本発明の封止用シートは、封止樹脂と、シリコーン微粒子とを含有する封止樹脂組成物から形成されている。
具体的には、本発明の封止用シートは、封止樹脂組成物から略シート状に形成される封止樹脂層を備えている。
封止樹脂は、光半導体素子の封止に用いられる公知の透明性樹脂を含み、透明性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
このような封止樹脂は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
封止樹脂の波長400nmから700nmまでの可視光の光透過率は、例えば、80%以上、好ましくは、90%以上、さらに好ましくは、95%以上であり、例えば、100%以下でもある。
封止樹脂は、厚み500μmのシート状に形成したときの波長400nmから700nmまでの可視光の光透過率が上記下限に満たないと、封止用シートによる輝度ロスを十分に抑制できない場合がある。
封止樹脂の光透過率は、分光光度計により測定される。
封止樹脂は、厚み500μmのシート状に形成したときのヘイズ値は、例えば、20以下、好ましくは、10以下であり、また、例えば、0を超過する。
封止樹脂のヘイズ値が上記上限を超えると、封止用シートによる輝度ロスを十分に抑制できない場合がある。
封止樹脂のヘイズ値は、ヘイズメータにより測定される。
封止樹脂の屈折率(封止樹脂が熱硬化性樹脂の場合には、硬化後の封止樹脂の屈折率)は、例えば、1.39〜1.43、好ましくは、1.40〜1.42である。
また、このような封止樹脂のなかでは、好ましくは、熱硬化性樹脂が挙げられ、耐久性、耐熱性および耐光性の観点から、さらに好ましくは、シリコーン樹脂が挙げられる。
シリコーン樹脂は、例えば、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、ヘテロ原子含有変性シリコーン樹脂組成物、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、無機酸化物含有シリコーン樹脂組成物、熱可塑・熱硬化性シリコーン樹脂組成物などのシリコーン樹脂組成物からなる。
このようなシリコーン樹脂組成物のなかでは、封止樹脂層の硬化前の柔軟性、および硬化後の強度の観点から、好ましくは、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、縮合反応および付加反応(具体的には、ヒドロシリル化反応)をすることができるシリコーン樹脂組成物であって、より具体的には、加熱によって、縮合反応して、半硬化状態となることができ、次いで、さらなる加熱によって、付加反応して、硬化(完全硬化)状態となることができるシリコーン樹脂組成物である。
縮合反応としては、例えば、シラノール縮合反応が挙げられ、付加反応としては、例えば、エポキシ開環反応およびヒドロシリル化反応が挙げられる。
縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、例えば、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基含有ケイ素化合物(以下、エチレン系ケイ素化合物とする。)、エポキシ基含有ケイ素化合物およびオルガノハイドロジェンシロキサンを含有している。
なお、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物は、縮合原料(縮合反応に供される原料)であり、エチレン系ケイ素化合物およびオルガノハイドロジェンシロキサンは、付加原料(付加反応に供される原料)である。
シラノール基両末端ポリシロキサンは、分子の両末端にシラノール基(SiOH基)を含有するオルガノシロキサンであって、具体的には、下記一般式(1)で示される。
一般式(1):
(一般式(1)中、R1は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。また、zは、1以上の整数を示す。)
上記一般式(1)中、R1で示される1価の炭化水素基において、飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など)、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)などが挙げられる。
また、上記一般式(1)中、R1で示される1価の炭化水素基において、芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基(フェニル基、ナフチル基)などが挙げられる。
上記一般式(1)において、R1は、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
1価の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、透明性、熱安定性および耐光性の観点から、さらに好ましくは、メチル基が挙げられる。
上記一般式(1)おいて、zは、好ましくは、安定性および/または取り扱い性の観点から、1〜10,000の整数、さらに好ましくは、1〜1,000の整数である。
なお、上記一般式(1)におけるzは、平均値として算出される。
シラノール基両末端ポリシロキサンとしては、具体的には、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン、シラノール基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、シラノール基両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
このようなシラノール基両末端ポリシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
また、このようなシラノール基両末端ポリシロキサンのなかでは、好ましくは、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
シラノール基両末端ポリシロキサンは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
シラノール基両末端ポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および/または取り扱い性の観点から、例えば、100〜1,000,000、好ましくは、200〜100,000である。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレンで換算されて算出される。後述するシラノール基両末端ポリシロキサン以外の原料の数平均分子量についても、上記と同様にして算出される。
このようなシラノール基両末端ポリシロキサンにおける、シラノール基当量は、例えば、0.002〜25mmol/g、好ましくは、0.02〜25mmol/gである。
シラノール基両末端ポリシロキサンの配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、1〜99.99質量部、好ましくは、50〜99.9質量部、さらに好ましくは、80〜99.5質量部である。
エチレン系ケイ素化合物は、エチレン系不飽和炭化水素基、および、シラノール縮合反応における脱離基を併有するシラン化合物であって、具体的には、下記一般式(2)で示される。
一般式(2):
R2−Si(X1)3 (2)
(一般式(2)中、R2は、1価のエチレン系不飽和炭化水素基を示し、X1は、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、またはアセトキシ基を示す。但し、X1は、同一または互いに相異なっていてもよい。)
上記一般式(2)において、R2で示されるエチレン系不飽和炭化水素基としては、置換または非置換のエチレン系不飽和炭化水素基が挙げられ、例えば、アルケニル基、シクロアルケニル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基などの炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
シクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基などの炭素数3〜10のシクロアルケニル基が挙げられる。
エチレン系不飽和炭化水素基としては、ヒドロシリル基との反応性の観点から、好ましくは、アルケニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜5のアルケニル基、とりわけ好ましくは、ビニル基が挙げられる。
上記一般式(2)におけるX1は、シラノール縮合反応における脱離基であり、上記一般式(2)におけるSiX1基は、シラノール縮合反応における反応性官能基である。
上記一般式(2)において、X1で示されるハロゲン原子としては、例えば、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素などが挙げられる。
上記一般式(2)において、X1で示されるアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基を有するアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基など)、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基を有するアルコキシ基(シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基など)などが挙げられる。
上記一般式(2)において、X1は、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
このような上記一般式(2)のX1のなかでは、好ましくは、アルコキシ基が挙げられ、さらに好ましくは、メトキシ基が挙げられる。
このようなエチレン系ケイ素化合物としては、例えば、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリハロゲン化シラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリフェノキシシラン、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアセトキシシランなどが挙げられる。
このようなエチレン系ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
このようなエチレン系ケイ素化合物のなかでは、好ましくは、エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランが挙げられる。
エチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランとしては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシランなどのビニルトリアルコキシシラン、例えば、アリルトリメトキシシラン、プロペニルトリメトキシシラン、ブテニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、このようなエチレン系不飽和炭化水素基含有トリアルコキシシランのなかでは、好ましくは、ビニルトリアルコキシシラン、さらに好ましくは、ビニルトリメトキシシランが挙げられる。
エチレン系ケイ素化合物の配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、0.01〜90質量部、好ましくは、0.01〜50質量部、さらに好ましくは、0.01〜10質量部である。
エチレン系ケイ素化合物は、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
エポキシ基含有ケイ素化合物は、エポキシ基および、シラノール縮合反応における脱離基を併有するシラン化合物あって、具体的には、下記一般式(3)で示される。
一般式(3):
R3−Si(X2)3 (3)
(一般式(3)中、R3は、エポキシ構造含有基を示し、X2は、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、またはアセトキシ基を示す。但し、X2は、同一または互いに相異なっていてもよい。)
一般式(3)において、R3で示されるエポキシ構造含有基としては、例えば、エポキシ基、例えば、グリシジルエーテル基、例えば、エポキシシクロヘキシル基などのエポキシシクロアルキル基などが挙げられる。
このようなエポキシ構造含有基のなかでは、好ましくは、グリシジルエーテル基が挙げられる。グリシジルエーテル基は、具体的には、下記一般式(4)で示されるグリシドキシアルキル基である。
一般式(4):
(一般式(4)中、R4は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される2価の炭化水素基を示す。)
上記一般式(4)中、R4で示される2価の炭化水素基において、飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキレン基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、例えば、炭素数3〜8のシクロアルキレン基(シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基など)などが挙げられる。
また、上記一般式(4)中、R4で示される2価の炭化水素基において、芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜10のアリーレン基(フェニレン基、ナフチレン基など)などが挙げられる。
このような2価の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキレン基、さらに好ましくは、プロピレン基が挙げられる。
グリシジルエーテル基としては、具体的には、グリシドキシメチル基、グリシドキシエチル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシシクロヘキシル基、グリシドキシフェニル基などが挙げられる。
このようなグリシジルエーテル基のなかでは、好ましくは、グリシドキシプロピル基が挙げられる。
上記一般式(3)におけるX2は、シラノール縮合反応における脱離基であり、上記一般式(3)におけるSiX2基は、シラノール縮合反応における反応性官能基である。
上記一般式(3)において、X2で示されるハロゲン原子としては、上記一般式(2)のX1で示されるハロゲン原子と同様のものが挙げられる。
上記一般式(3)において、X2で示されるアルコキシ基としては、上記一般式(2)のX1で示されるアルコキシ基と同様のものが挙げられる。
上記一般式(3)において、X2は、同一または互いに異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
このような上記一般式(3)のX2としては、好ましくは、アルコキシ基が挙げられ、さらに好ましくは、メトキシ基が挙げられる。
このようなエポキシ基含有ケイ素化合物としては、例えば、エポキシ基含有トリアルコキシシラン、エポキシ基含有トリハロゲン化シラン、エポキシ基含有トリフェノキシシラン、エポキシ基含有トリアセトキシシランなどが挙げられる。
このようなエポキシ基含有ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
また、このようなエチレン系ケイ素化合物のなかでは、好ましくは、エポキシ基含有トリアルコキシシランが挙げられる。
エポキシ基含有トリアルコキシシランとしては、具体的には、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランなどのグリシドキシアルキルトリメトキシシラン、例えば、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリプロポキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリイソプロポキシシランなどが挙げられる。
また、このようなエポキシ基含有トリアルコキシシランのなかでは、好ましくは、グリシドキシメチルトリアルコキシシラン、さらに好ましくは、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランが挙げられる。
エポキシ基含有ケイ素化合物の配合割合は、縮合原料100質量部に対して、例えば、0.01〜90質量部、好ましくは、0.01〜50質量部、さらに好ましくは、0.01〜1質量部である。
