図1は、本発明の実施形態にかかるウエハ搬送装置の正面図である。
同図に示すウエハ搬送装置A1は、インゴットを切断することにより得られる複数枚のウエハを一枚ずつ分離する作業(枚葉化作業)を行うためのものである。なお、本実施形態におけるウエハ881は矩形状である。ウエハ搬送装置A1は、ウエハ枚葉化ユニットB2と、ウエハ格納ユニットB3とを備える。
ウエハ881が太陽電池用である場合、ウエハ881の厚みは、たとえば、0.14mm〜0.18mmである。ウエハ881の縦および横の寸法は、たとえば156mmである。ウエハ881が半導体デバイス用である場合には、ウエハ881の形状は円形状であってもよい。この場合、ウエハ881の厚みは、たとえば、1mmであり、ウエハ881の直径は、たとえば、450mmである。
ウエハ枚葉化ユニットB2は、枚葉化水槽20と、基部21と、第1支持機構22と、移動機構23と、第2支持機構24と、リフタ25と、ウエハ移し替え時用液体噴出機構261と、ウエハ浮上用液体噴出機構262と、ウエハ受け取り機構27と、演算回路28と、ウエハ接触検出機構29と、を含む。
枚葉化水槽20は液体Lq2を蓄えるためのものである。液体Lq2に複数枚のウエハ881が浸された状態で、複数枚のウエハ881の枚葉化作業(後述)が行われる。液体Lq2は、たとえば、水に界面活性剤が混入されたものである。なお、枚葉化作業が行われる際における液体Lq2の温度は、常温よりも高温であることが好ましい。
基部21は、枚葉化水槽20と、移動機構23と、リフタ25と、を固定するためのものである。本実施形態において基部21は台座211および起立壁212を有する。台座211は、たとえば水平な床面に設置される。台座211には枚葉化水槽20が固定されている。図1では、理解の便宜上、起立壁212にハッチングを付している。起立壁212は台座211から起立している。
図2は、図1に示したウエハ搬送装置A1における第1支持機構22を拡大して示す部分拡大正面図である。図3は、図2に示した第1支持機構22の平面図である。
図2、図3に示すように、第1支持機構22は、複数枚のウエハ881を互いに積層させた状態で支持するためのものである。第1支持機構22は、枠部221と、第1載置部222と、第1移動規制部223と、第1脱落防止部224と、を有する。
枠部221は、平面視においてコの字状の部材である。本実施形態において枠部221は、互いに連結された複数の板材によって構成されている。
第1載置部222は、互いに積層された状態で複数枚のウエハ881を載置するためのものである。本実施形態においては、第1載置部222は互いに離間した4つの部位を有する。第1載置部222を構成する4つの部位は各々、板状の部材からなる。第1載置部222の具体的形状は、複数枚のウエハ881を互いに積層された状態で載置できれば本実施形態に示したものには限定されない。たとえば、第1載置部222は複数の棒状の部材が並列されたものであってもよい。なお、図2では、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881の積層方向を、方向Z1として記載している。
第1移動規制部223は、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881の積層方向である第1積層方向(図2では、方向Z1)に直交する第1面内方向(図2、図3では方向X1に一致する)側に、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881が移動することを規制する。より具体的には、第1移動規制部223は、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881の積層方向である第1積層方向視において、第1配置位置S11(図3参照)よりも、第1積層方向に直交する第1面内方向側に、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881が移動することを規制する。すなわち、第1移動規制部223は、第1移動規制部223に当接する位置よりも図3における左側に各ウエハ881が移動することを、防止する。本実施形態においては、第1移動規制部223は2つの細板である。第1移動規制部223を構成する2つの細板は各々、方向Z1に沿って起立している。第1移動規制部223を構成する2つの細板は各々、第1載置部222を構成する上述の4つの部位のうちの、図3にて左側に示した2つの部位のいずれか一方に固定されている。また、第1移動規制部223を構成する2つの細板は各々、枠部221にも固定されている。これにより、第1載置部222を構成する4つの部位のうちの、図3にて左側に示した2つの部位と、第1移動規制部223と、枠部221とが、互いに固定されている。第1移動規制部223の具体的形状は本実施形態にて示したものに限られない。たとえば、第1移動規制部223は、方向Z1に沿って延びる棒状であってもよい。
図2,図3に示す第1脱落防止部224は、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881が、第1載置部222から脱落することを防止するためのものである。本実施形態において、第1脱落防止部224は、2つの部材により構成される。第1脱落防止部224を構成する2つの部材は各々、断面形状がL字状を呈し、方向Z1に沿って起立している。第1脱落防止部224を構成する2つの部材は各々、第1載置部222を構成する上述の4つの部位のうちの、図3にて右側に示した2つの部位のいずれか一方に固定されている。また、第1脱落防止部224を構成する2つの部材は各々、枠部221にも固定されている。これにより、第1載置部222を構成する4つの部位のうちの、図3にて右側に示した2つの部位と、第1脱落防止部224と、枠部221とが、互いに固定されている。
図1によく表れている移動機構23は、第1支持機構22を移動させるための機構である。移動機構23によって第1支持機構22が移動させられることにより、第1支持機構22は所望の位置に移動できる。移動機構23は基部21における起立壁212に固定されている。
本実施形態において移動機構23は、エアシリンダ231aと、ロッド231bと、ナックルジョイント231cと、回動部材232と、を有する。
エアシリンダ231aは基部21における起立壁212に固定されている。ロッド231bは、エアシリンダ231aから突出している。ロッド231bは、エアシリンダ231aに対し、前進および後退移動可能となっている。ナックルジョイント231cは、ロッド231bの先端に固定されている。
回動部材232は、軸心232eを中心として回動可能に、基部21における起立壁212に対し固定されている。回動部材232には第1支持機構22が固定されている。また、回動部材232は、ナックルジョイント231cを介してロッド231bに固定されている。ロッド231bの前進および後退移動に伴い、回動部材232は軸心232eを中心として回動する。これにより、回動部材232は、第1支持機構22を所望の位置に回動させる。
本実施形態における回動部材232は、マグネット式ロッドレスシリンダである。回動部材232は、第1本体232aと、ガイドレール232cと、第1可動連結部232dと、第1棒状部232fと、第1連結部232gと、を有する。
