JP2013129734A - ポリ塩化ビニル樹脂組成物、それを用いた電線およびケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】アンチモン化合物を含有せず、難燃性、耐熱性、耐寒性および電気絶縁性のバランスに優れるポリ塩化ビニル樹脂組成物、それを用いた電線およびケーブルを提供する。
【解決手段】可塑剤としてのトリメリット酸エステルと、難燃剤と、を含有するポリ塩化ビニル樹脂組成物であって、難燃剤として、亜鉛含有量が8質量%以上16質量%以下の脂肪酸亜鉛と、金属水酸化物と、焼成クレーと、を含有し、ポリ塩化ビニル樹脂組成物100質量%に対して、可塑剤の含有量が20質量%以上30質量%以下、脂肪酸亜鉛の含有量が0.1質量%以上0.6質量%以下、金属水酸化物の含有量が5質量%以上15質量%以下、焼成クレーの含有量が5質量%以上15質量%以下のポリ塩化ビニル樹脂組成物である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリ塩化ビニル樹脂組成物、それを用いた電線およびケーブルに関する。
ポリ塩化ビニル樹脂は、各種の添加剤を広く含有させることができるため、広範囲の機械的特性その他の諸特性を実現することができる。
ポリ塩化ビニル樹脂には硬質のポリ塩化ビニル樹脂組成物と軟質の塩化ビニル樹脂組成物とがある。硬質のポリ塩化ビニル樹脂組成物は、航空機、車両等の輸送機の外装、家具、事務用品等の日用雑貨、家電機器などのハウジング材、半導体装置の部品などの成形品に用いられる。軟質のポリ塩化ビニル樹脂組成物は、柔軟性を付与する可塑剤を多量に含有しており、可撓性が求められる電線やケーブルなどの絶縁層に用いられる。
電線・ケーブルの中でも、特に電気・電子機器の内部配線に使用される電線・ケーブルの場合、用いられる絶縁層には高い難燃性(例えばUL規格のVW−1試験に合格すること)が求められる。このため、絶縁層を構成するポリ塩化ビニル樹脂には難燃性を付与する種々の難燃剤が添加される。
難燃剤が添加される軟質のポリ塩化ビニル樹脂組成物については、本出願人において既に提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、難燃剤として、ホウ酸亜鉛、金属水酸化物、および三酸化アンチモンを組み合わせ、難燃剤や可塑剤を所定量配合することで難燃性、耐熱性、耐寒性、および体積抵抗率に優れるポリ塩化ビニル樹脂組成物とすることができる。
しかし、難燃剤として使用されるアンチモン化合物は、環境や人体に対する悪影響への懸念から、近年使用が控えられる傾向にある。例えば三酸化アンチモンは皮膚や粘膜に対する弱い刺激性が認められ劇物に指定されている。その毒性としては、ラットに55週間、空気中で投与した実験により、肺がんの発がん性が指摘されている。この発がん性により、アンチモン化合物は、国際がん研究機構(IARC)において、人に対する発がん分類でグループ2B(人に対して発がん性があるかもしれない)に分類されている。
また、鉱物資源としてのアンチモン化合物は産地が偏在していることや需給が逼迫する傾向にあることから供給不安定や価格上昇といったリスクがある。
こうしたなか、電線・ケーブルの絶縁層を構成する樹脂組成物としては、アンチモン化合物を含有しない軟質の難燃性ポリ塩化ビニル樹脂組成物が求められている。例えば三酸化アンチモンの代替物として錫酸亜鉛とホウ酸亜鉛とを組み合わせて用いる樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2によれば、難燃剤として錫酸亜鉛およびホウ酸亜鉛を併用することで、三酸化アンチモンを含有しない軟質の難燃性ポリ塩化ビニル樹脂組成物とすることができる。
上記錫酸亜鉛やホウ酸亜鉛などの亜鉛化合物に含まれる亜鉛は、ポリ塩化ビニル樹脂中の塩化水素を脱離させ炭化を促進させる触媒として作用し、ポリ塩化ビニル樹脂の難燃性に寄与する。以下に亜鉛がポリ塩化ビニル樹脂の難燃性に寄与する構造について説明する。
ポリ塩化ビニル樹脂は、加熱で分解されて着火した後に燃焼するが、加熱に際して塩化
