JP2013131456A - 光電変換素子および色素増感太陽電池 - Google Patents

光電変換素子および色素増感太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】短絡電流密度が向上した光電変換素子を低コストで提供すること。
【解決手段】光電変換素子では、集電電極を支持する透光性支持体の上に、多孔性半導体層を有する光電変換層と、光電変換層に接する集電電極と、電荷輸送層と、対極と、対極を支持する対極支持体とが順に設けられている。この光電変換素子はさらに絶縁層を備えている。絶縁層は、透光性支持体と光電変換層との間に設けられ、透光性支持体よりも大きく且つ多孔性半導体層よりも小さな屈折率値を有し、100Ω/□以上のシート抵抗値を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子および色素増感太陽電池に関する。
化石燃料に代わるエネルギー源として、太陽光を電力に変換する太陽電池が注目されている。現在、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池および薄膜シリコン太陽電池などが実用化されている。しかし、前者の太陽電池には、シリコン基板の作製コストが高いという問題がある。後者の薄膜シリコン太陽電池には、多種の半導体製造用ガスおよび複雑な装置を用いる必要があるために製造コストが高くなるという問題がある。このため、いずれの太陽電池にも、光電変換の高効率化による発電出力当たりのコストを低減する努力が続けられているが、上記の問題を解決するには至っていない。
新しいタイプの太陽電池として、金属錯体の光誘起電子移動を応用した光電変換素子を含む太陽電池が提案されている(たとえば、特許文献1)。この光電変換素子では、2枚のガラス基板により、光増感色素を吸着させて可視光領域に吸収スペクトルをもたせた光電変換層と電解液とが挟持されている。上記の2枚のガラス基板の表面には、それぞれ、第1電極および第2電極が形成されている。
第1電極側から光を照射すると、光電変換層に電子が発生し、発生した電子が一方の第1電極から外部電気回路を通って対向する第2電極に移動する。移動した電子は、電解質中のイオンに運ばれて光電変換層に戻る。このような一連の電子の移動により、電気エネルギーを取り出すことができる。しかしながら、光電変換素子では透明導電膜付きガラスを使用しているため、色素増感太陽電池全体のコストが透明導電膜のコストに影響され、更なる低コスト化が限界になりつつある。
そのような中、従来の色素増感太陽電池に対する新しいセル形状の太陽電池として、特許文献2に記載の光電変換素子を含む太陽電池が提案されている。この光電変換素子は、光入射側の透明導電膜を使用していない構造をとっている。色素が担持された多孔性半導体層の上に集電電極が形成されており、この集電電極から電子が取り出される。
特開平01−220380号公報 特開2001−283941号公報
特許文献2に記載の光電変換素子では、透明導電膜を使用していないため、低コスト化が期待される。また、透明導電膜による光の吸収ロスがなくなるため、光入射側からの光の透過率が高くなり、よって、電流が向上すると期待されていた。しかし、透明導電膜を使用していない光電変換素子では、透明導電膜を使用している光電変換素子に比べて短絡電流密度(Jsc)が低いことが課題となっている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低コスト化が期待でき、且つ短絡電流密度が向上した光電変換素子に関する。
本発明者らは、透明導電膜を使用しない高効率な光電変換素子の実現のために鋭意検討したところ、所定の屈折率およびシート抵抗値を有する層を透光性支持体と光電変換層との間に設ければ、優れた光電変換効率を有する光電変換素子が得られることを見出し、本発明に至った。
具体的には、本発明に係る光電変換素子では、集電電極を支持する透光性支持体の上に、多孔性半導体層を有する光電変換層と、光電変換層に接する集電電極と、電荷輸送層と、対極と、対極を支持する対極支持体とが順に設けられている。本発明に係る光電変換素子はさらに絶縁層を備えている。この絶縁層は、透光性支持体と光電変換層との間に設けられ、透光性支持体よりも大きく且つ多孔性半導体層よりも小さな屈折率値を有し、100Ω/□以上のシート抵抗値を有する。
絶縁層のシート抵抗値は、1000Ω/□以上であることが好ましい。絶縁層の屈折率値は、1.5よりも大きく2.52よりも小さいことが好ましい。
絶縁層は、酸化物材料、およびフッ化物材料のうちの少なくとも一つを含むことが好ましく、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、五酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化すず、フッ化ランタン、フッ化セリウム、およびフッ化ネオジムのうちの少なくとも一つを含むことがより好ましい。
絶縁層は、1nm以上0.5μm以下の膜厚を有することが好ましい。
透光性支持体と絶縁層とで支持基材を構成していれば良く、支持基材のヘイズ率が20%以下であれば良い。ここで、ヘイズ率は、支持基材の透明性の指標であり、曇り度とも呼ばれる。支持基材の透明性は、支持基材の表面における凹凸に起因する。詳しくは後述する。
光電変換層は、多孔性半導体層と、多孔性半導体層内に設けられた光増感剤およびキャリア輸送材料とを含むことが好ましい。
本発明に係る色素増感太陽電池は、本発明に係る光電変換素子を備えている。
本発明に係る光電変換素子によれば、低コスト化が期待でき、短絡電流密度の向上が期待できる。
本発明の一実施形態に係る光電変換素子の概略断面図である。 本発明の別の実施形態に係る光電変換素子の概略断面図である。 実施例の結果の一部を示すグラフである。 比較例に係る光電変換素子の概略断面図である。
以下、本発明の光電変換素子について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を表わすものではない。
<光電変換素子>
図1は、本発明に係る光電変換素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。図2は、本発明に係る別の光電変換素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。本発明に係る光電変換素子では、透光性支持体1と対極支持体7との間に、絶縁層2と光電変換層3と集電電極4と電荷輸送層5と対極6とが順に設けられている。このように本発明に係る光電変換素子は透明導電膜を備えていないので、本発明では光電変換素子を低コストで提供できる。なお、光電変換層3および電荷輸送層5はそれぞれ封止部8により封止されていることが好ましい。
このような光電変換素子では、透光性支持体1を受光面としたときには、光は透光性支持体1および絶縁層2を透過して光電変換層3に入射され、光電変換層3で電子が生成される。生成された電子は、集電電極4を介して光電変換素子の外部へ取り出され、外部電気回路を通って対極6へ移動する。対極6へ移動した電子は、電荷輸送層5内および集電電極4内を移動して、光電変換層3へ戻る。
一方、対極支持体7を受光面としたときには、光は対極支持体7、対極6、電荷輸送層5および集電電極4を透過して光電変換層3に入射され、光電変換層3で電子が生成される。生成された電子は、集電電極4を介して光電変換素子の外部へ取り出され、外部電気回路を通って対極6へ移動する。対極6へ移動した電子は、電荷輸送層5内および集電電極4内を移動して、光電変換層3へ戻る。以下では、本発明に係る光電変換素子の構成部材をそれぞれ説明する。
