また、表面の酸化物層は、銅のバリア層として働き、該酸化物層への銅の拡散が防止されるので、反射率の低下を抑制することができる。
前記銅の拡散は、インジウム−銀合金膜の融点が180℃以上になるように拡散させることが好ましく、インジウム−銀合金膜の融点が180〜300℃となるように拡散させることがより好ましい。銅が拡散したインジウム−銀合金膜の融点が180℃未満であると、LEDを製造する工程の熱処理(180℃以上)で溶けて、チップやワイヤーボンディングの接合強度が弱くなることが懸念される。また、融点が上がり過ぎると、耐硫化性等が悪くなる。
また、酸化物層が形成されることにより表面が不活性化し、硫化や塩化による変色を防止することが可能となる。
銅層上に銀層1μm形成した場合、180℃1時間の熱処理で、反射率が25%にまで低下するが、本発明の層構造の場合反射率はほとんど低下しない。
前記インジウム−銀合金層を設ける銅又は銅合金基材を構成する銅合金としては、銅を主成分として50質量%以上含有し、Ni,Si,Fe,Zn,Sn,Mg,P,Cr,Mn,Zr,Ti,Sb等の元素の1種または2種以上を含有する合金、例えばCu−Fe−Zn−P系銅合金を挙げられる。
インジウム−銀合金層におけるインジウムと銀の割合は、インジウムが40質量%以上90質量%以下であり、好ましくは50質量%以上75質量%以下である。インジウムの含有量が40質量%未満であると耐硫化性が著しく悪くなり、90質量%を超えると耐硫化性は向上するもののワイヤーボンディングが打てなくなる。
尚、本発明においては、前記合金層中に金属間化合物Ag9In4を形成させることは必要ではない。
また、インジウム−銀合金層と酸化物層の厚さの合計は0.1〜5μmが好ましく、0.5〜1μmがより好ましい。
前記厚さが5μmを超えると、銅の拡散が表層部まで到達しないため、インジウム−銀合金膜の融点が180℃以上に高くすることが難しく、ワイヤーボンディング(WB)の加熱時にインジウム−銀合金膜が溶解し易くなり、ワイヤーボンディング性が不十分になる。さらに、前記厚さが5μmを超えるとコスト的な問題も生じるため好ましくない。また、0.1μm未満の場合には、インジウム−銀合金層が薄く、基材そのものの光の反射率の影響を受け、初期反射率が低下し、さらに、銅が表面まで拡散することでも、熱処理後の反射率を低下させることになり、好ましくない。
本発明の積層構造物では、インジウム−銀合金層が薄くても、剥がれにくく、ワイヤーボンディング性、耐硫化性に優れ、反射率の低下がなく、長寿命化が可能な反射板を製造でき、コスト低減と品質向上が可能な反射板を得ることができる。
また、インジウム−銀合金層には、第3元素を添加しても良い。第3元素としてはコバルト、セレン、アンチモン、ニッケル、リン等が挙げられ、コバルトを第3元素として添加することが好ましい。コバルトを添加することにより反射率低下を抑制することができると共に、更に引っ張り強度が強くなり、WB(wire bonding)が打ち易くなり、ボンディングが剥がれにくくなる。
インジウム−銀合金層における第3元素の添加量は0.01〜5質量%が好ましい。
インジウム−銀合金層を形成する方法としては、従来公知の方法で形成することができるが、電気めっきで形成することが好ましい。
インジウム−銀合金層を形成した後、インジウム−銀合金層上に酸化物層を形成し、インジウム−銀合金層中に銅を拡散させる。室温で放置することによっても、前記酸化物層が形成され、インジウム−銀合金層中に銅が拡散していくが、酸素を含む雰囲気中で加熱することにより、迅速にインジウム−銀合金層上に酸化物層を形成し、インジウム−銀合金層中に銅を拡散させることができるので好ましい。酸化物層は、インジウムの酸化物の層である。
インジウム−銀合金層中に銅が拡散していることは、オージェ電子分光法(AES:Auger Electron Spectroscopy)のデプスプロファイルで確認することができる。また、インジウム−銀合金めっき被膜の融点が上昇することによっても確認することができる。
酸化物層の厚さとしては一分子以上、50nm以下が好ましく、0.001〜0.03μmがより好ましい。酸化物層は強固であり、一分子でも表面に存在することによって良好な特性を発揮することができ、一方、50nmを越えると反射率が減少するおそれがあり、かつ、ワイヤーボンディング性も劣化する。
前記インジウム−銀合金層、酸化物層の膜厚はAES法による深さ方向元素分析により測定することができる。
また、インジウム−銀合金層におけるインジウム、銀の含有量は、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS:Inductively coupled plasma mass spectrometry)による定量により確認することができる。
