JP2013155390A - 疲労特性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】TSが490MPa以上の疲労特性に優れた高強度熱延鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.08〜0.18%、Si:0.5%未満、Mn:0.8〜1.8%、P:0.05%以下、S:0.005%以下、N:0.008%以下、Al:0.01〜0.1%およびTi:0.01〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板とし、鋼板表面から100μmまでの表層部の組織は主相フェライト相と分率:30%以下の第二相として、該フェライト相の平均粒径を10μm以下とし、さらに、表層部には、表層部中のTi量の30%以上がTi炭化物として析出し、そのTi炭化物の平均粒径は30nm以下とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、主な対象として、自動車用部材、例えば車体のメンバーやフレームなどの構造部材やサスペンションなどの足まわり部材、さらにはトラックフレーム等の厚物部材などに用いられる高強度熱延鋼板およびその製造方法に関するものである。
近年、自動車車体の軽量化を図るために、高強度鋼板の利用が積極的に行われている。すなわち、自動車車体の骨格部材だけでなく、一般に熱延鋼板が使用される足回り部材等に対しても、軽量化を図るために、優れた性能を示すハイテン材への切り替えが望まれている。
足回り部材やトラックフレームなどにハイテンが適用される場合、成形性、化成・耐食性に加えて、高い疲労特性を具備することが必須の条件となる。
一般に、平滑材の疲労限は、母材の引張強度と共に増加することが知られているが、打抜き穴部、スリット端部、ブランク端部などの疲労特性は、母材の引張強度が増加しても必ずしも増加しないことが知られている。
従来、熱延ハイテンの高強度化には、
a) フェライト相中にSiなどを固溶させた固溶強化法
b) フェライト相中に炭窒化物を形成させる析出強化法
c) マルテンサイト相あるいはベイナイト相などを生成させる組織強化法
また、これらの方法を併用した複合強化法などが利用されてきた。
さらに、要求される特性に応じて、種々の高強度熱延鋼板が開発されてきている。例えば、伸び性が要求される鋼板としては、フェライト相とマルテンサイト相からなる組織強化された複合組織鋼板(DP鋼板)が、また伸びフランジ性が要求される鋼板としては、ベイナイト相により組織強化された鋼板が開発されてきている。
しかしながら、上記鋼板では、成形性、化成・耐食性、疲労特性のすべてを満足させることは極めて難しかった。
これに対して、特許文献1には、重量%で、C:0.18%以下、Si:0.5〜2.5%、Mn:0.5〜2.5%、P:0.05%以下、S:0.02%以下およびAl:0.01〜0.1%を含有しつつ、Ti:0.02〜0.5%およびNb:0.02〜1.0%のいずれか1種または2種を、CとTiおよびNbとが特定の関係を満足するように含有し、さらに、Ti、Nbの炭化物が析出したフェライトとマルテンサイト、またはTi、Nbの炭化物が析出したフェライトとマルテンサイトおよび残留オーステナイトとからなる組織を有する低降伏比高強度熱延鋼板が記載されている。
上掲特許文献1の記載によれば、上記マルテンサイト相もしくは残留オーステナイト相からなる第二相の周辺に、高密度の可動転位網が形成されるために、当該鋼板は低降伏比を有し、さらに、第二相の存在によって、疲労亀裂の伝播が阻止されるため、耐疲労特性が向上するとしている。
特許第3219820号公報
すなわち、上掲特許文献1に記載された技術は、フェライト相を析出強化し、マルテンサイト相との強度差を低減することで耐疲労特性の向上を狙ったものと考えられるが、フェライト相とマルテンサイト相とでは、塑性変形能や、変形挙動が異なっていて、さらに、フェライト相とマルテンサイト相との異相界面は、疲労亀裂の発生起点となりやすいため、近年要求されている程度の耐疲労特性の実現は困難である。
