JP2014204090A - 太陽電池封止材及びそれを用いて作製された太陽電池モジュール - Google Patents

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潤 西岡
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陽 宮下
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道子 大塚
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Abstract

【課題】 架橋工程(弱架橋工程を含む)の必要がなく、耐熱性、透明性、低温柔軟性、ラミネート適性に優れた太陽電池封止材および、それを用いて作製された太陽電池モジュールを提供する。【解決手段】 示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃未満のエチレン系重合体(A)と、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上のオレフィン系重合体(B)とを含有する樹脂組成物からなる太陽電池封止材であって、該太陽電池封止材が下記(a)〜(c)の条件を満足することを特徴とする太陽電池封止材。(a)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解熱量が1.8J/g以上、10J/g以下(b)JIS K7210に準拠して測定した温度190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが1.0g/10min以上、4.0g/10min以下(c)振動周波数10Hzで測定された−40℃におけるtanδが0.1以上【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池封止材及びそれを用いて作製された太陽電池モジュールに関し、さらに詳細には、耐熱性、透明性、低温柔軟性、ラミネート適性等に優れた太陽電池封止材、および太陽電池モジュールに関する。
近年、地球温暖化等の環境問題に対する意識が高まる中、特に太陽光発電については、そのクリーン性や無公害性という点から期待が高まっている。太陽電池は太陽光のエネルギーを直接電気に換える太陽光発電システムの中心部を構成するものである。その構造としては一般的に、複数枚の太陽電池素子(セル)を直列、並列に配線し、セルを保護するために種々パッケージングが行われ、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールと呼び、一般的に太陽光が当たる面を上部保護材として透明基材(ガラスや樹脂シート、以下、フロントシートと呼ぶことがある)で覆い、熱可塑性プラスチック(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体)からなる封止材(封止樹脂層)で間隙を埋め、裏面を下部保護材として裏面封止用シート(以下、バックシートと呼ぶことがある)で保護された構成になっている。
これらの太陽電池モジュールは主に屋外で使用されるため、その構成や材質構造等に種々の特性が必要とされる。上記の封止材には、柔軟性や耐衝撃性、耐熱性、透明性、耐久性、寸法安定性、難燃性、水蒸気バリア性等が主に要求される。
従来、太陽電池モジュールにおける太陽電池素子の封止材としては、柔軟性、透明性等の観点から、材料として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと省略することがある)が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかしEVAシートを用いる太陽電池素子の封止材は、長期間における使用に際して、加水分解により発生する酢酸が太陽電池の回路を腐食する等の懸念があった。
またEVAは、耐熱性等の観点から架橋して使用する必要がある。このため、架橋剤(有機過酸化物)や架橋助剤を混合したEVAシートを予め作製し、得られたシートを用いて太陽電池素子を封止するという工程が採用されている。そのため該シートの製造段階では、有機過酸化物が分解しないような低い温度(通常、80〜100℃程度)での成形が必要であり、押出成形の速度を上げ難いという問題があった。また太陽電池素子の封止段階では、ラミネーターにおいて数分〜十数分かけてエア抜きや仮接着を行う工程と、オーブン内において有機過酸化物が分解する高い温度(通常、130〜150℃程度)で十数分〜60分程度かけて本接着(架橋)する工程とからなる2段階の工程を経る必要があった。そのため太陽電池モジュールの製造には工数と時間を要し、その製造コストを上昇させるという問題点があった。
そこで、EVAの代わりに、酢酸発生の懸念がないポリオレフィン系の樹脂を使用した封止材が提案されている。
たとえば特許文献2では、エチレン−α−オレフィン共重合体と、有機過酸化物を含有する樹脂組成物を用いた太陽電池封止材が開示されている。
また特許文献3では、特定の密度を有するエチレン系樹脂を用いてなる太陽電池封止材が開示されている。
また特許文献4では、エチレン−α−オレフィン共重合体30〜95重量部と、結晶性ポリプロピレン5〜70質量部とを含んでなる太陽電池封止材が開示されている。
また特許文献5では、特定な熱特性を有するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体と、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体とを用いてなる太陽電池封止材が開示されている。
特開昭58−60579号公報 特開2010−155915号公報 WO2011/152314号公報 特開2007−103738号公報 WO2011/007871号公報
一般的に、ポリエチレン系樹脂を主体とする太陽電池封止材は、その密度を低密度とすることで、透明性および柔軟性を確保できる。しかし、密度が低下すると、耐熱性も低下するという問題がある。
そこで、特許文献2では、封止材中に有機過酸化物を含有させ、架橋することにより耐熱性を付与している。しかし、本手法では架橋工程を必要とするため、太陽電池モジュールの製造に時間を要し、製造コストが増えるという課題があった。また、封止材中に架橋剤由来の残渣が存在するため、アウトガスによりモジュールにフクレが発生する等の懸念もあった。
特許文献3では、封止材を製膜中に弱架橋することで耐熱性を付与している。本手法では、太陽電池モジュール製造時の架橋工程を省くことができ、また架橋剤由来の残渣も抑制されている。しかし封止材が弱架橋されているため溶融時の粘度が高く、太陽電池素子および他部材と熱ラミネートされる際に、段差追随性が悪いため気泡が発生したり、素子が割れるという問題があった。また、溶融時の粘度を下げるためにラミネート温度を高温にしなければならず、生産性に劣るという問題もあった。
特許文献4では、封止材中に結晶性ポリプロピレンを含有することで、耐熱性を付与している。しかし本手法では、耐熱性を向上するためにポリプロピレンの含有量を上げると、透明性や、封止材の柔軟性が低下するという問題があった。特に、太陽電池モジュールは、寒冷地などで−20℃以下の低温になることが想定されるが、ポリプロピレンの含有量を上げると、このような低温での柔軟性が低下するという問題があった。
特許文献5では、封止材中にエチレン−α−オレフィンブロック共重合体を含有することで、耐熱性を付与している。しかしながら、更に耐熱性を向上するために、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体の含有量を上げた場合、透明性が低下するおそれがあった。
そこで本発明の目的は、架橋工程(弱架橋工程を含む)の必要がなく、耐熱性、透明性、低温柔軟性、ラミネート適性に優れた太陽電池封止材および、それを用いて作製された太陽電池モジュールを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定のエチレン系重合体(A)と特定のオレフィン系重合体(B)とを含有する樹脂組成物を用い、流動特性、熱特性及び低温柔軟性を特定な範囲にすることで、耐熱性、透明性、低温柔軟性、ラミネート適性に優れた封止材が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[10]に関する。
[1]示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃未満のエチレン系重合体(A)と、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上のオレフィン系重合体(B)とを含有する樹脂組成物からなる太陽電池封止材であって、該太陽電池封止材が下記(a)〜(c)の条件を満足することを特徴とする太陽電池封止材。
(a)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解熱量が1.8J/g以上、10J/g以下
(b)JIS K7210に準拠して測定した温度190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが1.0g/10min以上、4.0g/10min以下
(c)振動周波数10Hzで測定された−40℃におけるtanδが0.1以上
[2]クリープ試験(温度120℃、角度90°、荷重0.65g/cm、放置時間20時間)におけるスライドガラスのずれた距離が、3mm未満であることを特徴とする前記[1]に記載の太陽電池封止材。
[3]前記ずれた距離が1mm未満であることを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載の太陽電池封止材。
