JP2013095681A - Co2及び/又はcoからのメタンの製造方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反応器内に水素分離膜mで隔てられたアンモニア分解室A(アンモニア分解触媒xを設置)とメタン化反応室B(メタン化触媒yを設置)を設け、アンモニア分解室A内に導入されたアンモニアの分解で生じた水素のみを水素分離膜mを透過させてメタン化反応室Bに流入させ、このメタン化反応室B内に導入されているCO2及び/又はCOと反応させ、メタンを生成させる。
【選択図】図1
Description
CO2やCOのメタン化には水素が必要であり、この水素を得るための一般的な製造方法としては、次のようなものがある。
(a)石炭等を水蒸気等でガス化し、水素を製造する方法
(b)石油精製過程で発生するガスや製鉄所コークス炉ガスに含まれる水素を吸着分離法等により回収する方法
また、アンモニアの分解生成ガスは、水素及び窒素の混合ガスであり、また、アンモニアの分解率が低位の場合には、アンモニア、水素及び窒素の混合ガスが生成ガスとして反応器より排出される。このため、水素のみを回収するにはアンモニアと窒素の除去が必要であり、具体的には、PSA等の吸着分離装置やアンモニアストリッパー等の設備が必要となる。また、アンモニア分解率を高めるために、分解温度を高めることが考えられるが、触媒寿命の短命化、反応器材質の高コスト化が問題となる。
また、いずれにしても、以上のような方法で水素製造を行う場合、水素製造に関わるエネルギーや、輸送に関わるエネルギーが必要となる。
しかし、この方法では、触媒が原料ガスに含まれる硫黄成分やハロゲン成分に被毒され、触媒寿命が短命化するので、触媒寿命を確保するために、原料ガス中から硫黄成分やハロゲン成分を除去する必要がある。
アンモニア分解室(A)にアンモニアを供給(但し、混合ガスの一部としてアンモニアを供給する場合を含む)するとともに、メタン化反応室(B)にCO2及び/又はCOを供給(但し、混合ガスの一部としてCO2及び/又はCOを供給する場合を含む)し、
アンモニア分解室(A)ではアンモニア分解触媒(x)により前記アンモニアを分解し、該アンモニアの分解により生成した水素を、水素分離膜(m)を透過させてメタン化反応室(B)に流入させ、メタン化反応室(B)では、メタン化触媒(y)により前記CO2及び/又はCOと前記水素を反応させてメタンを生成させることを特徴とするCO2及び/又はCOからのメタンの製造方法。
[2]上記[1]の製造方法において、アンモニア分解室(A)にアンモニア分解触媒(x)が充填され、メタン化反応室(B)にメタン化触媒(y)が充填された製造手段を用いることを特徴とするCO2及び/又はCOからのメタンの製造方法。
[4]上記[1]の製造方法において、水素分離膜(m)からなる管体(p)を備え、該管体(p)の外面と内面のうち、いずれか一方の面にアンモニア分解触媒のコーティング層(xC)が形成されるとともに、他方の面にメタン化触媒のコーティング層(yC)が形成され、コーティング層(xC)に面した管体(p)の外側又は内側の空間がアンモニア分解室(A)を構成し、コーティング層(yC)に面した管体(p)の内側又は外側の空間がメタン化反応室(B)を構成する製造手段を用いることを特徴とするCO2及び/又はCOからのメタンの製造方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法において、水素分離膜(m)がPd系水素分離膜、シリカ系多孔質分離膜の中から選ばれる1種以上からなる製造手段を用いることを特徴とするCO2及び/又はCOからのメタンの製造方法。
アンモニア分解室(A)にアンモニアを供給する(但し、混合ガスの一部としてアンモニアを供給する場合を含む)手段と、アンモニア分解室(A)からガスの一部を排出する手段と、メタン化反応室(B)にCO2及び/又はCOを供給する(但し、混合ガスの一部としてCO2及び/又はCOを供給する場合を含む)手段と、生成したメタンをメタン化反応室(B)から排出する手段を有することを特徴とするCO2及び/又はCOからのメタンの製造装置。
[7]上記[6]の製造装置において、アンモニア分解室(A)にアンモニア分解触媒(x)が充填され、メタン化反応室(B)にメタン化触媒(y)が充填されることを特徴とするCO2及び/又はCOからのメタンの製造装置。
