JP2013136960A - 内燃機関用ピストン - Google Patents

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亮太郎 高田
Yoshitaka Tsujii
芳孝 辻井
Takahisa Tashiro
尊久 田代
Takaharu Echigo
隆治 越後
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Abstract

【課題】ピストンの重量増加を抑制しつつ、低コストで潤滑性能を向上させる。
【解決手段】ピストンのピストンスカート12の摺接面には、複数本の条痕24が形成される。各条痕24は、突起部26と谷部28とを有するうねりである。この中の突起部26にのみ、潤滑性肉盛り部30が選択的に設けられる。すなわち、潤滑性肉盛り部30は、突起部26に沿ってピストンスカート12の摺接面を周回するような線状形状をなす。なお、潤滑性肉盛り部30は、銀(Ag)、銀合金、銅(Cu)又は銅合金からなる。突起部26と潤滑性肉盛り部30との間に、樹脂からなる凸部42を介在させるようにしてもよい。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関にてシリンダ内を往復動作する内燃機関用ピストンに関する。
自動車は、燃料が供給された内燃機関が発生する駆動力を回転駆動力に変換してタイヤを回転動作させ、これにより走行している。このような構成の自動車において、近時、内燃機関の燃料消費率(燃費)を向上させることが種々試みられている。燃料の消費量が低減するので、省エネルギ化となるとともに、地球環境保護に貢献し得るからである。
そのような試みの1つとして、内燃機関のシリンダの内壁(ボア又はスリーブの内壁)と、該シリンダ内を往復動作するピストンとの摺動抵抗を低減することが挙げられる。摺動抵抗が小さい場合、ピストンが往復動作することが容易となる。このため、ピストンを往復動作させるための駆動力が小さくなり、ひいては燃料消費量が低減するからである。
摺動抵抗を低減するべく、潤滑性に富む物質を含む層をシリンダの内壁又はピストンスカートに設け、これにより、内壁又はピストンスカートの潤滑性能を向上させることが知られている。例えば、本出願人は、特許文献1において、ピストンスカートの摺接面に条痕を形成するとともに、該条痕を銀、銀合金、銅又は銅合金からなる潤滑性の皮膜で被覆することを提案している。
また、特許文献2には、MoS、WS、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレン、窒化ホウ素、クラスターダイヤモンド、シリコン等を分散媒に分散させて塗料ないしインクを調製し、これをシルク印刷やパッド印刷、スプレー等にてピストンスカートに塗布することにより、所定のパターンをなす凸状の固体潤滑皮膜を形成する技術が開示されている。
国際公開第2011/115152号パンフッレット 特開2005−320934号公報
銀又は銀合金は概して高価であり、また、重量も大きい。このため、銀又は銀合金からなる皮膜をピストンスカートの摺接面の全体に形成すると、コストの上昇及びピストンの重量増加を招いてしまう。銅又は銅合金は、金属の中では比較的安価で軽量ではあるが、特許文献2に記載される皮膜の素材であるMoS、WS、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレン、窒化ホウ素、クラスターダイヤモンド、シリコン等と比べると大重量であり、ピストンの重量増加を回避することが容易ではない。
このような不具合を回避するべく、特許文献2に記載されるように所定のパターンをなす皮膜を形成することも想起される。この場合、塗料ないしインクの塗布量が低減されるので、形成される皮膜の総量が少なくなると考えられるからである。
