JP2013133954A - バルク材冷却装置及びバルク材冷却方法 - Google Patents

バルク材冷却装置及びバルク材冷却方法 Download PDF

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Abstract

【課題】冷却性能に影響を及ぼす因子が搬送方向に直交する方向にばらついていても、このような因子の勾配を均す。
【解決手段】バルク材冷却装置4が、搬送方向に延び且つ搬送方向と直交する直交方向に並べられ、バルク材の層94を支持して搬送方向に往復移動可能な複数列の可動床20,30と、複数列の可動床20,30を制御するコントローラ50と、を備える。コントローラ50は、複数列の可動床20,30を同時に搬送方向下流側へ移動させる送り工程と、当該送り工程の後に複数列の可動床20,30を複数回に分けて搬送方向上流側へ移動させる戻り工程とで1サイクルを成す一連の動作が繰り返されるようにして複数列の可動床20,30を制御する。コントローラは、送り工程において少なくとも一つの可動床20A,20B,30A,30Bの移動距離を他の可動床20C〜F,30C〜Fの移動距離と異ならせる不等速搬送モードを実行可能に構成される。
【選択図】図10

Description

本発明は、例えばセメントクリンカ等のバルク材の層を搬送しながら冷却するための装置及び方法に関する。
バルク材の層を搬送しながら冷却する装置として、セメントプラントに備わるクリンカ冷却装置が知られている(例えば特許文献1及び2参照)。クリンカ冷却装置は、セメント原料を焼成する焼成炉(キルン)の後段に設けられており、セメント原料を焼成することによって生成された中間製品(セメントクリンカ)に冷却エアを供給し、当該中間製品を急冷する。
セメントクリンカは、1〜25mm程度の粒径を有した粒体又は塊体である。クリンカ冷却装置は、焼成炉から順次に供給されるセメントクリンカを層状にして搬送しながら、セメントクリンカに向けて冷却エアを供給し続ける。それにより、セメントクリンカは搬送の過程で冷却される。
従来、セメントクリンカを搬送するため様々な方式が提案されており、特許文献1及び2には、そのうちの縦列摺動式が開示されている。縦列摺動式を採用した場合、クリンカ冷却装置には、セメントクリンカの搬送方向に往復移動可能な複数列の可動床が設けられ、該複数列の可動床が、当該搬送方向と直交する方向(以下、「直交方向」又は「幅方向」)に並べられる。
縦列摺動式では、まず、複数列の可動床が、同一タイミングで始動し、同一速度で同一移動距離だけ搬送方向下流側に移動し、同一タイミングで停止する。これにより、可動床に支持されているセメントクリンカが一斉に搬送方向下流側に略同一の搬送距離だけ搬送される。次に、複数列の可動床が、複数回に分かれて前記移動距離だけ搬送方向上流側に移動して元の位置に戻る。つまり、複数列の可動床の一部を元の位置に戻すという工程が、移動させる可動床を変えながら複数回行われ、最終的に全列の可動床が元の位置に戻る。この過程で、セメントクリンカ全体は静止している可動床に支持されて静止状態を維持し、移動させる可動床が静止状態のセメントクリンカに対して滑る。この一連の動作が繰り返されると、可動床は往復移動を繰り返しているだけであるのに、可動床に支持されているセメントクリンカは搬送方向下流側に間欠的に搬送されていく。
特表2008−519956号公報 特表2006−526750号公報
従前の一般的な縦列摺動式では、バルク材の層が直交方向に略同一の速度で搬送される。また、一般に、冷却エアの仕様(流量、圧力及び温度等)は直交方向に略均質とされる。
一方、クリンカ冷却装置は、焼成炉から順次にセメントクリンカの供給を受ける。焼成炉が回転窯を備えたものである場合、回転窯の回転方向に応じて、セメントクリンカの粒度が直交方向にばらつく。細粒を多く含んだ部分は、粗粒を多く含んだ部分よりも充填率が高くなるので、冷却エアが通過するときの圧力損失が高くなる。このように圧力損失が直交方向にばらつくと、冷却エアは圧力損失が低い側を流れようとする。すると、圧力損失が低い側(すなわち、粗粒を多く含む側)の冷却が促進される一方、圧力損失が高い側(すなわち、細粒を多く含む側)の冷却がなかなか進行しない。よって、直交方向に冷却ムラができてしまう。冷却ムラは、セメントクリンカの品質の安定化に影響を及ぼすので、極力抑制することが望ましい。
極端な状況では、細粒を多く含んだ部分に、殆ど冷却されていない赤熱状態のセメントクリンカが供給され続けることにより、赤熱状態のセメントクリンカが搬送方向に筋状に連続する現象、いわゆる「赤川現象」が発生することもある。赤川現象が一旦発生すると、保有熱量が高いまま維持されることや、細粒を多く含むために冷却エアが供給されにくいことが相俟って、赤川現象を早期に解消することは困難となるし、非常に大きな冷却ムラも生じる。
そこで本発明は、冷却性能に影響を及ぼす因子が搬送方向と直交する方向にばらついていても、このような因子の勾配を均すことを目的としており、それにより冷却ムラの抑制を図ることを目的としている。
本発明は、上記の目的を達成すべくなされたものであり、本発明に係るバルク材冷却装置は、バルク材の層を搬送方向下流側に搬送しながら冷却するバルク材冷却装置であって、前記搬送方向に延び且つ前記搬送方向と直交する直交方向に並べられ、バルク材の層を支持して前記搬送方向に往復移動可能な複数列の可動床と、前記複数列の可動床に支持されているバルク材を冷却する冷却エア供給手段と、前記複数列の可動床を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記複数列の可動床を同時に前記搬送方向下流側へ移動させる送り工程と、当該送り工程の後に前記複数列の可動床を複数回に分けて前記搬送方向上流側へ移動させる戻り工程とで1サイクルを成す一連の動作が繰り返されるようにして前記複数列の可動床を制御し、それによりバルク材を前記搬送方向下流側へと間欠的に搬送し、前記コントローラは、前記送り工程において少なくとも一つの可動床の移動距離を他の可動床の移動距離よりも短くする不等速搬送モードを実行可能に構成されている。
前記構成によれば、いわゆる縦列摺動式によりバルク材が間欠的に搬送されていく。前述のとおり、従前一般的な縦列摺動式では、送り工程において、全列の可動床が、同一タイミングで、同一速度で、同一移動距離だけ搬送方向下流側に移動する。これに対し、本発明によれば、コントローラが不等速搬送モードを実行可能に構成され、この不等速搬送モードの実行中には、少なくとも一つの可動床の移動距離が他の可動床の移動距離よりも短くなる。
すると、バルク材の搬送速度が、直交方向に不均等になり、当該少なくとも一つの可動床に支持されている部分において低速になる。一方、受入れ部では、バルク材が順次に供給される。したがって、当該少なくとも一つの可動床に対応する部分において、バルク材の層高が高くなっていく。このようにして当該少なくとも一つの可動床に支持されている部分が他の部分から***すると、***した部分のうち、安息角又は崩壊角により規定される斜面から外れた部分は、隣接している部分であって相対的に低層の部分に崩落する。この崩落により、当該少なくとも一つの可動床上に支持されていたバルク材の一部を、これと隣接する可動床の上方に分配することができる。すると、粒度や温度等の冷却性能に影響を及ぼす因子が、直交方向にばらついていたとしても、このような因子の勾配を均すことができる。よって、勾配に応じて冷却エアの仕様(流量、圧力及び温度等)を直交方向に異ならせるべく多数の冷却ファンを直交方向に並べるようなことをせずとも、冷却ムラを抑制することができる。
バルク材の層が前記直交方向に粒度勾配を有する場合に、前記コントローラは、前記直交方向において粒度が細粒側の可動床の移動距離が他の可動床の移動距離よりも短くなるようにして、前記不等速搬送モードを実行してもよい。
