JP2013083707A - 光学シートの製造方法および光学シート - Google Patents
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Abstract
【課題】鏡面加工時の切削痕である筋状の凹凸が光学シートに転写されたとしても、使用時の干渉模様発生を抑制することができる光学シートの製造方法等を提供すること
【解決手段】本発明の光学シートの製造方法は、微細凹凸形状を長尺状シートに転写する転写ステップであって、ロール状金型がロール状アルミニウム母材の外周面に切削バイトで鏡面加工を施し更に陽極酸化によって微細凹凸形状が形成されたロール状金型であり光学シート材は鏡面加工時の切削痕に対応する筋状の凹凸も転写される転写ステップと、光学シート材等を光学シートの一辺62aが筋状の凹凸46bの延びる方向と0.2度〜45度の角度となるように切断する切断ステップと、を備えている。
【選択図】図8
【解決手段】本発明の光学シートの製造方法は、微細凹凸形状を長尺状シートに転写する転写ステップであって、ロール状金型がロール状アルミニウム母材の外周面に切削バイトで鏡面加工を施し更に陽極酸化によって微細凹凸形状が形成されたロール状金型であり光学シート材は鏡面加工時の切削痕に対応する筋状の凹凸も転写される転写ステップと、光学シート材等を光学シートの一辺62aが筋状の凹凸46bの延びる方向と0.2度〜45度の角度となるように切断する切断ステップと、を備えている。
【選択図】図8
Description
本発明は光学シートの製造方法および光学シートに関し、詳細には、ロール状金型に形成された微細凹凸構造を長尺状のシート材に転写することによって光学シートを製造する光学シートの製造方法および光学シートに関する。
近年、可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有する物品は、反射防止効果、ロータス効果等を発現することが知られてきた。特に、微細な略円錐形状の凸部を並べられたモスアイ構造と呼ばれる微細凹凸構造を表面に有する物品は、屈折率が空気の屈折率から当該物品の屈折率へと連続的に増大していくため、有効な反射防止の手段となることが知られている。
このような微細凹凸構造を物品の表面に形成する方法として、微細凹凸構造を表面に有するロール状金型と長尺状の基材(シート材)との間に液状の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を挟み、活性エネルギー線の照射によって活性エネルギ線硬化性樹脂組成物を硬化させることによって、金型の微細凹凸構造と相補的な形状の微細凹凸構造を有する硬化樹脂層を基材の表面に形成し光学シートとする方法が知られている。
この方法では、加工の簡便性等の理由によって、複数の細孔を有する陽極酸化アルミナが円筒状アルミニウム母材の表面に形成されたロール状金型が使用されている(特許文献1)。
上述したようなアルミニウム母材を使用するロール状金型を製造する際には、先ず、ロール状のアルミニウム母材の表面を切削により、所定平滑度に鏡面加工し、鏡面加工された母材表面を陽極酸化して微細凹凸形状を付与している。
この鏡面加工は、ロール状アルミニウム母材を、長手方向軸線を中心に回転させながら、工具を母材の外周面に沿ってロール状アルミニウム母材の軸線に沿って移動させることによって行われる。このため、ロール状母材の表面には、工具による切削痕として、周期的な筋状の凹凸形状(畝)が残留してしまう。
この鏡面加工は、ロール状アルミニウム母材を、長手方向軸線を中心に回転させながら、工具を母材の外周面に沿ってロール状アルミニウム母材の軸線に沿って移動させることによって行われる。このため、ロール状母材の表面には、工具による切削痕として、周期的な筋状の凹凸形状(畝)が残留してしまう。
このような筋状の凹凸形状(畝)が残留したロール状母材に陽極酸化によって微細凹凸形状を付与したロール状金型から、微細凹凸形状を基材に転写することによって光学シートを製造すると、微細凹凸構造に加えて、周期的な筋状の凹凸形状(畝)も転写されることになる。
モスアイ構造を有する光学シートでは、反射防止性能に優れ透明性が高いために、このような筋状の凹凸形状が視認される場合がある。
即ち、このような光学シートを一般的な反射防止用途に用いた場合には、筋状の凹凸形状が視認されることは希であるが、本件発明の発明者らは、このような筋状の凹凸形状が転写された光学シートを液晶表示装置などの電子表示装置の反射防止フィルムとして使用した場合に、周期的な筋状の周期的な凹凸と、電子表示装置の画素との干渉により、干渉模様(モアレ)が観察されることを見出した。
また、モスアイ構造のような微細凹凸構造が表面に形成された反射防止フィルムは、反射防止特性が非常に優れているために、モアレが発生すると、他の光学フィルムの場合と比較してより鮮明に干渉模様が視認される傾向にあることを見出した。
