JP2013142357A - コンバインドサイクル発電プラント - Google Patents
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Abstract
【解決手段】排熱回収ボイラは、ガスタービン排熱を利用して給水を加熱し、蒸気を生成する。蒸気タービンは、その蒸気によって駆動される。クーラ31は、ガスタービンの高温部の冷却に用いられる冷媒を、給水との熱交換によって冷却する。クーラ31を通過した後の給水の一部を排熱回収ボイラに戻す回収ライン33には、回収弁37が設けられ、クーラ31を通過した後の給水の残部を復水系にダンプするダンプライン38には、ダンプ弁39が設けられている。弁開度制御手段50は、回収弁37およびダンプ弁39のいずれか一方について、一方の弁の前後差圧に基づく開度制御を行い、回収弁37およびダンプ弁39の他方について、クーラ31を通過する給水の流量に基づく開度制御を行う。
【選択図】図2
Description
そこで、TCAクーラを通過した高圧給水の一部のみを高圧ドラムに導くために、高圧給水の残部を復水器側(復水系)に排出するダンプラインを設けることがある。この場合、高圧給水を高圧ドラムに導く回収ラインおよびダンプラインに、それぞれ、回収弁とダンプ弁を設け、これら二つの弁の開度調節により回収ラインとダンプラインを流れる高圧給水の流量を調節する。これにより、発電プラントの起動時及び低負荷運転時には、回収弁の開度を小さくし、ダンプ弁の開度を大きくすることで、TCAクーラが要求する高圧給水の流量を維持しながら、少ない蒸発量に見合った適量の高圧給水を高圧ドラムに供給することができる。これに対して、発電プラントの高負荷運転時には、回収弁の開度を大きくし、ダンプ弁の開度を小さくすることで、TCAクーラが要求する高圧給水の流量を維持しながら、多い蒸発量に見合った適量の高圧給水を高圧ドラムに供給することができる。
ところが、上記関数を用いて回収弁の開度制御を行う場合、TCAクーラを通過する高圧給水の流量を適切に調節することが難しい。これは、上記関数から求めた開度に回収弁を制御しても、TCAクーラが設けられたクーラ側給水ラインに対して並列に設けられるECO側給水ラインの系統差圧の変化による影響によって、TCAクーラを通過する高圧給水の所期の流量を確保できるとは限らないためである。なお、ECO側給水ラインとは、節炭器が設けられる給水ラインをいう。
なお、ガスタービン(2)の高温部の冷却に用いられる「冷媒」は、ガスタービン(2)の空気圧縮機(3)で生成される圧縮空気であってもよい。
第一の組み合わせは、回収弁(37)をその前後差圧に基づいて開度制御し、クーラ(31)を通過する給水流量に基づいてダンプ弁(39)を開度制御するものである。この場合、回収弁(37)の前後差圧を考慮して回収弁(37)の開度制御を行うため、回収弁(37)を介して排熱回収ボイラ(20)に供給される給水流量は所期の流量を確実に確保できる。また、回収弁(37)を通過する給水流量がクーラ(31)における給水の必要流量に対して不足していても、ダンプ弁(39)の開度制御がクーラ(31)を通過する給水流量に基づくものであるため、ダンプ弁(39)を通過する給水の流量が適切に調節されて、必要流量の給水をクーラ(31)に流すことができる。
第二の組み合わせは、第一の組み合わせとは逆に、クーラ(31)を通過する給水流量に基づいて回収弁(37)を開度制御し、ダンプ弁(39)をその前後差圧に基づいて開度制御するものである。この場合、ダンプ弁(39)の前後差圧を考慮してダンプ弁(39)の開度制御を行うため、ダンプ弁(39)を通過する給水流量は所期の流量を確実に確保できる。また、ダンプ弁(39)を通過する給水流量がクーラ(31)における給水の必要流量に対して不足していても、回収弁(37)の開度制御がクーラ(31)を通過する給水流量に基づくものであるため、回収弁(37)を通過する給水の流量が適切に調節されて、必要流量の給水をクーラ(31)に流すことができる。
