JP2013146873A - 電子機器における発熱制限制御装置、発熱制限制御方法及び電子機器 - Google Patents

電子機器における発熱制限制御装置、発熱制限制御方法及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】電源とアクチュエーターに適切な休止時間を設定して、電源及びアクチュエーターの発熱制限制御を適切に行うことができる電子機器における発熱制限制御装置、発熱制限制御方法及び電子機器を提供する。
【解決手段】各モーターを制御するために出力されるPWM信号のデューティ比から把握される各電流値に基づいて各モーターの発熱温度を計算し、さらに各発熱温度に応じた休止時間を計算する(S1〜S8)。また、各モーター、記録ヘッド、表示装置及びセンサーの各電流値の総和である電源装置の電流値に基づいて電源装置の発熱温度を計算し、さらにその発熱温度に応じた休止時間を計算する(S11〜S18)。各休止時間のうち一番長い休止時間を、キャリッジモーターの駆動前に設定する(S19)。
【選択図】図6

Description

本発明は、電動モーター等のアクチュエーターと電源を備えた電子機器において、アクチュエーターと電源との発熱を制限する制御を行う電子機器における発熱制限制御装置、発熱制限制御方法及び電子機器に関する。
例えば特許文献1には、プリンターにおいて電源装置と電動モーターとの発熱を制限する技術が開示されている。このプリンターでは、キャリッジモーター及び紙送りモーター等の電動モーターの各蓄熱量と、電源装置の蓄熱量とを求める。そして、電動モーターの蓄熱量に応じた蓄熱レベルと、電源装置の蓄熱量に応じた蓄熱レベルとを求め、各蓄熱レベルを比較して最高蓄熱レベルを特定し、その特定した最高蓄熱レベルに応じた休止時間を設定する。そして、最高蓄熱レベルに応じた休止時間の経過を待ち、その後に所定の印刷動作の制御を開始する。このため、電源装置及び各モーターが必要とする十分な休止時間を確保し、電源装置及び各モーターがそれぞれの限界温度を超える過熱状態に放置されることを回避できる。
特開2008−30217号公報
ところで、特許文献1に記載のプリンターでは、最高蓄熱レベルの選択は、必ずしも最長休止時間の選択とはならず、発熱制限制御による効果が十分ではないという問題がある。すなわち、各モーター及び電源装置の個々の限界温度(規格温度)は異なる。そして、個々の限界温度を基準にそれぞれの蓄熱レベルは決められる。また、蓄熱レベルが高いため休止を入れる発熱制限制御を開始した場合、各モーター及び電源装置の個々の放熱特性が異なるため、限界温度以下の温度に所定の速度で降下させるために必要な休止時間が、各モーター及び電源装置間で異なる。このため、同じ蓄熱レベルでも各モーター及び電源装置間で必要とする休止時間が異なることになっていた。
そして、特許文献1のプリンターでは、上述のように限界温度及び放熱特性の異なる各モーター及び電源装置の間で、それぞれの蓄熱量から決まる蓄熱レベルを比較する構成であったので、最高蓄熱レベルに応じた休止時間は、その最高蓄熱レベルに対応する熱源の発熱制限には効果が期待できるものの、他の熱源にとっては発熱制限上必ずしも適切な休止時間になっているとは限らなかった。このため、その後、他の熱源にとっては設定された休止時間が短く、その後、徐々に温度が上がり、蓄熱レベルがより高くなって、その蓄熱レベルが最高蓄熱レベルになったときに始めて適切な休止時間が設定される事態となる虞があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、電源とアクチュエーターに適切な休止時間を設定して、電源及びアクチュエーターの発熱制限制御を適切に行うことができる電子機器における発熱制限制御装置、発熱制限制御方法及び電子機器を提供することにある。
上記目的の一つを達成するため、本発明の態様の一つは、電子機器に備えられた1つ以上のアクチュエーターのうち発熱制限対象とする少なくとも1つと電源との発熱を制限する電子機器における発熱制限制御装置であって、前記発熱制限対象のアクチュエーターの電流値に基づいて当該アクチュエーターの蓄熱量に関する第1の蓄熱情報を演算する第1の蓄熱演算部と、前記電源の電流値に基づいて前記電源の蓄熱量に関する第2の蓄熱情報を演算する第2の蓄熱演算部と、前記第1の蓄熱情報に基づいて第1の休止時間を演算する第1の休止時間演算部と、前記第2の蓄熱情報に基づいて第2の休止時間を演算する第2の休止時間演算部と、前記第1の休止時間と前記第2の休止時間とのうち一番長いものを休止時間として設定する設定部と、少なくとも1つの前記アクチュエーターを駆動の合間に前記休止時間の休止を入れるように制御する制御部と、を備えていることを要旨とする。
上記構成によれば、発熱制限対象のアクチュエーターの電流値に基づいて演算された第1の蓄熱情報に基づいて第1の休止時間が演算されるとともに、電源の電流値に基づいて演算された第2の蓄熱情報に基づいて第2の休止時間が演算される。そして、第1の休止時間と第2の休止時間とのうち一番長いものが休止時間として設定される。少なくとも1つのアクチュエーターはその駆動の合間に、設定された休止時間の休止を入れるように制御部により制御される。このように休止時間を決める際に、第1の休止時間と第2の休止時間とを比較してそのうち一番長いものを設定するので、適切な休止時間を設定することができる。例えば蓄熱レベルを比較する場合、一番高い蓄熱レベルに対応する休止時間が必ずしも一番が長い訳ではなく、一番長い休止時間が選ばれなかったは適切な発熱制限制御が行われなくなる。しかし、本発明の態様の一つでは、休止時間を比較するので、一番長い適切な休止時間を設定することができる。よって、電源とアクチュエーターに適切な休止時間を設定して、電源及びアクチュエーターの発熱制限制御を適切に行うことができる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記第1の蓄熱情報が第1の閾値を超えているか否かを判定する第1の判定部と、前記第2の蓄熱情報が第2の閾値を超えているか否かを判定する第2の判定部とを更に備え、前記制御部は、前記各判定部のうち少なくとも一つの判定部により前記蓄熱情報が対応する閾値を超えたと判定された場合に、前記設定部が設定した前記休止時間の休止を駆動の合間に入れるように少なくとも1つの前記アクチュエーターを制御することが好ましい。
上記構成によれば、各判定部のうち少なくとも一つの判定部により蓄熱情報が対応する閾値を超えたと判定された場合、少なくとも1つのアクチュエーターが設定部により設定された休止時間の休止を駆動の合間に入れるように制御される。よって、蓄熱情報が対応する閾値を超えるまでは発熱制限制御が開始されないので、不要な休止が入ることを回避できる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記第2の蓄熱演算部は、前記電源の給電先の前記アクチュエーターを含む少なくとも1つの負荷を流れる電流に基づいて前記第2の蓄熱情報を演算することが好ましい。
上記構成によれば、電源の蓄熱量に関する第2の蓄熱情報は、電源の給電先のアクチュエーターを含む少なくとも1つの負荷を流れる電流に基づいて演算される。このため、電源電流を検出したり、電源温度を検出したりするセンサーが不要になる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記電子機器は、前記電源の給電先として表示装置とセンサーとのうち少なくとも一方を含む非動力系の負荷を備え、前記第2の蓄熱演算部が前記第2の蓄熱情報を演算する際に用いる前記電流は、前記非動力系の負荷を流れる電流を含むことが好ましい。
上記構成によれば、第2の蓄熱演算部が第2の蓄熱情報を演算する際に用いる電流には、非動力系の負荷を流れる電流が含まれるので、電源の電流値を比較的精度よく演算できる。このため、電源の蓄熱情報の精度が低いことに起因し、不要な発熱制限制御が開始されたり、必要な発熱制限制御の開始が遅れたりする不都合を極力回避できる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記アクチュエーターの動作及び操作部の操作が一定時間以上の間なかった場合に前記電源から出力される電力を停止又は通常モードのときの電力よりも低下させる省電モードと前記通常モードとを含む消費電力モードを管理するモード管理部を更に備え、前記第2の蓄熱演算部は、前記消費電力モードに基づいて前記非動力系の負荷の電流値を演算することが好ましい。
上記構成によれば、消費電力モード(例えば通常モード又は省電モード)に基づいて非動力系の負荷の電流値が演算されるので、電源の電流値を比較的精度よく演算できる。例えば消費電力モードが省電モードのときには、非動力系の負荷の電流値が通常モードのときよりも相対的に小さな値として演算される。このため、電源の蓄熱情報の精度が低いことに起因し、不要な発熱制限制御が開始されたり、必要な発熱制限制御の開始が遅れたりする不都合を極力回避できる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記第1の休止時間演算部と前記第2の休止時間演算部のうち少なくとも一方は、前記蓄熱情報と前記閾値との差分が大きいほど長くなるように前記休止時間を演算することが好ましい。
上記構成によれば、第1の休止時間と第2の休止時間とのうち少なくとも一方は、蓄熱情報と閾値との差分が大きいほど長くなるように演算されるので、発熱制限制御が開始された後、電源及びアクチュエーターが閾値を超えた比較的過熱な状態から比較的速やかに回避させることができる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記電子機器は、前記アクチュエーターとして1つ以上の電動モーターと記録ヘッドとを備える記録装置であり、前記第2の蓄熱演算部が前記第2の蓄熱情報の演算に用いる前記電流値には、前記記録ヘッドの電流値が含まれることが好ましい。
上記構成によれば、電源の蓄熱量に関する第2の蓄熱情報の演算に用いる電流値には、記録ヘッドの電流値が含まれるので、記録装置において電源の電流値を比較的精度よく演算できる。このため、電源の蓄熱情報の精度が低いことに起因し、不要な発熱制限制御が開始されたり、必要な発熱制限制御の開始が遅れたりする不都合を極力回避できる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記第2の蓄熱演算部は、前記記録ヘッドの稼働率に関するヘッド稼働率情報に基づいて前記記録ヘッドの電流値を演算することが好ましい。
