JP2013133437A - 樹脂シート、樹脂付金属箔、樹脂硬化物、金属基板、led基板、及び、樹脂付金属箔の製造方法 - Google Patents

樹脂シート、樹脂付金属箔、樹脂硬化物、金属基板、led基板、及び、樹脂付金属箔の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた熱伝導率と優れた電気絶縁性を有する樹脂硬化物を形成可能で可とう性に優れる樹脂シート等の製造方法を提供する。
【解決手段】多官能エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、下記一般式(IIa)等で表される部分構造を有する硬化剤と、無機充填剤とを含有するエポキシ樹脂組成物の半硬化物から構成する。下記式中、m及びnは正の数を示し、Arは下記一般式(IIIa)又は(IIIb)で表される基を示す。
Figure 2013133437

【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂シート、樹脂付金属箔、金属基板、LED基板、及び、樹脂付金属箔の製造方法に関する。
電子機器の高密度化、コンパクト化の進行に伴い、半導体等の電子部品の放熱が大きな課題となっている。そのため高い熱伝導率と高い電気絶縁性を有する樹脂組成物が要求されるようになり、熱伝導性封止材や熱伝導性接着剤として実用化されている。
エポキシ樹脂組成物の高放熱化のためには、無機充填剤として結晶性シリカやアルミナ、窒化アルミ等、封止用エポキシ樹脂組成物に通常使用される溶融シリカに比べて高い熱伝導性を有する物質を添加する手法が従来より報告されているが、充分な放熱性を得るために結晶性シリカやアルミナ、窒化アルミニウム等を多量に添加すると、エポキシ樹脂組成物の流動性や硬化性等の成形性の低下を招いたり、絶縁信頼性の低下等を招いたりすることが多い。
上記無機充填剤からのアプローチに対し、最近は、樹脂の構造面から封止用エポキシ樹脂組成物の高放熱化を試みる報告等も見られるようになってきた。例えば、特許文献1には、ビフェニル骨格等を有するいわゆるメソゲン型樹脂等と、カテコール、レゾルシノール等のノボラック化樹脂とを組み合わせ、樹脂骨格の配向性を高めることで内部熱抵抗を減少させ、エポキシ樹脂組成物の放熱性を高めることが可能であることが開示されている。
また、特許文献2には、液晶性を示すエポキシ樹脂とアルミナ粉末とを含むエポキシ樹脂組成物が開示され、高い熱伝導率と優れた加工性を有するとされている。
特許第2874089号公報 特開2008−13759号公報
しかしながら、特許文献1に記載された、カテコール、レゾルシノール等のノボラック化樹脂については、樹脂合成時にゲル化が起こり易い、軟化点が高く、封止用エポキシ樹脂組成物の製造に困難が伴う等の問題がある場合があった。
また、特許文献2に記載のエポキシ樹脂組成物では、十分な電気絶縁性が得られない場合があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、優れた熱伝導率と優れた電気絶縁性を有する樹脂硬化物を形成可能で可とう性に優れる樹脂シート、並びにこれを用いた樹脂付金属箔、金属基板、LED基板、及び、樹脂付金属箔の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は以下の態様を包含する。
<1> 下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂と、下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤と、無機充填剤と、を含有するエポキシ樹脂組成物の半硬化物である樹脂シート。
Figure 2013133437
(一般式(I)中、nは平均値で1から10に含まれる実数を表す。)
Figure 2013133437
Figure 2013133437
Figure 2013133437
Figure 2013133437
(一般式(IIa)〜(IId)中、m及びnはそれぞれ独立に正の数であり、それぞれの繰り返し単位の繰り返し数を示し、Arは下記一般式(IIIa)及び(IIIb)のいずれか1つで表される基を示す。)
Figure 2013133437
(一般式(IIIa)及び(IIIb)中、R11及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示す。R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
<2> 前記無機充填剤は、レーザー回折法を用いて測定した粒子径分布において、0.01μm以上1μm未満、及び、1μm以上10μm未満、及び、10μm以上100μm以下、のそれぞれにピーク値を有し、前記10μm以上100μm以下の粒子径を有する無機充填剤が窒化ホウ素を含む前記<1>に記載の樹脂シート。
<3>更にエラストマを含む前記<1>又は<2>に記載の樹脂シート。
<4> 金属箔と、前記金属箔上に配置された前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の樹脂シートとを備える樹脂付金属箔。
<5> 金属支持体と、前記金属支持体上に配置された前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の樹脂シートの硬化物である硬化樹脂層と、前記硬化樹脂層上に配置された金属箔とを備える金属基板。
<6> 金属支持体と、前記金属支持体上に配置された前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の樹脂シートの硬化物である硬化樹脂層と、前記硬化樹脂層上に配置された金属箔からなる回路層と、前記回路層上に配置されたLED素子と、を備えるLED基板。
<7> 金属箔と、前記金属箔上に配置され、下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂、下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤、及び無機充填剤を含有するエポキシ樹脂組成物の半硬化物である半硬化樹脂層と、を備える樹脂付金属箔。
Figure 2013133437
(一般式(I)中、nは平均値で1から10に含まれる実数を表す。)
Figure 2013133437
Figure 2013133437
Figure 2013133437
Figure 2013133437
(一般式(IIa)〜(IId)中、m及びnはそれぞれ独立に正の数であり、それぞれの繰り返し単位の繰り返し数を示し、Arは下記一般式(IIIa)又は(IIIb)のいずれか1つで表される基を示す。)
Figure 2013133437
(一般式(IIIa)及び(IIIb)中、R11及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示す。R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
<8> 金属支持体と、前記金属支持体上に配置され、下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂、下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤、及び無機充填剤を含有する樹脂組成物の硬化物である硬化樹脂層と、前記硬化樹脂層上に配置された金属箔と、を備える金属基板。
Figure 2013133437
(一般式(I)中、nは平均値で1から10に含まれる実数を表す。)
Figure 2013133437
Figure 2013133437
Figure 2013133437
Figure 2013133437
(一般式(IIa)〜(IId)中、m及びnはそれぞれ独立に正の数であり、それぞれの繰り返し単位の繰り返し数を示し、Arは下記一般式(IIIa)又は(IIIb)のいずれか1つで表される基を示す。)
Figure 2013133437
(一般式(IIIa)及び(IIIb)中、R11及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示す。R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
<9> 下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂、下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤、及び無機充填剤を含有する樹脂組成物を、金属箔上に塗布して樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層を加熱処理して半硬化樹脂層とするBステージ化工程と、を含む樹脂付金属箔の製造方法。
Figure 2013133437
(一般式(I)中、nは平均値で1から10に含まれる実数を表す。)
Figure 2013133437
Figure 2013133437
Figure 2013133437
Figure 2013133437
(一般式(IIa)〜(IId)中、m及びnはそれぞれ独立に正の数であり、それぞれの繰り返し単位の繰り返し数を示し、Arは下記一般式(IIIa)又は(IIIb)のいずれか1つで表される基を示す。)
Figure 2013133437