水素を脱離(脱塩化水素反応)する。亜鉛は脱塩化水素反応を促進させるとともに、脱離した塩化水素と反応して塩化亜鉛を生成することで脱塩化水素反応をさらに促進させる。塩化水素の脱離によってポリ塩化ビニル樹脂は劣化して最終的に炭化層となる。炭化層は断熱効果を有しており、ポリ塩化ビニル樹脂の着火・燃焼を抑制することができる。このように、難燃剤としての亜鉛化合物によれば、ポリ塩化ビニル樹脂の脱塩化水素反応を促進させて樹脂の燃焼よりも先に樹脂を劣化させる(炭化層とする)ことで、樹脂の難燃性に寄与することができる。
上記特許文献2の樹脂組成物で構成される絶縁層は、燃焼温度域(一般的に300℃以上)で加熱された場合、亜鉛によって脱塩化水素反応が促進し速やかに炭化する。そして、絶縁層の表面は炭化層で被覆されて燃焼が抑制されることになる。
特開2009−126963号公報 特開平11−80474号公報
ところで、ポリ塩化ビニル樹脂組成物は所定温度で加熱されて電線の絶縁層などへ成形加工される。成形加工の際の加熱温度(成形加工温度域)は120℃〜150℃となっている。
この点、上記特許文献2の塩化ビニル樹脂組成物は成形加工時の加熱によって劣化が生じ、成形される絶縁層などの特性が低下するという問題があった。ポリ塩化ビニル樹脂は、燃焼温度域と比較して小さくはあるが、成形加工温度域においても脱塩化水素反応を起こす。このため、亜鉛化合物を含有する特許文献2においては脱塩化水素反応が促進され、樹脂の劣化が進行することになる。
すなわち、亜鉛化合物は脱塩化水素反応を促進する触媒として作用するが、燃焼温度域では触媒作用によってポリ塩化ビニル樹脂の難燃性に寄与するが、成形加工温度域では触媒作用のためにポリ塩化ビニル樹脂の劣化を促して樹脂の熱負荷に対する安定性(耐熱性)を低下させることになる。
しかも、上記特許文献2は難燃剤として錫酸亜鉛およびホウ酸亜鉛を併用しており、樹脂組成物中の亜鉛含有量が結果的に増加するため、脱塩化水素反応が高く、樹脂の耐熱性がさらに低下することになる。
このように、特許文献2は有害なアンチモン化合物を含有しないが、代替物である錫酸亜鉛およびホウ酸亜鉛を併用するため、少なくとも難燃性および耐熱性を両立することは困難であった。
本発明は、このような問題に鑑みて成されたもので、その目的は、アンチモン化合物を含有せず、難燃性、耐熱性、耐寒性および電気絶縁性のバランスに優れるポリ塩化ビニル樹脂組成物、それを用いた電線およびケーブルを提供することにある。
本発明の第1の態様は、可塑剤としてのトリメリット酸エステルと、難燃剤と、を含有するポリ塩化ビニル樹脂組成物であって、前記難燃剤として、亜鉛含有量に換算して8質量%以上16質量%以下の亜鉛を含有する脂肪酸亜鉛と、金属水酸化物と、焼成クレーと
、を含有し、前記ポリ塩化ビニル樹脂組成物100質量%に対して、前記可塑剤の含有量が20質量%以上30質量%以下、前記脂肪酸亜鉛の含有量が0.1質量%以上0.6質量%以下、前記金属水酸化物の含有量が5質量%以上15質量%以下、前記焼成クレーの含有量が5質量%以上15質量%以下のポリ塩化ビニル樹脂組成物である。
本発明の第2の態様は、第1の態様のポリ塩化ビニル樹脂組成物から構成される絶縁層を有する電線である。
本発明の第3の態様は、電線を複数本束ね、その外周にシースを有するケーブルであって、少なくとも前記シースは第1の態様に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物から構成されるケーブルである。
本発明によれば、三酸化アンチモンを含有せず、難燃性、耐熱性、耐寒性および電気絶縁性のバランスに優れるポリ塩化ビニル樹脂組成物、それを用いた電線およびケーブルを提供することができる。
亜鉛化合物の脱塩化水素反応と温度との相関関係を示す概念図である。 本発明の一実施形態にかかる電線の断面図である。 本発明の一実施形態にかかるケーブルの断面図である。
上述したように、電線の絶縁層に用いる樹脂組成物には所定の難燃性や耐熱性などが要求される。例えば、定格温度105℃の機器用耐熱電線の絶縁層に用いる樹脂組成物の場合、難燃性としてはUL規格のVW−1試験に合格することが要求される。また、耐熱性としては成形加工時の熱負荷が考慮されて150℃で168時間経過後の耐熱性が要求される。
しかしながら、アンチモン化合物の代替物として錫酸亜鉛などの亜鉛化合物を含有するポリ塩化ビニル樹脂組成物では難燃性、および熱負荷に対する安定性(耐熱性)を両立することが困難となっていた。これは、上述したように、亜鉛化合物が、脱塩化水素反応を促進させてポリ塩化ビニル樹脂の難燃性に寄与する一方で、成形加工時などの熱負荷に対する耐熱性を低下させるためである。