[4]前記エチレン系重合体(A)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が、50℃以上、100℃未満であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の太陽電池封止材。
[5]前記エチレン系重合体(A)が、エチレン−α−オレフィン共重合体であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の太陽電池封止材。
[6]前記オレフィン系重合体(B)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が、110℃以上、160℃以下であることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の太陽電池封止材。
[7]前記オレフィン系重合体(B)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解熱量が、2J/g以上、80J/g以下であることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の太陽電池封止材。
[8]前記樹脂組成物中における前記エチレン系重合体(A)と前記オレフィン系重合体(B)との混合質量比が、60:40以上98:2以下であることを特徴とする前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の太陽電池封止材。
[9]前記樹脂組成物が、相容化剤を更に含むことを特徴とする前記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の太陽電池封止材。
[10]前記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の太陽電池封止材を用いて作製した太陽電池モジュール。
本発明によれば、架橋工程の必要がなく、耐熱性、透明性、低温柔軟性、ラミネート適性に優れた太陽電池封止材、およびそれを用いて作製された太陽電池モジュールを提供することができる。
X℃以上の結晶融解熱量ΔHm(≧X℃)の計算方法を示す図である。 耐熱性を評価する際のクリープ試験用サンプルを示す図である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の太陽電池封止材は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃未満のエチレン系重合体(A)と示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上のオレフィン系重合体(B)とを含有する樹脂組成物からなる太陽電池封止材であって、該太陽電池封止材が下記(a)〜(c)の条件を満足することを特徴とするものである。
(a)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解熱量が1.8J/g以上、10J/g以下
(b)JIS K7210に準拠して測定した温度190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが1.0g/10min以上、4.0g/10min以下
(c)振動周波数10Hzで測定された−40℃におけるtanδが0.1以上
[エチレン系重合体(A)]
本発明に用いられるエチレン系重合体(A)の種類として、結晶融解ピーク温度が100℃未満のものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)、中密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンなどが挙げられる。結晶性が低く、光の透過率及び柔軟性に優れる観点からエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましく、中でもエチレン−α−オレフィンランダム共重合体が更に好ましい。これらは1種のみを単独で用いてもよいが、本発明ではMFRの調整のしやすさの点から、2種類以上が混合されて使用されることがより好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である。ここで、エチレンと共重合するα−オレフィンの種類としは、エチレン−α−オレフィン共重合体の結晶融解ピーク温度が100℃未満であることが確保できれば、特に限定されるものではないが、通常、炭素数が3〜20のα−オレフィンが好適に用いられ、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。本発明においては、工業的な入手のしやすさ、経済性等の観点から、α−オレフィンとして1−ブテン又は1−オクテンを共重合成分とする共重合体が好ましい。エチレンと共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、エチレンと共重合するα−オレフィンの含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の結晶融解ピーク温度が100℃未満であることを確保できれば、特に限定されるものではないが、共重合に使用するモノマー全体に対して通常2モル%以上40モル%以下、好ましくは3モル%以上30モル%以下、更に好ましくは5モル%以上25モル%以下である。エチレンと共重合するα−オレフィンの含有量が上記範囲内であれば、共重合成分により結晶性が低減されることにより、透明性(例えば、全光線透過率など)が向上するため好ましい。また、エチレンと共重合するα−オレフィンの含有量が上記範囲内であれば、全ての材料を混合してペレットを作製する場合には、原料ペレットのブロッキングの発生等が抑制されるため好ましい。なお、エチレンと共重合するα−オレフィンの種類及び含有量は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)測定装置、その他の機器分析装置で分析することができる。
本発明に用いられるエチレン系重合体(A)のMFR(JIS K7210:温度190℃、荷重21.18N)は、後述する封止材の条件(b)を確保できれば、特に制限されるものではないが、好ましくは0.5g/10min以上10g/10min以下であり、より好ましくは1g/10min以上5g/10min以下である。
本発明に用いられるエチレン系重合体(A)は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃未満を満足することが必要である。ここで、該結晶融解ピーク温度が100℃未満であれば、本発明の太陽電池封止材の柔軟性や透明性が確保され易い為好ましい。本発明においては結晶融解ピーク温度を発現しない、すなわち非晶性の重合体も適用可能であるが、原料ペレットのブロッキングなどを考慮すると、該結晶融解ピーク温度が50℃以上100℃未満であることが好ましく、60℃以上100℃未満であることがより好ましい。
ここで、該結晶融解ピーク温度の参考値としては、汎用の高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)が130〜145℃程度、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)が100〜125℃程度、汎用のホモポリプロピレン樹脂が165℃程度、汎用のプロピレン−エチレンランダム共重合体が130〜150℃程度である。上記の結晶融解ピーク温度は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121に準じて加熱速度10℃/分で測定することができる。
本発明に用いられるエチレン系重合体(A)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のエチレン重合用触媒を用いた公知の重合方法が採用できる。公知の重合方法として、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒やポストメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。エチレン系重合体(A)は、比較的軟質の樹脂であることが好ましい。そのため、重合後の造粒(ペレタイズ)のし易さや原料ペレットのブロッキング防止等の観点から、低分子量の成分が少なく分子量分布の狭い原料が重合できるシングルサイト触媒を用いた重合方法を用いてポリエチレン系樹脂を製造することが好ましい。
本発明に用いられるエチレン系重合体(A)の具体例としては、日本ポリエチレン(株)製の商品名「カーネル(Karnel)」、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「エンゲージ(Engage)」、「アフィニティー(Affinity)」、三井化学(株)製の商品名「タフマーA(TAFMER A)」、「タフマーP(TAFMER P)」、「タフマーH(TAFMER H)」、LGケミカル(株)製の商品名「LUCENE」等を挙げることができる。
[オレフィン系重合体(B)]
本発明に用いられるオレフィン系重合体(B)の種類として、結晶融解ピーク温度が100℃以上のものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、下記プロピレン系重合体(B1)及びエチレン系共重合体(B2)に示されるオレフィン系重合体を挙げることができる。下記プロピレン系重合体(B1)及びエチレン系共重合体(B2)のうち1種のみで用いられてもよいが、耐熱性、透明性、コスト等を調整しやすい観点から、プロピレン系重合体(B1)及びエチレン系共重合体(B2)を併用することが、より好ましい。
