JP2013120680A - 水電解型ハイブリッド蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】リチウムイオン蓄電池等の密閉型蓄電池の万が一の過充電による破裂や発火等を未然に防止するための大電流、大電圧に対応した高価な保護スイッチ等を設けることなく、過充電を防止できる水電解型ハイブリッド蓄電池を提供する。
【解決手段】密閉型蓄電池と、電解質として水溶液を用いた電気化学セルである水電解装置26Aとを並列接続してなる仮想電池32、もしくは仮想電池を複数個直列接続してなり、仮想電池に密閉型蓄電池が過充電に至る過充電エネルギが与えられた場合、水電解装置が水の電気分解反応を行うことでエネルギを吸収し、仮想電池の充電電圧を密閉型蓄電池の過充電危険電圧に至るのを防止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン蓄電池等の密閉型蓄電池と耐過充電機能を有する電気化学セルとを並列接続してなる仮想電池が単数個又は複数個直列接続された水電解型ハイブリッド蓄電池に関する。
従来の化石燃料を駆動エネルギの主体とする自動車は、その排気ガスによって地球環境に悪影響を与えている。これに対して、排気ガスを出さない電気自動車や、若しくは著しくその排出量を軽減したハイブリッド自動車を広く使用することが、環境改善の点から非常に期待され、また、夜間の余剰電力の有効利用の点からも推奨されている。また、電力の安定化のために分散型の電力貯蔵システムを配することが望まれている。
しかしながら、蓄電池が非常に重い、高価である、又は安全性が低いなどの課題があった。例えば、エネルギあたりの単価が安い鉛蓄電池等の水溶液系蓄電池は非常に重く、エネルギ密度が高く軽いリチウムイオン蓄電池等の有機溶液系蓄電池は非常に高価でかつ安全性に課題があった。
リチウムイオン蓄電池等の有機溶液型蓄電池は、鉛蓄電池等の水溶液系蓄電池と異なり過充電耐性がなく、電解質(電解液)が可燃物であるため過充電による発熱により電池爆発などの危険性がある。このような安全性の課題を解決するために、従来、過充電からリチウムイオン蓄電池等の有機溶液系蓄電池を保護するための保護回路や保護スイッチが用いられてきた。
このため、リチウムイオン蓄電池では、高価な電池材料に由来する電池単体コストが高いだけでなく、保護回路や保護スイッチを構成する電子回路、部品のコストも高く、非常に高価な電池となっている。ここでいう保護回路、保護スイッチとは、特許文献1に開示されているように、電池の電圧や温度及び電池に流れる電流を計測し、これらの数値が一定以上となって電池が過電圧、過温度、過電流に曝された場合に、電池を充放電回路から切り離して電池を保護する保護回路、保護スイッチをいう。
このような保護回路や保護スイッチは、従来、鉛蓄電池には不要であったが、上述したように、過電圧、過温度、過電流による危険性のため、リチウムイオン蓄電池には必須である。特に安全性に深刻な影響を与える過充電を防止することが、保護回路や保護スイッチにとって最も重要な役割であった。携帯電話やラップトップコンンピュータや電動工具等の携帯機器とは異なり、電気自動車や電力貯蔵システムにリチウムイオン蓄電池を用いた場合には、その仕様(定格)電圧や仕様(定格)電流が携帯機器の10倍以上に大きくなり、それに伴って保護回路、保護スイッチの仕様も大電流、大電圧対応となる必要があり、そのために熱や抵抗、アークなどの対策が必要になり、保護回路や保護スイッチのコストが非常に高価になるという課題があった。
また、保護回路や保護スイッチは、数ミリ秒程度の過充電においても直ちに起動し、リチウムイオン蓄電池を電力負荷回路から切断する。いったん回路から切断されたリチウムイオン蓄電池を再び回路に接続するには、例えば回路の安全性を複数の手順を経て確認した後に保護スイッチを切り替えるといった操作が必要となる。このようなリチウムイオン蓄電池の電力負荷回路からの切断、安全性の確認及び保護スイッチの切り替えは基本的に自動操作であり、特に労力を必要としない。しかし、複雑なアルゴリズムからなる保護回路ソフトウエアを必要とし、その信頼性を検証するための開発は大変難度が高く時間もかかるという課題があった。
また、電力負荷回路に接続されているリチウムイオン蓄電池は負荷回路の電圧変動を吸収する役割を担っているが、リチウムイオン蓄電池が保護回路、保護スイッチにより回路から切り離されると、リチウムイオン蓄電池と同じ電力負荷回路に接続されている他の電子機器に電圧変動負荷が直接印可されるという課題があった。さらに、リチウムイオン蓄電池がその保護回路により電力負荷回路から切断されるタイミングは予測できないため、例えばリチウムイオン蓄電池が電気自動車の動力源として用いられている場合等には、回生ブレーキから通常ブレーキへ切り替えるタイミングを予測し設定することが困難であるなど、他のシステムと連動させる際に様々な課題があった。このような蓄電池の予期せぬタイミングでの電力負荷からの切断によりシステムへ及ぼされ得る影響は、負荷回路の電力容量や蓄電池の電気容量が大きくなるほど深刻になる。例えば据え置き型の電力貯蔵装置の場合は、電力回線からの切断や再投入の影響は計り知れないものがある。そのため、リチウムイオン蓄電池等の有機溶液系蓄電池の過充電耐性を向上させ、保護回路や保護スイッチによる回路からの電池切断を不要にすることが望まれていた。