<透光性支持体>
透光性支持体1を構成する材料は、一般に光電変換素子の支持体に使用可能で、かつ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。透光性支持体1は、光電変換素子の受光面となる部分では光透過性が必要となるため、光透過性を有する材料からなることが好ましい。たとえば、透光性支持体1は、ソーダガラス、溶融石英ガラス、または結晶石英ガラスなどのガラス基板であっても良いし、耐熱性樹脂材料からなる可撓性フィルムであっても良い。ただし、透光性支持体1は、受光面として使用される場合であっても、少なくとも後述の増感色素に実効的な感度を有する波長の光を実質的に透過する(当該光の透過率がたとえば80%以上、好ましくは90%以上)ものであれば良く、必ずしも全ての波長の光に対して透過性を有する必要はない。
可撓性フィルム(以下、「フィルム」という)を構成する材料としては、たとえばテトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、フェノキシ樹脂、またはテフロン(登録商標)などが挙げられる。
加熱を伴って透光性支持体1上に他の層を形成する場合、たとえば250℃程度の加熱を伴って透光性支持体1上に多孔性半導体層を形成する場合には、上記のフィルムを構成する材料の中でも250℃以上の耐熱性を有するテフロン(登録商標)を用いることが特に好ましい。
完成した光電変換素子を他の構造体に取り付けるときに、透光性支持体1を利用できる。すなわち、金属加工部品とねじとを用いて、ガラス基板などの透光性支持体1の周辺部を他の支持体に容易に取り付けることができる。
透光性支持体1は、その厚みに特に限定されないが、厚みが0.2〜5mm程度のものが好ましい。
<絶縁層>
本発明に係る絶縁層2は、透光性支持体1よりも大きく多孔性半導体層よりも小さな屈折率を有する。
一般に、光の表面反射を抑制する方法として、空気と対象物との間に所定の屈折率を有する膜を形成することにより、光の干渉効果を利用して対象物の表面での反射率を抑えることが知られている。透明導電膜を有する光電変換素子では、透光性支持体上に透明導電膜および光電変換層が順に設けられているが、透光性支持体、透明導電膜、および光電変換層の順に屈折率値が高い。これにより、透明導電膜および光電変換層の各表面での反射率が低く抑えられるため、光の強度の低下をそれほど招くことなく光電変換層へ光を入射させることができる。一方、透明導電膜が設けられていない光電変換素子では、透明導電膜による反射抑制効果を得にくいため、透明導電膜および光電変換層の各表面での反射率が高くなる。
そこで、透光性支持体よりも大きく且つ多孔性半導体層よりも小さな屈折率値を有する介在層を透光性支持体と光電変換層との間に設けることを検討した。しかし、介在層の屈折率値を調整しただけではJscが向上しないことが分かり、鋭意検討した結果、介在層のシート抵抗値を100Ω/□以上とすることによりJscが向上することを見出した。なお、介在層のシート抵抗値が低いとJscが向上しない理由としては、介在層のシート抵抗値が低いと、光電変換層で発生した電荷がシート抵抗値の低い材料(介在層)に取り込まれ易くなるので、介在層に電荷がたまるからであるということが考えられる。
以上を踏まえ、本発明では、透光性支持体1よりも大きく光電変換層3よりも小さな屈折率を有する絶縁層2を透光性支持体1と光電変換層3との間に設け、その絶縁層2のシート抵抗値を100Ω/□以上とした。これにより、光電変換層3で発生した電荷が絶縁層2に取り込まれ難くなるため、Jscを向上させることができる。絶縁層2のシート抵抗値は、1kΩ/□以上であることが好ましく、10kΩ/□以上であることがより好ましく、10MΩ/□以上であっても良い。ここで、屈折率値は、エリプソメータにより測定されれば良い。また、シート抵抗値は、シート抵抗測定装置による測定で求められ、または、四探針法あるいは四端子法という方法にしたがって測定されれば良い。
絶縁層2の屈折率値は、透光性支持体1の屈折率値よりも大きく多孔性半導体層の屈折率値よりも小さい。そのため、透光性支持体1および多孔性半導体層の各材料に応じて、絶縁層2を構成する材料を適宜選択すれば良い。具体的には、透光性支持体1がソーダガラスからなり、且つ多孔性半導体層が酸化チタンからなる場合、透光性支持体1の屈折率値は1.5であり、多孔性半導体層の屈折率値は2.52である。よって、この場合には、絶縁層2を構成する材料は、1.5よりも大きく2.52未満の屈折率値を有すれば良い。
たとえば、絶縁層2は、酸化物材料、フッ化物材料、および有機物材料のうちの少なくとも一つを含んでいることが好ましい。より好ましくは、絶縁層2は、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、五酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化すず、フッ化ランタン、フッ化セリウム、フッ化ネオジム、およびポリスチレンのうちの少なくとも一つを含んでいることが好ましい。透光性支持体1が受光面であるときには、絶縁層2は光電変換層3に対して光入射側に形成される。よって、絶縁層2の膜厚は1nm〜0.5μmであることが好ましく、1nm〜0.1μmであることがより好ましい。これにより、光電変換層3へ入射する光の強度低下を低減できるので、変換効率に優れた光電変換素子を提供できる。
また、絶縁層2は、上記何れかの材料(ノンドープ)に対して適当な添加剤が導入されていてもよい。添加剤は、特に限定されないが、上記いずれかの材料(ノンドープ)によって異なっていてもよい。たとえば酸化亜鉛に対しては、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ボロン、またはフッ素などであればよい。また、酸化スズに対しては、アンチモン、またはフッ素などであればよい。添加剤の添加量は、特に限定されないが、上記何れかの材料(ノンドープ)に対して1質量%以上30質量%以下であれば良い。さらに好ましくは、添加剤を導入した材料の膜厚を制御することであり、たとえばこの膜厚を1nm以上1000nm以下とすることである。これにより、絶縁層2のシート抵抗値が100Ω/□以上となる層を形成することが出来る。また、膜厚を100nm以下とすれば、絶縁層2のシート抵抗値を1000Ω/□以上とすることができる。
また、絶縁層2は、酸素以外に2つの元素を含む酸化物材料でもよいし、酸素以外に3つ以上の元素を含む酸化物材料でもよい。絶縁層2の材料としては、たとえば、酸化インジウムガリウム亜鉛、酸化インジウム・錫、またはチタン酸ストロンチウムなど各種酸素を含む化合物が挙げられる。
絶縁層2の材料として酸素以外に3つ以上の元素を含む酸化物材料を用いた場合、酸化物材料における酸素濃度の制御、または上記添加剤の導入などにより、絶縁層2のシート抵抗値を制御が容易になる。よって、絶縁層2の材料として所望の特性の材料を容易に得ることができる。
絶縁層2が形成される領域は特に限定されないが、光が光電変換層3に効率良く取り込まれるように(つまり光が光電変換層3の表面で反射し難いように)絶縁層2を形成することが好ましい。好ましくは、図1に示すように絶縁層2が光電変換層3と同じ領域(光電変換層3の上面上のみ)に形成されることである。より好ましくは、図2に示すように絶縁層22が光電変換層3よりも大きく(光電変換層3の上面上だけでなく光電変換層3の端面上にも)形成されることである。図2に示す場合には、光電変換層3の端面から入射された光も光電変換層3へ取り込まれるため、光を光電変換層3へ効率良く取り込むことができ、よって、変換効率に優れた光電変換素子を提供できる。なお、以下において、絶縁層2と絶縁層22との区別を要しない場合には「絶縁層2」と記す。