エポキシ基含有ケイ素化合物は、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物の反応性官能基(SiX1基およびSiX2基)に対する、シラノール基両末端ポリシロキサンのシラノール基(SiOH基)のモル比(SiOH/(SiX1+SiX2))は、例えば、20/1〜0.2/1、好ましくは、10/1〜0.5/1、さらに好ましくは、実質的に1/1である。
モル比が上記上限を超える場合には、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、適度な靭性を有する半硬化状物(半硬化物)を得られない場合があり、一方、モル比が上記下限に満たない場合には、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物の配合割合が過度に多く、そのため、得られる封止樹脂層の耐熱性が低下する場合がある。
また、モル比が上記範囲内(好ましくは、実質的に1/1)であれば、シラノール基両末端ポリシロキサンのシラノール基(SiOH基)と、エチレン系ケイ素化合物の反応性官能基(SiX1基)およびエポキシ基含有ケイ素化合物の反応性官能基(SiX2基)とを過不足なく縮合反応させることができる。
エポキシ基含有ケイ素化合物に対する、エチレン系ケイ素化合物のモル比は、例えば、10/90〜99/1、好ましくは、50/50〜97/3、さらに好ましくは、80/20〜95/5である。
モル比が上記範囲内であれば、硬化物の強度を確保しつつ、接着性を向上できる利点がある。
オルガノハイドロジェンシロキサンは、エチレン系不飽和炭化水素基を含まず、少なくとも2つのヒドロシリル基を1分子中に有するオルガノシロキサンである。
オルガノハイドロジェンシロキサンは、具体的には、水素側鎖含有オルガノポリシロキサン、水素両末端オルガノポリシロキサンなどが挙げられる。
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンは、主鎖から分岐する側鎖として水素原子を有するオルガノハイドロジェンシロキサンであって、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン、エチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン−co−メチルフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。
水素側鎖含有オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、例えば、100〜1,000,000である。
また、水素両末端オルガノポリシロキサンは、主鎖の両末端に水素原子を有するオルガノハイドロジェンシロキサンであって、例えば、ヒドロシリル基両末端ポリジメチルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
水素両末端オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および/または取り扱い性の観点から、例えば100〜1,000,000、さらに好ましくは、100〜100,000である。
このようなオルガノハイドロジェンシロキサンは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
また、このようなオルガノハイドロジェンシロキサンのなかでは、好ましくは、水素側鎖含有オルガノポリシロキサンが挙げられ、さらに好ましくは、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
オルガノハイドロジェンシロキサンの25℃における粘度は、例えば、10〜100,000mPa・S、好ましくは、20〜50,000mPa・Sである。なお、粘度は、E型粘度計により測定される。
オルガノハイドロジェンシロキサンにおける、ヒドロシリル基当量は、例えば、0.1〜30mmol/g、好ましくは、1〜20mmol/gである。
オルガノハイドロジェンシロキサンは、市販品を用いることができ、また、公知の方法に従って合成したものを用いることもできる。
オルガノハイドロジェンシロキサンの配合割合は、エチレン系ケイ素化合物のエチレン系不飽和炭化水素基(上記一般式(2)のR2)とオルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)とのモル比にもよるが、例えば、エチレン系ケイ素化合物100質量部に対して、例えば、10〜10,000質量部、好ましくは、100〜1,000質量部である。
また、オルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)に対する、エチレン系ケイ素化合物のエチレン系不飽和炭化水素基(上記一般式(2)のR2)のモル比(R2/SiH)は、例えば、20/1〜0.05/1、好ましくは、20/1〜0.1/1、さらに好ましくは、10/1〜0.1/1、とりわけ好ましくは、10/1〜0.2/1、もっとも好ましくは、5/1〜0.2/1である。また、例えば、1/1未満、0.05/1以上に設定することもできる。
モル比が20/1を超える場合には、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、適度な靭性を有する半硬化物を得られない場合があり、モル比が0.05/1に満たない場合には、オルガノハイドロジェンシロキサンの配合割合が過度に多く、そのため、得られる封止樹脂層の耐熱性および靭性が不十分となる場合がある。
また、モル比が1/1未満、0.05/1以上であれば、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を半硬化状態とする際に、モル比が20/1〜1/1である縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物に比べて、半硬化状態へ迅速に移行させることができる。
縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、上記したシラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物、エポキシ基含有ケイ素化合物およびオルガノハイドロジェンシロキサン)を、触媒とともに、配合して、攪拌混合することにより調製される。
触媒としては、例えば、縮合触媒および付加触媒(ヒドロシリル化触媒)などが挙げられる。
縮合触媒は、シラノール基と反応性官能基(上記一般式(2)のSiX1基および上記一般式(3)のSiX2基)との縮合反応の反応速度を向上させる物質であれば特に限定されず、例えば、塩酸、酢酸、ギ酸、硫酸などの酸、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基、例えば、アルミニウム、チタン、亜鉛、スズなどの金属などが挙げられる。
このような縮合触媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
また、このような縮合触媒のなかでは、相溶性および熱分解性の観点から、好ましくは、塩基、さらに好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウムが挙げられる。
このような縮合触媒の配合割合は、シラノール基両末端ポリシロキサン100モルに対して、例えば、0.1〜50モル、好ましくは、0.5〜5モルである。
付加触媒は、付加反応、つまり、エチレン系不飽和炭化水素基とSiHとのヒドロシリル化反応の反応速度を向上させる物質であれば、特に限定されず、例えば、白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金一カルボニル錯体、白金−アセチルアセテートなどの白金触媒、例えば、パラジウム触媒、ロジウム触媒などの金属触媒が挙げられる。
このような付加触媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
また、このような付加触媒のなかでは、相溶性、透明性および触媒活性の観点から、好ましくは、白金触媒、さらに好ましくは、白金−カルボニル錯体が挙げられる。
付加触媒の配合割合は、付加触媒の金属量の質量部数として、オルガノハイドロジェンシロキサン100質量部に対して、例えば、1.0×10−4〜1.0質量部、好ましくは、1.0×10−4〜0.5質量部、さらに好ましく、1.0×10−4〜0.05質量部である。
なお、上記した触媒は、固体状態のものをそのまま用いてもよく、あるいは、取扱性の観点から、溶媒に溶解または分散させた溶液または分散液として用いることもできる。
溶媒としては、例えば、水、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコールなどが挙げられ、好ましくは、アルコールが挙げられる。
縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を調製するには、例えば、上記した原料(縮合原料および付加原料)と、触媒とを一度に加えてもよく、あるいは、各原料および各触媒を異なるタイミングでそれぞれ加えることもできる。さらには、一部の成分を一度に加え、残部の各成分を、異なるタイミングでそれぞれ加えることもできる。
このような縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物の調製方法のなかでは、好ましくは、まず、縮合原料および縮合触媒を一度に加え、次いで、付加原料を加え、その後、付加触媒を加える方法が挙げられる。
具体的には、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系ケイ素化合物およびエポキシ基含有ケイ素化合物(つまり、縮合原料)と、縮合触媒とを、上記した割合で一度に配合して、それらを、例えば、5分間〜24時間攪拌する。
また、配合および攪拌時には、縮合原料の相溶性および取扱性を向上させるために、例えば、0〜60℃に温度調整することもできる。
また、原料および縮合触媒の配合時に、それらの相溶性を向上させるための相溶化剤を適宜の割合で加えることもできる。
相溶化剤としては、例えば、メタノールなどのアルコールなどの有機溶媒が挙げられる。なお、相溶化剤は、縮合触媒が有機溶媒の溶液または分散液として調製されている場合には、その有機溶媒を相溶化剤として供することもできる。
その後、系を、必要により減圧することにより、揮発成分(有機溶媒)を除去する。
次いで、得られる縮合原料および縮合触媒の混合物に、オルガノハイドロジェンシロキサンを配合して、例えば、1〜120分間攪拌する。
配合および攪拌時には、混合物およびオルガノハイドロジェンシロキサンの相溶性および取扱性を向上させるために、例えば、0〜60℃に温度調整することもできる。
その後、系に、付加触媒を配合して、例えば、1〜60分間で攪拌する。
これにより、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を調製することができる。
調製された縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、例えば、液状(オイル状)であって、後述するように離型シート上に塗布した後、加熱することにより、縮合原料が縮合反応し、後述するように発光ダイオードを封止後、さらに加熱することにより、付加原料が付加反応して、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂を形成する。
熱可塑・熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、熱可塑性および熱硬化性を併有するシリコーン樹脂組成物である。
熱可塑・熱硬化性シリコーン樹脂組成物としては、例えば、第1のシリコーン樹脂組成物、第2のシリコーン樹脂組成物、第3のシリコーン樹脂組成物、第4のシリコーン樹脂組成物、第5のシリコーン樹脂組成物および第6のシリコーン樹脂組成物が挙げられる。
第1のシリコーン樹脂組成物は、例えば、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物、ジイソシアネートおよびラジカル発生剤を含有する。
両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物は、好ましくは、透明性や高耐熱性の観点から、下記式(5)で示される化合物である。
(式中、A〜Dは、構成単位であり、AおよびDが、末端単位、BおよびCが、繰り返し単位を示し、R11は、1価の炭化水素基、R12は、アルケニル基、R13は、アルキレン基、aは、0または1以上の整数、bは、0または1以上の整数を示す。a+bは少なくとも1以上の整数となる関係を満たす。全てのR11は、同一または相異なっていてもよく、b個のR12は、同一または相異なっていてもよい。)
式(5)で示される化合物は、構成単位A、B、CおよびDによって構成され、アミノ基(−NH2)が末端単位に含まれている化合物である。
式(5)におけるR11で示される炭化水素基は、例えば、飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基である。炭化水素基の炭素数は、入手性の観点から、例えば、1〜20、好ましくは、1〜10である。
飽和炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、シクロペンチルなどのアルキル基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル、ベンジル、トリルなどのアリール基などが挙げられる。
R11で示される炭化水素基のうち、得られる第1のシリコーン樹脂組成物の透明性および耐光性の観点から、好ましくは、メチル、フェニルが挙げられ、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。なお、式(5)において、全てのR11は、好ましくは、構成単位に関係なく、それぞれ独立して、上記した炭化水素基を示す。
式(5)におけるR12としては、置換または非置換のアルケニル基が挙げられる。具体的には、アルケニル基を骨格に含む有機基であればよく、ビニル、アリル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどが挙げられる。なかでも、得られる第1のシリコーン樹脂組成物の透明性および耐熱性の観点から、好ましは、ビニルが挙げられる。
式(5)におけるR13としては、例えば、置換または非置換のアルキレン基が挙げられる。R13は、アルキレン基を骨格に含む有機基であればよく、そのような有機基の炭素数は、得られる第1のシリコーン樹脂組成物の透明性および耐熱性の観点から、例えば、1〜10である。具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、へプチレンなどが挙げられる。なかでも、得られる第1のシリコーン樹脂組成物の透明性および耐熱性の観点から、好ましくは、プロピレンが挙げられる。なお、式(5)において、全てのR13、すなわち、2個のR13は同一でも異なっていてもよい。
構成単位Aは、末端単位であり、具体的には、分子一端に含まれる。つまり、構成単位Aは、式(5)中に1個含まれる。
構成単位Dは、末端単位であり、具体的には、構成単位Aと逆側の分子他端に含まれる。つまり、構成単位Dは、式(5)中に1個含まれる。
構成単位Bの繰り返し単位数、すなわち、式(5)中のaは、0または1以上の整数を示すが、得られる第1のシリコーン樹脂組成物の透明性の観点から、例えば、1〜10,000、好ましくは、10〜10,000の整数である。
構成単位Cの繰り返し単位数、すなわち、式(5)中のbは、得られる第1のシリコーン樹脂組成物の透明性の観点から、例えば、0〜10,000、好ましくは、0〜1,000の整数である。
aとbの和は、好ましくは、1〜10,000、さらに好ましくは、10〜10,000である。なお、aとbの和が少なくとも1以上の整数であることから、aまたはbのいずれか一方が0であってもよい。
式(5)で示される両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物は、市販品を用いることでき、また、公知の方法に従って合成することもできる。
式(5)で示される両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物は、安定性や取り扱い性の観点から、重量平均分子量が、例えば、100〜1,000,000、好ましくは、1000〜100,000である。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC:標準ポリスチレン換算値)にて測定され、以下同様である。