また、上掲特許文献1に記載の材料は、0.5%以上のSiを添加することにより複合組織を形成させているが、このようなSi添加は、表面性状を悪化させて疲労特性に悪影響を及ぼすだけでなく、化成・耐食性も劣化させるので、近年要求されている程度に、化成・耐食性を満足させることができない。
本発明は、上記した現状に鑑み、自動車用部材として、近年要求されている成形性や化成・耐食性を確保し、かつ優れた疲労特性を有する高強度熱延鋼板、具体的には、鋼板強度(TS)が490MPa以上となる疲労特性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。なお、本発明鋼の特性が要求される用途であれば、特に用途は限定されない。
発明者等は、上記の目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、種々の知見を得て、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)質量%で、C:0.08〜0.18%、Si:0.5%未満、Mn:0.8〜1.8%、P:0.05%以下、S:0.005%以下、N:0.008%以下、Al:0.01〜0.1%およびTi:0.01〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板であって、該鋼板表面から100μmまでの表層部の組織が主相フェライト相と分率:30%以下の第二相とからなり、該フェライト相の平均粒径が10μm以下で、さらに、該表層部には、該表層部中のTi量の30%以上がTi炭化物として析出し、該Ti炭化物の平均粒径が30nm以下であることを特徴とする疲労特性に優れた高強度熱延鋼板。
(2)前記鋼板がさらに、質量%で、V:0.005〜0.1%およびNb:0.005〜0.1%のうちから選んだ少なくとも一種を含有することを特徴とする前記(1)に記載の疲労特性に優れた高強度熱延鋼板。
(3)前記鋼板がさらに、質量%で、Cu:0.005〜0.1%、Ni:0.005〜0.1%、Cr:0.002〜0.1%およびMo:0.002〜0.1%のうちから選んだ少なくとも一種を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の疲労特性に優れた高強度熱延鋼板。
(4)前記鋼板がさらに、質量%で、B:0.0002〜0.005%を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の疲労特性に優れた高強度熱延鋼板。
(5)前記鋼板がさらに、質量%でCa:0.0005〜0.005%およびREM:0.0005〜0.03%のうちから選んだ少なくとも1種を含有することを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の疲労特性に優れた高強度熱延鋼板。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の成分組成からなる鋼を、1150〜1300℃に加熱したのち、熱間圧延を、Ar3変態点〜(Ar3変態点+60)℃の範囲の仕上温度で、かつ仕上圧延の最終スタンドにおける圧下率を25%以上として施し、ついで570〜670℃の巻取り温度で巻き取ることを特徴とする疲労特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
(7)前記(6)に記載の仕上圧延終了後、2秒以内に鋼板の冷却を開始し、さらに該鋼板を、仕上圧延終了後10秒以内に(巻取り温度+50℃)以下の温度に冷却することを特徴とする疲労特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
本発明により、安定して、耐久比0.45以上の疲労特性に優れた高強度熱延鋼板を製造できるようになった。また、本発明の高強度熱延鋼板を用いることで、自動車における車体のメンバーやフレームなどの構造部材やサスペンションなどの足まわり部材を効果的に軽量化することができる。
平面曲げ疲労試験片を示した図である。
以下、本発明を具体的に説明するが、まず、本発明における鋼板の成分組成について説明する。なお、成分組成に関する「%」表示は特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
C:0.08〜0.18%
