JP2013165264A - 外観が良好な太陽電池モジュール及びその製造方法 - Google Patents

外観が良好な太陽電池モジュール及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】少なくともバックシート(A)と、封止材(B)とがラミネートされてなる太陽電池モジュールであって、ラミネート条件の設定が容易で、ラミネート後の外観が良好である太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法を得る。
【解決手段】ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))が60.0以下であることを特徴とする太陽電池モジュール。
ここで、収縮応力(σ(A))は、ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の測定値(Pa)であり、せん断弾性率(G´(B))は、ラミネート設定温度における振動周波数1Hzでの封止材(B)の測定値(Pa)である
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池モジュールに関し、さらに詳細には、ラミネート条件の設定が容易で、外観が良好な太陽電池モジュール及びその製造方法に関する。
近年、地球温暖化等の環境問題に対する意識が高まる中、特に太陽光発電については、そのクリーン性や無公害性という点から期待が高まっている。太陽電池は太陽光のエネルギーを直接電気に換える太陽光発電システムの中心部を構成するものである。その構造としては一般的に、複数枚の太陽電池素子(セル)を直列、並列に配線し、セルを保護するために種々パッケージングが行われ、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールと呼び、一般的に太陽光が当たる面を上部保護材として透明基材(ガラスや樹脂シート、以下、フロントシートと呼ぶことがある)で覆い、熱可塑性プラスチック(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体やポリエチレン系重合体)からなる封止材(封止樹脂層)で間隙を埋め、裏面を下部保護材として裏面封止用シート(以下、バックシートと呼ぶことがある)で保護された構成になっている。
ここで、封止材の主な材料としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと呼ぶことがある)、ポリエチレン(以下、PEと呼ぶことがある)、アイオノマー(以下、IOと呼ぶことがある)およびポリビニルブチラール(以下、PVBと呼ぶことがある)などが用いられる。
また、封止材には、太陽電池素子を保護するための柔軟性や耐衝撃性、太陽電池モジュールが発熱した際の耐熱性、太陽電池素子へ太陽光が効率的に届くための透明性(全光線透過率など)、耐久性、寸法安定性、難燃性、水蒸気バリア性等が主に要求される。さらに、封止材は一般的にラミネートして使用されるため、そのプロセス適性やラミネート後の外観も重要である。
ここで、太陽電池モジュールのラミネート条件は一般的に、使用する各種部材(封止材、バックシート、ガラス、配線、セルなど)を考慮し試行錯誤法により設定することが多く行なわれているため、条件設定に時間を要すると共に使用する各種部材の費用が高額となることがあり問題となっていた。
条件設定における具体的な外観の課題として、バックシート面に凸状の突起が発生する現象(以下、凸現象と略称することがある)が挙げられる。この課題に対して、特許文献1には、バックシート(太陽電池モジュール用裏面保護シート)を用いて太陽電池モジュールを作製する場合、真空ラミネート処理を行う際に上記バックシートが収縮することにより、太陽電池素子および素子を繋ぐリード線(タグ)が上記バックシートの収縮に追従してしまい、リード線が変形したり、太陽電池素子間の間隔が変化してしまうことが原因であることが記載されている。この対策として、バックシートの150℃、30分における熱収縮率が1.0%以下であることが好ましく、なかでも、0.5%以下であることが好ましく、特に0.3%〜0.1%の範囲内であることが好ましいことが開示されている。
また、特許文献2には、2軸延伸PETフィルムは熱収縮率が大きく、特に大型太陽電池モジュール工程で配線(特許文献1記載のリード線に相当)が曲がったり、電池(セル)のズレが生じる危惧があるが、この熱収縮率に起因するフィルムの収縮の問題を解決するために、設備上延伸されたフィルムにアニール処理を施す熱固定化工程を必要とし、フィルムのコスト上昇を招き、安価なバックシートが得られないというコスト面での問題があることが記載されている(特許文献2、0007段落参照)。この対策として、ポリカーボネートフィルムとガスバリア性透明蒸着フィルムとが積層されてなるバックシートが提案されている(特許文献2、請求項1参照)。
特開2007−150084号公報 特開2006−324556号公報
特許文献1や特許文献2で開示されているように、凸現象の改良に関して従来の技術は太陽電池モジュールを作製する際に用いる部材の中でバックシートのみに着眼するものであった。しかしながら、特定の物性(例えば、熱収縮特性)を満足するバックシートを用いても凸現象は必ずしも抑制されるものではなく、ラミネート条件を設定する際の試行錯誤法の負荷はあまり低減されていなかった。これらのことから、使用するバックシートの熱収縮特性に影響されにくく、また、効率的にラミネート条件を設定できる新たな定量的指標が望まれていた。
本発明の目的は、太陽電池モジュールにおいて、ラミネート後の外観が良好である太陽電池モジュール、バックシート−封止材一体型シート、および太陽電池モジュールの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ラミネート温度域内の任意の設定温度であるラミネート設定温度において、特定の定量的関係を有するバックシートと封止材を組み合わせて用いることにより、ラミネート後の外観が良好である太陽電池モジュールが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(13)に関する。
(1)少なくとも、バックシート(A)と、封止材(B)とがラミネートされてなる太陽電池モジュールであって、ラミネート設定温度における下記バックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と下記封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))が60.0以下であることを特徴とする太陽電池モジュール。
バックシート(A)の収縮応力(σ(A)):ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の測定値(Pa)
封止材(B)のせん断弾性率(G´(B)):ラミネート設定温度における振動周波数1Hzでの封止材(B)の測定値(Pa)
(2)ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))が0.01以上、60.0以下であることを特徴とする上記(1)に記載の太陽電池モジュール。
(3)ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))が0.01以上、35.0以下であることを特徴とする上記(1)に記載の太陽電池モジュール。
(4)ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))が1.0以上、20.0以下であることを特徴とする上記(1)に記載の太陽電池モジュール。
(5)バックシート(A)の収縮応力(σ(A))が130℃および150℃において、7×105Pa以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
(6)バックシート(A)の収縮応力(σ(A))が130℃および150℃において、4×105Pa以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
(7)封止材(B)がエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体を主成分とする封止材であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
(8)封止材(B)が実質的に架橋しない封止材であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
(9)封止材(B)の振動周波数10Hz、温度20℃における貯蔵弾性率(E´)が1〜100MPaであることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
(10)封止材(B)が、少なくとも動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E´)が100MPa未満である軟質層、及び動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E´)が100MPa以上である硬質層を有する積層構成であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
(11)バックシート(A)と封止材(B)が一体化している部材であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
(12)ラミネート設定温度が100℃以上、135℃以下であることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
(13)少なくとも、バックシート(A)と、封止材(B)とを備えた太陽電池モジュール用バックシート−封止材一体型シートであって、ラミネート設定温度における下記バックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と下記封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))が60.0以下であることを特徴とする太陽電池モジュール用バックシート−封止材一体型シート。
バックシート(A)の収縮応力(σ(A)):ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の測定値(Pa)
封止材(B)のせん断弾性率(G´(B)):ラミネート設定温度における振動周波数1Hzでの封止材(B)の測定値(Pa)
本発明によれば、太陽電池モジュールにおいて、ラミネート後の外観が良好である太陽電池モジュール、バックシート−封止材一体型シート、および太陽電池モジュールの製造方法が提供できる。
また、ラミネート設定温度におけるバックシートの収縮応力と封止材のせん断弾性率という基礎的な物性を測定することにより、太陽電池モジュールを実際にラミネートする前に、仕上がり外観の予測が可能となる。さらに、効率的にラミネート条件を設定できることから、条件検討に要する時間と各種部材の費用が抑制され、結果、太陽電池モジュールの製造コストを大幅に低減させることが期待できる。
本発明の太陽電池モジュールの一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の太陽電池モジュールの実施形態の例について説明する。但し、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、本発明の太陽電池モジュールの各部材を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、樹脂組成物の構成成分全体の50質量%以上、好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であって100質量%以下の範囲を占める成分である。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の太陽電池モジュールは、ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))(以下、凸指数と呼ぶことがある)が特定の範囲であることを特徴とするものである。