両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物の含有量は、第1のシリコーン樹脂組成物中,例えば、1〜99.9質量%、好ましくは、80〜99.9質量%である。
ジイソシアネートは、各成分との相溶性の観点から、例えば、下記式(6)で示される。
(式中、Yは2価の炭化水素基を示す)
式(6)におけるYとしては、例えば、飽和または不飽和の、直鎖、分岐鎖または環状の炭化水素基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、入手性および得られる第1のシリコーン樹脂組成物の耐熱性の観点から、例えば、1〜50、好ましくは、1〜30である。
ジイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、およびこれらの変性体などが挙げられる。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネート、1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオン−ビス(4,4’−メチレンジシクロヘキシル)ジイソシアネート、1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオン−ビス(4,4’−メチレンジフェニル)ジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレン2,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメチレンジイソシアネートなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、透明性、耐熱性および入手性の観点から、好ましくは、トリレン2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
ジイソシアネートとしては、市販品を用いることでき、また、公知の方法に従って合成することもできる。
ジイソシアネートの含有量は、第1のシリコーン樹脂組成物中、例えば、1.0×10−5〜20質量%、好ましくは、1.0×10−5〜10質量%である。
また、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物とジイソシアネートとの質量比は、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物のアミノ基とジイソシアネートのイソシアネート基とを過不足なく反応させる観点から、それら官能基のモル比(アミノ基/イソシアネート基)が、例えば、0.1/1〜1/0.1、好ましくは、実質的に等量(1/1)である。
ラジカル発生剤は、ラジカルを発生して、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物同士の架橋反応を促進する化合物であり、光ラジカル発生剤や有機過酸化物などが挙げられるが、第1のシリコーン樹脂組成物は温度によって熱可塑性/熱硬化性を示すことから、好ましくは、加熱によってラジカルを発生する有機過酸化物が挙げられる。
具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ジ(4,4−ジ−(ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、p−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ−n−オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイオド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゼンなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、透明性、耐熱性および入手性の観点から、好ましくは、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゼンが挙げられる。
これらのラジカル発生剤は、ラジカルを発生する温度は一概には決定されないが、例えば、100℃以上である。
ラジカル発生剤は、市販品を用いることでき、また、公知の方法に従って合成することもできる。
ラジカル発生剤の含有量は、第1のシリコーン樹脂組成物中、例えば、1.0×10−6〜20質量%、好ましくは、1.0×10−6〜10質量%である。
また、ラジカル発生剤の含有量は、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物のR11基量を100mol%とした場合、得られる第1のシリコーン樹脂組成物の柔軟性を維持する観点から、例えば、0.001〜50mol%、好ましくは、0.01〜10mol%である。
第1のシリコーン樹脂組成物は、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物、ジイソシアネートおよびラジカル発生剤を含有すれば、特に限定なく調製する。
第1のシリコーン樹脂組成物は、イソシアネート基の反応とラジカル発生剤による架橋反応の各反応機構に応じて反応温度および時間を適当に選択し、反応を進行、完結させる観点から、好ましくは、イソシアネート基の反応に関する成分、すなわち、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物およびジイソシアネートを予め混合し、その後、ラジカル発生剤を配合する。
イソシアネート基の反応に関する成分の配合は、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物およびジイソシアネート、および、必要に応じて、有機溶媒などの添加剤を、例えば、0〜100℃、好ましくは、10〜60℃で、例えば、0.1〜40時間攪拌することにより実施する。
有機溶媒としては、特に限定はないが、各成分の相溶性を高める観点から、好ましくは、メチルエチルケトンなどのケトンが挙げられる。
なお、上記混合によって、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物のアミノ基とジイソシアネートのイソシアネート基との反応の一部が開始されてもよく、反応の進行度は、1H−NMR測定によって、アミノ基に由来するピークの消失程度によって確認することができる。
次に、架橋反応に関する成分として、ラジカル発生剤を、上記のイソシアネート基の反応に関する成分の混合物に混合する。第1のシリコーン樹脂組成物は、イソシアネート基の反応とラジカル発生剤による架橋反応との2種類の反応を行って硬化物を得る際に、架橋反応が生じることによって硬化物(成形物)を得ることができるので、ラジカル発生剤は、上記のイソシアネート基の反応に関する成分の混合物に、均一に混合されるのであれば、混合方法に特に限定はない。
具体的には、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物およびジイソシアネートとの混合物に、ラジカル発生剤を配合して攪拌混合する。混合時間は、反応温度や反応に供する成分の種類、量に応じて一概には決定できないが、例えば、0.1〜40時間である。なお、得られた混合物(反応物)は、公知の方法に従って溶媒などを除去することができる。
このようにして得られた第1のシリコーン樹脂組成物は、常温で固体であり、40℃以上で熱可塑性挙動を示し、さらに、50℃以上で熱硬化性を示す。
具体的には、第1のシリコーン樹脂組成物の熱可塑温度は、好ましくは、40〜200℃、さらに好ましくは、80〜150℃である。なお、熱可塑温度は、第1のシリコーン樹脂組成物が熱可塑性を示す温度であり、具体的には、固体状の第3のシリコーン樹脂組成物が加熱によって軟化して完全に液体状になる温度であって、軟化温度と実質的に同一である。
また、第1のシリコーン樹脂組成物の熱硬化温度は、好ましくは、100〜200℃、さらに好ましくは、130〜200℃である。熱硬化温度は、第1のシリコーン樹脂組成物が熱硬化性を示す温度であり、具体的には、液体状の第1のシリコーン樹脂組成物が加熱によって硬化して、完全に固体状となる温度である。
第2のシリコーン樹脂組成物は、例えば、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物、オルガノハイドロジェンシロキサン、ジイソシアネート、および、ヒドロシリル化触媒を含有する。
第2のシリコーン樹脂組成物における両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物としては、第1のシリコーン樹脂組成物で例示した両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物と同様の両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物の含有量は、第2のシリコーン樹脂組成物中、例えば、1〜99.5質量%、好ましくは、80〜99.5質量%である。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ヒドロシリル基(−SiH)を含有するポリシロキサンである。より具体的には、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状であって、主鎖に結合する側鎖にヒドロシリル基を含有する側鎖型オルガノハイドロジェンポリシロキサン、および/または、分子の両末端にヒドロシリル基を含有する両末端型オルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
側鎖型オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば、下記式(7)で示される。
(式中、E〜Hは、構成単位を示し、EおよびHは、末端単位を示し、FおよびGは、繰り返し単位を示す。R14は、1価の炭化水素基を示す。また、eは、0以上の整数を示し、fは、1以上の整数を示す。)
E〜Hは、側鎖型オルガノハイドロジェンポリシロキサンを構成する。
式(7)においてR14で示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
R14で示される1価の炭化水素基としては、上記した(5)および(6)においてR11にて示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、メチル、フェニル、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
eは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜10000の整数、さらに好ましくは、1〜5000の整数を示す。
fは、好ましくは、2以上、また、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜10000の整数、さらに好ましくは、1〜1000の整数を示し、シリコーン樹脂組成物を室温で固体状で得つつ、柔軟性を付与する観点から、とりわけ好ましくは、eよりも大きい整数を示し、最も好ましくは、100〜1000の整数を示す。
側鎖型オルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、例えば、メチルハイドロジェンシロキサン、ジメチルシロキサン−co−メチルハイドロジェンシロキサン、エチルハイドロジェンシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン−co−メチルフェニルシロキサンなどが挙げられる。
側鎖型オルガノハイドロジェンポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および取扱性の観点から、例えば、200〜100000、好ましくは、200〜80000である。
側鎖型オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば、公知の方法に従って合成され、または、市販品(例えば、Gelest社、信越化学工業社製)を用いることもできる。
両末端型オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば、下記式(8)で示される。
(式中、R〜Uは、構成単位を示し、RおよびUは、末端単位を示し、SおよびTは、繰り返し単位を示す。R15は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素基を示す。また、gは、0以上の整数を示し、tは、0以上の整数を示す。g+tは、少なくとも1以上の整数となる関係を満たす。)
R〜Uは、両末端型オルガノハイドロジェンポリシロキサンを構成する。
式(8)においてR15で示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
R15で示される1価の炭化水素基としては、上記した(5)においてR11にて示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、1価の炭化水素基として、好ましくは、メチル基、フェニル基、さらに好ましくは、メチル基が挙げられる。
gは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、0以上の整数、さらに好ましくは、1〜10000の整数、とりわけ好ましくは、1〜5000の整数を示す。
tは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、0以上の整数、さらに好ましくは、1〜10000の整数、とりわけ好ましくは、1〜5000の整数を示す。
両末端型オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば、tが1以上(つまり、gが0以上)の場合は、主鎖から分岐する側鎖、および、主鎖の両末端に水素原子を含有する、水素側鎖・両末端併有オルガノポリシロキサンであり、具体的には、ヒドロシリル基両末端メチルハイドロジェンポリシロキサン、ヒドロシリル基両末端(ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン)、ヒドロシリル基両末端エチルハイドロジェンポリシロキサン、ヒドロシリル基両末端(メチルハイドロジェンポリシロキサン−co−メチルフェニルポリシロキサン)などが挙げられる。
また、両末端型オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば、tが0(つまり、gが1以上)の場合には、主鎖から分岐する側鎖に水素原子を含有せず、主鎖の両末端に水素原子を含有する、水素側鎖不含/水素両末端含有オルガノポリシロキサンであり、具体的には、ヒドロシリル基両末端ポリジメチルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリメチルフェニルシロキサン、ヒドロシリル基両末端ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
両末端型オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、好ましくは、式(9)で示される水素側鎖不含/水素両末端含有オルガノポリシロキサンが挙げられる。
(式中、R15は、飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択される1価の炭化水素を示す。また、gは、1以上の整数を示す。)
式(9)においてR15で示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
式(9)において、R15は、上記と同意義を示し、また、gは、上記と同意義を示す。
両末端型オルガノハイドロジェンポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および取扱性の観点から、例えば、100〜30000、好ましくは、100〜10000である。