このように、いずれの組み合わせの場合であっても、回収弁(37)の開閉制御とダンプ弁(39)の開閉制御が協働することで、必要流量の給水をクーラ(31)に流すことができる。
ここで、Cv値とは、バルブの容量係数であり、流体が、ある前後差圧においてバルブを流れるときの流量を表す値である。Cv値は、一般に、バルブの前後差圧と、バルブを流れる流体の流量との関数であることが知られている。そのため、回収弁(37)の前後差圧および回収弁(37)を通過すべき給水流量の指令値からCv値を算出できる。そして、Cv値に対応する弁開度はバルブ特性として既知であるから、Cv値の算出結果に応じた弁開度に回収弁(37)を開度調節することで、回収弁(37)を通過する給水流量を指令値に維持できる。よって、発電プラント(1)の運転状態(起動時及び低負荷運転時または高負荷運転時)に応じて、回収弁(37)を介して排熱回収ボイラ(20)に供給される給水の流量を適切に調節できる。
なお、回収弁(37)を通過する給水流量の指令値は、排熱回収ボイラ(20)における給水の蒸発量に応じて決定されてもよい。
このように、クーラ側給水ライン(42)に対して並列にECO側給水ライン(32)が設けられる場合、例えばガスタービン(2)の負荷遮断時や負荷急減時において、ECO側給水ライン(32)を流れる給水流量が大幅に減少する。そうすると、ECO側給水ライン(32)の系統差圧は、ECO側給水ライン(32)の給水流量の二乗に比例することから、非常に小さくなる。特に、排熱回収ボイラ(20)のドラム(23)内の水位を制御するドラムレベル制御弁(65)がECO側給水ライン(32)ではなく、ドラム(23)の直前に設けられている場合、ECO側給水ライン(32)の系統差圧はほぼ節炭器(29)に起因する圧力損失のみであるから、ECO側給水ライン(32)の系統差圧の低下が顕著になる。その結果、相対的にクーラ側給水ライン(42)に給水が流れにくくなり、回収弁(37)及びダンプ弁(39)の開度を全開にしてもクーラ側給水ライン(42)における給水流量を確保できないことがあり得る。
そこで、上述のように、ECO側給水ライン(32)の節炭器(29)よりも上流側に制御弁(62)を設け、該制御弁(62)の前後差圧を設定値に維持するようにこの制御弁(62)の開度制御を行うことで、発電プラント(1)の運転状態によらず、ECO側給水ライン(32)の系統差圧を確保できる。よって、回収弁(37)及びダンプ弁(39)を全開にしてもクーラ側給水ライン(42)における給水流量を確保できないような事態を防止できる。
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るコンバインドサイクル発電プラント(以下、発電プラントと称する)1の構成を説明する。
図1に示すように、発電プラント1は、主に、ガスタービン2と、蒸気タービン10と、排熱回収ボイラ20と、冷却系統30とを備えている。
なお、空気圧縮機3で生成される圧縮空気の一部は、後述する冷却系統30によって冷却されてタービン冷却空気とされ、タービン4の高温部(例えば動静翼やロータ)の冷却に用いられる。
同図に示すように、冷却系統30は、高圧給水ポンプ40と高圧ドラム23との間において、クーラ側給水ライン42とECO側給水ライン32とを有している。ECO側給水ライン32は、後述するTCAクーラ31の上流側の分岐点Aにおいてクーラ側給水ライン42から分岐し、後述する回収弁37よりも下流側の合流点Bにおいてクーラ側給水ライン42と合流する。
なお、ECO側給水ライン32には、排熱回収ボイラ20の高圧節炭器29が設けられている。またECO側給水ライン32には、高圧ドラム23の水位を制御するためのドラム制御弁を設けてもよい。