Cは、鋼板に必要な強度確保だけでなく、結晶粒の微細化に効果的な元素である。490MPa以上の鋼板強度(以下、TSという)および所望の結晶粒を得るためには、C量を0.08%以上とする必要がある。一方、C量が0.18%を超えると、全伸び(以下、ELという)や穴広げ率(以下、λという)が低下する。従って、C量は0.08〜0.18%とする。好ましくは0.08〜0.16%である。
Si:0.5%未満
Siは、0.5%以上添加すると、表面性状の著しい低下を招き、疲労、化成・耐食性に悪影響を及ぼすため、0.5%未満とする。下限は特に限定せず、0%であっても良い。
Mn:0.8〜1.8%
Mnは、固溶強化による強度確保および結晶粒微細化に効果的な元素である。490MPa以上のTSおよび所望の粒径の結晶粒を得るためにはMn量を0.8%以上とする必要がある。一方、Mn量が1.8%を超えると加工性が著しく低下する。従って、Mn量は0.8〜1.8%とする。好ましくは0.8〜1.5%である。
P:0.05%以下
P量が0.05%を超えると、Pの偏析によるELやλの低下を招く。従って、Pは、0.05%以下とする。好ましくは、0.03%以下である。下限は特に限定せず、0%であっても良い。
S:0.005%以下
Sは、硫化物を形成してELやλを低下させるため、0.005%以下とする。好ましくは0.003%以下である。下限は特に限定せず、0%であっても良い。
N:0.008%以下
N量が0.008%を超えて多量に含有すると、製造工程で多量の窒化物を生成して熱間延性を劣化させるので有害である。従って、N量は0.008%以下とする。好ましくは0.005%以下である。下限は特に限定せず、0%であっても良い。
Al:0.01〜0.1%
Alは、鋼の脱酸剤として重要な元素であり、その効果を得るためにはAl量を0.01%以上とする必要がある。一方、Al量が0.1%を超えると鋳造が難しくなったり、鋼中に多量の介在物が残存して材質や表面性状の低下を招く。従って、Al量は0.01〜0.1%とする。
Ti:0.01〜0.1%
Tiは、本発明において最も重要な元素の1つである。0.01%以上の添加によって、鋼板の結晶粒の微細化や、炭化物の析出による降伏点上昇を介して疲労特性が向上するからである。一方、0.1%を超える添加は、加工性や、溶接性、靭性などに悪影響を及ぼしてしまうので0.1%以下とする。
なお、本発明では、必要とされる鋼板の強度レベルに応じて、Ti添加量を決定するが、表層部では、添加したTiのうち、表層部に存在するTiの30%以上を、表層部でTi炭化物として析出させることが肝要である。
このTi炭化物の存在により、本発明が所望するレベルの疲労特性を得ることができるのである。
このとき、上記Ti炭化物の結晶粒径は、30nm以下とする。表層部における微細なTi炭化物の析出を確保することで、微細フェライト粒を強化し、本発明の目標の疲労耐久比を達成できるからである。
本発明は、上記した成分組成以外に、鋼中に、V:0.005〜0.1%およびNb:0.005〜0.1%の中から選択された少なくとも一種を含有することができる。
VおよびNbは、共に再結晶抑制効果を有していて、結晶粒の微細化に寄与したり、炭化物の生成によって、降伏点の上昇に寄与したりする元素である。いずれも0.005%以上の添加により上記効果を得られる。一方、0.1%を超えて添加してもコストに見合った効果が得られないので0.1%以下とする。VおよびNbは、Tiに比べ合金コストが高いことに加え、炭化物析出の歩留がTiより低いので、副次的に活用する。
また、本発明は、上記した成分組成以外に、鋼中に、Cu:0.005〜0.1%、Ni:0.005〜0.1%、Cr:0.002〜0.1%およびMo:0.002〜0.1%のうち、少なくとも一種を含有することができる。
CuおよびNiは、共に0.005%以上の添加で、鋼板の強度向上に寄与する。一方、0.1%を超えて添加すると、熱間圧延中に、表層割れを起こすおそれがあるので、添加する場合は0.1%以下とする。
CrおよびMoは、共に炭化物形成元素であり、0.002%以上の添加で鋼板の強度向上に寄与する。一方、0.1%を超える添加はコストに見合う効果が得られないので、添加する場合は0.1%以下とする。
さらに、B:0.0002〜0.005%を含有できる。