本発明の積層構造物は、例えば、銅又は銅合金上にインジウムを40質量%以上90質量%以下含有するインジウム−銀合金層を電解めっきにより形成し、次いで、該インジウム−銀合金層上に酸化物層を形成し、インジウム−銀合金層中に銅を拡散させることにより製造することができる。
銅又は銅合金層上にインジウム−銀合金層を形成するが、インジウム−銀合金層のめっき密着性向上のため、銅又は銅合金層上にAgストライクめっきを行い、その上にインジウム−銀合金層を形成しても良い。
銅又は銅合金層上にインジウム−銀合金層を形成する場合、銀と銅の置換反応によるめっき被膜の剥離・ふくれを防止するため、銀濃度を低くし、シアン化カリウム濃度を高くした浴でAgストライクめっきをして、インジウム−銀合金層を形成することにより、インジウム−銀合金層の密着性向上に効果がある。
また、インジウム−銀合金層に拡散する銅の量を調整することができる。
尚、Agストライクめっきを行った場合、インジウム−銀合金層表面部にその酸化物層を形成し、銅をインジウム−銀合金層中に拡散させるための処理を行うと、めっき物として、Agストライクめっきの構造を識別することはできなくなる。
インジウム−銀合金層を電解めっきにより形成する際に用いるめっき液としては、前記インジウム−銀合金層を形成できるものであればいずれでもよいが、以下のめっき液を用いることができる。
インジウム−銀合金めっきに用いるめっき液としては、インジウムが40質量%以上90質量%以下含有するインジウム−銀合金めっき層が形成されるように、インジウムの析出電位と銀の析出電位を近づける必要から、インジウム1質量部に対して銀を0.05〜0.5質量部となるように塩として含むめっき液が好ましい。
インジウム−銀合金めっき液としては、シアン浴、スルファミン酸浴、硫酸浴、スルホン酸浴、各種カルボン酸を錯化剤とする浴等を好適に用いることができるが、浴安定性の点からシアン浴を用いることが好ましい。
インジウム塩としては、塩化インジウム、硫酸インジウム、水酸化インジウム、酸化インジウム、スルファミン酸インジウムなどを用いることが出来る。水に対する溶解性の点からは、塩化インジウムが好ましい。
銀塩としては、シアン化銀カリウム、塩化銀、臭化銀、フッ化銀、硝酸銀、スルファミン酸銀などを用いることが出来る。水に対する安定性の点からは、シアン化銀カリウムが好ましい。
インジウム−銀合金めっき液は、更に添加剤として錯化剤を含有することが好ましい。
錯化剤としては、例えば、シアン化カリウム又はシアン化ナトリウム、酒石酸、メタンスルホン酸、EDTAまたはその塩、ジエチレントリアミン五酢酸、グルコース、クエン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
また、ノニオン系界面活性剤、一般的な平滑剤や光沢剤を含有しても差し支えない。ノニオン系界面活性剤はめっき表面を平滑にする働きがある。
また、前記インジウム−銀合金めっき液を用いてめっきを行う際は、電流密度0.2A/dm2以上で電気めっきし、インジウム−銀合金めっき皮膜を析出させることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜40A/dm2の範囲で行うのがより好ましい。0.2A/dm2未満の電流密度ではインジウムと銀を共析させることが困難であり、40A/dm2以上の条件でめっきを行うとヤケ(電流密度が過大な時に、表面が荒れて光沢のない電気めっきの状態)などにより反射率が低下する恐れがある。また、めっき浴温度は10〜40℃、電解時間は5秒〜3分が好ましい。
めっき液のpHは11〜14が好ましく、12〜14がより好ましい。
酸素を含む雰囲気中で加熱する酸化処理としては、大気、或いはO2ガスやオゾンガスなどの酸化性ガス雰囲気中で加熱処理することができる。
酸化性ガス雰囲気中、50〜300℃の温度で、好ましくは100〜300℃の温度で、特に好ましくは100〜200℃の温度で、1秒以上、好ましくは1秒〜300分、特に好ましくは1秒〜100分加熱処理を施すことが好ましい。このような製造方法によれば、迅速に銅又は銅合金中の銅がインジウム−銀合金層中に拡散すると共に、インジウム−銀合金層表面に酸化物層が形成される。