(一般式(IIIa)及び(IIIb)中、R11及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示す。R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
本発明によれば、優れた熱伝導率と優れた電気絶縁性を有する樹脂硬化物を形成可能で可とう性に優れる樹脂シート、並びにこれを用いた樹脂付金属箔、金属基板、LED基板、及び樹脂付金属箔の製造方法を提供することができる。
本実施形態にかかる硬化剤1の合成時におけるフェノール樹脂の重量平均分子量変化の一例を示すグラフである。 本実施形態にかかる硬化剤1の合成時における、フェノール樹脂の分子の核体数変化の一例を示すグラフである。 本実施形態にかかる硬化剤1であるフェノール樹脂のGPCチャートの一例を示す図である。 本実施形態にかかるLED基板の一例を示す概略断面図である。 本実施形態にかかるLED基板の一例を示す斜視図である。 本実施形態にかかる樹脂シートを用いて構成されたパワー半導体装置の構成の一例を示す概略断面図である。 本実施形態にかかる樹脂シートを用いて構成されたパワー半導体装置の構成の一例を示す概略断面図である。 本実施形態にかかる樹脂シートを用いて構成されたパワー半導体装置の構成の一例を示す概略断面図である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
更に、本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<樹脂シート>
本発明の樹脂シートは、(A)下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂(以下、「特定エポキシ樹脂」ともいう。)の少なくとも1種と、(B)下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤(以下、「特定硬化剤」ともいう。)の少なくとも1種と、(C)無機充填剤と、を含有するエポキシ樹脂組成物の半硬化物である。
Figure 2013133437
(一般式(I)中、nは平均値で1から10に含まれる実数を表す。)
Figure 2013133437
Figure 2013133437
Figure 2013133437
Figure 2013133437
(一般式(IIa)〜(IId)中、m及びnはそれぞれ独立に正の数であり、それぞれの繰り返し単位の繰り返し数を示し、Arは下記一般式(IIIa)及び(IIIb)のいずれか1つで表される基を示す。)
Figure 2013133437
(一般式(IIIa)及び(IIIb)中、R11及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示す。R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
また本発明の樹脂シートは、(A)下記一般式(I)で表される構造を有するエポキシ樹脂の少なくとも1種と、ジヒドロキシアレーン類及びアルデヒド類の反応生成物であり、水酸基当量が60以上130以下であるフェノール樹脂を含む硬化剤の少なくとも1種と、(C)無機充填剤と、を含有するエポキシ樹脂組成物の半硬化物であることもまた好ましい。
エポキシ樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)を上記構成とすることにより、優れた熱伝導性と優れた電気絶縁性とを両立可能で、優れた可とう性を有する樹脂シートを構成することができる。また金属箔上に前記樹脂シートを配置することで可とう性に優れた樹脂付金属箔を得ることができる。
以下にエポキシ樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
(A)エポキシ樹脂
前記エポキシ樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂は、下記一般式(I)で表される構造と少なくとも1つのエポキシ基を有するものであれば特に制限されない。中でも下記一般式(I)で表される部分構造と少なくとも2つのエポキシ基とを有する化合物であることが好ましい。
エポキシ樹脂が一般式(I)で表される部分構造を有することで、樹脂硬化物とした場合に、高い秩序を有する高次構造を形成することが可能となる。これにより優れた熱伝導性と高い放熱性とを実現することができる。
Figure 2013133437
(一般式(I)中、nは平均値で1から10に含まれる実数を表す。)
一般式(I)で表される多価のエポキシ樹脂は、分子配向が容易であるという特徴を有する。こうした特徴は、エポキシ樹脂組成物の硬化物における熱抵抗の低抵抗化に有利に働き、結果として硬化物の熱放散性を高め、高い放熱性を与える。
前記エポキシ樹脂組成物は、前記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂に加えて、(I)で表される構造を有するエポキシ樹脂以外のその他のエポキシ樹脂を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
その他のエポキシ樹脂としては一般に使用されているエポキシ樹脂から適宜選択することができる。
その他のエポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールA/D等のジグリシジルエーテル、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、シクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物であるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ヒドロキシナフタレン及び/又はジヒドロキシナフタレンの2量体等のエポキシ化物、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、及びこれらのエポキシ樹脂をシリコーン、アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン系ゴム、ポリアミド系樹脂等により変性したエポキシ樹脂等が挙げられる。
これらは1種単独でも2種以上を組み合わせて併用してもよい。
前記エポキシ樹脂組成物の全固形分におけるエポキシ樹脂の含有率としては、特に制限はないが、熱伝導率、電気絶縁性及び樹脂シートの可とう性の観点から、3質量%以上10質量%以下であることが好ましく、後述する硬化物の物性の観点から、4質量%以上7質量%以下であることがより好ましい。
尚、エポキシ樹脂組成物中の固形分とは、エポキシ樹脂組成物を構成する成分から揮発性の成分を除去した残分を意味する。
(B)硬化剤
前記エポキシ樹脂組成物は、下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造の少なくとも1種を有する硬化剤(特定硬化剤)の少なくとも1種を含む。特定硬化剤と特定エポキシ樹脂とを組み合わせることで、優れた熱伝導性を達成することができる。また前記エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて特定硬化剤以外のその他の硬化剤を更に含んでもよい。
Figure 2013133437
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(一般式(IIa)〜(IId)中、m及びnはそれぞれ独立に正の数であり、それぞれの繰り返し単位の繰り返し数を示す。Arは下記一般式(IIIa)及び(IIIb)のいずれか1つで表される基を示す。)
Figure 2013133437
(一般式(IIIa)及び(IIIb)中、R11及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示す。R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤は、後述する製造方法によって、同時に生成可能なものであり、一般式(IIa)〜(IId)から選ばれる少なくとも2種の部分構造を有する化合物の混合物として生成可能である。
すなわち前記特定硬化剤は、一般式(IIa)〜(IId)のいずれか1つで表される部分構造のみを有する化合物を含むものであっても、一般式(IIa)〜(IId)から選ばれる少なくとも2種の部分構造を有する化合物を含むものであってもよい。
一般式(IIa)〜(IId)において水酸基の置換位置は芳香環上であれば特に制限されない。
一般式(IIa)〜(IId)のそれぞれについて、複数存在するArはすべて同一の原子団であってもよいし、2種以上の原子団を含んでいてもよい。また一般式(IIa)〜(IId)で表される部分構造は、硬化剤の主鎖骨格として含まれていてもよく、また側鎖の一部として含まれていてもよい。更に、一般式(IIa)〜(IId)のいずれか1つで表される部分構造を構成するそれぞれの繰り返し単位は、ランダムに含まれていてもよいし、規則的に含まれていてもよいし、ブロック状に含まれていてもよい。
一般式(IIa)〜(IId)のいずれかで表される部分構造においてArは上記一般式(IIIa)及び(IIIb)のいずれか1つで表される基を表す。
前記一般式(IIIa)及び(IIIb)におけるR11及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基であるが、熱伝導性の観点から水酸基であることが好ましい。またR11及びR14の置換位置は特に制限されない。