発明者は過去に、リチウムイオン蓄電池などの有機溶液系蓄電池の過充電耐性を向上させることを目的として、有機溶液系蓄電池と水溶液系蓄電池とを並列接続してなる仮想電池を複数個直列接続してなるハイブリッド蓄電池を提案した(特許文献1)。この発明によると、有機溶液系蓄電池と水溶液系蓄電池とは、近接した平均放電電圧を有し、有機溶液系蓄電池の過充電危険電圧が、水溶液系蓄電池の充電終止電圧よりも高く、有機溶液系蓄電池の充電終止電圧が、水溶液系蓄電池の充電終止電圧よりも低くなるように構成されている。この構成により、仮想電池に有機溶液系蓄電池が過充電に至る過充電エネルギが与えられた場合、水溶液系蓄電池が水素発生反応を行うことでエネルギを吸収し、仮想電池の充電電圧を水溶液系蓄電池の充電終止電圧に抑え、有機溶液系蓄電池が過充電危険電圧に至るのを防止することができる。
特願2011−224070号
特許文献1に開示のハイブリッド蓄電池は、過充電時にリチウムイオン蓄電池と並列に接続された鉛蓄電池が水素発生反応を起こすことにより、リチウムイオン蓄電池の過充電危険電圧までの電圧上昇を抑制することで、リチウムイオン蓄電池の耐過充電性能を向上させるものである。この発明は、リチウムイオン蓄電池と並列に接続された鉛蓄電池のエネルギ密度が低いため、スペースや重量の制約が少ない据え置き型の蓄電システム、またはバス、トラック等の大型車両に用いる場合には適切である一方、鉛蓄電池が大変重いため小型自動車、スポーツカー、飛行機など高い重量エネルギ密度を必要とする走行体の動力源としての利用が困難であるという課題があった。
なお、リチウムイオン蓄電池等の有機溶液系蓄電池は、電解液中に水が混合しないように密閉容器に封入されており、密閉型蓄電池と言うことができる。密閉型蓄電池の具体的な例としては、リチウムイオン蓄電池の他にも、特開平6−163080号公報や特開8−321305号公報等に開示されるカルシウムイオン蓄電池や、P.Novak;J.Electrochem.Soc.,Vol.140 No.1,Jan(1993)140やM.E.Spahr;J.Power Sources 54(1995)346等に開示されるマグネシウムイオン蓄電池等がある。一般に、電解質内に水が混入すると正極又は負極における電極反応、又は電解質中のイオン伝導及び電解質の組成等に悪影響が及ぼされるような構成の蓄電池は全て密閉型蓄電池と言うことができる。
前記を踏まえ、本発明の目的は、リチウムイオン蓄電池等の密閉型蓄電池を含む蓄電池でありながら良好な耐過充電性を有し、比較的高いエネルギ密度を有する、水電解型ハイブリッド蓄電池を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の水電解型ハイブリッド蓄電池は、密閉型蓄電池と、水電解装置とを並列に接続してなる仮想電池からなる、又は前記仮想電池を複数直列接続してなる、水電解型ハイブリッド蓄電池であって、前記密閉型蓄電池は、充電終止電圧を超えて充電されると過充電に至り、前記密閉型蓄電池の過充電危険電圧を超えて充電されると危険な状態に至るものであり、前記水電解装置は、単数もしくは直列に接続された複数の水電解セル、又は並列に接続された複数の水電解セルよりなる第1水電解セル群、又は直列に接続された複数の前記第1水電解セル群からなり、前記水電解セルは、2つの電極と、水溶液である電解質とを有し、前記水電解装置は、前記水電解装置の電圧が水電解反応開始電圧を超えると少なくとも1つの前記水電解セルにおいて水の電気分解反応が起こり、それの結果電力消費をなすものであって、前記水電解装置の水電解反応開始電圧が、前記密閉型蓄電池の過充電危険電圧よりも低くなるように構成され、前記仮想電池に対して、前記密閉型蓄電池が過充電に至る過充電エネルギが与えられた場合に、前記水電解装置において電力消費がなされることで前記過充電エネルギを吸収し、前記密閉型蓄電池がその過充電危険電圧に至るのを防止するようにしたことを特徴とする。
ここで、前記水電解装置の水電解反応開始電圧は、前記密閉型蓄電池の充電終止電圧よりも高くなるように構成されていることが好ましい。
また、前記水電解装置が、酸素及び水素から水が生成される反応を促進する触媒を有することが好ましい。
また、前記水電解セルの電極が、材料粒子としての比表面積が10m/g以上の導電性物質である高表面積導電物質を含むことが好ましい。
また、前記高表面積導電物質は活性炭であることが好ましい。
また、前記水電解装置がニッケル水素蓄電池であってもよい。
また、前記水電解装置がニッケルカドミウム蓄電池であってもよい。
また、本発明の水電解型ハイブリッド蓄電池は温度制御装置を有することが好ましい。
また、前記密閉型蓄電池は、カセットモジュールとして着脱交換可能にモジュール化されてなることが好ましい。
本発明によれば、過充電を受けても水電解装置において電力消費が起こり、蓄電池全体の電圧はリチウムイオン蓄電池等に代表される密閉型蓄電池の過充電危険電圧以下に保たれる。従って、本発明によれば、リチウムイオン蓄電池等の密閉型蓄電池を含む蓄電池でありながら良好な耐過充電性を有する、水電解型ハイブリッド蓄電池を提供することができる。また、リチウムイオン蓄電池等の密閉型蓄電池に並列接続される耐過充電水電解装置は鉛蓄電池と比較して活物質を含まない等、構造が簡便である為に、従来のハイブリッド蓄電池よりもエネルギ密度の高い構成とすることができる。