[9]上記[6]の製造装置において、水素分離膜(m)からなる管体(p)を備え、該管体(p)の外面と内面のうち、いずれか一方の面にアンモニア分解触媒のコーティング層(xC)が形成されるとともに、他方の面にメタン化触媒のコーティング層(yC)が形成され、コーティング層(xC)に面した管体(p)の外側又は内側の空間がアンモニア分解室(A)を構成し、コーティング層(yC)に面した管体(p)の内側又は外側の空間がメタン化反応室(B)を構成することを特徴とするCO2及び/又はCOからのメタンの製造装置。
[10]上記[6]〜[9]のいずれかの製造装置において、水素分離膜(m)がPd系水素分離膜、シリカ系多孔質分離膜の中から選ばれる1種以上であることを特徴とするCO2及び/又はCOからのメタンの製造装置。
本発明法では、他のプロセスで製造された水素ではなく、反応器内で発生させた水素を用いてメタンを製造することができるため、エネルギー消費が少なく、また、その水素はアンモニア分解により得られた不純物のない水素であるため、メタン化触媒の寿命延長を図ることができる。
また、メタン化反応室BにCO2及び/又はCOを含む混合ガスを供給する場合、混合ガスの中のCO2及び/又はCO濃度に特別な制限はないが、水素透過膜mを透過してきた水素が酸素と反応してH2Oを生成しないようにするため、極力酸素を含まないことが望ましい。また、触媒の被毒物質となる硫黄化合物やハロゲン化合物等も極力含まないことが望ましい。
また、水素分離膜での水素透過速度は圧力差に依存することから、水素透過側の水素分圧を下げることで、アンモニア分解をさらに促進させることができる。したがって、アンモニア分解室Aよりもメタン化反応室Bの圧力を低めに設定することが好ましい。
2NH3→N2+3H2 ΔH=22kcal/mol(吸熱反応) …(1)
アンモニア分解により水素、窒素が生成するが、分解に伴い生成系の水素分圧が増加する。アンモニアの熱力学的平衡分解率は、250℃で87%、300℃で95%、350℃で98%であるが、速度論的制約でそこまで分解率を上げることは難しい。そこで、生成系から水素を除去できれば、見掛け上平衡制約を緩和でき、アンモニア分解率の向上(水素回収率向上)が見込まれる。すなわち、本発明法では、アンモニア分解により生成した水素が速やかに水素分離膜mを透過してメタン化反応室に移行するため、アンモニア分解室内でのアンモニア分解反応を効果的に促進することができる。
CO2+4H2=CH4+2H2O ΔH=-39.4kJ/mol(発熱) …(2)
CO+3H2=CH4+H2O ΔH=-49.3kJ/mol(発熱) …(3)
上記(2)式及び(3)式は発熱反応である。(2)式は平衡的には低温が有利であり、300℃におけるCO2平衡転化率は約95%を示す。また、(3)式も平衡的には低温が有利であり、300℃におけるCO平衡転化率は約98%を示す。
本発明法では、アンモニア分解室Aとメタン化反応室Bが水素分離膜mを介して隣接しているため、メタン化の発熱反応をアンモニア分解の吸熱反応に直接利用でき、エネルギー的に有利である。
この実施形態の製造装置は、反応器内に水素分離膜mで隔てられたアンモニア分解室Aとメタン化反応室Bを備え、アンモニア分解室Aにはアンモニア分解触媒xが、メタン化反応室Bにはメタン化触媒yが、それぞれ充填されている。図示しないが、この反応器は、アンモニア分解室Aにアンモニアを供給する(但し、混合ガスの一部としてアンモニアを供給する場合を含む)手段であるガス供給口及びこれに接続されるガス供給管と、アンモニア分解室Aからガスの一部(通常、未反応のアンモニアと分解生成ガスである窒素など)を排出する手段であるガス排出口及びこれに接続されるガス排出管と、メタン化反応室BにCO2及び/又はCOを供給する(但し、混合ガスの一部としてCO2及び/又はCOを供給する場合を含む)手段であるガス供給口及びこれに接続されるガス供給管と、生成したメタンをメタン化反応室Bから排出する手段であるガス排出口及びこれに接続されるガス排出管を有している。
水素分離膜mを透過してメタン化反応室Bに流入した水素は、同室に供給されているCO2及び/又はCOとメタン化触媒yの存在下で反応し、メタンと水が生成する。生成したメタン(及び水)は、ガス排出口およびガス排出管を通じて器外に排出され、メタンが製品として回収される。
