JP2013156166A - 超音波探傷方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶接部B1をまたぐ所定の領域の断面に対して所定の角度/焦点深さで超音波を発振し、反射波を検出する工程と、前記角度/焦点深さと異なる角度/焦点深さで超音波を発振し、反射波を検出する工程と、前記異なる角度/焦点深さの超音波検出結果を照合することにより、欠陥Fの位置を判別する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】図2
Description
また、図12に示すように、縦波斜角による探傷方式にて探触子(プローブ)2により走査を行った場合には、発生した音波が、他からの疑似信号(この信号で示される欠陥位置を符号F´で示す)と重畳して、識別することが困難となっていた。
例えば、特許文献1に示される超音波探傷装置では、横波のSH波を発生させる複数の振動子を弾性体によって互いに接続して形成したセンサーを用いることで密着性、接触媒質膜の均一性を改善し、かつ歪ゲージによって隣接振動子相対位置関係情報を読み取り、超音波ビームの入射角度と隣接振動子相対位置関係情報を用いて振動子の駆動タイミングを計算し、センサーの変形による振動子駆動タイミングの誤差を防止するようにしている。
また、引用文献1に示されるような密着性、接触媒質膜の均一性を改善した超音波探傷センサーであっても、図13に示されるように探触子3とカプラント4(接触媒質)との密着性の悪さから、依然として走査性の改善がなされず、適正な探傷ができないという問題があった。
本発明の超音波探傷方法では、溶接部をまたぐ所定の領域の断面に対して所定の角度で超音波を発振し、反射波を検出する工程と、前記角度と異なる角度で超音波を発振し、反射波を検出する工程と、前記異なる角度での超音波検出結果を照合することにより、欠陥位置を判別する工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の超音波探傷方法では、前記超音波を発振する探触子は、一定の間隔をおいて列状に超音波を発振するリニアスキャンを行うことを特徴とする。
本発明の第1実施形態について図1〜4について説明する。
図1は「裏波形状と欠陥の識別」に係るフローチャートであり、図2は図1のフローチャートに係るリニアスキャン探傷に係る説明図である。また、図3は「表面形状と欠陥の識別」に係るフローチャートであり、図4は図3のフローチャートに係るリニアスキャン探傷に係る説明図である。
このとき、フェーズドアレイ超音波探傷装置では、前段階として、横波探傷(SV)及び縦波探傷を用いて、溶接部B1の欠陥検査を行う。その後、横波探傷(SV)又は縦波探傷にて異常信号が検出された位置について、横波SH波の特性(音響異方性による曲がりの影響が小さく、欠陥コーナーでの反射効率が高い)を生かしたSH波フェーズドアレイを用い、探触子を動かすことなく電子スキャン(リニアスキャン、セクタースキャン) 行うことで、より精密な探傷を実施する。
〔ステップ1〜2〕
検査対象となる溶接部B1に対して横波探傷(SV)及び縦波探傷を行ない、それらの検出信号を受信する。
〔ステップ3〕
ステップ1での探傷結果に基づき、欠陥の存在が疑われる溶接部B1の下部領域及び裏面について、フェーズドアレイ超音波探傷装置の探触子10(図2参照)から出力された45°と60°との各SH‐PA波によりリニアスキャンを行ない、これら探傷により反射した反射波(符号WAで示す)を該探触子10にて受信する。なお、ここでのリニアスキャンは、溶接部B1の裏面に焦点深さが一致するように事前調整を行なっておく。
ステップ3のSH波によりリニアスキャンを行った超音波信号が、欠陥又は裏波に反射して反射波WAとなって戻って来たか否かを判定し、反射波がないNOの場合に「健全」(ステップ4A)と判断し、反射波があるYESの場合に次のステップ5に進む。
図2に示すように、ステップ3で行った45°又は60°でのSH‐PA波によるリニアスキャンデータと、溶接部B1を示す形状データとを重ね合わせることで、欠陥又は裏波の位置を特定する。
具体的には、図2の上段左側は、45°のSH波によりリニアスキャンを行った場合に、裏面に凸状の裏波(符号Mで示す)があり、かつ溶接部B1に欠陥(符号Fで示す)があることの検出例を示している。また、図2の上段右側は、60°のSH波によりリニアスキャンを行った場合に、裏面にある凸状の裏波は検出されず、溶接部B1に欠陥(符号Fで示す)があることの検出例を示している。