両末端型オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば、公知の方法に従って合成され、または、市販品を用いることもできる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンにおいては、ヒドロシリル基含有量は、具体的には、例えば、0.01〜20mmol/g、好ましくは、0.05〜15mmol/gである。そのヒドロシリル基含有量は、1H−NMRでヒドロシリル基とメチル基の積分値から算出される。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば、公知の方法に従って合成され、または、市販品(例えば、Gelest社、信越化学工業社製)を用いることもできる。
オルガノハイドロジェンシロキサンの含有量は、第2のシリコーン樹脂組成物中、例えば、0.0001〜90質量%、好ましくは、0.001〜50質量%がである。
また、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物とオルガノハイドロジェンシロキサンとの質量比は、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物のアルケニル基とオルガノハイドロジェンシロキサンのSiH基(ヒドロシリル基)とを過不足なく反応させる観点から、官能基のモル比(アルケニル基/SiH基)が、例えば、1/1〜0.1/1、好ましくは、1/1〜0.2/1、さらに好ましくは、1/1〜0.5/1、とりわけ好ましくは、実質的に等量(1/1)である。
ジイソシアネートとしては、第1のシリコーン樹脂組成物で例示したジイソシアネートと同様のジイソシアネートが挙げられる。
ジイソシアネートの含有量は、第2のシリコーン樹脂組成物中、例えば、1.0×10−5〜20質量%、好ましく、1.0×10−5〜10質量%である。
また、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物とジイソシアネートとの質量比は、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物のアミノ基とジイソシアネートのイソシアネート基とを過不足なく反応させる観点から、官能基のモル比(アミノ基/イソシアネート基)が、例えば、1/1〜0.1/1、好ましくは、1/1〜0.2/1、さらに好ましくは、1/1〜0.5/1、とりわけ好ましくは、実質的に等量(1/1)である。
ヒドロシリル化触媒としては、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物のアルケニル基とオルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基とのヒドロシリル化反応を触媒する化合物であれば特に限定はなく、例えば、白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金オレフィン錯体、白金カルボニル錯体、白金アセチルアセテートなどの白金触媒、例えば、パラジウム触媒、例えば、ロジウム触媒などが挙げられる。
第2のシリコーン樹脂組成物におけるヒドロシリル化触媒の含有量は、例えば、白金触媒を用いる場合には、反応速度の観点から、白金含有量が、オルガノハイドロジェンシロキサン100質量部に対して、例えば、1.0×10−10〜0.5質量部、好ましくは、1.0×10−8〜1.0×10−3質量部である。
そして、第2のシリコーン樹脂組成物は、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物、オルガノハイドロジェンシロキサン、ジイソシアネート、およびヒドロシリル化触媒の各成分を含有するものであれば、特に限定なく調製する。
第2のシリコーン樹脂組成物は、イソシアネート基の反応とヒドロシリル化反応との各反応機構に応じて反応温度および時間を適当に選択し、反応を進行および完結させる観点から、イソシアネート基の反応に関する成分を予め混合してから、ヒドロシリル化反応に関する成分を混合してもよい。
イソシアネート基の反応に関する成分の混合は、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物およびジイソシアネート、必要に応じて、有機溶媒などの添加剤を、例えば、0〜100℃、好ましくは、10〜60℃で,例えば、0.1〜40時間攪拌することにより実施することができる。
有機溶媒としては、特に限定はないが、各成分の相溶性を高める観点から、好ましくは、メチルエチルケトンなどのケトンが挙げられる。
なお、上記混合によって、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物のアミノ基とジイソシアネートのイソシアネート基との反応の一部が開始されてもよく、反応の進行度は、1H−NMR測定によって、アミノ基に由来するピークの消失程度によって確認することができる。
その後、ヒドロシリル化反応に関する成分として、オルガノハイドロジェンシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を、上記のイソシアネート基の反応に関する成分の混合物に配合する。
第2のシリコーン樹脂組成物は、その後の加熱によって、上記したヒドロシリル化反応が生じることによって硬化物(成形物)を得ることができるので、ヒドロシリル化反応に関する成分は、上記のイソシアネート基の反応に関する成分の混合物に、均一に混合されるのであれば、混合方法に特に限定はない。
具体的には、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物およびジイソシアネートの混合物に、オルガノハイドロジェンシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を配合して攪拌混合する。混合時間は、反応温度や反応に供する成分の種類、量に応じて一概には決定できないが、例えば、0.1〜40時間である。混合方法としては、各成分が均一に混合されるのであれば特に限定はない。なお、得られた混合物は、公知の方法に従って溶媒などを除去することができる。
このようにして得られた第2のシリコーン樹脂組成物は、常温で固体であり、40℃以上で熱可塑性挙動を示し、さらに、50℃以上で熱硬化性を示す。
具体的には、第2のシリコーン樹脂組成物の熱可塑温度は、例えば、40〜200℃、好ましくは、40〜150℃である。
また、次の熱硬化温度において、第2のシリコーン樹脂組成物では、ヒドロシリル化反応が進行して、第2のシリコーン樹脂組成物が熱硬化する。
熱硬化温度は、例えば、100〜200℃、好ましくは、130〜200℃である。なお、ヒドロシリル化反応の進行度は、1H−NMR測定によって、両末端アミノ型シリコーン樹脂組成物のアルケニル基に由来するシグナルの強度によって確認することができ、シグナルが消失した段階で反応完結とみなされる。
第3のシリコーン樹脂組成物は、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基含有ポリシロキサンとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応することにより得られる。
かご型オクタシルセスキオキサンは、3官能シリコーンモノマーの8量体であって、具体的には、下記式(10)で示される基を8つ有し、
(式中、R16は、1価の炭化水素基を示し、R17は、水素または1価の炭化水素基を示す。但し、かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値として、R17の1価の炭化水素基:水素のモル比が、6.5:1.5〜5.5:2.5の範囲である。)
より具体的には、下記式(11)で示される。
(式中、R16およびR17は、上記と同意義を示す。また、R16の1価の炭化水素基:水素のモル比は、上記と同一である。)
上記式(10)および(11)において、R16にて示される1価の炭化水素基は、例えば、飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基である。
飽和炭化水素基としては、例えば、直鎖状飽和炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの炭素数1〜6のアルキル基)、分岐状飽和炭化水素基(例えば、イソプロピル、イソブチルなどの炭素数3〜6のアルキル基)、環状飽和炭化水素基(例えば、シクロヘキシルなどの炭素数3〜6のシクロアルキル基)などが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル、ベンジル、トリルなどの炭素数6〜8のアリール基などが挙げられる。
1価の炭化水素基の炭素数は、例えば、1〜8、好ましくは、1〜6である。
R16は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
1価の炭化水素基として、好ましくは、調製の容易性および熱安定性の観点から、飽和の直鎖状の炭化水素基、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、とりわけ好ましくは、メチルが挙げられる。
上記した(10)および(11)において、R17にて示される1価の炭化水素基としては、上記したR11にて示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。好ましくは、メチルが挙げられる。
式(11)におけるR17の1価の炭化水素基:水素のモル比は、かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値として、6.5:1.5〜5.5:2.5の範囲であり、好ましくは、6.0:2.0〜5.5:2.5の範囲である。
つまり、かご型オクタシルセスキオキサン1分子において、上記式(10)で示される基が、1.5〜2.5個(具体的には、2つ)、好ましくは、2〜2.5個(具体的には、2つ)のヒドロシリル基(−SiH)を形成する。
上記したR17の1価の炭化水素基:水素のモル比が、6.5/1.5(=6.5:1.5)を超える場合(例えば、7/1(=7:1))には、ヒドロシリル基のモル数が過度に少ないため、アルケニル基含有ポリシロキサンに対するかご型オクタシルセスキオキサンの反応度合が過度に低下して、得られる第3のシリコーン樹脂組成物の分子量が低くなり、固体状のシリコーン樹脂組成物が得られない場合がある。
一方、上記したR17の1価の炭化水素基:水素のモル比が、5.5/2.5(=5.5:2.5)に満たない場合(例えば、5/3(=5:3))には、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数が過度に多いため、アルケニル基含有ポリシロキサンに対するかご型オクタシルセスキオキサンの反応度合いが過度に増大するため、第3のシリコーン樹脂組成物が熱可塑性を示さない場合がある。
上記したかご型オクタシルセスキオキサンとしては、具体的には、例えば、上記式(10)および(11)において、R16がメチル、R17がメチルまたは水素であり、かご型オクタシルセスキオキサン全体の平均値として、R17のメチル:水素のモル比が、5.5:2.5、6:2、または、6.5:1.5であるかご型オクタシルセスキオキサンなどが挙げられる。
上記式(11)で示されるかご型オクタシルセスキオキサンは、例えば、公知の方法(例えば、特開2007−246880号公報などの記載に準拠)に従って合成される。
具体的には、テトラアルコキシシラン(テトラエトキシシランなど)を、メタノールなどのアルコールおよび/または水と、触媒との存在下で反応させて、オクタ(シルセスキオキサン)骨格(式(11)において式(10)の基を除く部分)を合成し、その後、ジアルキルクロロシラン(ジメチルクロロシランなど)およびトリアルキルクロロシラン(トリメチルクロロシランなど)を、上記したR17の1価の炭化水素基:水素のモル比に対応する配合割合で配合して、オクタ(シルセスキオキサン)骨格のケイ素原子に結合するアルコキシル基(エトキシなど)と、ジアルキルクロロシランおよびトリアルキルクロロシランとを反応させる。反応後、必要により、反応物を精製する。これにより、かご型オクタシルセスキオキサンを得ることができる。
なお、かご型オクタシルセスキオキサンは、市販品を用いることもできる。
アルケニル基含有ポリシロキサンは、分子の両末端にアルケニル基を含有するアルケニル基両末端含有ポリシロキサンであり、
具体的には、下記式(12)で示される。
(式中、R18は、1価の炭化水素基を示し、R19は、アルケニル基を示す。また、iは、1以上の整数を示す。)
式(12)においてR18で示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもく、好ましくは、同一である。
R18で示される1価の炭化水素基としては、上記した式(10)および(11)においてR16にて示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、メチル、フェニルが挙げられ、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
式(12)においてR19で示されるアルケニル基としては、例えば、置換または非置換のアルケニル基が挙げられ、好ましくは、非置換のアルケニル基が挙げられる。
そのようなアルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルなどの炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
アルケニル基の炭素数は、例えば、2〜10、好ましくは、2〜5である。
R19は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
アルケニル基として、好ましくは、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基との反応性の観点から、炭素数2〜5のアルケニル基、さらに好ましくは、ビニルが挙げられる。
iは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜5000の整数、さらに好ましくは、1〜1000の整数を示す。
上記式(12)で示されるアルケニル基含有ポリシロキサンの数平均分子量は、安全性および取扱性の観点から、例えば、100〜10000、好ましくは、300〜5000である。
上記式(12)で示されるアルケニル基含有ポリシロキサンは、例えば、公知の方法に従って合成され、または、市販品(例えば、Gelest社製)を用いることもできる。
ヒドロシリル化触媒としては、第2のシリコーン樹脂組成物において例示したヒドロシリル化触媒と同様のものが挙げられ、好ましくは、相溶性および透明性の観点から、白金触媒、さらに好ましくは、白金オレフィン錯体が挙げられ、具体的には、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、白金−ジビニルシロキサン錯体などが挙げられる。
なお、ヒドロシリル化触媒は、公知の溶媒(トルエンなど)溶液として調製されていてもよい。
ヒドロシリル化触媒(固形分)の配合割合は、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基含有ポリシロキサンの総量100質量部に対して、例えば、1.0×10−10〜3質量部、好ましくは、1.0×10−8〜1質量部である。
そして、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数が、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数より多く(過剰と)なるように、反応させる。
アルケニル基とヒドロシリル基とのモル比(アルケニル基のモル数/ヒドロシリル基のモル数)は、1未満、例えば、0.10〜0.99、好ましくは、0.20〜0.99、さらに好ましくは、0.50〜0.99である。
一方、上記したモル比が上記範囲を超える場合には、ヒドロシリル基がアルケニル基より少なくなり、その場合には、反応後に、過剰分のヒドロシリル基が残存せず、第3のシリコーン樹脂組成物に熱硬化性が付与されない場合がある。
そして、上記したかご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンとを反応させるには、それらを上記した配合割合で、ヒドロシリル化触媒および溶媒とともに配合し、その後、必要により、それらを加熱する。
溶媒としては、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素、例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、例えば、酢酸エチルなどのエステルなどが挙げられる。好ましくは、各成分の相溶性を向上させる観点から、芳香族炭化水素、さらに好ましくは、トルエンが挙げられる。
