JP2013133437A - 樹脂シート、樹脂付金属箔、樹脂硬化物、金属基板、led基板、及び、樹脂付金属箔の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
エポキシ樹脂組成物の高放熱化のためには、無機充填剤として結晶性シリカやアルミナ、窒化アルミ等、封止用エポキシ樹脂組成物に通常使用される溶融シリカに比べて高い熱伝導性を有する物質を添加する手法が従来より報告されているが、充分な放熱性を得るために結晶性シリカやアルミナ、窒化アルミニウム等を多量に添加すると、エポキシ樹脂組成物の流動性や硬化性等の成形性の低下を招いたり、絶縁信頼性の低下等を招いたりすることが多い。
また、特許文献2に記載のエポキシ樹脂組成物では、十分な電気絶縁性が得られない場合があった。
<1> 下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂と、下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤と、無機充填剤と、を含有するエポキシ樹脂組成物の半硬化物である樹脂シート。
また、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
更に、本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本発明の樹脂シートは、(A)下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂(以下、「特定エポキシ樹脂」ともいう。)の少なくとも1種と、(B)下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤(以下、「特定硬化剤」ともいう。)の少なくとも1種と、(C)無機充填剤と、を含有するエポキシ樹脂組成物の半硬化物である。
以下にエポキシ樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
前記エポキシ樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂は、下記一般式(I)で表される構造と少なくとも1つのエポキシ基を有するものであれば特に制限されない。中でも下記一般式(I)で表される部分構造と少なくとも2つのエポキシ基とを有する化合物であることが好ましい。
エポキシ樹脂が一般式(I)で表される部分構造を有することで、樹脂硬化物とした場合に、高い秩序を有する高次構造を形成することが可能となる。これにより優れた熱伝導性と高い放熱性とを実現することができる。
その他のエポキシ樹脂としては一般に使用されているエポキシ樹脂から適宜選択することができる。
これらは1種単独でも2種以上を組み合わせて併用してもよい。
尚、エポキシ樹脂組成物中の固形分とは、エポキシ樹脂組成物を構成する成分から揮発性の成分を除去した残分を意味する。
前記エポキシ樹脂組成物は、下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造の少なくとも1種を有する硬化剤(特定硬化剤)の少なくとも1種を含む。特定硬化剤と特定エポキシ樹脂とを組み合わせることで、優れた熱伝導性を達成することができる。また前記エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて特定硬化剤以外のその他の硬化剤を更に含んでもよい。
すなわち前記特定硬化剤は、一般式(IIa)〜(IId)のいずれか1つで表される部分構造のみを有する化合物を含むものであっても、一般式(IIa)〜(IId)から選ばれる少なくとも2種の部分構造を有する化合物を含むものであってもよい。
一般式(IIa)〜(IId)のそれぞれについて、複数存在するArはすべて同一の原子団であってもよいし、2種以上の原子団を含んでいてもよい。また一般式(IIa)〜(IId)で表される部分構造は、硬化剤の主鎖骨格として含まれていてもよく、また側鎖の一部として含まれていてもよい。更に、一般式(IIa)〜(IId)のいずれか1つで表される部分構造を構成するそれぞれの繰り返し単位は、ランダムに含まれていてもよいし、規則的に含まれていてもよいし、ブロック状に含まれていてもよい。
前記一般式(IIIa)及び(IIIb)におけるR11及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基であるが、熱伝導性の観点から水酸基であることが好ましい。またR11及びR14の置換位置は特に制限されない。
またR12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。前記R12及びR13における炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。また一般式(IIIa)及び(IIIb)におけるR12及びR13の置換位置は特に制限されない。
ここで、「ジヒドロキシベンゼンに由来する基」とは、ジヒドロキシベンゼンの芳香環部分から水素原子を2つ取り除いて構成される2価の基を意味し、水素原子が取り除かれる位置は特に制限されない。また、「ジヒドロキシナフタレンに由来する基」等についても同様の意味である。
(m+n)の下限値は特に制限されない。
尚、一般式(IIa)〜(IId)のいずれかで表される部分構造を有する硬化剤はField Desorption Ionization Mass−Spectrometry:電界脱離イオン化質量分析法(FD−MS)によって、そのフラグメント成分として前記部分構造を容易に特定することができる。