Bは、結晶粒の微細化に有利な元素であり、そのためには0.0002%以上の添加が必要である。一方、B量が0.005%を超えると添加の効果が飽和し、コストに見合う効果が得られない。従って、B量は0.0002〜0.005%の範囲とすることが好ましい。
また、本発明は、上記した成分組成以外に、鋼中に、Ca:0.0005〜0.005%およびREM:0.0005〜0.03%のうち少なくとも1種を含有できる。
CaやREMは、介在物の形態制御に有効な元素であり、加工性向上に寄与する。こうした添加効果を得るためには、Ca量やREM量を、それぞれ0.0005%以上とすることが必要である。一方、Ca量が0.005%を超えたり、REM量が0.03%を超えると、鋼中介在物が増加して材質が劣化する。従って、Ca量は0.0005〜0.005%、REM量は0.0005〜0.03%の範囲とすることが好ましい。
次に、本発明における鋼板のミクロ組織について説明する。
本発明の熱延鋼板は、鋼板表面から100μmまでの表層部の組織を主相フェライト相と分率:30%以下の第二相とし、フェライト相の平均粒径が10μm以下で、かつ表層部中のTi量の30%以上がTi炭化物として析出し、さらにそのTi炭化物の平均粒径を30nm以下としたミクロ組織を有している。
本発明においては、鋼板表面から100μmまでの表層部(以下、単に表層部という)の組織制御が極めて重要である。というのは、対象とする疲労現象が、表面からの疲労き裂であって、疲労き裂が生成後、進展して最終破断に至るためである。
発明者らは、鋭意研究を重ね、その研究の中で、疲労き裂の生成から進展していく現象のうち、100μm程度に達するまでが、疲労現象をほぼ支配すること、および、材料組織に依存するのは、疲労き裂の長さが100μm程度までで、それ以上の長さになると、き裂進展は材料組織に依存しなくなること、をそれぞれ知見した。
すなわち、表層部の組織制御が、優れた疲労特性を有する高強度熱延鋼板を得るという目的に対して、最も重要な点であることを知見したのである。
主相フェライト相の平均粒径が10μm以下
本発明の熱延鋼板の表層部は、主相フェライト相と分率:30%以下の第二相から成っている。
ここで、主相フェライトの平均粒径は10μm以下であることが必要である。これを超える粒径の場合、所望の疲労特性が得られないからである。
また、第二相分率が30%を超えると、主相と第二相との界面において、疲労き裂の生成する頻度が増加して所望の疲労特性が得られない。好ましくは第二相分率は20%以下である。ここで第二相とは、パーライト、ベイナイト、マルテンサイト、残留オーステナイト、粗大な炭化物などの単一相や複数相全体を指す。すなわち、本発明において、第二相とは、フェライト以外の結晶相であれば、特に限定はなく、パーライトやベイナイトなど、フェライト以外の結晶相全てが第二相である。
ここで、上記のフェライト相、あるいはその他の相(第二相)の分率(面積率)は、以下のようにして求めることができる。
試験鋼より、試験片を採取し、圧延方向に平行な板厚断面を研磨後、ナイタール腐食を施して、走査型電子顕微鏡(SEM)用試験片とする。ついで、倍率:1000倍および3000倍のSEM写真を、その試験片の表層から100μm以内の領域にわたり、1視野の大きさ30×30μmで、10視野、撮影する。そして、フェライト相や、その他の相を、SEM写真の画像処理で抽出し、画像解析処理によりフェライト相、その他の相の面積および観察視野の面積を測定して、(各相の面積)/(観察視野の面積)×100(%)の式により、上記面積率を算出することができる。
ここで、フェライト相は1000倍のSEM写真で灰色に観察される部分であり、粒界を除く白色に観察される部分を第二相とする。
また、主相フェライトの平均粒径は、上記1000倍および3000倍のSEM写真を同じく画像解析し、円相当径(JIS G 0551:2005)を求めることで算出している。なお、本発明において、0.5μm以下のフェライト粒は、上記平均値の計算に入れていない。
添加したTi量のうち、表層部に存在するTi量の30%以上を、平均粒径:30nm以下の炭化物として析出させることで、表層部のフェライト相を強化し、材料の降伏強度を上昇させて所望の疲労特性を得ることができる。平均粒径が上記値を超えたり、析出量が不足すると十分な効果が得られない。