(プロピレン系重合体(B1))
プロピレン系重合体(B1)の種類として、結晶融解ピーク温度が100℃以上のものであれば、特に限定されるものではなく、プロピレンと該プロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体、又はプロピレンの単独重合体などを挙げることができる。但し、これらの共重合形式(ランダム、ブロックなど)、分岐、分岐度分布や立体構造には特に制限がなく、イソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックあるいはこれらの混在した構造の重合体とすることができる。
プロピレンと共重合可能な他の単量体としては、エチレンや1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン−1、1−オクテン等の炭素数4〜12のα−オレフィン及びジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、エチリデンノルボルネン等のジエン類等が例示できる。
本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点から、エチレンを共重合成分とするプロピレン−エチレン共重合体が好ましい。また、プロピレンと共重合する単量体は1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、プロピレンと共重合可能な他の単量体の含有量は、特に制限されるものではないが、プロピレン系重合体(B1)中の全単量体単位に対して、通常、2モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは3〜30モル%、さらに好ましくは5〜25モル%である。該範囲内であれば、共重合成分により結晶性が低減されることにより透明性が向上し、また、原料ペレットのブロッキングなどの不具合も起こり難いため好ましい。なお、プロピレンと共重合可能な他の単量体の種類と含有量は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR)測定装置、その他の機器分析装置で定性定量分析することができる。
本発明に用いられるプロピレン系重合体(B1)のMFR(JIS K7210:温度230℃、荷重21.18N)は、後述する封止材の条件(b)を確保できれば、特に制限されるものではないが、好ましくは0.1g/10min以上10g/10min以下であり、より好ましくは0.5g/10min以上5g/10min以下である。
本発明に用いられるプロピレン系重合体(B1)の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が採用できる。例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒やポストメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。本発明においては、重合後の造粒(ペレタイズ)のし易さや原料ペレットのブロッキング防止などの観点から低分子量成分が少なく分子量分布の狭い原料が重合できるシングルサイト触媒を用いた重合方法が好適である。
本発明に用いられるプロピレン系重合体(B1)の具体例としては、プロピレン−エチレン共重合体やプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体などが挙げられ、具体的な商品としては、株)プライムポリマー(株)製の商品名「プライムTPO(PRIME TPO)」、三井化学(株)製の商品名「タフマーXM(TAFMER XM)」、「タフマーPN(TAFMER PN)」、住友化学(株)製の商品名「タフセレン(TAFFCELLEN)」、(ダウ・ケミカル(株)製の商品名「バーシファイ(VERSIFY)」、エクソンモービル(株)製の商品名「ビスタマックス(VISTAMAXX)」等を例示することができる。
(エチレン系共重合体(B2))
本発明に用いられるエチレン系共重合体(B2)の種類としては、結晶融解ピーク温度が100℃以上のものであれば、特に限定されるものではないが、通常、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのブロック共重合体(B2−1)、およびランダム共重合体(B2−2)が好適に用いられる。
(エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B2−1)
ここでエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが好適に用いられる。エチレンと共重合するα−オレフィンは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B2−1)は、結晶融解ピーク温度が100℃以上のものであれば、α−オレフィン以外の単量体に基づく単量体単位を含有していてもよい。該単量体としては、例えば、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物(スチレンなど)、ポリエン化合物等が挙げられる。該単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B2−1)中の全単量体単位を100モル%とした場合、20モル%以下であり、15モル%以下であることが好ましい。
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B2−1)のブロック構造は、柔軟性、耐熱性、透明性等のバランス化の観点から、コモノマー含有率、結晶性、密度、結晶融解ピーク温度(融点Tm)、又はガラス転移温度(Tg)の異なる2つ以上、好ましくは3つ以上のセグメント又はブロックを含有するマルチブロック構造であることが好ましい。具体的には、完全対称ブロック、非対称ブロック、テ−パ−ドブロック構造(ブロック構造の比率が主鎖内で漸増する構造)などが挙げられる。該マルチブロック構造を有する共重合体の構造や製造方法については、国際公開第2005/090425号パンフレット(WO2005/090425)、国際公開第2005/090426号パンフレット(WO2005/090426)、および国際公開第2005/090427号パンフレット(WO2005/090427)などで詳細に開示されているものを採用することができる。
前記マルチブロック構造を有するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B2−1)について、以下、詳細に説明する。
該マルチブロック構造を有するエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B2−1)は、本発明において好適に使用でき、α−オレフィンとして1−オクテンを共重合成分とするエチレン−オクテンマルチブロック共重合体が好ましい。該ブロック共重合体としては、エチレンに対してオクテン成分が多く(約15〜20モル%)共重合されたほぼ非晶性のソフトセグメントと、エチレンに対してオクテン成分が少なく(約2モル%未満)共重合された結晶融解ピーク温度が110〜145℃である高結晶性のハードセグメントが、各々2つ以上存在するマルチブロック共重合体が好ましい。これらのソフトセグメントとハードセグメントの連鎖長や比率を制御することにより、柔軟性と耐熱性の両立を達成することができる。
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B2−1)のMFR(JIS K7210:温度190℃、荷重21.18N)は、後述する封止材の条件(b)を確保できれば、特に制限されるものではないが、好ましくは0.1g/10min以上10g/10min以下であり、より好ましくは0.5g/10min以上5g/10min以下である。
本発明に用いられるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B2−1)の具体例としては、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「インフューズ(Infuse)」が挙げられる。
(エチレン−αオレフィンランダム共重合体(B2−2))
本発明に用いられるエチレン−αオレフィンランダム共重合体(B2−2)は、結晶融解ピーク温度が100℃以上のものであれば、特に限定されるものではなく、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体が好適に用いられる。ここでエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが好適に用いられる。エチレンと共重合するα−オレフィンは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、エチレンと共重合するα−オレフィンの含有量としては、エチレン−αオレフィンランダム共重合体の結晶融解ピーク温度が100℃以上である条件を満足すれば特に限定されるものではなく、エチレン−αオレフィンランダム共重合体(B2−2)中の全単量体単位を100モル%とした場合、通常、1〜10モル%以下、より好ましくは2〜6モル%、さらに好ましくは3〜5モル%である。該範囲内であれば、共重合成分により耐熱性を確保しやすいため好ましい。なお、エチレンと共重合するα−オレフィンの種類と含有量は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR)測定装置、その他の機器分析装置で定性定量分析することができる。