この実施形態の製造装置は、反応器内に水素分離膜mからなる複数の管体pが適当な間隔で並列的に配置される。各管体pは、外面にアンモニア分解触媒のコーティング層xCが形成され、内面にメタン化触媒のコーティング層yCが形成され、コーティング層xCに面した管体pの外側の空間がアンモニア分解室Aを構成し、コーティング層yCに面した管体pの内側の空間がメタン化反応室Bを構成している。なお、コーティング層xC,yC(触媒層)は、緻密膜ではなく、水素分子が透過することができる細孔が形成されている。
この実施形態では、アンモニア分解室A(管体pの外側)にアンモニアが供給されるとともに、メタン化反応室B(管体pの内側)にCO2及び/又はCOが供給される。さきに述べたように、アンモニア分解室Aよりもメタン化反応室Bの圧力が低く設定される。
水素分離膜mを透過してメタン化反応室Bである管体pの内側に流入した水素は、管体pの内側に供給されているCO2及び/又はCOとメタン化触媒(コーティング層yC)の存在下で反応し、メタンと水が生成する。生成したメタン(及び水)は、管体p内を通過した後、ガス排出口およびガス排出管を通じて器外に排出され、メタンが製品として回収される。
この実施形態では、アンモニア分解室Aである管体pの内側にアンモニアが供給されるとともに、メタン化反応室Bである管体pの外側にCO2及び/又はCOが供給される。
水素分離膜mを透過してメタン化反応室Bである管体pの外側に流入した水素は、管体pの外側に供給されているCO2及び/又はCOとメタン化触媒(コーティング層yC)の存在下で反応し、メタンと水が生成する。生成したメタン(及び水)は、ガス排出口およびガス排出管を通じて器外に排出され、メタンが製品として回収される。
アンモニア分解温度は、使用する水素分離膜mの耐熱温度やアンモニア分解率(水素回収)などを考慮して決められるが、通常、300〜500℃であればよい。
メタン化反応は発熱反応であり、高温ほどメタンの収率が低下し、CO等が副生する。したがって、メタン化反応温度(メタン化反応室B内の温度)が500℃以下となるように、CO2の供給量を調整し、或いは生成したメタンの一部をCO2(メタン化反応室Bに供給すべきCO2)に加えて希釈することなどにより制御することが好ましい。
水素分離膜mとして、市販の圧延法で作製されたPd−Ag膜(膜厚:20mm,有効膜面積:3.78cm2(20×50mm),23mass%−Ag)を使用した。アンモニア分解触媒xとしては、14%Ni/Al2O3と、0.5%Ru−5%K2O/Al2O3(数値は担持率である。Al2O3担体に活性金属成分水溶液を含浸担持後、蒸発乾固、乾燥焼成した触媒)を使用した。また、メタン化触媒yには、Ni系触媒を用いた。また、反応温度は3分割電気炉を用い、触媒層に熱電対を挿入し、各分割領域を温度調節器で制御した。
各実験でのアンモニア分解率とメタン化収率を、以下のようにして算出した。まず、アンモニア分解率は下式により算出した。
2*(N2生成速度(mol/ml-cat/h))/(NH3供給速度(mol/ml-cat/h))*100
また、メタン化収率は下式により算出した。
(CH4生成速度(mol/ml-cat/h))/(CO2供給速度(mol/ml-cat/h))*100
各実験でのアンモニア分解率とメタン化収率を、使用した触媒及び反応温度とともに表1に示す。
発明例1,2は、比較例1,2に比べてアンモニア分解率が高い。これは、発明例1,2では、アンモニア分解により生成したH2が水素分離膜を透過してメタン化反応室Bに移行することで、平衡制約が緩和されたためである。また、発明例1は、比較例3に比べてメタン化収率が高く、平衡収率に近い値となっている。
以上の結果から,本発明法によりアンモニア分解率、メタン化収率の大幅な向上が達成できることが確認できた。
A アンモニア分解室
B メタン化反応室
x アンモニア分解触媒
y メタン化触媒
xC,yC コーティング層
p 管体
Claims (10)
- 反応器内に水素分離膜(m)で隔てられたアンモニア分解室(A)とメタン化反応室(B)を備え、アンモニア分解室(A)にはアンモニア分解触媒(x)が、メタン化反応室(B)にはメタン化触媒(y)が、それぞれ配置された製造手段を用いたメタンガスの製造方法であって、