本発明に係る水電解型ハイブリッド蓄電池の一実施形態の概略構成を示す模式図。 図1に示す水電解型ハイブリッド蓄電池のリチウムイオン蓄電池の一実施形態の概略構成を示す模式図。 図1に示す水電解型ハイブリッド蓄電池の水電解装置の一実施形態の概略構成を示す模式図。 図3に示す水電解装置の一実施形態である水電解セルの概略構成を示す模式図。 図4の一部の概略構成をより詳細に示す模式図。 図4及び図5に示す水電解セルの電圧スイープ結果。 水電解型ハイブリッド蓄電池の実施例1における過充電試験結果。 (A)は、本発明の実施例2である12V系水電解型ハイブリッド蓄電池の主要部の模式図、(B)は、従来発明である12V系従来型ハイブリッド蓄電池の構成を示す模式図、(C) は、従来の12V系リチウムイオン蓄電池の構成を示す模式図。
本発明に係る水電解型ハイブリッド蓄電池(バッテリ)を添付の図面に示す好適実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。以下では、本発明の水電解型ハイブリッド蓄電池を構成する密閉型蓄電池の代表例として、リチウムイオン蓄電池を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されないことはいうまでもない。
本発明に係るバッテリ10は、図1に示すように、複数(図示例では4個)のリチウムイオン蓄電池24Aからなるリチウムイオン蓄電池部24と、複数(図示例では4個)の水電解装置26Aからなる水電解装置部26とを有する。バッテリ10は仮想電池32が直列接続された構造を有する。仮想電池32はリチウムイオン蓄電池24Aと水電解装置26Aが並列接続されたものである。バッテリ10は、例えば電気自動車に代表される移動体の各構成要素等の外部負荷に対して放電によって電気エネルギを供給する。またバッテリ10は、例えば電気自動車に代表される移動体の回生ブレーキによる回生電力により充電される。またバッテリ10は、充電器を外部電源(図示せず)等に接続することにより充電される。またバッテリ10は、図示しない電源に接続された図示しない外部充電器、例えば外部の急速充電器等により急速に充電されても良い。
バッテリマネジメントシステム19はバッテリ10を制御するものであり、各仮想電池32間の充電レベルを揃えたり又はそのバランスを保ったりする、仮想電池バランス回路部30を備える。仮想電池バランス回路部30は、1または複数の仮想電池バランス回路30Aから構成される。各仮想電池バランス回路30Aは各仮想電池32と並列接続されており、各仮想電池32の充電レベルを揃えたり又はそのバランスを保つ。バッテリマネジメントシステム19は、外部負荷に対して電気エネルギを供給するために、また、過放電等による電池の異常、例えば、蓄電池としての性能の劣化や寿命の短縮、及び、過充電による破損、例えば破裂や発火等の危険を発生させないように、バッテリ10の放電を制御すると共に、回生電力等や充電器等によるバッテリ10の充電を制御する。
例えば、バッテリマネジメントシステム19は、バッテリ10が所定の充電方法で充電されるように充電方法や充電条件や充電状態を制御したり、各リチウムイオン蓄電池24A、各水電解装置26A、各仮想電池32の状態を観測できるように、電池電圧や温度、電流などを測定するための温度センサや、電圧・電流センサ等が備えていてもよいし、測定データを出力する機能を備えていても良い。なお、従来技術においては、リチウムイオン蓄電池24Aを用いる場合には、各リチウムイオン蓄電池24A毎にその過充電や過放電等、特に過充電による異常を防止するための保護回路や保護スイッチが必要であったが、本発明においては、後述する理由により、リチウムイオン蓄電池24Aには、過充電による異常の防止のための保護回路や保護スイッチは不要であるので、バッテリマネジメントシステム19には保護回路や保護スイッチが含まれていない。
本発明のバッテリ10では、各リチウムイオン蓄電池24Aと各水電解装置26Aとは並列接続されて各仮想電池32を構成している必要があるが、複数(図示例では4個)の仮想電池32は直列接続されているので、複数(図示例では4個)の直列接続されたリチウムイオン蓄電池24Aからなるリチウムイオン蓄電池部24と、複数(図示例では4個)の直列接続された水電解装置26Aからなる水電解装置部26とをユニットとして構成し、各リチウムイオン蓄電池24Aと各水電解装置26Aとが並列接続されるように構成しても良い。このようにユニット化することで、同種の蓄電池を一体として取り扱うことができ、特に、リチウムイオン蓄電池部24のカセットモジュール化を容易にすることができる。