またR12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。前記R12及びR13における炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。また一般式(IIIa)及び(IIIb)におけるR12及びR13の置換位置は特に制限されない。
一般式(IIa)〜(IId)におけるArは、本発明の効果、特に優れた熱伝導性を達成する観点から、ジヒドロキシベンゼンに由来する基(一般式(IIIa)においてR11が水酸基であって、R12及びR13が水素原子である基)、及びジヒドロキシナフタレンに由来する基(一般式(IIIb)においてR14が水酸基である基)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
ここで、「ジヒドロキシベンゼンに由来する基」とは、ジヒドロキシベンゼンの芳香環部分から水素原子を2つ取り除いて構成される2価の基を意味し、水素原子が取り除かれる位置は特に制限されない。また、「ジヒドロキシナフタレンに由来する基」等についても同様の意味である。
また、前記エポキシ樹脂組成物の生産性や流動性の観点からは、Arは、ジヒドロキシベンゼンに由来する基であることがより好ましく、1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール)に由来する基及び1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)に由来する基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが更に好ましい。
また更に、より熱伝導性を特に高める観点から、Arとして少なくとも1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)に由来する基を含むことが好ましく、Arとして1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)に由来する基を含む構造単位の含有率が、一般式(IIa)〜(IId)で表される部分構造の総質量中において60質量%以上であることが特に好ましい。
一般式(IIa)〜(IId)におけるm及びnについては、流動性の観点からm/n=20/1〜1/5であることが好ましく、20/1〜5/1であることがより好ましく、20/1〜10/1であることが更に好ましい。また、(m+n)は流動性の観点から20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることが更に好ましい。
(m+n)の下限値は特に制限されない。
一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する特定硬化剤は、特にArが置換又は非置換のジヒドロキシベンゼン及び置換又は非置換のジヒドロキシナフタレンの少なくともいずれか1種である場合、これらを単純にノボラック化した樹脂等と比較して、その合成が容易であり、軟化点の低い硬化剤が得られる傾向にある。従って、このような樹脂を含む樹脂組成物の製造や取り扱いも容易になる等の利点がある。
尚、一般式(IIa)〜(IId)のいずれかで表される部分構造を有する硬化剤はField Desorption Ionization Mass−Spectrometry:電界脱離イオン化質量分析法(FD−MS)によって、そのフラグメント成分として前記部分構造を容易に特定することができる。
前記特定硬化剤の分子量は特に制限されない。流動性の観点から、数平均分子量として2000以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましく、350以上1000以下であることが更に好ましい。
また重量平均分子量としては2000以下であることが好ましく、1500以下であることがより好ましく、400以上1500以下であることが更に好ましい。
前記特定硬化剤の数平均分子量及び重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーション クロマトグラフィ)を用いた通常の方法により測定される。
前記特定硬化剤の水酸基当量は特に制限されない。耐熱性に関与する架橋密度の観点から、前記特定硬化剤の水酸基当量は平均値で60以上130(g/eq)以下であることが好ましく、65以上120(g/eq)以下であることがより好ましく、70以上110(g/eq)以下であることが更に好ましい。
また前記エポキシ樹脂組成物は、特定硬化剤に加えて、後述する単量体成分を低分子希釈剤として含んでいてもよい。単量体成分の含有率は、硬化剤の総質量中に40質量%以下であることが好ましい。この場合の硬化剤の水酸基当量は、好ましくは平均値で60〜80(g/eq)である。
一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤(特定硬化剤)の製造方法は特に限定はされない。例えば、次のようなジヒドロキシアレーン類の自己酸化による分子内閉環反応を用いる方法が利用できる。すなわち、例えばカテコール(1,2−ジヒドロキシベンゼン、一般式(IIIa)においてR11が水酸基であり、R12及びR13が水素である化合物)等を20モル%〜90モル%含むフェノール類と、アルデヒド類とを、一般的なノボラック樹脂と同様、シュウ酸等の酸触媒下で反応させることで製造することができる。
反応条件は特定硬化剤の構造等に応じて適宜選択できる。例えば、アルデヒド類としてホルムアルデヒドを用いる場合には、100℃前後の還流条件で反応を行う。この還流反応を1〜8時間行い、その後、反応系内の水を常法により除去しながら120℃〜180℃まで昇温する。このときの雰囲気は、酸化性雰囲気(たとえば空気気流中)とすることが好ましい。その後、この状態を2時間〜24時間続けることにより、系内には一般式(IIa)や(IIb)で表される部分構造を有する化合物が生成し、所望の硬化剤を得ることができる。
また、上記ジヒドロキシアレーン類の自己酸化による分子内閉環反応において、レゾルシノールとカテコールとアルデヒド類とを用いて、同様に反応させることにより、一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する化合物の混合物が生成する。更に、レゾルシノールとアルデヒド類とを、同様に反応させることにより、一般式(IIa)、(IIc)及び(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する化合物の混合物が生成する。更にまた、ハイドロキノンとカテコールとアルデヒド類とを、同様に反応させることにより、一般式(IIa)及び(IIb)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する化合物の混合物が生成する。
前記特定硬化剤を別の観点から見ると、ジヒドロキシアレーン類とアルデヒド類を酸性触媒下で反応させて得られるフェノール樹脂組成物であり、水酸基当量がジヒドロキシアレーン類のノボラック樹脂の理論水酸基当量(60前後)と比較して大きいフェノール樹脂組成物である。このようなフェノール樹脂組成物を硬化剤として用いることにより、エポキシ樹脂の配向を助け、結果としてエポキシ樹脂組成物の放熱性を高めるといった効果が得られると考えられる。水酸基当量が理論値より大きくなる理由は、ジヒドロキシアレーン類が反応中に分子内閉環反応を行い、前記一般式(IIa)〜(IId)の様な部分構造を有するフェノール樹脂を含むためと考えられる。
特定硬化剤の製造に用いるジヒドロキシアレーン類としては、カテコール、レゾルシノール、及びハイドロキノン等の単環式ジヒドロキシアレーン類、並びに1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、及び1,4−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類等の多環式ジヒドロキシアレーンが挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を併用してもよい。
またアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等、フェノール樹脂合成に通常用いられるアルデヒド類が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を併用してもよい。
これらのジヒドロキシアレーン類とアルデヒド類とを、酸触媒の存在下に、ジヒドロキシアレーン類1モルに対してアルデヒド類を0.3モル〜0.9モル用いて反応させることが好ましい。より好ましくはアルデヒド類を0.4モル〜0.8モル用いる。
アルデヒド類を0.3モル以上用いることで、ジベンゾキサンテン誘導体の含有率を高くすることができ、更に未反応ジヒドロキシアレーン類の量を抑制し、樹脂の生成量を多くすることができる傾向がある。また、アルデヒド類が0.9モル以下であると、反応系中でのゲル化を抑制し、反応の制御が容易になる傾向がある。
酸触媒として使用される酸としては、シュウ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、及びメタンスルホン酸等の有機酸類、並びに塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸類を挙げることができる。これらの酸は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