そこで、本発明者らは、脱塩化水素反応に対する亜鉛化合物の触媒作用の大きさと樹脂の加熱温度との相関関係が亜鉛化合物の種類によって異なるものと考え、亜鉛化合物の選定について検討を行った。具体的には、樹脂の加熱温度として成形加工温度域(120℃〜150℃)および燃焼温度域(300℃〜)を考慮して、それぞれの温度域における亜鉛化合物の触媒作用の大きさについて検討を行った。
その結果、本発明者らは、亜鉛化合物の中でも、亜鉛含有量を限定した脂肪酸亜鉛に着目した。亜鉛含有量を限定した脂肪酸亜鉛では、燃焼温度域では脱塩化水素反応を促進させるものの成形加工温度域ではこの効果が他の亜鉛化合物に比べて小さいことを見出した。以下、この点について説明する。
上述したように、電線の絶縁層に用いるポリ塩化ビニル樹脂組成物においては、燃焼温度域(300℃〜)において要求される特性は難燃性であり、成形加工温度域(120℃〜150℃)において要求される特性は耐熱性となっている。
難燃性を実現するためには、加熱温度300℃以上において、亜鉛を脱塩化水素反応の触媒として積極的に作用させて、燃焼時における炭化層の形成(樹脂の劣化)を促進する必要性がある。
耐熱性を実現するためには、加熱温度120℃〜150℃において、脱塩化水素反応の触媒としての亜鉛の作用を極力低減させて、成形加工時などにおける樹脂の劣化を抑制する必要性がある。
つまり、亜鉛化合物を含有するポリ塩化ビニル樹脂組成物には、樹脂が燃焼する比較的高温環境下においては脱塩化水素反応が大きくて劣化しやすい一方で、樹脂を成形加工する比較的低温環境下においては脱塩化水素反応が小さくて劣化しにくいことが要求される。
この点、錫酸亜鉛およびホウ酸亜鉛を含有する従来のポリ塩化ビニル樹脂組成物は、燃焼温度域においては脱塩化水素反応が大きく高い難燃性を示し、樹脂の加熱により速やかに劣化する。しかし、成形加工温度域においても脱塩化水素反応が大きいため、樹脂組成物の劣化が著しく耐熱性が不十分となる。脱塩化水素反応に対する亜鉛化合物の触媒作用の大きさと、樹脂の加熱温度との相関関係を図示すると、図1の直線(1)のようになる。図1において、横軸は樹脂の加熱温度を示し、縦軸は脱塩化水素反応に対する亜鉛化合物の触媒作用の大きさを示す。また、直線(1)〜(3)のそれぞれは触媒作用の大きさを比較して相対的に表現したものである。
一方、樹脂の耐熱性の低下を抑制するために難燃剤の含有量を低下させた場合、図1の直線(2)の相関関係を示す。すなわち、図1の直線(2)に示すように、難燃剤の含有量が少ないと成形加工温度域における脱塩化水素反応が比較的小さく耐熱性の低下を抑制することができる。しかし、難燃剤の含有量が少ないため、燃焼温度域における脱塩化水素反応が小さく、炭化層の形成が不十分となり難燃性が不足することになる。
図1の直線(1)および直線(2)によれば、錫酸亜鉛およびホウ酸亜鉛を用いて、その含有量を調整しただけでは、成形加工温度域における耐熱性と燃焼温度域における難燃性とを両立することは困難である。
これに対して、脂肪酸亜鉛を用いた場合の相関関係は上記錫酸亜鉛およびホウ酸亜鉛を用いた場合とは異なり、図1の直線(3)で示される。脂肪酸亜鉛によれば、温度の変化に対する脱塩化水素反応における触媒作用の変動を示す傾きが大きい。このため、比較的温度の低い成形加工温度域においては脱塩化水素反応が小さく、樹脂の劣化を抑制して十分な耐熱性を得ることができる。さらに、比較的温度の高い燃焼温度域においては脱塩化水素反応が大きく、樹脂を劣化させて炭化層を効率的に形成することができる。
また、本発明者らは、脂肪酸亜鉛のなかでもその亜鉛含有量の違いによって、温度の変化に対する脂肪酸亜鉛の触媒作用の変動が相違し、亜鉛含有量が8〜16質量%の範囲内であれば燃焼温度域での十分な難燃性を得ることができ、かつ、成形加工温度域での十分な耐熱性を得ることができることを見出した。
そして、上記脂肪酸亜鉛に金属水酸化物および焼成クレーを組み合わせることで、難燃性および耐熱性を両立するとともに耐寒性や電気絶縁性などの特性のバランスに優れたポリ塩化ビニル樹脂組成物を提供できることを見出し、本発明を創作するに至った。
以下に、本発明の一実施形態に係るポリ塩化ビニル樹脂組成物について説明する。
(ポリ塩化ビニル樹脂組成物)