ところで、絶縁層2を形成することにより、光の透過率が低下することがある。このため、絶縁層2にヘイズをつけることが好ましい。これにより、光電変換層3の内部への光の散乱効果が増大するので、光電変換層3における光路長を増加させることができ、よって、Jscを向上させることができる。ヘイズについては下記<支持基材>で示す。
−絶縁層2の形成方法−
絶縁層2を形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法が挙げられる。絶縁層2の形成方法は、たとえば真空蒸着法、EB蒸着法、抵抗加熱蒸着法、分子線エピタキシャル成長法(MBE法)、スパッタリング法、または化学気相成長法(CVD法)であれば良い。好ましくは、蒸着法などの物理気相成長法(PVD法)を用いて絶縁層2を形成することである。これにより、絶縁層2を容易に形成できる。より好ましくは、EB蒸着法を用いて絶縁層2を形成することである。これにより、絶縁層2の膜厚の制御およびそのシート抵抗値の制御が容易となる。
たとえばEB蒸着法を用いて絶縁層2を形成する場合、蒸着速度を1Å/s以上50Å/s以下とすれば良く、基板温度を室温以上500℃以下とすれば良く、真空度を5x10-3Pa以上1x10-6Pa以下とすれば良い。これらの何れか1つの条件を満たせば良いが、より好ましくはこれらの条件を全て満たすことである。
<支持基材>
図1に示す光電変換素子では、支持基材11は透光性支持体1と絶縁層2とで構成されており、図2に示す光電変換素子では、支持基材31は透光性支持体1絶縁層22とで構成されている。上述のように、絶縁層2を形成することにより光の透過率がやや減少することがある。そこで、支持基材11のヘイズ率を20%以下とすることが好ましく、15%以下とすることがより好ましく、5%以上15%以下とすることがさらに好ましい。これにより、絶縁層2を形成したことに起因する光の透過率の減少分を補填できる。つまり、光電変換層3の内部への光の散乱効果が増大するので、光電変換層3における光路長が増加し、よって、Jscが向上する。
本発明では、絶縁層2にヘイズを付けることにより、支持基材11のヘイズ率を所定値以下としている。そのため、ヘイズの付け方は、絶縁層2の材質に依存するが、特に限定されず、ドライエッチング、やすりなどによる機械研磨、フォトリソグラフィーを利用したパターニングなどの物理的な手法、酸によるエッチングなどの化学的な手法、または絶縁層2の形成条件を調整するなどの公知の方法であれば良い。
ここで、ヘイズ率とは、可視光領域および/または近赤外領域にスペクトルを有する光線(たとえば、標準光源D65または標準光源C)を測定用サンプルに入射した際の拡散透過率を、全光線透過率で割った値であり、0〜1の間の値または0〜100%の百分率で表示される。本発明では、ヘイズ率を、550nmにスペクトルを有する光線を用いて測定および算出された値と定義している。このようなヘイズ率は、市販のヘイズメータを用いて計測できる。
<光電変換層>
光電変換層3は、多孔性半導体層を有する。この多孔性半導体層内には、光増感剤とキャリア輸送材料とが設けられていることが好ましい。以下、それぞれを順に説明する。
−多孔性半導体層−
本発明では、多孔性半導体層は、半導体材料から構成される。ここで、多孔性とは、比表面積が0.5〜300m2/gであることをいい、空孔率が20%以上であることを言う。このような比表面積は気体吸着法であるBET法によって求められ、空孔率は多孔性半導体層の厚さ(膜厚)、多孔性半導体層の質量、および半導体微粒子の密度から計算によって求められる。多孔性半導体層は、上記範囲の比表面積を有することにより、多くの光増感剤を吸着でき、よって太陽光を効率良く吸収できる。また、多孔性半導体層の空孔率を一定以上の値とすることにより、キャリア輸送材料の十分な拡散が可能となり、光電変換層に電子をスムーズに戻すことができる。
多孔性半導体層を構成する材料は、一般に光電変換素子に使用可能で、かつ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。このような材料としては、たとえば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、硫化鉛、硫化亜鉛、リン化インジウム、銅−インジウム硫化物(CuInS2)、CuAlO2、またはSrCu22などの半導体化合物材料を挙げることができる。これらを単独で用いても良いし、これらを組み合わせて用いても良い。これらの材料の中でも、光電変換効率、安定性および安全性の点から、酸化チタンを用いることが特に好ましい。
本発明において、多孔性半導体層を構成する材料として酸化チタンを用いる場合、酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、またはオルソチタン酸などの各種の狭義の酸化チタンであっても良いし、水酸化チタンであっても良いし、含水酸化チタンであっても良い。これらを単独で用いても良いし、混合して用いても良い。アナターゼ型酸化チタンとルチル型酸化チタンとについては、製法または熱履歴によりどちらの形態にもなり得るが、アナターゼ型酸化チタンが一般的である。本発明においては、増感色素を吸着させるという点に関して、アナターゼ型酸化チタンの含有率の高いものを用いることが好ましく、その含有率が80%以上であるものを用いることが特に好ましい。酸化チタンの製造方法は、特に限定されず、気相法、または液相法(水熱合成法もしくは硫酸法)などの各種文献に記載されている公知の方法であれば良く、デグサ(Degussa)社が開発した、塩化物を高温加水分解により得る方法であっても良い。
多孔性半導体層の形態としては、単結晶または多結晶のいずれでもよい。しかし、安定性、結晶成長の困難さ、および製造コストなどの点では、多孔性半導体層は多結晶焼結体であることが好ましく、微粉末(ナノスケールからマイクロスケール)からなる多結晶焼結体であることが特に好ましい。
多孔性半導体層を構成する材料の粒子は、粒子サイズが互いに異なる2種類以上の粒子を混合して用いても良い。粒子サイズの大きな粒子は、入射光を散乱させて光捕捉率の向上に寄与すると考えられる。粒子サイズの小さな粒子では光増感剤の吸着点がより多くなるので、粒子サイズの小さな粒子は光増感剤の吸着量の向上に寄与すると考えられる。
粒子サイズの大きな粒子の平均粒径は、粒子サイズの小さな粒子の平均粒径に対して10倍以上であることが好ましい。粒子サイズの大きな粒子の平均粒径は100〜500nm程度が適当であり、粒子サイズの小さな粒子の平均粒径は5nm〜50nm程度が適当である。粒子サイズが互いに異なる粒子は、同一の半導体化合物からなっても良いし、異なる半導体化合物からなっても良い。粒子サイズが互いに異なる粒子が異なる半導体化合物からなる場合、粒子サイズの小さな粒子の材料を吸着作用の強い半導体化合物とすることが好ましい。なお、上記平均粒径は、X線回折測定から得られるスペクトル(XRD(X線回折)の回折ピーク)を用いて算出されても良いし、走査型電子顕微鏡(SEM)で直接観察を行うことにより求められても良い。
多孔性半導体層の膜厚は、特に限定されず、たとえば0.1〜100μm程度が適当である。また、多孔性半導体層には光増感剤が吸着されるため、多孔性半導体層の表面積は大きいことが好ましく、たとえば多孔性半導体層のBET表面積は10〜200m2/g程度であることが好ましい。
−多孔性半導体層の形成方法−