第1本体232aはシリンダの本体である。第1本体232aには第1空洞部232bが形成されている。第1空洞部232bは、一方向に沿って延びるように形成されている。ガイドレール232cは第1空洞部232b内に配置されている。ガイドレール232cは、第1空洞部232bが延びる方向と同一方向に沿って延びている。第1可動連結部232dは第1空洞部232bに収容されている。第1可動連結部232dはガイドレール232cに連結されている。第1可動連結部232dは、ガイドレール232cに沿って、第1空洞部232b内にてガイドレール232cが延びる方向に沿って移動できる。第1可動連結部232dの移動は、たとえば圧縮空気を用いる。
第1棒状部232fは、ガイドレール232cが延びる方向と同一方向に沿って延びている。第1棒状部232fの一端は、第1可動連結部232dに固定されている。第1可動連結部232dが第1空洞部232b内を移動することに伴い、第1棒状部232fはガイドレール232cが延びる方向に沿って移動できる。第1連結部232gは、第1棒状部232fおよび第1支持機構22を連結している。これにより、第1支持機構22が第1棒状部232fに固定されている。第1支持機構22が第1棒状部232fに固定されているため、第1棒状部232fがガイドレール232cが延びる方向に沿って移動することに伴い、第1支持機構22も、ガイドレール232cが延びる方向に沿って移動することができる。回動部材232の回動、および、第1棒状部232fに移動によって、第1支持機構22は所望の位置に移動できる。
図4は、図1に示したウエハ搬送装置A1における第2支持機構24を拡大して示す部分拡大正面図である。図5は、図4に示した第2支持機構24の平面図である。
第2支持機構24は、複数枚のウエハ881を互いに積層させた状態で支持するためのものである。第2支持機構24は、土台部241と、第2載置部242と、第2移動規制部243と、第2脱落防止部244と、を有する。
土台部241は、第2支持機構24の土台となる部材である。土台部241は、板状を呈する。土台部241には、3つの凹部241aが形成されている。
第2載置部242は、互いに積層された状態で複数枚のウエハ881を載置するためのものである。図5に示すように、本実施形態においては、第2載置部242は、4つのリブ状部材から構成される。第2載置部242を構成する4つのリブ状部材は各々、土台部241から起立している。第2載置部242を構成する4つのリブ状部材の頂上の位置は揃っている。これにより、第2載置部242を構成する4つのリブ状部材のいずれもが、ウエハ881を支持できる。第2載置部242の具体的形状は、複数枚のウエハ881を互いに積層された状態で載置できれば本実施形態に示したものには限定されない。たとえば、第2載置部242は、複数の棒状の部材が並列されたものであってもよいし、一つの平板であってもよい。なお、図4では、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881の積層方向を、方向Z2として記載している。
詳細については後述するが、第2載置部242は、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881を一括して持ち上げる。図6は、第2載置部242が、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881を持ち上げる際の、第1支持機構22および第2支持機構24を示す平面図である。同図に示すように、第1載置部222が、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881を持ち上げる際、第1載置部222を構成する4つの部位は土台部241に形成された凹部241aにはまるように配置される。そのため、第1載置部222が、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881を持ち上げる際、土台部241は第1載置部222とは重ならない。
図4、図5に示す第2移動規制部243は、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881の積層方向である第2積層方向(図4では、方向Z2)に直交する第2面内方向(図4、図5では方向X2に一致する)側に、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881が移動することを規制する。より具体的には、第2移動規制部243は、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881の積層方向である第2積層方向視において、第2配置位置S12(図5参照)よりも、第2積層方向に直交する第2面内方向側に、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881が移動することを規制する。すなわち、第2移動規制部243は、第2移動規制部243に当接する位置よりも図5における左側に各ウエハ881が移動することを、防止する。図5に示すように、本実施形態においては、第2移動規制部243は2つの細板状の部材である。第2移動規制部243を構成する2つの部材は各々、土台部241に固定され、且つ、土台部241から方向Z2に沿って起立している。第2移動規制部243の具体的形状は本実施形態にて示したものに限られない。たとえば、第2移動規制部243は、土台部241から方向Z2に沿って延びる棒状であってもよい。
図6における下側の部分拡大図に示すように、第2載置部242が、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881を持ち上げる際、第2配置位置S12は、第1配置位置S11よりも図6にて左側に位置している。これは、第2載置部242が、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881を持ち上げる際に、第2移動規制部243がウエハ881に接触することを防止するためである。
図4、図5に示す第2脱落防止部244は、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881が、第2載置部242から脱落することを防止するためのものである。本実施形態において、第2脱落防止部244は、2つの板材である。第2脱落防止部244を構成する2つの板材は各々、土台部241から方向Z2に沿って起立している。第2脱落防止部244を構成する2つの板材は各々、第2移動規制部243を構成する2つの部材のいずれか一つにつながっている。
図1によく表れているリフタ25には第2支持機構24が固定されている。リフタ25は第2支持機構24(すなわち第2載置部242)を移動させる。具体的には、リフタ25は、第1移動規制部223に対し第2載置部242を相対移動させる。また、リフタ25は、ウエハ受け取り機構27に対し第2載置部242を相対移動させる。本実施形態においてリフタ25が第2載置部242を移動させることを、第2支持機構24を移動させると言うことがある。リフタ25は、基部21における起立壁212に固定されている。