前記構成によれば、細粒を隣接する可動床の上方に分配することができるので、冷却エア供給手段から供給された冷却エアがバルク材を通過するときに生ずる圧力損失を直交方向に均すことができる。よって、冷却ムラを良好に軽減することができる。
前記複数列の可動床が、前記搬送方向に延びる上可動部と、前記上可動部の搬送方向下流末端の下方から前記搬送方向下流側に延びる下可動部とを成し、前記コントローラが、前記上可動部を成す可動床のうち少なくとも一つの可動床の移動距離を他の可動床の移動距離よりも短くなるようにし、前記下可動部を成す可動床のうち前記少なくとも一つの可動床と直交方向において同位置にある可動床の移動距離を他の可動床の移動距離よりも短くなるようにして、前記不等速搬送モードを実行してもよい。
前記構成によれば、直交方向において少なくとも一つの可動床が配置されている部分で、冷却性能に影響を及ぼす因子の勾配が顕著に表れている場合に、当該部分に支持されているバルク材の一部を直交方向に分配することができる。よって、赤川現象の早期解消に資する。
また、前記複数列の可動床が、前記搬送方向に延びる上可動部と、前記上可動部の搬送方向下流末端の下方から前記搬送方向下流側に延びる下可動部とを成し、前記コントローラが、前記上可動部を成す可動床のうち少なくとも一つの可動床の移動距離を他の可動床の移動距離と異ならせ、前記下可動部を成す可動床のうち、前記少なくとも一つの可動床と直交方向に隣接する可動床の移動距離を他の可動床の移動距離よりも短くなるようにして、前記不等速搬送モードを実行してもよい。
前記構成によれば、上可動部において前記少なくとも一つの可動床に支持されているバルク材が隣接する可動床の上方に分配される。その後、下可動部において、当該隣接する可動床に支持されているバルク材が、これと隣接する可動床の上方に分配される。このように、バルク材が直交方向に広く分配されるようになり、勾配が好適に平準化される。
前記複数列の可動床には、上方に配置された筒状回転体の出口から順次排出されるバルク材が供給され、前記少なくとも一つの可動床が、前記筒状回転体を出口側から見たときに、前記筒状回転体の下端における接線速度方向側の端部に配置された可動床であってもよい。
前記構成によれば、上方に配置された筒状回転体からバルク材の供給を受ける場合、筒状回転体の内部では、筒状回転体の下端における接線速度方向側に細粒が集まりやすく、その反対側に粗流が集まりやすい。これに着眼し、不等速搬送モードを実行する場合に、移動距離を短くする可動床を、当該接線速度方向側の端部に配置されたものとすることにより、可動床に支持されている細粒を好適に直交方向に分配することができる。
前記バルク材がセメントクリンカであり、前記複数列の可動床が、回転窯を備えた焼成炉から順次供給されるセメントクリンカを受け入れてもよい。セメントクリンカは、粒度のバラツキが比較的大きく、焼成によって高温を有する状態でバルク材冷却装置に供給される。このため、上記の作用効果が顕著に得られる。
本発明に係るバルク材冷却方法は、搬送方向に延び且つ前記搬送方向と直交する直交方向に並べられた複数列の可動床に支持されたバルク材の層を前記搬送方向下流側に搬送しながら冷却するバルク材冷却方法であって、前記複数列の可動床を同時に前記搬送方向下流側へ移動させる送り工程と、当該送り工程の後に前記複数列の可動床を複数回に分けて前記搬送方向上流側へ移動させる複数回の戻り工程と、を有し、前記送り工程と前記複数回の戻り工程とが1サイクルを成し、当該1サイクルの一連の工程が繰り返され、前記送り工程において、少なくとも一つの可動床の移動距離が他の可動床の移動距離よりも短い。
前記方法によれば、前記バルク材冷却装置と同様、バルク材の搬送速度の不均等、層高差の発生、及び層の厚さが増した部分でのバルク材の崩落を生じさせることができ、それによりバルク材を直交方向に分配することができる。したがって、冷却性能に影響を及ぼす因子が直交方向にばらついていても、このような勾配を均すことができ、冷却ムラを抑制することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、冷却性能に影響を及ぼす因子が搬送方向と直交する方向に勾配を有していても、このような勾配を均すことができ、それにより直交方向の冷却ムラの抑制を図ることができる。本発明に係る上記及び他の目的、特徴及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明の実施形態に係るクリンカ冷却装置を備えるセメントプラントの焼成設備を示す概念図である。 図1に示すクリンカ冷却装置の斜視図である。 図2に示す受入れ部の一部及び可動部の一部を示す部分側断面図である。 図2に示すクリンカ冷却装置の制御系の構成を示すブロック図である。 通常搬送モードにおける上可動床の動作を示す作用図である。 回転窯の回転方向が、上可動床上に支持されたセメントクリンカ層の直交方向の粒度分布及び温度分布に及ぼす影響を示す概念図である。 右側2列の上可動床の移動距離を他の上可動床の移動距離よりも短くした場合を例にとり、不等速搬送モードにおける上可動床の動作を示す作用図である。 可動床の移動距離とセメントクリンカの搬送効率との関係を示すグラフである。 可動床の移動速度とセメントクリンカの搬送効率との関係を示すグラフである。 二階式クリンカ冷却装置において不等速搬送モードを実行するときの態様の第1例を示す概念図である。 二階式クリンカ冷却装置において不等速搬送モードを実行するときの態様の第2例を示す概念図である。 不等速搬送モードにおける移動距離の時間推移の一例を示すタイムチャートである。 図4に示すコントローラにより実行される搬送制御の処理の第1例を示すフローチャートである。 図4に示すコントローラにより実行される搬送制御の処理の第2例を示すフローチャートである。 図4に示すコントローラにより実行される搬送制御の処理の第3例を示すフローチャートである。
以下、本発明に係るバルク材冷却装置をクリンカ冷却装置に適用した場合を例にとり、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、全ての図を通じて同一又は相当する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
[セメントプラント]
図1は、本発明の実施形態に係るクリンカ冷却装置4を備えたセメントプラントの焼成設備1を示す概念図である。セメントプラントは、セメントを生産するため、原料粉砕工程、焼成工程及び仕上工程を順に行う。原料粉砕工程では、セメント原料が粉砕される。焼成工程では、粉砕されたセメント原料が焼成及び急冷され、それにより塊状又は粒状のセメントクリンカが生成される。仕上工程では、セメントクリンカが破砕され、それにより最終製品としてのセメントが生成される。
図1は、セメントプラント内で焼成工程を行うための焼成設備1を模式的に示しており、実線矢印でセメント原料又はセメントクリンカの流れ、点線矢印でガスの流れをそれぞれ示している。図1に示すように、焼成設備1は、予熱器2、焼成炉3及びクリンカ冷却装置4を備えており、これら装置2〜4がこの順に接続されている。予熱器2は、上下に並ぶ複数段のサイクロン5と仮焼炉6とを有している。焼成炉3は、円筒状の回転窯(ロータリーキルン)7と燃焼装置8とを有している。回転窯7は、軸方向両端部に入口及び出口を有し、入口から出口に向かって下傾するようにして配置され、軸心周りに回転可能である。燃焼装置8は、回転窯7の出口に設けられ、化石燃料等を燃焼して得られる高温の火炎を発生させる。回転窯7の入口は、最下段のサイクロン5及び仮焼炉6に接続され、回転窯7の出口は、クリンカ冷却装置4に接続されている。