反応温度は、例えば、0〜100℃、好ましくは、20〜80℃であり、反応時間は、例えば、0.5〜96時間である。
これにより、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基と、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基とが、ヒドロシリル化反応する。
なお、ヒドロシリル化反応の度合は、1H−NMR測定によって、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基に由来するシグナルの強度によって確認することができ、そのシグナルが消失したときが、ヒドロシリル化反応が終了したとされる。
上記のヒドロシリル化反応では、ヒドロシリル基のモル数が、アルケニル基のモル数に比べて、過剰となるように、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンとが反応するので、その反応後には、ヒドロシリル基の過剰分が残存し、かかる過剰分のヒドロシリル基は、その後の加熱(例えば、100〜200℃の加熱)によって、空気中の水分と加水分解および縮合反応して、互いに結合(3次元架橋)し、これにより、第3のシリコーン樹脂組成物に熱硬化性が付与される。
これにより、第3のシリコーン樹脂組成物を得ることができる。
得られた第3のシリコーン樹脂組成物は、固体状である。かご型オクタシルセスキオキサンの立体障害に起因して、アルケニル基含有ポリシロキサンの運動性が低下するため、シリコーン樹脂組成物が固体状として得られる。
第3のシリコーン樹脂組成物の熱可塑温度は、例えば、40〜100℃、好ましくは、50〜90℃である。
一旦可塑化した第3のシリコーン樹脂組成物の熱硬化性は、その後の加熱によって、過剰分のヒドロシリル基が加水分解および縮合反応して、互いに結合(3次元架橋)することにより発現される。
また、第3のシリコーン樹脂組成物の熱硬化温度は、例えば、150〜300℃、好ましくは、180〜250℃である。
第4のシリコーン樹脂組成物は、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、水酸基含有ポリシロキサンとを含有する。
第4のシリコーン樹脂組成物におけるかご型オクタシルセスキオキサン、アルケニル基含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒は、それぞれ、第3のシリコーン樹脂組成物において例示したかご型オクタシルセスキオキサン、第3のシリコーン樹脂組成物において例示したアルケニル基含有ポリシロキサン、および、第2のシリコーン樹脂組成物において例示したヒドロシリル化触媒とそれぞれ同様のものが挙げられる。
水酸基含有ポリシロキサンは、例えば、水酸基を複数(例えば、2つ)含有するポリシロキサンであって、より具体的には、分子の両末端に水酸基を含有する両末端型ポリシロキサンである。詳しくは、水酸基含有ポリシロキサンは、下記式(13)で示される。
(式中、R20は、1価の炭化水素基を示す。また、jは、1以上の整数を示す。)
式(13)においてR20で示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
R20で示される1価の炭化水素基としては、上記した(9)および(10)においてR16にて示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、メチル、フェニル、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
jは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜10000の整数、さらに好ましくは、1〜5000の整数を示す。
上記式(13)で示される水酸基含有ポリシロキサンの数平均分子量は、安全性および取扱性の観点から、例えば、100〜100000、好ましくは、500〜50000である。
上記式(13)で示される水酸基含有ポリシロキサンは、例えば、公知の方法に従って合成され、または、市販品(例えば、Gelest社製)を用いることもできる。
そして、第4のシリコーン樹脂組成物は、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、水酸基含有ポリシロキサンとを配合することによって、調製される。
かご型オクタシルセスキオキサンの配合割合は、第4のシリコーン樹脂組成物に対して、例えば、1〜50質量%、好ましくは、5〜40質量%である。
アルケニル基含有ポリシロキサンの配合割合は、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数がかご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数より少なくなるように、調整される。
つまり、アルケニル基とヒドロシリル基とのモル比(アルケニル基のモル数/ヒドロシリル基のモル数)は、1未満、例えば、0.10〜0.99、好ましくは、0.20〜0.99、さらに好ましくは、0.50〜0.99である。
上記したモル比が上記範囲を超える場合には、ヒドロシリル基がアルケニル基より少なくなり、その場合には、反応後に、過剰分のヒドロシリル基が残存せず、第4のシリコーン樹脂組成物に熱硬化性が付与されない場合がある。
一方、上記したモル比が上記範囲に満たない場合には、ヒドロシリル基が過剰に残存し、かご型オクタシルセスキオキサン同士が、空気中の水分による加水分解および自己縮合によって硬化し、柔軟性が得られない場合がある。
ヒドロシリル化触媒(固形分)の配合割合は、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基含有ポリシロキサンの総量100質量部に対して、例えば、1.0×10−10〜3質量部、好ましくは、1.0×10−8〜1質量部である。
水酸基含有ポリシロキサンの配合割合は、その水酸基のモル数(X)が、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数からアルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数を差し引いたモル数(Y)に対して、モル比(X/Y)として、例えば、0.001〜1000、好ましくは、0.01〜100となるように、調整される。換言すれば、水酸基含有ポリシロキサンの配合割合は、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基含有ポリシロキサンの総量100質量部に対して、例えば、0.1〜50質量部、好ましくは、1〜30質量部である。
第4のシリコーン樹脂組成物を調製するには、好ましくは、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基含有ポリシロキサンとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応することにより得られるシリコーン樹脂組成物前駆体と、水酸基含有ポリシロキサンとを配合する。
すなわち、まず、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数が、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数より多く(過剰と)なるように、反応させることにより、シリコーン樹脂組成物前駆体を得る。
シリコーン樹脂組成物前駆体を得るには、より具体的には、上記したかご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンとを上記した配合割合で、ヒドロシリル化触媒、および必要により、溶媒とともに配合し、その後、必要により、それらを加熱する。
溶媒としては、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素、例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、例えば、酢酸エチルなどのエステルなどが挙げられる。好ましくは、各成分の相溶性を向上させる観点から、芳香族炭化水素、さらに好ましくは、トルエンが挙げられる。
反応温度は、例えば、0〜100℃、好ましくは、20〜80℃であり、反応時間は、例えば、0.5〜96時間である。
これによって、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンが反応する。つまり、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基と、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基とが、ヒドロシリル化反応する。
なお、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基と、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基とのヒドロシリル化反応の度合は、1H−NMR測定によって、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基に由来するシグナルの強度によって確認することができ、そのシグナルが消失したときが、ヒドロシリル化反応が終了したとされる。
上記のヒドロシリル化反応では、ヒドロシリル基のモル数が、アルケニル基のモル数に比べて、過剰となるように、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンとが反応し、その反応後には、ヒドロシリル基の過剰分が残存する。
これにより、シリコーン樹脂組成物前駆体を得る。
なお、シリコーン樹脂組成物前駆体は、液体状または半固体状である。
次いで、得られたシリコーン樹脂組成物前駆体と、水酸基含有ポリシロキサンとを上記した割合で配合する。その後の加熱により、シリコーン樹脂組成物前駆体と、水酸基含有ポリシロキサンとが反応する。なお、必要により、溶媒を留去する。
これにより、第4のシリコーン樹脂組成物を得ることができる。
得られた第4のシリコーン樹脂組成物は、固体状である。かご型オクタシルセスキオキサンの立体障害に起因して、アルケニル基含有ポリシロキサンの運動性が低下するため、第4のシリコーン樹脂組成物が固体状として得られる。
第4のシリコーン樹脂組成物の熱可塑性は、加熱によりかご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基含有ポリシロキサンの運動性が上昇することにより発現される。
第4のシリコーン樹脂組成物の熱可塑温度は、例えば、40〜150℃、好ましくは、50〜100℃である。
一旦可塑化した第4のシリコーン樹脂組成物の熱硬化性は、具体的には、第4のシリコーン樹脂組成物前駆体に残存するヒドロシリル基と、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基とが反応することにより発現される。
より具体的には、第4のシリコーン樹脂組成物前駆体におけるかご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基は、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基と縮合反応する。
また、第4のシリコーン樹脂組成物の熱硬化温度は、比較的低く、例えば、100〜250℃、好ましくは、120〜250℃である。熱硬化温度は、第4のシリコーン樹脂組成物が熱硬化性を示す温度であり、具体的には、可塑化した第4のシリコーン樹脂組成物が加熱によって硬化して、完全に固体状となる温度である。
この第4のシリコーン樹脂組成物は、水酸基含有ポリシロキサンを含有するので、水酸基含有ポリシロキサンの水酸基がかご型オクタシルセスキオキサンの残余のヒドロシリル基と反応して、それによってかご型オクタシルセスキオキサンを架橋することができる。そのため、第4のシリコーン樹脂組成物の柔軟性を向上させることができる。
また、第4のシリコーン樹脂組成物は、その熱硬化温度(例えば、100〜250℃)を低減することができる。
第5のシリコーン樹脂組成物は、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含有する。
第5のシリコーン樹脂組成物において、かご型オクタシルセスキオキサン、アルケニル基含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒は、第4のシリコーン樹脂組成物において例示したかご型オクタシルセスキオキサン、アルケニル基含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒と同様のものがそれぞれ挙げられる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンにおいては、ヒドロシリル基含有量は、例えば、0.01〜20mmol/g、好ましくは、0.05〜15mmol/gである。
第5のシリコーン樹脂組成物において、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、第2のシリコーン樹脂組成物において例示したオルガノハイドロジェンポリシロキサンと同様のものが挙げられる。
そして、第5のシリコーン樹脂組成物は、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとを配合することによって、調製される。
かご型オクタシルセスキオキサンの配合割合は、第5のシリコーン樹脂組成物に対して、例えば、10〜80質量%、好ましくは、10〜70質量%である。
アルケニル基含有ポリシロキサンの配合割合は、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数がかご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数より少なくなるように、調整される。
つまり、アルケニル基のヒドロシリル基に対するモル比(アルケニル基のモル数/ヒドロシリル基のモル数)は、1未満、例えば、0.10〜0.99、好ましくは、0.20〜0.99、さらに好ましくは、0.50〜0.99である。
上記したモル比が上記範囲を超える場合には、ヒドロシリル基がアルケニル基より少なくなり、その場合には、反応後に、過剰分のヒドロシリル基が十分に残存せず、第5のシリコーン樹脂組成物に熱硬化性が付与されない場合がある。
一方、上記したモル比が上記範囲に満たない場合には、ヒドロシリル基が過剰に残存し、かご型オクタシルセスキオキサン同士が、空気中の水分による加水分解および自己縮合によって硬化し、柔軟性が得られない場合がある。
ヒドロシリル化触媒(固形分)の配合割合は、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基含有ポリシロキサンの総量100質量部に対して、例えば、1.0×10−10〜3質量部、好ましくは、1.0×10−8〜1質量部である。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合割合は、そのヒドロシリル基のモル数(X)が、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数からアルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数を差し引いたモル数(Y)に対して、モル比(X/Y)として、例えば、0.001〜1000、好ましくは、0.01〜100となるように、調整される。換言すれば、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合割合は、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基含有ポリシロキサンの総量100質量部に対して、例えば、0.01〜100質量部、好ましくは、0.01〜50質量部である。
また、第5のシリコーン樹脂組成物全体に対するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合割合は、例えば、0.01〜50質量%、好ましくは、0.01〜30質量%である。