このような干渉模様の発生を防止するためには、切削筋である筋状の凹凸が形成されないようロール状のアルミニウム母材を加工すれば良いが、切削筋を全く発生させずに、ロール状のアルミニウム母材の表面の切削加工を実施することは実質的に困難である。
本発明は、上記問題を鑑みなされたものであり、鏡面加工時の切削痕である筋状の凹凸が光学シートに転写されたとしても、使用時の干渉模様発生を抑制することができる光学シートの製造方法および光学シートを提供するものである。
本発明によれば、
光学シートの製造方法であって、
微細凹凸形状が形成されたロール状金型の外周面に長尺状シートを当接させながら前記微細凹凸形状を前記長尺状シートに転写して長尺状の光学シート材とする転写ステップであって、前記ロール状金型がロール状アルミニウム母材の外周面に切削バイトで鏡面加工を施し更に陽極酸化によって前記微細凹凸形状が形成されたロール状金型であり、前記光学シート材には前記鏡面加工時の切削痕に対応する筋状の凹凸も転写される転写ステップと、
前記長尺状の光学シート材または該長尺状の光学シート材を矩形状に切断した光学シート材片を略矩形の光学シートに切断する切断ステップであって、前記略矩形の光学シートの一辺が前記筋状の凹凸の延びる方向と0.2度〜45度の角度となるように前記長尺状の光学シート材または前記シート材片を切断する切断ステップと、を備えている、
ことを特徴とする光学シートの製造方法が提供される。
光学シートの製造方法であって、
微細凹凸形状が形成されたロール状金型の外周面に長尺状シートを当接させながら前記微細凹凸形状を前記長尺状シートに転写して長尺状の光学シート材とする転写ステップであって、前記ロール状金型がロール状アルミニウム母材の外周面に切削バイトで鏡面加工を施し更に陽極酸化によって前記微細凹凸形状が形成されたロール状金型であり、前記光学シート材には前記鏡面加工時の切削痕に対応する筋状の凹凸も転写される転写ステップと、
前記長尺状の光学シート材または該長尺状の光学シート材を矩形状に切断した光学シート材片を略矩形の光学シートに切断する切断ステップであって、前記略矩形の光学シートの一辺が前記筋状の凹凸の延びる方向と0.2度〜45度の角度となるように前記長尺状の光学シート材または前記シート材片を切断する切断ステップと、を備えている、
ことを特徴とする光学シートの製造方法が提供される。
このような構成によれば、鏡面加工時の切削痕である筋状の凹凸が光学シートに転写されたとしても、筋状の凹凸の延びる方向が、矩形の光学シートの側縁に対して傾斜しているので、矩形の光学シートが適用される光学部品のx軸またはy軸に対して傾斜することになるので、使用時の干渉模様発生を抑制することができる。
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記光学シートが電子表示装置用反射防止フィルムである。
前記光学シートが電子表示装置用反射防止フィルムである。
本発明の好ましい態様によれば、
略矩形の電子表示装置用反射防止フィルム用の光学シートであって、
一方の面に微細凹凸形状と側縁に沿って並列状態で伸びる複数の筋状の凹凸とが形成され、
前記筋状の凹凸と前記側縁とがなす角度が0.2度〜45度の範囲内である、
ことを特徴とする光学シートが提供される。
略矩形の電子表示装置用反射防止フィルム用の光学シートであって、
一方の面に微細凹凸形状と側縁に沿って並列状態で伸びる複数の筋状の凹凸とが形成され、
前記筋状の凹凸と前記側縁とがなす角度が0.2度〜45度の範囲内である、
ことを特徴とする光学シートが提供される。
このような構成によれば、筋状の凹凸の延びる方向が、矩形の光学シートの側縁に対して傾斜しているので、矩形の光学シートが適用される光学部品のx軸またはy軸に対して傾斜することになるので、使用時の干渉模様発生を抑制することができる。
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記筋状の凹凸の周期が、5μm〜50μmの範囲である。
前記筋状の凹凸の周期が、5μm〜50μmの範囲である。
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記光学シートが、電子表示装置用反射防止フィルムである。
前記光学シートが、電子表示装置用反射防止フィルムである。
本発明の他の態様によれば、
上記光学シートを備えることを特徴とする電子表示装置が提供される。
上記光学シートを備えることを特徴とする電子表示装置が提供される。
本発明によれば、鏡面加工時の切削痕である筋状の凹凸が光学シートに転写されたとしても、使用時の干渉模様発生を抑制することができる光学シートの製造方法および光学シートが提供される。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の光学シートの製造方法および光学シートについて説明する。