リチウムイオン蓄電池部24をカセットモジュール化した場合、バッテリ10の過充電耐性が低下した際、水電解装置部26のみを交換することでバッテリ10の過充電耐性を再度向上できる利点がある。即ち、例えばバッテリ10が何度も過充電状態に陥った場合、水電解装置部26の水電解反応によりリチウムイオン蓄電池部24は過充電状態から保護されるから、水電解装置部26の性能がリチウムイオン蓄電池部24よりも性能劣化が著しいと考えられる。このような場合に、リチウムイオン蓄電池部24がカセットモジュール化していれば、水電解装置部26のみを交換するだけでバッテリ10の性能を再び向上させることができる。このような水電解装置部26の交換は、リチウムイオン蓄電池部24がカセットモジュール化されていない場合でも実施できることはいうまでもないが、リチウムイオン蓄電池部24がカセットモジュール化していることで水電解装置部26をさらに容易に交換することができる。また、リチウムイオン蓄電池部24のカセットモジュール化は、過充電保護性能を犠牲にしてでも一時的にバッテリ10を軽量化して使用したいときがある場合にも有効である。例えば、バッテリ10が、電力平準化機能を有するバッテリ充電ステーションにおいて充電され、充電後、回生ブレーキを有さない又は回生ブレーキの為の蓄電池を別に有する電気自動車の駆動源として用いられる場合等がこの場合に該当する。
また、本発明のバッテリ10の各仮想電池32には、仮想電池バランス回路30Aが並列接続されるので、バッテリマネジメントシステム19の仮想電池バランス回路30A、リチウムイオン蓄電池24A及び水電解装置26Aは、並列接続される。ここでも、複数(図示例では4個)の直列接続された仮想電池バランス回路30Aを仮想電池バランス回路部30としてユニット化して用いても良い。仮想電池バランス回路部30をユニット化して用いることにより、仮想電池バランス回路30Aの取り扱いを一体として容易にすることができる。
本発明においては、仮想電池32を構成する並列接続されたリチウムイオン蓄電池24Aと水電解装置26Aとは、リチウムイオン蓄電池24Aの過充電危険電圧が水電解装置26Aの水電解反応開始電圧よりも高くなるように構成されている必要がある。また、リチウムイオン蓄電池24Aの充電終止電圧が水電解装置26Aの水電解反応開始電圧よりも低くなるように構成されていることが好ましい。ここで、本発明において、リチウムイオン蓄電池24Aの過充電危険電圧とは、この電圧を超えて充電すると、過充電による破損、例えば破裂や発火等の危険性等の異常が発生する恐れがある充電電圧であり、リチウムイオン蓄電池24Aの充電終止電圧とは、この電圧を超えて充電すると、リチウムイオン蓄電池24Aが過充電となる恐れがある充電電圧であり、完全充電電圧や満充電電圧ということもできる。また、本発明において、水電解装置26Aの水電解反応開始電圧とは、水電解装置26Aにかかる電圧がこの電圧を超えると、水電解装置26Aにおいて水電解反応が起こり、その結果水電解装置26Aにおける電力消費が開始する電圧である。
本発明において、リチウムイオン蓄電池24Aの過充電危険電圧が水電解装置26Aの水電解反応開始電圧よりも高くなるように構成するのは、本発明のバッテリ10が充電、例えば充電器や回生電力等で充電されている場合、リチウムイオン蓄電池24Aが充電されることになるが、充電異常等が発生し、充電電圧が高くなって、水電解装置26Aの水電解反応開始電圧に達しても、水電解装置26A内において電気化学反応が起こり、これによって電力消費が起こり、従って充電電圧の上昇を抑え、バッテリ10の電圧を過充電危険電圧以下に保つことができるからである。
即ち、リチウムイオン蓄電池24Aが、リチウムイオン蓄電池24A自体を使用できなくなるほどの著しい性能劣化をもたらし、安全上問題となりうるような過充電状態に陥った場合に、蓄電池としての性能の劣化や寿命の短縮、特に、過充電による破損、例えば破裂や発火等の危険性等の異常が、水電解装置26Aにおける水電解による電力消費によって未然に防止される。即ち、従来、安全上の問題から、リチウムイオン蓄電池24Aに必須であった、高価な保護回路や保護スイッチを設けなくても、リチウムイオン蓄電池24Aの万が一の過充電による異常を防止することができる。もちろん、水電解装置26Aにおける激しい水電解反応は、水電解装置26Aの性能を低下させるし、場合によっては危険でもあるので、バッテリマネジメントシステム19による充電状態の管理で、充電を停止させるように構成されていることはいうまでもない。一方、本発明において、リチウムイオン蓄電池24Aの充電終止電圧が水電解装置26Aの水電解反応開始電圧よりも低くなるように構成するのが好ましいのは、通常使用においては水電解装置26Aで水電解反応を起こすことなく、リチウムイオン蓄電池24Aを完全に充電することが好ましいからである。
本発明のバッテリ10において、リチウムイオン蓄電池24Aは、リチウムイオン単電池である1個のリチウムイオンセルからなるものであっても良いし、複数個のリチウムイオンセルを直列に接続して所定の電圧となるように構成されたものであっても良いし、図2に示すように、複数個のリチウムイオンセル24Bを並列に接続したリチウムイオンセル群24Cを複数個(図示例では4個)直列に接続して所定の電圧となるように構成されたものであっても良い。