ここで、太陽電池モジュールは、一般的に、バックシート(A)と封止材(B)と、太陽電池素子と、透明基材(上部保護材)とを有するものである。
[バックシート(A)]
本発明に用いるバックシート(A)は、後述する凸指数を満足すれば特に制限されるものではない。具体的には、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)など)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)など)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、各種α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)及びエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)など)、環状オレフィン系樹脂(COP、COCなど)、ポリスチレン系樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA)及びシンジオタクチックポリスチレン(SPS)など)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES) 、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)およびバイオポリマー(ポリ乳酸、イソソルバイド系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリエステル系ポリマー及びポリオレフィン系ポリマーなど)等の電気絶縁性を有する材料によって基材シート、または、基材フィルムが形成される。
本発明においては、封止材との接着性、機械的強度、耐久性、経済性などの観点からポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびフッ素系樹脂が基材シートの材料として好適に用いられる。
ここで、基材シート、または、基材フィルムの製造方法は、特に制限されるものではないが、代表的には、押出キャスト法、延伸法、インフレーション法および流延法などが挙げられる。また、基材シートには、ハンドリング性や耐久性および光反射性などの向上あるいは経済性などを目的として、必要に応じて、他の樹脂や種々の添加剤を混合することができる。該添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、光拡散剤、造核剤、顔料(例えば酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラックなど)、難燃剤、変色防止剤、加水分解防止剤、放熱剤などが挙げられる。
さらに、基材シートの表面及び/または裏面には、ハンドリング性や接着性および耐久性などを向上させるため、必要に応じて、エンボス加工や各種処理(コロナ処理、プラズマ処理など)およびコーティング(フッ素系樹脂コーティング、加水分解防止コーティング、ハードコーティングなど)などを行うことができる。
本発明に用いるバックシート(A)は、単層あるいは積層構成であるが、バックシートに要求される特性をバランスよく達成させるため、積層構成であることが好ましい。
ここで、バックシートに一般的に要求される特性としては、封止材との接着性、機械的強度、耐久性(耐候性、耐加水分解特性など)、光反射性、水蒸気バリア性、難燃性、意匠性、経済性およびラミネート後の外観などが挙げられ、中でも結晶シリコン系太陽電池モジュールの場合には、封止材との接着性、機械的強度、耐久性、経済性およびラミネート後の外観が重要視される。
本発明に用いるバックシート(A)は、これらの特性をバランスよく達成させるため、次のような積層構成が好適に用いられる。なお、本明細書において、例えばA/B/Cの表記は、上から(又は下から)A、B、Cの順に積層していることを示す。
(1)フッ素系樹脂層/接着層/ポリエステル樹脂層/接着層/易接着層(封止材側);具体的には、PVF/接着層/二軸延伸PET/接着層/EVA、PVF/接着層/二軸延伸PET/接着層/PE、PVF/接着層/二軸延伸PET/接着層/PP、ETFE/接着層/二軸延伸PET/接着層/EVA、ETFE/接着層/二軸延伸PET/接着層/PE、ETFE/接着層/二軸延伸PET/接着層/PPなど、
(2)ポリエステル樹脂層/接着層/ポリエステル樹脂層/接着層/易接着層(封止材側);具体的には、二軸延伸PET(耐加水分解処方)/接着層/二軸延伸PET/接着層/EVA、二軸延伸PET(耐加水分解処方)/接着層/二軸延伸PET/接着層/PE、二軸延伸PET(耐加水分解処方)/接着層/二軸延伸PET/接着層/PP、(表面コーティング)二軸延伸PET/接着層/二軸延伸PET/接着層/易接着層など、
(3)ポリエステル樹脂層/接着層/易接着層(封止材側);具体的には、二軸延伸PET(耐加水分解処方)/接着層/EVA、二軸延伸PET(耐加水分解処方)/接着層/PE、二軸延伸PET(耐加水分解処方)/接着層/PP、(表面コーティング)二軸延伸PET/接着層/易接着層などが挙げられる。
上記(1)〜(3)の接着層は必要に応じて配置するものであり、接着層がない構成でもよい。また、水蒸気バリア性を重要視する場合には、例えば、前記した二軸延伸PET(耐加水分解処方)/接着層/二軸延伸PET/接着層/PE構成において、二軸延伸PET(耐加水分解処方)/接着層/各種蒸着層(SiOx、アルミナなど)/二軸延伸PET/接着層/二軸延伸PET)/接着層/PEなどの構成としてもよい。
ここで、易接着層の結晶融解ピーク温度(Tm)は、一般的に、80℃以上、165℃以下である。本発明においては、封止材(B)との接着性や経済性および太陽電池モジュールの外観などの観点から、易接着層の結晶融解ピーク温度(Tm)は、下限値は95℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい、一方、上限値は140℃以下が好ましく、125℃以下がより好ましい。
本発明に用いるバックシート(A)の総厚みは、後述する凸指数を満足すれば特に制限されるものではない。所望する性能を考慮して適宜選択すればよいが、概ね50μm以上、600μm以下、好ましくは、150μm以上、400μm以下である。また、絶縁破壊電圧1kV以上を満足させるためには、200μm以上であることが好ましく、250μm以上であることがより好ましい。
[封止材(B)]
本発明に用いる封止材(B)は、後述する凸指数を満足すれば特に制限されるものではなく、バックシート側、フロントシート側などのいずれの位置にも使用できる。具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アイオノマー(IO)およびポリビニルブチラール(PVB)などを主成分とする封止材が挙げられるが、本発明においては、下記の(B−1)〜(B−4)の各々に示されるオレフィン系重合体を主成分とする封止材が好適に用いられる。ここで、主成分としては、得られる封止材の柔軟性、フィッシュアイ(ゲル)の少なさ、回路の腐食性物質(酢酸など)の少なさおよび経済性などの観点から(B−1)や(B−2)に示されるものが好ましく、中でも低温特性に優れる点で(B−1)に示されるものが特に好適に用いられる。
(B−1)
(B−1)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である。ここで、エチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。
本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが好適に用いられる。また、透明性や柔軟性などの観点からエチレン−α−オレフィンランダム共重合体が好適に用いられる。エチレンと共重合するα−オレフィンは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、エチレンと共重合するα−オレフィンの含有量は、特に制限されるものではないが、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)中の全単量体単位に対して、通常、2モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは3〜30モル%、さらに好ましくは5〜25モル%である。該範囲内であれば、共重合成分により結晶性が低減されることにより透明性が向上し、また、原料ペレットのブロッキングなどの不具合も起こり難いため好ましい。なお、エチレンと共重合する単量体の種類と含有量は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR)測定装置、その他の機器分析装置で定性定量分析することができる。
エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)は、α−オレフィン以外の単量体に基づく単量体単位を含有していてもよい。該単量体としては、例えば、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物(スチレンなど)、ポリエン化合物等が挙げられる。該単量体単位の含有量は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)中の全単量体単位を100モル%とした場合、好ましくは20モル%以下であり、より好ましくは15モル%以下である。
また、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)の立体構造、分岐、分岐度分布、分子量分布や共重合形式(ランダム、ブロックなど)は、特に制限されるものではないが、例えば、長鎖分岐を有する共重合体は、一般に機械物性が良好であり、また、シートを成形する際の溶融張力(メルトテンション)が高くなりカレンダー成形性が向上するなどの利点がある。
本発明に用いられるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が、0.5〜100g/10min程度、好ましくは1〜50g/10min、より好ましくは2〜50g/10min、さらに好ましくは3〜30g/10minである。
ここで、MFRは、シートを成形する際の成形加工性や太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性、回り込み具合などを考慮して選択すればよい。例えば、シートをカレンダー成形する場合には、シートを成形ロールから引き剥がす際のハンドリング性からMFRは、比較的低い値、具体的には0.5〜5g/10min程度が好ましく、また、Tダイを用いて押出成形する場合には、押出負荷を低減させ押出量を増大させる観点からMFRは、1〜50g/10minが好ましく、2〜50g/10minがより好ましく、さらに好ましくは3〜30g/10minである。さらに、太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性や回り込み易さの観点からは、MFRは、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。
本発明に用いられるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が採用できる。例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒やポストメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。本発明においては、重合後の造粒(ペレタイズ)のし易さや原料ペレットのブロッキング防止などの観点から低分子量成分が少なく分子量分布の狭い原料が重合できるシングルサイト触媒を用いた重合方法が好適である。