多孔性半導体層を形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法が挙げられる。たとえば、半導体材料からなる粒子を含有する懸濁液を透光性支持体1上に塗布してから乾燥および焼成の少なくとも一方を行うという方法が挙げられる。
この方法では、まず、半導体材料からなる微粒子を適当な溶剤に懸濁して、懸濁液を得る。このような溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのグライム系溶剤、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、イソプロピルアルコール/トルエンなどのアルコール系混合溶剤、または水などが挙げられる。また、このような懸濁液の代わりに市販の酸化チタンペースト(例えば、Solaronix社製、Ti−nanoxide、T、D、T/SP、D/SP)を用いても良い。
次いで、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、またはスクリーン印刷法など公知の方法により、得られた懸濁液を透光性支持体1上に塗布し、乾燥および焼成の少なくとも一方を行って多孔性半導体層を形成する。
ただし、絶縁層2と多孔性半導体層とを接触させて形成する場合、通常のスクリーン印刷用のペーストを用いてスクリーン印刷法で多孔性半導体層を形成することが難しいことがある。通常、スクリーン印刷は、スクリーンパターンにペーストを充填し、そのペーストをスキージでおさえ、印刷する基板とスクリーンとを接触させ、印刷をするものである。そのため、基板のうちスクリーンへ接触しない部分への印刷は、可能であるが、印刷精度が落ちる。よって、絶縁層2と多孔性半導体層とが接触しない部分が生じるおそれがある。そこで、絶縁層2を形成した後に多孔性半導体層を形成する場合には、ペースト粘性が低いものをディスペンサーのようなノズルなどから塗布し、そのペーストが自重で絶縁層2の端部まで広がってレベリングするという塗布法を用いることが好ましい。
乾燥および焼成に必要な温度、時間、ならびに雰囲気などは、それぞれ、多孔性半導体層を構成する材料の種類に応じて適宜設定すれば良い。たとえば、雰囲気としては大気雰囲気下または不活性ガス雰囲気下が挙げられ、温度および時間としては50〜800℃程度の範囲で10秒〜12時間程度が挙げられる。この乾燥および焼成は、単一の温度で1回行なっても良いし、温度を変化させて2回以上行っても良い。
多孔性半導体層が複数層で構成されている場合には、互いに異なる半導体材料からなる粒子を含む懸濁液を調製すれば良く、調製した懸濁液の塗布と、乾燥および焼成の少なくとも一方とを2回以上繰り返し行なえば良い。
多孔性半導体層を形成した後、半導体材料からなる微粒子同士の電気的接続の向上、多孔性半導体層の表面積の増加、および半導体材料からなる微粒子上の欠陥準位の低減を目的として、所定の液体で処理しても良い。処理に用いる液体および多孔性半導体層を処理する方法は半導体材料に依存するため一概に言えないが、多孔性半導体層が酸化チタンからなる場合には四塩化チタン水溶液などで酸化チタン膜を表面処理すれば良い。
−光増感剤−
多孔性半導体層に吸着されて光増感剤として機能する増感色素としては、特に限定されないが、可視光領域および/または赤外光領域に吸収をもつ種々の有機色素であっても良いし、可視光領域および/または赤外光領域に吸収をもつ種々の金属錯体色素であっても良い。これらの色素を単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
有機色素としては、たとえば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、またはナフタロシアニン系色素などが挙げられる。有機色素の吸光係数は、一般に、遷移金属に分子が配位結合した形態をとる金属錯体色素に比べて大きい。
金属錯体色素としては、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、TA、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、Te、またはRhなどの金属原子に配位子が配位結合した形態のものが挙げられる。金属錯体色素は、たとえば、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、またはナフタロシアニン系色素であれば良く、これらの中でも、フタロシアニン系色素またはルテニウム系色素であることが好ましく、ルテニウム系金属錯体色素であることがより好ましい。
金属錯体色素は、化学式(1)〜(3)で表されるルテニウム系金属錯体色素であることが特に好ましい。市販のルテニウム系金属錯体色素として、たとえば、Solaronix社製の商品名Ruthenium535色素、Ruthenium535−bisTBA色素、またはRuthenium620−1H3TBA色素などが挙げられる。
Figure 2013131456
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また、多孔性半導体層に増感色素を強固に吸着させるためには、増感色素が分子中にカルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、またはホスホニル基などのインターロック基を有することが好ましい。一般に、インターロック基は、増感色素が多孔性半導体層に固定される際に増感色素と多孔性半導体層との間に存在し、増感色素の励起状態と多孔性半導体層を構成する半導体材料の伝導帯との間の電子の移動を容易にする電気的結合を提供する。
このような光増感剤の吸着量は、1x10-8mol/cm2以上1x10-6mol/cm2以下であれば良く、5x10-8mol/cm2以上5x10-7mol/cm2であることが好ましい。光増感剤の吸着量が1x10-8mol/cm2未満であれば、光電変換効率の低下を招くおそれがある。一方、光増感剤の吸着量が1x10-6mol/cm2を超えると、開放電圧が低下するという不具合を招くことがある。
−色素吸着法−
多孔性半導体層に増感色素を吸着させる方法としては、たとえば色素を溶解した溶液(色素吸着用溶液)に多孔性半導体層を浸漬させる方法が代表的なものとして挙げられる。このとき、色素吸着用溶液を多孔性半導体層の微細孔の奥部まで浸透させるという点において、色素吸着用溶液を加熱することが好ましい。
増感色素を溶解させる溶剤としては、増感色素を溶解するものであれば良く、たとえばアルコール、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、またはジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶剤は、通常、精製されたものが好ましく、2種類以上を混合して用いることができる。色素吸着用溶液中の色素濃度は、使用する増感色素、溶媒の種類、および色素吸着工程などの条件に応じて適宜設定でき、たとえば1×10-5モル/リットル以上であることが好ましい。増感色素の溶解性を向上させるために、調製時に色素吸着用溶液を加熱しても良い。
−キャリア輸送材料−
キャリア輸送材料は、下記<光電変換層>で述べるように、イオンを輸送可能な導電性材料であれば良く、たとえば液体電解質、固体電解質、ゲル電解質、または溶融塩ゲル電解質などであれば良い。多孔性半導体層に含まれるキャリア輸送材料は、電荷輸送層5を構成する材料と同じであっても良いし、電荷輸送層5を構成する材料とは異なっても良い。