本実施形態におけるリフタ25はガイドアクチュエータである。リフタ25は、第2本体251と、サーボモータ252と、スクリューシャフト253と、第2可動連結部254と、第2棒状部255と、第2連結部256と、を有する。
第2本体251は基部21における起立壁212に固定されている。第2本体251には、第2空洞部251aが形成されている。第2空洞部251aは、一方向に沿って延びるように形成されている。サーボモータ252は第2空洞部251aに収容されている。スクリューシャフト253は、第2空洞部251aに収容され、サーボモータ252に連結されている。スクリューシャフト253は、第2空洞部251a内にて第2空洞部251aの延びる方向に沿って延びる。スクリューシャフト253は、サーボモータ252の回転に伴い、回転する。第2可動連結部254はスクリューシャフト253に連結している。第2可動連結部254は、たとえば、スクリューシャフト253と螺合している雄螺子を有しているとよい。スクリューシャフト253の回転に伴い、第2可動連結部254は、第2空洞部251aにてスクリューシャフト253の延びる方向に沿って移動する。
第2棒状部255は、スクリューシャフト253の延びる方向に沿って延びている。第2棒状部255の一端は、第2可動連結部254に固定されている。第2可動連結部254が第2空洞部251a内を移動することに伴い、第2棒状部255はスクリューシャフト253の延びる方向に沿って移動できる。第2連結部256は、第2棒状部255および第2支持機構24を連結している。これにより、第2支持機構24が第2棒状部255に固定されている。第2支持機構24が第2棒状部255に固定されているため、第2棒状部255がスクリューシャフト253の延びる方向に沿って移動することに伴い、第2支持機構24も、スクリューシャフト253の延びる方向に沿って移動することができる。
なお、本実施形態においては、第2支持機構24の移動方向は、鉛直方向から傾いている。
図1に示すウエハ移し替え時用液体噴出機構261は、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881を第2載置部242へと移し替える際に、ウエハ881に向かって液体を噴出する。
図7は、ウエハ移し替え時用液体噴出機構261を模式的に示す斜視図である。
図7に示すように、ウエハ移し替え時用液体噴出機構261には、スリットノズル261aが形成されている。スリットノズル261aからは液体が噴出される。スリットノズル261aは、一方向に沿って延びる形状である。そのため、スリットノズル261aからの噴流の断面形状は、一方向に沿って長手状に延びる形状である。スリットノズル261aは、第2支持機構24が移動する方向に沿って延びていてもよいし、第2支持機構24が移動する方向に対し傾斜する方向に沿って延びていてもよい。
更に、本実施形態とは異なり、ウエハ移し替え時用液体噴出機構261に一方向に沿って延びるスリットノズル261aが形成されていなくてもよい。たとえば、ウエハ移し替え時用液体噴出機構261に、1または複数の円形のノズルが形成されていてもよい。
図1に示すウエハ浮上用液体噴出機構262は、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881に向かって液体を噴出する。ウエハ浮上用液体噴出機構262は、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881のうち少なくとも最上位に位置するウエハ881を浮上させるためのものである。
ウエハ受け取り機構27は、ウエハ浮上用液体噴出機構262からの噴流を受けることにより浮上したウエハ881を、受け取る。ウエハ受け取り機構27がウエハ881を受け取るためには、ウエハ受け取り機構27が、たとえば、バキューム手段を有していればよい。ウエハ受け取り機構27は受け取ったウエハ881をウエハ格納ユニットB3に向けて送る。ウエハ受け取り機構27がウエハ881を送るには、ウエハ受け取り機構27がたとえば、ウエハ881を吸着した状態でスライドさせる吸着コンベアを有しているとよい。
演算回路28は、定常工程開始判断器281と、噴出量制御器282と、動作制御器283と、を有する。
定常工程開始判断器281は、ウエハ浮上用液体噴出機構262からの液体の噴出量を定常噴出量ff2に設定される定常工程(後述)を開始すべきと判断すると、定常工程開始信号St2を生成する。本実施形態においては、定常工程開始判断器281は、ウエハ受け取り機構27に対する第2載置部242の位置が、定常工程開始位置になったときに、定常工程を開始すべきと判断する。定常工程開始位置は、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881のうち最上位に位置するウエハ881の浮上代を確保することができるような値に、予め設定されている。
噴出量制御器282は、ウエハ浮上用液体噴出機構262からの液体の噴出量を制御するためのものである。噴出量制御器282は、定常工程開始判断器281から定常工程開始信号St2を受ける。噴出量制御器282は、ウエハ浮上用液体噴出機構262に、ウエハ浮上用液体噴出機構262からの液体の噴出量を制御するための噴出量制御信号Sfを送る。
動作制御器283は、リフタ25の動作を制御するためのものである。具体的には、動作制御器283は、サーボモータ252の回転方向および回転速度を制御する。動作制御器283は、定常工程開始判断器281から定常工程開始信号St2を受ける。動作制御器283は、リフタ25に、リフタ25の動作を制御するための動作制御信号Msを送る。
ウエハ接触検出機構29は、第2載置部242に載置されたウエハ881のうち最上位に位置するウエハ881がウエハ受け取り機構27に接触したことを、検知するためのものである。ウエハ接触検出機構29は、たとえば、マグネットセンサや、光学センサや、接触式センサである。ウエハ接触検出機構29は、第2載置部242に載置されたウエハ881のうち最上位に位置するウエハ881がウエハ受け取り機構27に接触したことを検知すると、検知信号Dsを生成する。ウエハ接触検出機構29は、生成した検知信号Dsを、噴出量制御器282と動作制御器283とに送る。
図8は、ウエハ搬送装置A1におけるウエハ格納ユニットB3を示す正面図(一部構成模式化、一部構成省略)である。図9は、図8のIX−IX線に沿う断面図である。
ウエハ格納ユニットB3は、中継コンベア32と、減速コンベア33と、カセット36と、カセット保持機構37(図1では省略、具体的には、図14参照)と、カセット移動機構39(図1では省略)と、を含む。
中継コンベア32は、図1に示したウエハ受け取り機構27から送られてきたウエハ881を受け渡される。本実施形態のように、中継コンベア32とウエハ受け取り機構27との間に、他のコンベアが介在していてもよい。
図8、図9に示すように、本実施形態において、中継コンベア32は、2つのローラ321と、2組の中継ベルト322と、を有する。
2つのローラ321は、ウエハ881の搬送方向に沿って互いに離間するように配置されている。ローラ321のいずれかが、サーボモータなどの駆動源に連結されている。
各中継ベルト322は、2つのローラ321に互いに並行に掛け回されている。中継ベルト322は、環状のベルトであり、本実施形態においては、丸ベルトと称されるものである。各中継ベルト322は、ローラ321の回転に伴い周回させられる。中継ベルト322上に搬送されたウエハ881は、中継ベルト322の周回に伴い、カセット36に向けて送り出される。