上記構成によれば、第2の蓄熱演算部がヘッド稼働率情報に基づいて記録ヘッドの電流値を演算するので、比較的精度の高い記録ヘッドの電流値を取得できる。このため、電源の電流値を比較的精度高く取得でき、これにより電源の蓄熱情報を比較的精度高く取得できる。よって、電源の蓄熱情報の精度が低いことに起因し、不要な発熱制限制御が開始されたり、必要な発熱制限制御の開始が遅れたりする不都合を極力回避できる。
本発明の態様の一つは、電子機器であって、1つ以上のアクチュエーターと、前記アクチュエーターに電力を供給する電源と、上記発明に係る前記発熱制限制御装置と、を備えたことを要旨とする。上記構成によれば、電子機器は上記発明に係る発熱制限制御装置を備えるので、上記発熱制限制御装置に係る発明と同様の作用効果を得ることができる。
本発明の態様の一つは、電子機器に備えられた1つ以上のアクチュエーターのうち発熱制限対象とする少なくとも1つと電源との発熱を制限する電子機器における発熱制限制御方法であって、前記発熱制限対象のアクチュエーターの電流値に基づいて当該アクチュエーターの蓄熱量に関する第1の蓄熱情報を演算する第1の蓄熱演算ステップと、前記電源の電流値に基づいて前記電源の蓄熱量に関する第2の蓄熱情報を演算する第2の蓄熱演算ステップと、前記第1の蓄熱情報に基づいて第1の休止時間を演算する第1休止時間演算ステップと、前記第2の蓄熱情報に基づいて第2の休止時間を演算する第2休止時間演算ステップと、前記第1の休止時間と前記第2の休止時間とのうち一番長いものを休止時間として設定する休止時間設定ステップと、少なくとも1つの前記アクチュエーターを駆動の合間に前記休止時間の休止を入れるように制御する制御ステップと、を備えたことを要旨とする。上記方法によれば、発熱制限制御装置に係る発明と同様の作用効果を得ることができる。
第1実施形態におけるプリンターの斜視図。 プリンターの要部を示す斜視図。 プリンターの電気的構成を示すブロック図。 (a)は発熱温度と閾値との差分ΔdTを示すグラフ、(b)は差分ΔdTと休止率Wpとの対応関係を示すグラフ。 プリンターが備えるコンピューターの機能構成を示すブロック図。 発熱制限制御を示すフローチャート。 (a)は発熱温度を示すグラフ、(b)は休止時間を示すグラフ。 第2実施形態におけるコンピューターの機能構成を示すブロック図。
(第1実施形態)
以下、本発明の電子機器を、記録装置の一例であるインクジェット式プリンターに具体化した第1実施形態を、図1〜図7を用いて説明する。
図1に示すように、記録装置の一例であるインクジェット式プリンター(以下、単に「プリンター11」という。)は、略四角箱状の本体12の前面上部に操作パネル13を備え、その操作パネル13の下側には複数枚の用紙Pを収容可能な給紙カセット14が本体12に挿抜可能な状態で装着されている。プリンター11は、給紙カセット14から給送された用紙Pに印刷を施し、印刷後の用紙Pを本体12の前面中段位置に設けられた排紙トレイ15上に排出する。
操作パネル13は、プリンター11に各種の指示等を入力するために操作される操作部16と、各種メニューや画像などが画面に表示される表示装置17とを備えている。操作部16には、電源スイッチ16a、印刷開始スイッチ16b及び選択スイッチ16c等が設けられている。例えば表示装置17に表示されるメニューにおいて選択スイッチ16cを操作して各種の項目を選択することで、印刷対象の画像の選択及び印刷条件の設定などを行うことができる。また、本体12の前面側端部(図1では右端部)には、USBメモリーUMを挿抜可能なUSBポート18と、メモリーカードMCを挿抜可能なカードスロット19とが設けられている。
次にプリンター11の内部構成について説明する。図2に示すように、プリンター11は、上側と前側が開口する略四角箱状の本体フレーム20を有し、この本体フレーム20の図2における左右の側壁間に架設された所定長さを有するガイド軸21には、キャリッジ22が主走査方向Xに往復移動可能な状態で設けられている。本体フレーム20の背板内面に取着された一対のプーリー23には無端状のタイミングベルト24が巻き掛けられており、キャリッジ22はタイミングベルト24の一部に固定されている。図2における右側のプーリー23にはキャリッジモーター25の駆動軸(出力軸)が連結されており、キャリッジモーター25が正逆転駆動されてタイミングベルト24が正転・逆転することにより、キャリッジ22は主走査方向Xに往復移動する。
キャリッジ22の下部にはインクジェット式の記録ヘッド26が設けられている。キャリッジ22の上部には、例えば黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のインクがそれぞれ収容された複数個(例えば4個)のインクカートリッジ27が装填されている。記録ヘッド26のノズル形成面(下面)には、インク色毎に複数個(例えば180個)のノズルが列状に配列されてなるノズル列がインク色と同数列(本例では4列)形成されている。各インクカートリッジ27から供給されたインクは、インク色別のノズルからそれぞれ噴射される。また、キャリッジ22の移動経路の下方位置には、記録ヘッド26と用紙Pとの間隔(ギャップ)を規定する支持台28が主走査方向Xに延びるように設けられている。なお、記録ヘッド26が噴射可能なインク色は4色に限らず、3色、5〜8色でもよい。
また、キャリッジ22の背面側には、キャリッジ22の移動量に比例する数のパルスを出力するリニアエンコーダー29がガイド軸21に沿って延びるように設けられている。プリンター11ではリニアエンコーダー29から出力されるパルス信号に基づいてキャリッジ22の位置制御及び速度制御が行われる。また、リニアエンコーダー29から出力されるパルス信号から記録ヘッド26の噴射タイミング信号も生成される。このため、記録ヘッド26により用紙Pに主走査方向Xに一定のドットピッチ(画素ピッチ)で画像が印刷される。
また、本体フレーム20の図2における右側下部には、給送モーター31と搬送モーター32とが配設されている。給送モーター31は、給紙カセット14内に複数枚セットされた用紙Pを1枚ずつ給送する不図示の給紙ローラー(例えばピックアップローラー)を駆動する。搬送方向Y(副走査方向)に支持台28を挟んだその上流側と下流側には、それぞれ搬送ローラー対33と排出ローラー対34とが配置されている。搬送ローラー対33は、搬送モーター32の動力で回転駆動する搬送駆動ローラー33aと、搬送駆動ローラー33aに当接して連れ回りする搬送従動ローラー33bとから構成される。また、排出ローラー対34は、搬送モーター32の動力で回転駆動する排出駆動ローラー34aと、排出駆動ローラー34aに当接して連れ回りする排出従動ローラー34bとから構成される。搬送モーター32が回転駆動されることで搬送駆動ローラー33a及び排出駆動ローラー34aが駆動され、用紙Pは両ローラー対33,34に挟持(ニップ)された状態で副走査方向Yに搬送される。
プリンター11では、キャリッジ22を主走査方向Xに往復動させながら記録ヘッド26のノズルから用紙Pにインクを噴射する印字動作と、用紙Pを副走査方向Yに所定の搬送量で搬送する送り動作とを交互に繰り返すことで、用紙Pに文書や画像等の印刷が施される。なお、本実施形態では、キャリッジモーター25、給送モーター31及び搬送モーター32により、アクチュエーターの一例がそれぞれ構成される。
図2においてキャリッジ22の移動経路上の一端位置(図2では右端位置)が、キャリッジ22が非印刷時に待機するホーム位置(ホームポジション)となっている。ホーム位置に配置されたキャリッジ22の直下には、記録ヘッド26に対してクリーニングを含むメンテナンスを行うメンテナンス装置35が配設されている。なお、本実施形態の搬送モーター32は、メンテナンス装置35の動力源ともなっている。
次にプリンター11の電気的構成を図3に基づいて説明する。図3に示すように、プリンター11はコントローラー39を備える。コントローラー39は、電源の一例としての電源装置40、コンピューター41(マイクロコンピューター)、表示駆動回路42、ヘッド駆動回路43及びモーター駆動回路44〜46を備える。コンピューター41には、入力系として、操作部16、USBインターフェイス(以下、「USBI/F47a」と記す。)、カードインターフェイス(以下、「カードI/F47b」と記す。)及びリニアエンコーダー29をはじめとする各種のセンサー29,48、49が接続されている。また、コンピューター41には、出力系として、表示駆動回路42、ヘッド駆動回路43及びモーター駆動回路44〜46が接続されている。
電源装置40は、商業用交流電源50からの交流電圧を変圧して整流等することで一次電圧(例えば30〜60ボルトの範囲内の所定値)を生成し、さらに一次電圧を降圧して二次電圧(例えば15〜25ボルトの範囲内の所定値)を生成している。一次電圧は主にモーター駆動回路44〜46に印加され、二次電圧はヘッド駆動回路43に印加される。さらに二次電圧を降圧した出力電圧(例えば5〜20ボルトの範囲内の所定値)が表示駆動回路42に印加される。また、二次電圧を降圧した出力電圧(例えば3〜6ボルトの範囲内の所定値)が、コンピューター41及び各種センサー29,48,49に供給される。
コンピューター41が各駆動回路42〜46に制御信号を出力することにより、表示装置17、記録ヘッド26、各モーター25,31,32に、制御信号に応じた駆動電圧が印加される。換言すれば、表示装置17、記録ヘッド26、各モーター25,31,32には、制御信号に応じた電流が流れる。コンピューター41は表示駆動回路42に制御信号として表示制御信号(表示データと制御信号)を出力することにより表示装置17には表示データに応じた電流が流れる。また、コンピューター41はヘッド駆動回路43に制御信号としてヘッド制御データを出力することにより、記録ヘッド26にはヘッド制御データに応じた電流が流れる。さらにコンピューター41が各モーター駆動回路44〜46に制御信号として例えばPWM(pulse width modulation)信号を出力することにより、各モーター25,31,32にはPWM信号のデューティ比(PWM信号の周期に対するパルス幅の比)に応じた電流が流れる。