前記乾式加熱酸化処理に代えて、湿式酸化処理を用いてもよい、湿式酸化処理としては、水中で煮沸する方法や、適量の酸化剤を添加した水溶液で処理する方法などを使用することができるが、生産性を考慮すると適量の酸化剤を添加した水溶液で処理する方法を使用するのが好ましい。酸化剤としては、硝酸、硝酸ナトリウムなどの硝酸塩、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、過硫酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を使用することができる。
前記酸化性ガス雰囲気中で加熱処理する乾式処理は廃液が出ないことから、環境維持の点から好ましい。また、乾式処理は液管理が不要なことから、工程管理が容易となり好ましい。
このような加熱酸化処理により、インジウム−銀合金の表面は酸化物層が形成され不活性化し、硫化や塩化、銅の拡散による変色を防止することが可能となる。また、酸化物層表面での可視光の反射率は酸化処理をしない場合と同等であり、懸念された反射率の低下はなく、かつ硫化や塩化による反射率の低下を防ぐことができる。
熱処理を行わない場合においても、銅又は銅合金上に、インジウム−銀合金層を形成すると、銅がインジウム−銀合金層中に拡散され、表面には自然酸化膜が形成される。従って、自然酸化膜が形成されるため、熱処理を行わない場合においても、反射率の低下を抑制することができるが、銅の拡散が不十分となり、ワイヤーボンディング性が熱処理をした場合よりも劣る場合があるので、熱処理をすることが好ましい。
本発明の積層構造物は、硫化試験後においても反射率の低下が少なく、反射率70%以上、更には75%以上の良好な反射率を有することができる。
本発明の積層構造物は、積層構造物の酸化物層表面に対面する側から照射される光を反射する反射板として用いることができる。
前記光が、当該積層構造物に付設された1つまたは複数の光源に由来する光である反射板として、さらに、前記光源が発光ダイオードまたはレーザーダイオードである反射板として好適に用いることができる。
また、前記反射板を有する発光ダイオードデバイスを製造するようにしてもよい。このような発光ダイオードデバイスによれば、発光ダイオードから発せられた光を効率的に反射することができる。また、この場合、発光ダイオードデバイスは、基板表面に導電膜を形成し、導電膜をパターニングすることにより回路パターンを形成し、回路パターン上に銅又は銅合金めっき層を形成し、銅又は銅合金めっき層上にインジウム−銀合金層を形成することにより製造することが望ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜6、比較例1〜3
銅基材に下記表に示すインジウム−銀合金めっき浴(めっき浴のpHは12〜14)及びめっき条件で電気めっきを行った。次に、下記の条件で酸化処理を行い、酸化物層を形成した。酸化物層を含むインジウム−銀合金めっき層の厚さ、酸化物層の厚さをAES(オージェ電子分光法)によるデプスプロファイル分析(アルゴンイオンビームを用いたスパッタリングで、試料表面を物理的にエッチングし、表面元素分析を繰り返し行うことにより、深さ方向の元素分布を調べる)により求めた。また、酸化処理後、硫化処理を行う前後で酸化膜の反射率を測定した。
結果を表に示す。
尚、実施例におけるインジウム−銀合金層の合金成分の比率については、ICP−MSによる元素定量分析により測定した。
また、AESにより酸化物層は、インジウムの酸化物層であることを確認した。
酸化処理:熱風循環式乾燥機を用い、大気中で表に記載の温度、時間で加熱した。
硫化試験:
JIS H 8502に基づく硫化水素ガス試験は、硫化水素を使用し危険であるため、簡便な代替試験として一般に行われる以下の試験を行い、外観の変化を反射率の変化として評価した。
硫化アンモニウム溶液(無色)試薬0.3%水溶液
液温度 25℃
浸漬時間 5分
反射率:
分光光度計(島津製作所製UV−2200)にて、積分球(ISR-2200)を用いて、硫酸Ba粉末標準で、波長450nm、入射角0°にて測定した。
ワイヤーボンディング特性:
ワイヤーボンダー(TPT(Technical Product Trade)製HB 12/14/16)を用い、以下の条件で酸化処理後のインジウム−銀合金めっき基板の表面にワイヤーボンディングを打った後、万能型ボンドテスター(Arctek製 SERIES 4000)でワイヤープルテストを行い、ワイヤープル強度を求めた。ワイヤープル強度は20本の平均値を求め、平均値が6g以上を合格とした。
使用ワイヤー: Au 25μmΦ (1 MIL)
ワイヤーボンディング条件:
温度:160℃
Bond Time (ms) 1st 230, 2nd 230
Bond Power (mW) 1st 400, 2nd 205
Bond Force (mN) 1st 400, 2nd 500
ワイヤープル速度:500μm/sec.