図8、図9に示す減速コンベア33は、中継コンベア32からウエハ881を受け渡される。減速コンベア33は、中継コンベア32から送られてきたウエハ881の速度を減少させるためのものである。具体的には、ウエハ搬送装置A1の稼動時にて、減速コンベア33の速度は、中継コンベア32の速度よりも小さい。なお、コンベアの速度は、ウエハ881の搬送方向を正としている。本実施形態においては、中継コンベア32の速度は300mm/sec程度であり、減速コンベア33の速度は150〜200mm/sec程度である。なお、本実施形態とは異なり、減速コンベア33の速度が負の値であってもよい。減速コンベア33および中継コンベア32は、互いに相対的に固定されている。
減速コンベア33は、複数(図8では6つ)のローラ331と、2組の減速ベルト332と、を有する。
各ローラ331は互いに離間している。各減速ベルト332は、各ローラ331に互いに並行に掛け回されている。各減速ベルト332は、環状のベルトであり、本実施形態においては、丸ベルトと称されるものである。各減速ベルト332は、ローラ331の回転に伴い周回させられる。減速ベルト332上に搬送されたウエハ881は、減速ベルト332の速度程度まで減速させられ、カセット36に格納される。
図9に示すように、本実施形態において減速コンベア33は、第1減速区間337と、第2減速区間338とを構成する。第1減速区間337は、ウエハ881の搬送方向において、第2減速区間338と、中継コンベア32との間に位置している。第2減速区間338は、第1減速区間337よりもウエハ881の搬送方向の下流側に位置している。
第1減速区間337と第2減速区間338との間には、空隙339が形成されている。具体的には、空隙339は、ウエハ881の搬送面に垂直な方向視において、第1減速区間337と第2減速区間338との間に位置する。すなわち、ウエハ881の搬送面に垂直な方向視において、第1減速区間337と第2減速区間338との間には、減速コンベア33を構成する部品等が無い。第1減速区間337および第2減速区間338は、同一の減速ベルト332によって構成されている。第1減速区間337および第2減速区間338の各々を構成するベルトを駆動させるモータを共用することができる。そのため、第1減速区間337を構成するベルトを駆動させるためのモータと、第2の減速区間338を構成するベルトを駆動させるためのモータと、の2つのモータを用意する必要がない。
図10は、図8に示したウエハ格納ユニットB3におけるカセット36を示す底面図である。図11は、図8に示したウエハ格納ユニットB3におけるカセット36を示す上面図である。図12は、図10のXII−XII線に沿う断面図である。図13は、図10のXIII−XIII線に沿う断面図である。
図8〜図13に示すカセット36は、ウエハ881を一枚ずつ互いに離間した状態で格納する。カセット36は、底板361と、上板362と、複数の(本実施形態では5つ)の支軸364と、複数の支持片365と、を有する。
底板361は、たとえば、金属よりなる。図10に示すように、底板361は、コの字状の部材である。底板361には第1切欠き361dが形成されている。
上板362は、たとえば、金属よりなる。本実施形態では、上板362は底板361と同一形状である。上板362は底板361に対向している。上板362は底板361と平行に配置されている。図11に示すように、上板362は、コの字状の部材である。上板362には第2切欠き362dが形成されている。
図9、図12、図13に示す複数の(5つの)支軸364はそれぞれ、底板361から一方向に沿って起立している。各支軸364は、互いに平行に配置されている。各支軸364の一端は底板361に固定されており、各支軸364の他端は上板362に固定されている。これにより、底板361と上板362とが固定されている。本実施形態においては、複数の支軸364のうちの一つは、ウエハの搬送方向の前方側に位置している。なお、各支軸364は、底板361ないし上板362に対し、たとえば螺子を用いて固定されている。各支軸364は、ステンレスなどの金属よりなる。
図9、図12、図13に示す複数の支持片365はそれぞれ、複数の支軸364のいずれかに固定されている。各支持片は、一枚のウエハ881を支持する。本実施形態においては、互いに異なる5つの支軸364に固定された5つの支持片365によって、一枚のウエハ881が支持される。これにより、複数枚のウエハ881が互いに離間した状態で、カセット36に格納される。なお、カセット36に格納された複数枚のウエハ881のピッチは、たとえば、5mmである。支持片365は、たとえば樹脂よりなる。このような樹脂としては、PTFE(poly tetra fluoro ethylene)が挙げられる。
図14は、ウエハ格納ユニットB3のうち、カセット36とカセット保持機構37とカセット移動機構39とを示す断面図である。図15は、図14のXV−XV線に沿う断面図(一部省略)である。図16は、図14のXVI−XVI線に沿う断面図(一部省略)である。図17は、図14のXVII−XVII線に沿う断面図(一部省略)である。図15〜図17では、ウエハ881の搬送方向を矢印で示している。
カセット保持機構37はカセット36を保持するためのものである。カセット保持機構37は、置台371と、第1底板挟持器具372と、第1支持器具373と、第1上板挟持器具374と、第1上板押さえ付け器具375と、第2底板挟持器具376と、第2支持器具377と、第2上板挟持器具378と、第2上板押さえ付け器具379と、を有する。
置台371は、カセット保持機構37によって保持するカセット36を置くためのものである。第1支持器具373および第2支持器具377は、いずれも、置台371に固定され且つ置台371から起立している。第1支持器具373および第2支持器具377は、たとえば、板材や形鋼などからなる。
第1底板挟持器具372および第2底板挟持器具376は、置台371に相対的に固定されている。図17に示すように、第1底板挟持器具372および第2底板挟持器具376は、カセット36における底板361の平面視において、底板361を互いに挟持する。これにより、底板361は所望の位置に所望の姿勢で固定される。本実施形態において、第1底板挟持器具372は第1支持器具373に固定され、第2底板挟持器具376は第2支持器具377に固定されている。そして、第1底板挟持器具372は第1支持器具373に固定されたシリンダを有し、第2底板挟持器具376は第2支持器具377に固定されたシリンダを有する。これらのシリンダの圧力を用い、第1底板挟持器具372および第2底板挟持器具376は、底板361を挟持する。
図14、図16に示すように、第1上板挟持器具374および第2上板挟持器具378は、カセット36における上板362の平面視において上板362を互いに挟持する。また、第1上板挟持器具374および第2上板挟持器具378は、カセット36における底板361に対する、上板362の平面視における上板362の位置を規定する。これにより、上板362は、底板361に対し所望の位置に所望の姿勢で固定される。本実施形態において、第1上板挟持器具374は第1支持器具373に固定され、第2上板挟持器具378は第2支持器具377に固定されている。