ここで、プリンター11に備えられたセンサーには次のものがある。キャリッジモーター25の回転量に比例するパルス数をもつパルス信号を出力するリニアエンコーダー29、給送途中の所定位置で用紙Pの先端を検知する紙検出センサー48、搬送モーター32の回転量に比例するパルス数をもつパルス信号を出力するロータリーエンコーダー49などである。なお、本実施形態では、表示装置17及びセンサー29,48、49により、非動力系の負荷の一例が構成される。
コンピューター41は、CPU51、ASIC52、RAM53及び不揮発性メモリー54を備えている。CPU51は、不揮発性メモリー54に記憶された制御プログラム(例えばファームウェア用プログラム)を実行することにより、印刷系・操作系・表示系等の各種制御を司る。特に本実施形態では、CPU51が不揮発性メモリー54に記憶された図6にフローチャートで示す発熱制限制御用プログラムを実行することにより、電源装置40及びモーター25,31,32の発熱温度をなるべく限界温度(規格許容温度)以下に抑えるように各々の発熱を制限する発熱制限制御を行う。また、RAM53には、印刷データ及びCPU51の演算結果などが一時的に記憶される。
CPU51は、表示駆動回路42を介して表示装置17に接続されている。CPU51は、プリンター11の状態や操作の有無を監視し、その監視内容に応じた表示制御信号を表示駆動回路42に出力することにより表示装置17の表示部に、メニューや印刷条件設定画面、印刷画像、報知画像などを表示する。 CPU51は、ヘッド駆動回路43を介して記録ヘッド26に接続されている。CPU51は、ホスト装置(図示せず)から受信した印刷データを展開して得られたヘッド制御データ(ビットマップデータ)と噴射制御信号とをヘッド駆動回路43に出力することにより、記録ヘッド26にノズル毎に設けられた噴射駆動素子(例えば圧電素子)に噴射駆動パルス(電圧パルス)を印加する。噴射駆動素子は、印加された噴射駆動パルスに応じた振動をノズルと連通するインク室に与えてインク室を膨張・圧縮させることによりノズルからインク滴を噴射する。また、CPU51は、モーター駆動回路44を介してキャリッジモーター25に接続されている。CPU51は、モーター駆動回路44にPWM信号を出力することによりキャリッジモーター25を駆動制御する。このとき、キャリッジモーター25にはPWM信号のデューティ比に応じた駆動電圧が印加され、この駆動電圧に応じた電流が流れる。
また、CPU51は、モーター駆動回路45を介して給送モーター31に接続されている。CPU51は、モーター駆動回路45にPWM信号を出力することにより給送モーター31を駆動制御する。このとき、給送モーター31にはPWM信号のデューティ比に応じた駆動電圧が印加され、この駆動電圧に応じた電流が流れる。また、CPU51は、モーター駆動回路46を介して搬送モーター32に接続されている。CPU51は、モーター駆動回路46にPWM信号を出力することにより搬送モーター32を駆動制御する。このとき、搬送モーター32にはPWM信号のデューティ比に応じた駆動電圧が印加され、この駆動電圧に応じた電流が流れる。なお、各モーター25,32には、CPU51が各モーター駆動回路44〜46に出力する方向指令信号に応じた向きの電流が流れ、各モーター25,32は方向指令信号に応じて正転又は逆転する。なお、CPU51は、クリーニング実施条件が成立したときには、メンテナンス装置35を駆動させるために搬送モーター32を逆転させる。
CPU51は、リニアエンコーダー29からのパルス信号を基にキャリッジ22の移動方向、すなわちキャリッジ22が往動か復動かを把握する。CPU51は、キャリッジ22の位置を管理する不図示のCRカウンターを備え、キャリッジ22が原点位置にあるときにCRカウンターをリセットする。そして、キャリッジ22の往動時にパルスエッジを検知する度にCRカウンターの計数値をインクリメントするとともに、その復動時にパルスエッジを検知する度にCRカウンターの計数値をデクリメントすることにより、その計数値から主走査方向Xにおけるキャリッジ位置を把握する。キャリッジモーター25の速度制御は、キャリッジ22の起動位置を基準とするキャリッジ位置と速度指令値との対応関係を示す速度制御テーブル(図示せず)を参照して、キャリッジ位置に応じた速度指令値を取得し、その速度指令値に応じたデューティ比のPWM信号を生成してモーター駆動回路44に出力することにより行われる。
CPU51は、予め決められた給送用の速度プロファイルに従って用紙Pを給送するための速度指令値に応じたデューティ比のPWM信号をモーター駆動回路45に出力することにより、給送モーター31を駆動制御する。また、CPU51は、給送中に紙検出センサー48が用紙Pの先端を検知した際に不図示の第1搬送カウンターをリセットし、その後、第1搬送カウンターがロータリーエンコーダー49から入力するパルス信号のパルスエッジ数を計数することにより、その計数値から用紙Pの搬送位置を認識する。また、CPU51は、用紙Pの搬送開始時に不図示の第2搬送カウンターをリセットし、この第2搬送カウンターがロータリーエンコーダー49から入力するパルス信号のパルスエッジ数を計数することにより、その計数値から用紙Pの搬送開始位置からの搬送位置を認識する。
不揮発性メモリー54には、用紙Pの搬送過程における速度プロファイルを決める搬送位置と速度指令値との対応関係を示す搬送用速度制御テーブル(図示せず)が、各目標搬送速度(定速度)毎に記憶されている。CPU51は、要求搬送量に応じた目標搬送速度の搬送用速度制御テーブルを選択し、その選択した搬送用速度制御テーブルを参照してその時々の搬送位置に応じた速度指令値を取得し、その速度指令値に応じたデューティ比のPWM信号をモーター駆動回路46に出力する。これにより搬送モーター32は要求搬送量に応じた目標搬送速度で搬送用の速度プロファイルに従って速度制御される。
各モーター駆動回路44〜46は、例えば複数個のトランジスターを有するスイッチング回路を備えており、PWM信号に基づいてトランジスターをオン・オフさせることで、各モーター25,31,32にPWM信号のデューティ比に応じた駆動電圧を印加する。そして、各モーター25,31,32には、その印加された駆動電圧に応じたモーター電流が流れる。つまり、モーター電流はPWM信号のデューティ比に比例する値となる。
図5は、CPU51が図6に示す発熱制限制御用プログラムを含む所定のプログラムを実行することによりコンピューター41内に構築される機能ブロックを示す。図5に示すように、コンピューター41は、主制御部60、表示制御部61、ヘッド制御部62、キャリッジ制御部(以下、「CR制御部63」と記す。)、給送制御部(以下、「ASF制御部64」と記す。)、搬送制御部(以下、「PF制御部65」と記す。)及び発熱制限制御部66を備える。
主制御部60は、プリンター11の印刷系、操作系、表示系などの各種制御を統括的に司る。主制御部60は、プリンター11の消費電力モードを管理するモード管理部60aを備える。モード管理部60aは、消費電力モードが、通常モードと省電力モードと電源オフモードのうちいずれであるかを管理する。詳しくは、モード管理部60aは、操作部16等の操作系の操作がなく且つ記録ヘッド26及び各モーター25,31,32の駆動がない状態のまま、その経過時間が省電力用の設定時間に達すると、通常モードから省電力モードに移行する。さらにその経過時間がオートパワーオフ用の設定時間に達すると、省電力モードから電源オフモードに移行する。主制御部60は、電源の供給電圧を低下させる省電力機能と、電源を自動でオフするオートパワーオフ機能(自動電源オフ機能)とを有している。通常モードから省電力モードへ移行すると、主制御部60は電源装置40に指示し例えば表示装置17への供給電圧を低下させることでその表示画面を暗くする。また、省電力モードから電源オフモードへ移行すると、主制御部60は電源装置40に指示し電圧供給を操作系などの一部を除き停止させる。
そして、モード管理部60aは、省電力モード又は電源オフモードにおいて操作系が操作されるか、あるいは記録ヘッド26及び各モーター25,31,32のうち1つでも駆動されれば、通常モードに移行する。通常モードでは、電源装置40は、全ての駆動回路42〜46、コンピューター41及びセンサー29,48,49などの全ての負荷にそれぞれに対応する供給電圧を印加する。なお、本実施形態では、省電力モード及び電源オフモードが省電モードの一例に相当する。
表示制御部61は、表示駆動回路42を介して表示装置17の表示制御を行う。詳しくは、表示制御部61は、主制御部60の指示に従い、各種の画像の表示データを表示駆動回路42に出力することにより、表示装置17に印刷画像、メニュー画面及び報知画面などを表示させる。
ヘッド制御部62は、ヘッド駆動回路43を介して記録ヘッド26を制御する。詳しくは、ヘッド制御部62は、主制御部60の指示に従い、印刷データに含まれる印刷画像データを所定のヘッド対応形式に変換したヘッド制御データと噴射制御データとをヘッド駆動回路43に出力することにより、記録ヘッド26のインク噴射制御を行う。ヘッド制御データは1ドットが例えば2ビットで表されたビットマップデータであり、そのドット値は印刷ドットサイズに応じて、大ドット「11」、中ドット「10」、小ドット「01」、噴射なし「00」の値をもつ。ヘッド駆動回路43には、電圧の異なる複数の電圧パルスを含む駆動信号が噴射タイミングと同周期で入力されている。噴射制御データは、ドット値と駆動信号中の選択すべき電圧パルスとの対応関係を示すデータである。ヘッド駆動回路43中のノズル毎のスイッチ回路は、ヘッド制御部62から入力したヘッド制御データのドット値と噴射制御データとに基づき所定のタイミングでオンすることで駆動信号中の指定の電圧パルスを選択し、その選択した電圧パルスが噴射駆動素子に印加される。これにより噴射駆動素子は電圧パルスに応じた量だけ振動板を変位させ、その振動板の変位に応じたサイズのインク滴が記録ヘッド26のノズルから噴射される。このように記録ヘッド26のノズルからはヘッド制御データの各ドット値(2ビット値)に応じたサイズのインク滴が噴射される。なお、記録ヘッド26から噴射されるインク滴のサイズ(すなわちドットサイズ)は大・中・小の3種類に限定されず、1種類、2種類(大と小)、4種類以上であってもよい。
CR制御部63は、PWM信号を生成するPWM回路(図示せず)を内蔵する。CR制御部63は、不揮発性メモリー54に記憶されたキャリッジ用速度制御テーブルを参照して、キャリッジ位置に応じた速度指令値を取得し、その速度指令値に応じたデューティ比のPWM信号をPWM回路により生成する。そして、CR制御部63は、その生成したPWM信号をモーター駆動回路44に出力することによりキャリッジモーター25を駆動制御する。