本発明に用いられるエチレン−αオレフィンランダム共重合体(B2−2)は、既述の結晶融解ピーク温度が100℃以上である条件を満足すれば、α−オレフィン以外の単量体に基づく単量体単位を含有していてもよい。該単量体としては、例えば、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物(スチレンなど)、ポリエン化合物等が挙げられる。該単量体単位の含有量は、エチレン−αオレフィンランダム共重合体(B2−2)中の全単量体単位を100モル%とした場合、20モル%以下であり、15モル%以下であることが好ましい。
本発明に用いられるエチレン−αオレフィンランダム共重合体(B2−2)のMFR(JIS K7210:温度190℃、荷重21.18N)は、後述する封止材の条件(b)を確保できれば、特に制限されるものではないが、好ましくは0.1g/10min以上10g/10min以下であり、より好ましくは0.5g/10min以上5g/10min以下である。
本発明に用いられるエチレン−αオレフィンランダム共重合体(B2−2)の具体例としては、プライムポリマー製の商品名「NEOZEX」、住友化学製の商品名「エクセレンVL」、ダウケミカル社製の商品名「アテイン」、日本ポリエチレン製の商品名「ハーモレックス」等が挙げられる。
本発明に用いられるオレフィン系重合体(B)は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上を満足することが必要である。好ましくは、結晶融解ピーク温度が110℃以上、さらに好ましくは、115℃以上であり、上限は通常160℃である。オレフィン系重合体(B)の100℃以上の結晶融解熱量(以下、ΔHm(≧100℃)と呼ぶことがある)は、特に制限されるものではないが、好ましくは、2J/g以上80J/g以下であり、より好ましくは、5J/g以上70J/g以下である。
ここで、高すぎると、エチレン重合体(A)と混合する際の計量誤差により、作製した封止材のΔHm(≧100℃)が大きく変化する懸念があるため好ましくない。またΔHm(≧100℃)が低すぎると、後述する条件(a)を満たせなくなるため好ましくない。
上記の結晶融解ピーク温度の測定方法については前述の通りである。また、上記のΔHm(≧100℃)は、後述の通り、示差走査熱量計を用いて、JIS K7122に準じて加熱速度10℃/分で測定することができる。
[樹脂組成物]
本発明の太陽電池封止材を構成する樹脂組成物は、少なくとも上述したエチレン系重合体(A)とオレフィン系共重合体(B)とを含有する。また、樹脂組成物に含有されるエチレン系重合体(A)及びオレフィン系共重合体(B)の種類は、特に限定されるものではないが、各々1種のみを用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物中に含まれるエチレン系重合体(A)及びオレフィン系共重合体(B)の合計含有量が樹脂組成物中、50質量%以上を占めるのが好ましく、70質量%以上を占めるのがより好ましく、90質量%以上を占めるのがさらに好ましい。上限については、特に制限されるものではないが、100質量%以下であることが好ましい。
また、エチレン系重合体(A):オレフィン系共重合体(B)の混合(含有)質量比(単位:質量%)は、好ましくは60:40以上98:2以下であり、より好ましくは70:30以上97:3以下である。ただし、エチレン系重合体(A)とオレフィン系共重合体(B)との合計を100質量部とする。ここで、混合(含有)質量比が上記範囲内であれば、耐熱性、透明性、柔軟性および生産性などのバランスに優れた封止材が得られやすいため好ましい。
なお、上述したエチレン系重合体(A)とオレフィン系共重合体(B)とを、後述する積層構成の封止材を構成する樹脂組成物に含有させる場合、エチレン系重合体(A)とオレフィン系共重合体(B)の合計含有量、及び混合(含有)質量比が上記範囲であれば、エチレン系重合体(A)とオレフィン系共重合体(B)とが同一の層内に含有されている必要はないが、好ましくは、同一層内に両重合体が含有されている。また、積層構成の封止材の各層を構成する樹脂組成物に、少なくともエチレン系重合体(A)が含有されているのが、より好ましい。
[その他の樹脂]
本発明の封止材は、後述する条件(a)〜(c)を確保できれば、諸物性(柔軟性、耐熱性、透明性、接着性等)や成形加工性または経済性等をさらに向上させる目的で、上述以外の樹脂を含むことができる。上述以外の樹脂として、例えば、相容化剤、変性ポリオレフィン系樹脂、粘着付与樹脂、各種エラストマー(スチレン系等)等が挙げられる。
(相容化剤)
エチレン重合体(A)と、プロピレン系重合体(B1)は、通常非相容であるため、混合した際の分散径を小さくするために相容化剤が更に添加されていることが好ましい。用いられる相容化剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、CEBC(Crystalline−Ethylene−Butylene−Crystalline)、EPR(Ethylene−Propylene Rubber)、SEBS(Styrene−Ethylene−Butylene−Styrene)、SEBC(Styrene−Ethylene−Butylene−Crystalline Block Copolymer)、などを挙げることができる。工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点から、CEBC又はEPRが好ましい。
これらの相容化剤は、それぞれ単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。その含有量は、特に限定されるものではないが、封止材を構成する樹脂組成物100質量%中、1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがよりに好ましい。相容化剤の含有量が少ないと、オレフィン系重合体(B)の分散径を小さくする効果が得られにくく、好ましくない。また含有量が多いと、コスト高や耐候性の低下を招くため、好ましくない。
(変性ポリオレフィン系樹脂)
変性ポリオレフィン系樹脂の種類は特に限定されるものではないが、例えば、シラン変性ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(E−MMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(E−EAA)、エチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体(E−GMA)、アイオノマー樹脂(イオン架橋性エチレン−メタクリル酸共重合体、イオン架橋性エチレン−アクリル酸共重合体)からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることが好ましい。中でも、ガラスや太陽電池素子への接着性を向上させるために、シラン変性ポリオレフィンを添加することが好ましい。後述する積層構成の封止材の場合、シラン変性ポリオレフィンは、表裏層となる層に含有されることが好ましい。
また、変性ポリオレフィン系樹脂を変性する各種モノマーの含有量は、特に限定されるものではないが、通常0.5モル%以上40モル%以下であり、好ましくは1モル%以上30モル%以下であり、さらに好ましくは2モル%以上25モル%以下である。各種モノマーの含有量が上記囲内であれば、結晶性が低減されることにより封止材の透明性が向上するため好ましい。また、各種モノマーの含有量が上記範囲内であれば、全ての材料を混合してペレットを作製する場合には、原料ペレットのブロッキング等が発生し難くなるため好ましい。なお、変性ポリオレフィン系樹脂を変性する各種モノマーの種類と含有量は、周知の方法、例えば、NMR測定装置、その他の機器分析装置で分析することができる。
これらの変性ポリオレフィン系樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、封止材を構成する樹脂組成物100質量%中、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。変性ポリオレフィン系樹脂の含有量が上記範囲内であると、封止材の諸物性(柔軟性、耐熱性、透明性、接着性等)を適切に調整することができる。
変性ポリオレフィン系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、下記に示すシラン変性ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、アイオノマー樹脂以外は公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。
シラン変性ポリオレフィンは、限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、後述するシランカップリング剤及びラジカル発生剤を高温で溶融混合し、グラフト重合することにより得ることができる。
酸変性ポリオレフィンは、限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、無水マレイン酸及びラジカル発生剤を高温で溶融混合し、グラフト重合することにより得ることができる。
アイオノマー樹脂は、例えば、エチレンと、不飽和カルボン酸と、任意成分として他の不飽和化合物からなる共重合体の不飽和カルボン酸成分の少なくとも一部を金属イオンもしくは有機アミンのうち少なくともいずれか一方で中和することにより得ることができる。また、アイオノマー樹脂は、例えば、エチレンと、不飽和カルボン酸エステルと、任意成分として他の不飽和化合物からなる共重合体の不飽和カルボン酸エステル成分の少なくとも一部を鹸化することによっても得ることができる。