第1上板挟持器具374および第2上板挟持器具378の具体的構成は、本実施形態では次のとおりである。
図14、図16に示すように、第1上板挟持器具374は、第1シリンダ374aと、第1ロッド374bと、第1アタッチメント374cと、を有する。
第1シリンダ374aは第1支持器具373に固定されている。第1シリンダ374aは、たとえば、エアシリンダである。第1シリンダ374aは、第1上板挟持器具374が上板362に与える力を生成する。第1ロッド374bは第1シリンダ374aから突出している。第1ロッド374bは、第1シリンダ374aから突出する方向に沿って前進および後退移動できる。第1アタッチメント374cは、第1ロッド374bに固定されている。第1ロッド374bの移動に伴い、第1アタッチメント374cは、第1ロッド374bが第1シリンダ374aから突出する方向に沿って前進および後退移動できる。本実施形態においては、第1アタッチメント374cが上板362に当接し、上板362に力を与える。第1アタッチメント374cには、第1逃げ部374eが形成されている。本実施形態において第1逃げ部374eは穴である。
第2上板挟持器具378は、第2シリンダ378aと、第2ロッド378bと、第2アタッチメント378cと、を有する。
第2シリンダ378aは、第2支持器具377に固定されている。第2シリンダ378aは、たとえば、エアシリンダである。第2シリンダ378aは、第2上板挟持器具378が上板362に与える力を生成する。第2ロッド378bは第2シリンダ378aから突出している。第2ロッド378bは、第2シリンダ378aから突出する方向に沿って前進および後退移動できる。第2アタッチメント378cは、第2ロッド378bに固定されている。第2ロッド378bの移動に伴い、第2アタッチメント378cは、第2ロッド378bが第2シリンダ378aから突出する方向に沿って前進および後退移動できる。本実施形態においては、第2アタッチメント378cが上板362に当接し、上板362に力を与える。第2アタッチメント378cには、第2逃げ部378eが形成されている。本実施形態において第2逃げ部378eは穴である。
図14、図15に示す第1上板押さえ付け器具375は、カセット36の底板361の位置する側に向かって上板362を押さえ付ける。第1上板押さえ付け器具375は、第1支持器具373に固定されている。第1上板押さえ付け器具375が上板362を押さえ付ける方向側には、置台371が位置する。
第1上板押さえ付け器具375は、第1シリンダ部375aと、第1ロッド部375bと、第1押さえ付け部375cと、を有する。
第1シリンダ部375aは第1支持器具373に固定されている。第1シリンダ部375aは、たとえば、エアシリンダである。第1シリンダ部375aは、第1上板押さえ付け器具375が上板362に与える力を生成する。本実施形態においては、第1シリンダ部375aは、第1上板押さえ付け器具375が上板362を押さえ付ける方向において、第1上板挟持器具374における第1シリンダ374aと重なるように、配置されている。そのため、図14では、第1シリンダ部375aは、第1シリンダ374aの右側に位置している。第1シリンダ部375aは、第1上板押さえ付け器具375が上板362を押さえ付ける方向視において、第1上板挟持器具374における第1シリンダ374aに対し、第1上板挟持器具374における第1ロッド374bの突出方向側に位置する部位を有する。そのため、図14では、第1シリンダ部375aは、第1ロッド374bの右側に位置している。
第1ロッド部375bは、第1シリンダ部375aから突出している。第1ロッド部375bは、第1シリンダ部375aから突出している方向に沿って、前進および後退移動できる。図16に示すように、第1ロッド部375bは、第1ロッド部375bの進行する方向視において、第1アタッチメント374cに形成された第1逃げ部374eと重なる位置に配置されている。そのため、第1ロッド部375bは、第1アタッチメント374cの動作に妨げられることなく、動作できる。
第1押さえ付け部375cは、第1ロッド部375bに固定されている。図15に示すように、本実施形態では、第1押さえ付け部375cは、平面視において、第1ロッド部375bを軸として回動可能に、第1ロッド部375bに固定されている。これにより、カセット36を置台371に置く際に、第1押さえ付け部375cが邪魔になりにくい。第1ロッド部375bの移動に伴い、第1押さえ付け部375cは、第1ロッド部375bが第1シリンダ部375aから突出する方向に沿って前進および後退移動できる。本実施形態においては、第1押さえ付け部375cが上板362に当接し、上板362に力を与える。
第2上板押さえ付け器具379は、カセット36の底板361の位置する側に向かって上板362を押さえ付ける。第2上板押さえ付け器具379は、第2支持器具377に固定されている。第2上板押さえ付け器具379が上板362を押さえ付ける方向側に、置台371が位置する。
第2上板押さえ付け器具379は、第2シリンダ部379aと、第2ロッド部379bと、第2押さえ付け部379cと、を有する。
第2シリンダ部379aは、第2支持器具377に固定されている。第2シリンダ部379aは、たとえば、エアシリンダである。第2シリンダ部379aは、第2上板押さえ付け器具379が上板362に与える力を生成する。本実施形態においては、第2シリンダ部379aは、第2上板押さえ付け器具379が上板362を押さえ付ける方向において、第2上板挟持器具378における第2シリンダ378aと重なるように、配置されている。そのため、図14では、第2シリンダ部379aは、第2シリンダ378aの左側に位置している。また、第2シリンダ部379aは、第2上板押さえ付け器具379が上板362を押さえ付ける方向視において、第2上板挟持器具378における第2シリンダ378aに対し、第2上板挟持器具378における第2ロッド378bの突出方向側に位置する部位を有する。そのため、図14では、第2シリンダ部379aは、第2ロッド378bの左側に位置している。
第2ロッド部379bは、第2シリンダ部379aから突出している。第2ロッド部379bは、第2シリンダ部379aから突出している方向に沿って、前進および後退移動できる。図16に示すように、第2ロッド部379bは、第2ロッド部379bの進行する方向視において、第2アタッチメント378cに形成された第2逃げ部378eと重なる位置に配置されている。そのため、第2ロッド部379bは、第2アタッチメント378cの動作に妨げられることなく、動作できる。
第2押さえ付け部379cは、第2ロッド部379bに固定されている。図15に示すように、本実施形態では、第2押さえ付け部379cは、平面視において、第2ロッド部379bを軸として回動可能に、第2ロッド部379bに固定されている。これにより、カセット36を置台371に置く際に、第2押さえ付け部379cが邪魔になりにくい。第2ロッド部379bの移動に伴い、第2押さえ付け部379cは、第2ロッド部379bが第2シリンダ部379aから突出する方向に沿って前進および後退移動できる。本実施形態においては、第2押さえ付け部379cが上板362に当接し、上板362に力を与える。