しかしながら、銀又は銀合金からなる皮膜を特許文献2に記載されるようなパターン形状で形成しても、塗料ないしインクの塗布量はさほど低減しない。また、銀、銀合金、銅及び銅合金は上記した素材に比して重量が大きいため、このような金属からなる皮膜を形成しながらピストンの重量増加を大きく抑制することは容易ではない。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、銀、銀合金、銅及び銅合金からなる潤滑部を形成しながらピストンの重量が増加することを抑制することが可能であり、しかも、焼付きが起こることを回避しつつ内燃機関の燃費の向上に寄与し得る内燃機関用ピストンを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、内燃機関のシリンダ内を往復動作する内燃機関用ピストンにおいて、
銀、銀合金、銅又は銅合金の少なくともいずれか1種からなり、且つ点状形状又は線状形状をなす複数個の潤滑性肉盛り部が、ピストンスカートの摺接面に設けられていることを特徴とする。
すなわち、本発明においては、摺接に関与する部位にのみ選択的に潤滑性肉盛り部を設けるようにしている。このため、ピストンスカートの全体にわたって潤滑性肉盛り部を設ける場合に比して、潤滑性肉盛り部を得るための金属(銀、銀合金、銅又は銅合金)の使用量を大幅に低減することができる。
そして、金属の使用量が低減するので、コストを低廉化することができる。また、潤滑性肉盛り部を凸部にのみ選択的に設けるようにしているので、内燃機関用ピストンの重量が大きく増加することを回避することができる。
加えて、銀、銀合金、銅又は銅合金からなる潤滑性肉盛り部を設けると、シリンダの内壁とピストンスカートとの間に潤滑油が良好に保持されるとともに、両者の間に凝着が起こることが回避される。これにより、焼付きが生じることが有効に回避される。この効果は、内燃機関用ピストンがFCスリーブ又はAlスリーブの内壁に摺接する場合に特に顕著である。
さらに、潤滑性肉盛り部で摺接部を構成するようにしているので、ピストンスカートの摺接面に条痕を形成する必要は特にない。この場合、条痕を形成するための加工作業が不要となる。
ピストンスカートの摺接面と各潤滑性肉盛り部との間に、中間層を介在させるようにしてもよい。そして、この中間層を凸部として設け、且つ該凸部上にのみ潤滑性肉盛り部を設けることが好ましい。
この場合、潤滑性肉盛り部は、その内部に凸部が進入した状態となる。このため、金属の使用量が一層低減する。
前記中間層は、ピストンスカートの摺接面の全体を被覆するものであってもよい。この場合、ピストンスカートの摺接面を平滑面とし、該平滑な摺接面上に中間層を形成すればよい。さらに、中間層の一部を***させて凸部を設けることも可能である。勿論、ピストンスカートの摺接面に条痕を形成するとともに、該条痕の突起部(凸部)を樹脂で覆うことで、凸部としての中間層を設けるようにしてもよい。
このような中間層は、樹脂を用いて形成することができる。特に、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン−6樹脂、ナイロン−6,6樹脂等から凸部を設けた場合、ピストンスカートと潤滑性肉盛り部との間の接合力が強固となるので好適である。
中間層には、上記した樹脂の他、二硫化モリブデン(MoS)や窒化ホウ素(BN)、グラファイト等の各種の固体潤滑剤を含めるようにしてもよい。この場合、中間層が万一露呈したとしても、該中間層に含まれる固体潤滑剤によって潤滑性能が維持される。
ピストンスカートの摺接面の全体が樹脂によって覆われるとともに、この樹脂の一部が***されて凸部が設けられ、該凸部上に潤滑性肉盛り部が設けられる。
本発明によれば、銀、銀合金、銅又は銅合金の少なくともいずれか1種からなる複数個の潤滑性肉盛り部を、ピストンスカートの摺接面に点状形状又は線状形状として設けるようにしているので、潤滑性肉盛り部を得るための金属(銀、銀合金、銅又は銅合金)の使用量を低減することができる。これに伴い、潤滑性肉盛り部を設ける際のコストが低廉化する。また、内燃機関用ピストンの重量が大きく増加することが回避されるので、該内燃機関用ピストンを往復動作させるための駆動力が大きくなることが回避される。このことは、内燃機関の燃費の向上に寄与し得る。