本発明に用いられるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量は、0〜70J/gであることが好ましい。該範囲内であれば、得られる封止材の柔軟性や透明性(全光線透過率)などが確保されるため好ましい。また、夏場など高温状態での原料ペレットのブロッキングの起こり難さを考慮すると、該結晶融解熱量は、5〜70J/gであることが好ましく、10〜65J/gであることがさらに好ましい。ここで、該結晶融解熱量の参考値としては、汎用の高密度ポリエチレン(HDPE)が170〜220J/g程度、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が100〜160J/g程度である。
上記の結晶融解熱量は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7122に準じて加熱速度10℃/分で測定することができる。
本発明に用いられるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(B−1)の具体例としては、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「エンゲージ(Engage)」、「アフィニティー(Affinity)」、「インフューズ(Infuse)」、エクソンモービル(株)製の商品名「エグザクト(Exact)」、三井化学(株)製の商品名「タフマーH(TAFMER H)」、「タフマーA(TAFMER A)」、「タフマーP(TAFMER P)」、LG化学(株)の商品名「LUCENE」、日本ポリエチレン(株)製の商品名「カーネル(Karnel)」等を例示することができる。
(B−2)
(B−2)は、プロピレンと該プロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体あるいは、プロピレンの単独重合体である。但し、これらの共重合形式(ランダム、ブロックなど)、分岐、分岐度分布や立体構造には特に制限がなく、イソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックあるいはこれらの混在した構造の重合体とすることができる。
共重合可能な他の単量体としては、エチレンや1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン−1、1−オクテン等の炭素数4〜12のα−オレフィンおよびジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、エチリデンノルボルネン等のジエン類等が例示される。
本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からプロピレンと共重合するα−オレフィンとしては、エチレンや1−ブテンが好適に用いられる。また、透明性や柔軟性などの観点からプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体が好適に用いられる。プロピレンと共重合する単量体は1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、プロピレンと共重合可能な他の単量体の含有量は、特に制限されるものではないが、(B−2)中の全単量体単位に対して、通常、2モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは3〜30モル%、さらに好ましくは5〜25モル%である。該範囲内であれば、共重合成分により結晶性が低減されることにより透明性が向上し、また、原料ペレットのブロッキングなどの不具合も起こり難いため好ましい。なお、プロピレンと共重合可能な他の単量体の種類と含有量は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR)測定装置、その他の機器分析装置で定性定量分析することができる。
本発明に用いられる(B−2)のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:230℃、荷重:21.18N)が、0.5〜100g/10min程度、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。
ここで、MFRは、シートを成形する際の成形加工性や太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性、回り込み具合などを考慮して選択すればよい。例えば、シートをカレンダー成形する場合には、シートを成形ロールから引き剥がす際のハンドリング性からMFRは、比較的低い方、具体的には0.5〜5g/10min程度が好ましく、また、Tダイを用いて押出成形する場合には、押出負荷を低減させ押出量を増大させる観点からMFRは、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。さらに、太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性や回り込み易さの観点からは、MFRは、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。
本発明に用いられるプロピレンと該プロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体あるいは、プロピレンの単独重合体(B−2)の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が採用できる。例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒やポストメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。本発明においては、重合後の造粒(ペレタイズ)のし易さや原料ペレットのブロッキング防止などの観点から低分子量成分が少なく分子量分布の狭い原料が重合できるシングルサイト触媒を用いた重合方法が好適である。
本発明に用いられる(B−2)の具体例としては、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体やプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体などが挙げられ、具体的な商品としては、三井化学(株)製の商品名「タフマーXM(TAFMER XM)」、「ノティオ(NOTIO)」、住友化学(株)商品名「タフセレン(TAFFCELLEN)」、(株)プライムポリマー(株)製の商品名「プライムTPO(PRIME TPO)」、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「バーシファイ(VERSIFY)」、エクソンモービル(株)製の商品名「ビスタマックス(VISTAMAXX)」等を例示することができる。
(B−3)
(B−3)は、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンと脂肪族不飽和カルボン酸とからなる共重合体の金属塩(好ましい金属はZn、Na、K、Li、Mg等である)である。
具体的な商品としては、三井化学(株)製の商品名「ハイミラン(HIMILAN)」、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「アンプリファイIO(AMPLIFY IO)」等を例示することができる。
(B−4)
(B−4)は、エチレンと、酢酸ビニルエステル、脂肪族不飽和カルボン酸および脂肪族不飽和モノカルボン酸アルキルエステルより選ばれる少なくとも1つの単量体とからなるエチレン系共重合体である。
具体的には、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。ここで、該エステル成分としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどの炭素数1〜8のアルキルエステルが挙げられる。本発明においては、上記2成分の共重合体に制限されることなく、さらに第3の成分を加えた3成分以上の多元共重合体(例えば、エチレンと脂肪族不飽和カルボン酸および脂肪族不飽和カルボン酸エステルより適宜選ばれる3元以上の共重合体等)であってもよい。エチレンと共重合される単量体の含有量は、共重合体中の全単量体単位に対して、通常5〜35質量%である。
本発明に用いる封止材(B)は、単層あるいは積層構成であるが、封止材に要求される特性をバランスよく達成させるため、積層構成であることが好ましい。ここで、封止材に一般的に要求される特性としては、太陽電池素子を保護するための柔軟性や耐衝撃性、太陽電池モジュールが発熱した際の耐熱性、太陽電池素子へ太陽光が効率的に届くための透明性(全光線透過率など)、各種被着体(ガラスやバックシートなど)への接着性、耐久性、寸法安定性、難燃性、水蒸気バリア性、経済性等が挙げられる。中でも柔軟性と耐熱性および透明性のバランスと経済性が重要視される。
(オレフィン系重合体の結晶融解ピーク温度)
ここで、封止材の柔軟性を重視すると主成分とするオレフィン系重合体の結晶融解ピーク温度(Tm)は、100℃未満であることが好ましいが、結晶融解ピーク温度を発現しない、すなわち非晶性の重合体も適用可能である(以下、非晶性の重合体を含めて、結晶融解ピーク温度が100℃未満のオレフィン系重合体と呼ぶ)。原料ペレットのブロッキングなどを考慮すると、該結晶融解ピーク温度が30〜95℃であることが好ましく、45〜80℃であることがより好ましく、60〜80℃であることがさらに好ましい。
また、封止材の耐熱性を重視すると、結晶融解ピーク温度(Tm)が100℃未満のオレフィン系重合体に結晶融解ピーク温度(Tm)が100℃以上のオレフィン系重合体を混合して用いることが好ましい。混合するオレフィン系重合体の結晶融解ピーク温度(Tm)の上限値は、特に制限されるものではないが、太陽電池素子(セル)の熱劣化や太陽電池モジュール作製時のラミネート設定温度を考慮すると150℃程度である。本発明においては、太陽電池モジュールを作製する際のラミネート設定温度を低温化でき、太陽電池素子(セル)を熱劣化させにくいことから130℃以下であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましい。
ここで、該結晶融解ピーク温度の参考値としては、汎用の高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)が130〜145℃程度、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が100〜125℃程度、汎用のホモポリプロピレン樹脂が165℃程度、汎用のプロピレン−エチレンランダム共重合体が130〜150℃程度である。上記の結晶融解ピーク温度は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121に準じて加熱速度10℃/分で測定することができる。
本発明に用いる封止材(B)は、上述したように結晶融解ピーク温度が100℃未満のオレフィン系重合体と結晶融解ピーク温度が100℃以上のオレフィン系重合体を含有する樹脂組成物からなることが好ましい。
ここで、樹脂組成物中における両オレフィン系重合体の含有量は、特に制限されるものではないが、得られる封止材の柔軟性、耐熱性、透明性等を考慮すると、両オレフィン系重合体の混合(含有)質量比(結晶融解ピーク温度が100℃未満のオレフィン系重合体/結晶融解ピーク温度が100℃以上のオレフィン系重合体)は、好ましくは99〜50/1〜50、より好ましくは、98〜60/2〜40、より好ましくは、97〜70/3〜30、さらに好ましくは、97〜80/3〜20、よりさらに好ましくは、97〜90/3〜10である。但し、両オレフィン系重合体の合計を100質量部とする。ここで、混合(含有)質量比が該範囲内であれば、柔軟性、耐熱性、透明性等のバランスに優れた封止材が得られ易いため好ましい。
ここで、本発明に用いる封止材(B)に混合する結晶融解ピーク温度が100℃以上のオレフィン系重合体は、所望の特性を考慮し適宜選択すれば良いが、本発明においては、耐熱性、柔軟性および低温特性などのバランスに優れることからエチレン−α−オレフィンブロック共重合体が最も好適に用いることができる。
<エチレン−α−オレフィンブロック共重合体>
