JP2013151704A - 熱可塑性樹脂組成物、カメラ、医療用器具及び音響機器 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、カメラ、医療用器具及び音響機器 Download PDF

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Abstract

【課題】充分な耐衝撃性を維持しつつポリカーボネート樹脂の含有量を少なくし、環境負荷を低減した熱可塑性樹脂組成物、及び該熱可塑性樹脂組成物を用いたカメラ、医療用器具、音響機器を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体とに由来する繰り返し単位を主成分とする脂肪族ポリエステル樹脂(B)、並びにエチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体とアクリロニトリル−スチレンの共重合体(D)を含有し、前記脂肪族ポリエステル樹脂(B)の含有量が、前記ポリカーボネート樹脂(A)と脂肪族ポリエステル樹脂(B)の合計100質量%に対して40〜70質量%である熱可塑性樹脂組成物。また、該熱可塑性樹脂組成物を用いたカメラ、医療用器具、音響機器。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物、カメラ、医療用器具及び音響機器に関する。
ポリカーボネート樹脂は、優れた耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂であることから、カメラ、医療用器具、音響機器などの様々な部材に用いられている。しかし、ポリカーボネート樹脂は製造時にエネルギーを多用することから、二酸化炭素排出量の多い樹脂であり、環境負荷の面で問題を有している。そこで、ポリカーボネート樹脂と、二酸化炭素排出量の少ない植物由来の樹脂であるポリブチレンサクシネートなどの脂肪族ポリエステル樹脂とを併用し、環境負荷を低減する試みがなされている。
具体的には、以下に示す熱可塑性樹脂組成物が示されている。
(1)芳香族ポリカーボネート樹脂と、脂肪族ジオール(脂環式ジオールを含む。)並びに脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体からなる繰り返し単位を主成分とする脂肪族ポリエステル樹脂と、エポキシ基変性重合体と、ビニル系重合体とを含有する熱可塑性樹脂組成物(特許文献1)。
(2)芳香族ポリカーボネート樹脂と、ポリ乳酸樹脂と、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールからなる脂肪族ポリエステル樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物(特許文献2)。
特開2007−211113号公報 特開2008−214378号公報
(1)及び(2)の熱可塑性樹脂組成物では、芳香族ポリカーボネート樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂とを併用することで、石油由来の芳香族ポリカーボネート樹脂の含有量を低減している。しかし、ポリカーボネート樹脂の割合が少なくなると耐衝撃性が低下するため、耐衝撃性の面から依然としてポリカーボネート樹脂の含有量が多い。そのため、耐衝撃性の低下を抑制しつつ、脂肪族ポリエステル樹脂の含有量をさらに向上させることが求められている。
本発明では、充分な耐衝撃性を維持しつつポリカーボネート樹脂の含有量を少なくし、環境負荷を低減した熱可塑性樹脂組成物の提供を目的とする。また、本発明では、該熱可塑性樹脂組成物を用いたカメラ、医療用器具、音響機器を提供する。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]ポリカーボネート樹脂(A)、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体とに由来する繰り返し単位を主成分とする脂肪族ポリエステル樹脂(B)、並びにエチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体とアクリロニトリル−スチレン共重合体の共重合体(D)を含有し、前記脂肪族ポリエステル樹脂(B)の含有量が、前記ポリカーボネート樹脂(A)と脂肪族ポリエステル樹脂(B)の合計100質量%に対して50〜70質量%である熱可塑性樹脂組成物。
[2]前記脂肪族ポリエステル樹脂(B)がポリブチレンサクシネートである前記[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]前記[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いたカメラ。
[4]前記[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いた医療用器具。
[5]前記[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いた音響機器。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂の含有量が少なく環境負荷が低減されており、かつ充分な耐衝撃性を有している。