なお、本明細書において、「微細凹凸構造」または「微細凹凸形状」とは、凸部または凹部の平均間隔(周期)が可視光波長以下、つまり400nm以下の構造または形状を意味する。
また、「活性エネルギー線」とは、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。また、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物は、オキシアルキレン基を1つ有するオキシアルキレンアルキルリン酸化合物またはオキシアルキレン基を2つ以上有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸化合物を意味する。
また、「活性エネルギー線」とは、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。また、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物は、オキシアルキレン基を1つ有するオキシアルキレンアルキルリン酸化合物またはオキシアルキレン基を2つ以上有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸化合物を意味する。
さらに、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
「矩形」とは、略矩形をも包含し、例えば、四辺の一部に切り欠き等が設けられたり、面取りが行われている場合であっても、全体としてほぼ矩形であれば、これらも「矩形」に含まれる。
「矩形」とは、略矩形をも包含し、例えば、四辺の一部に切り欠き等が設けられたり、面取りが行われている場合であっても、全体としてほぼ矩形であれば、これらも「矩形」に含まれる。
本実施形態の光学シートの製造方法は、下記の工程(I)および(II)を有する方法である。
即ち、(I)微細凹凸形状が形成されたロール状金型の外周面に長尺状シートを当接させながら前記微細凹凸形状を前記長尺状シートに転写して長尺状の光学シート材とする転写ステップであって、前記ロール状金型がロール状アルミニウム母材の外周面に切削バイトで鏡面加工を施し更に陽極酸化で微細凹凸形状を形成することによって製造されたロール状金型である転写ステップと、(II)前記長尺状の光学シート材または該長尺状の光学シート材を矩形状に切断した光学シート材片を、略矩形の光学シートに切断する切断ステップであって、前記切断の方向が長尺状の光学シート材又は光学シート材片の側端に対し、0.2度〜45度の角度である切断ステップと、備えている。
即ち、(I)微細凹凸形状が形成されたロール状金型の外周面に長尺状シートを当接させながら前記微細凹凸形状を前記長尺状シートに転写して長尺状の光学シート材とする転写ステップであって、前記ロール状金型がロール状アルミニウム母材の外周面に切削バイトで鏡面加工を施し更に陽極酸化で微細凹凸形状を形成することによって製造されたロール状金型である転写ステップと、(II)前記長尺状の光学シート材または該長尺状の光学シート材を矩形状に切断した光学シート材片を、略矩形の光学シートに切断する切断ステップであって、前記切断の方向が長尺状の光学シート材又は光学シート材片の側端に対し、0.2度〜45度の角度である切断ステップと、備えている。
先ず、ステップ(I)について説明する。
ステップ(I)で使用されるロール状金型は、例えば、下記の工程(a)〜(g)を有する方法によって作製される。
(a)アルミニウム母材の表面状態を平滑化(鏡面化)にするために、切削加工を行う工程。
(b)アルミニウム母材を電解液中、定電圧下で陽極酸化してアルミニウム母材の表面に酸化皮膜を形成する工程。
(c)酸化皮膜の一部または全てを除去し、アルミニウム母材の表面に陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
ステップ(I)で使用されるロール状金型は、例えば、下記の工程(a)〜(g)を有する方法によって作製される。
(a)アルミニウム母材の表面状態を平滑化(鏡面化)にするために、切削加工を行う工程。
(b)アルミニウム母材を電解液中、定電圧下で陽極酸化してアルミニウム母材の表面に酸化皮膜を形成する工程。
(c)酸化皮膜の一部または全てを除去し、アルミニウム母材の表面に陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(d)アルミニウム母材を電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(e)細孔の径を拡大させる工程。
(f)工程(e)の後、電解液中、再度陽極酸化する工程。