なお、回収弁37の前後差圧は、回収弁37の入口側に配置された第1圧力センサ34の計測値と、回収弁37の出口側に配置された第2圧力センサ35の計測値との差分から求めてもよい。あるいは、回収弁37の前後に設置した差圧計(不図示)によって、回収弁37の前後差圧を取得してもよい。
また、TCAクーラ31を流れる高圧給水の流量は、TCAクーラ31の上流側に設けた流量計36の計測値から求めてもよい。
ここで、Cv値とは、バルブの容量係数であり、流体が、ある前後差圧においてバルブを流れるときの流量を表す値である。Cv値は、一般に、バルブの前後差圧と、バルブを流れる流体の流量との関数であることが知られている。そのため、この関数を用いれば、回収弁37の前後差圧および回収弁37を通過する高圧給水流量の指令値からCv値を算出できる。そして、Cv値に対応する弁開度はバルブ特性として既知であるから、Cv値の算出結果に応じた弁開度に回収弁37を開度調節することで、回収弁37を通過する給水流量を指令値に維持できる。なお、回収弁37を通過する高圧給水流量の指令値は、高圧ドラム23における蒸発量に応じて決定されてもよい。
これにより、発電プラント1の運転状態(起動時及び低負荷運転時または高負荷運転時)に応じて、回収弁37を介して排熱回収ボイラ20の高圧ドラム23に供給される給水の流量を適切に調節できる。
なお、TCAクーラ31における高圧給水の目標流量は、タービン4の高温部を冷却するのに必要なタービン冷却空気の量及び温度から決定されてもよい。
このように、回収弁37の開閉制御とダンプ弁39の開閉制御が協働することで、必要流量の高圧給水をTCAクーラ31に流すことができる。
この場合、ダンプ弁39の前後差圧の計測値およびダンプ弁39を通過する高圧給水の流量の指令値からCv値を算出し、該Cv値に応じた弁開度にダンプ弁39を開度調節してもよい。すなわち、ダンプ弁39の開度は、Cv値に基づく先行開度制御によって調節されてもよい。なお、ダンプ弁39を通過する高圧給水流量の指令値は、TCAクーラ31が必要とする高圧給水流量と、回収弁37を通過すべき高圧給水流量の目標値との差分から求めてもよい。
また、回収弁37の開度は、TCAクーラ31における高圧給水流量を指令値に維持するようなフィードバック制御により調節してもよい。例えば、流量計36の計測値と、TCAクーラ31における高圧給水の目標流量との偏差に応じて、回収弁37の開度をPI制御によって調節してもよい。
次に、第2実施形態に係る発電プラントについて説明する。本実施形態の発電プラントは、冷却系統の構成と弁開度制御装置の制御内容を除けば、第1実施形態のコンバインドサイクル発電プラント1と同様である。そのため、ここでは、第1実施形態と共通する箇所には同一の符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
同図に示すように、本実施形態における冷却系統70では、ECO側給水ライン32の高圧節炭器29の上流側に制御弁62を設けている。この制御弁62は、弁開度制御装置60によって、制御弁62の前後差圧を設定値に維持するように開度制御されている。具体的には、差圧計61によって取得した制御弁62の前後差圧が設定値になるように、制御弁62の開度制御を行う。
このように、本実施形態において、ECO側給水ライン32に制御弁62を設け、該制御弁62の前後差圧を設定値に維持するようにこの制御弁62の開度制御を行うのは、次の理由による。
そこで、本実施形態のように、ECO側給水ライン32の高圧節炭器29よりも上流側に制御弁62を設け、該制御弁62の前後差圧を設定値に維持するようにこの制御弁62の開度制御を行うことで、発電プラントの運転状態によらず、ECO側給水ライン32の系統差圧を確保できる。よって、回収弁37及びダンプ弁39を全開にしても回収ライン33における高圧給水流量を確保できないような事態を防止できる。