本発明のカメラ、医療器具、音響機器は、充分な耐衝撃性を有しており、また環境負荷が低減されている。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物」という。)について説明する。
<熱可塑性樹脂組成物>
[第1実施形態(参考例)]
本実施形態(参考例)の熱可塑性樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物(I)」という。)は、下記のポリカーボネート樹脂(A)(以下、「樹脂(A)」という。)と、脂肪族ポリエステル樹脂(B)(以下、「樹脂(B)」という。)と、共重合体(C)とを含有する。
(樹脂(A))
樹脂(A)は、耐衝撃性を向上させる役割を果たす。
樹脂(A)は、熱可塑性樹脂組成物に通常用いられるポリカーボネート樹脂が使用できる。この中でも、二酸化炭素を原料とするポリカーボネートや、植物を原料とするポリカーボネートは、二酸化炭素排出量が少なく好ましい。
また、本発明は、樹脂(A)として芳香族ポリカーボネート樹脂を用いると性能と価格のバランスが良いことが多い。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させて得られる重合体が挙げられる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンが挙げられる。
カーボネート前駆体としては、例えば、カルボニルハライド、カルボニルエステル、ハロホルメートが挙げられる。具体的には、ホスゲン、2価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどが挙げられる。
樹脂(A)は、芳香族を含まないポリカーボネートであってもよい。
芳香族を含まないポリカーボネートとしては、脂環式ポリカーボネートや脂肪族ポリカーボネートなどが例示できる。
ポリカーボネート樹脂は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、前記芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体を重合して得られる重合体と他の重合体との共重合体であってもよい。
ポリカーボネート樹脂は、従来公知の方法で製造できる。例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法などの種々の方法が挙げられる。
(樹脂(B))
樹脂(B)は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体とに由来する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(b)」という。)を主成分とする樹脂である。ただし、本発明における脂肪族ジオールは、脂環式ジオールを含む。
本樹脂組成物(I)が樹脂(B)を含有することにより、環境負荷が低減される。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の誘導体とは、脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステル又は環状酸無水物である。
脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、例えば、前記脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステルが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水アジピン酸が挙げられる。
樹脂(B)における繰り返し単位(b)の割合は、全繰り返し単位100モル%に対して70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、100モル%が特に好ましい。
繰り返し単位(b)は、生分解性に優れる点から、下式(1)で表される繰り返し単位が好ましい。すなわち、樹脂(B)は、ポリブチレンサクシネート鎖を有する樹脂が好ましく、ポリブチレンサクシネートが特に好ましい。
Figure 2013151704
ポリブチレンサクシネート鎖を有する樹脂としては、ポリブチレンサクシネート以外に、ε−カプロラクトン、エチレンサクシネート、グリコール酸、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノール、各種ジオール、各種ジエステル、ジイソシアネートなどが共重合された樹脂が挙げられる。
本樹脂組成物中の樹脂(B)の含有量は、樹脂(A)と樹脂(B)との合計量を100質量%としたとき、50〜70質量%である。すなわち、本樹脂組成物は、樹脂(A)30〜50質量%と樹脂(B)70〜50質量%(ただし、樹脂(A)と樹脂(B)の合計が100質量%である。)とを含有する樹脂組成物である。
本樹脂組成物中の樹脂(B)の前記含有量が50量%以上であれば、環境負荷が低減でき、かつ充分な耐衝撃性が得られる。樹脂(B)の前記含有量が70質量%以下であれば、優れた耐衝撃性が得られる。
(共重合体(C))