図14等に示すカセット移動機構39は、中継コンベア32および減速コンベア33に対し、カセット36を移動させる。本実施形態においては、カセット移動機構39は、図1に示した基部21およびカセット保持機構37に固定されている。そして、カセット保持機構37を基部21に対し昇降することにより、中継コンベア32および減速コンベア33に対しカセット36を昇降させる。
次に、図18〜図30を用いて、ウエハ搬送装置A1を用いたウエハ搬送方法について説明する。
まず、図18に示すように、第1支持機構22における第1載置部222に複数枚のウエハ881を載置する。第1載置部222へ複数枚のウエハ881を載置する作業は、機械を用いて行なってもよいし、人の手で行なってもよい。第1載置部222に載置する複数枚のウエハ881の枚数は、たとえば、500〜600枚程度である。第1載置部222に複数枚のウエハ881を載置する作業は、第1可動連結部232dを第1空洞部232b内にて上限位置に位置させた状態で行われる。このとき、第1載置部222は液体Lq2の液面の上側に位置している。
次に、図19に示すように、第1支持機構22を液体Lq2中へと移動させる。これにより、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881が液体Lq2に浸される。本実施形態において第1支持機構22を液体Lq2中へと移動させる工程は、第1可動連結部232dをガイドレール232cに沿って下限位置に移動させることにより、行う。
次に、図20に示すように、回動部材232を軸心232eを中心に回動させる。回動部材232の回動に伴い、第1支持機構22が移動する。これにより、第1支持機構22における第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881の積層方向を、第2支持機構24の移動可能方向(すなわちスクリューシャフト253の延びる方向)に一致させる。なお、この工程では、回動部材232を回動させる前に、予め第2支持機構24を下限位置まで移動させておく。
次に、図21に示すように、リフタ25によって第2支持機構24を上方へと引き上げる。このとき、第2支持機構24と第1支持機構22とは、図22に示した位置関係となる。リフタ25によって第2支持機構24が上方へと引き上げられる際、リフタ25は、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881の積層方向(図21ではスクリューシャフト253の延びる方向)に沿って、第1移動規制部223に対し第2載置部242を相対移動させる。そして、第2載置部242は、当該相対移動に伴って、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881を一括して持ち上げることにより、複数枚のウエハ881を順番に、第1移動規制部223よりも、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881の積層方向(図21ではスクリューシャフト253の延びる方向)において上位に移動させる。図22に示すように、前記相対移動の間、第2配置位置S12は、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881の積層方向視において、第1配置位置S11よりも、上述の第1面内方向側(図22では方向X1、すなわち左側)に位置している。
リフタ25によって第2支持機構24が上方へと引き上げられる際、ウエハ移し替え時用液体噴出機構261は、複数枚のウエハ881に向かって上述の第2面内方向(図22では方向X2に一致する)に沿って液体を噴出する。これにより、図23に示すように、第1移動規制部223よりも上述の第1積層方向において上位に位置しているウエハ881は、上述の第1積層方向視において、第1配置位置S11から第2配置位置S12へと移動する。このときも、ウエハ移し替え時用液体噴出機構261は、液体を噴出する。そのため、図23に示すように、上述の第1積層方向視において第1配置位置S11から第2配置位置S12へと移動しているウエハ881に向かって、ウエハ移し替え時用液体噴出機構261は液体を噴出しているといえる。
なお、ウエハ移し替え時用液体噴出機構261からの噴出量は、噴流でウエハ881が割れてしまわない程度の小さい値とすることが好ましい。また、第1載置部222から第2載置部242へのウエハ881の移し替えは、本実施形態とは異なり、第1載置部222に載置された複数枚のウエハ881の積層方向を鉛直方向に一致させた状態で行なってもよい。
そして、第2載置部242が第1移動規制部223よりも上位に位置した後に、ウエハ移し替え時用液体噴出機構261からの液体の噴出を停止する。
図24は、図21に示した工程後の、ウエハ搬送方法における信号等のタイミングチャートである。同図(a)はウエハ受け取り機構27に対する第2載置部242の位置を示し、同図(b)は検知信号Dsを示し、同図(c)は噴出量制御信号Sfを示し、同図(d)は定常工程開始信号St2を示す。図25は、図21に続く一工程を示す正面図である。図26は、図25に示す場合の、第2支持機構24とウエハ受け取り機構27との位置関係を示す部分拡大正面図である。図24〜図28を参照して説明する工程では、図1も用いる。
次に、図25〜図28に示すように、第2載置部242を図28に示す位置(定常工程開始位置)へと移動する。定常工程開始位置は、ウエハ浮上用液体噴出機構262からの液体の噴出量が定常噴出量ff2に設定される定常工程を開始する位置である。定常工程開始位置は、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881のうち最上位に位置するウエハ881の浮上代を確保することができるような値に、予め設定されている。
第2載置部242を定常工程開始位置へと移動する際には、図24(a)、図26に示すように、第2載置部242を引き上げる。具体的には、図1の動作制御器283が、第2支持機構24を上方へ引き上げるための動作制御信号Msを、リフタ25に送る。これにより、リフタ25が第2支持機構24を上方へ引き上げ、第2載置部242がウエハ受け取り機構27に接近する。
次に、図27に示すように、図24の時刻t21において、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881のうち最上位に位置するウエハ881が、ウエハ受け取り機構27に接触する。すると、ウエハ接触検出機構29が当該接触を検知する。そして、図24(b)に示すように、ウエハ接触検出機構29が検知信号Dsを生成する。ウエハ接触検出機構29は、生成した検知信号Dsを、図1の噴出量制御器282と動作制御器283とに送る。
時刻t21において、動作制御器283は、検知信号Dsを受けると、第2支持機構24を降下させるための動作制御信号Msを、リフタ25に送る。これにより、図24(a)、図27に示すように、リフタ25によって第2支持機構24が降下させられ、第2載置部242がウエハ受け取り機構27から離間する。