セメント原料は、サイクロン5により形成される旋回流に乗って予熱器2内を下向きに搬送される過程で、焼成反応に先立ち予加熱される。予加熱は、焼成炉3からの排気との熱交換により行われ、焼成炉3からの排気は、予熱器2内を上向きに流れて最上段のサイクロン5から排出される。予加熱されたセメント原料は、仮焼炉6で仮焼された後、最下段のサイクロン5から回転窯7の入口に供給される。セメント原料は、回転窯7の下傾配置及び回転運動により、回転窯7内で出口に向かって転動流下していき、その過程で燃焼ガスにより焼成される。焼成されたセメント原料は、塊状又は粒状となって回転窯7の出口から排出され、クリンカ冷却装置4に供給される。以降では、クリンカ冷却装置4の構成及び作用の説明の便宜のため、回転窯7の出口から仕上工程が行われるまでのセメントの中間製品を「セメントクリンカ」として説明する。
[クリンカ冷却装置の概要構成]
クリンカ冷却装置4は、焼成炉3からセメントクリンカの供給を受ける。クリンカ冷却装置4は、順次に供給されるセメントクリンカを層状にして搬送し、セメントクリンカ層に冷却エアを供給する。これにより、セメントクリンカ層は、搬送されていく過程で、約1400℃から大気温+65℃程度にまで急冷される。冷却エアは、セメントクリンカ層との熱交換により加熱される。加熱されたエアは、回転窯7と仮焼炉6の燃焼用空気として利用され、焼成炉3からの排気と共にセメント原料の予加熱に活用される。加熱されたエアの熱が回転窯7と仮焼炉6で回収されるので、焼成工程を行うための装置全体の燃費が改善される。
本実施形態に係るクリンカ冷却装置4は、上階部9及び下階部10を有する二階式である。上階部9及び下階部10は、セメントクリンカが搬送されていく方向(以下「搬送方向」)に延びており、回転窯7の出口が、上階部9の搬送方向上流端部に接続されている。下階部10の搬送方向上流端部は、上階部9の搬送方向下流端部の真下に位置しており、セメントクリンカは、下階部10の搬送方向下流端部から放出される。なお、上階部9及び下階部10は、二階建て構造を成していてもよく、搬送方向が、上階部9と下階部10との接続箇所で折り返されていてもよい。
図2は、図1に示すクリンカ冷却装置4の斜視図である。なお、図2では、説明の便宜のため、クリンカ冷却装置4内ではセメントクリンカ90の図示を省略する。また、以下の説明における方向の概念は、搬送方向下流側を前側とする場合を基準としている。図2に示すように、クリンカ冷却装置4は、受入れ部11、上可動部12、下可動部13及び連結部14を備えている。受入れ部11及び上可動部12は上階部9に設けられ、下可動部13は下階部10に設けられている。連結部14は、上階部9を下階部10に空間的に接続する。
受入れ部11は、回転窯7の出口下に設けられており、回転窯7から順次に供給されるセメントクリンカを受け入れる。受入れ部11は、固定傾斜格子16を有している。固定傾斜格子16は、回転窯7の出口下から下傾しながら搬送方向下流側に向かって延びる傾斜面17と、傾斜面17の幅方向両側から上方に延びるガイド壁18とを有している。傾斜面17は、その法線方向に見て等脚台形状に形成されており、上流側から下流側に向かうに連れて幅広になっている。
上可動部12は、受入れ部11から搬送方向下流側へ延びている。上可動部12は、搬送方向とは直交する方向であって上下方向とは異なる方向(以下「直交方向」)に並べられた複数列の上可動床20A,20B,20C,20D,20E,20Fと、複数列の上可動床20A,20B,20C,20D,20E,20Fそれぞれに対応する搬送アクチュエータ21とを備えている。以降では、いずれの可動床であるのか特定して説明する場合には、符号「20」に当該可動床に対応する添え字アルファベットを図面内の表記に従って添えるが、いずれの可動床であるのか特に区別せずに説明する場合には、記載の簡略化のために符号「20」を用いることとする。後述する符号「30」も同様である。
各上可動床20は、搬送方向に並べられた複数の移動格子22を有しており、複数の移動格子22が、搬送方向に長尺のフレーム23に固定されている。いずれかの搬送アクチュエータ21が動作すると、これに対応する可動床20のフレーム23に搬送方向の推進力が付与される。これにより当該フレーム23が搬送方向下流側又は上流側に移動し、当該フレーム23に固定された複数の移動格子22が同期してフレーム23と共に移動する。
上可動部12の搬送方向下流端部は、連結部14を介して下可動部13の搬送方向上流端部に空間的に接続されている。下可動部13は、上可動部12の搬送方向下流端部の真下位置から、搬送方向下流側へ延びるようにして設けられている。下可動部13も、上可動部12と同様にして、直交方向に並べられた複数列の下可動床30と、複数列の下可動床30それぞれに対応する搬送アクチュエータ31とを備える。各下可動床30は、上可動床20と同様にして、複数の移動格子32及びフレーム33を備える。
また、複数列の下可動床30は、複数列の上可動床20と直交方向にオフセットすることなく配置されている。本実施形態では、下可動床30の列数が上可動床20の列数と同じである場合を例示しているが、異なっていてもよい。また、上下ともに可動床20,30の列数を6とした場合を例示しているが、可動床の列数は、後述する縦列摺動式による搬送を実現するために十分な数(3以上)であれば、特に限定されない。
クリンカ冷却装置4は、搬送方向に間隔をおいて並べられた複数の冷却ファン41を備えている。受入れ部11内では、1以上の冷却ファン41が設けられている。上可動部12及び下可動部13内では、複数の冷却ファン41が設けられている。一方、固定傾斜格子16の傾斜面及び移動格子22,32は、複数の開口(図示せず)を有している。各冷却ファン41は、大気からエアを取り込んで冷却エアを圧送する。圧送された冷却エアは、付近の開口を通り抜け、固定傾斜格子16、移動格子22又は移動格子32の上側のスペースへと流れることができる。なお、直交方向に見ると冷却ファン41の台数は単一であり、各冷却ファン41は、開口を通過した時の冷却エアの仕様(流量、圧力及び温度等)が直交方向において略均質となるようにして、配置されている。
[クリンカ冷却装置の概要作用]
上記構成を備えるクリンカ冷却装置4においてセメントクリンカ90がどのようにして搬送されるのか、その概要について説明する。なお、クリンカ冷却装置4を稼動させる前には、複数列の上可動床20の全面及び複数列の下可動床30の全面に亘って、セメントクリンカ層が敷き詰められる。
回転窯7の出口から排出されたセメントクリンカ90は、固定傾斜格子16の傾斜面17の上流部に向かって落下し、受入れ部11によって受け入れられる。傾斜面17の全面に、セメントクリンカ90の堆積物91が丘状に残留している。回転窯7から落下したセメントクリンカ90は、この堆積物91上を滑って傾斜面17上へと落下し、傾斜面17及びガイド壁18に沿って下流部へと転がり落ちていく。セメントクリンカ90を堆積物91で滑らせるので、回転窯7の出口から順次に供給される多数のセメントクリンカ90を、直交方向に略均質に分散させることができる。
図3は、図2に示す受入れ部11の下流部及び上可動部12の上流部を示す側断面図である。図3に示すように、受入れ部11の下流部には、傾斜面17上を転がり落ちたセメントクリンカ90を積み重ねた移動層92が形成される。移動層92は、上可動床20上のセメントクリンカ層に連続しており、セメントクリンカは、移動層92を形成しながら上可動部12に流下する。移動層92には、固定傾斜格子16の前記開口を通り抜けた冷却エアが供給される。冷却エアは、移動層92内を略上方に向けて通過し、これにより移動層92を冷却することができる。
上可動部12は、図4、図5及び図7等を参照しながら後に詳しく説明するとおり、縦列摺動方式により、上可動床20上で積み重ねた状態のセメントクリンカ90を搬送方向下流側へと間欠的に搬送する。上可動床20上のセメントクリンカ層が搬送方向下流側に搬送されると、移動層92からセメントクリンカが上可動部12へと流れ込む。
移動格子22は、上に開放された略矩形箱状の箱体24を有しており、箱体24の底壁25が、冷却エアを通過させる前記開口(図示せず)を有している。上可動床20上のセメントクリンカ層には、箱体24内に収容されたデッド層93と、箱体24の略矩形枠状の上端面及びデッド層93の上に積み重ねられた輸送層94とが存在する。デッド層93は、箱体24と一体的に移動し、原則的に箱体24上に残留する。上可動部12が動作しているときには、輸送層94が、デッド層93に対して滑りながら、搬送方向下流側へと間欠的に搬送されることになる。