本実施形態のポリ塩化ビニル樹脂組成物は、可塑剤としてのトリメリット酸エステルと、難燃剤として、亜鉛含有量が8質量%以上16質量%以下の脂肪酸亜鉛と、金属水酸化物と、焼成クレーと、を含有する。そして、ポリ塩化ビニル樹脂組成物100質量%に対して、可塑剤の含有量が20質量%以上30質量%以下、脂肪酸亜鉛の含有量が0.1質量%以上0.6質量%以下、金属水酸化物の含有量が5質量%以上15質量%以下、焼成クレーの含有量が5質量%以上15質量%以下となっている。
ポリ塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルのホモポリマー、つまりポリ塩化ビニルの他、塩化ビニルと他の共重合可能なモノマーとの共重合体、およびこれらの混合物が挙げられる。ポリ塩化ビニル樹脂としては、平均重合度1000〜2500のものを用いることができる。
可塑剤は、ポリ塩化ビニル樹脂に柔軟性を付与し、加工をしやすくするための添加剤である。本実施形態においては、可塑剤としてトリメリット酸エステルを用いる。トリメリット酸エステルとしては、トリメリット酸と炭素数8のアルコールとのエステルが好ましい。この構成によれば、ポリ塩化ビニル樹脂組成物の耐熱性を向上することができる。また、トリメリット酸と炭素数8の分岐アルコールとのエステルがさらに好ましい。この構成によれば、耐熱性を向上するとともに電気絶縁性を安定させることができる。
なお、上記トリメリット酸エステルにピロメリット酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、またはジカルボン酸エステル系可塑剤を適宜ブレンドして用いても良い。
可塑剤の含有量としては、ポリ塩化ビニル樹脂組成物100質量%に対して、20質量%以上30質量%以下とする。20質量%未満の場合、樹脂組成物の耐寒性が劣る一方、30質量%を超える場合、樹脂組成物中の可燃成分が増加し難燃効果を得ることが困難となる。
難燃剤としては脂肪酸亜鉛、金属水酸化物、および焼成クレーを組み合わせて用いる。
脂肪酸亜鉛は、脂肪族カルボン酸(脂肪酸)と亜鉛の金属塩とからなる化合物である。本実施形態においては、脂肪酸亜鉛として、亜鉛含有量が8質量%以上16質量%以下の脂肪酸亜鉛を用いる。脂肪酸亜鉛は、亜鉛の含有量が8質量%以上16質量%以下の場合に、ポリ塩化ビニル樹脂組成物の難燃性および耐熱性を両立することができる。所定の亜鉛含有量の脂肪酸亜鉛によれば、図1中の直線(3)に示すように、燃焼温度域においては脱塩化水素反応が高く樹脂を速やかに劣化させて難燃性を示す一方、成形加工温度域においては脱塩化水素反応が比較的小さく樹脂の劣化を抑制することができる。また、脂肪酸亜鉛は、ポリ塩化ビニル樹脂に柔軟性を付与して押出成形性を向上するとともに、その他の難燃剤の分散性を向上し難燃性をさらに向上することができる。脂肪酸亜鉛中の亜鉛の含有量が8質量%未満の場合、難燃効果および耐熱性を十分に得ることが困難であり、16質量%を超える場合、樹脂の耐熱性が悪化することになる。
上記脂肪酸亜鉛を構成する脂肪酸としては、脂肪酸亜鉛の亜鉛含有量を上記数値範囲に調整できるものであれば限定されない。脂肪酸としては、例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸などの飽和脂肪酸、オレイン酸などの不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸など脂肪酸誘導体が挙げられ、これを単独または併用して使用することができる。
上記脂肪酸亜鉛としては、例えばラウリン酸亜鉛(亜鉛含有量:約14質量%)やステ
アリン酸亜鉛(亜鉛含有量:約10.7質量%)などがある。また、脂肪酸亜鉛は1種類単独または2種類以上を併用することもできる。
脂肪酸亜鉛の含有量としては、ポリ塩化ビニル樹脂組成物100質量%に対して0.1質量%以上0.6質量%以下とする。より好ましくは0.2質量%以上0.5質量%以下とすることが好ましい。
脂肪酸亜鉛の含有量を上記数値範囲内とすれば、脂肪酸亜鉛はポリ塩化ビニル樹脂からの塩化水素を捕捉して、その熱負荷に対する安定性に寄与し、樹脂の耐熱性を向上する。含有量が0.1質量%未満となる場合、樹脂組成物中の亜鉛含有量が低減するため、樹脂の燃焼時の炭化層形成が不十分となり、十分な難燃効果を得られない。0.6質量%を超える場合、樹脂組成物中の亜鉛含有量が増加するため、加熱温度150℃における耐熱性が得られない。さらに、脱離した塩化水素との反応により生成した塩化亜鉛が可塑剤の分解を促進し樹脂組成物を低分子化させるため、また燃焼の初期段階で炭化層の形成が進み強固な炭化層が形成されないため、十分な難燃効果を得られない。