第5のシリコーン樹脂組成物を調製するには、好ましくは、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基含有ポリシロキサンとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応することにより得られるシリコーン樹脂組成物前駆体と、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとを配合する。
すなわち、まず、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数が、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数より多く(過剰と)なる配合割合において反応させることにより、シリコーン樹脂組成物前駆体を得る。
シリコーン樹脂組成物前駆体を得るには、より具体的には、上記したかご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンとを上記した配合割合で、ヒドロシリル化触媒、および必要により、溶媒とともに配合し、その後、必要により、それらを加熱する。
溶媒としては、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素、例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、例えば、酢酸エチルなどのエステルなどが挙げられる。好ましくは、各成分の相溶性を向上させる観点から、芳香族炭化水素、さらに好ましくは、トルエンが挙げられる。
反応温度は、例えば、0〜100℃、好ましくは、20〜80℃であり、反応時間は、例えば、0.5〜96時間である。
これによって、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンが反応する。つまり、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基と、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基とが、ヒドロシリル化反応する。
なお、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基と、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基とのヒドロシリル化反応の度合は、1H−NMR測定によって、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基に由来するシグナルの強度によって確認することができ、そのシグナルが消失したときが、ヒドロシリル化反応が終了したとされる。
上記のヒドロシリル化反応では、ヒドロシリル基のモル数が、アルケニル基のモル数に比べて、過剰となるように、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基含有ポリシロキサンとが反応し、その反応後には、ヒドロシリル基の過剰分が残存する。
これにより、シリコーン樹脂組成物前駆体を得る。
なお、シリコーン樹脂組成物前駆体は、液体状または半固体状である。
次いで、得られたシリコーン樹脂組成物前駆体と、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとを上記した割合で配合する。その後の加熱(後述)により、シリコーン樹脂組成物前駆体と、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとを反応させる。なお、必要により、溶媒を留去する。
これにより、第5のシリコーン樹脂組成物を得ることができる。
得られた第5のシリコーン樹脂組成物は、固体状である。かご型オクタシルセスキオキサンの立体障害に起因して、アルケニル基含有ポリシロキサンの運動性が低下するため、第5のシリコーン樹脂組成物が固体状として得られる。
そして、第5のシリコーン樹脂組成物は、R12の1価の炭化水素基:水素のモル比が特定範囲であるので、かご型オクタシルセスキオキサンにおいて、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基と反応するヒドロシリル基の割合が調整されている。しかも、アルケニル基含有ポリシロキサンは、そのアルケニル基が、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数よりも少ないモル数となるようにかご型オクタシルセスキオキサンと反応する。そのため、得られる第5のシリコーン樹脂組成物は、透明性および耐熱性に優れるとともに、熱可塑性および熱硬化性を併有することができる。
つまり、第5のシリコーン樹脂組成物は、上記した加熱により、一旦可塑化(あるいは液状化)し、その後、熱硬化する。
第5のシリコーン樹脂組成物の熱可塑性は、加熱によりかご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基含有ポリシロキサンの運動性が上昇することにより発現される。
なお、第5のシリコーン樹脂組成物の熱可塑温度は、例えば、40〜150℃、好ましくは、50〜100℃である。なお、熱可塑温度は、第5のシリコーン樹脂組成物が熱可塑性を示す温度であり、具体的には、固体状の第5のシリコーン樹脂組成物が加熱によって軟化して完全に液体状になる温度であって、軟化温度と実質的に同一である。
一旦可塑化した第5のシリコーン樹脂組成物の熱硬化性は、具体的には、シリコーン樹脂組成物前駆体に残存するヒドロシリル基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基とが反応することにより発現される。
より具体的には、シリコーン樹脂組成物前駆体におけるかご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基とオルガノハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基とが、空気中の水と反応(加水分解)し、脱水(分子間脱水)縮合反応する。
また、第5のシリコーン樹脂組成物の熱硬化温度は、比較的低く、例えば、100〜250℃、好ましくは、120〜250℃である。熱硬化温度は、第5のシリコーン樹脂組成物が熱硬化性を示す温度であり、具体的には、可塑化した第5のシリコーン樹脂組成物が加熱によって硬化して、完全に固体状となる温度である。
この第5のシリコーン樹脂組成物では、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのヒドロシリル基が、かご型オクタシルセスキオキサンの残余のヒドロシリル基と反応する。つまり、脱水(分子間脱水)縮合反応により、かご型オクタシルセスキオキサンを架橋させることができる。そのため、第5のシリコーン樹脂組成物の柔軟性を向上させることができる。
また、第5のシリコーン樹脂組成物は、その熱硬化温度(例えば、100〜250℃)を低減することができる。
第6のシリコーン樹脂組成物は、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンとを含有する。
第6のシリコーン樹脂組成物において、かご型オクタシルセスキオキサン、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒は、第3のシリコーン樹脂組成物において例示したかご型オクタシルセスキオキサン、第3のシリコーン樹脂組成物において例示したアルケニル基両末端含有ポリシロキサン、第2のシリコーン樹脂組成物において例示したヒドロシリル化触媒と同様のものが挙げられる。
アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンは、側鎖にアルケニル基を2つ以上含有するポリシロキサンである。そのようなアルケニル基側鎖含有ポリシロキサンとしては、例えば、直鎖状のシロキサン部分(−Si−O−)を含有する主鎖(のケイ素原子)に結合する側鎖としてアルケニル基を含有する直鎖状シロキサン含有ポリシロキサン、および/または、分枝状のシロキサン部分のケイ素原子に結合するアルケニル基を含有する分枝状シロキサン含有ポリシロキサンが挙げられる。
直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンは、具体的には、下記式(14)で示される。
(式中、I〜Lは、構成単位であり、IおよびLは、末端単位、JおよびKは、繰り返し単位を示す。R21は、1価の炭化水素基を示し、R22は、アルケニル基を示す。また、kは、0または1以上の整数を示し、mは、2以上の整数を示す。)
I〜Lは、直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンを構成する。
式(14)においてR21で示される1価の炭化水素基は、同一または相異なっていてもよく、好ましくは、同一である。
R21で示される1価の炭化水素基としては、上記した(5)においてR11にて示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、メチル、フェニル、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
kは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、1〜10000の整数、さらに好ましくは、1〜5000の整数を示す。
mは、反応性および安定性の観点から、好ましくは、2〜500の整数、さらに好ましくは、2〜100の整数を示す。
直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および取扱性の観点から、例えば、200〜1000000、好ましくは、200〜80000である。
直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンのビニル基含有量は、例えば、0.01〜10mmol/g、好ましくは、0.1〜5mmol/gである。直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンのビニル基含有量は、1H−NMRでビニル基とメチル基の面積比から測定される。
直鎖状シロキサン含有ポリシロキサンは、例えば、公知の方法に従って合成され、または、市販品(例えば、Gelest社製)を用いることもできる。
分枝状シロキサン含有ポリシロキサンは、具体的には、下記式(15)で示される。
(式中、M、N、PおよびQは構成単位であり、M、NおよびPは、繰り返し単位を示し、Qは、末端単位を示す。R23は、1価の炭化水素基を示す。また、nは、1以上の整数を示し、pおよびqは、0または1以上の整数を示し、rは、4以上の整数を示す。さらに、1分子当たり、少なくとも1個のR23はアルケニル基である。)
M、N、PおよびQは、分枝状シロキサン含有ポリシロキサンを構成する。
R23で示される1価の炭化水素基は、例えば、飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、または、不飽和炭化水素基(芳香族炭化水素基を除く。)である。
飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基としては、上記した(5)においてR11にて示される1価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、メチル、フェニル、さらに好ましくは、メチルが挙げられる。
不飽和炭化水素基(芳香族炭化水素基を除く。)としては、上記した(5)においてR12で示されるアルケニル基と同様のものが挙げられ、好ましくは、ビニルが挙げられる。
式(15)においてR23で示される1価の炭化水素基は、少なくともアルケニル基を含み、好ましくは、アルキル基および/またはフェニル基と、アルケニル基とを含み、さらに好ましくは、メチル基とビニル基とを含んでいる。
分枝状シロキサン含有ポリシロキサンにおけるアルケニル基の数は、1以上、好ましくは、3以上、通常、30以下である。
nは、好ましくは、1〜100の整数、さらに好ましくは、1〜50の整数を示す。
pは、好ましくは、1〜100の整数、さらに好ましくは、1〜50の整数を示す。
qは、好ましくは、1〜100の整数、さらに好ましくは、1〜50の整数を示す。
rは、好ましくは、1〜100の整数、さらに好ましくは、1〜30の整数を示す。
分枝状シロキサン含有ポリシロキサンの数平均分子量は、安定性および取扱性の観点から、例えば、100〜10000、好ましくは、200〜8000である。
分枝状シロキサン含有ポリシロキサンのビニル基含有量は、例えば、0.01〜100mmol/g、好ましくは、0.1〜10mmol/gである。分枝状シロキサン含有ポリシロキサンのビニル基含有量は、1H−NMRでビニル基とメチル基の面積比から測定される。
分枝状シロキサン含有ポリシロキサンは、例えば、公知の方法に従って合成され、または、市販品(例えば、Gelest社製)を用いることもできる。
そして、第6のシリコーン樹脂組成物は、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒と、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンとを配合することによって、調製される。
かご型オクタシルセスキオキサンの配合割合は、第6のシリコーン樹脂組成物に対して、例えば、10〜80質量%、好ましくは、10〜70質量%である。
アルケニル基両末端含有ポリシロキサンの配合割合は、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数がかご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数より少なくなるように、調整される。
つまり、アルケニル基のヒドロシリル基に対するモル比(アルケニル基のモル数/ヒドロシリル基のモル数)は、1未満、例えば、0.10〜0.99、好ましくは、0.20〜0.99、さらに好ましくは、0.50〜0.99である。換言すれば、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンの配合割合は、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基両末端含有ポリシロキサンの総量100質量部に対して、例えば、0.001〜30質量部、好ましくは、0.01〜20質量部である。また、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンの配合割合を、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基両末端含有ポリシロキサンの総量100質量部に対して、例えば、0.01〜100質量部、好ましくは、0.1〜50質量部に設定することもできる。
上記したモル比が上記範囲を超える場合には、ヒドロシリル基がアルケニル基より少なくなり、その場合には、反応後に、過剰分のヒドロシリル基が十分に残存せず、第6のシリコーン樹脂組成物に熱硬化性が付与されない場合がある。
一方、上記したモル比が上記範囲に満たない場合には、ヒドロシリル基が過剰に残存し、かご型オクタシルセスキオキサン同士が、空気中の水分による加水分解および自己縮合によって硬化し、柔軟性が得られない場合がある。
ヒドロシリル化触媒(固形分)の配合割合は、かご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基両末端含有ポリシロキサンの総量100質量部に対して、例えば、1.0×10−10〜3質量部、好ましくは、1.0×10−8〜1質量部である。
アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンの配合割合は、そのアルケニル基のモル数(X)が、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数からアルケニル基両末端含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数を差し引いたモル数(Y)に対して、モル比(X/Y)として、例えば、0.001〜1000、好ましくは、0.01〜100となるように、調整される。
第6のシリコーン樹脂組成物を調製するには、好ましくは、かご型オクタシルセスキオキサンと、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応することにより得られる第6のシリコーン樹脂組成物前駆体と、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンとを配合する。