なお、複数個のリチウムイオンセルを直列に接続して所定の電圧となるように構成する場合には、直列に接続された複数個のリチウムイオンセル24B間の充電バランスを揃えるためのセルバランス回路部34を、セルバランス回路部34に含まれるセルバランス回路34が各リチウムイオンセル24B毎に並列に接続するように設けておくことが好ましい。また、図2に示すように、複数個(図示例では4個)のリチウムイオンセル群24Cを直列に接続して所定の電圧となるように構成する場合には、直列に接続された複数個のリチウムイオンセル群24Cの間の充電バランスを揃えるためのセルバランス回路34Aを、各リチウムイオンセル群24C毎に並列に接続するように設けておくことが好ましい。ここでセルバランス回路34は、各リチウムイオンセル24Bの充電レベルを揃えたり又はそのバランスを保つものである。
本発明に用いられるリチウムイオン蓄電池24Aとしては、正極活物質として燐酸鉄リチウム(LiFePO)を用い、負極にはカーボン系やシリコン系の活物質を用い、単セルの平均作動電圧が3.3Vである3.3V系のリチウムイオンセルを用いた燐酸鉄リチウムイオン蓄電池(以下では、LFPO系リチウムイオン電池ともいう)や、正極活物質としてリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(NMC)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物(NCA)、リチウムコバルト酸化物(LCO)、リチウムマンガン酸化物(LMO)等を用い、単セルの平均作動電圧が3.6Vである3.6V系のリチウムイオンセルを用いたリチウムイオン蓄電池等を挙げることができ、この他、本発明に要求される条件を満たすようなリチウムイオン蓄電池であれば、如何なるリチウムイオン蓄電池を用いても良い。ここで、αV系蓄電池とは、平均作動電圧がαVであることをいうものとする。
なお、上述のとおり、一般的なリチウムイオン蓄電池は、各蓄電池間の電圧や充電バランスを揃えるバランス回路とは別に、過充電や過放電に陥って、過充電や過放電による異常を引き起こし、その寿命を著しく損なうのを防ぐために、保護回路又は保護スイッチを必須の構成として備える。そして、保護回路又は保護スイッチは非常に高価で、リチウムイオン蓄電池単体と略同じコストがかかる。
しかし、本発明の仮想電池32は、リチウムイオン蓄電池24Aが水電解装置26Aと並列接続されており、リチウムイオン蓄電池24Aが過充電危険電圧に達する前に、水電解装置26Aが電気化学反応開始電圧に達して水電解装置26A内において電気エネルギが消費されるため、リチウムイオン蓄電池24Aが過充電されることにより異常な状態に陥る危険が少ない。つまり、水電解装置26Aが従来のリチウムイオン蓄電池に備わっている保護回路又は保護スイッチの役割を果たすため、保護回路又は保護スイッチのコストを削減することができ、バッテリにかかるコストの大幅な削減が可能となる。なお、充電電圧が過度に高すぎる、あるいはその結果として、水電解装置26Aが激しく酸化還元反応を起こして高温になったなどという電圧、温度情報はバッテリマネジメントシステム19により測定され、記録や後日の是正(不良電池の交換などのメンテナンス)のためにデータ転送される。
以下に、本発明の水電解型ハイブリッド蓄電池に係る水電解装置及び水電解セルについて説明する。
本発明のバッテリ10において、水電解装置26Aは、後に述べる1個の水電解セルからなるものであっても良いし、複数個の水電解セルを直列に接続して所定の水電解反応開始電圧となるように構成されたものであっても良いし、図3に示すように、複数個の水電解セル26Bを並列に接続した水電解セル群26Cを複数個(図示例では4個)直列に接続して所定の電圧となるように構成されたものであっても良い。
図4は、本発明に係る水電解セルの一実施形態の概略構成を示す模式図である。図5は、図4の一部の概略構成をより詳細に示す模式図である。
図5に示すように、水電解セル200は、2つの電極層210、電解質層230及びリード240を有する。各電極層210は、導電物質211と集電体212とを有する。電解質層230は、セパレータ231と水溶液である電解質232とを有する。セパレータ231は、各電極層210を隔離して電気的に絶縁する役割と、電解質232を保持する役割を持つ。セパレータ231内は電解質232で満たされており、図5に示すように電解質222の一部はセパレータ221の表面から露出し、導電物質211に浸透している。導電物質211内には電解質232が浸透しており、導電物質211の表面は電解質232と接している。リード240はいずれかの電極層110における集電体112と電気的に接続されており、また図4及び図5には示されていない外部回路と電気的に接続されている。
水電解セル200の電解質232において、2つの電極間の電圧が一定値(電気化学反応開始電圧)を超えると、水溶液である電解質232中の水の電気分解反応が起こり、その結果、水電解セル200内において電力が消費される。
上述の通り、電極層210は導電物質211と集電体212とを有する。電解質232中の水の電気分解反応は各電極層210における導電物質211の表面上で起こるものであり、導電物質211は10m/g以上の比表面積を有することが好ましく、100m/g以上の比表面積を有することがより好ましい。導電物質の比表面積が大きいほど水の電気分解反応は迅速に起こり、従って水電解装置26Aの単位重量当たり電力消費量は非常に大きくなる。