金属水酸化物は、成形加工などの加熱の際にポリ塩化ビニル樹脂から脱離する塩化水素を捕捉し、ポリ塩化ビニル樹脂の熱安定性(耐熱性)を向上する。さらに、金属水酸化物は、200℃以上で熱分解し水分を放出することでポリ塩化ビニル樹脂の温度を低下させて(吸熱反応をして)難燃性を付与する。金属水酸化物としては、例えば水酸化アルミニウムなどを用いることができる。
金属水酸化物の含有量としては、ポリ塩化ビニル樹脂組成物100質量%に対して5質量%以上15質量%以下とする。好ましくは5質量%以上10質量%以下とする。5質量%未満の場合、燃焼時の吸熱反応が不十分で難燃性を得ることが困難となる。一方、15質量%を超える場合、難燃剤による炭化層の形成力が低下し難燃効果を得られにくくなる。
焼成クレーは湿式カオリンを焼成したものであり、結晶水を放出し、もとの結晶構造が崩壊している。この構造のため、焼成クレーは活性が高く、遊離イオンを吸着固定化して、樹脂組成物の電気絶縁性を向上させる。また、多孔質な構造であるので有機低分子成分を取り込む性質があり難燃化にも寄与する。
焼成クレーの含有量としては、ポリ塩化ビニル樹脂組成物100質量%に対して5質量%以上15質量%以下とする。好ましくは5質量%以上10質量%以下とする。5質量%未満の場合、樹脂組成物の難燃性および電気絶縁性を得ることが困難となる。一方、15質量%を超える場合、難燃性や耐熱性に影響は無いものの耐寒性が悪化して、特性のバランスが悪くなる。
なお、ポリ塩化ビニル樹脂組成物には上述した可塑剤や難燃剤の他に、安定剤、充填剤、顔料、その他添加剤などを適宜添加しても良い。安定剤や充填剤などは特に限定されず、公知のものを用いることができる。それぞれの含有量は、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、安定剤が2重量部以上10重量部以下、充填剤が5重量部以上40重量部以下とすることが好ましい。
安定剤としては、カルシウム−亜鉛系、バリウム−亜鉛系など、公知の複合安定剤を用いることができる。複合安定剤としては、環境や人体に対する悪影響が指摘される鉛含有以外のものが好ましく、例えばハイドロタルサイトを主成分とするものがあげられる。ハイドロタルサイトは、樹脂組成物の成形加工時などの熱負荷の際に発生する塩化水素をイオン交換により補足することができる。なお、複合安定剤中に脂肪酸亜鉛などが含まれる場合は、その重量分率を加算して、樹脂組成物中の脂肪酸亜鉛などの重量分率を算出する
その他添加剤としては、不安定塩素の置換や金属塩化物の捕捉の効果があるβ−ジケトン類、主に金属塩化物(塩化亜鉛など)を捕捉する多価アルコール類、二重結合の消去に作用する過塩素酸塩類、塩化水素捕捉に作用するゼオライト類や脂肪酸金属塩、ラジカルを失活させるフェノール系酸化防止剤、過酸化物の分解やラジカルの捕捉に作用するアミン系及びチオエーテル系酸化防止剤、ならびに紫外線吸収剤などを適量添加できる。
(電線およびケーブル)
次に、本発明の一実施形態にかかる電線について説明する。本実施形態の電線は、上記ポリ塩化ビニル樹脂組成物から構成される絶縁層を有する。具体的には、電線10は、図2に示すように、導体1の外周が、上記ポリ塩化ビニル樹脂組成物から構成される絶縁層2によって被覆されている。
また、図2に示す電線10を複数本束ねて、ケーブルとすることができる。具体的には、図3に示すように、ケーブル20は、導体1に絶縁層2を被覆した電線10(線心)を介在4と共に束ね、その外周に押え巻きテープ5を施し、最外層としてシース3を形成したものである。そして、絶縁層2およびシース3には、上記ポリ塩化ビニル樹脂組成物が用いられている。
導体1は、導体径や材質について特に限定されず、用途に応じて最適なものを適宜選択することができる。導体1としては、例えば、銅または銅合金などの金属材料から形成される。また、絶縁層2およびシース3の厚さは特に限定されず、用途に応じて最適な厚さが選択される。
次に、電線10およびケーブル20の製造方法について説明する。