すなわち、まず、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基両末端含有ポリシロキサンとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数が、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンのアルケニル基のモル数より多く(過剰と)なる配合割合において、反応させることにより、第6のシリコーン樹脂組成物前駆体を得る。
第6のシリコーン樹脂組成物前駆体を得るには、より具体的には、上記したかご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基両末端含有ポリシロキサンとを上記した配合割合で、ヒドロシリル化触媒、および必要により、溶媒とともに配合し、その後、必要により、それらを加熱する。
溶媒としては、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素、例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、例えば、酢酸エチルなどのエステルなどが挙げられる。好ましくは、各成分の相溶性を向上させる観点から、芳香族炭化水素、さらに好ましくは、トルエンが挙げられる。
反応温度は、例えば、0〜100℃、好ましくは、20〜80℃であり、反応時間は、例えば、0.5〜96時間である。
これによって、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基両末端含有ポリシロキサンが反応する。つまり、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基と、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンのアルケニル基とが、ヒドロシリル化反応する。
なお、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基と、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンのアルケニル基とのヒドロシリル化反応の度合は、1H−NMR測定によって、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンのアルケニル基に由来するシグナルの強度によって確認することができ、そのシグナルが消失したときが、ヒドロシリル化反応が終了したとされる。
上記のヒドロシリル化反応では、ヒドロシリル基のモル数が、アルケニル基のモル数に比べて、過剰となるように、かご型オクタシルセスキオキサンとアルケニル基両末端含有ポリシロキサンとが反応し、その反応後には、ヒドロシリル基の過剰分が残存する。
これにより、第6のシリコーン樹脂組成物前駆体を得る。
なお、第6のシリコーン樹脂組成物前駆体は、液体状または半固体状である。
次いで、得られた第6のシリコーン樹脂組成物前駆体と、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンとを上記した割合で配合する。その後の加熱(後述)により、第6のシリコーン樹脂組成物前駆体と、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンとを反応させる。なお、必要により、溶媒を留去する。
これにより、第6のシリコーン樹脂組成物を得ることができる。
得られた第6のシリコーン樹脂組成物は、固体状である。かご型オクタシルセスキオキサンの立体障害に起因して、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンの運動性が低下するため、第6のシリコーン樹脂組成物が固体状として得られる。
そして、第6のシリコーン樹脂組成物は、かご型オクタシルセスキオキサンにおける1価の炭化水素基:水素のモル比が特定範囲であるので、かご型オクタシルセスキオキサンにおいて、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンのアルケニル基と反応するヒドロシリル基の割合が調整されている。しかも、アルケニル基両末端含有ポリシロキサンは、そのアルケニル基が、かご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基のモル数よりも少ないモル数となるようにかご型オクタシルセスキオキサンと反応する。そのため、得られる第6のシリコーン樹脂組成物は、透明性および耐熱性に優れるとともに、熱可塑性および熱硬化性を併有することができる。
つまり、第6のシリコーン樹脂組成物は、上記した加熱により、一旦可塑化(あるいは液状化)し、その後、熱硬化する。
第6のシリコーン樹脂組成物の熱可塑性は、加熱によりかご型オクタシルセスキオキサンおよびアルケニル基両末端含有ポリシロキサンの運動性が上昇することにより発現される。
なお、第6のシリコーン樹脂組成物の熱可塑温度は、例えば、40〜150℃、好ましくは、50〜100℃である。なお、熱可塑温度は、第6のシリコーン樹脂組成物が熱可塑性を示す温度であり、具体的には、固体状の第6のシリコーン樹脂組成物が加熱によって軟化して完全に液体状になる温度であって、軟化温度と実質的に同一である。
一旦可塑化した第6のシリコーン樹脂組成物の熱硬化性は、具体的には、第6のシリコーン樹脂組成物前駆体に残存するヒドロシリル基と、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンのアルケニル基とが反応することにより発現される。
より具体的には、第6のシリコーン樹脂組成物前駆体におけるかご型オクタシルセスキオキサンのヒドロシリル基とアルケニル基側鎖含有ポリシロキサンのアルケニル基とが、ヒドロシリル化反応する。
また、第6のシリコーン樹脂組成物の熱硬化温度は、比較的低く、例えば、100〜250℃、好ましくは、120〜250℃である。熱硬化温度は、第6のシリコーン樹脂組成物が熱硬化性を示す温度であり、具体的には、可塑化した第6のシリコーン樹脂組成物が加熱によって硬化して、完全に固体状となる温度である。
この第6のシリコーン樹脂組成物では、アルケニル基側鎖含有ポリシロキサンのアルケニル基が、かご型オクタシルセスキオキサンの残余のヒドロシリル基と反応することにより、かご型オクタシルセスキオキサンを架橋することができる。そのため、第6のシリコーン樹脂組成物の柔軟性を向上させることができる。
また、第6のシリコーン樹脂組成物は、その熱硬化温度(例えば、100〜250℃)を低減することができる。
シリコーン微粒子は、架橋構造を有するポリシロキサン(硬化後)の微粒子であって、例えば、ポリシルセスキオキサン微粒子が挙げられ、硬度(封止層の補強効果)を考慮すると、好ましくは、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子が挙げられる。
シリコーン微粒子の屈折率は、封止樹脂(硬化後の封止樹脂層(封止層))の屈折率と近似し、具体的には、例えば、1.39〜1.43、好ましくは、1.40〜1.42である。
また、シリコーン微粒子の屈折率と、封止樹脂(硬化後の封止樹脂層(封止層))の屈折率との差は、絶対値で、例えば、0.03以内、好ましくは、0.02以内、さらに好ましくは、0.01以内である。
シリコーン微粒子は、封止層の硬度を向上させるとともに、封止用シートにおける後方散乱を防止し、その結果、LED装置(後述)の輝度ロス(後述)を抑制し、LED装置(後述)の輝度の向上させるために、封止樹脂組成物に含有される。
また、シリコーン微粒子の平均粒子径(最大長さの平均)は、例えば、0.2〜40μm、好ましくは、0.5〜10μmである。
シリコーン微粒子の平均粒子径が上記範囲に満たないと、粘度の上昇や、塗布性が不十分となる場合がある。
シリコーン微粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定される。
シリコーン微粒子の配合割合は、封止樹脂組成物に対して、20〜50質量%、好ましくは、30〜50質量%である。
シリコーン微粒子の配合割合が上記下限に満たないと、ブリード抑制効果が不十分となる。一方、上記上限を超えると、成形性または加工性が不十分となる。
また、封止樹脂組成物には、必要に応じて、蛍光体を含有させることができる。
蛍光体は、波長変換機能を有する粒子であって、光半導体素子装置に用いられる公知の蛍光体であれば、特に制限されないが、例えば、青色光を黄色光に変換することのできる黄色蛍光体、青色光を赤色光に変換することのできる赤色蛍光体などの公知の蛍光体が挙げられる。
黄色蛍光体としては、例えば、Y3Al5O12:Ce(YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)、Tb3Al3O12:Ce(TAG(テルビウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)などのガーネット型結晶構造を有するガーネット型蛍光体、例えば、Ca−α−SiAlONなどの酸窒化物蛍光体などが挙げられる。
赤色蛍光体としては、例えば、CaAlSiN3:Eu、CaSiN2:Euなどの窒化物蛍光体などが挙げられる。
このような蛍光体のなかでは、好ましくは、黄色蛍光体が挙げられ、さらに好ましくは、Ca−α−SiAlONおよびYAG:Ceが挙げられ、とりわけ好ましくは、YAG:Ceが挙げられる。
このような蛍光体は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
また、蛍光体は、粒子状であり、その形状は、特に限定されず、例えば、略球形状、略平板形状、略針形状などが挙げられる。
また、蛍光体の平均粒子径(最大長さの平均)は、例えば、0.1〜500μm、好ましくは、0.2〜200μmである。蛍光体粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定される。
蛍光体の配合割合は、発光ダイオード11、基板14およびLED装置2に対応して、封止樹脂組成物が白色になるように適宜調整され、封止樹脂組成物に対して、例えば、3〜80質量%、好ましくは、4〜60質量%である。
さらに、上記した封止樹脂組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤、老化防止剤、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤などの公知の添加物を適宜の割合で添加することができる。
封止樹脂組成物を調製するには、封止樹脂と、シリコーン微粒子と、必要により蛍光体と、必要により添加剤とを上記した配合割合で配合し、混合する。
混合条件としては、温度が、例えば、10〜40℃、好ましくは、15〜35℃、時間が、例えば、10分以上、好ましくは、30分以上である。
また、封止樹脂組成物は、必要に応じて、その調製後に脱泡される。
脱泡方法としては、例えば、減圧脱泡(真空脱泡)、遠心脱泡、超音波脱泡などの公知の脱泡方法が挙げられ、好ましくは、減圧脱泡(真空脱泡)が挙げられる。
脱泡方法が減圧脱泡(真空脱泡)である場合、脱泡条件としては、温度が、例えば、10〜40℃、好ましくは、15〜35℃、時間が、例えば、10分以上、好ましくは、30分以上である。
封止樹脂組成物の粘度は、例えば、25℃において、1〜190Pa・s、好ましくは、2〜170Pa・sである。
封止樹脂組成物の粘度が上記下限に満たないと、成形性または加工性が不十分となる場合がある。一方、上記上限を超えると、シリコーン樹脂組成物を積層してシート化する前に、攪拌などによるシリコーン樹脂組成物(塗工液)の脱泡工程で気泡が抜けず、LED装置2に気泡が入り、LED装置2の色ずれや信頼性試験での不具合が起きる場合がある。
封止樹脂層は、熱硬化性樹脂(好ましくは、シリコーン樹脂)を含有する封止樹脂組成物から形成されている場合には、好ましくは、半硬化(Bステージ)状態の封止樹脂組成物から形成される。
また、封止樹脂層(半硬化状態の封止樹脂層)の圧縮弾性率(25℃)は、例えば、封止性および取扱性の観点から、0.01MPa以上、好ましくは、0.04〜0.1MPaである。
封止樹脂層の圧縮弾性率が上記下限値に満たない場合には、封止樹脂層の保形性が低下する場合がある。さらに、封止樹脂層の25℃における圧縮弾性率が上記範囲内にあれば、発光ダイオード(後述)を確実に埋設することができながら、ワイヤ(後述)および発光ダイオードの損傷を防止することができる。
封止樹脂層の圧縮弾性率は、精密加重測定機を用いる圧縮試験により求められる。
封止樹脂層の圧縮弾性率の測定では、封止樹脂層が後述する離型シートに積層される場合は、離型シートとともに供される。そして、封止樹脂層の圧縮弾性率は、封止樹脂層側で測定される。その場合、離型シートの圧縮弾性率は、例えば、1MPa以上と格段に高いことから考慮せず、離型シートと封止樹脂層との積層体の圧縮弾性率を、実質的に、封止樹脂層の圧縮弾性率として算出する。
封止樹脂層の厚みは、特に制限されず、後述する発光ダイオードの封止時に、発光ダイオードおよびワイヤを埋設できるように適宜調整される。
封止樹脂層の厚みは、例えば、300〜3,000μm、好ましくは、500〜2,000μmである。
封止樹脂層の厚みが上記範囲に満たないと、発光ダイオードの封止が不十分となる場合がある。
このような封止樹脂層は、一層から形成されていてもよく、あるいは、複数層から形成されていてもよい。
次に、封止用シート1を製造する方法について、図1を参照して説明する。
この方法では、まず、図1(a)に示すように、離型シート5を用意する。
離型シート5は、封止樹脂層7の表面を被覆保護する保護シートや、封止樹脂層7の塗工基材として用いられる。
離型シート5としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリエステルフィルム、例えば、ポリカーボネートフィルム、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、例えば、ポリスチレンフィルム、例えば、アクリルフィルム、例えば、シリコーン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルムなどの樹脂フィルムなどが挙げられる。
このような離型シート5のなかでは、好ましくは、ポリエステルフィルムが挙げられる。
なお、離型シート5の表面(封止樹脂層7が形成される側の面)には、封止樹脂層7からの離型性を高めるため、必要により、離型処理が施されている。
離型シート5の厚みは、特に制限されないが、例えば、取扱性、コストの観点から、例えば、20〜100μm、好ましくは、30〜80μmである。
次いで、図1(b)に示すように、封止樹脂層7を、離型シート5の上面に積層する。
封止樹脂層7を離型シート5に積層するには、例えば、封止樹脂組成物を、離型シート5の上面全面に、例えば、キャスト、スピン、ロールなどの公知の塗布方法によって塗布することにより、封止樹脂層7を形成する。
そして、封止樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合、封止樹脂層7を加熱して、封止樹脂組成物からなる封止樹脂層7を半硬化させる。
加熱条件としては、温度が、例えば、100〜150℃、好ましくは、120〜140℃であり、加熱時間が、例えば、1〜100分間、好ましくは、5〜15分間である。
これにより、離型シート5の上面に、封止樹脂層7が積層される。
以上によって、封止用シート1が調製される。
封止樹脂層7の波長400nmから700nmまでの可視光の光透過率は、蛍光体を含有せず、厚み500μmの場合に、例えば、80%以上、好ましくは、90%以上、さらに好ましくは、95%以上であり、また、100%以下でもある。
封止樹脂層7の波長400nmから700nmまでの可視光の光透過率が上記範囲に満たないと、輝度ロスを十分に抑制できない場合がある。
封止樹脂層7の光透過率は、分光光度計により測定される。
なお、封止樹脂層7の光透過率は、封止樹脂組成物が蛍光体を含有する状態では、蛍光体の影響が大きすぎて、精度のよい測定を実施できないため、封止樹脂組成物が蛍光体を含有しない状態で測定される。
封止樹脂層7のヘイズ値は、蛍光体を含有せず、厚み500μmの場合、例えば、20以下、好ましくは、10以下である。
封止樹脂層7のヘイズ値が上記範囲に満たないと、輝度ロスを十分に抑制できない場合がある。
封止樹脂層7のヘイズ値は、ヘイズメータにより測定される。
なお、封止樹脂層7のヘイズ値は、蛍光体を含有しない状態で測定される。