ここで、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体のブロック構造は、特に制限されるものではないが、柔軟性、耐熱性、透明性等のバランス化の観点から、コモノマー含有率、結晶性、密度、結晶融解ピーク温度(Tm)、又はガラス転移温度(Tg)の異なる2つ以上のセグメント又はブロックを含有するマルチブロック構造であることが好ましい。具体的には、完全対称ブロック、非対称ブロック、テ−パ−ドブロック構造(ブロック構造の比率が主鎖内で漸増する構造)などが挙げられる。該マルチブロック構造を有する共重合体の構造や製造方法については、国際公開第2005/090425号パンフレット(WO2005/090425)、国際公開第2005/090426号パンフレット(WO2005/090426)、および国際公開第2005/090427号パンフレット(WO2005/090427)などで詳細に開示されているものを採用することができる。
次に、前記マルチブロック構造を有するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体について、以下、詳細に説明する。
該マルチブロック構造を有するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体は、本発明において好適に使用でき、α−オレフィンとして1−オクテンを共重合成分とするエチレン−オクテンマルチブロック共重合体が好ましい。該ブロック共重合体としては、エチレンに対してオクテン成分が多く(約15〜20モル%)共重合されたほぼ非晶性のソフトセグメントと、エチレンに対してオクテン成分が少なく(約2モル%未満)共重合された結晶融解ピーク温度が110〜145℃である高結晶性のハードセグメントが、各々2つ以上存在するマルチブロック共重合体が好ましい。これらのソフトセグメントとハードセグメントの連鎖長や比率を制御することにより、柔軟性と耐熱性の両立を達成することができる。
該マルチブロック構造を有する共重合体の具体例としては、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「インフューズ(Infuse)」が挙げられる。
本発明に用いる封止材(B)の表面には、ハンドリング性やエア抜きのし易さと共に各種被着体(ガラスやバックシートなど)への接着性が重要な機能として要求される。このため、本発明においては、後述するシランカップリング剤の添加やシラン変性エチレン系樹脂を混合した樹脂組成物が好適に用いられる。
(シラン変性エチレン系樹脂)
ここで、シラン変性エチレン系樹脂について説明する。
本発明に用いられるシラン変性エチレン系樹脂は、通常、ポリエチレン系樹脂とビニルシラン化合物及びラジカル発生剤を高温(160℃〜220℃程度)で溶融混合し、グラフト重合させることにより得ることができる。
<ポリエチレン系樹脂>
上記ポリエチレン系樹脂としては、特に制限されるものではないが、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、または直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる。これらは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、特には、前記(B−1)で挙げたポリエチレンを好ましく使用することができる。
本発明においては、透明性や柔軟性が良好となることから密度が低いポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。具体的には、密度が0.850〜0.920g/cm3のポリエチレン系樹脂が好ましく、特には、密度が0.860〜0.880g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。また、密度が低いポリエチレン系樹脂と密度が高いポリエチレン系樹脂を組み合わせて用いてもよい。組み合わせて用いることで、透明性や柔軟性と耐熱性のバランスが比較的容易に調整できるため好ましい。
<ビニルシラン化合物>
ビニルシラン化合物としては、上記ポリエチレン系樹脂とグラフト重合するものであれば特に制限されるものではないが、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、および、ビニルトリカルボキシシランが挙げられる。これらビニルシラン化合物は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、反応性、接着性や色調などの観点からビニルトリメトキシシランが好適に用いられる。
また、該ビニルシラン化合物の添加量は、特に制限されるものではないが、用いるポリエチレン系樹脂100質量部に対し、通常、0.01〜10.0質量部程度であり、好ましくは0.3〜8.0質量部であり、より好ましくは1.0〜5.0質量部である。
<ラジカル発生剤>
ラジカル発生剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−パーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、または、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。これらラジカル発生剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
該ラジカル発生剤の添加量は、特に制限されるものではないが、用いるポリエチレン系樹脂100質量部に対し、通常、0.01〜5.0質量部程度であり、好ましくは0.02〜1.0質量部であり、より好ましくは0.03〜0.5質量部である。また、該ラジカル発生剤の残存量は、本発明に用いる封止材(B)を構成する樹脂組成物中に0.001質量%以下であることが好ましい。さらには、本発明に用いる封止材(B)のゲル分率は30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、0%であることがよりさらに好ましい。
本発明で用いられるシラン変性エチレン系樹脂や樹脂組成物中には、シラノール間の縮合反応を促進するシラノール縮合触媒を実質的に含有していないことが好ましい。該シラノール縮合触媒の具体例としては、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレートなどが挙げられる。
ここで、実質的に含有していないとは、樹脂組成物100質量部に対して、0.05質量部以下、好ましくは0.03質量部以下、さらに好ましくは0.00質量部である。
ここで、シラノール縮合触媒を実質的に含有していないことが好ましい理由は、本発明においては、シラノール架橋反応を積極的に進行させず、用いるポリエチレン系樹脂にグラフトされたシラノール基などの極性基と被着体(ガラス、各種プラスチックシート(コロナ処理などの表面処理を適宜施し、濡れ指数が50mN/m以上のものが好適に用いられる)、金属など)との水素結合や共有結合などの相互作用により接着性を発現させることを目的としているためである。
本発明に用いられるシラン変性エチレン系樹脂は、前述の通り、通常は上記ポリエチレン系樹脂とビニルシラン化合物及びラジカル発生剤を高温(160℃〜220℃程度)で溶融混合し、グラフト重合させて得られるものである。よって、本発明に用いられるシラン変性エチレン系樹脂の密度、及びMFRの好適な範囲については、上記ポリエチレン系樹脂の密度、及びMFRの好適な範囲と同様となる。
本発明に用いられるシラン変性エチレン系樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の商品名「リンクロン(LINKLON)」を例示することができる。
(添加剤)
本発明に用いる封止材(B)を構成する樹脂組成物には、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。該添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、光拡散剤、放熱剤、造核剤、顔料(例えば、酸化チタン、カーボンブラックなど)、難燃剤、変色防止剤などが挙げられる。本発明においては、封止材(B)が、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤が添加されていることが後述する理由等から好ましい。また、本発明においては、封止材を構成する樹脂組成物に架橋剤や架橋助剤を添加する必要はないが、添加することを排除するものではなく、例えば、高度の耐熱性を要求される場合は架橋剤および/または架橋助剤を配合してもよい。本発明においては、用いる封止材(B)が実質的に架橋しない封止材であることが好ましい。ここで、実質的に架橋しないとは、ASTM 2765−95で測定してキシレン可溶物が少なくとも70%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは95%以上であることとする。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤は、封止材の保護材(ガラス、樹脂製のフロントシート、バックシートなど)や太陽電池素子等に対する接着性を向上させるのに有用であり、その例としては、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のような不飽和基、アミノ基、エポキシ基などとともに、アルコキシ基のような加水分解可能な基を有する化合物を挙げることができる。シランカップリング剤の具体例としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを例示することができる。これらシランカップリング剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、接着性が良好であり、黄変などの変色が少ないこと等からγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく用いられる。
該シランカップリング剤の添加量は、封止材(B)を構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常、0.1〜5質量部程度であり、好ましくは0.2〜3質量部である。また、シランカップリング剤と同様に、有機チタネート化合物などのカップリング剤も有効に活用できる。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、種々の市販品が適用でき、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、ホスファイト系など各種タイプのものを挙げることができる。モノフェノール系としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールなどを挙げることができる。ビスフェノール系としては、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ〕5,5−ウンデカンなどを挙げることができる。
高分子型フェノール系としては、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3′−ビス−4′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール(ビタミンE)などを挙げることができる。
硫黄系としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネートなどを挙げることができる。
ホスファイト系としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノおよび/またはジ)フェニルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどを挙げることができる。