導電物質211の材料例としては活性炭がある。活性炭は電気二重層キャパシタの電極に用いられており、電気二重層キャパシタがリチウムイオン蓄電池等の蓄電池と比較して大きな出力密度を有する理由の1つとなっている。導電物質211として活性炭を用いる場合は、集電体212への密着性を良好にするために、例えばポリビニリデンフルオライド(PVDF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のバインダーと混合して用いることが好ましい。
集電体212は導電物質211と電子を授受する役割を持ち、印可される電圧範囲内で安定に存在する必要がある。その好適な材料例にはチタン、金、銀、プラチナ、カーボンペーパー、カーボンフェルト等がある。集電体212へ導電物質211を設置する方法としては、特に制限は無いが、導電物質211を集電体212に塗布する方法や、あらかじめ導電物質のシートを成形した後に集電体212に接着する方法等がある。また集電体212の形状はシート状、メッシュ状、不織布状、織布状がある。場合によっては、導電物質211を持たず、電極層210が集電体212のみから構成されていてもよい。
セパレータ231は、電気絶縁性と、電解質232の良好な保持性を有するものであれば何でも良いが、以下のような特性を持つものが好ましい。
1 内部抵抗低減のため極力薄いこと
2 密度が小さいこと
3 電解質(電解液)とのぬれ性がよいこと
4 電解質(電解液)に対する安定性があること
5 酸化還元反応の原因となる不純物を含まないこと
6 熱的安定性に優れていること
7 巣やピンホールがないこと
セパレータ231の好適な例としては、不織紙、多孔性樹脂シート、ポリオレフィン微多孔質フィルム、ポリオレフィンメッシュ、極薄ガラスペーパー等があり、またリチウムイオン蓄電池に用いられている市販のセパレータでもよい。
電解質232は水溶液であれば何でもよく、好適な例としては、硫酸水溶液、硝酸水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等の他、一般的な水溶液系電池に用いられる電解液等がある。
なお、水電解セル、又は水電解セルから構成される水電解装置は、酸素及び水素から水が生成される反応を促進する触媒を有することが好ましい。触媒により、水の電気分解により生成された水素及び酸素から再び水が形成され、水電解セル又は水電解装置に水を供給する必要が無くなるためである。触媒の好適な例としては、パラジウム等がある。
本発明の水電解セルは、図4に示すように、シート形状を有する2つの電極層210及び電解質層230が正極層210、電解質層230、負極層320、電解質層330の順に積層され、4層が巻廻されて円筒状の構造であり、2つの電極層210の円筒状の中央部分にある箇所にそれぞれリード340が接続している、円筒型のものであってもよいが、これに限定されず、例えばシート形状を有する2つの電極層210及び電解質層 230を互いに多数積層し、角形のケースに収めるような構造であってもよい。
本発明の水電解型ハイブリッド蓄電池においては、水電解セル26B又は水電解装置装置26Aがニッケルカドミウム蓄電池又はニッケル水素蓄電池と同様の構成であってもよい。これらは鉛蓄電池と比較してエネルギ密度が大きく、従って鉛蓄電池を用いる従来のハイブリッド蓄電池と比較して大きなエネルギ密度を有する水電解型ハイブリッド蓄電池とすることができる。
また、図1〜3には明示されていないが、水電解装置26Aは、2種類以上の水電解セル26Bを有するものであってもよい。例えば、水電解装置26Aが、電解質の主成分として水酸化カリウムを有する水電解セル、又はこの水電解セルを複数個直列に接続したもの、又はこの水電解セルを並列に接続した群を複数個直列に接続したものと、電解質の主成分として希塩酸を有する別の水電解セル、又はこの別の水電解セルを複数個直列に接続したもの、又はこの別の水電解セルを並列に接続した群を複数個直列に接続したものとを並列に接続して構成されるものであってもよい。
(実施例1)
以下、水電解型ハイブリッド蓄電池の実施例を説明する。
(水電解セルの作製)酸化マンガンを担持した活性炭を導電物質とし、PTFEバインダーと混合し、集電体であるチタンメッシュ(Dexmet社製、5Ti7−077)に練りこむことで正極を作製した。負極には前記のチタンメッシュを用いた。これらの電極を幅2.5cm、長さ25cmに切り取り、リードとして5mm幅のチタンリボンを片端に溶接にて取り付けた。正極、負極の間にセパレータとしてポリプロピレン製メッシュを挿入し、これらを巻き取り、直径3cm、深さ5cmのポリプロピレン容器に入れ、さらに1%の硫酸溶液を電解質とし、水電解セルを作成した。
(水電解反応開始電圧の推定)前記水電解セルを充放電試験装置に設置し、スキャンレート50mV/sにて電圧を推移させ、電流値の変化を測定した。結果を図6に示す。図6に示す通り、端子電圧が2.05Vを超えると電流が急激に上昇し、端子電圧が2.8Vに達したところで電流量は3750mA(60mA/cm2)に達した。この結果より、該水電解セルは2.05Vの電気化学反応開始電圧を有することが示された。