酸触媒の使用量は例えば、用いるジヒドロキシアレーン類1モルに対して、0.0001モル〜0.1モルとすることが好ましい。より好ましくは0.001〜0.05モル用いる。酸触媒の使用量が0.0001モル以上であると、120〜180℃で分子内脱水閉環を行う工程が短時間になる傾向がある。また、0.1モル以下であると、触媒除去の工程がより容易になる傾向があり、半導体用途等でイオン性不純物を嫌う系への適用が容易になる。
前記エポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、特定硬化剤以外のその他の硬化剤を更に含んでもよい。その他の硬化剤としては、封止用、接着用エポキシ樹脂組成物等に一般に使用される硬化剤から適宜選択することができる。その他の硬化剤として具体的には例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、及びアミノフェノール等のフェノール類;α−ナフトール、β−ナフトール、及びジヒドロキシナフタレン等のナフトール類;前記フェノール類及びナフトール類からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;フェノール類及びナフトール類からなる群より選ばれる少なくとも1種とシクロペンタジエンとから共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノールノボラック樹脂、及びジシクロペンタジエン型ナフトールノボラック樹脂等のジシクロペンタジエン型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;トリフェノールメタン型フェノール樹脂等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂組成物に含まれるその他の硬化剤の含有率は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、適宜選択される。
前記エポキシ樹脂組成物は、特定硬化剤を構成するフェノール性化合物であるモノマーを含んでいてもよい。特定硬化剤を構成するフェノール性化合物であるモノマーの含有比率(以下、「モノマー含有比率」ということがある)としては特に制限はないが、5〜80質量%であることが好ましく、15〜60質量%であることがより好ましく、20〜50質量%であることが更に好ましい。
モノマー含有比率が20質量%以上であることで、フェノール樹脂の粘度上昇を抑制し、無機充填剤の密着性がより向上する。また50質量%以下であることで、硬化の際における架橋反応により、より高密度な高次構造が形成され、優れた熱伝導率と耐熱性が達成できる。
尚、特定硬化剤を構成するフェノール性化合物のモノマーとしては、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノンを挙げることができ、少なくともレゾルシノールをモノマーとして含むことが好ましい。
(C)無機充填剤
前記エポキシ樹脂組成物は、無機充填剤の少なくとも1種を含む。無機充填剤は、当該技術分野で通常用いられる無機充填剤から適宜選択して用いることができる。具体的には例えば、非導電性のものとして、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等を挙げることができる。また導電性のものとして、金、銀、ニッケル、銅等を挙げることができる。これらは1種類単独で又は2種類以上の混合系で使用することができる。
前記無機充填剤は、単一ピークを有する粒度分布を示す無機充填剤であってもよく、異なる粒度分布を示す複数種類の無機充填剤を組合せたものであってもよい。中でも熱伝導性の観点から、それぞれが異なる粒度分布を示す3種類以上の無機充填剤を組合せたものであることが好ましく、それぞれが異なる粒度分布を示す3種類以上の無機充填剤群を組合せたものであることがより好ましく、更に最も大粒径の無機充填剤が窒化ホウ素であることが更に好ましい。
無機充填剤が、例えばそれぞれが異なる粒度分布を示す3種類の無機充填剤を組み合わせたものである場合、前記エポキシ樹脂組成物に含まれる無機充填剤の粒度分布は、3種類の無機充填剤のそれぞれに対応する少なくとも3つのピークを有する。また、それぞれのピークのピーク面積は、それぞれの無機充填剤の含有率に応じたものとなっている。
前記無機充填剤が複数種類のアルミナ粒子と窒化ホウ素を組合せたものである場合、その混合割合は、組合せるアルミナ粒子群の数やそれぞれのアルミナ粒子群の平均粒径等に応じて適宜選択することができる。
ここで無機充填剤(好ましくはアルミナ)の粒子径D50は、レーザー回折法を用いて測定され、体積累積粒度分布曲線を小粒径側から描いた場合に、体積累積が50%となる粒子径に対応する。レーザー回折法を用いた粒度分布測定は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター社製、商品名:LS230)を用いて行うことができる。
前記3種類の無機充填剤の内、第一の無機充填剤群は、体積累積粒度分布の小粒径側からの累積50%に対応する粒子径D50が10μm以上100μm以下であることが好ましい。熱伝導率と電気絶縁性の観点から、20μm以上90μm以下であることが好ましく、シートの平坦性を保つ観点から、30μm以上80μm以下であることがより好ましい。
また、前記エポキシ樹脂組成物に含まれる無機充填剤の総質量中における第一の無機充填剤群の窒化ホウ素含有率は、50体積%以上80体積%以下であることが好ましい、熱伝導率と電気絶縁性の観点から、60体積%以上70体積%以下であることがより好ましい。
また、前記3種類の無機充填剤の内、第二の無機充填剤群は、体積累積粒度分布の小粒径側からの累積50%に対応する粒子径D50が1μm以上10μm未満であることが好ましい。熱伝導率と電気絶縁性の観点から、2μm以上6μm以下であることが好ましく、シート中の空隙を低減する観点から、2.5μm以上5μm以下であることがより好ましい。
前記エポキシ樹脂組成物に含まれる無機充填剤の総体積中における第二の無機充填剤群の含有率は、15体積%以上30体積%以下であることが好ましく、熱伝導率と電気絶縁性の観点から、18体積%以上27体積%以下であることがより好ましく、18.5体積%以上25体積%以下であることが更に好ましい。
更に、前記3種類の無機充填剤の内、第三の無機充填剤群は、重量累積粒度分布の小粒径側からの累積50%に対応する粒子径D50が1μm未満であることが好ましい。熱伝導率と電気絶縁性の観点から、0.1μm以上0.8μm以下であることが好ましく、シート中の空隙を低減させる観点から、0.2μm以上0.6μm以下であることがより好ましい。
前記エポキシ樹脂組成物に含まれる無機充填剤の総体積中における第三の無機充填剤群の含有率は、1質量%以上25質量%以下であることが好ましく、熱伝導率と電気絶縁性の観点から、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上18質量%以下であることが更に好ましい。
本発明における無機充填剤として用いるアルミナは、既述の粒子径分布を有するものであれば、結晶構造等に特に制限はなく、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ等のいずれであってもよいが、前記第二、第三の無機充填剤群の少なくとも一種はアルミナ群であることが好ましく、第二、第三の無機充填剤群の少なくとも1種はα−アルミナであることがより好ましく、これらは熱伝導性の観点から、α−アルミナのみから構成されることが更に好ましい。
また、前記第二、第三の無機充填剤群は、熱伝導性の観点から、α−アルミナの単結晶粒子からなるアルミナであることが更に好ましい。
前記第二、第三の無機充填剤群に用いるアルミナとしては、市販のものから適宜選択することができる。また、遷移アルミナ又は熱処理することにより遷移アルミナとなるアルミナ粉末を、塩化水素を含有する雰囲気ガス中で焼成すること(例えば、特開平6−191833号公報、特開平6−191836号公報等参照。)により製造したものであってもよい。
前記エポキシ樹脂組成物に含まれる無機充填剤(好ましくはアルミナ)の含有率には特に制限はない。エポキシ樹脂組成物を構成する固形分中、80質量%以上95質量%以下とすることができ、熱伝導率、電気絶縁性、及びシート可とう性の観点から、82質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
尚、エポキシ樹脂組成物中の固形分とは、エポキシ樹脂組成物を構成する成分から揮発性の成分を除去した残分を意味する。
(D)エラストマ
前記エポキシ樹脂組成物は、エラストマの少なくとも1種を含むことが好ましい。エラストマを含むことで、樹脂シートの柔軟性を高め、かつ圧着時の樹脂の過剰な流動性を抑制することができる。
エラストマの種類としては特に制限はなく従来公知のエラストマを耐熱性や入手性に応じて使用することができる。中でも粘度特性の観点から、重量平均分子量が1万以上30万以下のエラストマであることが好ましく、3万以上20万以下のエラストマであることがより好ましく、5万以上10万以下のエラストマであることが更に好ましい。
尚、エラストマの重量平均分子量はGPCを用いた通常の方法により測定される。
また、エラストマは、エポキシ樹脂との相性の観点から、アクリル系エラストマであることが好ましく、メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸グリシジル共重合体であるアクリル系エラストマであることがより好ましい。