封止用シート1の大きさは、発光ダイオード(後述)およびワイヤ(後述)を封止することができれば、特に制限されないが、例えば、発光ダイオードおよびワイヤ(後述)の上下方向の投影面の外周線から、1〜20mm大きく、好ましくは、2〜10mm大きい。なお、複数個の発光ダイオードおよびワイヤを一括封止する場合には、最外方に位置する発光ダイオードおよびワイヤの上下方向の投影面の外周線から、1〜20mm大きく、好ましくは、2〜10mm大きい。
封止用シート1の大きさが、上記下限に満たないと、発光ダイオード(後述)から発光される青色光が、十分に黄色光に変更されず、白色光の白色性が低下する場合があり、上記上限を超えると、色目の角度依存性に劣り、かつ、コストが上昇する場合がある。
なお、上記した封止用シート1は、略矩形状に形成されたが、これに制限されず、必要に応じて適宜変更することができる。具体的には、略円柱形状、略テーパ状円柱形状(上部が先細り形状)などに形成することもできる。
次に、図1の封止用シート1を用いて、発光ダイオード11を封止して、発光ダイオード装置2を製造する方法について、図2を参照して説明する。
この方法では、まず、図2(a)に示すように、封止用シート1と、基板14とを用意する。
基板14は、例えば、アルミニウムなどからなる金属板や、例えば、ポリイミド樹脂などからなる樹脂板から形成され、封止用シート1の封止樹脂層7より大きい略平板形状に形成されている。
また、基板14には、その上面に形成される端子(図示せず)と、中央部分に実装される発光ダイオード11と、発光ダイオード11と端子(図示せず)とを電気的に接続するワイヤ12とが設けられる。なお、発光ダイオード11は、その上面がワイヤ12を介して基板14の上面にワイヤボンディングされている。
ワイヤ12は、例えば、金、銀、銅などの導体材料から形成されている。
また、ワイヤ12は、側面視において湾曲状をなし、その寸法は、適宜選択され、例えば、線径が、10〜100μmであり、また、例えば、発光ダイオード11の上面におけるワイヤ12との素子側接点と、ワイヤ12の最上部分との上下方向長さは、例えば、150〜250μmであり、基板14の上面におけるワイヤ12との基板側接点と、ワイヤ12の最上部分との上下方向長さは、例えば、300〜450μmであり、素子側接点と基板側接点との面方向長さ(図2(a)における左右方向長さ)が、例えば、500〜1600μmである。
発光ダイオード11は、例えば、青色光を発光できる光半導体素子であって、断面略矩形状に形成されている。
発光ダイオード11は、平面視略矩形平板状をなし、その1辺の長さは、例えば、0.1〜5mmであり、厚みは、例えば、10〜1,000μmである。
封止用シート1は、図1(b)に示す状態の封止用シート1を上下反転させて、封止樹脂層7が、発光ダイオード11と上下方向に間隔を隔てて対向するように、配置する。
次いで、図2(b)および図2(c)に示すように、発光ダイオード11を封止用シート1によって埋設する。
具体的には、図2(b)に示すように、封止用シート1を降下させて(押下げて)、封止樹脂層7によって発光ダイオード11およびワイヤ12の表面を被覆する。続いて、図2(c)に示すように、封止用シート1を基板14に対して圧着する。
圧着は、封止樹脂層7が基板14側に押し込まれる(圧縮される)量(以下、押込み量とする)を制御することにより実施する。
押込み量は、下記式により示される。
押込み量=圧縮(圧着)前の封止樹脂層7の厚みL1−圧縮(圧着)後の封止樹脂層7の厚みL2
押込み量は、下記式により示される押込み率が、例えば、5〜30%に設定されるように、調節される。
押込み率=押込み量/圧縮(圧着)前の封止樹脂層7の厚みL1×100%
具体的には、封止用シート1を、封止樹脂層7の厚みが、押込み量分圧縮されるように圧着する。
このように押込み量を調節することで、封止用シート1の圧壊を防止して、発光ダイオード11を封止用シート1で確実に封止することができる。
圧着の温度は、例えば、0〜40℃、好ましくは、15〜35℃である。
また、圧着では、封止用シート1を押下げた(押込んだ)状態で保持することができ、その保持時間は、例えば、10秒〜10分、好ましくは、10秒〜5分である。
次いで、 図2(d)に示すように、封止用シート1の封止樹脂層7が熱硬化性樹脂を含有する場合には、封止樹脂層7を、加熱により硬化させて、封止層10として形成する。
硬化条件は、上記した封止樹脂層7の熱硬化性樹脂が完全硬化する条件であって、封止樹脂組成物が、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を含有する場合、付加反応(ヒドロシリル化反応)が進行する条件である。
具体的には、加熱温度が、例えば、80〜200℃、好ましくは、100〜180℃、加熱時間が、例えば、0.1〜20時間、好ましくは、1〜10時間である。
その後、封止用シート1および基板14を真空圧着装置から取り出し、図2(d)の仮想線で示すように、離型シート5を封止層10から剥離する。
以上によって、封止用シート1により、発光ダイオード11が封止されたLED装置2が作製される。
また、封止樹脂層7が熱硬化性樹脂を含有する場合、発光ダイオード11と、発光ダイオード11を封止する封止層10とを備えるLED装置2が作製される。
なお、LED装置2では、離型シート5を剥離する前に、平板プレスにより加圧成型して、封止用シート1と、発光ダイオード11および基板14とを接着しているが、これに限定されず、例えば、図1(b)の仮想線で示すように、離型シート5が剥離された後に、平板プレスまたは金属金型により加圧成型して、発光ダイオード11および基板14と接着させた後、離型シート5を剥離することもできる。
そして、封止用シート1では、封止樹脂組成物がシリコーン微粒子を含有しているため、光透過性に優れている。
そのため、封止用シート1により封止された発光ダイオード11を備えるLED装置2では、封止用シート1における輝度ロスを十分に抑制することができる。
また、封止用シート1では、封止樹脂組成物がシリコーン微粒子を特定割合で含有しているため、LED装置2では、ブリードを防止できるとともに、封止樹脂層7の圧縮弾性率が上記した範囲内にあることから、発光ダイオード11の損傷を防止することができる。
その結果、LED装置2は、発光ダイオード11からの光の取り出し効率に優れながら、信頼性に優れている。
なお、輝度ロスとは、シリコーン微粒子が添加されていない封止樹脂組成物(つまり、封止樹脂組成物および蛍光体のみ)からなる封止用シート1を用いたLED装置2における全光束の初期輝度(以下、基準輝度とする。)に対する、基準輝度からシリコーン微粒子が添加された封止樹脂組成物からなる封止用シート1を用いたLED装置2における全光束の初期輝度(以下、輝度とする。)を減じた値の百分率である。
以下に、調製例、実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何らそれらに限定されない。
調製例1
<縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物の調製>
40℃に加温したシラノール基両末端ポリジメチルシロキサン(シラノール基両末端ポリシロキサン、一般式(1)中、R1がすべてメチル、zの平均が155、数平均分子量11,500、シラノール基当量0.174mmol/g)2031g(0.177モル)に対して、ビニルトリメトキシシラン(エチレン系ケイ素化合物)15.76g(0.106モル)、および、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(エポキシ基含有ケイ素化合物)2.80g(0.0118モル)とを配合して、攪拌混合した。
なお、ビニルトリメトキシシランおよび(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランのSiOCH3基に対する、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサンのSiOH基のモル比(SiOH基のモル数/SiOCH3基の総モル数)は、1/1であった。
攪拌混合後、水酸化テトラメチルアンモニウムのメタノール溶液(縮合触媒、濃度10質量%)0.97mL(0.766g、触媒含量:0.88ミリモル、シラノール基両末端ポリジメチルシロキサン100モルに対して0.50モルに相当)を加え、40℃で1時間撹件した。その後、それらを40℃の減圧下(10mmHg)で、1時間撹挫しながら、揮発分(メタノールなど)を除去した。
その後、系を常圧に戻した後、反応物に、オルガノハイドロジェンシロキサン(信越化学工業社製、ジメチルポリシロキサン−co−メチルハイドロジェンポリシロキサン、平均分子量2,000、ヒドロシリル基当量7.14mmol/g)44.5g(0.022モル)を加え、40℃で1時間攪拌した。
なお、オルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル基(SiH基)に対する、ビニルトリメトキシシランのビニル基(CH2=CH−)のモル比(CH2=CH−/SiH)は、1/3であった。
その後、系に、白金−カルボニル錯体のシロキサン溶液(付加触媒、白金濃度2質量%)0.13g(0.13mL、白金含量2質量%、白金として、オルガノハイドロジェンシロキサン100質量部に対して5.8×10−3質量部に相当)を加えて、40℃で10分間攪拌して、シリコーン樹脂組成物(縮合・付加反応硬化型)を得た。
実施例1
<封止樹脂組成物の調製>
上記シリコーン樹脂組成物72gに、YAG:Ce(蛍光体、平均粒子径8.9μm)8g、および、トスパール 2000B(商品名、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子、平均粒子径6.0μm、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)20gを添加し、室温(20℃)において1時間攪拌した。攪拌後、真空乾燥機による減圧下において、室温にて、30分以上脱泡した。
これにより、封止樹脂組成物を調製した。
<封止用シートの作製>
ポリエステルフィルム(商品名:SS4C、ニッパ社製、厚み50μm)製の離型シート(図1(a)参照)の上面に、封止樹脂組成物を、厚み600μmに塗工し、135℃で3分加熱することにより、離型シートの上面に厚み600μmの封止樹脂層が積層された封止用シートを作製した。
<LED装置の作製>
発光ダイオード(EZ900、0.88mm×0.88mm、厚み170μm)を、アルミニウムコア基板にワイヤボンディングにより、実装した。
なお、ワイヤは、金からなる線径30μmであって、湾曲状をなし、その寸法は、発光ダイオード側接点とワイヤの最上部分との上下方向長さが180μmであり、アルミニウムコア基板側接点とワイヤの最上部分との上下方向長さが350μmであり、発光ダイオード側接点とアルミニウムコア基板側接点との左右方向長さが900μmであった。
その後、封止用シートを10mm×10mmの平面視矩形状にカットした。
次いで、封止用シートは、図1(b)に示す状態の封止用シートを上下反転させて、封止樹脂層が、発光ダイオードと上下方向に間隔を隔てて対向するように、配置した。
次いで、常温(25℃)で、発光ダイオードを封止用シートによって埋設した(図2(b)および図2(c)参照)。
具体的には、封止用シートを降下させ、封止樹脂層によって発光ダイオードおよびワイヤの表面を被覆した(図2(b)参照)。続いて、封止用シートの位置を、封止樹脂層の厚みが、押込み量50μm(押込み率10%=押込み量50μm/圧縮(圧着)前の封止樹脂層の厚み600μm×100%)圧縮されるように制御した状態で40秒保持し、封止用シートをアルミニウムコア基板に対して圧着した(図2(c)参照)。
圧着後、封止樹脂層の厚みは550μmであった。
その後、25℃から150℃に2℃/分で昇温し、150℃で5時間封止用シートを加熱した(図2(d)参照)。これにより、封止樹脂層を硬化させて、封止層を備える封止用シートを作製した。
その後、離型シートを封止層から剥離して、LED装置を作製した。
実施例2〜7および比較例1〜5
配合処方を表1に準拠して変更した以外は、実施例1と同様にして、封止樹脂組成物を調製し、続いて、封止用シートおよびLED装置を作製した。
<評価>
各実施例および各比較例の封止樹脂組成物、封止用シート、および、LED装置について、下記の試験を実施した。
(1)粘度試験
封止樹脂組成物の粘度を、E型粘度計(型番TVE−22H、東機産業社製)により、25℃で測定した。
その結果を、表1に示す。
(2)圧縮弾性率試験
封止樹脂層の圧縮弾性率を、25℃で、精密加重測定機(型番1605II VL、アイコーエンジニアリング社製)により測定した。
その結果を、表1に示す。
(3)ヘイズ値試験
封止樹脂組成物の調製において、YAG:Ceを添加しなかった以外は、上記と同様にして封止樹脂組成物を調製し、また、封止用シートの作製において、封止樹脂組成物を、離型シートの上面に、厚み500μmに塗工した以外は、上記と同様にして、離型シートの上面に厚み500μmの封止樹脂層が積層された封止用シートを作製した。
封止樹脂組成物、および、封止用シートにおける離型シートを封止樹脂層から引き剥がした、封止樹脂層の可視光に対するヘイズ値を、ヘイズメータ(型番HM150、村上色彩技術研究所社製)により測定した。
その結果を、表1に示す。
(4)光透過率試験
封止樹脂組成物の調製において、YAG:Ceを添加しなかった以外は、上記と同様にして封止樹脂組成物を調製し、また、封止用シートの作製において、封止樹脂組成物を、離型シートの上面に、厚み500μmに塗工した以外は、上記と同様にして、離型シートの上面に厚み500μmの封止樹脂層が積層された封止用シートを作製した。
封止樹脂組成物、および、封止用シートにおける離型シートを封止樹脂層から引き剥がした、封止樹脂層の波長460nmの光に対する光透過率を、分光光度計(型番V670、日本分光社製)により測定した。
その結果を、表1に示す。
(5)液状樹脂の析出試験(ブリード試験)
LED装置を、85℃、85%相対湿度(RH)に設定された恒温恒湿槽内に配置し、発光ダイオードに250mAの電流を流して、発光ダイオードを連続点灯させた。
連続点灯開始後24時間後に、目視および光学顕微鏡により、LED装置の表面に液状樹脂のブリードが確認されないものを○、確認されたものを×として評価した。
その結果を、表1に示す。
(6)形状変化試験
LED装置を、85℃、85%相対湿度(RH)に設定された恒温恒湿槽内に配置し、発光ダイオードに250mAの電流を流して、発光ダイオードを連続点灯させた。
連続点灯開始後24時間後に、目視により、LED装置の表面に形状変化が確認されないものを○、確認されたものを×として評価した。
その結果を、表1に示す。
(7)輝度試験
LED装置における全光束の初期輝度を、発光ダイオードに250mAの電流を流して、輝度測定装置(MCPD9800、大塚電子社製)および積分球(ハーフムーン、大塚電子社製)により測定した。
そして、比較例1におけるLED装置の輝度を、基準輝度(輝度ロス0%)として、各実施例および各比較例(比較例1を除く)のLED装置の輝度ロス(%)を算出した。
その結果を、表1に示す。
なお、表1の各成分の詳細を以下に記載する。
トスパール 2000B:商品名、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子、平均粒子径6.0μm、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製
トスパール145:商品名、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子、平均粒子径4.5μm、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製
シリコーンパウダーKMP590:商品名、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子、平均粒子径2.0μm、信越化学工業社製
シリコーンパウダーMSP−N050:商品名、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子、平均粒子径0.5μm、日興リカ社製
シリコーンパウダーMSP−N080:商品名、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子、平均粒子径0.8μm、日興リカ社製
FB−3sdc:商品名、二酸化ケイ素、電気化学工業社製、平均粒子径3.4μm
AEROSIL R976S:商品名、二酸化ケイ素、平均粒子径7nm、アエロジル社製
YAG:Ce:蛍光体、平均粒子径8.9μm