キャリア輸送材料を多孔性半導体層内に設ける方法は、特に限定されず、キャリア輸送材料を含む溶液に多孔性半導体層を浸漬させても良いし、対極支持体7を封止部8を介して集電電極4に張り合わせてからキャリア輸送材料を光電変換層内に注入させても良い。また、多孔性半導体層に含まれるキャリア輸送材料が電荷輸送層5を構成する材料と同じ場合には、キャリア輸送材料を所定の位置に注入することにより、電荷輸送層5が形成されると同時にキャリア輸送材料が多孔性半導体層に包含されるという方法をとることができる。
<集電電極>
集電電極4は、光電変換層3に接している。集電電極4は、図1に示すように封止部8よりも外側にも設けられていることが好ましく、これにより、外部電気回路を介して集電電極4を対極6にスムーズに接続できる。
集電電極4は、キャリア輸送材料を含むことが好ましく、これにより、対極6へ移動した電子を光電変換層3へスムーズに移動させることができる。ここで、キャリア輸送材料は、下記<光電変換層>で述べるようにイオンを輸送可能な導電性材料であれば良く、電荷輸送層5を構成する材料と同じであっても良いし、電荷輸送層5を構成する材料とは異なっても良い。また、キャリア輸送材料を集電電極4内に設ける方法は、特に限定されず、キャリア輸送材料を含む溶液に集電電極4を浸漬させても良いし、対極支持体7を封止部8を介して集電電極4に張り合わせてからキャリア輸送材料を集電電極4内に注入させても良い。また、集電電極4に含まれるキャリア輸送材料が電荷輸送層5を構成する材料と同じ場合には、キャリア輸送材料を所定の位置に注入することにより、電荷輸送層5が形成されると同時にキャリア輸送材料が集電電極4に包含されるという方法をとることができる。
集電電極4を構成する材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、光透過性を有していても良いし、光透過性を有していなくても良い。ただし、対極支持体7を受光面にする場合は、透光性支持体1と同様な光透過性が必要となる。また、集電電極4を構成する材料は、キャリア輸送材料(電解質など)に対して腐食性を有しないことが好ましい。
集電電極4を構成する材料としては、たとえば、インジウム錫複合酸化物(ITO)、酸化錫(SnO2)、酸化錫にフッ素をドープしたもの(FTO)、または酸化亜鉛(ZnO)などが挙げられ、チタン、ニッケル、またはタンタルなどのキャリア輸送材料に対して腐食性を示さない金属であっても良い。
集電電極4の形成方法は、特に限定されず、スパッタ法またはスプレー法などの公知の方法により光電変換層3上および封止部8上に形成するという方法であれば良い。このような集電電極4の膜厚としては、0.02〜5μm程度が適当である。また、集電電極4のシート抵抗値は、低いほど良く、特に40Ω/□以下が好ましい。
集電電極4が緻密な構造をなす場合、複数の小孔が集電電極4に形成されていることが好ましい。ここで、複数の小孔は、キャリア輸送材料のパスとして機能する。つまり、電荷輸送層5に含まれるキャリア輸送材料は、集電電極4に形成された複数の小孔の内部を通って、光電変換層3の多孔性半導体層と対極6との間を移動できる。小孔の径は、0.1μm〜100μm程度が好ましく、1μm〜50μm程度がさらに好ましい。小孔と小孔との間隔は、1μm〜200μm程度が好ましく、10μm〜300μm程度がさらに好ましい。このような小孔は、物理接触またはレーザー加工により形成され得る。なお、小孔の形成が困難な場合には、ストライプ状の開口部を集電電極4に形成すれば良い。これにより、小孔を形成した場合と同様の効果が得られる。ストライプ状の開口部の間隔は1μm〜200μm程度が好ましく、10μm〜300μm程度がさらに好ましい。
<電荷輸送層>
本発明において、「電荷輸送層」とは、透光性支持体1と対極支持体7と封止部8とによって囲まれた空間の中にキャリア輸送材料が充填されて構成されたものである。キャリア輸送材料は、イオンを輸送できる導電性材料で構成されていれば良く、好適な材料として、たとえば液体電解質、固体電解質、ゲル電解質、または溶融塩ゲル電解質などが挙げられる。
液体電解質は、酸化還元種を含む液状物であればよく、一般に電池または太陽電池などにおいて使用できるものであれば特に限定されない。具体的には、液体電解質としては、酸化還元種と酸化還元種を溶解可能な溶剤とからなるもの、酸化還元種と酸化還元種を溶解可能な溶融塩とからなるもの、または酸化還元種と上記溶剤と上記溶融塩とからなるものが挙げられる。
酸化還元種としては、たとえばI-/I3-系、Br2-/Br3-系、Fe2+/Fe3+系、またはキノン/ハイドロキノン系などが挙げられる。具体的には、酸化還元種は、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、またはヨウ化カルシウム(CaI2)などの金属ヨウ化物とヨウ素(I2)との組み合わせであっても良い。酸化還元種は、テトラエチルアンモニウムアイオダイド(TEAI)、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド(TPAI)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)、またはテトラヘキシルアンモニウムアイオダイド(THAI)などのテトラアルキルアンモニウム塩とヨウ素との組み合わせであっても良い。酸化還元種は、臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、または臭化カルシウム(CaBr2)などの金属臭化物と臭素との組み合わせであっても良い。これらの中でも、LiIとI2との組み合わせが特に好ましい。
酸化還元種を溶解可能な溶媒としては、たとえば、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物、エタノールなどのアルコール類、水、または非プロトン極性物質などが挙げられる。これらの中でも、カーボネート化合物またはニトリル化合物が特に好ましい。これらの溶媒を2種類以上混合して用いることもできる。
固体電解質は、電子、ホール、またはイオンを輸送できる導電性材料であり、光電変換素子の電解質として用いることができ、且つ流動性がないものであればよい。具体的には、固体電解質は、ポリカルバゾールなどのホール輸送材、テトラニトロフロオルレノンなどの電子輸送材、ポリロールなどの導電性ポリマー、液体電解質を高分子化合物により固体化した高分子電解質、ヨウ化銅、チオシアン酸銅などのp型半導体、または溶融塩を含む液体電解質を微粒子により固体化した電解質などが挙げられる。
ゲル電解質は、通常、電解質とゲル化剤からなる。電解質は、たとえば上記液体電解質であっても良いし、上記固体電解質であっても良い。
ゲル化剤としては、たとえば、架橋ポリアクリル樹脂誘導体、架橋ポリアクリロニトリル誘導体、ポリアルキレンオキシド誘導体、シリコーン樹脂類、または側鎖に含窒素複素環式四級化合物塩構造を有するポリマーなどの高分子ゲル化剤などが挙げられる。
溶融塩ゲル電解質は、通常、上記のようなゲル電解質と常温型溶融塩からなる。
常温型溶融塩としては、たとえばピリジニウム塩類またはイミダゾリウム塩類などの含窒素複素環式四級アンモニウム塩類などが挙げられる。
電荷輸送層は、必要に応じて、次に示す添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、t-ブチルピリジン(TBP)などの含窒素芳香族化合物であっても良いし、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII)、メチルプロピルイミダゾールアイオダイド(MPII)、エチルメチルイミダゾールアイオダイド(EMII)、エチルイミダゾールアイオダイド(EII)、またはヘキシルメチルイミダゾールアイオダイド(HMII)などのイミダゾール塩であっても良い。