また重量平均分子量としては2000以下であることが好ましく、1500以下であることがより好ましく、400以上1500以下であることが更に好ましい。
前記特定硬化剤の数平均分子量及び重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーション クロマトグラフィ)を用いた通常の方法により測定される。
また前記エポキシ樹脂組成物は、特定硬化剤に加えて、後述する単量体成分を低分子希釈剤として含んでいてもよい。単量体成分の含有率は、硬化剤の総質量中に40質量%以下であることが好ましい。この場合の硬化剤の水酸基当量は、好ましくは平均値で60〜80(g/eq)である。
またアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等、フェノール樹脂合成に通常用いられるアルデヒド類が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を併用してもよい。
アルデヒド類を0.3モル以上用いることで、ジベンゾキサンテン誘導体の含有率を高くすることができ、更に未反応ジヒドロキシアレーン類の量を抑制し、樹脂の生成量を多くすることができる傾向がある。また、アルデヒド類が0.9モル以下であると、反応系中でのゲル化を抑制し、反応の制御が容易になる傾向がある。
酸触媒の使用量は例えば、用いるジヒドロキシアレーン類1モルに対して、0.0001モル〜0.1モルとすることが好ましい。より好ましくは0.001〜0.05モル用いる。酸触媒の使用量が0.0001モル以上であると、120〜180℃で分子内脱水閉環を行う工程が短時間になる傾向がある。また、0.1モル以下であると、触媒除去の工程がより容易になる傾向があり、半導体用途等でイオン性不純物を嫌う系への適用が容易になる。
前記エポキシ樹脂組成物は、無機充填剤の少なくとも1種を含む。無機充填剤は、当該技術分野で通常用いられる無機充填剤から適宜選択して用いることができる。具体的には例えば、非導電性のものとして、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等を挙げることができる。また導電性のものとして、金、銀、ニッケル、銅等を挙げることができる。これらは1種類単独で又は2種類以上の混合系で使用することができる。
無機充填剤が、例えばそれぞれが異なる粒度分布を示す3種類の無機充填剤を組み合わせたものである場合、前記エポキシ樹脂組成物に含まれる無機充填剤の粒度分布は、3種類の無機充填剤のそれぞれに対応する少なくとも3つのピークを有する。また、それぞれのピークのピーク面積は、それぞれの無機充填剤の含有率に応じたものとなっている。
また、前記エポキシ樹脂組成物に含まれる無機充填剤の総質量中における第一の無機充填剤群の窒化ホウ素含有率は、50体積%以上80体積%以下であることが好ましい、熱伝導率と電気絶縁性の観点から、60体積%以上70体積%以下であることがより好ましい。
前記エポキシ樹脂組成物に含まれる無機充填剤の総体積中における第二の無機充填剤群の含有率は、15体積%以上30体積%以下であることが好ましく、熱伝導率と電気絶縁性の観点から、18体積%以上27体積%以下であることがより好ましく、18.5体積%以上25体積%以下であることが更に好ましい。
前記エポキシ樹脂組成物に含まれる無機充填剤の総体積中における第三の無機充填剤群の含有率は、1質量%以上25質量%以下であることが好ましく、熱伝導率と電気絶縁性の観点から、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上18質量%以下であることが更に好ましい。
また、前記第二、第三の無機充填剤群は、熱伝導性の観点から、α−アルミナの単結晶粒子からなるアルミナであることが更に好ましい。
尚、エポキシ樹脂組成物中の固形分とは、エポキシ樹脂組成物を構成する成分から揮発性の成分を除去した残分を意味する。
前記エポキシ樹脂組成物は、エラストマの少なくとも1種を含むことが好ましい。エラストマを含むことで、樹脂シートの柔軟性を高め、かつ圧着時の樹脂の過剰な流動性を抑制することができる。
エラストマの種類としては特に制限はなく従来公知のエラストマを耐熱性や入手性に応じて使用することができる。中でも粘度特性の観点から、重量平均分子量が1万以上30万以下のエラストマであることが好ましく、3万以上20万以下のエラストマであることがより好ましく、5万以上10万以下のエラストマであることが更に好ましい。
尚、エラストマの重量平均分子量はGPCを用いた通常の方法により測定される。
更に、ニトリルゴム成分を共重合成分に含まないアクリル系エラストマであることもまた好ましい。ニトリルゴム成分を共重合性分に含まないことで、電気的信頼性をより高めることができる。
更に、前記エラストマに含まれる重量平均分子量が5万以上10万以下のアクリル系エラストマの含有率は、前記エポキシ樹脂組成物に含まれるエラストマの全質量中に70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