アンモニア分解室(A)にアンモニアを供給(但し、混合ガスの一部としてアンモニアを供給する場合を含む)するとともに、メタン化反応室(B)にCO2及び/又はCOを供給(但し、混合ガスの一部としてCO2及び/又はCOを供給する場合を含む)し、
アンモニア分解室(A)ではアンモニア分解触媒(x)により前記アンモニアを分解し、該アンモニアの分解により生成した水素を、水素分離膜(m)を透過させてメタン化反応室(B)に流入させ、メタン化反応室(B)では、メタン化触媒(y)により前記CO2及び/又はCOと前記水素を反応させてメタンを生成させることを特徴とするCO2及び/又はCOからのメタンの製造方法。 - アンモニア分解室(A)にアンモニア分解触媒(x)が充填され、メタン化反応室(B)にメタン化触媒(y)が充填された製造手段を用いることを特徴とする請求項1に記載のCO2及び/又はCOからのメタンの製造方法。
- 水素分離膜(m)からなる管体(p)を備え、該管体(p)の外側と内側のうち、いずれか一方の側がアンモニア分解触媒(x)が充填されたアンモニア分解室(A)を構成し、他方の側がメタン化触媒(y)が充填されたメタン化反応室(B)を構成する製造手段を用いることを特徴とする請求項2に記載のCO2及び/又はCOからのメタンの製造方法。
- 水素分離膜(m)からなる管体(p)を備え、該管体(p)の外面と内面のうち、いずれか一方の面にアンモニア分解触媒のコーティング層(xC)が形成されるとともに、他方の面にメタン化触媒のコーティング層(yC)が形成され、コーティング層(xC)に面した管体(p)の外側又は内側の空間がアンモニア分解室(A)を構成し、コーティング層(yC)に面した管体(p)の内側又は外側の空間がメタン化反応室(B)を構成する製造手段を用いることを特徴とする請求項1に記載のCO2及び/又はCOからのメタンの製造方法。
- 水素分離膜(m)がPd系水素分離膜、シリカ系多孔質分離膜の中から選ばれる1種以上からなる製造手段を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のCO2及び/又はCOからのメタンの製造方法。
- 反応器内に水素分離膜(m)で隔てられたアンモニア分解室(A)とメタン化反応室(B)を備え、アンモニア分解室(A)にはアンモニア分解触媒(x)が、メタン化反応室(B)にはメタン化触媒(y)が、それぞれ配置され、
アンモニア分解室(A)にアンモニアを供給する(但し、混合ガスの一部としてアンモニアを供給する場合を含む)手段と、アンモニア分解室(A)からガスの一部を排出する手段と、メタン化反応室(B)にCO2及び/又はCOを供給する(但し、混合ガスの一部としてCO2及び/又はCOを供給する場合を含む)手段と、生成したメタンをメタン化反応室(B)から排出する手段を有することを特徴とするCO2及び/又はCOからのメタンの製造装置。 - アンモニア分解室(A)にアンモニア分解触媒(x)が充填され、メタン化反応室(B)にメタン化触媒(y)が充填されることを特徴とする請求項6に記載のCO2及び/又はCOからのメタンの製造装置。
- 水素分離膜(m)からなる管体(p)を備え、該管体(p)の外側と内側のうち、いずれか一方の側がアンモニア分解触媒(x)が充填されたアンモニア分解室(A)を構成し、他方の側がメタン化触媒(y)が充填されたメタン化反応室(B)を構成することを特徴とする請求項7に記載のCO2及び/又はCOからのメタンの製造装置。
- 水素分離膜(m)からなる管体(p)を備え、該管体(p)の外面と内面のうち、いずれか一方の面にアンモニア分解触媒のコーティング層(xC)が形成されるとともに、他方の面にメタン化触媒のコーティング層(yC)が形成され、コーティング層(xC)に面した管体(p)の外側又は内側の空間がアンモニア分解室(A)を構成し、コーティング層(yC)に面した管体(p)の内側又は外側の空間がメタン化反応室(B)を構成することを特徴とする請求項6に記載のCO2及び/又はCOからのメタンの製造装置。
- 水素分離膜(m)がPd系水素分離膜、シリカ系多孔質分離膜の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のCO2及び/又はCOからのメタンの製造装置。
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