評価数:20 wires / each
インジウム−銀合金めっき被膜融点:
酸化処理後のインジウム−銀合金めっき基板をホットプレート上に置き、被膜が溶融した温度を融点とした。同じ条件でめっきした場合、融点が高いほどCuが拡散していると考えられる。
なお、ホットプレートは10℃ずつ昇温して行き、その都度新しいめっき基板を置くことにより、本試験によるCu拡散の影響を最小限にした。
インジウム−銀合金めっき被膜の融点は、酸化処理後は時間が経過してもほとんど変わらない。また、本発明の範囲では、酸化物層は、インジウム−銀合金めっき被膜の融点にほとんど影響しない。
Figure 2013174865
Figure 2013174865
Figure 2013174865
実施例から明らかなように、本発明の積層構造物は、硫化による反射率の低下を防ぐことが可能となり、酸化処理を行っても反射率は低下していないことが分かる。また、ワイヤーボンディング特性にも優れていることが分かる。
比較例3の積層構造物は、銅基材上に銅拡散のバリア層としてNiめっき層を設け、その上にインジウム−銀合金めっきを行ったもので、インジウム−銀合金めっき層に銅が拡散されず、インジウム−銀合金めっき層の融点が低く、ワイヤーボンディングができなかった。
尚、実施例3及び比較例2におけるIn−Ag合金めっき被膜融点の「>300」は、融点測定の際のホットプレートの温度設定の上限が300℃であり、その上限温度において、まだ溶融しなかったことを示す。

Claims (11)

  1. 銅又は銅合金上に、インジウムを40質量%以上90質量%以下含有するインジウム−銀合金層、さらに該インジウム−銀合金層上にその酸化物層を有し、該インジウム−銀合金層に銅が拡散していることを特徴とする積層構造物。
  2. 前記酸化物層が50nm以下の厚さであることを特徴とする請求項1記載の積層構造物。
  3. 前記インジウム−銀合金層と酸化物層の厚さの合計が、0.1〜5μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層構造物。
  4. 前記積層構造物が、酸化物層表面に対面する側から照射される光を反射する反射板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層構造物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層構造物の製造方法であって、銅又は銅合金上にインジウムを40質量%以上90質量%以下含有するインジウム−銀合金層を電解めっきにより形成した後、インジウム−銀合金層表面部にその酸化物層を形成し、銅をインジウム−銀合金層中に拡散させることを特徴とする積層構造物の製造方法。
  6. 酸素を含む雰囲気中で加熱することにより、インジウム−銀合金層表面部にその酸化物層を形成し、銅をインジウム−銀合金層中に拡散させることを特徴とする請求項5に記載の積層構造物の製造方法。
  7. 前記酸素を含む雰囲気中での加熱が、酸化ガス雰囲気中で50℃以上、300℃以下であることを特徴とする請求項6に記載の積層構造物の製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層構造物を備え、積層構造物の酸化物層表面に対面する側から照射される光を反射することを特徴とする反射板。
  9. 前記光が、積層構造物に付設された1つまたは複数の光源に由来する光であることを特徴とする請求項8記載の反射板。
  10. 前記光源が発光ダイオードまたはレーザーダイオードであることを特徴とする請求項9に記載の反射板。
  11. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の反射板を備えることを特徴とする発光ダイオードデバイス。
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