一方、図24(c)に示すように、時刻t21において、噴出量制御器282は、検知信号Dsを受けると、ウエハ浮上用液体噴出機構262からの液体の噴出量を初期噴出量ff1とするための噴出量制御信号Sfを、ウエハ浮上用液体噴出機構262に送る。これにより、時刻t21において、ウエハ浮上用液体噴出機構262は、初期噴出量ff1で液体を噴出し始める。ウエハ浮上用液体噴出機構262からの噴流は、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881のいずれかのウエハ881の端面に向かう。初期噴出量ff1は、0より大きい値である。初期噴出量ff1は、たとえば、最大5.0リットル/分である。
次に、第2支持機構24が降下してゆき、図24の時刻t22において、第2載置部242が図28に示す位置(定常工程開始位置)に到達する。定常工程開始判断器281は、第2載置部242が定常工程開始位置に到達したことを検知すると、定常工程を開始すべきと判断する。図24(d)に示すように、定常工程開始判断器281は、定常工程を開始すべきと判断すると、定常工程開始信号St2を生成する。定常工程開始判断器281は、生成した定常工程開始信号St2を、噴出量制御器282および動作制御器283に送る。第2載置部242が定常工程開始位置に到達したことを定常工程開始判断器281が検知するのは、たとえば、検知信号Dsが生成された時の第2載置部242の位置から、所定の距離だけウエハ受け取り機構27から第2載置部242が離間したことに基づく。
時刻t22において、動作制御器283は、定常工程開始信号St2を受けると、第2載置部242の降下を停止させるための動作制御信号Msを、リフタ25に送る。これにより、図24(a)に示すように、リフタ25による第2載置部242の降下が停止する。
一方、図24(c)に示すように、時刻t22において、噴出量制御器282は、検知信号Dsを受けると、ウエハ浮上用液体噴出機構262からの液体の噴出量を定常噴出量ff2とするための噴出量制御信号Sfを、ウエハ浮上用液体噴出機構262に送る。これにより、時刻t22において、ウエハ浮上用液体噴出機構262は、定常噴出量ff2で液体を噴出し始める。本実施形態においては、ウエハ浮上用液体噴出機構262は、初期噴出量ff1で液体を噴出する状態から、定常噴出量ff2で液体を噴出する状態へと、液体の噴出を停止させずに移行する。定常噴出量ff2は初期噴出量ff1より大きい。定常噴出量ff2は、たとえば、1.0リットル/分〜20.0リットル/分である。
時刻t22から定常工程が開始されると、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881のうち最上位のウエハ881は、ウエハ浮上用液体噴出機構262からの噴流を受け、浮上させられる。そして、上述したように、ウエハ受け取り機構27が浮上したウエハ881を一枚ずつ受け取り、ウエハ格納ユニットB3へと送り出す。このように、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881が一枚ずつ分離される。
本実施形態とは異なり、定常工程開始位置に第2載置部242が位置してから、ウエハ浮上用液体噴出機構262が初期噴出量ff1で液体を噴出させ、その後、定常噴出量ff2で液体を噴出させてもよい。本実施形態では、初期噴出量ff1は一定の値として説明したが、たとえば、徐々に大きくなるように変化する値であってもよい。
なお、図29、図30に示すように、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881に向かって、ウエハ浮上用液体噴出機構262から液体を噴出させている間、第1支持機構22を図30に示した位置まで移動させて、第1載置部222に複数枚のウエハ881を載置してもよい。このようにすることで、第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881に向かって、ウエハ浮上用液体噴出機構262から液体を噴出させる工程と、第1載置部222に複数枚のウエハ881を載置する工程とを、並行して行うことができる。
以下の工程は、図1、図8を参照しつつ説明する。
図1に示したウエハ受け取り機構27からウエハ881が送られると、図8に示した中継コンベア32および減速コンベア33を経由して、カセット36に格納される。中継コンベア32の速度は、減速コンベア33の速度よりも大きく、本実施形態では、350mm/sec程度である。そのため、ウエハ受け取り機構27からのウエハ881が中継コンベア32上にて搬送されているとき、ウエハ881の速度は比較的大きく、本実施形態では、350mm/secとなっている。次に、中継コンベア32から減速コンベア33へとウエハ881が受け渡されると、減速コンベア33の速度は中継コンベア32の速度より小さいため、ウエハ881の速度は減少させられる。そして、ウエハ881は比較的ゆっくりとした速度で、カセット36内の所定の位置にて格納される。
一枚のウエハ881がカセット36内の所定の位置に格納したことは、図示しないフォトインタラプタなどの検出手段によって検出される。検出手段によって、一枚のウエハ881がカセット36内の所定の位置に格納したことが検出されると、カセット移動機構39がカセット保持機構37を、カセット36にて格納されるウエハ881どうしのピッチに相当する距離だけ上昇させる。これにより、カセット36が中継コンベア32および減速コンベア33に対し、カセット36にて格納されるウエハ881どうしのピッチに相当する距離だけ上昇する。次に、上述したのと同様に、中継コンベア32および減速コンベア33を経由させて、次のウエハ881をカセット36に格納する工程を行う。以上に述べた工程を経ることにより、互いに積層された複数枚のウエハ881を一枚ずつ分離したのちに、一枚ずつカセット36に格納することができる。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態においては、ウエハ移し替え時用液体噴出機構261は、第1載置部222から第2載置部242へと複数枚のウエハを移し替える際に、ウエハ881に対し上述の第2面内方向(図5では方向X2に一致する)に向かう力を与える。ウエハ881は、第2面内方向側に向かう力を受けることにより、第1配置位置S11から第2配置位置S12へと移動しているウエハ881を、第2移動規制部243により近接させることができる。ウエハ881が第2移動規制部243に近接すればするほど、ウエハ浮上用液体噴出機構262からの噴流がウエハ881の端面に当たった場合に、ウエハ881が第2移動規制部243に当たる衝撃を、緩和することができる。これにより、ウエハ881が割れることを防止することができる。
複数枚のウエハ881を第1載置部222から第2載置部242へと移し替える前に、ウエハ881に割れが生じている可能性がある。ウエハ搬送装置A1がウエハ移し替え時用液体噴出機構261を備える構成によると、複数枚のウエハ881を第1載置部222から第2載置部242へと移し替える際に、このように割れたウエハ881の破片をウエハ移し替え時用液体噴出機構261の噴流によって吹き飛ばすことができる。したがって、互いに積層された複数枚のウエハ881の間から割れたウエハの破片を除去することができる。