ASF制御部64は、PWM信号を生成するPWM回路(図示せず)を内蔵する。ASF制御部64は、不揮発性メモリー54に記憶された給送用速度テーブルを参照して、給送位置に応じた速度指令値を取得し、その速度指令値に応じたデューティ比のPWM信号をPWM回路により生成する。そして、ASF制御部64は、その生成したPWM信号をモーター駆動回路45に出力することにより給送モーター31を駆動制御する。
PF制御部65は、PWM信号を生成するPWM回路(図示せず)を内蔵する。PF制御部65は、不揮発性メモリー54に記憶された搬送用速度制御テーブルを参照して、搬送位置に応じた速度指令値を取得し、その速度指令値に応じたデューティ比のPWM信号をPWM回路により生成する。そして、PF制御部65は、その生成したPWM信号をモーター駆動回路46に出力することにより搬送モーター32を駆動制御する。
発熱制限制御部66は、キャリッジモーター25の発熱温度dTsumM1を演算するCR蓄熱量演算部71、給送モーター31の発熱温度dTsumM2を演算するASF蓄熱量演算部72、及び搬送モーター32の発熱温度dTsumM3を演算するPF蓄熱量演算部73を備える。さらに、発熱制限制御部66は、電源装置40の発熱温度dTsumPを演算する電源蓄熱量演算部74を備える。ここで、発熱温度dTsumMn,dTs umPとは、プリンター11が電源オンされてから電源装置40やモーター25,31,32に流れた電流により発熱した電源装置40やモーター25,31,32の温度上昇分の温度である。よって、発熱温度dTsumMn,dTsumPは、プリンター11の電源オン時から電源装置40やモーター25,31,32に蓄熱された蓄熱量に比例する値をもつ。なお、プリンター11の電源オン時における初期温度(例えば室温)に、プリンター11が電源オンされてから電源装置40やモーター25,31,32に流れた電流により発熱した電源装置40やモーター25,31,32の温度上昇分(つまり発熱温度dTsum)を加えた温度T(℃)を、発熱温度dTsumに替えて採用し、発熱制限制御を行ってもよい。この場合、プリンター11の電源オフ後も一定時間を経過するまでは温度Tを継続して計算し、一定時間内に次回の電源オンがなされれば、その計算した温度Tを初期温度とする構成も採用できる。
また、発熱制限制御部66は、各蓄熱量演算部71〜73の演算結果である発熱温度dTsumMnが各々の閾値dTmaxMn(但しn=1,2,3)を超えるか否かを判定する第1〜第3判定部75〜77と、電源蓄熱量演算部74の演算結果である発熱温度dTsumPがその閾値dTmaxPを超えるか否かを判定する電源判定部78とを備える。また、発熱制限制御部66は、第1〜第3判定部75〜77の各判定結果に応じた休止時間TWMn(但しn=1,2,3)をそれぞれ演算する第1〜第3休止時間演算部79〜81と、電源判定部78の判定結果に応じた休止時間TWPを演算する電源休止時間演算部82とを備える。さらに発熱制限制御部66は、各休止時間演算部79〜82の演算結果である各休止時間TWMn,TWPを比較してそのうち一番長いものを休止時間TWとして決定する比較部83、及び比較部83が決定した休止時間TWをキャリッジモーター25の駆動前に休止を入れる待ち時間として設定する休止時間設定部84とを備える。
なお、本実施形態では、各蓄熱量演算部71〜73により第1の蓄熱演算部の一例がそれぞれ構成され、電源蓄熱量演算部74により第2の蓄熱演算部の一例が構成される。また、発熱温度dTsumMn(但しn=1,2,3)が第1の蓄熱情報の一例に相当し、発熱温度dTsumPが第2の蓄熱情報の一例に相当する。また、閾値dTmaxMnが第1の閾値の一例に相当し、閾値dTmaxPが第2の閾値の一例に相当する。さらに、第1〜第3判定部75〜77により第1の判定部の一例が構成され、電源判定部78により第2の判定部の一例が構成される。また、第1〜第3休止時間演算部79〜81により第1の休止時間演算部の一例が構成され、電源休止時間演算部82により第2の休止時間演算部の一例が構成される。そして、休止時間TWMn(但しn=1,2,3)が第1の休止時間の一例に相当し、休止時間TWPが第2の休止時間の一例に相当する。また、本実施形態では、比較部83及び休止時間設定部84により、設定部の一例が構成される。
上述のとおり、CR制御部63、ASF制御部64及びPF制御部65は、各々が生成したPWM信号をモーター駆動回路44〜46にそれぞれ出力することで、各モーター25,31,32を速度制御する。このとき各モーター25,31,32の電流値は、これらの制御のために出力されたPWM信号のデューティ比に比例する。このため、本実施形態では、各モーター25,31,32の発熱温度の計算に使用する各電流値を取得するため、各制御部63〜65は単位時間(例えば1ミリ秒)毎にそれぞれ対応する各蓄熱量演算部71〜73へPWM信号のデューティ比を送る。
そして、各蓄熱量演算部71〜73は、単位時間(例えば1ミリ秒)毎に各制御部63〜65から取得したPWM信号のデューティ比を基に各モーター25,31,32のモーター電流値IMn(但しn=1,2,3)を計算する。モーター電流値IMnは、式 IMn=IMnmax×D により与えられる。ここで、IMmaxはモーター最大電流値、Dはデューティ比(=パルス幅/PWM周期)である。なお、本実施形態では、キャリッジモーター25の電流値IM1、給送モーター31の電流値IM2、搬送モーター32の電流値IM3とする。
そして、単位時間毎の電流値I(IMn等)を基に60秒毎の実効電流値Ieを計算する。実効電流値Ieは次式で表される。
Ie=√{(I12・t+I22・t+…+Ik2・t)/60} … (1)
ここで、tは単位時間であり、例えば1ミリ秒である。上記(1)式中のIに、モーター電流値IMnを代入することにより、各モーター25,31,32の実効電流値Ieを計算する。
さらに各蓄熱量演算部71〜73は、実効電流値Ieに基づいて各モーター25,31,32の60秒間の発熱量を演算する。一般に発熱量はQ=J・Wで与えられる。ここで、Jはある仕事Wを発熱に換算する係数である。また、仕事W=I・R・tで与えられるので、発熱量Qは、Q=I・R・t・Jとなる。ここで、Rはモーターの巻線の抵抗(定数)である。本実施形態では、発熱量Qを以下の(2)式に従って計算する。
Q=J・R・Ie2・60 … (2)
なお、JとRは定数で、Q∝I・tの関係があるので、I・tを発熱量Qとみなしてもよい。
次に各蓄熱量演算部71〜73は、発熱量Qを基に発熱温度dTsumを演算する。単位時間(例えば60秒)当たりの発熱温度dTnew は、発熱量Qを温度に変換する変換係数Kaを用いて、dTnew =Ka・Qにより計算される。発熱温度dTsum が放熱曲線に沿って下降し60秒後に達する発熱温度dTold は、放熱係数Kを用いて、dTold =K・dTsum で表される。よって、モーターの最新の発熱温度dTsum (総発熱温度)は、前回の発熱温度dTsumに放熱係数Kを掛けた値に、最新(直近60秒間)の発熱温度dTnew を加えることにより、以下の(3)式で与えられる。
dTsum =K・dTsum +dTnew … (3)
ここで、放熱係数Kは、キャリッジ駆動中の発熱系であるか、キャリッジ停止中の放熱系であるかによって異なる値をとる。本実施形態では、一例として直近の所定時間内におけるキャリッジ移動回数Ncrを計数し、キャリッジ移動回数Ncrが設定回数No以上のときは発熱系の放熱係数Kを使用し、キャリッジ移動回数Ncrが設定回数No未満のときは、放熱系の放熱係数Kを使用する。なお、この発熱温度dTsum はモーター25,31,32の通電による蓄熱量を発熱温度に変換した値に相当する。このため、前回の蓄熱量に今回の発熱量を加算すると、今回の蓄熱量が求まることになるので、今回の蓄熱量を求めてからこの蓄熱量を温度に換算して発熱温度を求めてもよい。つまり、蓄熱量dQsum =K・dQsum +dQnew を演算し、蓄熱量dQsumを温度に変換する変換係数Kaを乗じて、発熱温度dTsumを演算する。なお、蓄熱量に関する蓄熱情報は、発熱温度に替えて、蓄熱量そのものを採用してもよい。
各蓄熱量演算部71〜73は、モーターの発熱温度dTsumMn(但しn=1,2,3)を演算すると、その演算した発熱温度dTsumMnをそれぞれ第1〜第3判定部75〜77に送る。
一方、電源蓄熱量演算部74は、記録ヘッド26及び各モーター25,31,32をそれぞれ流れる各電流値Ih,IMn(但し、n=1,2,3)と、表示装置17、コンピューター41及びセンサー29,48,49等を含む非動力系の負荷群を流れる総電流の電流値Indとの総和を、電源装置40を流れる電流の電流値Ipとして計算する(Ip=Ih+IM1+IM2+IM3+Ind)。そして、電源電流値Ipを基に前記(1)〜(3)式を用いて、電源装置40の発熱温度dTsumPを計算する。
ここで、記録ヘッド26を流れる電流の電流値Ihは、印刷モード及び印刷画像データから決まるヘッド稼働率に応じて変化する。印刷モードには、印刷品質よりも印刷速度を優先するドラフト印刷モード、印刷速度よりも印刷品質を優先する高画質印刷モード、ドラフト印刷モードと高画質印刷モードとの中間の普通印刷モードとがある。ドラフト印刷モードでは、印刷画素密度(印刷解像度)が低く、同じ印刷画像データの場合、記録ヘッド26がノズルから噴射する単位時間当たりの噴射回数(噴射頻度)が相対的に少なくなる(つまり噴射周期が長い)ので、ヘッド稼働率は低くなる傾向にある。また、高画質印刷モードでは、印刷画素密度(印刷解像度)が高く、記録ヘッド26の単位時間当たりの噴射回数(噴射頻度)が相対的に多い(つまり噴射周期が短い)ので、ヘッド稼働率は高くなる傾向にある。そして、普通印刷モードでは、印刷画素密度(印刷解像度)がドラフト印刷モードと高画質印刷モードとの略中間で、記録ヘッド26の単位時間当たりの噴射回数(噴射頻度)も中ぐらい(つまり噴射周期も中ぐらい)なので、ヘッド稼働率は中ぐらいになる傾向にある。