(リチウムイオン蓄電池の作製)正極としてリチウムニッケルアルミニウムコバルト酸化物を、負極としてグラファイトを、セパレータとしてポリプロピレン多孔質フィルムを用い、3.6V系リチウムイオンパウチセルを作製した。このリチウムイオンパウチセルを充放電試験装置に設置し、充放電試験を行ったところ、リチウムイオンパウチセルの過充電危険電圧は4.6V、完全充電電圧は4.05V、容量は40mAhであった。
(水電解型ハイブリッド蓄電池の作製)前記リチウムイオンパウチセルと、前記水電解セルを2直列に接続したものとを並列に接続し、水電解型ハイブリッド蓄電池を得た。なお、この水電解型ハイブリッド蓄電池では、水電解装置として2直列の前記水電解セルを用いていることから、その電気化学反応開始電圧は4.1Vである。
(過充電試験)作製した水電解型ハイブリッド蓄電池を充放電試験装置に設置し、水電解型ハイブリッド蓄電池内のリチウムイオンパウチセルが開回路電圧3Vまで放電された状態から80mA(リチウムイオンパウチセル換算で充電レート2C)で充電を行った。この充電中、400mA(リチウムイオンパウチセル換算で10C)、30秒間のパルス充電を2回行った。比較例1として、リチウムイオンパウチセルのみでも同様の試験を行った。なお本実験では安全を確保するため、蓄電池の電圧がリチウムイオンパウチセルの過充電危険電圧である4.6V以上になった場合には試験が強制的に終了するか、あるいは次の充電スケジュールに移行するように設定されている。過充電試験の結果を図7に示す。実施例1の水電解型ハイブリッド蓄電池では、完全充電電圧4.05Vに30分以内で達した。その後80mA(充電レート2C)で充電を続けたが、充電時間が1時間を超えた後でも電圧が電気化学反応開始電圧4.1Vを超えなかった。理論上、この時点で電流供給総和はリチウムイオンパウチセル容量の200%に相当する。また400mAのパルス充電電流を30秒間流した際には電圧が4.5V付近まで上昇したが、リチウムイオンパウチセルの過充電危険電圧である4.6Vを超えることはなかった。これに対し、水電解装置を有さない比較例1では、開回路電圧3Vまで放電された状態から80mA(充電レート2C)で充電を行ったところ、充電開始から5分程度で電圧が完全充電電圧4.05Vに到達した。さらに同レートで充電を続けると、電圧はさらに上昇を続けた。この間に400mAのパルス充電電流を流した際には、パルス充電電流印可後、瞬時に電圧が過充電危険電圧である4.6Vに到達し、パルス充電電流の印可が停止した。この結果は、水電解セルで構成される水電解装置が、リチウムイオンパウチセルの過充電を抑制することに寄与したことを示している。即ち、実施例1において、80mAの充電電流が1時間流れた後でも電圧値が4.1Vを超えることが無かったのは、実施例1の電圧が4.1Vに到達した際に水電解装置を構成する水電解セルにおいて水の電気分解が起こり、電力消費が行われたためであると考えられる。また、400mAパルス電流を30秒印可した際も、水電解セルによる電力消費が起こったために、分極によって電圧が水電解反応開始電圧である4.1V以上に上昇するものの、実施例1の電圧上昇がリチウムイオンパウチセルの過充電危険電圧である4.6Vよりも低い値までに抑えられたものと考えられる。
(実施例2)
以下、12V系の水電解型ハイブリッド蓄電池に関する実施例を詳述する。
(水電解装置の作製)導電物質として比表面積1000m/gを有する活性炭を90%と、バインダーとしてポリビニリデンフルオライド10%をそれぞれ重量比率で含む導電物質ペーストを、アルミ集電体箔の片面に厚さ50μmで塗布することで電極を作製した。上記電極を2つ作製し、各々の電極について活性炭を塗布しない側にアルミニウムタブリード端子を加締により接合した。その後、各電極の導電物質ペーストを塗布した側を対抗させ、両電極間にセパレータを介して巻回し、乾燥させた後、電解液として1%硫酸溶液を含浸させた。その後、全体をアルミニウムケースに封入し、水電解セルを得た。この水電解セルの重量を測定したところ、150gであった。この水電解セル2つを直列に接続し、水電解装置とした。この水電解装置を充放電試験装置に接続し、スキャンレート50mV/sにて電圧を推移させ、電流値の変化を測定したところ、端子電圧4.1Vにおいて急激に電流値が上昇した。従って、この水電解セル2つの直列接続から構成される水電解装置は4.1Vの水電解反応開始電圧を有する。
(水電解型ハイブリッド蓄電池の作製 )A123社製の26650型リチウムイオンセル(モデル名ANR26650M1B、定格電圧3.3V、容量2.4Ah、重量76g)を25個並列接続したリチウムイオン蓄電池24Aと、前記水電解セルからなる水電解装置26Aとを並列接続し、仮想電池を得た。この仮想電池を4個直列接続することにより、図8(A)に示す12V系の水電解型ハイブリッド蓄電池を得た。
図8(A)に示す本発明の12V系水電解型ハイブリッド蓄電池における、リチウムイオン蓄電池部および水電解装置部の充電特性を以下に示す。
リチウムイオン蓄電池部の過充電危険電圧 17.6V
水電解装置部の水電解反応開始電圧 16.4V
リチウムイオン蓄電池の充電終止電圧(=完全充電電圧) 14.5V
本発明の12V系水電解型ハイブリッド蓄電池10の充電電圧が上昇した場合、リチウムイオン蓄電池部24の過充電危険電圧(1)よりも、水電解装置部26の電気化学反応開始電圧(2)が低いため、リチウムイオン蓄電池部が過充電危険電圧(1)に達する前に、水電解装置部で水電解反応が発生し、電気エネルギが消費されるため、水電解型ハイブリッド蓄電池10、従ってリチウムイオン蓄電池部24に掛かる充電電圧の上昇が抑えられる。