共重合体(C)は、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体(以下、「EGMA」という。)とスチレン重合体(以下、「PS」という。)の共重合体である。共重合体(C)は、樹脂(A)と樹脂(B)の相溶化剤として働く。共重合体(C)を用いることにより、本樹脂組成物(I)において樹脂(B)が海相、樹脂(A)が島相を形成する海−島構造で、かつ島相の樹脂(A)中にさらに樹脂(B)の分散相が形成された三重構造が形成される。本明細書中では、該構造を便宜的に海−島(海)構造という。樹脂(A)と樹脂(B)が海−島(海)構造を形成することにより、優れた耐衝撃性を有する本樹脂組成物(I)が得られる。
共重合体(C)は、EGMAにPSをグラフトしたグラフト共重合体であることが好ましい。
共重合体(C)のEGMAにおけるエチレン(E)とメタクリル酸グリシジル(GMA)との質量比(E/GMA)は、1/99〜99/1であることが好ましく、80/20〜90/10であることが特に好ましい。GMAとEの質量比が前記範囲内であれば、海−島(海)構造が形成されやすい。
共重合体(C)におけるEGMAとPSの質量比(EGMA/PS)は、1/99〜99/1であることが好ましく、60/40〜80/20であることが特に好ましい。EGMAとPSの質量比が前記範囲内であれば、海−島(海)構造が形成されやすい。
また、共重合体(C)は、本樹脂組成物(I)の耐衝撃性及び環境負荷の低減効果を低下させない範囲であれば、不純物など他の成分を含有していてもよい。
共重合体(C)100質量%における、GMAに由来する繰り返し単位とPSに由来する繰り返し単位の合計の含有量は、90質量%以上であることが好ましい。
本樹脂組成物(I)における共重合体(C)の含有量は、樹脂(A)と樹脂(B)との合計質量100質量%に対して、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。共重合体(C)の含有量が0.1質量%以上であれば、海−島(海)構造が形成されやすい。また、共重合体(C)は高価であるので、共重合体(C)の含有量が50質量%以下であれば、経済合理性にも適う。
また、本樹脂組成物(I)は、耐衝撃性及び環境負荷の低減効果を低下させすぎない範囲であれば、樹脂(A)、樹脂(B)及び共重合体(C)以外の他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、例えば、着色剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、触媒、チクソトロピー付与材、粘度調整剤、酸化防止剤、老化防止剤、無機粒子、有機粒子、滑剤などが挙げられる。
(製造方法)
本樹脂組成物は、樹脂(A)、樹脂(B)及び共重合体(C)を混練することにより得ることができる。
混練方法は、樹脂(A)、樹脂(B)及び共重合体(C)を充分に混練することができる方法であればよく、公知の混練方法を用いることができる。混練方法の具体例としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機などを用いる溶融混練方法、水性溶媒や有機溶媒を用いる湿式混練方法が挙げられ、溶融混練方法が好ましい。
具体的には、例えば、樹脂(A)、樹脂(B)及び共重合体(C)をペンシルミキサーなどで均一に混合した後に、二軸押出機で溶融混練する方法が挙げられる。
溶融混練時の混練温度は、それぞれの使用樹脂のうち融点の高い方の樹脂の融点以上で、なおかつそれぞれの使用樹脂のうち熱分解温度の低い方の樹脂の熱分解温度以下の温度で混練することが好ましい。混練温度が融点未満であると溶融混練できず、また混練温度が熱分解温度を超えると、樹脂劣化が激しく、所望の物理特性を有する熱可塑性樹脂組成物が得られない。
湿式混練方法を用いる場合についても、樹脂(A)、樹脂(B)及び共重合体(C)を充分に混練できれば各種条件は特に限定されず、溶媒の量、混練温度などを適宜選択して混練すればよい。
[第2実施形態]
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物(II)」という。)は、樹脂(A)と、樹脂(B)と、下記共重合体(D)とを含有する。
(共重合体(D))
共重合体(D)は、EGMAとアクリロニトリル−スチレン共重合体(以下、「AS」という。)の共重合体である。共重合体(D)は、樹脂(A)と樹脂(B)の相溶化剤として働く。共重合体(D)を用いることで、共重合体(C)を用いた場合と同様に本樹脂組成物(II)において樹脂(A)と樹脂(B)が海−島(海)構造を形成し、優れた耐衝撃性が得られる。
共重合体(D)は、EGMAにASをグラフトしたグラフト共重合体であることが好ましい。
共重合体(D)のEGMAにおけるEとGMAとの質量比(E/GMA)は、1/99〜99/1であることが好ましい。EとGMAの質量比が前記範囲内であれば、海−島(海)構造が形成されやすい。
共重合体(D)のアクリロニトリル(A)におけるスチレン(S)との質量比(A/S)は、1/99〜99/1であることが好ましい。AとSの質量比が前記範囲内であれば、海−島(海)構造が形成されやすい。