上可動床20上のセメントクリンカ層には、移動格子22の前記開口を通り抜けた冷却エアが供給される。冷却エアは、デッド層93及び輸送層94内をこの順で略上方に向けて通過し、これにより上可動床20上のセメントクリンカ層、特に輸送層94を冷却することができる。
図2に戻り、セメントクリンカ層は、上可動部12の搬送方向下流端部まで搬送されると上可動床20により支持され得なくなり、連結部14内で自重落下する。セメントクリンカは、連結部14を通過した後に下可動部13の搬送方向上流端部に到達し、下可動床30上で層状になる。
下可動床30上のセメントクリンカ層も、上可動床20上のセメントクリンカ層と同様にして、搬送方向下流側に間欠的に搬送される。下可動床30の移動格子32も上可動床20の移動格子と同様の構造を有し、下可動床30上のセメントクリンカ層にも、移動格子32の前記開口を通り抜けた冷却エアが供給される。これにより、下可動床30上のセメントクリンカ層を冷却することができる。
セメントクリンカ層は、下可動部13の搬送方向下流端部まで搬送されると、下可動床30により支持され得なくなって下可動部13から放出される。放出されたセメントクリンカは、セメントの中間製品として回収され、必要に応じて貯留された後、仕上工程を行うための装置に供給される。
このようにして、回転窯7から排出されたセメントクリンカは、受入れ部11、上可動部12及び下可動部13をこの順で通過する過程で、冷却ファン41から圧送された冷却エアの供給を受け続ける。それにより、セメントクリンカ層が好適に急冷される。
なお、連結部14内に、大塊を破砕するための回転破砕機42を設けてもよい。大塊は、回転窯7の表面から稀に剥がれ落ちる塊体であり、セメントクリンカと同一の組成を有するものの、そのサイズはセメントクリンカに比して非常に大きい。回転破砕機42が設けられていれば、大塊が受入れ部11に供給されても、下可動部13よりも上流側で破砕することができる。よって、大塊の自重落下による過大な運動エネルギーが下可動部13に作用するのを防ぐことができ、また、クリンカ冷却装置4から放出されるセメントクリンカに大塊が含まれるのを未然に防いで仕上工程を円滑に行うことができる。
[制御系]
図4は、図2に示すクリンカ冷却装置4の制御系の構成を示すブロック図である。図4に示すように、クリンカ冷却装置4は、CPU、メモリ及び入出力インターフェイスを有したコントローラ50を備えている。このコントローラ50は、搬送アクチュエータ21,31の動作を制御し、それにより上可動床20および下可動床30の位置及び移動を制御し、ひいてはセメントクリンカの搬送の態様を制御する。以降では、6列の上可動床20を特に区別して説明する場合、直交方向の右側から順に第1上可動床20A、第2上可動床20B、第3上可動床20C、第4上可動床20D、第5上可動床20E及び第6上可動床20Fと称する。下可動床30に序数を付す場合も同様である。
コントローラ50は、入力側において、モード切替スイッチ51、始動スイッチ52及び停止スイッチ53と接続されている。これらスイッチ51〜53は、焼成設備1の作業員により操作される。モード切替スイッチ51は、セメントクリンカの搬送モードを切り替える又は選択する操作を行うための入力器である。始動スイッチ52は、停止中のクリンカ冷却装置4に起動指令を与える操作を行うための入力器である。停止スイッチ53は、稼働中のクリンカ冷却装置4に停止指令を与える操作を行うための入力器である。
コントローラ50は、出力側において、前述した搬送アクチュエータ21,31と接続されている。合計12列の可動床20A〜F,30A〜Fは、対応する搬送アクチュエータ21,31により駆動されるように構成され、互いに独立して搬送方向に往復移動可能である。搬送アクチュエータ21,31には、油圧式シリンダを好適に適用することができる。この場合、図2及び図4で示唆されるように、1つの可動床20,30に複数の油圧式シリンダが対応して設けられていてもよい。その場合は、当該複数の油圧式シリンダは、搬送方向に間隔をおいて配置され且つ同期して駆動される。このようにすれば、搬送方向に長尺の可動床20,30を確実且つ円滑に移動させることができる。
CPUは、メモリに予め記憶されている制御プログラムを実行し、選択された搬送モードに従って搬送アクチュエータ21,31を制御し、それにより各可動床20,30の動作及び位置を制御する。本実施形態に係るコントローラ50は、通常搬送モード及び不等速搬送モードを選択的に実行可能に構成されている。どちらの搬送モードも、いわゆる縦列摺動式に基づくものとなっている。
[通常搬送モード]
図5は、通常搬送モードにおける上可動床20の動作を示す概念図である。図5では、上可動床20のみが例示されているが、下可動床30も同様であるので重複説明を省略する。なお、図5では、上可動床20を搬送方向に短くなるようデフォルムしており、また、説明便宜上の初期状態を紙面上側に示している。
通常搬送モードの実行中には、まず、全ての上可動床20を初期位置から搬送方向下流側に所定の移動距離dだけ移動させる。この送り工程では、全ての上可動床20が、同一タイミングで始動し、同一速度で同一移動距離dだけ移動し、同一タイミングで停止する。すると、上可動床20に支持された輸送層94(図3参照)が、デッド層93(図3参照)に対して若干滑りながらも、搬送方向下流側に一斉に移動する。
次に、上可動床20を複数回に分けて搬送方向上流側に前記移動距離dだけ移動させて初期位置に戻す。すなわち、上可動床20のうち一部を初期位置に戻すという戻り工程を、移動させるものを変えながら複数回行い、最終的に全ての上可動床20を初期位置に戻す。この過程で、輸送層94の全体を静止している可動床に支持させて静止状態とし、移動させる可動床を静止状態の輸送層94に対して滑らせる。
戻り工程を一般化して説明すると、各回の戻り工程において、移動させる上可動床20は、静止させる上可動床20よりも少ないことが好ましい。これは、輸送層94が上可動床20に追従して搬送方向上流側に戻るのを防ぎ、輸送層94全体が静止状態を維持するのを担保するためである。これを実現するため、戻り工程の回数が3回以上、上可動床20が3列以上であることが好ましい。
本実施形態では、戻り工程が3回であり上可動床20が6列である。そこで、1回目の戻り工程では、移動させる可動床として、第1上可動床20Aと、そこから3列離れた第4上可動床20Dとが選択される。すると、2列の上可動床20A,20Dが移動するにも関わらず、輸送層94の全体が、静止した上可動床20B,20C,20E,20Fに支持されて静止状態となる。一方、第1及び第4上可動床20A,20Dは、静止状態の輸送層94に対して滑って初期位置まで戻る。
1回目の戻り工程が終わると、2回目の戻り工程と3回目の戻り工程とが順次に行われる。2回目の戻り工程では、第2上可動床20Bと、そこから3列離れた第5上可動床20Eとが選択される。3回目の戻り工程では、残った第3上可動床20Cと第6上可動床20Fとが選択される(これらも3列離れている)。2回目及び3回目の戻り工程においても、移動させる上可動床20が静止状態の輸送層94に対して滑って初期位置まで戻る。
これら1回の送り工程と3回の戻り工程とで1サイクルを成す一連の動作を繰り返すことにより、各上可動床20が前記移動距離dの往復移動を繰り返しているだけであるのに、セメントクリンカが搬送方向下流側に間欠的に搬送されていく。本実施形態では、戻り工程を3回とし、縦列摺動式における1サイクルに必要な工程数を最小にしている。