本発明において用いられる変性ポリオレフィン系樹脂の具体例として、シラン変性ポリオレフィンとしては、三菱化学(株)製の商品名「リンクロン(LINKLON)」、酸変性ポリオレフィンとしては、三井化学(株)製の商品名「アドマー(ADMER)」、EVAとしては、日本ポリエチレン(株)製の商品名「ノバテックEVA(NOVATECH−EVA)」、三井・デュポンポリケミカル(株)製の商品名「エバフレックス(EVAFLEX)」、日本ユニカー(株)製の「NUC」シリーズ、EVOHとしては、日本合成化学(株)製の商品名「ソアノール(SOARNOL)」、(株)クラレ製の商品名「エバール(EVAL)」、E−MMAとしては、住友化学(株)製の商品名「アクリフト(ACRYFT)」、E−EAAとしては、日本ポリエチレン(株)製の商品名「レクスパール(REXPEARL EEA)」、E−GMAとしては、住友化学(株)製の商品名「ボンドファスト(BONDFAST)」、アイオノマーとしては、三井デュポンポリケミカル(株)製の商品名「ハイミラン(HIMILAN)」等を例示することができる。
(粘着付与樹脂)
粘着付与樹脂としては、例えば、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体等が挙げられる。具体的には、石油樹脂としては、例えば、シクロペンタジエンまたはその二量体からの脂環式石油樹脂やC9成分からの芳香族石油樹脂が例示でき、テルペン樹脂としては、例えば、β−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂が例示でき、クマロン−インデン樹脂としては、例えば、クマロン−インデン共重合体、クマロン−インデン−スチレン共重合体が例示でき、また、ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等が例示できる。また、粘着付与樹脂は、主に分子量により種々の軟化温度を有するものが得られるが、上述のポリエチレン系樹脂と混合した場合の相溶性、経時的なブリード性、色調または熱安定性等の観点から、軟化温度が好ましくは100℃以上150℃以下、より好ましくは120℃以上140℃以下の脂環式石油樹脂の水素添加誘導体を用いることが特に好ましい。また、粘着付与樹脂の含有量は、封止材を構成する樹脂組成物100質量%中、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
[添加剤]
本発明の封止材は、後述する条件(a)〜(c)を確保できれば、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、光拡散剤、造核剤、顔料(例えば白色顔料)、難燃剤、変色防止剤等が挙げられる。本発明においては、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤が添加されていることが後述する理由等から好ましい。
本発明においては、封止材は、実質的に架橋しない封止材であることが好ましい。ここで、実質的に架橋しないとは、ASTM 2765−95で測定したキシレン可溶物が、通常70質量%以上、好ましくは85質量%以上、より好ましくは95質量%以上であることをいう。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、封止材の保護材(ガラス、樹脂製のフロントシート、バックシート等)や太陽電池素子等に対する接着性を向上させるのに有用であり、例えば、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のような不飽和基、アミノ基、エポキシ基等とともに、アルコキシ基のような加水分解可能な基を有する化合物が挙げられる。シランカップリング剤の具体例としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を例示することができる。本発明においては、接着性が良好であり、黄変等の変色が少ないこと等から、シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランまたはγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好適に用いられる。シランカップリング剤の添加量は、限定されるものではないが、押出成形時の樹脂圧の増加やゲル、フィッシュアイ等の異物の発生を抑制すると共に成形品からのブリードアウト等が発生することを抑制するため、シランカップリング剤の添加量は、封止材を構成する樹脂組成物100質量部に対し、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。また、シランカップリング剤の添加量は、接着性を発現させるため、0.1質量部以上であることが好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましい。また、シランカップリング剤と同様に、有機チタネート化合物等のカップリング剤も有効に活用できる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、特に限定されるものではなく、種々の市販品が適用できる。酸化防止剤としては、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系等のフェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の各種タイプのものを挙げることができる。
モノフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等を挙げることができる。
ビスフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ]5,5−ウンデカン等を挙げることができる。
高分子型フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3’−ビス−4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール(ビタミンE)等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネート等を挙げることができる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノ及び/またはジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等を挙げることができる。
本発明においては、酸化防止剤の効果、熱安定性、経済性等の観点から、フェノール系及びホスファイト系の酸化防止剤が好ましく用いられ、両者を組み合わせて用いることが、添加量に対する酸化防止剤としての効果を高めることができるため、さらに好ましい。
酸化防止剤の添加量は、限定されるものではないが、封止材を構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常0.1質量部以上1質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上0.5質量部以下の範囲であることがより好ましい。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、種々の市販品が適用でき、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系等各種タイプのものを挙げることができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール等を挙げることができる。
サリチル酸エステル系としては、例えば、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等を挙げることができる。
紫外線吸収剤の添加量は、限定されるものではないが、封止材を構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常0.01質量部以上2.0質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.5質量部以下であることがより好ましい。
(耐候安定剤)
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を有する。
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、例えば、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパレート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等を挙げることができる。
ヒンダードアミン系光安定化剤の添加量は、限定されるものではないが、封止材を構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常0.01質量部以上0.5質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.3質量部以下の範囲であることがより好ましい。
上記の酸化防止剤、紫外線吸収剤及び耐候安定剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
[太陽電池封止材]
本発明の太陽電池封止材(以下、封止材と略称することがある)は、上述した樹脂組成物を含むことを特徴とするものである。