更に、ニトリルゴム成分を共重合成分に含まないアクリル系エラストマであることもまた好ましい。ニトリルゴム成分を共重合性分に含まないことで、電気的信頼性をより高めることができる。
前記エラストマは、樹脂シートの可とう性、及び流動性の観点から、重量平均分子量が1万以上30万以下のアクリル系エラストマを含むことが好ましく、重量平均分子量が3万以上20万以下のアクリル系エラストマを含むことがより好ましい。
更に、前記エラストマに含まれる重量平均分子量が5万以上10万以下のアクリル系エラストマの含有率は、前記エポキシ樹脂組成物に含まれるエラストマの全質量中に70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
前記エポキシ樹脂組成物が、所定の重量平均分子量を有するエラストマを含むことで、特定エポキシ樹脂及び特定硬化剤を含んでいても、半硬化状態の樹脂シートの溶融粘度が低くなりすぎることを抑制できる。これによりゲル化前に高い応力(プレス等)が加えられる場合でも、過剰なフロー性を抑制できる。
前記エポキシ樹脂組成物に含まれるエラストマの含有率には特に制限はない。エラストマの含有率は、エポキシ樹脂組成物を構成する固形分中、0.1質量%以上2.0質量%以下とすることができ、熱伝導率及びシート可とう性の観点から、0.3質量%以上1.5質量%以下であることがより好ましい。
前記エポキシ樹脂組成物は、上記必須成分に加えて硬化促進剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。硬化促進剤を含むことでゲルタイムを所望の範囲に容易に調整することができる。
硬化促進剤としては通常使用される硬化促進剤を特に制限なく用いることができる。硬化促進剤の例を挙げれば、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザ−ビシクロ〔4.3.0〕ノネン、5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン等のシクロアミジン化合物、並びに、これらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン化合物及びこれらの誘導体;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物及びこれらの誘導体;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン及びこれらの有機ホスフィンに無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物等の有機リン化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。信頼性や成形性の観点からは有機リン化合物が好ましい。
前記エポキシ樹脂組成物における硬化促進剤の含有率は、硬化促進効果が達成される量であれば特に制限されるものではないが、エポキシ樹脂に対して0.1〜10質量%が好ましい。硬化促進剤の含有率が0.1質量%以上である、と短時間での硬化性に優れる傾向がある。また硬化促進剤の含有率が10質量%以下であると、硬化速度が速くなりすぎることが抑制され、良好な硬化物を得られる傾向がある。
前記エポキシ樹脂組成物は、カップリング剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより、エポキシ樹脂と硬化剤よりなる樹脂成分と無機充填剤との接着性を高めることができる。
カップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシランカップリング剤、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等を挙げることができる。これらは1種単独で用いても2種以上を併用しても構わない。
シランカップリング剤としては、市販のものを通常使用できるが、エポキシ樹脂や硬化剤との相溶性及び樹脂層と無機充填剤との界面での熱伝導ロスを低減することを考慮すると、末端にエポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基、又は水酸基を有するシランカップリング剤を用いることが好適である。
具体的には、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができ、また、商品名:SC−6000KS2に代表されるシランカップリング剤オリゴマ(日立化成コーテッドサンド株式会社製)等も挙げられる。
これらシランカップリング剤は1種単独又は2種類以上を併用することもできる。
前記エポキシ樹脂組成物におけるカップリング剤の含有率は、無機充填剤に対して0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜2.5質量%がより好ましい。カップリング剤の含有率が0.05質量%以上であると耐湿性がより向上する傾向がある。またカップリング剤の含有率が5質量%以下であると熱伝導率がより向上する傾向がある。
前記エポキシ樹脂組成物は、分散剤を含有することができる。分散剤としては、無機充填剤の分散に効果のある分散剤であれば特に制限なく使用できる。分散剤としては、例えば、味の素ファインテック株式会社製、商品名:アジスパーシリーズ(「アジスパー」は登録商標)、楠本化成株式会社製、商品名:HIPLAADシリーズ(「HIPLAAD」は登録商標)、花王株式会社製、商品名:ホモゲノールシリーズ(「ホモゲノール」は登録商標)等が挙げられる。これら分散剤は1種単独でも2種類以上を併用することもできる。
本発明の樹脂シートは、前記エポキシ樹脂組成物の半硬化物からなり、シート状の形状を有する。
本発明の樹脂シートは、例えば、前記エポキシ樹脂組成物を離型フィルム上に塗布・乾燥して樹脂フィルムを形成する工程と、前記樹脂フィルムをBステージ状態まで加熱処理する工程とを含む製造方法で製造できる。
本発明の樹脂シートは、前記エポキシ樹脂組成物を加熱処理して形成されることで、熱伝導率及び電気絶縁性に優れ、樹脂シートとしての可とう性及び可使時間に優れる。
具体的には、例えば、PETフィルム等の離型フィルム上に、メチルエチルケトンやシクロヘキサンノン等の溶剤を添加したワニス状のエポキシ樹脂組成物を、塗布後、乾燥することで樹脂フィルムを得ることができる。
塗布は、公知の方法により実施することができる。塗布方法として、具体的には、コンマコート、ダイコート、リップコート、グラビアコート等の方法が挙げられる。所定の厚みに樹脂層を形成するための塗布方法としては、ギャップ間に被塗工物を通過させるコンマコート法、ノズルから流量を調整した樹脂ワニスを塗布するダイコート法等を適用することができる。例えば、乾燥前の樹脂層の厚みが50μm〜300μmである場合、コンマコート法を用いることが好ましい。
塗工後の樹脂層は硬化反応がほとんど進行していないため、可とう性を有するものの、シートとしての柔軟性に乏しく、支持体である前記PETフィルムを除去した状態ではシート自立性に乏しく、取り扱いが困難である。そこで、本発明は後述する加熱処理により樹脂組成物をBステージ化する。
本発明において、得られた樹脂フィルムを加熱処理する条件は、エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にまで半硬化することができれば特に制限されず、エポキシ樹脂組成物の構成に応じて適宜選択することができる。本発明において加熱処理には、熱真空プレス及び熱ロールラミネート等から選択される加熱処理方法が好ましい。これにより塗工の際に生じた樹脂層中の空隙(ボイド)を減少させることができ、また平坦な樹脂シートを効率良く製造することができる。
前記樹脂シートの厚みは、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50μm以上200μm以下とすることができ、熱伝導率、電気絶縁性及びシート可とう性の観点から、60μm以上150μm以下であることが好ましい。また、2層以上の樹脂フィルムを積層しながら熱プレスすることにより作製することもできる。
<樹脂付金属箔>
本発明の樹脂付金属箔は、金属箔と、前記金属箔上に配置された前記エポキシ樹脂組成物の半硬化体である半硬化樹脂層とを備える。前記エポキシ樹脂組成物に由来する半硬化樹脂層を有することで、熱伝導率、電気絶縁性、可とう性に優れる。
前記半硬化樹脂層は前記樹脂組成物をBステージ状態になるように加熱処理して得られるものである。
前記金属箔としては、金箔、銅箔、アルミニウム箔等、特に制限されないが、一般的には銅箔が用いられる。
前記金属箔の厚みとしては、例えば1μm以上210μm以下とすることができる。中でも10μm以上150μm以下であることが好ましく、18μm以上105μm以下であることがより好ましい。このような金属箔を用いることで可とう性がより向上する。
また、金属箔として、ニッケル、ニッケル−リン合金、ニッケル−スズ合金、ニッケル−鉄合金、鉛、鉛−スズ合金等を中間層とし、この両面に0.5μm〜15μmの銅層と10μm〜300μmの銅層を設けた3層構造の複合箔、又はアルミニウムと銅箔とを複合した2層構造複合箔を用いることもできる。
樹脂付金属箔は、前記樹脂組成物を金属箔上に塗布・乾燥することにより樹脂層(樹脂フィルム)を形成し、前記樹脂層がBステージ状態(半硬化状態)になるように加熱処理することで製造することができる。