共重合体(D)におけるEGMAとASの質量比(EGMA/AS)は、1/99〜99/1であることが好ましく、60/40〜80/20であることが特に好ましい。EGMAとASの質量比が前記範囲内であれば、海−島(海)構造が形成されやすい。
また、共重合体(D)は、本樹脂組成物(II)の耐衝撃性及び環境負荷の低減効果を低下させない範囲であれば、不純物など他の成分を含有していてもよい。
共重合体(D)100質量%における、EGMAに由来する繰り返し単位とASに由来する繰り返し単位の合計の含有量は、90質量%以上であることが好ましい。
本樹脂組成物(II)における共重合体(D)の含有量は、樹脂(A)と樹脂(B)との合計質量100質量%に対して、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。共重合体(D)の含有量が0.1質量%以上であれば、海−島(海)構造が形成されやすい。また、共重合体(D)は高価であるので、共重合体(D)の含有量が50質量%以下であれば、経済合理性にも適う。
また、本樹脂組成物(II)は、耐衝撃性及び環境負荷の低減効果を低下させすぎない範囲であれば、樹脂(A)、樹脂(B)及び共重合体(D)以外の他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、例えば、着色剤、酸化防止剤、老化防止剤、無機粒子、有機粒子、滑剤などが挙げられる。
本樹脂組成物(II)の製造方法としては、本樹脂組成物(I)で挙げた製造方法と同じ方法を用いることができる。すなわち、本樹脂組成物(I)における共重合体(C)の代わりに共重合体(D)を用いた同様の方法で製造できる。
以上説明した本樹脂組成物は、樹脂(A)の量を減少させても耐衝撃性の低下が抑制され、優れた耐衝撃性が得られる。これは、以下の要因が考えられる。本樹脂組成物では、従来の熱可塑性樹脂組成物に比べて樹脂(A)に対する樹脂(B)の割合が多く、樹脂(A)と樹脂(B)の割合が同程度である。しかし、樹脂(A)と樹脂(B)の割合を同程度とし、さらに共重合体(C)を含有させることにより、樹脂(B)の海相中に樹脂(A)が島相を形成し、さらに該島相中に樹脂(B)が分散する海−島(海)構造を形成できる。これにより、優れた耐衝撃性が達成されると考えられる。
特許文献1のような従来の熱可塑性樹脂組成物では、耐衝撃性の低下を抑えるため、芳香族ポリカーボネート樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の合計100質量%に対する芳香族ポリカーボネート樹脂の含有量が80質量%以上となるように過剰に用いていた。そのため、該熱可塑性樹脂組成物では本樹脂組成物のような海−島(海)構造が形成できなかったと考えられる。
尚、本樹脂組成物は前述の本樹脂組成物(I)及び本樹脂組成物(II)には限定されない。例えば、本樹脂組成物は、樹脂(A)及び樹脂(B)に加えて、共重合体(C)及び共重合体(D)を含有する樹脂組成物であってもよい。
[カメラ、医療用器具、音響機器]
本発明のカメラ、医療用器具、音響機器は、前述の本樹脂組成物を用いたものである。
具体的には、カメラや音響機器における筐体やハンドル部位などの外装部材、内部に使用される構造部材、歯車、ビス、フィルム、チューブなどの機能部材に適用できる。
医療用器具の具体例としては、例えば、内視鏡内に設置され、体内において細胞組織を採取する内視鏡用処置具、カテーテル、内視鏡用処置具チューブ、内視鏡可撓管などの医療用チューブ、内視鏡操作部などの内視鏡用部材が挙げられる。
これらは、本樹脂組成物を用いる以外は通常の製造方法により製造される。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。尚、本実施例における「部」は「質量部」を意味する。
本実施例で用いた原料を以下に示す。
(樹脂(A))
樹脂A1:商品名「パンライトL1225L」(ポリカーボネート樹脂、帝人化成株式会社製)
(樹脂(B))
樹脂B1:商品名「ビオノーレ1000」(ポリブチレンサクシネート、昭和高分子株式会社製)
(共重合体(C))
共重合体C1:商品名「モディパーA4100」(EGMAとPSの共重合体、E/GMA(質量%)=85/15、EGMA/PS(質量%)=70/30、日本油脂株式会社製)
(共重合体(D))
共重合体D1:商品名「モディパーA4400」(EGMAとASの共重合体、E/GMA(質量%)=85/15、EGMA/AS(質量%)=70/30、日本油脂株式会社製)
(他の共重合体(E):比較品)
共重合体E1:商品名「ボンドファスト7M」(GMAとメタクリル酸メチル(MMA)とEの共重合体、GMA/MMA/E(質量%)=6/67/27、住友化学株式会社製)
各例で得られた樹脂組成物は、以下に示す方法でIzod衝撃強度を測定して耐衝撃性を評価し、その構造を透過型顕微鏡により観察した。
(Izod衝撃強度)
各例で得られた樹脂組成物のペレットを80℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(HM7=DENKEY、日精樹脂工業株式会社製)を使用し、シリンダー温度240℃、金型温度75℃、成形サイクル25秒の条件下で、JIS K7110に準拠した厚み3.0mmのノッチ付き試験片を作成した。次いで、該試験片について、JIS K7110に準拠して、23℃においてIzod衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