上記酸化防止剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、酸化防止剤の効果、熱安定性、経済性等からモノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系などのフェノール系およびホスファイト系の酸化防止剤が好ましく用いられ、両者を組み合わせて用いることがさらに好ましい。該酸化防止剤の添加量は、封止材(B)を構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常、0.1〜1質量部程度であり、好ましくは0.2〜0.5質量部である。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては、種々の市販品が適用でき、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5− クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2− ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。またトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールなどを挙げることができる。サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどを挙げることができる。
該紫外線吸収剤の添加量は、封止材(B)を構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常、0.01〜2.0質量部程度であり、好ましくは0.05〜0.5質量部である。
<耐候安定剤>
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示す。ヒンダードアミン系以外にも光安定化剤として機能するものはあるが、着色している場合が多く本発明に用いる封止材(B)には好ましくない。
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などを挙げることができる。
該ヒンダードアミン系光安定化剤の添加量は、封止材(B)を構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常、0.01〜0.5質量部程度であり、好ましくは0.05〜0.3質量部である。
本発明に用いる封止材(B)の柔軟性は、後述する凸指数を満足すれば特に制限されるものではない。適用される太陽電池の形状や厚み、設置場所などを考慮して適宜調整することができる。
例えば、封止材(B)の動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E´)が1〜2000MPaであることが好ましい。太陽電池素子の保護や柔軟性を考慮すると、1〜100MPaであることが好ましく、5〜50MPaであることがより好ましく、5〜30MPaであることがさらに好ましい。尚、封止材(B)が積層構成の場合は、前記貯蔵弾性率(E´)は積層構成全体の封止材の貯蔵弾性率をいう。また、シート形状などで封止材を採取した場合のハンドリング性やシート表面同士のブロッキング防止、あるいは、太陽電池モジュールにおける軽量化(通常3mm程度に対して、薄膜ガラス(1.1mm程度)が適用可能、あるいはガラスレスの構成が適用可能)などを考慮すると、100〜800MPaであることが好ましく、200〜600MPaであることがより好ましい。該貯蔵弾性率(E´)は、粘弾性測定装置を用いて、振動周波数10Hzで所定温度範囲を測定し、温度20℃における値を求めることで得られる。
本発明に用いる封止材(B)の耐熱性は、用いるオレフィン系重合体の諸特性(結晶融解ピーク温度、結晶融解熱量、MFR、分子量など)により影響され、これらを適宜選択することで調整することができるが、特に、オレフィン系重合体の結晶融解ピーク温度と分子量が強く影響する。一般的に、太陽電池モジュールは発電時の発熱や太陽光の輻射熱などで85℃程度まで昇温するが、該結晶融解ピーク温度が100℃以上であれば、本発明に用いる封止材(B)の耐熱性を確保することができるため好ましい。
本発明に用いる封止材(B)の全光線透過率(JIS K7105)は、適用する太陽電池の種類、例えばアモルファスの薄膜系シリコン型などや太陽電子素子に届く太陽光を遮らない部位に適用する場合には、あまり重視されないこともあるが、太陽電池の光電変換効率や各種部材を重ね合わせる時のハンドリング性などを考慮し、85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
本発明に用いる封止材(B)の柔軟性、耐熱性および透明性については背反特性になり易い。具体的には、柔軟性を向上させるために用いる樹脂組成物の結晶性を低下させ過ぎると、耐熱性が低下し不十分となる。一方、耐熱性を向上させるために用いる樹脂組成物の結晶性を向上させ過ぎると、透明性が低下し不十分となる。これらのバランスを考慮すると、柔軟性の指標として動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E´)、耐熱性の指標としてオレフィン系重合体について示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度、および透明性の指標として全光線透過率を用いた場合、柔軟性、耐熱性および透明性のいずれも満足させるためには、上記3つの指標が、貯蔵弾性率(E´)が1〜2000MPa、結晶融解ピーク温度が100℃以上、全光線透過率85%以上であることが好ましく、貯蔵弾性率(E´)が5〜800MPa、結晶融解ピーク温度が102〜150℃、全光線透過率85%以上であることがさらに好ましく、貯蔵弾性率(E´)が10〜600MPa、結晶融解ピーク温度が105〜130℃、全光線透過率88%以上であることがよりさらに好ましい。
次に、本発明に用いる封止材(B)の製造方法について説明する。
封止材の形状は、限定されるものではなく、液状であっても、シート状であってもよいが、取り扱い性の観点からシート状であるのが好ましい。
シート状の封止材の製膜方法としては、公知の方法、例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法、カレンダー法やインフレーション法等を採用することができ、特に制限されるものではないが、本発明においては、ハンドリング性や生産性等の面からTダイを用いる押出キャスト法が好適に用いられる。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね130〜300℃、好ましくは、150〜250℃である。
封止材の厚みは特に限定されるものではないが、通常0.03mm以上、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上であり、かつ、通常1mm以下、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。
シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤等の各種添加剤は、予め樹脂とともにドライブレンドしてからホッパーに供給してもよいし、予め全ての材料を溶融混合してペレットを作製してから供給してもよいし、添加剤のみを予め樹脂に濃縮したマスターバッチを作製し供給してもよい。また、シート状で得られた封止材の表面及び/または裏面には、必要に応じて、シートを巻物とした場合のシート同士のブロッキング防止や太陽電池素子のラミネート工程でのハンドリング性やエア抜きのし易さ向上などの目的のためエンボス加工や種々の凹凸(円錐や角錐形状や半球形状など)加工を行ってもよい。
また、各種被着体への接着性を向上させる目的で表面にコロナ処理やプラズマ処理およびプライマー処理などの各種表面処理を行うことができる。ここで、表面処理量の目安としては、濡れ指数で50mN/m以上であることが好ましく、52mN/m以上であることがより好ましい。濡れ指数の上限値は一般的に70mN/m程度である。
また、本発明に用いる封止材(B)は、単層あるいは積層構成であるが、前述の通り、封止材に要求される特性をバランスよく達成させるため、組成内容や組成比が異なる複数の層からなる積層構成が好ましく、さらには、その際に押出機を用いて多層ダイにより共押出する積層構成であることが好ましい。
上記複数の層からなる積層構成としては、少なくとも、後述する軟質層及び硬質層を有する積層構成が挙げられ、例えば、次のような積層構成が好適に用いられる。
(1)2種3層構成;具体的には、軟質層/硬質層/軟質層、硬質層/軟質層/硬質層、接着層/中間層/接着層、軟質層/再生添加層/軟質層など、
(2)2種2層構成;具体的には、軟質層/硬質層、軟質層(I)/軟質層(II)、接着層/軟質層、接着層/硬質層、軟質層(添加剤含む)/軟質層(添加剤含まず)、軟質層(添加剤Aを含む)/軟質層(添加剤Bを含む)(添加剤処方が異なる)など、
(3)3種3層構成;具体的には、軟質層/接着層/硬質層、軟質層(I)/中間層/軟質層(II)、接着層(I)/中間層/接着層(II)など、
(4)3種5層構成;具体的には、軟質層/接着層/硬質層/接着層/軟質層、硬質層/接着層/軟質層/接着層/硬質層、軟質層/再生添加層/硬質層/再生添加層/軟質層および軟質層/再生添加層/硬質層/再生添加層/硬質層などが挙げられる。
本発明においては、柔軟性と耐熱性および透明性のバランスと経済性の観点から、軟質層/硬質層/軟質層、硬質層/軟質層/硬質層、接着層/中間層/接着層、軟質層/再生添加層/軟質層などに代表される(1)2種3層構成が好適に用いられる。上記(1)の2種3層構成の中でも、特に、軟質層/硬質層/軟質層が好ましい。
なお、中間層とは、封止材(B)の厚さを増すためや所望の性能を向上させるなどの観点から設けられ、例えばオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成される層である。再生添加層とは、経済合理性や資源の有効活用などの観点から設けられ、例えば封止材(B)の製膜やスリット加工などの際に生じるトリミング(耳)を再生添加した樹脂組成物から形成される層である。
接着層とは、隣接する層同士や被着体などへの接着性を向上させる観点から設けられ、例えばカルボキシル基、アミノ基、イミド基、水酸基、エポキシ基、オキサゾリン基、チオール基及びシラノール基などの極性基で変性された樹脂や粘着付与樹脂などを含有する樹脂組成物から形成される層である。
また、上記添加剤としては、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、光拡散剤、放熱剤、造核剤、顔料、難燃剤、変色防止剤、架橋剤及び架橋助剤などが挙げられる。
ここで、軟質層とは、動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E´)が100MPa未満、好ましくは、5〜50MPaの層であり、硬質層とは、貯蔵弾性率(E´)が100MPa以上、好ましくは、200〜800MPaの層である。このような積層構成を採用することにより、太陽電池素子の保護性と封止材全体としてのハンドリング性(常温での弾性率など)の両立が比較的容易に実現することができるため好ましい。また、常温での剛性と柔軟性を両立することにより、薄肉ガラス(例えば、1.1mmなど)、あるいはガラスレスなどの構成が適用できるようになり軽量化なども期待できる。
ここで、太陽電池素子に密着する軟質層の厚みは、特に制限されるものではないが、太陽電池素子の保護性や樹脂の回り込み性などを考慮すると、0.005mm以上であることが好ましく、0.02〜0.2mmであることがより好ましい。なお、上記軟質層の各々の厚みは、同一でも異なっていてもよい。また、硬質層の厚みは、特に制限されるものではないが、封止材全体としてのハンドリング性の点から、0.025mm以上であることが好ましく、0.05〜0.8mmであることがより好ましい。
本発明に用いられる封止材をシート状に作製する場合、さらに別の基材フィルム(例えば、延伸ポリエステルフィルム(OPET)、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)やエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)およびアクリル系などの各種耐候性フィルムなど)と押出ラミ、共押出やサンドラミなどの方法で積層してもよい。本発明に用いる封止材(B)と各種基材層を積層することによりハンドリング性の向上や積層比に応じて必要な特性や経済性などが比較的容易に調整することができる。