このように上可動床20を動作させると、送り工程で、輸送層94が搬送方向下流側に一斉に搬送される。このとき、移動層92(図3参照)が可動部12に流れ込む。また、戻り工程では、上可動床20が搬送方向上流側に移動する一方、輸送層94全体が静止するので、移動している上可動床20の下流端部では、当該上可動床20により支持され得なくなった輸送層94が、下可動部13へと落下する。このように輸送層94の間欠搬送と並行して、上可動床20の上流端部では移動層92が輸送層94として順次に供給され、上可動床20の下流端部では輸送層94が下可動部13へと順次に供給される。これにより、セメントクリンカ層が、上可動床20の全面に継続的に敷き詰められる。
通常搬送モードの実行中には、移動層92から順次に供給される輸送層94の層高が直交方向に略均一となるので、デッド層93に対する滑りの挙動も直交方向に略均質となり、それにより輸送層94は、送り工程で、直交方向に搬送距離がばらつくことなく一斉に搬送方向下流側に送られる。よって、輸送層94の搬送速度は直交方向において略同一となる。前述のとおり、移動格子22,32の前記開口を通過する時の冷却エアの仕様(流量、圧力及び温度等)も、直交方向において略均質である。すると、輸送層94において、冷却性能に影響を及ぼす因子が直交方向に不均質にばらついていれば、直交方向に冷却ムラができる。
以下、このような因子、このような因子が直交方向にばらついている可能性、仮にこのような因子の勾配があっても冷却ムラを抑制可能にする不等速搬送モードについて、順を追って説明する。
[粒度分布・温度分布vs窯回転方向]
図6は、回転窯7の回転方向が、上可動床20上のセメントクリンカ層の直交方向の粒度分布及び温度分布に及ぼす影響を示す概念図である。図6の紙面上側に、出口側から見た回転窯7を示している。なお、出口側から見ているので、実施形態の説明上の方向の概念における左右の向きと、紙面における左右の向きとは逆となっている。紙面上下中央に、上から見た受入れ部11と上可動部12の上流端部とを、図示された回転窯7と直交方向の位置を揃えた状態で示している。紙面下側には、上可動床20上のセメントクリンカ層の直交方向の粒度分布及び温度分布を、図示された上可動床20の直交方向の位置と対応付けた状態で、概念的に示している。
図6に示すように、回転窯7の出口は、略円形状であり、受入れ部11の上方に配置されている。回転窯7の出口下端における接線方向は、受入れ部11及び上可動部12の直交方向に概ね一致する。一方、回転窯7内では、セメントクリンカ90が、回転窯7の回転運動を受けて出口に向かって転動流下しており、回転窯7の内下面付近においては、細粒が出口下端における接線速度の速度成分下流側に集まりやすく、粗粒が当該接線速度の速度成分上流側に集まりやすい。
ここで、回転窯7が出口から見て時計回りに回転しているものと仮定する。この場合、出口下端の接線速度の速度成分は、直交方向の右側に向けられる。よって、細粒が右側、粗粒が左側に集まりやすくなる。すると、受入れ部11においても、粒度のばらつきが堆積物91上での滑りにより幾分か緩和されるかもしれないが、細粒が右側に集まりやすく粗粒が左側に集まりやすい。よって、移動層92(図3参照)及び輸送層94内では、セメントクリンカ90の粒度が直交方向にばらつき、右側であるほど細粒が多く含まれ、左側であるほど粗粒が多く含まれる。
粒度が直交方向にばらついていると、移動層92及び輸送層94内では、充填率も直交方向にばらつく。つまり、細粒を多く含む右側であるほど、充填率が高くなる。すると、移動層92及び輸送層94内では、冷却エアがセメントクリンカ90を通過するときにおける冷却エアの圧力損失(以下「クリンカ通過圧損」)も直交方向にばらつく。つまり、充填率が高い右側であるほど、クリンカ通過圧損が高くなる。クリンカ通過圧損が直交方向にばらついている場合には、冷却エアが、クリンカ通過圧損が小さい側に流れ込もうとする。つまり、粗粒を多く含む左側であるほど、冷却エアの流量が多くなる。
すると、移動層92及び輸送層94内では、セメントクリンカ90と冷却エアとの交換熱量が直交方向にばらつき、そのため、セメントクリンカの温度が直交方向にばらつく(冷却ムラの発生)。極端な状況では、輸送層94の右側にいわゆる「赤川現象」が発生する。つまり、回転窯7から排出された直後において、セメントクリンカは約1400℃の高温を有するために赤熱状態となっているが、受入れ部11において移動層92右側への冷却エアの供給が追い付かず、殆ど冷却されることなく赤熱状態のままセメントクリンカが輸送層94の右側に供給され続け、それにより、上可動部12上の右側で赤熱状態のセメントクリンカが搬送方向に筋状に連続する。このような赤川現象が発生すると、図6に二点鎖線で示すように、右側の温度が極端に高くなる。すると、保有熱量が高いままであることや、充填率が高く冷却エアが供給されにくいこと等が相俟って、赤川現象を解消するのは容易ではなく、顕著な冷却ムラが生じている状況が長期に亘って続いてしまう。
回転窯7が出口から見て反時計回りに回転する場合には、細粒が左側、粗粒が右側に集まりやすくなる。これにより、上記同様にして、粒度、充填率、クリンカ通過圧損及び温度のばらつきが、左右反対になって生じる。本実施形態に係るコントローラ50は、不等速搬送モードを実行し、それにより冷却ムラの抑制、更には赤川現象の早期解消が図られる。
[不等速搬送モード]
図7は、右側2列の上可動床20A,20Bの移動距離を他の上可動床20C〜Fの移動距離よりも短くした場合を例にとって、不等速搬送モードにおける上可動床20の動作を示す作用図である。図7でも、上可動床20のみが例示されているが、下可動床30も同様であるので、重複説明を省略する。
不等速搬送モードも、原理的には、通常搬送モードと同様の縦列摺動式に基づくものとなっている。つまり、不等速搬送モードの実行中には、全ての上可動床20を搬送方向下流側に移動させる1回の送り工程と、上可動床20を3回に分けて搬送方向上流側に移動させて初期位置に戻す3回の戻り工程とで1サイクルを成す一連の動作が繰り返される。これにより、上可動床20が搬送方向に往復移動しているだけであるのに、上可動床20上のセメントクリンカ層が搬送方向下流側に間欠的に搬送される。
不等速搬送モードの実行中には、少なくとも一部の可動床の移動距離d1を、他の可動床の移動距離d2よりも短くする。図7では、当該少なくとも一部の上可動床に、第1上可動床20A及び第2上可動床20Bの2列を適用し、当該他の上可動床に、第3〜第6上可動床20C〜20Fの4列を適用した場合を例示している。
例えば、送り工程では、全ての上可動床20を、同一のタイミングで始動させ、同一のタイミングで停止させる。つまり、全ての上可動床20を、同一期間内で個々に与えられた移動距離だけ搬送方向下流側に移動させるようにし、第1及び第2上可動床20A,20Bの移動速度を、残り4列の上可動床20C〜Fの移動速度よりも低速にする。このようにすれば、移動距離d1が短い第1及び第2上可動床20A,20Bが、残り4列の上可動床20C〜Fよりも早くに停止してしまって、それにより輸送層94全体が搬送方向下流側に搬送されにくくなるという事態を良好に防ぐことができる。戻り工程では、通常搬送モードと同様にして、各上可動床が、個々に与えられたタイミングで、送り工程で移動した移動距離だけ搬送方向上流側に移動して初期位置に戻る。
1サイクルの動作を行うと、輸送層94のうち、移動距離が短い第1及び第2上可動床20A,20Bで支持されている右端部分の搬送距離が、残り4列の上可動床で支持されている左右中央部分から左端部分にかけての搬送距離よりも短くなる。当該右端部分では、1サイクルに要する時間当たりの搬送距離が短くなることから、搬送速度も低くなる。
図8は、可動床の移動距離と輸送層の搬送効率との相関関係を示すグラフである。図9は、可動床の移動速度と輸送層の搬送効率との相関関係を示すグラフである。図8及び図9に示すグラフは、本件発明者が、不等速搬送モードを想到する過程で行われた試験によって得られた結果である。