また、このステップ5にて、45°のSH波の反射波が検出されたか、60°のSH波の反射波が検出されたかを判定し、45°のSH波の反射波のみが検出された場合にステップ6〜7に進み、また、45°及び60°両方のSH波の反射波が共に検出された場合にステップ8〜9に進む。
図2の上段左側に示すように、45°でのSH波によるリニアスキャンデータと、溶接部B1を示す形状データとを重ね合わせることで、溶接部B1の裏面に凸状の裏波M、及び溶接部B1に欠陥Fがあることを検出できる。
図2の下段に示すように、45°及び60°でのSH波によるリニアスキャンデータと、溶接部B1を示す形状データとを重ね合わせることで、溶接部B1の裏面に凸状の裏波M、及び溶接部B1に欠陥Fがあることを明確に特定できる。
図3及び図4の識別処理は、図1及び図2と処理内容の大部分を共通とするものであり、異なる点(ステップ3´)について以下に説明する。
ステップ1での探傷結果に基づき、欠陥の存在が疑われる溶接部B1の上部領域及び表面について、フェーズドアレイ超音波探傷装置の探触子10(図4参照)から出力された45°と60°との各SH‐PA波によりリニアスキャンを行ない、これら探傷による反射信号を該探触子10にて受信する。なお、ここでのリニアスキャンは、溶接部B1の表面に焦点深さが一致するように調整を行なっておく。その後、ステップ4にて、ステップ3´のSH波によりリニアスキャンを行った超音波信号が、溶接部B1の上部領域又は表面に反射して反射波となって戻って来たか否かを判定し、反射波がないNOの場合に「健全」と判断し、反射波があるYESの場合に次のステップ5に進む。
また、図2及び図4のステップ6及び7は処理の高速化のために適宜省略して、ステップ8及び9でのみ全ての欠陥F、裏波N,余盛Mを判定しても良い。
本発明の第2実施形態について図5及び図6を参照して説明する。
図5及び図6に示される第2実施形態では、超音波を発振する複数の探触子を並べてなるフェーズドアレイ超音波探傷装置を用いて、被検査対象となる板体Bの溶接部B1及び溶接部Bをまたぐ領域に対し、所定の角度で扇状のセクタースキャンによる探傷を行う。
なお、第2実施形態では、フェーズドアレイ超音波探傷装置の振動子から出力される超音波の形態が異なるだけで、第1実施形態のフローチャートと基本的に同じ処理を行う。
なお、ここでの溶接部B1の欠陥Fの位置特定は、図2のフローチャートのステップ5で述べた処理と同様、出力角度60°でのSH‐PA波によるセクタースキャンデータと、溶接部B1を示す形状データとを重ね合わせることで、欠陥F(主に、下部領域)の位置を特定する。
本発明の第3実施形態について図7及び図8を参照して説明する。
図7は「溶接部B1の裏面側における欠陥の識別」に係るフローチャートであり、図8は図7のフローチャートに係るスキャン探傷に係る説明図である。
図7及び図8に示される第3実施形態では、超音波を発振する複数の探触子を並べてなるフェーズドアレイ超音波探傷装置を用いて、被検査対象となる板体Bの溶接部B1及び溶接部Bをまたぐ領域の断面に対して複数の焦点深さでリニアスキャンによる探傷を行う。
〔ステップ10〕
検査対象となる溶接部B1に対して横波探傷(SV)及び縦波探傷を行ない、それらの検出信号を受信する。
ステップ10での探傷結果に基づき、欠陥の存在が疑われる溶接部B1の下部領域及び裏面について、フェーズドアレイ超音波探傷装置の探触子10(図8(A)参照)から出力された焦点深さを段階的に変えた複数のSH‐PA波によりリニアスキャンを行ない、これら探傷による反射波WAを該探触子10にて受信する。なお、ここでのリニアスキャンは、複数の探触子10から出力される超音波信号の焦点深さを、1スキャン毎に順次変更することで、溶接部B1の欠陥Fの範囲を検出可能とする。また、ここでのリニアスキャンは、図7では、探触子10から溶接部B1に対する屈折角度を45°で設定しているが、これを段階的に変更することも可能である。
ステップ11の複数のSH波によりリニアスキャンを行った超音波信号が、欠陥又は裏波に反射して反射波となって戻って来たか否かを判定し、反射波がある場合に、各焦点深さの反射波に基づき、図8(B)に示すように欠陥Fの位置を特定する。
図8(C)に示すように、ステップ12で得たスキャンデータと、溶接部B1を示す形状データとを重ね合わせることで、溶接部B1上での欠陥Fの位置を特定する。