硬化促進剤としては通常使用される硬化促進剤を特に制限なく用いることができる。硬化促進剤の例を挙げれば、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザ−ビシクロ〔4.3.0〕ノネン、5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン等のシクロアミジン化合物、並びに、これらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン化合物及びこれらの誘導体;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物及びこれらの誘導体;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン及びこれらの有機ホスフィンに無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物等の有機リン化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。信頼性や成形性の観点からは有機リン化合物が好ましい。
カップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシランカップリング剤、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等を挙げることができる。これらは1種単独で用いても2種以上を併用しても構わない。
これらシランカップリング剤は1種単独又は2種類以上を併用することもできる。
本発明の樹脂シートは、例えば、前記エポキシ樹脂組成物を離型フィルム上に塗布・乾燥して樹脂フィルムを形成する工程と、前記樹脂フィルムをBステージ状態まで加熱処理する工程とを含む製造方法で製造できる。
本発明の樹脂シートは、前記エポキシ樹脂組成物を加熱処理して形成されることで、熱伝導率及び電気絶縁性に優れ、樹脂シートとしての可とう性及び可使時間に優れる。
塗布は、公知の方法により実施することができる。塗布方法として、具体的には、コンマコート、ダイコート、リップコート、グラビアコート等の方法が挙げられる。所定の厚みに樹脂層を形成するための塗布方法としては、ギャップ間に被塗工物を通過させるコンマコート法、ノズルから流量を調整した樹脂ワニスを塗布するダイコート法等を適用することができる。例えば、乾燥前の樹脂層の厚みが50μm〜300μmである場合、コンマコート法を用いることが好ましい。
本発明において、得られた樹脂フィルムを加熱処理する条件は、エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にまで半硬化することができれば特に制限されず、エポキシ樹脂組成物の構成に応じて適宜選択することができる。本発明において加熱処理には、熱真空プレス及び熱ロールラミネート等から選択される加熱処理方法が好ましい。これにより塗工の際に生じた樹脂層中の空隙(ボイド)を減少させることができ、また平坦な樹脂シートを効率良く製造することができる。
本発明の樹脂付金属箔は、金属箔と、前記金属箔上に配置された前記エポキシ樹脂組成物の半硬化体である半硬化樹脂層とを備える。前記エポキシ樹脂組成物に由来する半硬化樹脂層を有することで、熱伝導率、電気絶縁性、可とう性に優れる。
前記半硬化樹脂層は前記樹脂組成物をBステージ状態になるように加熱処理して得られるものである。
前記金属箔の厚みとしては、例えば1μm以上210μm以下とすることができる。中でも10μm以上150μm以下であることが好ましく、18μm以上105μm以下であることがより好ましい。このような金属箔を用いることで可とう性がより向上する。
また、金属箔として、ニッケル、ニッケル−リン合金、ニッケル−スズ合金、ニッケル−鉄合金、鉛、鉛−スズ合金等を中間層とし、この両面に0.5μm〜15μmの銅層と10μm〜300μmの銅層を設けた3層構造の複合箔、又はアルミニウムと銅箔とを複合した2層構造複合箔を用いることもできる。
尚、樹脂層の形成方法、加熱処理条件は既述の通りである。
本発明の金属基板は、金属支持体と、前記金属支持体上に配置された前記エポキシ樹脂組成物の硬化物である硬化樹脂層と、前記硬化樹脂層上に配置された金属箔と、を備える。本発明の金属基板は、金属支持体と金属箔との間に配置された硬化樹脂層が、前記エポキシ樹脂組成物を硬化状態になるように加熱処理して形成されたものであることで、接着性、熱伝導率、電気絶縁性に優れる。
本発明のLED基板100は、図4及び図5に概略を示すように金属支持体14と、前記金属支持体上に配置された前記エポキシ樹脂組成物の硬化物である硬化樹脂層12と、前記硬化樹脂層12上に配置された金属箔からなる回路層10と、前記回路層上に配置されたLED素子20と、を備える。
金属支持体上に接着性、熱伝導率及び電気絶縁性に優れる前記硬化樹脂層が形成されていることで、LED素子から放出される熱を効率的に放熱することが可能になる。
金属基板上の金属箔に回路加工する工程には、フォトリソ等の通常用いられる方法を適用することができる。また回路層上にLED素子を配置する工程についても、通常用いられる方法を特に制限なく用いることができる。
それぞれの工程の詳細については、既述の通りである。
図6は、パワー半導体チップ110が、はんだ層112を介して配置された銅板104と、硬化樹脂層102と、グリース層108を介して水冷ジャケット120上に配置された放熱ベース106とが積層されて構成されたパワー半導体装置200の構成例を示す模式断面図である。パワー半導体チップ110を含む発熱体が硬化樹脂層102を介して放熱部材と接触していることで、効率良く放熱が行なわれる。尚、前記放熱ベース106は、高い熱伝導性を有する銅やアルミニウムを用いて構成することができる。また、パワー半導体チップとしては、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やサイリスタ等を挙げることができる。