また、潤滑性肉盛り部が銀、銀合金、銅又は銅合金の少なくともいずれか1種からなるので、ピストンスカートとシリンダの内壁との間に潤滑油が良好に保持されるとともに、両者の間に凝着が起こることが回避される。このため、焼付きが起こることを回避することができる。
本発明の第1実施形態に係るピストンの概略全体斜視図である。 図1に示すピストンの側面図である。 前記ピストンを構成するピストンスカートの表層部近傍を拡大して示す断面模式図である。 第1実施形態の変形例に係るピストンを構成するピストンスカートの表層部近傍を拡大して示す断面模式図である。 本発明の第2実施形態に係るピストンの側面図である。 図5のピストンを構成するピストンスカートの表層部近傍を拡大して示す断面模式図である。 第2実施形態の変形例に係るピストンを構成するピストンスカートの表層部近傍を拡大して示す断面模式図である。
以下、本発明に係る内燃機関用ピストン(以降、単に「ピストン」と表記することもある)につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るピストン10の概略全体斜視図であり、図2は、その側面図である。このピストン10は、その下部に一対のピストンスカート12、12を有し、該ピストンスカート12、12同士の間には、略鉛直方向に沿って延在する壁部14、14が介在する。壁部14、14の各々には、ピンボス部16、16が水平方向に指向して突出するように設けられ、ピンボス部16、16の各々には、図示しないピストンピンを挿入するためのピストンピン孔17、17が貫通形成される。前記ピストンピンは、図示しないコネクティングロッド(コンロッド)の小端部に形成される貫通孔に通され、これにより、コンロッドを軸支する。
ピストンスカート12、12の上部には、下方から上方に向かうに従って、オイルリング溝18、第1ピストンリング溝20、第2ピストンリング溝22がこの順序で形成される。勿論、これらオイルリング溝18、第1ピストンリング溝20及び第2ピストンリング溝22は、ピストン10の頭部を円周方向に沿って周回するように形成されている。
以上のように構成されるピストン10は、AC2A、AC2B、AC4B、AC4C、AC4D、AC8H、A1100(いずれもJISに定義されるアルミニウム合金)、又はAl−Cu合金等のアルミニウム合金からなる。
図3に拡大して示すように、第1実施形態においては、前記ピストンスカート12の摺接面に対して条痕24が設けられる。ここで、図3中の矢印X方向は、図1及び図2中の矢印X方向に対応し、以降の図面においても同様である。
条痕24は、***した突起部26と、陥没した谷部28とを有するうねりであり、該ピストンスカート12に対し、その周回方向に沿って機械加工を施すことで形成される。突起部26(凸部)の高さHは0.001〜0.1mmの範囲内であり、隣接する突起部26、26同士の間隔、すなわち、ピッチPは0.1〜0.5mmの範囲内であることが好適である。なお、高さHの一層好適な範囲は0.008〜0.012mmであり、ピッチPの一層好適な範囲は0.25〜0.3mmである。
ここで、第1実施形態では、条痕24中の突起部26にのみ潤滑性肉盛り部30が設けられる。すなわち、潤滑性肉盛り部30は、条痕24を構成する谷部28には設けられておらず、突起部26の軌跡に従ってピストンスカート12の周回方向に沿って線状に延在する。
潤滑性肉盛り部30は、銀、銀合金、銅、又は銅合金のいずれかからなる。これらはいずれも、ピストンスカート12がシリンダブロックのボアの内壁、又はシリンダスリーブの内壁に対して摺接する際、優れた潤滑性能を示す。なお、銀合金の好適な例としてはAg−Sn合金、Ag−Cu合金が挙げられ、銅合金の好適な例としてはCu−Sn合金、Cu−Zn合金、Cu−P合金等が挙げられる。
潤滑性肉盛り部30を銀又は銀合金で構成する場合、銀の純度は、60重量%以上であることが好ましい。60重量%未満であると、潤滑性肉盛り部30の熱伝導率が若干低く、このために平滑な摩耗面が形成することが容易ではなくなるので、内燃機関の摩擦損失(Psf)を低減する効果が乏しくなる傾向がある。銀の純度は、80重量%以上であることが一層好ましい。