本実施形態においては、ウエハ移し替え時用液体噴出機構261には、一方向に沿って延びるスリットノズル261aが形成されている。このような構成によると、第1移動規制部223よりも上位に位置しているウエハ881のうちのより多くのウエハ881に、噴流を向かわせることができる。これにより、第1配置位置S11から第2配置位置S12へと向かっているウエハ881よりも上位に位置しているより多くのウエハ881どうしの間に隙間を生じさせることができる。そうすると、第1配置位置S11から第2配置位置S12へと向かっているウエハ881が負担する、当該ウエハ881よりも上位に位置するウエハ881の重みを、低減することができる。そのため、よりスムーズにウエハ881を第1配置位置S11から第2配置位置S12へと移動させることができる。
第2載置部242に載置された複数枚のウエハ881全てをウエハ受け取り機構27からウエハ格納ユニットB3側へ送った後は、第2載置部242を含む第2支持機構24は再び降下させられる。このとき、第2支持機構24には割れたウエハの破片が残っていることがある。そこで、第2支持機構24を降下させるときに、ウエハ移し替え時用液体噴出機構261から第2支持機構24に向かって液体を噴出させるとよい。これにより、第2支持機構24に残った割れたウエハの破片を除去することができる。
本実施形態によると、ウエハ浮上用液体噴出機構262は、定常工程開始信号St2が生成される前には、初期噴出量ff1で液体を噴出する。またウエハ浮上用液体噴出機構262は、定常工程開始信号St2が生成された後には、初期噴出量ff1より大きい定常噴出量ff2で液体を噴出する。このような構成によると、定常工程を開始する前に、ウエハ881にウエハ浮上用液体噴出機構262の噴流による力が与えられ、第2移動規制部243とウエハ881との間に隙間が生じていた場合には、第2移動規制部243にゆっくりとウエハ881が接近する。ウエハ881が第2移動規制部243にゆっくりと接近すると、ウエハ881が第2移動規制部243に当たっても割れにくい。また、第2移動規制部243にウエハ881が接近すればするほど、定常工程開始時にウエハ浮上用液体噴出機構262からの噴流がウエハ881に向かってきても、ウエハ881が割れにくくなる。以上より、ウエハ881が割れることを防止できる。
本実施形態においては、定常工程開始判断器281を備える。定常工程開始判断器281は、ウエハ受け取り機構27に対する第2載置部242の位置が、定常工程開始位置になったときに、定常工程を開始すべきと判断する。このような構成によると、第2載置部242が定常工程開始位置に到達するより前の期間中にて、ウエハ浮上用液体噴出機構262から初期噴出量ff1で液体を噴出させることができる。よって、第2載置部242を定常工程開始位置に到達させる工程と、ウエハ浮上用液体噴出機構262から初期噴出量ff1で液体を噴出させることにより、第2移動規制部243にゆっくりとウエハ881を接近させる上述の工程と、を並行して行うことができる。これは、ウエハ枚葉化の効率化を図るのに適する。
仮に、初期噴出量ff1で液体を噴出する状態から定常噴出量ff2で液体を噴出する状態へと移行する間に、液体の噴出を停止させた場合、定常噴出量ff2で液体を噴出し始める際に噴流に泡が混入してしまうおそれがある。一方、本実施形態では、ウエハ浮上用液体噴出機構262は、初期噴出量ff1で液体を噴出する状態から、定常噴出量ff2で液体を噴出する状態へと、液体の噴出を停止させずに移行させる。よって、定常噴出量ff2で液体を噴出し始める際に噴流に泡が混入してしまうおそれを回避できる。
本実施形態にかかるウエハ格納ユニットB3は、カセット保持機構37を備える。カセット保持機構37は、第1底板挟持器具372と、第2底板挟持器具376と、第1上板挟持器具374と、第2上板挟持器具378と、を備える。第1底板挟持器具372および第2底板挟持器具376は、底板361の平面視において底板361を互いに挟持する。第1上板挟持器具374および第2上板挟持器具378は、上板362の平面視において上板362を互いに挟持し、底板361に対する上板362の平面視における上板362の位置を規定する。このような構成によると、底板361に対する上板362の歪みを矯正することができる。すなわち、上板362を、底板361に対し所望の位置に所望の姿勢で固定することができる。これにより、ウエハ881を格納するスペースを確保することができ、ウエハ881をカセット36に格納できないといった不具合を抑制することができる。
本実施形態にかかるカセット保持機構37は第1上板押さえ付け器具375を備える。第1上板押さえ付け器具375は、底板361の位置する側に向かって上板362を押さえ付ける。このような構成によると、より高い精度で、上板362を、底板361に対し所望の位置に所望の姿勢で固定することができる。これにより、ウエハ881をカセット36に格納できないといった不具合を、より確実に抑制することができる。
本実施形態においては、第1上板挟持器具374は、上板362に第1上板挟持器具374が与える力を生成する第1シリンダ374aを含む。第1上板押さえ付け器具375は、上板362を第1上板押さえ付け器具375が押さえ付けるための力を生成する第1シリンダ部375aを含む。第1シリンダ374aは、前記押さえ付ける方向において第1シリンダ部375aに重なるように配置されている。このような構成によると、第1シリンダ374aと第1シリンダ部375aとを、第1上板押さえ付け器具375が上板362を押さえ付ける方向において、互いに異なる位置に配置する必要はない。よって、第1上板挟持器具374および第1上板押さえ付け器具375を含むカセット保持機構37の、第1上板押さえ付け器具375が上板362を押さえ付ける方向における寸法を、小さくすることができる。これにより、カセット保持機構37の小型化を図ることができる。
本実施形態にかかるカセット保持機構37は第2上板押さえ付け器具379を備える。このような構成によっても、カセット保持機構37が第1上板押さえ付け器具375を備えることにより得られる上述の利点を、得ることができる。
本実施形態においては、ウエハ搬送装置A1は、中継コンベア32によって送られてきたウエハ881の速度を減少させる減速コンベア33を備える。このような構成によると、カセット36に格納されるウエハ881が、カセット36における部位に激しく衝突することを抑制することができる。これにより、ウエハ881をカセット36に格納する際にウエハ881が粉砕することを防止できる。
特に、本実施形態のように、ウエハ881の搬送方向の前方に支軸364が位置する場合に、ウエハ881が支軸364に固定された支持片365に衝突してしまい粉砕する不具合を、防止できる。
本実施形態においては、減速コンベア33は、第1減速区間337と、第1減速区間337よりもウエハ881の搬送方向の下流側に位置する第2減速区間338と、を構成している。減速コンベア33には、第1減速区間337と第2減速区間338との間に形成された空隙339が形成されている。図10に示した場合とは異なり、底板361が、底板361における互いに離間した2つの部位を連結する連結部を含む場合がある。このように底板361が連結部を含む場合、本実施形態の構成によると、カセット36を降下させた際、底板361における連結部は、第1減速区間337と第2減速区間338との間に位置する空隙339を通過する。そのため、カセット36を降下させた場合に、底板361における連結部が減速コンベア33に接触することを防止できる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。