本発明の太陽電池用モジュールは、前記バックシート(A)と封止材(B)とが一体化している部材であることが好ましい。
[バックシート−封止材一体型シート]
本発明に用いるバックシート(A)と封止材(B)は、各々単独で組み合わせてもよいし、バックシートと封止材が予め一体化されたバックシート−封止材一体型シートも好適に用いられる。本発明のバックシート−封止材一体型シートは、少なくとも、前記バックシート(A)と、前記封止材(B)とを備える。
ここで、バックシート−封止材一体型シートを用いると、部材点数が削減できることからラミネート時のレイアップ工程が短縮できたり、ハンドリング性が向上できるため好ましい。また、該シートを用いることにより、バックシートと封止材の層間の接着信頼性も向上するため好ましい。さらに、効率的にラミネート条件を設定できることから、条件検討に要する時間と各種部材の費用が抑制され、結果、太陽電池モジュールの製造コストを大幅に低減させることが期待できる。
次に、バックシート−封止材一体型シートの製造方法について記載する。バックシート−封止材一体型シートの製造方法については、特に制限されるものではないが、一般的に、熱ラミネーション法、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、カレンダーコート法、共押出法など公知の製造方法が挙げられる。本発明においては、熱ラミネーション法、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、共押出法が好適に用いられる。以下に簡単に説明する。
熱ラミネーション法は、予めシート状に製膜された2枚のシート、本発明の場合には、バックシート(A)と封止材(B)とを、重ねて加熱ロールなどで加熱加圧して熱接着させる方法である。
ドライラミネーション法は、予めシート状に製膜された2枚のシート、本発明の場合には、バックシート(A)と封止材(B)とを、2液硬化型のポリウレタン系接着剤などを用いて、これを一方のシート、例えばバックシート(A)の積層面に塗布し、熱風乾燥などにより溶剤成分を除去し、硬化前のタック(粘着性)のある状態で、その上にもう一方のシート、即ち、封止材(B)を重ねて圧着し、通常、ロール状に巻き上げ、常温または比較的低い加熱温度で保存して、経時的に接着剤を硬化させて貼り合わせる方法である。
押出ラミネーション法は、予めシート状に製膜されたバックシート(A)とTダイなどで膜状に溶融押出された封止材(B)とをロール圧着し、冷却して積層する方法である。この際、バックシート(A)と封止材(B)との層間に接着性樹脂や、アンカーコート(プライマーコートの一種)を配置してもよい。
カレンダーコート法は、例えば熱可塑性樹脂、本発明の場合には、封止材(B)を構成する樹脂組成物を、カレンダーで加熱して膜状に成形すると同時に、これをバックシート(A)の積層面に重ねて被覆し、圧着、冷却して積層する方法である。この場合もバックシート(A)の積層面には、必要に応じてアンカーコートを施すことができる。
共押出法は、バックシート(A)を構成する樹脂組成物と封止材(B)を構成する樹脂組成物とを、フィードブロックもしくはマルチマニホールドダイなどで膜状に積層し、チルロールで冷却、圧着して積層する方法である。ここで、必要性に応じて、2層の間に接着層を介在させてもよい。
[凸指数(σ(A)/G´(B))]
本発明の太陽電池モジュールは、ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))が60.0以下であることが重要である。ここで、収縮応力(σ(A))は、ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の測定値(Pa)であり、せん断弾性率(G´(B))は、ラミネート設定温度における振動周波数1Hzでの封止材(B)の測定値(Pa)である。
本発明において、「ラミネート設定温度」とは、バックシート(A)、封止材(B)、後述する太陽電池(セル)及び後述する上部保護材を重ね合せ、ラミネートする際のラミネーターの設定温度であり、「ラミネート温度域」とは、ラミネート設定温度の範囲である。また、ラミネート設定温度は、好ましくは100℃以上、170℃以下であり、より好ましくは100℃以上、135℃以下である。
本発明において、ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))、すなわち、凸指数が前記範囲にあると、太陽電池モジュールをラミネートした後にバックシート面の凸現象が抑制され、外観が良好となるため好ましい。
本発明においては、バックシート面の凸現象が発現するメカニズムは次のように推定している。ここでは、ガラス/封止材/セル/封止材/バックシートで構成される代表的な太陽電池モジュールを例にして説明する。まず、バックシート面の凸現象(すなわち、凸状の突起が発生する現象)の原因は、セルとセルとを繋ぐ配線(リード線)が座屈したり、『へ』の字状に盛り上がるなどの変形である。これは主に、ラミネート温度域(100〜170℃程度)で発生するバックシートの熱収縮挙動に起因する収縮応力によりセル間の間隔が狭まるためであると考えられる。
本発明においては、ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))、すなわち、凸指数がセル間の間隔が狭まる挙動と相関があることを見出したものである。これは、ラミネート温度域で発生するバックシート(A)の熱収縮挙動に起因する収縮応力によりセル間の間隔が狭まる挙動を封止材(B)の弾性率で抑制させるという考え方である。さらに詳述すると、ラミネート温度域で発生するバックシート(A)の熱収縮挙動に起因する収縮応力は、本発明に用いる封止材(B)を介在してセルや配線に影響し、セル間の間隔が狭まる挙動を生じる。本発明においては、用いる封止材(B)のせん断弾性率を制御し、そのバランスで該挙動を抑制できることを見出したものである。つまり、バックシート(A)の収縮応力が同じであれば、封止材(B)のせん断弾性率が大きいほど、凸現象は抑制され、凸指数は小さくなるのである。
本発明において、凸指数の下限値は、通常、0(ゼロ)である。これは、バックシート(A)の収縮応力が0(ゼロ)、言い換えれば、熱収縮率が0(ゼロ)の場合である。しかしながら、バックシート(A)の熱収縮率を0(ゼロ)にすることは熱処理や弛緩処理などの方法により可能であるが、経済性を考慮すると現実的ではないと思われる。これらのことから、本発明において凸指数は、0.01以上、60.0以下であることが好ましく、0.01以上、40.0以下であることがより好ましく、0.01以上、35.0以下であることがさらに好ましく、1.0以上、20.0以下であることがよりさらに好ましい。
ここで、凸指数の上限値については、より小さいほど好ましいが、下限値については、経済性とラミネート時の封止材の回りこみ性などを考慮し、1.0以上が好ましい。
ここで、本発明で使用するバックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の測定方法について説明する。
まず、バックシート(A)の収縮応力(σ(A))は、用いたバックシート(A)から縦方向70mm、横方向10mmの大きさに試料を3枚切り取り、チャック間距離50mmで両端を固定し、ラミネート設定温度のシリコンバスに5分間浸漬し、縦方向に発生する最大の収縮応力の平均値(Pa)を求めたものである。
次に、封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))は、Rheology社製のレオメーター(商品名「レオメーターMR−300T」)を用いて、振動周波数1Hz、昇温速度3℃/分、歪0.5%の条件で、φ20mmパラレルプレート上にのせた試料(厚さ0.3mm)のせん断弾性率(G´)を80℃〜200℃の温度範囲で測定し、ラミネート設定温度における値(Pa)を求めたものである。
(凸指数の制御方法)
次に、凸指数の制御方法について説明する。凸現象を抑制するためには、凸指数はより小さいほど好ましい。凸指数を小さくするためには(1)ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の熱収縮挙動に起因する収縮応力(σ(A))を小さくする方法と(2)ラミネート設定温度における封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))を大きくする方法および(3)ラミネートを低温で行うことが主に挙げられる。
ここで、(1)ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の熱収縮挙動に起因する収縮応力(σ(A))を小さくする方法としては、特に制限されるものではないが、次のような方法が挙げられる。バックシート(A)を構成する基材あるいはバックシート(A)全体をテンターや熱処理ロールなどを用いて熱処理(アニーリング処理)(150〜200℃程度)や弛緩処理を行い、バックシート(A)の熱収縮挙動をゼロに近づけることで収縮応力(σ(A))を小さくする方法や各種基材シートからバックシート(A)をラミネートなどの方法で作製する際に熱処理や弛緩処理などを行い、バックシート(A)の熱収縮挙動をゼロに近づけることで収縮応力(σ(A))を小さくする方法やラミネート設定温度における弾性率が低い層(例えばPE層など)を積層し、バックシート(A)のラミネート設定温度における弾性率を低く抑えることで収縮応力(σ(A))を小さくする方法などが挙げられる。
本発明においては、バックシート(A)の収縮応力(σ(A))は、130℃および150℃において、7×105Pa以下であることが好ましく、6×105Pa以下であることがより好ましく、4×105Pa以下であることがさらに好ましく、3×105Pa以下であることがよりさらに好ましい。このように、広い温度範囲で低い収縮応力を有することにより、凸現象はより安定するものと考えられる。収縮応力の下限値は通常0(ゼロ)Paである。また、バックシート(A)の熱収縮率は、150℃、30分において、1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.8%以下であることがさらに好ましく、0.5%以下であることがよりさらに好ましい。熱収縮率の下限値は通常0(ゼロ)%である。
次に、(2)ラミネート設定温度における封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))を大きくする方法としては、特に制限されるものではないが、次のような方法が挙げられる。封止材(B)を構成する材料の分子量を上げる方法や、長鎖分岐を導入する方法や、結晶性を向上させたり、核剤を添加すること等により冷却時の結晶化速度を上げる方法、および架橋させる方法などが挙げられる。
本発明においては、封止材(B)を構成する材料の分子量を上げる方法が工業的に原料を入手しやすく、経済性やリサイクル性にも優れているため好適に用いられる。本発明においては、封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))は、130℃および150℃、振動周波数1Hzにおいて、1×103〜1×105Paであることが好ましく、5×103〜5×104Paであることがより好ましく、8×103〜3×104Paであることがさらに好ましい。具体的には、メルトフローレート(MFR)を選択すればよく、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が、0.5〜10g/10min程度、より好ましくは0.8〜8g/10min、さらに好ましくは1〜5g/10minであるものが用いられる。
さらに、(3)ラミネートを低温で行うことにより凸指数をより小さく抑制することも可能である。これは、ラミネート設定温度を低温にするとバックシート(A)の熱収縮挙動が抑制されることで発生する収縮応力(σ(A))が小さくなり、同時に、封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))が高温の時よりも大きくなるため、結果として、凸指数を小さく抑制できるからである。ここで、ラミネート設定温度が100℃以上であればガラスやバックシートとの接着性が得られるので好ましい。一方、135℃以下であれば、凸指数を低減し凸現象が抑制され易いので好ましい。また、ラミネートを他の特性を考慮してできるだけ短時間(例えば、真空引き時間5分、プレス保持時間5分など)で行うことも効果的である。