一方、潤滑性肉盛り部30を銅又は銅合金で構成する場合、銅の純度は、上記と同様の理由から70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることが特に好ましい。
ここで、銀の純度は、「潤滑性肉盛り部30に含まれる銀の重量%」として定義される。めっきにて潤滑性肉盛り部30を形成した場合、該潤滑性肉盛り部30に含まれる成分は概ね銀であり、従って、銀の純度は略100%である。また、銀合金からなる潤滑性肉盛り部30を形成した場合には、銀の純度は、潤滑性肉盛り部30中に含まれる銀の重量%として求められる。さらに、銀粒子を塗布した後に焼結体からなる潤滑性肉盛り部30を得る場合、銀の純度は、ペースト中の銀粒子の割合として定義される。銅の純度についても同様である。
なお、潤滑性肉盛り部30の全てを同一金属から設ける必要は特にない。例えば、1個の条痕24の突起部26を銀からなる潤滑性肉盛り部30で被覆するとともに、該条痕24に隣接する別の条痕24の突起部26を銅合金からなる潤滑性肉盛り部30で被覆する等、別種の金属から設けるようにしてもよい。
また、潤滑性肉盛り部30の厚みは、特に限定されるものではないが、過度に小さいと潤滑性肉盛り部30が比較的短期間で摩耗してしまい、下地である突起部26が露呈することになる。一方、過度に大きいと、潤滑性肉盛り部30の重量が大きくなるのでピストン10を往復動作させるための駆動力が大きくなってしまう。以上の不都合が発生することを回避するべく、潤滑性肉盛り部30の厚みを0.5〜100μmに設定することが好ましい。
潤滑性肉盛り部30は、例えば、内燃機関に組み込まれる前のピストン10に対してアルカリ液によるエッチング、酸洗浄、2回の亜鉛置換処理を施した後、めっき処理を施すことによって形成することができる。めっき浴としては、シアン化銀めっき浴や、シアン化銅めっき浴を採用すればよい。勿論、銀合金めっき皮膜又は銅合金めっき皮膜を形成する場合には、そのような合金皮膜が得られるようにめっき条件を変更すればよい。
このようにしてめっき処理を行う際、条痕24の谷部28をマスクで被覆する。これにより、凸部である突起部26に対して選択的に潤滑性肉盛り部30を設けることができる。
又は、微粒子を出発原料として得た焼結体からなる潤滑性肉盛り部30を形成するようにしてもよい。微粒子としては、平均粒径が1〜80nm、より好ましくは30〜80nmである、いわゆるナノ粒子が好適である。このようなナノ粒子から形成された潤滑性肉盛り部30は、ピストンスカート12に対する接合力が強固となり、結局、ピストンスカート12から脱落し難くなる。
そして、このナノ粒子を、例えば、テルピネオール、ノナノール、エチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン等の適切な分散媒(好ましくは極性分散媒)に分散させ、粘度が10cp程度であるペーストを調製する。
次に、該ペーストをピストンスカート12に塗布する。塗布に際しては、スクリーン印刷やパッド印刷等の公知の塗布手法を採用することができる。
この際には、条痕24の谷部28をスクリーンで覆う。これにより、前記谷部28にペーストが塗布されることが防止され、凸部である突起部26にのみ選択的にペーストが塗布される。
次に、該ペーストをピストン10ごと加熱する。この際の好適な加熱温度は、160〜240℃である。これによりペースト中の分散媒が揮発するとともに、ナノ粒子同士が融着する。すなわち、焼結が起こり、ナノ粒子の焼結体からなる潤滑性肉盛り部30が得られるに至る。ペーストが突起部26にのみ塗布されているので、潤滑性肉盛り部30も突起部26にのみ選択的に形成される。
ナノ粒子を用いた場合、上記したように160〜240℃という比較的低温域で焼結させて潤滑性肉盛り部30を形成することが可能である。従って、アルミニウム合金からなるピストンスカート12が高温となることが回避され、このため、該ピストンスカート12の機械的強度等に影響が及ぶことを回避することができる。