なお、Tiの析出物の平均粒径は、鋼板表面から100μm厚みのサンプルを切出し、電解研磨により透過型電子顕微鏡(TEM)用の薄膜を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、15万倍の倍率で、任意に10視野程度選択し、1視野1×1μmを観察する。そして、観察されたTiの析出物を円相当径(JIS G 0551:2005)を求めることで、上記Tiの析出物の平均粒径を算出している。なお、本発明において、円相当径として1nm以下と評価された析出物は、上記平均値の計算に入れていない。
ここで、本発明における所望の疲労特性とは、シェンク型の平面曲げ疲労試験を実施した。試験条件は応力比R=-1、周波数:25Hzで200万サイクルにおける疲労強度を評価したときの特性を指す。
さらに、本発明に従う熱延鋼板を得るための製造条件について、以下説明する。
1150〜1300℃のスラブ加熱
本発明においてスラブを1150℃以上に加熱し、スラブ段階の炭化物を固溶させることが重要である。1150℃未満の加熱の場合、スラブ中の炭化物が固溶せず、熱延工程で所望の炭化物を得ることができないためである。一方、加熱温度が1300℃を超えた場合、表層部の組織が粗大化して目標組織が得られずに、Si系スケールが生成して表面性状を損ね、さらには疲労特性にも悪影響を及ぼす。
Ar3変態点〜(Ar3変態点+60)℃の仕上温度、かつ仕上圧延最終スタンドでの圧下率:25%以上
本発明における仕上圧延は、Ar3変態点〜(Ar3変態点+60)℃の範囲で実施する必要がある。Ar3変態点未満で仕上圧延を終えた場合、表層部に粗大粒が生成し疲労、加工性が著しく低下し、一方、(Ar3変態点+60)℃を超えた温度で終了すると、所望の結晶粒が得られずに目標とする疲労特性が実現できないからである。
なお、ここでいうAr3変態点は、冷却速度10℃/sの加工フォーマスタ実験で熱膨張曲線を求め、その変化点により求めた変態温度である。
また、本発明において仕上圧延最終スタンドにおける圧下率は極めて重要である。圧下率が25%未満の場合、所望の表層組織が得られず疲労特性が向上しないからである。好ましくは、圧下率:30%以上である。
巻取り温度:570〜670℃
670℃を超えた巻取り温度の場合、粗大なパーライトが生成し、疲労、加工性を低下させる。一方、570℃未満の巻取り温度の場合、表層部に所望のTi炭化物量を確保できず、目標とする疲労特性が得られない。
さらに、以下の製造条件を加えると、一層優れた疲労特性が得られる。
仕上圧延終了後、2秒以内に冷却を開始し、さらに10秒以内に(巻取り温度+50℃)以下の温度に冷却
仕上圧延終了後2秒以内に冷却を開始すると、組織をさらに効果的に微細化することができ、より一層の疲労特性向上が期待できる。また、仕上圧延終了後10秒以内に(巻取り温度+50℃)まで冷却することで、目標とするTi炭化物をより得やすくなり疲労特性改善が期待できる。
その他の製造条件は通常の条件に従って行うことができる。
例えば、前述したような所望の組成を有する鋼は、転炉や電気炉、誘導炉などで溶製を行う。ついで、真空脱ガス炉にて二次精錬が行われる。その後行われる鋳造は、生産性や品質上の点から連続鋳造法で行うのが好ましいが、分塊圧延による方法も可能である。
鋳造されるスラブは、厚みが200〜300mm程度の通常のスラブであっても、厚みが30mm程度の薄スラブであってもよい。薄スラブにすれば粗圧延を省略できる。鋳造後のスラブは、そのまま直送熱間圧延しても、加熱炉で加熱後熱間圧延してもよい。
また、本発明の高強度熱延鋼板は、電気亜鉛めっき鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板等のめっき鋼板とすることもできる。
表1に示す組成とAr3変態点を有する鋼スラブ記号A〜Iを、表2に示す熱延条件で熱延鋼板No.1〜13を作製した。なお、表1のAr3変態点は前記した加工フォーマスタ実験により求めた。
Figure 2013155390
Figure 2013155390