(比較実験1)図8(A)の比較例として、図8(B)に示す12V系の従来型ハイブリッド蓄電池を、前記A123社製26650型リチウムイオンセルを4S−2P接続したものと、AC DELCO社製鉛蓄電池36A(モデル名S55B24L、定格電圧12V、容量36Ah、重量1280g)とを並列接続することで得た。また、別の比較例として、図8(C)に示す12V系の従来型リチウムイオン蓄電池を、前記A123社製26650型リチウムイオンセルを4S−25P接続したものに保護回路を付加することで得た。
なお、図8(A)〜(C)では、各蓄電池の充電容量のバランスを所定の範囲に保つバランス回路を図示していないが、これらの電池は、各直列セル及び直列蓄電池、直列仮想電池間の充電容量のバランスを調整するバランス回路を有するのはもちろんである。
図8(A)〜(C)に示す構成の蓄電池を充放電試験装置に接続し、充放電試験を行った結果、表1に示す結果が得られた。
表1に示すように、これらの構成例A〜Cの蓄電池において、本発明の構成例Aの水電解型ハイブリッド蓄電池は、従来例の構成例B及びCの蓄電池に比べて、エネルギ密度、過充電電力密度のいずれもが優れており、総合的に最も優れているといえる。
上述の表1に示す構成例Aの本発明の効果は、エネルギ密度の観点では、水電解セルで構成される水電解装置を利用したことでリチウムイオン蓄電池の保護回路が不要になった点が寄与したと考えられる。また過充電電力密度の観点では、水電解装置が鉛蓄電池よりも遥かに大きな単位重量当たり過充電許容電流を有する点が寄与したと考えられる。
10 水電解型ハイブリッド蓄電池(バッテリ)
19 バッテリマネジメントシステム
24 リチウムイオン蓄電池部
24A リチウムイオン蓄電池
24B リチウムイオンセル
24C リチウムイオンセル群
26 水電解装置部
26A 水電解装置
26B 水電解セル
26C 水電解セル群
30 仮想電池バランス回路部
30A 仮想電池バランス回路
32 仮想電池
34 セルバランス回路部
34A セルバランス回路
36 鉛蓄電池
200 水電解セル
210 電極層
211 導電物質
212 集電体
230 電解質層
231 セパレータ
232 電解質
234 溶媒
240 リード

Claims (9)

  1. 密閉型蓄電池と、水電解装置とを並列に接続してなる仮想電池からなる、又は前記仮想電池を複数直列接続してなる、水電解型ハイブリッド蓄電池であって、
    前記密閉型蓄電池は、充電終止電圧を超えて充電されると過充電に至り、前記密閉型蓄電池の過充電危険電圧を超えて充電されると危険な状態に至るものであり、
    前記水電解装置は、単数もしくは直列に接続された複数の水電解セル、又は並列に接続された複数の水電解セルよりなる第1水電解セル群、又は直列に接続された複数の前記第1水電解セル群からなり、
    前記水電解セルは、2つの電極と、水溶液である電解質とを有し、
    前記水電解装置は、前記水電解装置の電圧が水電解反応開始電圧を超えると少なくとも1つの前記水電解セルにおいて水の電気分解反応が起こり、それの結果電力消費をなすものであって、
    前記水電解装置の水電解反応開始電圧が、前記密閉型蓄電池の過充電危険電圧よりも低くなるように構成され、
    前記仮想電池に対して、前記密閉型蓄電池が過充電に至る過充電エネルギが与えられた場合に、前記水電解装置において電力消費がなされることで前記過充電エネルギを吸収し、前記密閉型蓄電池がその過充電危険電圧に至るのを防止するようにしたことを特徴とする、水電解型ハイブリッド蓄電池。
  2. 前記水電解装置の水電解反応開始電圧が、前記密閉型蓄電池の充電終止電圧よりも高くなるように構成されている、請求項1に記載の水電解型ハイブリッド蓄電池。
  3. 前記水電解装置が、酸素及び水素から水が生成される反応を促進する触媒を有する、請求項1又は2に記載の水電解型ハイブリッド蓄電池。
  4. 前記水電解セルの電極が、材料粒子としての比表面積が10m/g以上の導電性物質である高表面積導電物質を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の水電解型ハイブリッド蓄電池。
  5. 前記高表面積導電物質が活性炭である、請求項1〜4のいずれかに記載の水電解型ハイブリッド蓄電池。
  6. 前記水電解装置がニッケル水素蓄電池である、請求項1〜5のいずれかに記載の水電解型ハイブリッド蓄電池。
  7. 前記水電解装置がニッケルカドミウム蓄電池である、請求項1〜6のいずれかに記載の水電解型ハイブリッド蓄電池。
  8. 温度制御装置を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の水電解型ハイブリッド蓄電池。
  9. 前記密閉型蓄電池が、カセットモジュールとして着脱交換可能にモジュール化されてなる、請求項1〜8のいずれかに記載の水電解型ハイブリッド蓄電池。
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