すなわち、弁開度制御装置60は、回収弁37についてその前後差圧に基づく開度制御を行い、ダンプ弁39についてTCAクーラ31における高圧給水流量に基づく開度制御を行ってもよい。あるいは、弁開度制御装置60は、ダンプ弁39についてその前後差圧に基づく開度制御を行い、回収弁37についてTCAクーラ31における高圧給水流量に基づく開度制御を行ってもよい。
また、上述の実施形態では、高圧給水ポンプ40から吐出される高圧給水をクーラ(TCAクーラ31)に供給する例について説明したが、排熱回収ボイラ20に供給される任意の給水(中圧水や低圧水)をクーラに導いて、ガスタービン2の高温部を冷却するための冷媒を生成するために用いてもよい。
2 ガスタービン
3 空気圧縮機
4 タービン
5 燃焼器
8 発電機
10 蒸気タービン
11 高圧タービン
12 中圧タービン
13 低圧タービン
20 排熱回収ボイラ
21 低圧ドラム
22 中圧ドラム
23 高圧ドラム
24 低圧蒸発器
25 中圧蒸発器
26 高圧蒸発器
27 低圧節炭器
28 中圧節炭器
29 高圧節炭器
30 冷却系統
31 TCAクーラ(クーラ)
32 ECO側給水ライン
33 回収ライン
34 第1圧力センサ
35 第2圧力センサ
36 流量計
37 回収弁
38 ダンプライン
39 ダンプ弁
40 高圧給水ポンプ
42 クーラ側給水ライン
50 弁開度制御装置(弁開度制御手段)
60 弁開度制御装置(弁開度制御手段)
61 差圧計
62 制御弁
65 ドラムレベル制御弁
Claims (4)
- ガスタービンと、
前記ガスタービンの排熱を利用して給水を加熱し、蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された前記蒸気によって駆動される蒸気タービンと、
前記ガスタービンの高温部の冷却に用いられる冷媒を、前記給水との熱交換によって冷却するクーラと、
前記クーラを通過した後の前記給水の一部を前記排熱回収ボイラに戻す回収ラインと、
前記回収ラインに設けられた回収弁と、
前記クーラを通過した後の前記給水の残部を復水系にダンプするダンプラインと、
前記ダンプラインに設けられたダンプ弁と、
前記回収弁および前記ダンプ弁の開度制御を行う弁開度制御手段とを備え、
前記弁開度制御手段は、
前記回収弁および前記ダンプ弁のいずれか一方について、該一方の弁の前後差圧に基づく開度制御を行い、
前記回収弁および前記ダンプ弁の他方について、前記クーラを通過する前記給水の流量に基づく開度制御を行うことを特徴とするコンバインドサイクル発電プラント。 - 前記弁開度制御手段は、前記回収弁の前記前後差圧に基づいて前記回収弁の開度制御を行うとともに、前記クーラを通過する前記給水の前記流量に基づいて前記ダンプ弁の開度制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のコンバインドサイクル発電プラント。
- 前記弁開度制御手段は、前記回収弁の前記前後差圧および前記回収弁を通過する前記給水の流量の指令値からCv値を算出し、該Cv値に応じた弁開度に前記回収弁を開度調節することを特徴とする請求項2に記載のコンバインドサイクル発電プラント。
- 前記クーラが配置される流路および前記回収ラインで構成されるクーラ側給水ラインと、
前記クーラよりも上流側において前記クーラ側給水ラインから分岐して、前記回収弁よりも下流側において前記クーラ側給水ラインに合流するECO側給水ラインと、
前記ECO側給水ラインに設けられた節炭器と、
前記節炭器の上流側において前記ECO側給水ラインに設けられた制御弁とをさらに備え、
前記制御弁は、該制御弁の前後差圧を設定値に維持するように開度制御されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンバインドサイクル発電プラント。
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