電解質の濃度は、0.001〜1.5モル/リットルの範囲が好ましく、0.01〜0.7モル/リットルの範囲が特に好ましい。ただし、本発明に係る光電変換素子において受光面側に触媒層(対極6)がある場合には、入射光は、電荷輸送層5内の電解液を通って、色素が吸着された多孔性半導体層に達する。これにより、キャリアが励起される。
<対極>
対極6は、対極支持体7上に設けられており、電荷輸送層5に接している。対極6は、集電電極4とは反対側の極である。対極6を構成する材料は、集電電極4を構成する材料と同様であっても良いし、対極支持体7を受光面とするときには光透過性を有する材料からなることが好ましい。
また、対極6は、触媒層と導電層との積層体であることが好ましい。ここで、触媒層は、電荷輸送層5と導電層との間に設けられていることが好ましく、電解質の酸化還元反応を活性化させる働きを有することが好ましく、たとえば、白金、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、またはフラーレンなどからなることが好ましい。なお、このように触媒層が導電性を有する場合には、対極6は触媒層のみで構成されていても良い。
対極6は、集電電極4の作製方法と同様であれば良い。対極6として白金を用いる場合には、スパッタ法、塩化白金酸の熱分解、または電着などの公知の方法により対極6を対極支持体7上に形成できる。対極6の膜厚は、特に限定されず、たとえば0.5nm〜1000nm程度が適当である。
対極6としてはカーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、またはフラーレンなどのカーボンを用いる場合には、溶剤に分散してペースト状にしたカーボンをスクリーン印刷法などにより対極支持体7上に塗布するという方法を用いることができる。
<対極支持体>
対極支持体7は、対極6を支持する。対極支持体7を構成する材料は、一般に光電変換素子の支持体に使用可能で、かつ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。対極支持体7は、受光面として使用される場合には光透過性が必要となるので、上記<透光性支持体>で列挙した何れかの材料で構成されていることが好ましい。しかし、対極支持体7は、基本的には、光透過性を有していても良いし、光透過性を有していなくても良い。対極支持体7は、光透過性を必要としない場合には、たとえば金属などの無機材料からなる板または膜であっても良いし、プラスチックなどの有機材料からなる板または膜であっても良い。
透光性支持体1と同じく、完成した光電変換素子を他の構造体に取り付けるときに、対極支持体7を利用できる。すなわち、金属加工部品とねじとを用いて、対極支持体7の周辺部を他の支持体に容易に取り付けることができる。
対極支持体7は、その厚みに特に限定されないが、厚みが0.2〜5mm程度のものが好ましい。
<封止部>
封止部8は、透光性支持体1と対極支持体7とを保持し、電荷輸送層5の漏えい防止機能を有し、落下物または応力(衝撃)を吸収する機能を有し、長期にわたる使用時において透光性支持体1および対極支持体7のそれぞれに作用するたわみなどを吸収する機能を有する。
封止部8を構成する材料は、一般に光電変換素子に使用可能で、かつ上述の機能を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。このような材料としては、紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂などが挙げられ、具体的にはシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ホットメルト樹脂、またはガラスフリットなどが挙げられる。これらを単独で用いて封止部8を形成しても良いし、これら2種類以上の材料を2層以上に積層して封止部8を形成しても良い。
紫外線硬化樹脂としては、スリーボンド社製、型番:31X−101を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、スリーボンド社製、型番:31X−088、または一般に市販されているエポキシ樹脂などを用いることができる。
封止部8を構成する材料としてシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、またはガラスフリットを使用する場合には、封止部8のパターンは、ディスペンサーを用いて形成できる。封止部8を構成する材料としてホットメルト樹脂を使用する場合には、封止部8のパターンは、シート状のホットメルト樹脂にパターニングした穴を開けることにより形成できる。
<色素増感型太陽電池>
本発明に係る色素増感型太陽電池は、本発明に係る光電変換素子を含む電極と、対電極と、本発明に係る光電変換素子を含む電極と対電極との間に設けられたキャリア輸送層とを備えている。よって、本発明では、Jscの向上が期待された色素増感型太陽電池を提供できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、特に断りのない限り、各層の膜厚は表面粗さ形状測定機(株式会社東京精密製、商品名:サーフコム1400A)を用いて測定され、シート抵抗値はシート抵抗測定装置(ナプソン株式会社製、商品名RT-3000/RG-80N)を用いて測定され、ヘイズ率はヘイズメータ(スガ試験機株式会社製、商品名:HZ−1)を用いて測定され、屈折率値はエリプソメータ(大塚電子株式会社製、商品名:FE−5000)を用いて測定された。
<実施例1>
図1に示される光電変換素子を作製した。透光性支持体1として、51mm×70mm×厚さ1mmのガラス基板(コーニング社7059)を用意した。このガラス基板の屈折率値は1.53であった。
<絶縁層の形成>
5mmx5mmの開口部を複数有するメタルマスクを用意し、このメタルマスクをガラス基板の上に設置した。電子ビーム蒸着機(アルバック製 ei-5)を用いて、Al23(京都薄膜材料研究所製、屈折率値が1.63)をターゲットとし、蒸着速度を1Å/sとして、絶縁層2をガラス基板上に作製した。得られた絶縁層2の厚みは1nmであり、そのシート抵抗値は10MΩ/□以上(シート抵抗測定装置の測定限界を超えた)であり、そのヘイズ率は15%であった。
<封止部の形成>
絶縁層を形成したガラス基板の上であって多孔性半導体層が形成される箇所の周囲に、開口部の幅が0.5mmであるスクリーン版を設置した。スクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、型式:LS−34TVA)を用いてガラスフリットをガラス基板の上に塗布し、室温で1時間のレべリングを行った。得られた塗布膜を80℃で20分予備乾燥した後、450度で一時間焼成した。これにより、封止部8を作製した。
<多孔性半導体層の形成>
焼成後の多孔性半導体層の大きさが5mm×5mm×12μmとなるように、1cm間隔でスクリーン版をガラス基板の上に設置した。スクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、型式:LS−34TVA)を用いて酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名:Ti−Nanoxide D/SP、平均粒径13nm)を絶縁層2上に塗布し、室温で1時間のレベリングを行った。
得られた塗膜を80℃で20分間予備乾燥した後450℃で1時間焼成し、この一連の工程を2回繰り返した。これにより、多孔性半導体層(酸化チタン膜)3を形成した。酸化チタン膜の屈折率値は、2.52であった。