耐熱性、透明性、低温柔軟性及びラミネート適性等に優れた封止材を得るために、封止材が下記条件(a)〜(c)を満たす必要がある。
(a)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解熱量が1.8J/g以上、10J/g以下
(b)JIS K7210に準拠して測定した温度190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが1.0g/10min以上、4.0g/10min以下
(c)振動周波数10Hzで測定された−40℃におけるtanδが0.1より大きい
(条件(a):100℃以上の結晶融解熱量(ΔHm(≧100℃))
ここで、条件(a)は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定されるΔHm(≧100℃)が1.8J/g以上、10J/g以下である。より好ましくは、ΔHm(≧100℃)が2J/g以上、6J/g以下である。ΔHm(≧100℃)が低すぎると封止材の耐熱性が確保できなくなるおそれがあり、また、ΔHm(≧100℃))が高すぎると、透明性、柔軟性が大きく低下するおそれがある。
また、本発明の太陽電池封止材は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される115℃以上の結晶融解熱量(ΔHm(≧115℃))が1.5J/g以上10J/g以下であることが好ましく、1.8J/g以上4.5J/g以下であることがより好ましい。更には、120℃以上の結晶融解熱量(ΔHm(≧120℃))が0.6J/g以上10J/g以下であることが好ましく、0.8J/g以上2.5J/g以下であることがより好ましい。該範囲内であれば、透明性や柔軟性を維持しつつ、120℃程度の高温下でも十分な耐熱性が担保される。
ここで、ΔHm(≧X℃)は、X℃以上の融解ピーク面積から算出される。ΔHm(≧X℃)の計算方法について、図1を参照して説明する。
図1には、ΔHm(≧X℃)の計算方法(図1(a):融解ピーク温度>X℃の場合;図1(b):融解ピーク温度=X℃の場合;図1(c):融解ピーク温度<X℃の場合)を示している。ΔHm(≧X℃)は、図1に示すサーモグラムにおける斜線の部分)から計算される。
当該ΔHm(≧X℃)は、封止材を構成する樹脂組成物に含まる樹脂の種類及び含有量により調整することができる。
((条件(b):MFR)
条件(b)は、JIS K7210に準拠して測定した温度190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが1.0g/10min以上、4.0g/10min以下である。封止材を成形する際の生産性や太陽電池素子(セル)を封止する時の接着性、耐熱性等の観点から、より好ましくは、1.2g/10min以上、3g/10min以下である。MFRが大きすぎると、耐熱性が劣る場合がある。また、MFRが小さすぎると、生産性やラミネート適性(気泡、セル割れ)など不具合を生じやすくなる。当該MFRは、封止材を構成する樹脂組成物に含まる樹脂のMFRおよび含有量により調整することができる。
(条件(c):tanδ(低温柔軟性))
条件(c)は、振動周波数10Hzで測定された−40℃におけるtanδ(以下、tanδ(−40℃)と呼ぶことがある)が、0.1より大きいことである。より好ましくは、0.2以上、更に好ましくは0.3以上である。tanδ(−40℃)の上限値は特に制限されるものではないが、通常2程度である。太陽電池モジュールは、寒冷地などで−20℃以下の低温になることが想定されるが、tanδが上記の範囲であれば封止材のガラス転移温度が−40℃付近となり、低温下でもある程度封止材の柔軟性を維持できるため好ましい。当該tanδは、樹脂組成物に含まる樹脂の種類及び含有量により調整することができる。
尚、tanδは、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
また、本発明の太陽電池封止材は、以下の物性を満たすのがより好ましい。
(耐熱性)
本発明の太陽電池封止材の耐熱性は、後述する実施例に詳述するクリープ試験(温度120℃、角度90°、荷重0.65g/cm、放置時間20時間)において、封止材サンプルからスライドガラスのずれた距離により、評価した。そのずれた距離は、好ましくは3mm未満であり、より好ましくは1mm未満であり、更に好ましくは、0.1mm未満である。
(透明性)
本発明の太陽電池封止材の全光線透過率は、太陽電池の光電変換効率を著しく低下させないために80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、88%以上であることが更に好ましい。透明性は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
(常温柔軟性)
本発明の太陽電池封止材の常温における柔軟性は、特に制限されるものではない。適用される太陽電池の形状や厚み、設置場所などを考慮して適宜調整することができる。
例えば、封止材の動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E´)が1〜2000MPaであることが好ましい。太陽電池素子の保護や柔軟性を考慮すると、1〜100MPaであることが好ましく、5〜50MPaであることがより好ましく、5〜30MPaであることがさらに好ましい。なお、封止材が後述する積層構成の場合は、前記貯蔵弾性率(E´)は積層構成全体の封止材の貯蔵弾性率をいう。また、シート形状などで封止材を採取した場合のハンドリング性やシート表面同士のブロッキング防止、あるいは、太陽電池モジュールにおける軽量化(通常3mm程度に対して、薄膜ガラス(1.1mm程度)が適用可能、あるいはガラスレスの構成が適用可能)などを考慮すると、100〜800MPaであることが好ましく、200〜600MPaであることがより好ましい。該貯蔵弾性率(E´)は、粘弾性測定装置を用いて、振動周波数10Hzで所定温度範囲を測定し、温度20℃における値を求めることで得られる。
(ラミネート適性)
本発明の太陽電池封止材の耐ラミネート適性は、エチレン系重合体(A)の諸特性(結晶融解ピーク温度、結晶融解熱量、MFR、分子量など)およびオレフィン系重合体(B)の諸特性(結晶融解ピーク温度、結晶融解熱量、MFR、分子量など)により影響され、これらを適宜選択することで調整することができる。ラミネート適性は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
[太陽電池封止材の製造方法]
次に、本発明の封止材の製造方法について説明する。
封止材の形状は、限定されるものではなく、液状であっても、シート状であってもよいが、取り扱い性の観点からシート状であるのが好ましい。
また、本発明の封止材は、単層あるいは積層構成であるが、封止材に要求される特性をバランスよく達成させる為、組成内容や組成比が異なる複数の層からなる積層構成が好ましい。積層構成の場合において、その層構成としては、特に限定されるものではなく、例えば、(I)層及び(II)層からなる2種2層構成や、(I)層/(II)層/(I)層の順に積層されてなる2種3層構成などを挙げることができる。
シート状の封止材の製膜方法としては、公知の方法、例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法、カレンダー法やインフレーション法等を採用することができ、特に制限されるものではないが、本発明においては、ハンドリング性や生産性等の面から複数の押出機を用いる共押出法が好適に用いられる。Tダイを用いる共押出法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね130〜300℃、好ましくは、150〜250℃である。
シート状の封止材の厚みは特に限定されるものではないが、通常0.03mm以上、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上であり、かつ、通常1mm以下、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。
シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤等の各種添加剤は、予め樹脂とともにドライブレンドしてからホッパーに供給してもよいし、予め全ての材料を溶融混合してペレットを作製してから供給してもよいし、添加剤のみを予め樹脂に濃縮したマスターバッチを作製し供給してもよい。また、シート状で得られた封止材の表面及び/または裏面には、必要に応じて、シートを巻物とした場合のシート同士のブロッキング防止や太陽電池素子のラミネート工程でのハンドリング性やエア抜きのし易さ向上などの目的のためエンボス加工や種々の凹凸(円錐や角錐形状や半球形状など)加工を行ってもよい。
また、各種被着体への接着性を向上させる目的で表面にコロナ処理やプラズマ処理およびプライマー処理などの各種表面処理を行うことができる。ここで、表面処理量の目安としては、濡れ指数で50mN/m以上であることが好ましく、52mN/m以上であることがより好ましい。濡れ指数の上限値は一般的に70mN/m程度である。
[太陽電池モジュール]
太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができ、具体的には、上部保護材(フロントシート)/本発明の封止材/太陽電池素子/本発明の封止材/下部保護材(バックシート)の構成のもの、下部保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子上に本発明の封止材と上部保護材とを形成した構成のもの、上部保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作製したものの下に、本発明の封止シ材と下部保護材とを形成した構成のもの等を挙げることができる。