撹拌機、冷却器、温度計を備えた3Lのセパラブルフラスコにレゾルシノール627g、カテコール33g、37%ホルマリン316.2g、シュウ酸15g、水300gを入れ、オイルバスで加温しながら100℃に昇温した。104℃前後で還流し、還流温度で4時間反応を続けた。その後、水を留去しながらフラスコ内の温度を170℃に昇温した。170℃を保持しながら8時間反応を続けた。反応後、減圧下20分間濃縮を行い、系内の水等を除去して目的の硬化剤1であるフェノール樹脂を得た。
また、得られた硬化剤1について、FD−MSにより構造を確認したところ、一般式(IIa)〜(IId)で表される部分構造すべての存在が確認できた。
カテコール及びレゾルシノールを用いているため、一般式(IIa)〜(IId)で表される部分構造を有するフェノール樹脂の混合物が得られたと考えられる。
尚、上記反応条件では一般式(IIa)で表される部分構造を有する化合物が最初に生成し、これが更に脱水反応することで一般式(IIb)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する化合物が生成すると考えられる。
数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定は、株式会社日立製作所製高速液体クロマトグラフィ、商品名:L6000及び株式会社島津製作所製データ解析装置、商品名:C−R4Aを用いて行なった。分析用GPCカラムは、東ソー株式会社製、商品名:G2000HXL及びG3000HXLを使用した。試料濃度は0.2質量%、移動相にはテトラヒドロフランを用い、流速1.0ml/分で測定を行った。ポリスチレン標準サンプルを用いて検量線を作成し、それを用いてポリスチレン換算値で数平均分子量等を計算した。
硬化剤1の物性値を以下に示す。
(第一の無機充填剤)
・FS−3:窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製、商品名:FS−3、体積平均粒径67μm]
・HP−40:窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製、商品名:HP−40、体積平均粒径42μm)
・PTX−25:窒化ホウ素(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、商品名:PTX−25、体積平均粒形25μm)
(第二の無機充填剤)
・AA−3:酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:AA−3、体積平均粒子径3μm)
(第三の無機充填剤)
・AA−04:酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:AA−04、体積平均粒子径0.4μm)
硬化剤1:上記方法(硬化剤1の合成)にて作製したノボラック樹脂。
TPM:トリフェニルメタン型ノボラック樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:カヤハードTPM(「カヤハード」は登録商標)、水酸基当量103g/eq)
PN:フェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社製、商品名:H−100、水酸基当量105g/eq)
PNAP:トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:EPPN−502H(「EPPN」は登録商標)、多官能エポキシ樹脂、エポキシ当量168g/eq)
BIS(A+F):ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物(新日鐵化学株式会社製、商品名:ZX−1059、2官能液状エポキシ樹脂、エポキシ当量170g/eq)
BP:ビフェニル型エポキシ樹脂混合物(三菱化学株式会社製、商品名:YL6121H、エポキシ当量172g/eq)
AR−122−4:アクリル樹脂(日立化成工業株式会社製、商品名:REB122−4)
TPP:トリフェニルホスフィン(和光純薬工業株式会社製)
PAM:3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−573)
MEK:メチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社製、1級)
CHN:シクロヘキサノン(和光純薬工業株式会社製、1級)
PETフィルム:帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:A31、厚さ50μm
銅箔:古河電気工業株式会社製、厚さ80μm、GTSグレード
アルミニウム箔:住友軽金属工業株式会社製、厚さ20μm
(樹脂シートの調製)
酸化アルミニウム混合物(AA−3:AA−04;体積基準混合比2.4:1)42.99部と、窒化ホウ素(HP−40)46.13部(AA−04に対する体積基準混合比6.6)と、シランカップリング剤(PAM)0.09部と、エポキシ樹脂の硬化剤として(硬化剤1)のCHN溶液8.29部(固形分50%)と、(CHN)46.02部と(AR−122−4)0.97部を混合し、均一になったことを確認した後に、エポキシ樹脂モノマーとして(PNAP)5.6部と{BIS(A+F)}5.6部、(TPP)0.13部を更に加えて混合した後、20〜40時間ボールミル粉砕を行って、樹脂組成物として樹脂層形成用塗工液を得た。