<集電電極の形成>
6mm×10mmの開口部が形成されたメタルマスクを用意し、多孔性半導体層の上面がメタルマスクの開口部から露出するように上記メタルマスクをガラス基板の上に設置した。電子ビーム蒸着器ei−5(アルバック株式会社製)を用いて、ターゲットをチタンとし、蒸着速度を5Å/Sとして、チタンからなる集電電極4を形成した。集電電極4の膜厚は約500nmであった。
<増感色素の吸着>
濃度4×10-4モル/リットルになるように増感色素(Solaronix社製、商品名:Ruthenium620−1H3TBA)をアセトニトリル(Aldrich Chemical Company製)とt−ブチルアルコール(Aldrich Chemical Company製)との混合溶剤(体積比1:1)に溶解させて、色素吸着用溶液を得た。
上記<集電電極の形成>で得られたガラス基板を所望の大きさに切断した。このガラス基板を色素吸着用溶液に40℃の温度条件で20時間浸漬し、増感色素を多孔性半導体層に吸着させた。得られた積層体をエタノール(Aldrich Chemical Company製)で洗浄し、約80℃で約10分間乾燥させた。
<対極および対極支持体の形成>
対極支持体7として、SnO2膜が形成されたガラス板(日本板硝子社製)を用意した。このガラス板の表面に白金を蒸着させて、膜厚が300nmの白金膜からなる対極6を形成した。
紫外線硬化材(スリーボンド社製、型番:31X−101)を先に形成した封止部8の上に塗布し、これを介して対極6と集電電極4とを重ね合わせてから紫外線を照射した。
<電荷輸送層の調製>
溶剤としてのアセトニトリルに、濃度が0.1モル/リットルとなるようにLiI(酸化還元種、Aldrich Chemical Company製)を溶解させ、濃度が0.01モル/リットルとなるようにI(酸化還元種、東京化成工業株式会社製)を溶解させた。さらに、上記アセトニトリルに、濃度0.5モル/リットルとなるようにt−ブチルピリジン(添加剤、TBP(4-tert-butylpyridine)、Aldrich Chemical Company製)を溶解させ、濃度0.6モル/リットルとなるようにジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII、四国化成工業株式会社製)を溶解させた。これにより、電解質を得た。
対極6および対極支持体7に予め空けておいた電解液注入用孔から上記電解質を注入してから、紫外線硬化樹脂(スリーボンド社製、型番:31X−101 229)を用いて電解液注入用孔を封止した。これにより、本実施例1における光電変換素子を得た。
得られた光電変換素子に1kW/mの強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して、光電変換素子の特性を測定した。短絡電流密度18mA/cm2を得た。
<実施例2>
23をターゲットとし蒸着速度を2Å/sとして絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は1.87であり、そのシート抵抗値は10MΩ/□以上であった。
<実施例3>
HfOをターゲットとし蒸着速度を3Å/sとして絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は1.95であり、そのシート抵抗値は10MΩ/□以上であった。
<実施例4>
MgOをターゲットとし蒸着速度を3Å/sとして絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は1.74であり、そのシート抵抗値は10MΩ/□以上であった。
<実施例5>
CeO2をターゲットとし蒸着速度を2Å/sとして絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.2であり、そのシート抵抗値は10MΩ/□以上であった。
<実施例6>
WO3をターゲットとし蒸着速度を2Å/sとして絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.2であり、そのシート抵抗値は10MΩ/□以上であった。
<実施例7>
Ti35をターゲットとし蒸着速度を2Å/sとして絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.3であり、そのシート抵抗値は10MΩ/□以上であった。
<実施例8>
ZrO2をターゲットとし蒸着速度を2Å/sとして絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.05であり、そのシート抵抗値は10MΩ/□以上であった。
<実施例9>
SnO2をターゲットとし蒸着速度を2Å/sとして絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.0であり、そのシート抵抗値は10MΩ/□以上であった。
<実施例10>
ZnOをターゲットとし蒸着速度を2Å/sとして絶縁層2を作製したこと、および成膜装置としてスパッタリング装置を使用したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.1であり、そのシート抵抗値は10MΩ/□以上であった。
<実施例11>
絶縁層2の膜厚を0.5μmとしたこと、および絶縁層2を作製するときの蒸着速度を2Å/sとしたこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は1.63であり、そのシート抵抗値は10MΩ/□以上であった。
<実施例12>
フッ化ランタンをターゲットとし蒸着速度を2Å/sとして絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は1.59であり、そのシート抵抗値は10MΩ/□以上であった。
<実施例13>
フッ化セリウムをターゲットとし蒸着速度を2Å/sとして絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は1.63であり、そのシート抵抗値は10MΩ/□以上であった。
<実施例14>
フッ化ネオジムをターゲットとし蒸着速度を2Å/sとして絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は1.61であり、そのシート抵抗値は10MΩ/□以上であった。
<実施例15>
ZnOおよびAlをターゲットとし、蒸着速度を3Å/sとし、且つシート抵抗値が10000Ω/□となるように調整して、絶縁層2をスパッタリング装置で作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.1であった。
<実施例16>
ZnOおよびAlをターゲットとし、蒸着速度を4Å/sとし、且つシート抵抗値が1000Ω/□となるように調整して、絶縁層2をスパッタリング装置で作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.1であった。
<実施例17>
ZnOおよびAlをターゲットとし、蒸着速度を5Å/sとし、且つシート抵抗値が500Ω/□となるように調整して、絶縁層2をスパッタリング装置で作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.1であった。
<実施例18>
ZnOおよびAlをターゲットとし、蒸着速度を5Å/sとし、且つシート抵抗値が300Ω/□となるように調整して、絶縁層2をスパッタリング装置で作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.1であった。