樹脂付金属箔の製造条件は特に制限されないが、乾燥後の樹脂層においては、金属基板作製時の電気絶縁性や外観の観点から、樹脂ワニスに使用した有機溶媒が80質量%以上揮発していることが好ましい。乾燥温度は80℃〜180℃程度であり、乾燥時間はワニスのゲル化時間との兼ね合いで決めることができ、特に制限はない。樹脂ワニスの塗布量は、乾燥後の樹脂層の厚みが50μm〜200μmとなるように塗布することが好ましく、60μm〜150μmとなることがより好ましい。
尚、樹脂層の形成方法、加熱処理条件は既述の通りである。
<金属基板>
本発明の金属基板は、金属支持体と、前記金属支持体上に配置された前記エポキシ樹脂組成物の硬化物である硬化樹脂層と、前記硬化樹脂層上に配置された金属箔と、を備える。本発明の金属基板は、金属支持体と金属箔との間に配置された硬化樹脂層が、前記エポキシ樹脂組成物を硬化状態になるように加熱処理して形成されたものであることで、接着性、熱伝導率、電気絶縁性に優れる。
前記金属支持体は目的に応じて、その素材及び厚み等が適宜選択される。具体的には、例えば、アルミニウム、鉄等の金属を用い、加工性の観点から、厚みを0.5mm以上5mm以下とすることが好ましい。
また、硬化樹脂層上に配置される金属箔は、前記樹脂付金属箔における金属箔と同義であり、好ましい態様も同様である。
本発明の金属基板は、例えば以下のようにして製造することができる。アルミニウム等の金属支持体上に、前記エポキシ樹脂組成物を上記と同様にして塗布・乾燥することで樹脂層を形成し、更に樹脂層上に金属箔を配置して、これを加熱・加圧処理して、樹脂層を硬化することで製造することができる。また、金属支持体上に、前記樹脂付金属箔を樹脂層が金属支持体に対向するように張り合わせた後、これを加熱・加圧処理して、樹脂層を硬化することで製造することもできる。
前記樹脂層を硬化する加熱・加圧処理の条件は、エポキシ樹脂組成物の構成に応じて適宜選択される。例えば、加熱温度が80℃〜250℃で、圧力が0.5MPa〜8.0MPaであることが好ましく、加熱温度が130℃〜230℃で、圧力が1.5MPa〜5.0MPaであることがより好ましい。
<LED基板>
本発明のLED基板100は、図4及び図5に概略を示すように金属支持体14と、前記金属支持体上に配置された前記エポキシ樹脂組成物の硬化物である硬化樹脂層12と、前記硬化樹脂層12上に配置された金属箔からなる回路層10と、前記回路層上に配置されたLED素子20と、を備える。
金属支持体上に接着性、熱伝導率及び電気絶縁性に優れる前記硬化樹脂層が形成されていることで、LED素子から放出される熱を効率的に放熱することが可能になる。
本発明のLED基板は、例えば、上記のようにして得られる金属基板上の金属箔に回路加工して回路層を形成する工程と、形成された回路層上にLED素子を配置する工程と、を含む製造方法で製造することができる。
金属基板上の金属箔に回路加工する工程には、フォトリソ等の通常用いられる方法を適用することができる。また回路層上にLED素子を配置する工程についても、通常用いられる方法を特に制限なく用いることができる。
それぞれの工程の詳細については、既述の通りである。
図6〜図8に、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物である硬化樹脂層を用いて構成されるパワー半導体装置の構成例を示す。
図6は、パワー半導体チップ110が、はんだ層112を介して配置された銅板104と、硬化樹脂層102と、グリース層108を介して水冷ジャケット120上に配置された放熱ベース106とが積層されて構成されたパワー半導体装置200の構成例を示す模式断面図である。パワー半導体チップ110を含む発熱体が硬化樹脂層102を介して放熱部材と接触していることで、効率良く放熱が行なわれる。尚、前記放熱ベース106は、高い熱伝導性を有する銅やアルミニウムを用いて構成することができる。また、パワー半導体チップとしては、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やサイリスタ等を挙げることができる。
図7は、パワー半導体チップ110の両面に、冷却部材を配置して構成されたパワー半導体装置300の構成例を示す模式断面図である。パワー半導体装置300においては、パワー半導体チップ110の上面に配置される冷却部材が、2層の銅板104を含んで構成されている。かかる構成であることにより、チップ割れやはんだ割れの発生を、より効果的に抑制することができる。図7では硬化樹脂層102と水冷ジャケット120とがグリース層108を介して配置されているが、硬化樹脂層102と水冷ジャケット120とが直接接触するように配置されていてもよい。
図8は、パワー半導体チップ110の両面に、冷却部材を配置して構成されたパワー半導体装置400の構成例を示す模式断面図である。パワー半導体装置400においては、パワー半導体チップ110の両面に配置される冷却部材が、それぞれ1層の銅板104を含んで構成されている。図8では、硬化樹脂層102と水冷ジャケット120とがグリース層108を介して配置されているが、硬化樹脂層102と水冷ジャケット120とが直接接触するように配置されていてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(硬化剤1の合成)
撹拌機、冷却器、温度計を備えた3Lのセパラブルフラスコにレゾルシノール627g、カテコール33g、37%ホルマリン316.2g、シュウ酸15g、水300gを入れ、オイルバスで加温しながら100℃に昇温した。104℃前後で還流し、還流温度で4時間反応を続けた。その後、水を留去しながらフラスコ内の温度を170℃に昇温した。170℃を保持しながら8時間反応を続けた。反応後、減圧下20分間濃縮を行い、系内の水等を除去して目的の硬化剤1であるフェノール樹脂を得た。
また、得られた硬化剤1について、FD−MSにより構造を確認したところ、一般式(IIa)〜(IId)で表される部分構造すべての存在が確認できた。
硬化剤1の合成時における、重量平均分子量の変化を図1に、単量体、2量体、3量体及び4量体以上の含有率の変化を図2に示した。また得られたフェノール樹脂のGPCチャートを図3に示した。
カテコール及びレゾルシノールを用いているため、一般式(IIa)〜(IId)で表される部分構造を有するフェノール樹脂の混合物が得られたと考えられる。
尚、上記反応条件では一般式(IIa)で表される部分構造を有する化合物が最初に生成し、これが更に脱水反応することで一般式(IIb)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する化合物が生成すると考えられる。
尚、上記で得られた硬化剤については、物性値の測定を次のようにして行った。
数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定は、株式会社日立製作所製高速液体クロマトグラフィ、商品名:L6000及び株式会社島津製作所製データ解析装置、商品名:C−R4Aを用いて行なった。分析用GPCカラムは、東ソー株式会社製、商品名:G2000HXL及びG3000HXLを使用した。試料濃度は0.2質量%、移動相にはテトラヒドロフランを用い、流速1.0ml/分で測定を行った。ポリスチレン標準サンプルを用いて検量線を作成し、それを用いてポリスチレン換算値で数平均分子量等を計算した。
水酸基当量は、塩化アセチル−水酸化カリウム滴定法により測定した。尚、滴定終点の判断は、溶液の色が暗色の為、指示薬による呈色法ではなく、電位差滴定によって行った。具体的には、測定樹脂の水酸基をピリジン溶液中塩化アセチル化した後その過剰の試薬を水で分解し、生成した酢酸を水酸化カリウム/メタノール溶液で滴定したものである。
硬化剤1の物性値を以下に示す。
硬化剤1:前記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する化合物の混合物であり、Arが、前記一般式(IIIa)においてR11=水酸基であり、R12=R13=水素原子である1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール)に由来する基及び1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)に由来する基であり、低分子希釈剤として単量体成分(レゾルシノール)を35%含む硬化剤(水酸基当量62g/eq、数平均分子量422、重量平均分子量564)を含むフェノール樹脂であった。
以下に、本実施例において樹脂シートの作製に用いた材料とその略号を示す。
(第一の無機充填剤)
・FS−3:窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製、商品名:FS−3、体積平均粒径67μm]
・HP−40:窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製、商品名:HP−40、体積平均粒径42μm)
・PTX−25:窒化ホウ素(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、商品名:PTX−25、体積平均粒形25μm)
(第二の無機充填剤)
・AA−3:酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:AA−3、体積平均粒子径3μm)
(第三の無機充填剤)
・AA−04:酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:AA−04、体積平均粒子径0.4μm)
(硬化剤)
硬化剤1:上記方法(硬化剤1の合成)にて作製したノボラック樹脂。