また、本実施形態の記録ヘッド26は3種類のサイズでインク滴を打ち分けて、3種類のサイズのドットを形成する。このとき、1つのノズルに着目した場合、ドットサイズが大きいほど記録ヘッド26にノズル毎に設けられた噴射駆動素子(圧電素子)に高い電圧の電圧パルスが印加されるので、噴射駆動素子1個当たりに高い電流値の電流が流れる。本実施形態では、ドットサイズ毎に噴射駆動素子を流れる電流の電流値は予め分かっている。ドットサイズが大ドット「11」のときの電流値Il、中ドット「10」のときの電流値Im、小ドット「01」のときの電流値Isとする。ヘッド駆動回路43に噴射周期毎に入力される単位パルス信号には、電圧の異なる電圧パルスが複数含まれる。
ヘッド駆動回路43には、噴射駆動素子と対応するスイッチング素子(図示せず)がノズルと同数内蔵されている。各スイッチング素子には、駆動パルス信号を構成する第1電圧パルスと第2電圧パルスが順次印加されるとともに、大ドット「11」、中ドット「10」、小ドット「01」、噴射なし「00」で示されるドット値が入力される。このときスイッチング素子には、第1パルスが印加されたタイミングでドット値の下1桁が入力し、第2パルスが印加されたタイミングで上1桁が入力する。スイッチング素子は第1パルスの入力タイミングではドット値の下1桁が「1」のときにオンし「0」のときにオフするとともに、第2パルスの入力タイミングではドット値の上1桁が「1」のときにオンし「0」のときにオフする。スイッチング素子のオンしたタイミングで選択された電圧パルスが噴射駆動素子に印加される。ドット値が「00」(噴射なし)のときは第1及び第2パルスが共に選択されず、「01」(小ドット)のときは第1パルス(低電圧パルス)が選択され、「10」(中ドット)のときは第2パルス(高電圧パルス)が選択され、「11」(大ドット)のときは第1及び第2パルスが共に選択される。これによりドット値が「00」のときは噴射されず、「01」のときは小ドットの量でインク滴が噴射され、「10」のときは中ドットの量でインク滴が噴射され、「11」のときは大ドットの量でインク滴が噴射される。
ノズル列を構成する180個のノズルに対応する180個の噴射駆動素子には、ドット値「00」のときは電流が流れず、ドット値「01」のときは電流Isが流れ、ドット値「10」のときは電流Imが流れ、ドット値「11」のときは電流Ilが流れる(Is<Im<Il)。ドット値に基づき選択された電圧パルスが噴射周期毎に印加される。この噴射周期は、印刷モードに応じて決められる。よって、印刷モードと印刷画像データ(ドット値)とに応じて全ての噴射駆動素子を流れる電流の電流値が決まる。
ここで、ヘッド稼働率とは、印刷画像データの全ドット値が大ドット「11」であり、記録ヘッド26の全て(例えば180個×4色)のノズルから最大の噴射力(ドットサイズ「大」)で噴射を行ったときの噴射1回当たりの総電流値を、最大ヘッドデューティHmax(「1」)とする。また、ノズル毎の噴射駆動素子に印加されるドット値に応じた電流値を全ノズル数で総和した噴射1回当たりの総電流値を、ヘッドデューティHとする。このとき、ヘッドデューティ比Hdは、Hd=H/Hmaxで表され、本実施形態ではこのヘッドデューティ比Hdをヘッド稼働率としている。
電源蓄熱量演算部74は、例えば噴射周期の1周期〜数周期分を単位時間として記録ヘッド26の電流値を計算する。本例では、単位時間を一例として1ミリ秒として説明する。電源蓄熱量演算部74は、ヘッド制御部62から1パス分又は噴射1回〜数回分ずつヘッド制御データを受け取り、ヘッド制御データのうち噴射1回分の数のドットのドット値に基づいてヘッドデューティ比Hd(ヘッド稼働率情報)を演算する。そして、電源蓄熱量演算部74は、このヘッドデューティ比Hdに単位時間(例えば1ミリ秒)当たりの最大ヘッド電流値Ihmax(デューティ比=1のときのヘッド電流値)を乗じて、記録ヘッド26の単位時間毎のヘッド電流値Ihを算出する(Ih=Hd・Ihmax)。
また、電源蓄熱量演算部74は、各モーター25,31,32を制御する際に出力する各PWM信号のデューティ比を各制御部63〜65から単位時間(例えば1ミリ秒)毎に取得する。そして、各モーター25,31,32の制御に使用される各PWM信号のデューティ比に基づいて各モーター25,31,32の単位時間毎の電流値を演算する。もちろん、電源蓄熱量演算部74は、各蓄熱量演算部71〜73が単位時間毎に算出した電流値を取得してもよい。
さらに電源蓄熱量演算部74は、表示装置17、コンピューター41及びセンサー29,48,49等を含む非動力系の負荷群を流れる電流の電流値Indを取得する。本実施形態では、非動力系の負荷群の電流値Indを一定値とみなしている。但し、非動力系の負荷群の電流値Indは消費電力モードに依存する。このため、電源蓄熱量演算部74は、モード管理部60aから消費電力モードを取得し、消費電力モードに応じた一定の電流値を取得する。詳しくは、消費電力モードが通常モードのときには非動力系の負荷群の電流値Indとして一定の電流値Inを採用し、省電力モードのときには電流値Inよりも小さな一定の電流値Icを採用し、さらに電源オフモードのときには電流値Icよりも小さな一定の電流値Ioffを採用する(In>Ic>Ioff)。
そして、電源蓄熱量演算部74は、各電流値Ih,IMn,Indの総和を計算して電源装置40の電流値Ipを計算する(Ip=Ih+IMn+Ind)。そして、モーター25,31,32の発熱温度dTsumMnの計算方法と同様の計算の仕方で、電源電流値Ipに基づいて電源装置40の発熱温度dTsumPを演算する。詳しくは、単位時間(1ミリ秒)毎に取得した電源電流値Ipに基づいて単位時間(60秒)毎の実効電流値Ipeを計算し、さらに実効電流値Ipeに基づいて単位時間(60秒)毎の発熱量Qpを計算する。さらに発熱量Qpに基づいて単位時間(60秒)毎に発熱温度dTsumPを計算する。
第1〜第3判定部75〜77は、発熱温度dTsumMnがそれぞれの閾値dTmaxMn(但しn=1,2,3)を超えたか否かを判定する。すなわち、第1判定部75は、キャリッジモーター25の発熱温度dTsumM1が第1閾値dTmaxM1を超えたか否かを判定する。第2判定部76は、給送モーター31の発熱温度dTsumM2が第2閾値dTmaxM2を超えたか否かを判定する。第3判定部77は、搬送モーター32の発熱温度dTsumM3が第3閾値dTmaxM3を超えたか否かを判定する。さらに電源判定部78は、電源装置40の発熱温度dTsumPが電源閾値dTmaxPを超えたか否かを判定する。なお、以下の説明において、発熱温度dTsumMnとdTsumPとを特に区別しない場合は単に「dTsum」と記し、閾値dTmaxMnとdTmaxPとを特に区別しない場合は単に「dTmax」と記す場合がある。
第1〜第3休止時間演算部79〜81は、それぞれ対応する第1〜第3判定部75〜77が、発熱温度dTsumMnがそれぞれの閾値dTmaxMnを超えたと判定した場合、それぞれ第1〜第3休止時間TWMn(つまりTWM1,TWM2,TWM3)を演算する。
電源休止時間演算部82は、電源判定部78が、発熱温度dTsumPが閾値dTmaxPを超えたと判定した場合、電源休止時間TWPを演算する。ここで、電源休止時間TWPは、電源装置40の発熱温度dTsumPが電源限界温度を一旦超えても、その発熱温度dTsumPを電源限界温度以下に比較的速やかに降下させるためにキャリッジモーター25の駆動前に入れるべき休止時間を指す。
第1〜第3休止時間演算部79〜81は、モーター休止時間TWMn=TMcr・WMnを計算する。ここで、TMcrは、キャリッジモーター25が前回1パス分駆動したときの前回の駆動時間である。このキャリッジモーター25の1パス分の駆動時間は、コンピューター41が備える不図示のタイマーにより計時する。また、WMnは、モーター休止時間TWMnを決めるための休止率である。本実施形態では、前回のキャリッジモーター25の駆動時間TMcrが長いほど、キャリッジモーター25の駆動前に設定すべき休止時間TWMnを長くするように、駆動時間TMcrに対する休止時間TWMnの率を表す休止率WMnを設定している。また、電源休止時間演算部82は、電源休止時間TWPを、式 TWP=TMcr・WPにより計算する。ここで、WPは電源休止時間TWPを決めるための休止率である。
ここで、休止率WMn,WPの決め方を説明する。図4(a)は、時間tと発熱温度dTsumとの関係を示す。図4(a)に示すように、例えば時刻tnでの発熱温度dTsum(tn)が閾値dTmaxを超えている場合に、その超えた差分ΔdT(=dTsum−dTmax)(>0)が大きいほど、休止時間TWを長く設定するようにしている。
すなわち、休止時間演算部79〜82は、図4(b)に示すように、差分ΔdTの一次関数の式 Wp=A・ΔdT+Bにより休止率Wpを計算する。詳しくは、第1〜第3休止時間演算部79〜81は、休止率WMnを、式 WMn=An・ΔdT+Bnにより計算する。ここで、WMn(但しn=1,2,3)はモーター25,31,32毎の休止率であり、定数An,Bn(但しn=1,2,3)は、モーター25,31,32毎の定数である。そして、第1〜第3休止時間演算部79〜81は、キャリッジモーター25の前回の駆動時間TMcrに休止率WMnを乗じて、モーター休止時間TWMn(=TMcr・WMn)を計算する。
また、電源休止時間演算部82は、休止率WPを、式 WP=C・ΔdT+Dにより計算する。ここで、定数C,Dは、電源装置40の発熱温度dTsumPが一旦は電源限界温度を超えても、その発熱温度dTsumPが電源限界温度以下に比較的速やかに降下するように予備実験等により決められた値である。そして、電源休止時間演算部82は、キャリッジモーター25の前回の駆動時間TMcrに休止率WPを乗じて、電源休止時間TWP(=TMcr・WP)を計算する。なお、発熱温度dTsumが閾値dTmax未満である場合は、休止率WMn,WPは「0」に設定される。こうして各休止時間演算部79〜82は各休止時間TWM1,TWM2,TWM3,TWPを算出すると、その算出した各休止時間TWM1,TWM2,TWM3,TWPを比較部83へ送る。
比較部83は、各休止時間TWM1,TWM2,TWM3,TWPを比較し、このうち一番長いものを休止時間TWとして決定する。比較部83は、決定した休止時間TWを休止時間設定部84に設定する。
CR制御部63は、休止時間設定部84に設定された休止時間TWを読込み、キャリッジモーター25を駆動させる前に休止時間TWの休止を入れる。この休止時間TWの休止が入ることにより、電源装置40及び各モーター25,31,32の発熱が制限される。なお、発熱制限制御には、解除温度dToffが設定されており、発熱温度dTsumが解除温度dToffまで降下すると、発熱制限制御が解除され、CR制御部63はキャリッジモーター25の駆動前の休止を入れないようにキャリッジモーター25を駆動制御する。