また、ラミネート終了後に冷却ファン、冷却ロールや冷却ベルトなどにより強制冷却する方法も効果がある場合がある。これは、特に用いる封止材(B)が架橋しない封止材の場合には、ラミネート直後には封止材が高温状態でせん断弾性率(G´(B))が低い状態にあり、これを冷却により向上させる効果があるためである。しかしながら、該方法は、ラミネート装置の仕様により標準装備されていなかったり、強制冷却することでガラスに歪が生じ、太陽電池モジュールに反りなどが発生する懸念点が挙げられる。
[太陽電池モジュール]
次に本発明の太陽電池モジュールは、封止材(B)を用い、太陽電池素子を上下の保護材であるフロントシートおよびバックシート(A)で固定することにより製作することができる。このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができ、好ましくは、封止材と、上部保護材と、太陽電池素子と、下部保護材とを用いて作製された太陽電池モジュールが挙げられ、具体的には、上部保護材/封止材(封止樹脂層)/太陽電池素子/封止材(封止樹脂層)/下部保護材のように太陽電池素子の両側から封止材で挟むような構成のもの(図1参照)、下部保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子上に封止材と上部保護材を形成させるような構成のもの、上部保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作製したものの上に封止材と下部保護材を形成させるような構成のものなどを挙げることができる。
なお、本発明の太陽電池モジュールにおいて、封止材が2箇所以上の部位に使用される場合、全ての部位に同じ封止材を用いてもよいし、樹脂組成、表面形状、厚みなどが異なる封止材を用いてもよい。
太陽電池素子(セル)としては、特に制限されるものではないが、例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルルなどのIII−V族やII−VI族化合物半導体型、色素増感型、有機薄膜型等が挙げられる。特に、単結晶シリコン型及び多結晶シリコン型の太陽電池が好適に用いられる。
また、フロントシート(上部保護材)としては、特に制限されるものではないが、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素含有樹脂などの板材やフィルムの単層もしくは多層の保護材が挙げられる。特に、経済性や力学強度などからガラス板材、また、軽量性や加工性などからアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂の厚みが5mm程度の板材が好適に用いられる。
本発明の太陽電池モジュールを既述した上部保護材/封止材(封止樹脂層)/太陽電池素子/封止材(封止樹脂層)/下部保護材のように太陽電池素子の両側から封止材で挟むような構成のものを例として説明する。図1に示すように、太陽光受光側から順に、透明基板10、封止樹脂層12A、太陽電池素子14A,14B、封止樹脂層12B、バックシート16が積層されてなり、さらに、バックシート16の下面にジャンクションボックス18(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる。太陽電池素子14A及び14Bは、発電電流を外部へ電導するために配線20により連結されている。配線20は、バックシート16に設けられた貫通孔(不図示)を通じて外部へ取り出され、ジャンクションボックス18に接続されている。
太陽電池モジュールの製造方法としては、公知の製造方法が適用でき、特に制限されるものではないが、一般的には、上部保護材、封止樹脂層、太陽電池素子、封止樹脂層、下部保護材の順に積み重ねる工程と、それらを真空吸引し加熱圧着する、即ちラミネートする工程を有する。また、バッチ式の製造設備やロール・ツー・ロール式の製造設備なども適用することができる。
本発明の太陽電池モジュールは、適用される太陽電池のタイプとモジュール形状により、モバイル機器に代表される小型太陽電池、屋根や屋上に設置される大型太陽電池など屋内、屋外に関わらず各種用途に適用することができる。本発明において課題とする凸現象の発生や外観不良の問題は、小さいサイズのモジュールでは、起こりにくく、大きいサイズのモジュールで特に起こりやすい現象であるため、本発明は、例えばサイズが90cm×90cm以上、特に90cm×100cm以上のモジュールにおいて、より効果を奏する。
以下に実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示される種々の測定値および評価は次のようにして行った。ここで、シートの押出機からの流れ方向を縦方向(MD)、その直交方向を横方向(TD)と呼ぶ。
[測定及び評価方法]
(1)結晶融解ピーク温度(Tm)
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「Pyris1 DSC」を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解ピーク温度(Tm)(℃)を求めた。
(2)結晶融解熱量(ΔHm)
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「Pyris1 DSC」を用いて、JIS K7122に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解熱量(ΔHm)(J/g)を求めた。
(3)熱収縮率
用いたバックシート(A)から縦方向150mm、横方向150mmの大きさに切り取り、封止材側面の中央に縦方向100mm、横方向100mmの大きさの格子目を油性マジックで記入した試料を3枚作製した。次いで、150℃の熱風オーブンに30分間放置し、縦(MD)方向について、記入した格子目の収縮前の原寸に対する収縮量の比率の平均値(%)を算出した。
(4)貯蔵弾性率(E´)
アイティ計測(株)製の粘弾性測定装置、商品名「粘弾性スペクトロメーターDVA−200」を用いて、試料(縦方向4mm、横方向60mm)を振動周波数10Hz、ひずみ0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmで横方向について、−150℃から150℃まで測定し、得られたデータから20℃における貯蔵弾性率(E´)(MPa)を求めた。
(5)バックシート(A)の収縮応力(σ(A))
用いたバックシート(A)から縦方向70mm、横方向10mmの大きさに試料を3枚切り取り、チャック間距離50mmで両端を固定し、ラミネート設定温度のシリコンバスに5分間浸漬し、縦方向に発生する最大の収縮応力の平均値(Pa)を求めた。
(6)封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))
Rheology社製のレオメーター、商品名「レオメーターMR−300T」を用いて、振動周波数:1Hz、昇温速度:3℃/分、歪0.5%の条件で、φ20mmパラレルプレート上にのせた試料(厚さ0.3mm)のせん断弾性率(G´)を80℃〜200℃の温度範囲で測定し、ラミネート設定温度における値(Pa)を求めた。
(7)凸指数
前記(5)および(6)で求められた値の比(σ(A)/G´(B))を求めた。
(8)ラミネート外観
各実施例にて作製された3枚の太陽電池モジュールを、それぞれ下記基準でラミネート外観を評価した。また、3枚のモジュール(n=1〜3)の突起数の平均値で総合評価も同様に行った。
(◎)凸現象がほとんど見られないか微小である(0〜3箇所/120箇所)
(○)凸現象が微小であるが見られる(4〜9箇所/120箇所)
(△)凸現象が少し見られる(10〜19箇所/120箇所)
(×)凸現象が多く見られ、また、突起も高い(20箇所以上/120箇所)
[バックシート]
実施例で使用したバックシートを下記する。
(A−1)Madico社製バックシート、商品名Protekt HD(総厚み;265μm、積層構成;(封止材側)EVA/接着層/PET/コート層、収縮応力(130℃);2.65×105Pa、収縮応力(150℃);4.32×105Pa、熱収縮率(150℃×30分、MD);1.03%、Tm(EVA層);104℃)
(A−2)ISOVOLTA社製バックシート、商品名Icosolar2442(総厚み;350μm、積層構成;(封止材側)PVF(白;酸化チタン含有)/接着層/PET/接着層/PVF(白;酸化チタン含有)、収縮応力(130℃);2.75×105Pa、収縮応力(150℃);7.36×105Pa、熱収縮率(150℃×30分、MD);0.87%)の封止材側表面にコロナ処理を行い、濡れ指数を60mN/m以上としたもの
(A−3)TAIFLEX社製バックシート、商品名SolmateTPE VEP(総厚み;283μm、積層構成;(封止材側)EVA/接着層/PET/接着層/PVF(白;酸化チタン含有)、収縮応力(130℃);0.59×105Pa、収縮応力(150℃);1.96×105Pa、熱収縮率(150℃×30分、MD);0.65%、Tm(EVA層);103℃)
(A−4)Coveme社製バックシート、商品名dyMat PYE(総厚み;295μm、積層構成;(封止材側)EVA/EVA(白;酸化チタン含有)/EVA/接着層/PET/接着層/PET(白;硫酸バリウム含有)、収縮応力(130℃);6.01×105Pa、収縮応力(150℃);8.58×105Pa、熱収縮率(150℃×30分、MD);1.40%、Tm(EVA層);103℃)
(A−5)バックシート(A−2)を熱処理により熱収縮率(150℃×30分、MD)を0.62%に低減させたもの、収縮応力(130℃);1.15×105Pa、収縮応力(150℃);3.23×105Pa
(A−6)バックシート(A−3)と後述する封止材(B−1)を押出ラミネーション法により一体化させたもの、収縮応力(130℃);0.59×105Pa、収縮応力(150℃);1.96×105Pa
[封止材]
封止材を構成する材料を下記する。
(X−1);エチレン−オクテンランダム共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:アフィニティーEG8100G、密度:0.870g/cm3、エチレン/1−オクテン=68/32質量%(89/11モル%)、Tm:59℃、ΔHm:49J/g、20℃における貯蔵弾性率(E´):14MPa、MFR(温度:190℃、荷重:21.18N):1g/10min)
(X−2); エチレン−オクテンランダム共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:アフィニティーEG8200G、密度:0.870g/cm3、エチレン/1−オクテン=68/32質量%(89/11モル%)、Tm:59℃、ΔHm:49J/g、20℃における貯蔵弾性率(E´):14MPa、MFR(温度:190℃、荷重:21.18N):5g/10min)
(X−3);シラン変性エチレン−オクテンランダム共重合体(三菱化学(株)製、商品名:リンクロンSL800N、密度:0.868g/cm3、Tm:54℃と116℃、ΔHm:22J/gと4J/g、20℃における貯蔵弾性率(E´):15MPa、MFR(温度:190℃、荷重:21.18N):1.7g/10min)
(X−4);エチレンーオクテンブロック共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:インフューズ9000、密度:0.875g/cm3、エチレン/1−オクテン=65/35質量%(88/12モル%)、Tm:122℃、ΔHm:44J/g、20℃における貯蔵弾性率(E´):27MPa、MFR(温度:190℃、荷重:21.18N):0.5g/10min)
実施例で使用した封止材(B)を下記する。
(B−1)(I)層として、上記(X−1)と(X−3)を、質量比70:30の割合で混合した樹脂組成物、また、(II)層として、(X−1)と(X−4)を、質量比95:5の割合で混合した樹脂組成物をそれぞれ用いて、(I)層/(II)層/(I)層の積層構成となるように、同方向二軸押出機を用いたTダイ法にて樹脂温度180〜200℃にて共押出成形した後、25℃のキャストエンボスロールで急冷製膜し、総厚みが0.50mm、各層厚みが(I)/(II)/(I)=0.05mm/0.40mm/0.05mmであり、20℃における貯蔵弾性率(E´):15MPaである封止材を得た。