上記で得られたシート両面からPETフィルムを剥離し、その両面に厚さ80μmの銅箔(古河電気工業株式会社製、商品名:GTSグレード)を重ねた後、プレス処理を行った(プレス工程条件:熱板温度165℃、真空度≦1kPa、圧力10MPa、処理時間3分)。ボックス型オーブン中で、160℃で0.5時間、190℃で2時間、加熱することにより、両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物1を得た。
実施例1において、(PNAP)を7.84部、{BIS(A+F)}を3.36部、硬化剤1を7.23部、用いたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物2をそれぞれ得た。
実施例1において、{BIS(A+F)}を添加せず、(PNAP)を11.2部、(硬化剤1)を7.23部、用いたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物3をそれぞれ得た。
実施例1において、(HP−40)の代わりに窒化ホウ素(FS−3)46.04部を加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物4をそれぞれ得た。
酸化アルミニウム混合物(AA−3:AA−04;体積基準混合比2.4:1)27.59部と、窒化ホウ素(HP−40)29.60部(AA−04に対する体積基準混合比6.6)と、シランカップリング剤(PAM)0.06部と、エポキシ樹脂の硬化剤として(硬化剤1)のCHN溶液8.27部(固形分50%)と、(CHN)22.54部とを混合し、均一になったことを確認した後に、エポキシ樹脂モノマーとして(PNAP)5.6部と{BIS(A+F)}5.6部、(TPP)0.13部を更に加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物6をそれぞれ得た。
酸化アルミニウム混合物(AA−3:AA−04;体積基準混合比2.4:1)34.26部と、窒化ホウ素(HP−40)36.76部(AA−04に対する体積基準混合比6.6)と、シランカップリング剤(PAM)0.07部と、エポキシ樹脂の硬化剤として硬化剤1のCHN溶液8.29部(固形分50%)と、(CHN)27.50部とを混合し、均一になったことを確認した後に、エポキシ樹脂モノマーとして(PNAP)5.6部と{BIS(A+F)}5.6部、(TPP)0.13部を更に加えて混合した以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物6をそれぞれ得た。
酸化アルミニウム混合物(AA−3:AA−04;体積基準混合比2.4:1)52.42部と、窒化ホウ素(HP−40)56.25部(AA−04に対する体積基準混合比6.6)と、シランカップリング剤(PAM)0.11部と、エポキシ樹脂の硬化剤として硬化剤1のCHN溶液8.28部(固形分50%)と、(CHN)33.98部とを混合し、均一になったことを確認した後に、エポキシ樹脂モノマーとして(PNAP)5.61部と{BIS(A+F)}5.61部、(TPP)0.13部を更に加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物C1をそれぞれ得た。
実施例1において、(HP−40)の代わりに窒化ホウ素(PTX−25)56.25部を加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物C2をそれぞれ得た。
実施例1において、硬化剤1の代わりに(TPM)を4.7部、(PNAP)を3.8部、{BIS(A+F)}を3.8部、(CHN)を27.03部加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物C3をそれぞれ得た。
実施例1において、硬化剤1の代わりに(PN)を4.7部、(PNAP)を3.8部、{BIS(A+F)}を3.8部、(CHN)を27.0部加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物C4をそれぞれ得た。
実施例1において、(硬化剤1)を6.6部、{BIS(A+F)}を8.9部、(CHN)を28.0部加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物C5をそれぞれ得た。
実施例1において、(硬化剤1)を6.5部、(ビフェニル型エポキシ樹脂)を9.0部、(CHN)を28.4部加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物C6をそれぞれ得た。
実施例1において、(AR−122−4)を加えなかったこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物C7をそれぞれ得た。
熱伝導率は、熱伝導方程式により、それぞれ実測した密度、比熱と熱拡散率の積から求めた。
最初に熱拡散率の測定方法を以下に示す。得られた銅箔貼り樹脂シート硬化物から、銅のみを過硫酸ナトリウム溶液を用いてエッチング除去し、シート状の樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物の熱拡散率をNETZSCH社製、商品名:Nanoflash LFA447型を用いて、フラッシュ法により測定した。
密度は、同様に銅箔を除去したシート硬化物を用いて、アルキメデス法により求めた。更に比熱を示差熱分析装置(DSC)(Parkin Elmer社製、商品名:Pyris 1型)による入力熱量の差により求めた。測定条件としては、窒素雰囲気下、5℃/分、アルミナをリファレンスとして測定を行った。