次に、本実施形態のプリンター11の作用を説明する。
プリンター11は電源オンされると、コンピューター41内のCPU51は、図6にフローチャートで示される発熱制限制御用プログラムを実行する。
プリンター11の電源オン中において、ホスト装置から印刷データを受信すると、プリンター11はその受信した印刷データに基づく印刷を開始する。コントローラー39内のコンピューター41は、印刷データを解釈して得たコマンドに従って、用紙Pの給送、搬送、記録及び排紙を制御する。まず給送のコマンドに従って、給送モーター31及び搬送モーター32を駆動して用紙Pを印刷開始位置まで給送する。給送後、キャリッジ22が主走査方向Xに移動しながら記録ヘッド26からインク滴を噴射して用紙Pに1パス分の記録を行う記録動作と、用紙Pを次の記録位置まで要求搬送量だけ搬送する搬送動作とが交互に行われ、用紙Pへの印刷データに基づく画像の印刷が進められる。
プリンター11の電源オン中は、電源装置40には表示装置17、コンピューター41及びセンサー29,48,49等を含む非動力系の負荷群に電圧が供給されて電流Indが流れる。また、プリンター11の印刷動作中は、記録ヘッド26、各モーター25,31,32にはそれぞれを駆動させるための電流が流れ、記録ヘッド26及び各モーター25,31,32はその電流により発熱する。このとき電源装置40にも記録ヘッド26及び各モーター25,31,32を流れる電流Ih,IMnと同じ値の電流が流れ、電源装置40も発熱する。本実施形態では、電源装置40及び各モーター25,31,32の発熱をなるべく限界温度以下に抑えるように発熱制限制御が行われる。
以下、発熱制限制御について図6に基づいて説明する。なお、図6のフローチャートでは、CPU51が並列で実行する2つの処理を1つのフローチャートで示している。すなわち、ステップS1〜S8における各モーター25,31,32の発熱温度dTsumMn及び休止時間TWMnを演算する処理と、ステップS11〜S18における電源装置40の発熱温度dTsumP及び休止時間TWPを演算する処理とは並列に実行される。また、図6のフローチャートでは、処理サイクルの異なるステップも一部混在している。
はじめにモーター25,31,32に関するステップS1〜S8の処理について説明する。
まずステップS1では、単位時間(1ミリ秒)毎にモーター電流を計算する。各蓄熱量演算部71〜73が、PWM信号のデューティ比に基づきモーター電流IMnを計算する。
ステップS2では、モーター実効電流を計算する(60秒毎)。このモーター実効電流IeMnは、モーター電流値IMnを用いて前記(1)式に基づいて計算する。
次のステップS3では、モーター発熱量を計算する(60秒毎)。このモーター発熱量QMnは、モーター実効電流値IeMnを用いて前記(2)式に基づいて計算する。
ステップS4では、モーター発熱温度dTsumMnを計算する(60秒毎)。このモーター発熱温度dTsumMnは、モーター発熱量QMnを用いて前記(3)式に基づいて計算する。
ステップS5では、モーター休止判断を行う。すなわち、発熱温度dTsumMnが閾値dTmaxMnよりも大きいか否かを判定する。この判定処理は、第1〜第3判定部75〜77が行う。dTsumMn>dTmaxMnが不成立の場合はステップS6に進み、一方、dTsumMn>dTmaxMnが成立した場合はステップS7に進む。
ステップS6では、休止率WMn=0を設定する。
ステップS7では、休止率WMn=An・ΔdTn+Bnを計算する。すなわち、差分ΔdTn=dTsumMn−dTmaxMnを求め、この差分ΔdTnを上記一次関数の式に代入して休止率WMnを計算する。
そして、ステップS8では、モーター休止時間TWMn=TMcr・WMnを計算する。このとき、休止率WMn=0の場合は、モーター休止時間TWMn=0になる。
次に、電源装置40に関するステップS11〜S18の処理について説明する。
まずステップS11では、単位時間(1ミリ秒)毎に電源電流Ipを計算する。電源蓄熱量演算部74が、記録ヘッド26のヘッドデューティ比Hd、各モーター25,31,32を制御するときのPWM信号のデューティ比、非動力系の負荷群のそのときの消費電力モードに応じた電流値Indの総和を計算して、電源電流Ipを求める。
ステップS12では、電源実効電流を計算する(60秒毎)。この電源実効電流IePは、電源電流値Ipを用いて前記(1)式に基づいて計算する。
次のステップS13では、電源発熱量を計算する(60秒毎)。この電源発熱量Qpは、電源実効電流値IePを用いて前記(2)式に基づいて計算する。
ステップS14では、電源発熱温度dTsumPを計算する(60秒毎)。この電源発熱温度dTsumPは、電源発熱量Qpを用いて前記(3)式に基づいて計算する。
ステップS15では、電源休止判断を行う。すなわち、発熱温度dTsumPが閾値dTmaxPよりも大きいか否かを判定する。この判定処理は、電源判定部78が行う。dTsumP>dTmaxPが不成立の場合はステップS16に進み、一方、dTsumP>dTmaxPが成立した場合はステップS17に進む。
ステップS16では、休止率WP=0を設定する。
ステップS17では、休止率WP=C・ΔdT+Dを計算する。すなわち、差分ΔdT=dTsumP−dTmaxPを求め、この差分ΔdTを上記一次関数の式に代入して休止率WPを計算する。
ステップS18では、電源休止時間TWP=TMcr・WPを計算する。ここで、休止率WMn=0の場合は、電源休止時間TWMn=0になる。そして、上記並列処理の結果、全て(本例では4つ)の休止時間TWMn,TWPが求まると、ステップS19に進む。ステップS19では、休止時間設定を行う。この休止時間設定では、休止時間TWMnとTWPのうち一番長いものを休止時間TWとしてキャリッジモーター25の駆動前に設定する。
図7(a)は、発熱制限制御が行われたときの時間と発熱温度との関係を示すグラフである。図7に示す例では、電源装置40が発熱してその発熱温度dTsumPが閾値dTmaxPを超えたため、発熱制限制御が開始される。発熱制限制御が開始されてから時間の経過と共に、電源装置40の発熱温度dTsumPが降下して限界温度以下に収まっている。
また、図7(b)は、発熱制限制御の際に設定された休止時間TWを示す。図7(b)のグラフから分かるように、発熱温度dTsumが閾値dTmaxを超えると、休止時間TWが設定される。図7(b)の例では、電源休止時間TWPがモーター休止時間TWMnよりも長いため、電源休止時間TWPが設定され、キャリッジモーター25の駆動前に電源休止時間TWPの休止が入る発熱制限制御が行われる。このとき、0.5〜1秒の休止時間TWが設定される。このように休止時間が短いので、キャリッジ22の駆動前に休止が入っても、プリンター11の動作にさほど違和感がない。
以上詳述したように本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)電源装置40の発熱制限と各モーター25,31,32の発熱制限とを適切に両立できる。特に休止時間を比較部83で比較して、そのうち一番長い休止時間を設定するので、適切な休止時間が選択される。例えば特許文献1の技術では、電源及び各モーターの蓄熱レベルを比較し、最高蓄熱レベルに対応する休止時間を設定する。例えば、電源及び各モーターが同じ蓄熱レベルであっても、それぞれの発熱温度を解除温度まで適切な温度下降曲線で低下させるうえで適切な休止時間は、電源及び各モーターを流れる電流値及び放熱係数などの違いから異なる。また、蓄熱レベルは、電源及び各モーターの限界温度などを基準に決められるため、電源及び各モーター間で基準が異なり、蓄熱レベルの比較は休止を入れる優先度を判定する比較に過ぎない。これに対して本実施形態では、電源及び各モーターの発熱温度dTsumが閾値dTmaxを超えたときに、その差分ΔdTに応じた休止率Wpを前回のキャリッジモーター25の駆動時間TMcrに乗じて、休止時間TWMnを求める。そして、電源装置40及び各モーター25,31,32の個々に合った適切な休止時間TWMnが求められ、各休止時間TWMn,TWPのうち一番長いものを休止時間TWとして設定する。このため、電源装置40及び各モーター25,31,32の必要な休止時間TWを集約した1つの適切な休止時間TWを設定できる。
(2)各判定部75〜78が、発熱温度dTsumが閾値dTmaxを超えたと判定した場合に限り休止時間TWを演算し、演算された休止時間TWのうち一番長いものを休止時間TWとして設定する。このため、休止時間が必要な場合に限り、その演算を行えばよいので、不要な休止時間を演算する無駄を排除できる。
(3)表示装置17及びセンサー29,48,49などの非動力系の負荷群を流れる電流も考慮して、電源装置40の電流値Ipを推定する。このため、その推定した電流値Ipを基に演算される電源装置40の発熱温度dTsumPの精度を上げることができる。よって、電源装置40に休止が必要か否かの判定の精度、及び休止が必要な判定である場合に設定される必要な休止時間TWPの精度を高めることができる。この結果、電源装置40の発熱温度dTsumPの精度が低いことに起因し、不要な発熱制限制御が開始されたり、必要な発熱制限制御の開始が遅れたりする不都合を極力回避できる。このため、電源装置40をより一層適切な温度範囲で使用できる。
(4)表示装置17及びセンサー29,48,49などの非動力系の負荷群の電流値を、モード管理部60aが管理する消費電力モード(通常モード・省電力モード・電源オフモード)に応じて推定する。このため、その推定した電流値を基に演算される電源装置40の発熱温度dTsumPを一層高い精度で取得できる。よって、電源装置40に休止が必要か否かの判定の精度、及び休止が必要な場合の休止時間TWPの精度を高めることができる。
(5)各モーター25,31,32及び電源装置40の各発熱温度dTsumが各々の閾値dTmaxを超えたときに、その差分ΔdT(=dTsum−dTmax)に応じた休止率WMn,WPを、式 WMn=An・ΔdT+Bn、式 WP=C・ΔdT+Dにより計算する。このため、発熱温度dTsumが閾値dTmaxを超えた差分ΔdTが大きいほど、休止率Wpが高くなり、より長い休止時間TWを設定できる。また、このときの休止時間TW(秒)を、前回のキャリッジモーター25の駆動時間TMcr(秒)に休止率Wpを乗じて計算する(TW=TMcr・Wp)。よって、キャリッジモーター25の前回の駆動による発熱量に応じたより適切な長さの休止時間TWを、今回のキャリッジモーター25の駆動前に設定できるので、各発熱温度dTsumを適切な温度下降曲線に沿って降下させることができる。このため、限界温度を超える期間を比較的短くでき、電源装置40及び各モーター25,31,32を適切な発熱温度で使用できる。