(B−2)上記(B−1)において、(X−1)を(X−2)に変更した以外は、(B−1)と同様にして、総厚みが0.50mm、各層厚みが(I)/(II)/(I)=0.05mm/0.40mm/0.05mmであり、20℃における貯蔵弾性率(E´):15MPaである封止材を得た。
(実施例1)
真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、商品名:NLM−230×360)により、表1に示す各部材を用い、下記条件により太陽電池モジュールを3枚作製し、ラミネート外観の評価を行った。結果を表1に示す。
〈構成〉
ガラス/封止材(B)/セル/封止材(B)/バックシート(A)
・ガラス;中島硝子工業(株)製白板エンボス/太陽電池向けカバーガラス
商品名ソレクト、サイズ996mm×1664mm、厚み3.2mm
・セル;Qセルズジャパン(株)製太陽電池セル、商品名Q6LTT−200
(6インチ、2バスバータイプ)
*セル数:60(6列×10セル)
*セル数が60である場合、最大120箇所に凸現象が発生する可能性がある
・配線;日立電線ファインテック(株)製PVワイヤー
商品名NoWarp、SSA−SPS 0.2×2.0
(0.2%耐力;56〜57MPa)
・バックシート(A);A−1
・封止材(B);B−1
*封止材(B)のサイズが前記ガラスと同一である(即ち、サイズ996mm×1664mm)
〈ラミネート条件〉
・ラミネート設定温度;130℃
・真空引き時間;5分
・プレス保持時間;5分
・圧力条件;1st(30kPa)、2nd(60kPa)、3rd(70kPa)
・冷却ファン;使用せず
(実施例2)
実施例1において、ラミネート設定温度を130℃から150℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを3枚作製し、ラミネート外観の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、使用する封止材(B)をB−1からB−2に変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを3枚作製し、ラミネート外観の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、使用するバックシート(A)をA−1からA−2に変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを3枚作製し、ラミネート外観の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例4において、ラミネート設定温度を130℃から150℃に変更した以外は、実施例4と同様にして、太陽電池モジュールを3枚作製し、ラミネート外観の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1において、使用するバックシート(A)をA−1からA−3に変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを3枚作製し、ラミネート外観の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例6において、使用する封止材(B)をB−1からB−2に、ラミネート設定温度を130℃から150℃に変更した以外は、実施例6と同様にして、太陽電池モジュールを3枚作製し、ラミネート外観の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1において、使用するバックシート(A)をA−1からA−4に変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを3枚作製し、ラミネート外観の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1において、使用するバックシート(A)をA−1からA−5、また、使用する封止材(B)をB−1からB−2、ラミネート設定温度を130℃から150℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを3枚作製し、ラミネート外観の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
実施例1において、使用するバックシート(A)をA−1からA−6(バックシート−封止材一体型シート)、また、使用する封止材(B)をB−1からB−2とし、構成をガラス/封止材(B)/セル/バックシート(A)(バックシート−封止材一体型シート)に変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを3枚作製し、ラミネート外観の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、封止材(B)をB−1からB−2に、ラミネート設定温度を130℃から150℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを3枚作製し、ラミネート外観の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例5において、封止材(B)をB−1からB−2に変更した以外は、実施例5と同様にして、太陽電池モジュールを3枚作製し、ラミネート外観の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例8において、封止材(B)をB−1からB−2に、ラミネート設定温度を130℃から150℃に変更した以外は、実施例8と同様にして、太陽電池モジュールを3枚作製し、ラミネート外観の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例8において、封止材(B)をB−1からB−2に変更した以外は、実施例8と同様にして、太陽電池モジュールを3枚作製し、ラミネート外観の評価を行った。結果を表1に示す。
表1より、本発明で規定した凸指数を有するバックシートと封止材の組み合わせを用いた場合には、ラミネート後の外観が良好である太陽電池モジュールが得られることが確認できる(実施例1〜10)。特に、凸指数が20.0以下であるものは、ラミネート後の外観がより優れていることが確認できる(実施例1、実施例4、実施例6、実施例10)。これに対して、本発明で規定した凸指数を超えるバックシートと封止材の組み合わせを用いた場合には、ラミネート後の外観が不良になることが確認できる(比較例1〜4)。
本発明によれば、太陽電池モジュールにおいて、ラミネート後の外観が良好である太陽電池モジュール、バックシート−封止材一体型シート、および太陽電池モジュールの製造方法が提供できる。
また、ラミネート設定温度におけるバックシートの収縮応力と封止材のせん断弾性率という基礎的な物性を測定することにより、太陽電池モジュールを実際にラミネートする前に、仕上がり外観の予測が可能となる。さらに、効率的にラミネート条件を設定できることから、条件検討に要する時間と各種部材の費用が抑制され、結果、太陽電池モジュールの製造コストを大幅に低減させることが期待できる。
10・・・透明基板
12A,12B・・・封止樹脂層
14A,14B・・・太陽電池素子
16・・・バックシート
18・・・ジャンクションボックス
20・・・配線

Claims (13)

  1. 少なくとも、バックシート(A)と、封止材(B)とがラミネートされてなる太陽電池モジュールであって、ラミネート設定温度における下記バックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と下記封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))が60.0以下であることを特徴とする太陽電池モジュール。
    バックシート(A)の収縮応力(σ(A)):ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の測定値(Pa)
    封止材(B)のせん断弾性率(G´(B)):ラミネート設定温度における振動周波数1Hzでの封止材(B)の測定値(Pa)
  2. ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))が0.01以上、60.0以下であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール。
  3. ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))が0.01以上、35.0以下であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール。
  4. ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))が1.0以上、20.0以下であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール。
  5. バックシート(A)の収縮応力(σ(A))が130℃および150℃において、7×105Pa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  6. バックシート(A)の収縮応力(σ(A))が130℃および150℃において、4×105Pa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  7. 封止材(B)がエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体を主成分とする封止材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  8. 封止材(B)が実質的に架橋しない封止材であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  9. 封止材(B)の振動周波数10Hz、温度20℃における貯蔵弾性率(E´)が1〜100MPaであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  10. 封止材(B)が、少なくとも動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E´)が100MPa未満である軟質層、及び動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E´)が100MPa以上である硬質層を有する積層構成であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  11. バックシート(A)と封止材(B)が一体化している部材であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  12. ラミネート設定温度が100℃以上、135℃以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  13. 少なくとも、バックシート(A)と、封止材(B)とを備えた太陽電池モジュール用バックシート−封止材一体型シートであって、ラミネート設定温度における下記バックシート(A)の収縮応力(σ(A))(Pa)と下記封止材(B)のせん断弾性率(G´(B))(Pa)の比(σ(A)/G´(B))が60.0以下であることを特徴とする太陽電池モジュール用バックシート−封止材一体型シート。
    バックシート(A)の収縮応力(σ(A)):ラミネート設定温度におけるバックシート(A)の測定値(Pa)
    封止材(B)のせん断弾性率(G´(B)):ラミネート設定温度における振動周波数1Hzでの封止材(B)の測定値(Pa)
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