そして、前記したSEM写真の画像処理方法を用いて、表面から100μm以内の平均フェライト粒径および第二相分率を求めた。また、表面から100μm以内のTi炭化物析出量は、表面から100μm厚みのサンプルを切出し、30μmフィルターを用い残渣を捕集する電解抽出残渣法により求めた。また、表面から100μm以内のTi量は表面から100μm厚みのサンプルを用い、通常の化学分析(例えばJIS G 1253 スパーク放電発光分光分析方法など)により測定した。さらに、機械特性は、JIS 5号引張試験片を、圧延方向に直角の方向より採取し、以下に述べる方法で求めた。
3本の引張試験片に、歪み速度:10mm/minで引張試験を行い、JIS Z 2241に準拠して、3本の平均値から、それぞれ降伏強さ(YS)、引張強さ(TS)を求めた。
疲労試験は、図1に示す試験片を、鋼板の圧延方向に対して直角方向に採取し、シェンク型の平面曲げ疲労試験を実施した。試験条件は応力比R=-1、周波数:25Hzで200万サイクルでの疲労強度を評価し、耐久比(200万サイクル疲労強度/引張強度)を計算した。ここで耐久比≧0.45を本発明の目標とした。
結果を表3に示す。
Figure 2013155390
本発明の条件をいずれも満足する発明例(No.2,4,5および8〜10)では、耐久比が0.45以上を満足し、優れた疲労特性を示すことが分かる。

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.08〜0.18%、Si:0.5%未満、Mn:0.8〜1.8%、P:0.05%以下、S:0.005%以下、N:0.008%以下、Al:0.01〜0.1%およびTi:0.01〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板であって、該鋼板表面から100μmまでの表層部の組織が主相フェライト相と分率:30%以下の第二相とからなり、該フェライト相の平均粒径が10μm以下で、さらに、該表層部には、該表層部中のTi量の30%以上がTi炭化物として析出し、該Ti炭化物の平均粒径が30nm以下であることを特徴とする疲労特性に優れた高強度熱延鋼板。
  2. 前記鋼板がさらに、質量%で、V:0.005〜0.1%およびNb:0.005〜0.1%のうちから選んだ少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1に記載の疲労特性に優れた高強度熱延鋼板。
  3. 前記鋼板がさらに、質量%で、Cu:0.005〜0.1%、Ni:0.005〜0.1%、Cr:0.002〜0.1%およびMo:0.002〜0.1%のうちから選んだ少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の疲労特性に優れた高強度熱延鋼板。
  4. 前記鋼板がさらに、質量%で、B:0.0002〜0.005%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の疲労特性に優れた高強度熱延鋼板。
  5. 前記鋼板がさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.005%およびREM:0.0005〜0.03%のうちから選んだ少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の疲労特性に優れた高強度熱延鋼板。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の成分組成からなる鋼を、1150〜1300℃に加熱したのち、熱間圧延を、Ar3変態点〜(Ar3変態点+60)℃の範囲の仕上温度で、かつ仕上圧延の最終スタンドにおける圧下率を25%以上として施し、ついで570〜670℃の巻取り温度で巻き取ることを特徴とする疲労特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  7. 請求項6に記載の仕上圧延終了後、2秒以内に鋼板の冷却を開始し、さらに該鋼板を、仕上圧延終了後10秒以内に(巻取り温度+50℃)以下の温度に冷却することを特徴とする疲労特性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。


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