(6)電源装置40の電流値IPを、負荷群の各電流値を合計することで取得するうえ、各モーター25,31,32の電流値はモーター制御用のPWM信号のデューティ比から計算するので、電流センサーを不要にできる。また、各モーター25,31,32の各電流値から発熱温度dTsumMnを計算するとともに、電源装置40の電流値IPからその発熱温度dTsumPを計算するので、温度センサーを不要にできる。従って、プリンター11における検出系の部品点数を少なくして比較的構成を簡単にでき、かつプリンター11の製造コストを比較的安価に抑えることができる。
(第2実施形態)
次に第2実施形態を図8に基づいて説明する。この第2実施形態の電子機器は、印刷機能に加えスキャナー機能及びコピー機能を備える複合型のプリンター11である。このため、プリンター11には、原稿を読み取る読取ヘッドを走査させるスキャナーモーター36が設けられている。また、コンピューター41にはスキャナー制御部(以下、「SC制御部67」と記す。)が設けられ、このSC制御部67はモーター駆動回路90を介してスキャナーモーター36と接続されている。本実施形態では、各モーター25,31,32の他、記録ヘッド26及びスキャナーモーター36をそれぞれ発熱制限対象のアクチュエーターの1つとしている。
図8に示すように、発熱制限制御部66は、記録ヘッド26の発熱制限制御に用いられるヘッド蓄熱量演算部91、ヘッド判定部92及びヘッド休止時間演算部93と、スキャナーモーター36の発熱制限制御に用いられるスキャナーモーター蓄熱量演算部(以下、「SC蓄熱量演算部94」と記す。)、第4判定部95及び第4休止時間演算部96を備える。
ヘッド蓄熱量演算部91は、第1実施形態における蓄熱量演算部74が記録ヘッド26の単位時間(例えば1ミリ秒)毎の電流値を計算する際の計算方法と同様の手法で、単位時間当たり毎の電流値Ihを計算する。すなわち、ヘッド蓄熱量演算部91は、ヘッド制御部62から取得した印刷画像データ及び噴射制御データに基づいて単位時間(1ミリ秒)当たりのヘッドデューティ比(ヘッド稼働率情報)を計算する。そして、ヘッド蓄熱量演算部91は、最大ヘッド電流値Ihmaxにヘッドデューティ比Hdを乗じることにより、単位時間当たりのヘッド電流値Ihを計算する。そして、ヘッド蓄熱量演算部91は、計算した単位時間当たりのヘッド電流値Ihを基に、60秒間の実効電流値を計算し、さらにこの実効電流値に基づいて発熱温度dTsumHを演算する。
ヘッド判定部92は、記録ヘッド26の発熱温度dTsumHが第1閾値dTmaxHを超えたか否かを判定する。また、ヘッド休止時間演算部93は、ヘッド判定部92が、発熱温度dTsumHが閾値dTmaxHを超えたと判定した場合、ヘッド休止時間TWHを演算する。このヘッド休止時間TWHは比較部83に送られる。
また、SC蓄熱量演算部94は、SC制御部67から取得したPWM信号のデューティ比を基に単位時間(例えば1ミリ秒)毎のモーター電流値IM4を計算する。そして、SC蓄熱量演算部94は、計算したモーター電流値IM4を基に、60秒間の実効電流値を計算し、さらにこの実効電流値に基づいて発熱温度dTsumM4を演算する。
また、第4判定部95は、スキャナーモーター36の発熱温度dTsumM4が第4閾値dTmaxM4を超えたか否かを判定する。また、第4休止時間演算部96は、第4判定部95により発熱温度dTsumM4が閾値dTmaxM4を超えたと判定された場合、モーター休止時間TWM4を演算する。このモーター休止時間TWM4は比較部83に送られる。
また、電源蓄熱量演算部74は、第1実施形態と同様の手法で、ヘッド制御部62から取得したヘッド制御データ及び噴射制御データに基づいて単位時間毎のヘッド電流値Ihを計算する。もちろん、ヘッド蓄熱量演算部91が算出したヘッド電流値Ihを、ヘッド蓄熱量演算部91から取得してもよい。また、電源蓄熱量演算部74は、第1実施形態と同様に、各制御部63〜65,67の制御に使用されるPWM信号のデューテュ比に基づいてモーター電流値IMn(但しn=1,2,3,4)を計算する。そして、電源蓄熱量演算部74は、ヘッド電流値Ih、モーター電流値IMn(但しn=1,2,3,4)及び非動力系の負荷群に印加される電流値Indの合計を計算し、これを電源装置40の電流値IPとする。さらに電源蓄熱量演算部74は、単位時間(1ミリ秒)毎の電流値IPに基づいて60秒毎に実効電流値Ieを計算し、さらに実効電流値Ieに基づいて発熱量を計算し、さらに発熱量から発熱温度dTsumPを計算する。
そして、電源判定部78は、電源装置40の発熱温度dTsumPが閾値dTmaxPを超えたか否かを判定する。ヘッド休止時間演算部93は、電源判定部78により発熱温度dTsumPが閾値dTmaxPを超えたと判定された場合、ヘッド休止時間TWHを演算する。このヘッド休止時間TWHは比較部83に送られる。
よって、比較部83は、ヘッド休止時間TWH、モーター休止時間TWMn(但し、n=1,2,3,4)及び電源休止時間TWPの計6個の休止時間を入力する。そして、比較部83は、第1実施形態と同様に各休止時間TWH,TWMn(但し、n=1,2,3,4)を比較し、そのうち一番長い休止時間TWをキャリッジモーター25の駆動前に設定する。
この第2実施形態によれば、第1実施形態における効果(1)〜(6)と同様又は同種の効果の他、以下の効果が得られる。
(7)記録ヘッド26及びスキャナーモーター36についても発熱温度を計算し、各発熱温度が閾値を超えた場合に計算した休止時間を含む複数の休止時間を比較部83で比較し、そのうち一番長い休止時間をキャリッジモーター25の駆動前に設定する。このため、記録ヘッド26及びスキャナーモーター36についても発熱制限制御を行うことができる。また、電源装置40の電流を、記録ヘッド26、各モーター25,31,32,36、非動力系の負荷群をそれぞれ流れる電流の電流値の総和として適切に計算するので、電源装置40の過熱を極力少なく抑えることができる。
なお、上記実施形態は以下のような形態に変更することもできる。
・前記各実施形態において、電源装置40を流れる電流の電流値IPを電流センサーにより測定してもよい。
・蓄熱情報の一例である発熱温度dTsumが閾値を超えない場合は、休止なしとし、休止率及び休止時間の計算を省いてもよい。この場合、発熱温度dTsumが閾値を超えた場合に計算された発熱温度dTsumが複数ある場合に限り比較部83が一番長いものを決定して、休止時間設定部84に設定する構成としてもよい。
・判定部は無くてもよい。例えば蓄熱情報の一例としての発熱温度dTsumと休止時間との対応関係を示すテーブルをメモリーに記憶しておき、発熱温度dTsumを基にテーブルを参照して休止時間を取得してもよい。この場合、テーブルにおいて閾値未満の発熱温度dTsumに対応する休止時間に「0」を設定すればよい。
・蓄熱情報(例えば発熱温度dTsum)に基づいて休止時間を演算する場合、不揮発性メモリー54に記憶された発熱温度dTsumと休止率Wpとの対応関係と示すテーブルを参照して、発熱温度dTsumに対応する休止率Wpを取得し、その取得した休止率Wpに前回のキャリッジ駆動時間TMcrを乗じて休止時間TWを求める構成でもよい。この場合、閾値を超える発熱温度dTsumについては、発熱温度dTsumと閾値との差分が大きいほど高い休止率Wpが選択されるようにテーブルを作成することが望ましい。
・複数の閾値を設定し、複数の閾値のうち発熱温度dTsumが超えた最大の閾値に応じた休止率Wpを設定する構成も採用できる。また、複数の閾値のうち発熱温度dTsumが超えた最大の閾値に応じた休止時間TWを設定する構成も採用できる。
・休止時間をアクチュエーターの前回の駆動時間によらず一定値としてもよい。
・アクチュエーターの駆動の前後のうち少なくとも一方に休止時間を設定すればよい。例えばキャリッジモーターの駆動後に休止時間を設定してもよいし、キャリッジモーターの駆動の前と後の両方にそれぞれ必要な休止時間の例えば半分ずつを設定してもよい。
・駆動の前後のうち少なくとも一方に休止時間を設定するアクチュエーターは、キャリッジモーター25に限定されず、搬送モーター32でもよい。また、複数のアクチュエーターに休止時間を設定して必要な休止を各アクチュエーター間で分散させてもよい。例えば第1実施形態において、キャリッジモーター25と搬送モーター32の両方に休止時間を設定してもよい。さらに第2実施形態では、印刷時とスキャン時とコピー時との間で、休止時間を設定するアクチュエーターを切り換えてもよい。例えば印刷時にはキャリッジモーター25と搬送モーター32のうち少なくとも一方に休止時間を設定し、スキャン時はスキャナーモーター36に休止時間を設定し、さらにコピー時には、キャリッジモーター25と搬送モーター32とスキャナーモーター36のうち少なくとも1つに休止時間を設定する。また、キャリッジモーター25と搬送モーター32のうち少なくとも一方に休止時間を設定する構成において、さらに給送モーター31にも休止時間を設定することで休止を分散させてもよい。
・モード管理部60aは、USBI/F47aへのUSBメモリーUM等のUSB機器の接続の有無をUSBモードで管理するとともに、カードI/F47bへのメモリーカードMCの接続の有無をMCモードで管理する。USBI/F47aとカードI/F47bとを含む非動力系の負荷群の電流を計算するときには、USBモードとMCモードとに基づいてUSBI/F47aとカードI/F47bの各電流値を計算し、これも含む電流値Indを計算してもよい。
・閾値は限界温度付近に設定することに限定されず、限界温度よりもかなり低温側に設定し、アクチュエーター及び電源装置が各々の限界温度を超えない温度範囲で使用されうる発熱制限制御を行う構成も採用できる。