上記で得られたCステージ状態の両面に銅箔が設けられた樹脂シート硬化物から、過硫酸ナトリウム溶液を用いて銅をエッチング除去し、シート状の樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物の交流下での絶縁耐圧をヤマヨ試験器有限会社製、商品名:YST−243−100RHOを用いて測定した。測定条件としては、測定温度23℃±2℃、昇圧速度1kV/秒であり、大気中にて測定を行った。
Bステージ状態の樹脂シートの両面からPETフィルムを剥がし、金属板を貼り合わせ、JIS K 6850に準拠して、引張りせん断接着強さの測定を行った。具体的には、100mm×25mm×3mmの銅板2枚を12.5mm×25mm×0.2mmの樹脂シートに互い違いに重ねて接着、硬化した。これを試験速度1mm/分、測定温度23℃と175℃、株式会社島津製作所製、商品名:AGC−100型で引っ張ることで測定を行った。
尚、接着、硬化は以下のようにして行った。真空熱プレス(熱板温度165℃、真空度≦1kPa、圧力10MPa、処理時間3分)を行った後、ボックス型オーブン中で、140℃で2時間、165℃で2時間、190℃で2時間のステップキュアにより行った。
ワニス状の樹脂組成物0.5gを50gのメタノールに分散し、適量をレーザー回折散乱粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、商品名:LS230)に投入し、樹脂組成物中の無機充填剤の粒度分布測定を行った。
樹脂シートの可とう性を以下のようにして評価した。
作製した樹脂シートを長さ100mm、幅10mmに切出し、表面のPETフィルムを除去したものを評価用サンプルとした。アルミ製で、直径が20mm〜140mmの20mm刻みの円板を多段に重ねた治具にサンプルをあてがい、25℃において破損せずに曲げられる最小径を測定し、下記評価基準に従って樹脂シートの可とう性を評価した。
〜評価基準〜
A:最小半径が20mmであった。
B:最小半径が40mm又は60mmであり、実用上の限界だった。
C:最小半径が80mm以上であった。
表1中、「−」は、含有していないことを示す。
表1から、本発明の樹脂シートの硬化物は、優れた熱伝導性と優れた電気絶縁性を示すことが分かる。また、樹脂シートの可とう性に優れることが分かる。
12、102 硬化樹脂層
14 金属支持体
20 LED素子
100 LED基板
104 銅板
106 放熱ベース
108 グリース層
110 パワー半導体チップ
112 はんだ層
120 水冷ジャケット
200、300、400 パワー半導体装置
Claims (9)
- 下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂と、
下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤と、
無機充填剤と、
を含有するエポキシ樹脂組成物の半硬化物である樹脂シート。
- 前記無機充填剤は、レーザー回折法を用いて測定した粒子径分布において、0.01μm以上1μm未満、及び、1μm以上10μm未満、及び、10μm以上100μm以下、のそれぞれにピーク値を有し、前記10μm以上100μm以下の粒子径を有する無機充填剤が窒化ホウ素を含む請求項1に記載の樹脂シート。
- 更にエラストマを含む請求項1又は2に記載の樹脂シート。
- 金属箔と、前記金属箔上に配置された請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂シートと、を備える樹脂付金属箔。
- 金属支持体と、前記金属支持体上に配置された請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂シートの硬化物である硬化樹脂層と、前記硬化樹脂層上に配置された金属箔と、を備える金属基板。
- 金属支持体と、前記金属支持体上に配置された請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂シートの硬化物である硬化樹脂層と、前記硬化樹脂層上に配置された金属箔からなる回路層と、前記回路層上に配置されたLED素子と、を備えるLED基板。
- 金属箔と、
前記金属箔上に配置され、下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂、下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤、及び無機充填剤を含有するエポキシ樹脂組成物の半硬化物である半硬化樹脂層と、を備える樹脂付金属箔。
- 金属支持体と、
前記金属支持体上に配置され、下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂、下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤、及び無機充填剤を含有する樹脂組成物の硬化物である硬化樹脂層と、
前記硬化樹脂層上に配置された金属箔と、を備える金属基板。
- 下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂、下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤、及び無機充填剤を含有する樹脂組成物を、金属箔上に塗布して樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層を加熱処理して半硬化樹脂層とするBステージ化工程と、
を含む樹脂付金属箔の製造方法。
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