TPM:トリフェニルメタン型ノボラック樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:カヤハードTPM(「カヤハード」は登録商標)、水酸基当量103g/eq)
PN:フェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社製、商品名:H−100、水酸基当量105g/eq)
(エポキシ樹脂モノマー)
PNAP:トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:EPPN−502H(「EPPN」は登録商標)、多官能エポキシ樹脂、エポキシ当量168g/eq)
BIS(A+F):ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物(新日鐵化学株式会社製、商品名:ZX−1059、2官能液状エポキシ樹脂、エポキシ当量170g/eq)
BP:ビフェニル型エポキシ樹脂混合物(三菱化学株式会社製、商品名:YL6121H、エポキシ当量172g/eq)
(エラストマ1)
AR−122−4:アクリル樹脂(日立化成工業株式会社製、商品名:REB122−4)
(添加剤)
TPP:トリフェニルホスフィン(和光純薬工業株式会社製)
PAM:3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−573)
(有機溶剤)
MEK:メチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社製、1級)
CHN:シクロヘキサノン(和光純薬工業株式会社製、1級)
(支持体)
PETフィルム:帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:A31、厚さ50μm
銅箔:古河電気工業株式会社製、厚さ80μm、GTSグレード
アルミニウム箔:住友軽金属工業株式会社製、厚さ20μm
[実施例1]
(樹脂シートの調製)
酸化アルミニウム混合物(AA−3:AA−04;体積基準混合比2.4:1)42.99部と、窒化ホウ素(HP−40)46.13部(AA−04に対する体積基準混合比6.6)と、シランカップリング剤(PAM)0.09部と、エポキシ樹脂の硬化剤として(硬化剤1)のCHN溶液8.29部(固形分50%)と、(CHN)46.02部と(AR−122−4)0.97部を混合し、均一になったことを確認した後に、エポキシ樹脂モノマーとして(PNAP)5.6部と{BIS(A+F)}5.6部、(TPP)0.13部を更に加えて混合した後、20〜40時間ボールミル粉砕を行って、樹脂組成物として樹脂層形成用塗工液を得た。
得られた樹脂層形成用塗工液を、コンマコーター(株式会社ヒラノテクシード製、「コンマコーター」は登録商標)を用いて、片面が離型処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ50μm、帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:A31)を支持体とし、その離型面上に厚さが約150μmになるように塗布し、100℃のボックス型オーブンで5分乾燥し、PETフィルム上にAステージ状態の樹脂シートを形成した。
上記で得られた樹脂層が形成されたAステージシートを2枚用い、樹脂層同士が対向するように重ねて、熱プレス装置(熱板温度150℃、圧力10MPa、処理時間1分)を用いて、加熱加圧処理して貼り合わせ、厚さが198μmであるBステージ状態の樹脂シートを得た。
(樹脂シート積層体硬化物の作製)
上記で得られたシート両面からPETフィルムを剥離し、その両面に厚さ80μmの銅箔(古河電気工業株式会社製、商品名:GTSグレード)を重ねた後、プレス処理を行った(プレス工程条件:熱板温度165℃、真空度≦1kPa、圧力10MPa、処理時間3分)。ボックス型オーブン中で、160℃で0.5時間、190℃で2時間、加熱することにより、両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物1を得た。
[実施例2]
実施例1において、(PNAP)を7.84部、{BIS(A+F)}を3.36部、硬化剤1を7.23部、用いたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物2をそれぞれ得た。
[実施例3]
実施例1において、{BIS(A+F)}を添加せず、(PNAP)を11.2部、(硬化剤1)を7.23部、用いたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物3をそれぞれ得た。
[実施例4]
実施例1において、(HP−40)の代わりに窒化ホウ素(FS−3)46.04部を加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物4をそれぞれ得た。
[実施例5]
酸化アルミニウム混合物(AA−3:AA−04;体積基準混合比2.4:1)27.59部と、窒化ホウ素(HP−40)29.60部(AA−04に対する体積基準混合比6.6)と、シランカップリング剤(PAM)0.06部と、エポキシ樹脂の硬化剤として(硬化剤1)のCHN溶液8.27部(固形分50%)と、(CHN)22.54部とを混合し、均一になったことを確認した後に、エポキシ樹脂モノマーとして(PNAP)5.6部と{BIS(A+F)}5.6部、(TPP)0.13部を更に加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物6をそれぞれ得た。
[実施例6]
酸化アルミニウム混合物(AA−3:AA−04;体積基準混合比2.4:1)34.26部と、窒化ホウ素(HP−40)36.76部(AA−04に対する体積基準混合比6.6)と、シランカップリング剤(PAM)0.07部と、エポキシ樹脂の硬化剤として硬化剤1のCHN溶液8.29部(固形分50%)と、(CHN)27.50部とを混合し、均一になったことを確認した後に、エポキシ樹脂モノマーとして(PNAP)5.6部と{BIS(A+F)}5.6部、(TPP)0.13部を更に加えて混合した以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物6をそれぞれ得た。
[比較例1]
酸化アルミニウム混合物(AA−3:AA−04;体積基準混合比2.4:1)52.42部と、窒化ホウ素(HP−40)56.25部(AA−04に対する体積基準混合比6.6)と、シランカップリング剤(PAM)0.11部と、エポキシ樹脂の硬化剤として硬化剤1のCHN溶液8.28部(固形分50%)と、(CHN)33.98部とを混合し、均一になったことを確認した後に、エポキシ樹脂モノマーとして(PNAP)5.61部と{BIS(A+F)}5.61部、(TPP)0.13部を更に加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物C1をそれぞれ得た。
[比較例2]
実施例1において、(HP−40)の代わりに窒化ホウ素(PTX−25)56.25部を加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物C2をそれぞれ得た。
[比較例3]
実施例1において、硬化剤1の代わりに(TPM)を4.7部、(PNAP)を3.8部、{BIS(A+F)}を3.8部、(CHN)を27.03部加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物C3をそれぞれ得た。
[比較例4]
実施例1において、硬化剤1の代わりに(PN)を4.7部、(PNAP)を3.8部、{BIS(A+F)}を3.8部、(CHN)を27.0部加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物C4をそれぞれ得た。
[比較例5]
実施例1において、(硬化剤1)を6.6部、{BIS(A+F)}を8.9部、(CHN)を28.0部加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物C5をそれぞれ得た。
[比較例6]
実施例1において、(硬化剤1)を6.5部、(ビフェニル型エポキシ樹脂)を9.0部、(CHN)を28.4部加えたこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物C6をそれぞれ得た。
[比較例7]
実施例1において、(AR−122−4)を加えなかったこと以外は実施例1と同様にして、Bステージ状態の樹脂シート及び両面に銅箔が設けられたCステージ状態の樹脂シート積層体硬化物C7をそれぞれ得た。
(熱伝導率の測定方法)
熱伝導率は、熱伝導方程式により、それぞれ実測した密度、比熱と熱拡散率の積から求めた。
最初に熱拡散率の測定方法を以下に示す。得られた銅箔貼り樹脂シート硬化物から、銅のみを過硫酸ナトリウム溶液を用いてエッチング除去し、シート状の樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物の熱拡散率をNETZSCH社製、商品名:Nanoflash LFA447型を用いて、フラッシュ法により測定した。
密度は、同様に銅箔を除去したシート硬化物を用いて、アルキメデス法により求めた。更に比熱を示差熱分析装置(DSC)(Parkin Elmer社製、商品名:Pyris 1型)による入力熱量の差により求めた。測定条件としては、窒素雰囲気下、5℃/分、アルミナをリファレンスとして測定を行った。
(絶縁破壊電圧測定方法)