<実施例19>
ZnOおよびAlをターゲットとし、蒸着速度を5Å/sとし、且つシート抵抗値が100Ω/□となるように調整して、絶縁層2をスパッタリング装置で作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.1であった。
<実施例20>
SnO2およびSb23(SnO2:Sb23=95:5(質量比))をターゲットとし、蒸着速度を3Å/sとし、且つシート抵抗値が1000Ω/□となるように調整して、絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.0であった。
<実施例21>
SnO2およびSb23(SnO2:Sb23=93:7(質量比))をターゲットとし、蒸着速度を3Å/sとし、且つシート抵抗値が500Ω/□となるように調整して、絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.0であった。
<実施例22>
SnO2およびSb23(SnO2:Sb23=92:8(質量比))をターゲットとし、蒸着速度を3Å/sとし、且つシート抵抗値が100Ω/□となるように調整して、絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.0であった。
<比較例1>
絶縁層2を形成しなかったこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。具体的には、図4に示すように、透明導電膜42が形成された透光性支持体41上に光電変換層43を形成した。次に、対極46が形成された対極支持体47を用意し、封止部48を用いて透光性支持体41と対極支持体47とを支持した。その後、対極46および対極支持体47に予め形成された注入孔(不図示)から電解質を注入して、電荷輸送層45を形成した。図4は、比較例1における光電変換素子の概略断面図である。
<比較例2>
ZnOおよびAlをターゲットとし、蒸着速度を7Å/sとし、且つシート抵抗値が10Ω/□となるように調整して、絶縁層2をスパッタリング装置で作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.1であった。
<比較例3>
ZnOおよびAlをターゲットとし、蒸着速度を7Å/sとし、且つシート抵抗値が80Ω/□となるように調整して、絶縁層2をスパッタリング装置で作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.1であった。
<比較例4>
ZnOおよびAlをターゲットとし、蒸着速度を7Å/sとし、且つシート抵抗値が50Ω/□となるように調整して、絶縁層2をスパッタリング装置で作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.1であった。
<比較例5>
SnO2およびSb23(SnO2:Sb23=90:10(質量比))をターゲットとし、蒸着速度を5Å/sとし、且つシート抵抗値が90Ω/□となるように調整して、絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.0であった。
<比較例6>
SnO2およびSb23(SnO2:Sb23=88:12(質量比))をターゲットとし、蒸着速度を5Å/sとし、且つシート抵抗値が50Ω/□となるように調整して、絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.0であった。
<比較例7>
SnO2およびSb23(SnO2:Sb23=87:13(質量比))をターゲットとし、蒸着速度を5Å/sとし、且つシート抵抗値が30Ω/□となるように調整して、絶縁層2を作製したこと以外は上記実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。絶縁層2の屈折率値は2.0であった。
実施例1〜22および比較例1〜7の結果を表1〜表2に示す。実施例1〜22、比較例2、および比較例3〜7の結果を図3に示す。図3は、シート抵抗値とJscとの関係を示すグラフである。
Figure 2013131456
Figure 2013131456
実施例1〜22の結果と比較例1の結果とから、透光性支持体よりも大きく多孔性半導体層よりも小さな屈折率を有する絶縁層を透光性支持体と光電変換層との間に設けることにより、Jscが向上することが示された。
実施例15〜19の結果と比較例3〜4の結果とから、および20〜22の結果と比較例6〜8の結果とから、絶縁層のシート抵抗値を100Ω/□以上とすることによりJscが劇的に向上することが示された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 透光性支持体、2 絶縁層、3 光電変換層、4 集電電極、5 電荷輸送層、6 対極、7 対極支持体、8 封止部、11 支持基材、22 絶縁層、31 透光性支持体、41 透光性支持体、42 透明導電膜、43 光電変換層、45 電荷輸送層、46 対極、47 対極支持体、48封止部。

Claims (9)

  1. 集電電極を支持する透光性支持体の上に、多孔性半導体層を有する光電変換層と、前記光電変換層に接する前記集電電極と、電荷輸送層と、対極と、前記対極を支持する対極支持体とが順に設けられた光電変換素子であって、
    前記透光性支持体と前記光電変換層との間に設けられ、前記透光性支持体よりも大きく且つ前記多孔性半導体層よりも小さな屈折率値を有し、100Ω/□以上のシート抵抗値を有する絶縁層を備えている光電変換素子。
  2. 前記絶縁層のシート抵抗値は、1000Ω/□以上である請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記絶縁層の屈折率値は、1.5よりも大きく2.52よりも小さい請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記絶縁層は、酸化物材料およびフッ化物材料のうちの少なくとも一つを含む請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換素子。
  5. 前記絶縁層は、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、五酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化すず、フッ化ランタン、フッ化セリウム、およびフッ化ネオジムのうちの少なくとも一つを含む請求項4に記載の光電変換素子。
  6. 前記絶縁層は、1nm以上0.5μm以下の膜厚を有する請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
  7. 前記透光性支持体と前記絶縁層とで支持基材を構成し、
    前記支持基材のヘイズ率が、20%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の光電変換素子。
  8. 前記光電変換層は、前記多孔性半導体層と、前記多孔性半導体層内に設けられた光増感剤およびキャリア輸送材料とを含む請求項1〜7のいずれかに記載の光電変換素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載の光電変換素子を備えた色素増感太陽電池。
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