太陽電池素子としては、例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル等のIII−V族やII−VI族化合物半導体型、色素増感型、有機薄膜型等が挙げられる。
太陽電池モジュールを構成する各部材については、特に限定されるものではないが、上部保護材としては、無機材料や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層もしくは多層のシートであり、例えば、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂からなる単層もしくは多層の保護材を挙げることができる。下部保護材としては、金属、無機材料や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層もしくは多層のシートであり、例えば、錫、アルミニウム、ステンレス等の金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂からなる単層もしくは多層の保護材を挙げることができる。上部及び/又は下部の保護材の表面には、封止材や他の部材との接着性を向上させるためにプライマー処理やコロナ処理等公知の表面処理を施すことができる。
本発明の封止材を用いて作製された太陽電池モジュールを、既述した上部保護材(フロントシート)/封止材/太陽電池素子/封止材/下部保護材(バックシート)のような構成のものを例として説明する。太陽光受光側から順に、フロントシート、本発明の封止材、太陽電池素子、本発明の封止材、バックシートが積層されてなり、更に、バックシートの下面にジャンクションボックス(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる。太陽電池素子は、発電電流を外部へ電導するために配線により連結されている。配線は、バックシートに設けられた貫通孔を通じて外部へ取り出され、ジャンクションボックスに接続されている。
太陽電池モジュールの製造方法としては、公知の製造方法が適用でき、特に限定されるものではないが、一般的には、上部保護材、封止材、太陽電池素子、封止材、下部保護材の順に積み重ねる工程と、それらを真空吸引し加熱圧着する工程を有する。また、バッチ式の製造設備やロール・トゥ・ロール式の製造設備等も適用することができる。
本発明の太陽電池モジュールは、上部保護材、本発明の封止材、太陽電池素子、本発明の封止材、下部保護材を、常法に従って、真空ラミネーターで、好ましくは130〜180℃、より好ましくは130〜150℃の温度、脱気時間2〜15分、プレス圧力0.5〜1atm、好ましくは8〜45分、より好ましくは10〜40分のプレス時間で加熱加圧圧着することにより製造することができる。
本発明の封止材を用いて作製された太陽電池モジュールは、適用される太陽電池のタイプとモジュール形状により、モバイル機器に代表される小型太陽電池、屋根や屋上に設置される大型太陽電池等、屋内、屋外に関わらず各種用途に適用することができる。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これらの実施例及び比較例により本発明は制限を受けるものではない。本実施例におけるエチレン系重合体(A)、オレフィン重合体(B)及び封止材についての種々の測定及び評価は次のようにして行った。
[測定および評価方法]
(結晶融解ピーク温度(Tm))
示差走査熱量計((株)パーキンエルマー社製、商品名:Pyris1 DSC)を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解ピーク温度(Tm)(℃)を求めた。
(100℃以上の結晶融解熱量(ΔHm(≧100℃))
示差走査熱量計((株)パーキンエルマー社製、商品名:Pyris1 DSC)を用いて、JIS K7122に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムからΔHm(≧100℃))(J/g)を求めた。
(MFR)
エチレン系樹脂(例えば、エチレン系重合体(A)、エチレン系共重合体(B2)など)は、JISK7210に準じて、190℃、荷重21.18NにてMFR(g/10min)を測定した。(以下、MFR(190℃)と呼ぶことがある)
プロピレン系樹脂(例えば、プロピレン系重合体(B1))は、JISK7210に準じて、230℃、荷重21.18NにてMFR(g/10min)を測定した。(以下、MFR(230℃)と呼ぶことがある)
また、封止材は、JISK7210に準じて、190℃、荷重21.18NにてMFR(g/10min)を測定した。
(tanδ)
アイティ計測(株)製の粘弾性測定装置、商品名「粘弾性スペクトロメーターDVA−200」を用いて、試料(縦方向4mm、横方向60mm)を振動周波数10Hz、ひずみ0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmでTD方向について−150℃から150℃まで測定し、得られたデータから−40℃におけるtanδ(tanδ(−40℃))の値を求めた。
(低温柔軟性)
上記において得られたtanδ(−40℃)の値より、封止材の低温柔軟性を下記の基準で評価した。
(○)tanδ(−40℃)≧0.1
(×)tanδ(−40℃)<0.1
(全光線透過率の評価)
厚み3mmの白板ガラス(SCHOTT社製、商品名:B270、サイズ:縦75mm、横25mm)2枚の間に厚み0.45mmのシート状の封止材を重ね、真空プレス機を用いて、設定温度150℃、真空時間5分、プレス時間30秒の条件で積層プレスした試料を作製し、JIS K7105に準じてヘーズメーター(日本電色工業(株)社製、商品名:NDH−5000)を用いて、全光線透過率を測定し、下記の基準で評価した。
(○)全光線透過率が88%以上
(△)全光線透過率が80%以上88%未満
(×)全光線透過率が80%未満
(ラミネート適性)
真空プレス機を用いて、150℃10分(内訳、真空引き:5分、プレス:5分)の条件で、熱板側から順に、上部保護材として厚み3mmの白板ガラス(サイズ;縦180mm、横180mm)、封止材、太陽電池素子(セル)(Qセルズジャパン(株)製、商品名Q6LTT3−G2−180、6インチ、3バスバータイプ)、封止材、下部保護材としてバックシート(Covime社製、商品名:dyMat PYE、総厚295μm、積層構成EVA/EVA(白;酸化チタン含有)/EVA/PET/PET(白;硫酸バリウム含有))の5層を積層プレスして、太陽電池モジュールを作製した。ラミネート後のモジュール外観より、ラミネート適性を以下のように評価した。
(○)気泡、セル割れ等無
(×)気泡、セル割れ等有
(耐熱性)
真空プレス機を用いて、150℃10分(内訳、真空引き:5分、プレス:5分)の条件で、熱板側から順に厚み3mmの白板ガラス101(サイズ;縦150mm、横50mm)、カットした厚み0.45mmのシート状の封止材102(サイズ;縦75mm、横26mm)、厚み1.1mmのスライドガラス103(サイズ:縦75mm、横26mm、質量5.4g)を重ね、積層プレスした。その後スライドガラス上にステンレス板104(サイズ:縦75mm、横26mm、質量7.2g)を貼り合わせ、クリープ試験用サンプル(封止材にかかる荷重:0.65g/cm)を作製した(図2(a)及び図2(b)参照)。このサンプルを120℃のオーブン中で、角度90°で20時間放置し、スライドガラス104のずれた距離から、耐熱性を以下のように判断した(図2(c)参照)。
(◎)ずれた距離が0.1mm未満
(○)ずれた距離が0.1mm以上、1mm未満
(△)ずれた距離が1mm以上、3mm未満
(×)ずれた距離が3mm以上
[封止材]
封止材を構成する原料を下記する。
(エチレン系重合体(A))
(A―1)エチレン−オクテンランダム共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:アフィニティーEG8200G、密度:0.870g/cm、オクテン含有量11モル%、ΔHm(≧100℃)):0J/g、MFR(190℃):5g/10min、Tm:59℃、)
(A−2)エチレン−オクテンランダム共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:アフィニティーEG8100G、密度:0.870g/cm、オクテン含有量11モル%、ΔHm(≧100℃)):0J/g、MFR(190℃):1g/10min、Tm:59℃)
(A−3)エチレン−オクテンランダム共重合体(三井化学(株)製、商品名:タフマーH0530S、密度0.870g/cm、オクテン含有量11モル%、ΔHm(≧100℃)):0J/g、MFR(190℃):0.5g/10min、Tm:59℃)
(オレフィン系重合体(B))
(B−1)プロピレン−エチレン共重合体(プライムポリマー(株)製、商品名:プライムTPO T310E、ΔHm(≧100℃)):7.5J/g、ΔHm(≧115℃)):6J/g、ΔHm(≧120℃)):6J/g、MFR(230℃):1.5g/10min、Tm:157℃)
(B−2―1)エチレン−オクテンマルチブロック共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:Infuse9000、ΔHm(≧100℃)):40J/g、ΔHm(≧115℃)):36J/g、ΔHm(≧120℃)):8J/g、MFR(190℃):0.5g/10min、Tm:120℃)