図8の横軸は、搬送アクチュエータにより駆動される可動床の移動距離[m]である。搬送アクチュエータに油圧式シリンダを適用した場合、油圧式シリンダのストローク長で代用可能である。図8の縦軸は、輸送層の搬送効率である。搬送効率は、可動床の移動距離に対する輸送層の搬送距離の割合である。輸送層がデッド層に対して滑ると、その滑りの大きさに応じて搬送効率が変わる。図9の横軸は、送り工程での可動床の移動速度[m/s]である。図8では、移動距離に対する搬送効率の感度を解析するために、輸送層の層高及び重量と可動床の移動速度とが一定である。図9では、移動速度に対する搬送効率の感度を解析するために、輸送層の層高及び重量と可動床の移動距離とが一定である。
図8に示す移動距離に対する搬送効率の推移を見ると、少なくとも2つの臨界点dmin、dcが存在する。移動距離がゼロから搬送開始距離dminの間では、搬送効率がゼロである。移動距離が搬送開始距離dminから搬送安定距離dcの間では、移動距離の増加に伴って搬送効率が上昇する。移動距離が搬送安定距離dcを越える範囲では、移動距離の値に関わらず搬送効率は一定である。図9に示すように、搬送効率は、可動床の移動速度には殆ど依存しない。
この結果から次の知見(1)〜(4)が得られる。(1)移動距離が搬送安定距離dc以上の範囲内で短くなるように変化する場合において、搬送効率は一定であることから、搬送距離は、当該一定の搬送効率を比例定数として移動距離に比例して短くなっていく。(2)移動距離が搬送安定距離dc未満搬送開始距離dmin以上の範囲内で短くなるように変化する場合において、搬送効率は移動距離が短くなるにつれて低下することから、搬送距離は、移動距離が短くなることと搬送効率が低下することとが相俟って急速に低下する。(3)移動距離が搬送開始距離dmin未満であれば、輸送層の搬送が不可能である。(4)不等速搬送モードの送り工程で可動床の始動タイミングと停止タイミングとを揃えて移動距離及び移動速度を異ならせた場合において、輸送層の搬送距離及び搬送速度は、可動床の移動距離に大きく依存するものの、移動速度には殆ど依存しない。
したがって、不等速搬送モードを実行するにあたり、可動床の移動距離(搬送アクチュエータに油圧式シリンダを適用する場合には油圧式シリンダのストローク長で代用可能)を操作量として取り扱えば、輸送層の搬送距離、ひいては輸送層の搬送速度を良好に制御することができる。そして、移動距離を搬送安定距離dc以上の範囲内で異ならせると、移動距離の変化に対する輸送層の搬送距離の解像度が高いので、輸送層の搬送距離及び搬送速度の制御精度を高くすることができる。移動距離を搬送安定距離dc未満に設定した場合には、輸送層の搬送距離、ひいては輸送層の搬送速度を顕著に低下させることができ、輸送層の搬送速度を直交方向に顕著に異ならせたい場合に有益である。ただし、セメントクリンカを搬送する以上、可動床の移動距離を搬送開始距離dmin以上に設定しておく必要がある。
[不等速搬送モード実行による作用]
次に、不等速搬送モードを実行するときの適用例を挙げ、不等速搬送モードの実行により得られる作用について説明する。なお、以下の説明では、回転窯7(図6参照)が、出口から見て時計回りに回転しているものとする。
(第1例)
図10は、二階式のクリンカ冷却装置4において不等速搬送モードを実行するときの第1例を示す概念図である。図10の紙面上側に、上から見た受入れ部11、上可動部12及び下可動部13を概念的に示している。紙面上下中央に、搬送方向下流側から見た下可動部13を、図示された上可動部12等と直交方向の位置を揃えた状態で示している。紙面下側に、下可動床30上のセメントクリンカの直交方向の粒度分布を、図示された下可動部30の直交方向の位置と対応付けた状態で、概念的に示している。
図10に示す第1例においては、上可動部12において、移動距離を短くする上可動床として、右側2列の上可動床20A,20Bが選択されている。下可動部13においては、移動距離を短くする下可動床として、上可動部12と同様にして右側2列の下可動床30A,30Bが選択されている。
この場合、上可動部12において、輸送層94のうち右側2列の上可動床20A,20Bと平面視で重なる部分の搬送速度が、残りの部分の搬送速度よりも低下する。すると、上可動床20A,20Bと平面視で重なる部分では、上可動部12から放出される単位時間当たりのセメントクリンカの量が小さくなる。一方、受入れ部11には順次にセメントクリンカが供給されてくる。このため、移動層92(図3参照)のうち、右側2列の上可動床20A,20Bに対応した部分が、残りの部分よりも多量のセメントクリンカを蓄積するようになり、残りの部分よりも層の厚さが増す。すると、右側2列の上可動床20A,20B上には、層の厚さが増した移動層92が順次に供給されていき、輸送層94のうち右側2列の上可動床20A,20Bと平面視で重なる部分の層の厚さが増す。これにより、輸送層94のうち、右側2列の上可動床20A,20Bと平面視で重なる部分には、他の相対的に低層の部分から上方に***した***部94aが形成されようとする。下可動部13には、このように層の厚さが増したセメントクリンカが順次に供給されるので、下可動部13でも、輸送層94のうち右側2列の下可動床30A,30Bと平面視で重なる部分の層の厚さが増し、***部94aが形成されようとする。
しかし、セメントクリンカは粒径1〜25mm程度のバルク材である。なお、セメントクリンカは、回転窯7内で転動流下するので、多少凸凹した表面を有してはいるものの顕著に角張っていない。よって、上可動部12において、***部94aのうち安息角又は崩壊角θによって規定される法面から外れる部分94bが崩落する。この崩落により、輸送層94のうち、右側2列の上可動床20A,20Bの上に支持されているセメントクリンカは、第3上可動床20C及びそれより左側の上可動床20D〜Fの上方に分配される。一方、***部94aは切妻状となる。下可動部13においても、同様のことが生じる。
回転窯7(図6参照)が出口から見て時計回りに回転するので、輸送層94のうち、右側2列の上可動床20A,20Bの上に支持されているセメントクリンカ層、及び右側2列の下可動床30A,30Bの上に支持されているセメントクリンカ層は、細粒を多く含む。本実施形態では、崩落を利用して細粒が左側に分配されるので、粒度の勾配が直交方向に均される。したがって、クリンカ通過圧損も直交方向に均され、冷却エアの通過流量を直交方向に均質化することができる。このように、受入れ部11で移動層92を形成する段階では直交方向に粒度の勾配があっても、これを上可動部12及び下可動部13で搬送する段階で是正することができる。よって、冷却エアの仕様を直交方向に異ならせたり、受入れ部11で粒度分布をなくしたりする手段を講じなくても、直交方向における冷却ムラを抑制することができる。
そして、第1例においては、上可動部も下可動部も右側2列の可動床の搬送速度を低くし、当該右側2列の可動床の上に支持されているセメントクリンカを分配することに重点がおかれている。そこで、例えば赤川現象の発生している状況下のように、右側2列のセメントクリンカの温度が顕著に高くなっているような場合には、第1例による制御が実行されると有益である。つまり、赤熱状態のセメントクリンカが隣の列に分配されやすくなると共に、冷却時間を長くとることができるため、右側2列を良好に冷却することができるようになり、赤川現象を早期に解消することができるようになる。
(第2例)
図11は、二階式のクリンカ冷却装置4において不等速搬送モードを実行するときの第2例を示す概念図である。図11には、図10と同じ要領で、受入れ部11、上可動部12、下可動部13、下可動床30上のセメントクリンカの直交方向の粒度分布を示している。
図11に示す第2例においても、上可動部12において移動距離を短くする上可動床として、右側2列の上可動床20A,20Bが選択されている。第1例と異なり、下可動部13においては移動距離を短くする下可動床として、直交方向中央側の第3及び第4下可動床30C,30Dが選択されている。第3及び第4下可動床30C,30Dは、上可動部12において移動距離が短くなる右側2列の上可動床20A,20Bと直交方向に隣接している。