このように、第1実施形態によれば、凸部である突起部26にのみ選択的に潤滑性肉盛り部30を設けるので、該潤滑性肉盛り部30を得るための金属(銀、銀合金、銅又は銅合金)の使用量が低減する。従って、コストが低廉化する。しかも、潤滑性肉盛り部30が突起部26にのみ存在するので、ピストン10の重量が大きく増加することを回避することができる。
内燃機関を組み上げて運転する際、シリンダの内壁(シリンダボアの内壁又はシリンダスリーブの内壁)に対して、実質的には突起部26のみが潤滑油を介して摺接する。上記したように該突起部26には潤滑性肉盛り部30が設けられており、この潤滑性肉盛り部30によって、シリンダの内壁とピストンスカート12との間に十分な潤滑作用が発現する。
すなわち、内燃機関において、ピストンスカート12の摺接面は、シリンダ内で、例えば、FC(ねずみ鋳鉄)スリーブ又はAlスリーブの内壁に摺接する。このような構成の内燃機関では、潤滑性肉盛り部30の熱伝導度と、FCスリーブ又はAlスリーブの熱伝導度との和を求めると350W/m・K以上となり、且つ、潤滑性肉盛り部30のFCスリーブ又はAlスリーブに対するヤング率の差の絶対値が10GPa以上となる。本発明者らの鋭意検討によれば、この場合、スリーブとピストンスカート12との間の微小なクリアランスに潤滑油が良好に保持されるとともに、スリーブとピストンスカート12との間に凝着が発生することが回避される。このため、焼付きが生じることを有効に回避し得るとともに、内燃機関の摩擦損失を大幅に低減することができる。
以上のように、突起部26にのみ選択的に潤滑性肉盛り部30を設けることにより、コストを低廉化しつつ、しかも、ピストン10の重量増加を抑制しながら、十分な潤滑作用を発現させることができる。
なお、条痕24の突起部26で凸部を設けることに代替し、樹脂によって凸部を設けるようにしてもよい。これを、第1実施形態の変形例として説明する。
この変形例では、図4に断面を拡大して示すように、ピストンスカート12の摺接面が平滑面として形成されるとともに、該平滑な摺接面に樹脂層40(中間層)が固着されている。この樹脂層40には、摺接面を周回する複数本の線状形状をなすようにして凸部42が突出形成される。この場合、凸部42は、ピストンスカート12に近接する底部側で幅広、離間する頂部側で幅狭となっている。このため、複数本の線状形状の凸部42によって、条痕24に類似する条痕形状が形成される。
樹脂層40(凸部42)を構成する樹脂は、潤滑性肉盛り部30とピストンスカート12との接合力を向上させる種類のものであることが好ましい。そのような素材の好適な例としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン−6樹脂、ナイロン−6,6樹脂等を挙げることができる。後述する固体潤滑剤をさらに含むものであってもよい。
この変形例においては、ピストンスカート12の摺接面と潤滑性肉盛り部30との間に樹脂からなる凸部42を介在するように設けるようにしているので、潤滑性肉盛り部30をなす銀、銀合金、銅又は銅合金の使用量が低減する。その結果、コストが低廉化するとともに、ピストン10の重量が大きく増加することを回避することができる。
なお、この変形例において、ナノ粒子を出発原料として潤滑性肉盛り部30を形成するときには、ペーストを得るための分散媒として、ピストンスカート12の摺接面と潤滑性肉盛り部30の間に介在する凸部42(樹脂)を膨潤させることが可能なものを選定することが好ましい。その具体例としては、N−メチルピロリドン、ポリビニルピロリロン、トリクロロエチレン、四塩化炭素等が挙げられる。
この場合、潤滑性肉盛り部30を形成するために凸部42上にペーストを塗布した際、分散媒の作用下に樹脂が膨潤する。その結果として、樹脂とペーストとの界面に銀粒子が拡散した相互混合層が形成される。この相互混合層によって、凸部42と潤滑性肉盛り部30との間にいわゆるアンカー効果が発現するので、凸部42に対する潤滑性肉盛り部30の接合力が一層強固となる。
さらに、ピストンスカート12の摺接面を平滑面とし、該平滑な摺接面に直接、又は凸部42のない平滑な樹脂層40を介して線状の潤滑性肉盛り部30を複数個設けるようにしてもよい。