・前記各実施形態では、電子機器を液体噴射装置の1つであるインクジェット式プリンターに具体化したが、液体噴射装置に適用する場合、プリンターに限定されず、インク以外の他の液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体を含む)を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液体噴射装置でもよい。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。さらに、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために熱硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。このように媒体(記録媒体)は、素子や配線等がインクジェットで形成される基板でもよい。液体噴射装置が噴射する「液体」には、液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体、流状体などが含まれる。
・記録ヘッド26はインクジェット記録方式に限定されず、ドットインパクト記録方式でもよい。また、記録装置は、シリアルプリンターに限定されず、ラインプリンターでもよい。なお、電子機器がプリンターである場合、媒体は用紙に限定されず、樹脂製のフィルム、金属箔、金属フィルム、樹脂と金属の複合体フィルム(ラミネートフィルム)、織物、不織布、セラミックシートなどであってもよい。さらに媒体はシート状であることに限定されず立体物でもよい。
・電子機器は、プリンター及び複合機に限定されない。1つ以上のアクチュエーターと、アクチュエーターに電力を供給する電源装置(電源)とを備えた電子機器であれば足りる。特に電子機器の動作中にアクチュエーターのうち少なくとも1つが駆動対象物を繰り返し移動又は変位させるために駆動される構成の電子機器に有効である。例えばスキャナーでもよい。さらに半導体チップや基板に電子部品を実装するために電子部品を把持する把持部に実装のための動作をさせる部品実装装置、半導体チップやウェハ、基板等の搬送対象物を把持して搬送元から搬送先まで搬送経路に沿って移動する把持部を備えた搬送装置などであってもよい。これらの場合、繰り返し駆動されるアクチュエーターの駆動前に休止時間の待ちを入れることで、アクチュエーター及び電源装置(電源)の発熱制限制御を行うことができる。
・アクチュエーターは電動モーター及び記録ヘッド(圧電素子等の噴射駆動素子)に限定されない。ソレノイド、圧電アクチュエーター、電動シリンダーなどでもよい。また、電動モーターは超音波モーターでもよい。さらに電動モーターは回転式に限定されず、直動式のリニアモーターでもよい。このように本実施形態のアクチュエーターとは、供給された電力により対象物を移動させるように駆動されたり、対象物に圧力を加えて押し出したり(液体の噴射を含む)するものをいう。
11…電子機器の一例であるプリンター、16…操作部、17…非動力系の負荷の一例である表示装置、18…USBポート、19…カードスロット、22…キャリッジ、25…発熱制限対象のアクチュエーター及び電動モーターの一例としてのキャリッジモーター、26…発熱制限対象のアクチュエーターの一例としての記録ヘッド、29…非動力系の負荷の一例であるセンサー(リニアエンコーダー)、31…発熱制限対象のアクチュエーター及び電動モーターの一例としての給送モーター、32…発熱制限対象のアクチュエーター及び電動モーターの一例としての搬送モーター、36…発熱制限対象のアクチュエーター及び電動モーターの一例としてのスキャナーモーター、40…電源の一例としての電源装置、48…非動力系の負荷及びセンサーの一例である紙検出センサー、49…非動力系の負荷及びセンサーの一例であるロータリーエンコーダー、51…CPU、52…ASIC、53…RAM、54…不揮発性メモリー、60…主制御部、60a…モード管理部、61…表示制御部、62…ヘッド制御部、63…制御部の一例としてのCR制御部、64…ASF制御部、65…PF制御部、66…発熱制限制御部、67…SC制御部、71…第1の蓄熱演算部の一例としてのCR蓄熱量演算部、72…第1の蓄熱演算部の一例としてのASF蓄熱量演算部、73…第1の蓄熱演算部の一例としてのPF蓄熱量演算部、74…第2の蓄熱演算部の一例としての電源蓄熱量演算部、75…第1の判定部の一例としての第1判定部、76…第1の判定部の一例としての第2判定部、77…第1の判定部の一例としての第3判定部、78…第2の判定部の一例としての電源判定部、79…第1の休止時間演算部の一例としての第1休止時間演算部、80…第1の休止時間演算部の一例としての第2休止時間演算部、81…第1の休止時間演算部の一例としての第3休止時間演算部、82…第2の休止時間演算部の一例としての電源休止時間演算部、83…設定部の一例を構成する比較部、84…設定部の一例を構成する休止時間設定部、91…ヘッド蓄熱量演算部、92…第1の判定部の一例としてのヘッド判定部、93…ヘッド休止時間判定部、95…第1の判定部の一例としての第4判定部、96…第1の休止時間演算部の一例としての第4休止時間演算部、IMn…モーター電流、IP…電源電流、dTsumMn…第1の蓄熱情報の一例であるモーターの発熱温度、dTsumP…第2の蓄熱情報の一例である電源装置の発熱温度、dTmaxMn…第1の閾値の一例としての閾値、dTmaxP…第2の閾値の一例としての閾値、dTsumH…第1の蓄熱情報の一例である記録ヘッドの発熱温度、dTmaxH…第1の閾値の一例である閾値、P…媒体の一例である用紙。

Claims (10)

  1. 電子機器に備えられた1つ以上のアクチュエーターのうち発熱制限対象とする少なくとも1つと電源との発熱を制限する電子機器における発熱制限制御装置であって、
    前記発熱制限対象のアクチュエーターの電流値に基づいて当該アクチュエーターの蓄熱量に関する第1の蓄熱情報を演算する第1の蓄熱演算部と、
    前記電源の電流値に基づいて前記電源の蓄熱量に関する第2の蓄熱情報を演算する第2の蓄熱演算部と、
    前記第1の蓄熱情報に基づいて第1の休止時間を演算する第1の休止時間演算部と、
    前記第2の蓄熱情報に基づいて第2の休止時間を演算する第2の休止時間演算部と、
    前記第1の休止時間と前記第2の休止時間とのうち一番長いものを休止時間として設定する設定部と、
    少なくとも1つの前記アクチュエーターを駆動の合間に前記休止時間の休止を入れるように制御する制御部と、
    を備えたことを特徴とする電子機器における発熱制限制御装置。
  2. 前記第1の蓄熱情報が第1の閾値を超えているか否かを判定する第1の判定部と、
    前記第2の蓄熱情報が第2の閾値を超えているか否かを判定する第2の判定部とを更に備え、
    前記制御部は、前記各判定部のうち少なくとも一つの判定部により前記蓄熱情報が対応する閾値を超えたと判定された場合に、前記設定部が設定した前記休止時間の休止を駆動の合間に入れるように少なくとも1つの前記アクチュエーターを制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  3. 前記第2の蓄熱演算部は、前記電源の給電先の前記アクチュエーターを含む少なくとも1つの負荷を流れる電流に基づいて前記第2の蓄熱情報を演算することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  4. 前記電子機器は、前記電源の給電先として表示装置とセンサーとのうち少なくとも一方を含む非動力系の負荷を備え、
    前記第2の蓄熱演算部が前記第2の蓄熱情報を演算する際に用いる前記電流は、前記非動力系の負荷を流れる電流を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  5. 前記アクチュエーターの動作及び操作部の操作が一定時間以上の間なかった場合に前記電源から出力される電力を停止又は通常モードのときの電力よりも低下させる省電モードと前記通常モードとを含む消費電力モードを管理するモード管理部を更に備え、
    前記第2の蓄熱演算部は、前記消費電力モードに基づいて前記非動力系の負荷の電流値を演算することを特徴とする請求項4に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  6. 前記第1の休止時間演算部と前記第2の休止時間演算部のうち少なくとも一方は、前記蓄熱情報と前記閾値との差分が大きいほど長くなるように前記休止時間を演算することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  7. 前記電子機器は、前記アクチュエーターとして1つ以上の電動モーターと記録ヘッドとを備える記録装置であり、
    前記第2の蓄熱演算部が前記第2の蓄熱情報の演算に用いる前記電流値には、前記記録ヘッドの電流値が含まれることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  8. 前記第2の蓄熱演算部は、前記記録ヘッドの稼働率に関するヘッド稼働率情報に基づいて前記記録ヘッドの電流値を演算することを特徴とする請求項7に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  9. 1つ以上のアクチュエーターと、
    前記アクチュエーターに電力を供給する電源と、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載の前記発熱制限制御装置と、
    を備えたことを特徴とする電子機器。
  10. 電子機器に備えられた1つ以上のアクチュエーターのうち発熱制限対象とする少なくとも1つと電源との発熱を制限する電子機器における発熱制限制御方法であって、
    前記発熱制限対象のアクチュエーターの電流値に基づいて当該アクチュエーターの蓄熱量に関する第1の蓄熱情報を演算する第1の蓄熱演算ステップと、
    前記電源の電流値に基づいて前記電源の蓄熱量に関する第2の蓄熱情報を演算する第2の蓄熱演算ステップと、
    前記第1の蓄熱情報に基づいて第1の休止時間を演算する第1休止時間演算ステップと、
    前記第2の蓄熱情報に基づいて第2の休止時間を演算する第2休止時間演算ステップと、
    前記第1の休止時間と前記第2の休止時間とのうち一番長いものを休止時間として設定する設定ステップと、
    少なくとも1つの前記アクチュエーターを駆動の合間に前記休止時間の休止を入れるように制御する制御ステップと、
    を備えたことを特徴とする電子機器における発熱制限制御方法。
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