この場合、上可動部12においては、第1例と同様にして、移動層92のうち右側2列の上可動床20A,20Bに対応する部分の層の厚さが増し、輸送層94のうち、右側2列の上可動床20A,20Bと平面視で重なる部分が、他の相対的に低層の部分から見て上方に***した***部94aを形成しようとする。
下可動部13では、輸送層94のうち左右中央側の下可動床30C,30Dと平面視で重なる部分の搬送速度が、残りの部分の搬送速度よりも低下する。すると、第3及び第4下可動床30C,30Dと平面視で重なる部分では、下可動部13から放出される単位時間当たりのセメントクリンカの量が小さくなる。一方、下可動部13の搬送方向上流端部は、上可動部12からセメントクリンカの供給を受けるが、上可動部12において第3及び第4上可動床20C,20Dの移動速度は、第3及び第4下可動床30C,30Dの移動速度よりも高いので、放出量よりも供給量が上回る。よって、下可動部13の輸送層94のうち、第3及び第4下可動床30C,30Dに対応する部分においては、セメントクリンカが蓄積され、それにより層の厚さが増す。これにより、下可動部13の輸送層94においては、第3及び第4下可動床30C,30Dと平面視で重なる部分には、他の相対的に低層の部分から上方に***した***部94aが形成されるようになる。
上可動部12において、***部94aは、安息角又は崩壊角θにより規定される法面から外れた部分94bが崩落し、第3上可動床20C及びそれより左側の上可動床20D〜Fの上方に分配される。下可動部13の輸送層94のうち、第3及び第4下可動床30C,30Dと平面視で重なる部分には、第3及び第4上可動床20C,20Dから、このようにして分配されたものも供給されることになる。そして、下可動部13では、第3及び第4下可動床30C,30Dの上に形成された***部94aから、安息角又は崩壊角θにより規定される法面から外れた部分94bが崩落する。この崩落により、第3及び第4下可動床30C,30D上のセメントクリンカが、これに隣接する第2下可動床30B及び第5下可動床30Eへと分配される。したがって、上可動部12で右側2列から左側に分配されたセメントクリンカが、下可動部13において、更に左側へと分配されるようになる。
このように、第2例では、上可動部で移動距離を短くする上可動床20A,20Bが、下可動部で移動距離を短くする下可動床30C,30Dと直交方向に隣接している。すると、下可動部13において、輸送層94内の粒度が直交方向に好適に均される。よって、下可動部13の輸送層94のクリンカ通過圧損が直交方向に均され、冷却エアの通過流量も直交方向に均される。したがって、直交方向の冷却ムラが良好に抑制される。
第1例においても第2例においても、上可動部12において移動距離を短くする上可動床が、回転窯7(図6参照)の出口下端の接線速度方向の下流側の端部に配置された上可動床20A,20B、すなわち、細粒が集まりやすい側の端部に配置された上可動床20A,20Bとなっている。これにより、当該端部に配置された上可動床20A,20Bに支持されている部分の層の厚さが増し、これに伴う崩落とを生じさせ、細粒をなるべく直交方向に分配するようにしている。したがって、冷却ムラを搬送方向上流側から抑制することができる。
(その他の例)
上記2つの例は一例に過ぎない。各上可動床20に設定される移動距離を2種類に限る場合において、短い移動距離が設定される上可動床はどれであってもよいし、その列数も特に限定されない。下可動床30についても同様である。また、上可動床20の何れかに設定される短い側の移動距離と、下可動床30の何れかに設定される短い側の移動距離とは、同じであっても異なっていてもよい。
各上可動床20に設定される移動距離は、3種類以上であってもよい。この場合、回転窯7(図6参照)の出口下端の接線速度方向の下流側の端部から順に、短い移動距離が設定されてもよい。例えば、短、中及び長の3種類の移動距離が設定される場合であって回転窯7が出口から見て時計回りに回転している場合に、短の移動距離が第1及び第2上可動床20A,20Bに設定され、中の移動距離が第3及び第4上可動床20C,20Dに設定され、長の移動距離が第5及び第6上可動床20E,20Fに設定されてもよい。下可動床30についても同様である。
図12は、不等速搬送モードにおける移動距離の時間推移の一例を示すタイムチャートである。図12には、横軸に時間、縦軸に移動距離をとり、不等速搬送モードにおいて移動距離が短くなる可動床を実線、他の可動床を一点鎖線で示している。図12に示すように、移動距離が短くなる可動床に関し、不等速搬送モードの実行開始から所定期間t内の移動距離d11が、当該所定期間t経過後の移動距離d12よりも短く設定されていてもよく、この移動距離の切替えがコントローラ50により自動的に行われるようにしてもよい。このようにすれば、当該所定期間tのうちに、移動距離を短くする可動床に支持されるセメントクリンカ層の厚さが速やかに大きくなり、それによりセメントクリンカが速やかに分配される。このとき、当該所定期間t内の移動距離d11を前記搬送安定距離dc未満とすれば、層の厚さが速やかに増すようになって有益である。
[モードの切替え]
(第1例)
図13は、図4に示すコントローラ50により実行される搬送制御の処理の第1例を示すフローチャートである。図13に示す処理は、始動スイッチ52が操作されてから所要の初期処理を終了した後に実行される。まず、通常搬送モードが選択されているか否かが判断される(ステップS1)。通常搬送モードが選択されていれば(S1:YES)、通常搬送モード(ステップS2)が実行される。停止スイッチ53が操作されているか否かが判断され(ステップS3)、操作されていなければ(S3:NO)、ステップS1に戻る。作業員がモード切替スイッチ51を操作するなどして、搬送モードが不等速搬送モードに切り替えられると(S1:NO)、不等速搬送モードが実行される(ステップS4)。次に、ステップS3の判断処理が行われ、停止指令が与えられていなければ(S3:NO)、ステップS1に戻る。作業員がモード切替スイッチ51を再操作し、搬送モードが通常搬送モードに再び切り替えられると(S1:YES)、通常搬送モードが実行される(ステップS2)。停止指令が与えられると(S3:YES)、所要の終了処理(ステップS9)を経て搬送制御の処理が終了する。
第1例の処理によれば、作業員が不等速搬送モードの実行要否を判断し、作業員がモード切替スイッチを操作したときに、実行される搬送モードが切り替わる。そこで、この処理が実行される場合には、クリンカ冷却装置4に、上可動部12により間欠搬送されるセメントクリンカを目視又は撮影するための設備又は装置を設けておくことが好ましい。このような設備又は装置が設けられていれば、作業員が赤川現象の発生有無を認識でき、作業員に適切な操作を促すことができる。
なお、ステップS4において、図10に示した態様で不等速搬送モードが実行されても良いし、図11に示した態様で不等速搬送モードが実行されてもよいし、その他の態様であってもよい。また、図12に示す移動速度の切替えを行ってもよい。
(第2例)
図14は、図4に示すコントローラ50により実行される搬送制御の処理の第2例を示すフローチャートである。図14に示す処理のうちステップS11〜S13及びS19は、図13に示したステップS1〜S3及びS9と同じである。作業員がモード切替スイッチ51を操作するなどして、搬送モードが不等速搬送モードに切り替えられると(S11:NO)、第1の不等速搬送モードが実行される(ステップS14)。次に、第1の不等速搬送モードが実行されてから所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS15)、経過するまでの間(S15:NO)、第1の不等速搬送モードが継続的に実行される。所定時間が経過すると(S15:YES)、第2の不等速搬送モードに自動的に移行する(ステップS16)。