また、樹脂層40は、潤滑性肉盛り部30を設ける部位にのみ、線状形状のものとして設けるようにしてもよい。
次に、第2実施形態につき説明する。なお、図1〜図4に示される構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図5は、第2実施形態に係るピストン50の側面図である。この場合、ピストンスカート12の摺接面には、複数個の点状形状として潤滑性肉盛り部52が設けられる。なお、潤滑性肉盛り部52は、第1実施形態と同様に銀、銀合金、銅又は銅合金からなる。
図5においては理解の容易のために示していないが、図6に拡大して示すように、第2実施形態においても、ピストンスカート12に条痕24が形成される。その一方で、潤滑性肉盛り部52は、条痕24の凸部(突起部26)であるか谷部28であるかに関わらず、ランダムに配置される。すなわち、第2実施形態では、潤滑性肉盛り部52の形成位置は、突起部26(凸部)に限定されない。
しかしながら、第2実施形態では、潤滑性肉盛り部52が点状形状に設けられるため、個々の潤滑性肉盛り部52の体積が小さい。すなわち、第1実施形態では、実際の摺接に関与する位置にのみ潤滑性肉盛り部30を設けることで金属(銀、銀合金、銅又は銅合金)の使用量を低減するようにしているが、第2実施形態では、個々の潤滑性肉盛り部52の体積、ひいては、全ての潤滑性肉盛り部52の体積の総和を小さくすることで、金属の使用量を低減するようにしている。
このため、第2実施形態においても、第1実施形態と同様にコストが低廉化するとともに、ピストン50の重量が大きく増加することを回避することができるという効果が得られる。
なお、潤滑性肉盛り部52を点状に形成する手法としては、上記しためっき処理や、スクリーン印刷又はパッド印刷等の公知の塗布手法が挙げられる。めっき処理を行う場合にはピストンスカート12をマスクで覆うことにより、スクリーン印刷又はパッド印刷等を行う場合にはスクリーンで覆うことにより、潤滑性肉盛り部52を点状に設けることができる。
また、条痕24を形成することは必須ではない。すなわち、ピストンスカート12の摺接面を平滑面とし、この平滑な摺接面に対して点状の潤滑性肉盛り部52を設けるようにしてもよい。この場合、潤滑性肉盛り部52、52同士の間に形成される凹部が潤滑油を保持する役割を果たす。
さらに、ピストンスカート12の摺接面と、潤滑性肉盛り部52との間に中間層を介在するようにしてもよい。これを、第2実施形態の変形例として説明する。
この変形例では、図7に断面を拡大して示すように、ピストンスカート12の平滑な摺接面が全体にわたって中間層54で覆われ、この中間層54上に、点状形状の潤滑性肉盛り部52が設けられる。
中間層54は、MoSやグラファイト等の良好な潤滑性を示す無機物質から形成するようにしてもよいが、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン−6樹脂、ナイロン−6,6樹脂等の樹脂から形成するようにしてもよい。前者の場合、潤滑性肉盛り部52が中間層54から万一脱落(剥離)したとしても、中間層54によって潤滑性能が維持される。また、後者の場合、潤滑性肉盛り部52とピストンスカート12との接合力が向上するという利点が得られる。
中間層54は、樹脂材に加えて固体潤滑剤をさらに含有するものであってもよい。換言すれば、中間層54は、潤滑性を示す無機物質と、上記したような樹脂との混合層であってもよい。
固体潤滑剤としては公知のものを配合すればよいが、その好適な例としては、二硫化モリブデン(MoS)、窒化ホウ素(BN)、グラファイト(C)等が挙げられる。この場合、潤滑性肉盛り部52とピストンスカート12との接合力が向上するとともに、中間層54が万一シリンダの内壁に摺接するに至ったとしても、前記固体潤滑剤によって潤滑性能が維持される。
以上のように、中間層54によって潤滑性を維持させたり、又は、潤滑性肉盛り部52とピストンスカート12との接合力を向上させたりしつつ、潤滑性肉盛り部52を得るための金属の使用量を低減することができる。そして、その結果、コストを低廉化することができるとともに、ピストン50の重量が大きく増加することを回避することができる。