まず、ポリ塩化ビニル樹脂に所定量の可塑剤および難燃剤を添加し均一に混錬することで、ポリ塩化ビニル樹脂組成物を形成する。混錬する方法としては、樹脂組成物の各成分を実質的に均一に分散、混合、混錬する方法であればよく、例えばバンバリーミキサー、コニーダー、同方向二軸押出機、異方向型二軸押出機、ロール式混練機、バッチ式混練機などで混錬することができる。続いて、公知の電線被覆用押出機を用いて導体1の外周にポリ塩化ビニル樹脂組成物を押出被覆して、電線10を製造する。
得られた電線10を用いて、ケーブル20を製造する。具体的には、得られた電線10を複数本用意し、これらと介在4とを公知の撚合機で撚り合わせた後、その外側に押え巻きテープを巻き、その後公知の電線被覆用押出機を用いてシース3を押出被覆し、ケーブル20を製造する。
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
本実施形態によれば、ポリ塩化ビニル樹脂組成物は、可塑剤としてトリメリット酸エステル、難燃剤として、亜鉛含有量が8質量%以上16質量%以下の脂肪酸亜鉛、金属水酸化物、および焼成クレーを含有しており、それぞれを所定量含有している。
所定の亜鉛含有量の脂肪酸亜鉛を用いることによって、樹脂の燃焼時には難燃性を付与するとともに、樹脂の成形加工時には所定の耐熱性を付与することができる。また、難燃剤として金属水酸化物および焼成クレーを用いることによって、さらに難燃性を向上することができる。しかも、金属水酸化物によれば、塩化ビニル樹脂から脱離する塩化水素を捕捉し脱塩化水素反応を抑制することで所定の耐熱性を付与することができる。また、焼
成クレーによれば、遊離イオンを吸着固定することで電気絶縁性を向上することができる。さらに、難燃剤および可塑剤の含有量を調整することで、ポリ塩化ビニル樹脂組成物の耐寒性を向上することができる。
したがって、本実施形態の構成によれば、アンチモン化合物を含有せず、難燃性、耐熱性、耐寒性および電気絶縁性のバランスに優れる塩化ビニル樹脂組成物を提供することができる。
また、本実施形態によれば、電線は、上記ポリ塩化ビニル樹脂組成物から構成される絶縁層を有する。また、ケーブルは、上記電線を複数本束ね、その外周に上記ポリ塩化ビニル樹脂組成物から構成されるシースを有する。この構成によれば、有害なアンチモン化合物を含有せず、難燃性、耐熱性、耐寒性および電気絶縁性などの特性のバランスに優れる電線またはケーブルとすることができる。
以下の方法および条件で、本発明に係る実施例の難燃性塩化ビニル樹脂組成物を調整した。これらの実施例は、本発明に係る難燃性塩化ビニル樹脂組成物の一例であって、本発明はこれらの実施例により限定されない。
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度:1300、TK1300、信越化学製)に対して、難燃剤としてのラウリン酸亜鉛(亜鉛含有量:約14質量%、ZS−3、日東化成製)、難燃剤としての水酸化アルミニウム(ハイジライトH42M、昭和電工製)、難燃剤としての焼成クレー(SP#33、BASF製)、後述する複合安定剤を添加して、高速攪拌ミキサー(ヘンシェルミキサー)により低速で10秒ほど混合した。その後、樹脂組成物中に、可塑剤としてのトリメリット酸エステル(TOTM、花王製)を少量ずつ連続で添加して高速で混合し、樹脂温度を110℃まで上げてドライアップさせた。これを160℃に設定したミキシングロールにて5分間混錬し、実施例1のポリ塩化ビニル樹脂組成物をシート化した。なお、可塑剤としてのTOTMは、トリメリット酸と炭素数8のアルコールとのエステルとなっている。複合安定剤は、ハイドロタルサイト70質量%、ステアリン酸カルシウム7質量%、ジベンゾイルメタン6質量%、フェノール系酸化防止剤6質量%、チオエーテル系酸化防止剤3質量%、ステアリン酸1質量%、シリカ4質量%、水酸化カルシウム3質量%を含有する配合剤を高速ミキサーで分散させたものを用いた。
それぞれの添加量は、表1に示すように、調整されるポリ塩化ビニル樹脂組成物100質量%に対して、塩化ビニル樹脂58.0質量%、トリメリット酸エステル25.9質量%、複合安定剤2.15質量%、ラウリン酸亜鉛0.45質量%(亜鉛含有量に換算して0.063質量%)、水酸化アルミニウム5.00質量%、焼成クレー8.50質量%とした。
Figure 2013129734