上記で得られたCステージ状態の両面に銅箔が設けられた樹脂シート硬化物から、過硫酸ナトリウム溶液を用いて銅をエッチング除去し、シート状の樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物の交流下での絶縁耐圧をヤマヨ試験器有限会社製、商品名:YST−243−100RHOを用いて測定した。測定条件としては、測定温度23℃±2℃、昇圧速度1kV/秒であり、大気中にて測定を行った。
(せん断接着強さの測定方法)
Bステージ状態の樹脂シートの両面からPETフィルムを剥がし、金属板を貼り合わせ、JIS K 6850に準拠して、引張りせん断接着強さの測定を行った。具体的には、100mm×25mm×3mmの銅板2枚を12.5mm×25mm×0.2mmの樹脂シートに互い違いに重ねて接着、硬化した。これを試験速度1mm/分、測定温度23℃と175℃、株式会社島津製作所製、商品名:AGC−100型で引っ張ることで測定を行った。
尚、接着、硬化は以下のようにして行った。真空熱プレス(熱板温度165℃、真空度≦1kPa、圧力10MPa、処理時間3分)を行った後、ボックス型オーブン中で、140℃で2時間、165℃で2時間、190℃で2時間のステップキュアにより行った。
(無機充填剤粒子径)
ワニス状の樹脂組成物0.5gを50gのメタノールに分散し、適量をレーザー回折散乱粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、商品名:LS230)に投入し、樹脂組成物中の無機充填剤の粒度分布測定を行った。
(樹脂シートの可とう性)
樹脂シートの可とう性を以下のようにして評価した。
作製した樹脂シートを長さ100mm、幅10mmに切出し、表面のPETフィルムを除去したものを評価用サンプルとした。アルミ製で、直径が20mm〜140mmの20mm刻みの円板を多段に重ねた治具にサンプルをあてがい、25℃において破損せずに曲げられる最小径を測定し、下記評価基準に従って樹脂シートの可とう性を評価した。

〜評価基準〜
A:最小半径が20mmであった。
B:最小半径が40mm又は60mmであり、実用上の限界だった。
C:最小半径が80mm以上であった。
表1に、上記の実施例と比較例の評価結果を示す。
表1中、「−」は、含有していないことを示す。
表1から、本発明の樹脂シートの硬化物は、優れた熱伝導性と優れた電気絶縁性を示すことが分かる。また、樹脂シートの可とう性に優れることが分かる。
Figure 2013133437
10 回路層
12、102 硬化樹脂層
14 金属支持体
20 LED素子
100 LED基板
104 銅板
106 放熱ベース
108 グリース層
110 パワー半導体チップ
112 はんだ層
120 水冷ジャケット
200、300、400 パワー半導体装置

Claims (9)

  1. 下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂と、
    下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤と、
    無機充填剤と、
    を含有するエポキシ樹脂組成物の半硬化物である樹脂シート。
    Figure 2013133437
    (一般式(I)中、nは平均値で1から10に含まれる実数を表す。)
    Figure 2013133437
    Figure 2013133437
    Figure 2013133437
    Figure 2013133437
    (一般式(IIa)〜(IId)中、m及びnはそれぞれ独立に、正の数であり、それぞれの繰り返し単位の繰り返し数を示し、Arは下記一般式(IIIa)及び(IIIb)のいずれか1つで表される基を示す。)
    Figure 2013133437
    (一般式(IIIa)及び(IIIb)中、R11及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示す。R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
  2. 前記無機充填剤は、レーザー回折法を用いて測定した粒子径分布において、0.01μm以上1μm未満、及び、1μm以上10μm未満、及び、10μm以上100μm以下、のそれぞれにピーク値を有し、前記10μm以上100μm以下の粒子径を有する無機充填剤が窒化ホウ素を含む請求項1に記載の樹脂シート。
  3. 更にエラストマを含む請求項1又は2に記載の樹脂シート。
  4. 金属箔と、前記金属箔上に配置された請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂シートと、を備える樹脂付金属箔。
  5. 金属支持体と、前記金属支持体上に配置された請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂シートの硬化物である硬化樹脂層と、前記硬化樹脂層上に配置された金属箔と、を備える金属基板。
  6. 金属支持体と、前記金属支持体上に配置された請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂シートの硬化物である硬化樹脂層と、前記硬化樹脂層上に配置された金属箔からなる回路層と、前記回路層上に配置されたLED素子と、を備えるLED基板。
  7. 金属箔と、
    前記金属箔上に配置され、下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂、下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤、及び無機充填剤を含有するエポキシ樹脂組成物の半硬化物である半硬化樹脂層と、を備える樹脂付金属箔。
    Figure 2013133437
    (一般式(I)中、nは平均値で1から10に含まれる実数を表す。)
    Figure 2013133437
    Figure 2013133437
    Figure 2013133437
    Figure 2013133437
    (一般式(IIa)〜(IId)中、m及びnはそれぞれ独立に正の数であり、それぞれの繰り返し単位の繰り返し数を示し、Arは下記一般式(IIIa)又は(IIIb)のいずれか1つで表される基を示す。)
    Figure 2013133437
    (一般式(IIIa)及び(IIIb)中、R11及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示す。R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
  8. 金属支持体と、
    前記金属支持体上に配置され、下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂、下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤、及び無機充填剤を含有する樹脂組成物の硬化物である硬化樹脂層と、
    前記硬化樹脂層上に配置された金属箔と、を備える金属基板。
    Figure 2013133437
    (一般式(I)中、nは平均値で1から10に含まれる実数を表す。)
    Figure 2013133437
    Figure 2013133437
    Figure 2013133437
    Figure 2013133437
    (一般式(IIa)〜(IId)中、m及びnはそれぞれ独立に正の数であり、それぞれの繰り返し単位の繰り返し数を示し、Arは下記一般式(IIIa)又は(IIIb)のいずれか1つで表される基を示す。)
    Figure 2013133437
    (一般式(IIIa)及び(IIIb)中、R11及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示す。R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
  9. 下記一般式(I)で表される部分構造を有するエポキシ樹脂、下記一般式(IIa)〜(IId)のうちの少なくとも1つで表される部分構造を有する硬化剤、及び無機充填剤を含有する樹脂組成物を、金属箔上に塗布して樹脂層を形成する工程と、
    前記樹脂層を加熱処理して半硬化樹脂層とするBステージ化工程と、
    を含む樹脂付金属箔の製造方法。
    Figure 2013133437
    (一般式(I)中、nは平均値で1から10に含まれる実数を表す。)
    Figure 2013133437
    Figure 2013133437
    Figure 2013133437
    Figure 2013133437
    (一般式(IIa)〜(IId)中、m及びnはそれぞれ独立に正の数であり、それぞれの繰り返し単位の繰り返し数を示し、Arは下記一般式(IIIa)又は(IIIb)のいずれか1つで表される基を示す。)
    Figure 2013133437
    (一般式(IIIa)及び(IIIb)中、R11及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基を示す。R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
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