そして、上記したような無機物質又は樹脂のいずれも安価且つ軽量であり、このため、ピストンスカート12の摺接面全体を中間層54で被覆したとしても、コストが著しく上昇することや、ピストン50の重量が過度に大きくなることが回避される。しかも、ピストンスカート12の摺接面全体を中間層54で被覆するときには、ピストンスカート12の摺接面の一部に選択的に中間層54を設ける場合に比して作業が容易且つ簡便となるという利点が得られる。
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは勿論である。
例えば、第2実施形態においても、条痕24の突起部26にのみ潤滑性肉盛り部52を点状に形成するようにしてもよい。すなわち、この場合、ピストンスカート12の摺接面を周回する突起部26の一部が潤滑性肉盛り部52によって点状に被覆される。
また、第1実施形態の変形例と同様に、中間層54を条痕形状に形成するようにしてもよい。この場合、条痕形状の頂部に潤滑性肉盛り部52を点状に形成すればよい。
さらに、第2実施形態においても、第1実施形態と同様にピストンスカート12の摺接面を平滑面とし、該平滑な摺接面に直接、又は、潤滑性肉盛り部52を設ける部位にのみ点状形状として設けられた中間層54を介して、潤滑性肉盛り部52を複数個設けるようにしてもよい。
さらにまた、第2実施形態の変形例では、ピストンスカート12の摺接面全体を中間層54で覆うようにしているが、ピストンスカート12の摺接面の一部に選択的に中間層54を点状又は線状に設け、この中間層54上にのみ選択的に潤滑性肉盛り部52を設けるようにしてもよい。
10、50…内燃機関用ピストン 12…ピストンスカート
24…条痕 26…突起部
28…谷部 30、52…潤滑性肉盛り部
40…樹脂層 42…凸部
54…中間層

Claims (7)

  1. 内燃機関のシリンダ内を往復動作する内燃機関用ピストンにおいて、
    銀、銀合金、銅又は銅合金の少なくともいずれか1種からなり、且つ点状形状又は線状形状をなす複数個の潤滑性肉盛り部が、ピストンスカートの摺接面に設けられていることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  2. 請求項1記載のピストンにおいて、前記ピストンスカートの摺接面と、前記複数個の潤滑性肉盛り部の各々との間に中間層が介在していることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  3. 請求項2記載のピストンにおいて、前記中間層は、前記ピストンスカートの摺接面に凸部として設けられ、前記複数個の潤滑性肉盛り部が、前記凸部上にのみ設けられていることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  4. 請求項2記載のピストンにおいて、前記中間層は、前記ピストンスカートの摺接面の全体を被覆して該摺接面と前記潤滑性肉盛り部との間に介在することを特徴とする内燃機関用ピストン。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項に記載のピストンにおいて、前記中間層が少なくとも樹脂を含有するものであることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  6. 請求項5記載のピストンにおいて、前記中間層に固体潤滑剤がさらに含まれることを特徴とする内燃機関用ピストン。
  7. 請求項6記載のピストンにおいて、前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、グラファイトの群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする内燃機関用ピストン。
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