シート化した実施例1の樹脂組成物を、熱プレス機にて、170℃で3分予熱後、100kgf/cmで加圧しながら温度を2分保持して、5分で室温まで冷却して、評価用シート(1mm厚、2mm厚)を製造した。
シート化した実施例1の樹脂組成物を、2mm角のペレットに裁断し、シリンダー温度180℃、ヘッド温度185℃に設定した40mm押出機にて導体に押出被覆して、実施例1の電線を製造した。導体は外径0.94mmの錫めっき銅線(外径0.16mmの素線26本撚り)を使用し、被覆厚は0.81mm、被覆後の外径は2.56mmとした。
得られた実施例1の電線について、耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、押出成形性、および難燃性を評価した。それぞれの評価方法について以下に説明する。
(耐熱性)
電線の耐熱性は、製造された電線に対して、JIS K 6723に準じて加熱前後の引張試験を行った。加熱温度はUL規格の105℃定格電線への要求を考慮して136℃と、成形加工時の熱負荷を考慮して150℃とした。136℃における耐熱性では、UL規格に準じて、168時間加熱後の引張強さ残率70%以上、かつ伸び残率65%以上を合格とした。150℃における耐熱性では、200時間加熱後の伸び残率50%以上を合格とした。
(耐寒性)
電線の耐寒性は、製造された電線に対して、JIS K 6723(6.6項の耐寒性試験における6.6.1装置、6.6.2操作)に準じて脆化温度を測定し、−10℃以下を合格とした。
(電気絶縁性)
JIS K 6723(6.8項の体積抵抗率試験における6.8.1測定器及び電極、6.8.2試験片及び試験片の厚さの測定)に準じて30℃での体積抵抗率を測定し、1×1014Ω・cm以上を合格とした。
(押出成形性)
上記の電線被覆押出をシリンダー温度180℃、ヘッド温度185℃、線速400m/分で12時間押出作業し、焼け(変色)、外観異常によるコブ検出エラー、スパークテスターエラーが無いものを合格とした。
(難燃性)
製造した電線について、UL規格のVW−1試験を実施し、10本中10本とも規格に満足する場合に合格とした。
(実施例2〜7)
実施例2〜7では、表1に示すように、実施例1における可塑剤や難燃剤の含有量、可塑剤や脂肪酸亜鉛の種類を変更して、実施例1と同様にポリ塩化ビニル樹脂組成物を調整し、電線を製造した。なお、種類の異なる脂肪酸亜鉛としてステアリン酸亜鉛(亜鉛含有量:約10.7質量%、Zn−St、日東化成製)を用いた。また、種類の異なる可塑剤としてトリn−オクチルトリメリテート(n−TOTM、花王製)を用いた。
実施例2〜7の電線の特性を実施例1と同様に測定したところ、表1に示すように耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、押出成形性、および難燃性のいずれの評価項目で合格であった。
(比較例1、2)
比較例1および2では、表2に示すように、脂肪酸亜鉛として、モンタン酸亜鉛(亜鉛含有量:約7質量%、Zs−8、日東化成製)、カプリル酸亜鉛(亜鉛含有量:約22質量%、和光純薬製)を用いた点が実施例7と主に異なる。それ以外の点については、実施例7と同様に塩化ビニル樹脂組成物を調整し、電線を製造した。また実施例7と同様に電線の特性を評価した。
Figure 2013129734
比較例1では、モンタン酸亜鉛(亜鉛含有量:約7質量%)を用いて、実施例7の樹脂組成物の亜鉛含有量(0.063質量%)と同じとなるように含有量を0.88質量%とした。製造された電線の特性を測定したところ、耐熱性および難燃性が不十分であった。
比較例2では、カプリル酸亜鉛(亜鉛含有量:約22質量%)を用いて、実施例7の樹脂組成物の亜鉛含有量(0.063質量%)と同じとなるように含有量を0.34質量%とした。製造された電線の特性を測定したところ、難燃性が不十分であった。この理由は、炭化層が低温領域で形成され、燃焼域での炭化層の脆弱化が生じためであると考えられる。
(比較例3、4)
比較例3および4では、表3に示すように、難燃剤としての脂肪酸亜鉛の代わりに錫酸亜鉛(亜鉛含有量:約23質量%、水沢化学製)またはホウ酸亜鉛(亜鉛含有量:約30質量%、水沢化学製)を用いた点が主に異なる。それ以外の点については実施例2または4と同様に塩化ビニル樹脂組成物を調整し、電線を製造した。また実施例1と同様に電線の特性を評価した。
Figure 2013129734