(B−2−2)エチレン−ブテンランダム共重合体(プライムポリマー製、商品名:NEOZEX0234N、ΔHm(≧100℃):70J/g、ΔHm(≧115℃)):30J/g、ΔHm(≧120℃)):14J/g、MFR(190℃):2g/10min、Tm:119℃)
(相容化剤)
(D−1)CEBC(JSR(株)製、商品名:ダイナロンCEBC、MFR(230℃):2.5g/10min)
(シラン変性樹脂)
(Q−1)シラン変性エチレン−オクテンランダム共重合体(三菱化学(株)製、商品名:リンクロンSL800N、密度:0.868g/cm、ΔHm(≧100℃)):3J/g、MFR(190℃):1.7g/10min、Tm:54℃と116℃)
(実施例1)
(A−1)50質量部、(A−2)35質量部、(B−1)10質量部、(B−2−1)5質量部の割合で混合した樹脂組成物を用いて、同方向二軸押出機を用いたTダイ法にて樹脂温180℃〜200℃で共押出成形した後、25℃のキャストエンボスロールで急冷製膜し、総厚み450μmのシート状の単層の封止材を得た。得られた封止材を用いて前述のとおり評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られた封止材のΔHm(≧115℃))およびΔHm(≧120℃))はそれぞれ、1.9J/g、0.8J/gであった。
(実施例2)
(I)層として、上記(A−1)20質量部、(A−3)50質量部、及び(Q−1)30質量部の割合で混合した樹脂組成物、また、(II)層として、(A−1)25質量部、(A−3)60質量部、(B−1)10質量部、(B−2−1)5質量部の割合で混合した樹脂組成物をそれぞれ用いて、(I)層/(II)層/(I)層の順に積層されてなるように、同方向二軸押出機を用いたTダイ法にて樹脂温180℃〜200℃で共押出成形した後、25℃のキャストエンボスロールで急冷製膜し、総厚み450μmのシート状の封止材((I)層/(II)層/(I)層=45μm/360μm/45μm)を得た。得られた封止材を用いて前述のとおり評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られた封止材のΔHm(≧115℃))およびΔHm(≧120℃))はそれぞれ、1.9J/g、0.8J/gであった。
(実施例3)
使用する樹脂組成物を表1に記載の配合に変更した以外は、実施例2と同様にして封止材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られた封止材のΔHm(≧115℃))およびΔHm(≧120℃))はそれぞれ、1.9J/g、0.8J/gであった。
(実施例4)
使用する樹脂組成物を表1に記載の配合に変更した以外は、実施例2と同様にして封止材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られた封止材のΔHm(≧115℃))およびΔHm(≧120℃))はそれぞれ、2.9J/g、1.6J/gであった。
(比較例1)
使用する樹脂組成物を表1に記載の配合に変更した以外は、実施例2と同様にして封止材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られた封止材のΔHm(≧115℃))およびΔHm(≧120℃))はそれぞれ、0.5J/g、0.5J/gであった。
(比較例2)
使用する樹脂組成物を表1に記載の配合に変更した以外は、実施例2と同様にして封止材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られた封止材のΔHm(≧115℃))およびΔHm(≧120℃))はそれぞれ、1.9J/g、0.8J/gであった。
(比較例3)
使用する樹脂組成物を表1に記載の配合に変更した以外は、実施例2と同様にして封止材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られた封止材のΔHm(≧115℃))およびΔHm(≧120℃))はそれぞれ、1.9J/g、0.8J/gであった。
(比較例4)
使用する樹脂組成物を表1に記載の配合に変更した以外は、実施例2と同様にして封止材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られた封止材のΔHm(≧115℃))およびΔHm(≧120℃))はそれぞれ、6.5J/g、3.3J/gであった。
(比較例5)
使用する樹脂組成物を表1に記載の配合に変更した以外は、実施例2と同様にして封止材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られた封止材のΔHm(≧115℃))およびΔHm(≧120℃))はそれぞれ、1.4J/g、0.3J/gであった。
(比較例6)
使用する樹脂組成物を表1に記載の配合に変更した以外は、実施例2と同様にして封止材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られた封止材のΔHm(≧115℃))およびΔHm(≧120℃))はそれぞれ、11.5J/g、2.6J/gであった。
(比較例7)
使用する樹脂組成物を表1に記載の配合に変更した以外は、実施例2と同様にして封止材を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られた封止材のΔHm(≧115℃))およびΔHm(≧120℃))はそれぞれ、4.8J/g、4.8J/gであった。
Figure 2014204090
表1の結果から明らかなように、本発明で規定した特性の封止材を用いると、耐熱性、ラミネート適性、低温柔軟性、透明性に優れた太陽電池封止材、及びそれを用いて作製された太陽電池モジュールを得られることが確認できる(実施例1〜4)。また、本発明の要件を満足しない封止材では、耐熱性、ラミネート適性、低温柔軟性、また透明性のいずれかの特性に劣ることが確認された(比較例1〜7)。
本発明によれば、架橋工程(弱架橋工程を含む)の必要がなく、成形が容易で、耐熱性、透明性、低温柔軟性、ラミネート適性等に優れた太陽電池封止材および、それを用いて作製された太陽電池モジュールを提供することができる。
101・・・白板ガラス
102・・・封止材
103・・・スライドガラス
104・・・ステンレス板






Claims (10)

  1. 示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃未満のエチレン系重合体(A)と、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上のオレフィン系重合体(B)とを含有する樹脂組成物からなる太陽電池封止材であって、該太陽電池封止材が下記(a)〜(c)の条件を満足することを特徴とする太陽電池封止材。
    (a)示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解熱量が1.8J/g以上、10J/g以下
    (b)JIS K7210に準拠して測定した温度190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが1.0g/10min以上、4.0g/10min以下
    (c)振動周波数10Hzで測定された−40℃におけるtanδが0.1以上
  2. クリープ試験(温度120℃、角度90°、荷重0.65g/cm、放置時間20時間)におけるスライドガラスのずれた距離が、3mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池封止材。
  3. 前記ずれた距離が1mm未満であることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池封止材。
  4. 前記エチレン系重合体(A)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が、50℃以上、100℃未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池封止材。
  5. 前記エチレン系重合体(A)が、エチレン−α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池封止材。
  6. 前記オレフィン系重合体(B)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が、110℃以上、160℃以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池封止材。
  7. 前記オレフィン系重合体(B)の示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される100℃以上の結晶融解熱量が、2J/g以上、80J/g以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池封止材。
  8. 前記樹脂組成物中における前記エチレン系重合体(A)と前記オレフィン系重合体(B)との混合質量比が、60:40以上98:2以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の太陽電池封止材。
  9. 前記樹脂組成物が、相容化剤を更に含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の太陽電池封止材。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の太陽電池封止材を用いて作製した太陽電池モジュール。
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