(樹脂組成物の透過型顕微鏡観察)
各例で得られた樹脂組成物のペレットを酸化オスミウム(OsO)の2%水溶液中に室温で3日間浸漬して染色した。その後、染色したペレットからウルトラミクロトーム(REICHERT−NISSEI製、Ultracut−S)にて凍結切片(−110℃)を切削し、厚み100nmの薄膜を得た。得られた薄膜について、透過型電子顕微鏡(TEM、株式会社日立製作所製、H7100)にて加速電圧75kV、観察倍率5000倍、2万倍の倍率で樹脂組成物の相分離状態を観察した。
以下、実施例及び比較例について説明する。
(参考例1)
樹脂A1(55部)と、樹脂B1(45部)と、共重合体C1(5部)とをペンシルミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(KZW 15/30、L/D=30、テクノベル社製)を使用し、シリンダー温度240℃、スクリュー回転数120rpmにて溶融混練することにより、樹脂組成物のペレットを作成した。
(実施例1)
共重合体C1の代わりに共重合体D1を用いた以外は、参考例1と同様にして樹脂組成物のペレットを作成した。
(参考例2、実施例2)
原料の比率を表1に示すように変更した以外は、参考例1と同様にして樹脂組成物のペレットを作成した。
(比較例1、5)
共重合体C1を用いず、樹脂A1及び樹脂B1の比率を表1に示すように変更した以外は、参考例1と同様にして樹脂組成物のペレットを作成した。
(比較例2)
共重合体C1の代わりに共重合体E1を用いた以外は、参考例1と同様にして樹脂組成物のペレットを作成した。
(比較例3、4)
原料の比率を表1に示すように変更した以外は、参考例1と同様にして樹脂組成物のペレットを作成した。
参考例、実施例及び比較例におけるIzod衝撃強度の測定結果及びTEMによる樹脂組成物の構造の観察結果を表1に示す。
Figure 2013151704
表1に示すように、参考例1及び実施例1の樹脂組成物は、海−島(海)構造を形成しており、Izod衝撃強度が高く耐衝撃性が優れていた。また、参考例1及び実施例1の樹脂組成物は、いずれも成形に不具合が生じないような充分な流動性と押出加工性を有していた。
一方、参考例1と同じ割合で樹脂A1と樹脂B1を含有する比較例1の樹脂組成物は、海−島構造を形成しており、参考例1と比較して耐衝撃性が劣っていた。同様に、比較例2の樹脂組成物も海−島構造を形成しており、参考例1と比較して耐衝撃性が劣っていた。
比較例3の樹脂組成物はIzod強度が著しく高かった。これは、樹脂(A)が60質量%よりも多く含まれると、共重合体(C)の有無に関わらず、衝撃強度が強い樹脂(A)の性質が強く反映され、垂直的に衝撃強度が良くなるからである。実際、共重合体(C)がない比較例5の樹脂組成物と比べ、衝撃強度はあまり変わらなかった。しかし、比較例5の樹脂(A)の割合は、参考例1よりも格段に二酸化炭素排出量が多く、目的を達しない。
比較例4の樹脂組成物は、海−島(海)構造をとらず、耐衝撃性に劣っていた。
以上の結果から、樹脂(A)と樹脂(B)とが海−島(海)構造を形成することで優れた耐衝撃性が得られることが確認された。
本樹脂組成物は、耐衝撃性に優れるうえ、環境負荷が低減されているため、通常プラスチックが使用されている部位の他、非プラスチック部位の代替材料としても適用できる。なかでも、カメラ、医療用器具、音響機器に好適に使用でき、それらの筐体やハンドル部位などの外装部材、内部に使用される構造部材、歯車、ビス、フィルム、チューブなどの機能部材に適用できる。

Claims (5)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体とに由来する繰り返し単位を主成分とする脂肪族ポリエステル樹脂(B)、並びにエチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体とアクリロニトリル−スチレンの共重合体の共重合体(D)を含有し、
    前記脂肪族ポリエステル樹脂(B)の含有量が、前記ポリカーボネート樹脂(A)と脂肪族ポリエステル樹脂(B)の合計100質量%に対して50〜70質量%である熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記脂肪族ポリエステル樹脂(B)がポリブチレンサクシネートである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いたカメラ。
  4. 請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いた医療用器具。
  5. 請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いた音響機器。
JP2013101638A 2013-05-13 2013-05-13 熱可塑性樹脂組成物、カメラ、医療用器具及び音響機器 Expired - Fee Related JP5669880B2 (ja)

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