第2の不等速搬送モードの態様は、第1の不等速搬送モードの態様と異なっており、例えば、第1の不等速搬送モードが図10に示した態様とし、第2の不等速搬送モードの態様が図11に示した態様とすることができる。この場合、作業員が赤川現象の発生を確認してモード切替スイッチを操作すると、最初に図10に示した態様で不等速搬送モードが実行される。このため、赤川が積極的に直交方向中央側に移される。その後、図11に示した態様で不等速搬送モードが実行される。このため、直交方向中央側に移された赤川を更に左側に移すことができる。このようにして、赤川を自動的且つ良好に直交方向に分散させることが可能になる。
(第3例)
図15は、図4に示すコントローラ50により実行される搬送制御の処理の第3例を示すフローチャートである。図15に示す処理は、始動スイッチ52が操作されてから所要の初期処理を終了した後に実行される。まず、第1の不等速搬送モードが選択されているか否かが判断される(ステップS21)。第1の不等速搬送モードが選択されていれば(S21:YES)、第1の不等速搬送モード(ステップS22)が実行される。停止スイッチ53が操作されているか否かが判断され(ステップS23)、操作されていなければ(S23:NO)、ステップS21に戻る。作業員がモード切替スイッチ51を操作するなどして、搬送モードが第2の不等速搬送モードに切り替えられると(S21:NO)、第2の不等速搬送モードが実行される(ステップS24)。次に、ステップS23の判断処理が行われ、停止指令が与えられていなければ(S23:NO)、ステップS21に戻る。作業員がモード切替スイッチ51を再操作し、搬送モードが第1の不等速搬送モードに再び切り替えられると(S21:YES)、第1の不等速搬送モードが実行される(ステップS22)。停止指令が与えられると(S23:YES)、所要の終了処理(ステップS29)を経て搬送制御の処理が終了する。
第1の不等速搬送モードの態様は、第2の不等速搬送モードの態様と異なっているが、それぞれどのような態様であってもよい。第3例の処理においては、コントローラ50が、通常搬送モードを実行するようには構成されておらず、態様が異なる複数の不等速搬送モードからいずれかを選択的に実行可能に構成されている。粒度が直交方向に大きくばらつくのを前提とする場合には、コントローラ50が不等速搬送モードのみを実行可能に構成されていてもよい。
(その他の例)
上記のモード切替の処理は一例に過ぎない。コントローラ50は、動作態様が異なる3以上の不等速搬送モードを選択的に実行可能に構成されていてもよい。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明に係るバルク材冷却装置は、バルク材の層を搬送しながら、略上方に向かう冷却エアを供給して当該バルク材を冷却する構成の装置であれば、どのような装置にも好適に適用可能である。セメント原料を焼成することによって生成されるセメントクリンカは、粒径にバラツキがあって保有熱量も高いことに照らすと、セメントクリンカを冷却するクリンカ冷却装置では、不等速搬送モードの実行による作用効果が顕著にもたらされる。よって、クリンカ冷却装置には本発明を特に好適に適用することができる。
本発明は、冷却性能に影響を及ぼす因子が搬送方向と直交する方向にばらついていても、このような因子の勾配を均すことができ、それにより冷却ムラの抑制を図ることができるとの作用効果を奏し、セメントプラントに備わるクリンカ冷却装置に適用すると有益である。
1 焼成設備
2 予熱器
3 焼成炉
4 クリンカ冷却装置
7 回転窯(ロータリーキルン)
9 上階部
10 下階部
11 受入れ部
12 上可動部
13 下可動部
14 連結部
20(20A〜F) 上可動床
30(30A〜F) 下可動床
41 冷却ファン
50 コントローラ
90 セメントクリンカ
91 堆積物
92 移動層
93 デッド層
94 輸送層
94a ***部

Claims (7)

  1. バルク材の層を搬送方向下流側に搬送しながら冷却するバルク材冷却装置であって、
    前記搬送方向に延び且つ前記搬送方向と直交する直交方向に並べられ、バルク材の層を支持して前記搬送方向に往復移動可能な複数列の可動床と、
    前記複数列の可動床に支持されているバルク材を冷却する冷却エア供給手段と、
    前記複数列の可動床を制御するコントローラと、を備え、
    前記コントローラは、前記複数列の可動床を同時に前記搬送方向下流側へ移動させる送り工程と、当該送り工程の後に前記複数列の可動床を複数回に分けて前記搬送方向上流側へ移動させる複数回の戻り工程とで1サイクルを成す一連の動作が繰り返されるようにして前記複数列の可動床を制御し、それによりバルク材を前記搬送方向下流側へと間欠的に搬送し、
    前記コントローラは、前記送り工程において少なくとも一つの可動床の移動距離を他の可動床の移動距離より短くする不等速搬送モードを実行可能に構成されている、バルク材冷却装置。
  2. バルク材の層が前記直交方向に粒度勾配を有する場合に、前記コントローラは、前記直交方向において粒度が細粒側の可動床の移動距離を他の可動床の移動距離よりも短くするようにして、前記不等速搬送モードを実行する、請求項1に記載のバルク材冷却装置。
  3. 前記複数列の可動床が、前記搬送方向に延びる上可動部と、前記上可動部の搬送方向下流末端の下方から前記搬送方向下流側に延びる下可動部とを成し、
    前記コントローラが、前記上可動部を成す可動床のうち少なくとも一つの可動床の移動距離を他の可動床の移動距離よりも短くし、前記下可動部を成す可動床のうち前記少なくとも一つの可動床と直交方向において同位置にある可動床の移動距離を他の可動床の移動距離よりも短くするようにして、前記不等速搬送モードを実行する、請求項1又は2に記載のバルク材冷却装置。
  4. 前記複数列の可動床が、前記搬送方向に延びる上可動部と、前記上可動部の搬送方向下流末端の下方から前記搬送方向下流側に延びる下可動部とを成し、
    前記コントローラが、前記上可動部を成す可動床のうち少なくとも一つの可動床の移動距離を他の可動床の移動距離よりも短くし、前記下可動部を成す可動床のうち、前記少なくとも一つの可動床と直交方向に隣接する可動床の移動距離を他の可動床の移動距離よりも短くするようにして、前記不等速搬送モードを実行する、請求項1又は2に記載のバルク材冷却装置。
  5. 前記複数列の可動床には、前記複数列の可動床よりも上方に配置された筒状回転体の出口から順次排出されるバルク材が供給され、
    前記少なくとも一つの可動床が、前記筒状回転体を出口側から見たときに、前記筒状回転体の下端における接線速度方向側の端部に配置された可動床である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のバルク材冷却装置。
  6. 前記バルク材がセメントクリンカであり、前記複数列の可動床が、回転窯を備えた焼成炉から順次供給されるセメントクリンカを受け入れる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のバルク材冷却装置。
  7. 搬送方向に延び且つ前記搬送方向と直交する直交方向に並べられた複数列の可動床に支持されたバルク材の層を前記搬送方向下流側に搬送しながら冷却するバルク材冷却方法であって、
    前記複数列の可動床を同時に前記搬送方向下流側へ移動させる送り工程と、
    当該送り工程の後に前記複数列の可動床を複数回に分けて前記搬送方向上流側へ移動させる複数回の戻り工程と、を有し、
    前記送り工程と前記複数回の戻り工程とで1サイクルを成す一連の工程が繰り返され、
    前記送り工程において、少なくとも一つの可動床の移動距離が他の可動床の移動距離よりも短い、バルク材冷却方法。
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