比較例3ではホウ酸亜鉛を用いて、実施例4の樹脂組成物の亜鉛含有量(0.014質量%)と同等となるように含有量を0.05質量%とした(亜鉛含有量0.015質量%)。
製造された電線の特性を測定したところ難燃性が不十分であった。比較例3では難燃剤としてホウ酸亜鉛を用いているが、その含有量を少なくしているため、所定の耐熱性を得られたが、燃焼温度域において脱塩化水素反応による炭化層が効率よく形成されなかったため、十分な難燃性が得られなかった。
比較例4では錫酸亜鉛およびホウ酸亜鉛を併用して、実施例2の樹脂組成物の亜鉛含有量(0.041質量%)と同等となるように、錫酸亜鉛の含有量を0.03質量%、ホウ
酸亜鉛の含有量を0.12質量%とした(亜鉛含有量0.045質量%)。
製造された電線の特性を測定したところ、150℃の耐熱性が不十分であった。比較例4では難燃剤として錫酸亜鉛およびホウ酸亜鉛を用いており、その含有量が多いため、所定の難燃性を得られたが、成形加工温度域においても脱塩化水素反応が生じた結果、耐熱性が悪化した。
(比較例5、6)
比較例5および6では、表4に示すように、脂肪酸亜鉛の含有量を本発明の範囲外とした点が主に異なる。それ以外の点については実施例2または実施例3と同様に塩化ビニル樹脂組成物を調整し、電線を製造した。また実施例1と同様に電線の特性を評価した。
Figure 2013129734
比較例5では、ラウリン酸亜鉛の含有量を1.0質量%として、樹脂組成物中の亜鉛含有量を0.141質量%とした。製造された電線の特性を測定したところ、150℃の耐熱性が不十分であった。
また、比較例6では、ステアリン酸亜鉛の含有量を0.05質量%として、樹脂組成物中の亜鉛含有量を0.005質量%とした。製造された電線の特性を測定したところ、押出成形性および難燃性が不十分であった。
(比較例7〜12)
比較例7〜12では、表5に示すように、可塑剤、金属水酸化物、または焼成クレーの含有量を本発明の範囲外とした以外は、実施例1と同様に塩化ビニル樹脂組成物を調整し、電線を製造した。また実施例1と同様に電線の特性を評価した。
Figure 2013129734
比較例7では、可塑剤の含有量を30質量%よりも多くして31.4質量%とした。比較例7では組成物中の可燃成分が多いために難燃性が不十分であった。
一方、比較例8では可塑剤の含有量を20質量%未満として19.8質量%とした。比較例8では耐寒性および押出成形性が不十分であった。
比較例9では、金属水酸化物の含有量を5質量%未満として4.2質量%とした。比較例9では燃焼時の吸熱作用が不十分であるために難燃性が不十分であった。
一方、比較例10では、金属水酸化物の含有量を15質量%よりも多くして15.6質量%とした。比較例10では形成した炭化層が脆弱であるために難燃性が不十分であった。
比較例11では、焼成クレーの含有量を5質量%未満として4.2質量%とした。比較例11では電気絶縁性および難燃性が不十分であった。
一方、比較例12では、金属水酸化物の含有量を15質量%よりも多くして15.6質量%とした。比較例12では耐寒性が不十分であった。
1 導体
2 絶縁層
3 シース
4 介在
5 押え巻きテープ
10 電線
20 ケーブル

Claims (3)

  1. 可塑剤としてのトリメリット酸エステルと、難燃剤と、を含有するポリ塩化ビニル樹脂組成物であって、
    前記難燃剤として、亜鉛含有量が8質量%以上16質量%以下の脂肪酸亜鉛と、金属水酸化物と、焼成クレーと、を含有し、
    前記ポリ塩化ビニル樹脂組成物100質量%に対して、
    前記可塑剤の含有量が20質量%以上30質量%以下、前記脂肪酸亜鉛の含有量が0.1質量%以上0.6質量%以下、前記金属水酸化物の含有量が5質量%以上15質量%以下、前記焼成クレーの含有量が5質量%以上15質量%以下である
    ことを特徴とするポリ塩化ビニル樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物から構成される絶縁層を有することを特徴とする電線。
  3. 電線を複数本束ね、その外周にシースを有するケーブルであって、少なくとも前記シースは請求項1に記載のポリ塩化ビニル樹脂組成物から構成されることを特徴とするケーブル。

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