また、上記リニアスキャンにおいて、探触子10から溶接部B1に対する屈折角度を段階的に変更することで、より高い精度で溶接部B1に生じた欠陥Fを検出することができる。
本発明の第4実施形態について図9及び図10を参照して説明する。
図9は「溶接部B1の裏面側における欠陥の識別」に係るフローチャートであり、図10は図9のフローチャートに係るスキャン探傷に係る説明図である。
図9及び図10に示される第3実施形態では、超音波を発振する探触子として、複数の振動子を並べてなるフェーズドアレイ超音波探傷装置を用いて、被検査対象となる板体Bの溶接部B1及び溶接部Bをまたぐ領域に対し、所定の角度で扇状のセクタースキャンによる探傷を行う。
〔ステップ20〕
検査対象となる溶接部B1に対して横波探傷(SV)及び縦波探傷を行ない、それらの検出信号を受信する。
ステップ20での探傷結果に基づき、欠陥の存在が疑われる溶接部B1の下部領域及び裏面について、フェーズドアレイ超音波探傷装置の探触子10(図10(A)参照)から出力された焦点深さを段階的に変えた複数のSH‐PA波により扇状のセクタースキャンを行ない、これら探傷による反射波WAを該探触子10にて受信する。そして、このようなセクタースキャンにより、図10(B)に示されるように、第3実施形態のリニアスキャンより大きなスキャン領域を確保することができる。
ステップ21の複数のSH波によりセクタースキャンを行った超音波信号が、欠陥又は裏波に反射して反射波となって戻って来たか否かを判定し、反射波がある場合に、各焦点深さの反射波に基づき、図10(B)に示すように欠陥Fの位置を特定する。
図10(C)に示すように、ステップ22で得たスキャンデータと、溶接部B1を示す形状データとを重ね合わせることで、溶接部B1上での欠陥Fの位置を特定する。
また、上記扇状のセクタースキャンにおいて、探触子10から溶接部B1に対する屈折角度を段階的に変更することで、より高い精度で溶接部B1に生じた欠陥Fを検出することができる。
超音波探傷方法に関する。
B1 溶接部
F 欠陥
M 裏波(欠陥)
N 余盛(欠陥)
Claims (8)
- 溶接部をまたぐ所定の領域の断面に対して所定の角度で超音波を発振し、反射波を検出する工程と、
前記角度と異なる角度で超音波を発振し、反射波を検出する工程と、
前記異なる角度での超音波検出結果を照合することにより、欠陥位置を判別する工程と、を有することを特徴とする超音波探傷方法。 - 溶接部をまたぐ所定の領域の断面に対して所定の焦点深さで超音波を発振し、反射波を検出する工程と、
前記焦点深さと異なる焦点深さで超音波を発振し、反射波を検出する工程と、
前記異なる焦点深さでの超音波検出結果を照合することにより、欠陥位置を判別する工程と、を有することを特徴とする超音波探傷方法。 - 溶接部をまたぐ所定の領域の断面に対して所定の角度及び焦点深さで超音波を発振し、反射波を検出する工程と、
前記角度及び焦点深さと異なる角度及び焦点深さで超音波を発振し、反射波を検出する工程と、
前記異なる角度及び焦点深さでの超音波検出結果を照合することにより、欠陥位置を判別する工程と、を有することを特徴とする超音波探傷方法。 - 前記超音波を発振する探触子は、SH波を発する複数の振動子を並べてなるフェーズドアレイ超音波探傷プローブであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超音波探傷方法。
- 前記超音波を発振する探触子は、一定の間隔をおいて列状に超音波を発振するリニアスキャンを行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波探傷方法。
- 前記超音波を発振する探触子は、一定の間隔をおいて扇状に超音波を発振するセクタースキャンを行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波探傷方法。
- 前記欠陥位置を判別する工程では、前記スキャンにより得たスキャンデータを、前記溶接部の形状画像と重ね合わせることにより解析を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波探傷方法。
- 前記解析の結果に基づき前記欠陥の位置とともに該欠陥の範囲を特定することを特徴とする請求項7に記載の超音波探傷方法。
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