(g)工程(e)と工程(f)を繰り返し行い、複数の細孔を有する陽極酸化アルミナがアルミニウムの表面に形成されたモールドを得る工程。
(e)細孔の径を拡大させる工程。
(f)工程(e)の後、電解液中、再度陽極酸化する工程。
(g)工程(e)と工程(f)を繰り返し行い、複数の細孔を有する陽極酸化アルミナがアルミニウムの表面に形成されたモールドを得る工程。
工程(a)
まず、ロール状金型の材料であるアルミニウム母材の表面を必要とされる平滑度にするため、工具を用いた切削加工を行う。連続的に光学シートを製造する観点から、ロール状のものを用いることが好ましい。
なお、アルミニウム母材は、既に使用済みであったり、所望の表面形状が形成されていなかったロール状金型であってもよい。このようなロール状金型の表面を再度切削することで、新たにアルミニウム母材を製造することなく、安価にロール状金型を製造することができる。
まず、ロール状金型の材料であるアルミニウム母材の表面を必要とされる平滑度にするため、工具を用いた切削加工を行う。連続的に光学シートを製造する観点から、ロール状のものを用いることが好ましい。
なお、アルミニウム母材は、既に使用済みであったり、所望の表面形状が形成されていなかったロール状金型であってもよい。このようなロール状金型の表面を再度切削することで、新たにアルミニウム母材を製造することなく、安価にロール状金型を製造することができる。
成型の際には温調機能が必要とされることが多く、ロール内部に冷熱媒を通過させるためにスリーブ状構造などの中空もしくは数箇所に分けられた貫通穴加工が施されているものが主に用いられる。アルミニウムの純度は、99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.8%以上が特に好ましい。アルミニウムの純度が低いと、陽極酸化した時に、不純物の偏析により可視光を散乱する大きさの凹凸構造が形成されたり、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりすることがある。
次に、使用される工具としてはバイトと呼ばれる刃物工具が多く使用される。アルミニウム材料を切削するバイトの先端には、形状の安定性に優れる単結晶ダイヤモンドを用いることが望ましい。
更にバイトの形状としては、先端がR形状のものとフラットなものとに分かれる。Rバイトはロール直径の変化や加工方向に制約がないため、容易に使用することができる。一方で表面粗度をより向上させるため、大きなR形状を用いようとした場合、バイトを製作する際に加工機台や製造技術に高い精度が求められ、バイト本体が高価になることがある。
また、先端形状が平坦なフラットバイトは形状がシンプルなため、製作自体は容易であるが、ロール状のアルミニウム母材の直径が変更される際には取り付け調整が必要となり、高い取り付け精度が要求されるために、Rバイトを用いることが好ましい。
本実施形態で用いられるバイトの先端形状としては、半径5〜1000mmのR形状を用いることが好ましく、半径10〜200mmのR形状を用いることがさらに好ましい。
図1に沿って、アルミニウム母材の切削加工について詳細に説明する。ロール状ワークの加工においては、ロールを回転させた状態で工具となるバイトに所定の切り込みを与えて加工する旋盤を用いることが一般的である。
実際の加工では、円筒状のアルミニウム母材1を、回転機構2を用いて所定の回転数にて回転させた状態で、バイト4が固定されたテーブル6をX軸(アルミニウム母材の径方向)に移動させてバイト4をアルミニウム母材1の外周面に所定の深さで切り込ませ、さらにテーブル4およびバイト4をZ軸(アルミニウム母材1の軸線)方向に所定の速度で移動させ、円筒状のアルミニウム母材1の外周面全体を鏡面化する(図2(a))。
本実施形態においては、切り込み量(図1中のx軸方向)は0.5〜100μmの範囲で設定される。より好ましくは1〜50μmの間で設定され、更に好ましくは1〜20μmの間で設定される。
また、送りピッチ(図1中のz軸方向)はバイト形状により選定されるが、理論表面粗さが1〜100nmの範囲に入るように送りピッチを選定する。
先端Rが20mmの場合、送りピッチは10〜100μmの間で設定されることが好ましく、より好ましくは20〜50μmの間で設定される。
このとき、送りピッチ分の引き目と呼ばれる、バイト軌跡に対応した筋状の凹凸(切削痕)が必ず発生する。このため、この切削痕の凹凸を軽減するために、切削加工に加えて、羽布研磨、化学的研磨、電解研磨処理(エッチング処理)等の研磨を併用しても構わない。
しかしながら、切削による鏡面加工が終了したアルミニウム母材1の外周面には、円筒状のアルミニウム母材1の軸線に略直交する方向すなわち円周方向に延びる畝状の部分を有する凹凸が残る。円筒状のアルミニウム母材1の軸線方向における畝の周期は、5μm〜50μm程度となる。
また、アルミニウム母材は、切削加工する際に用いた油が付着していることがあるため、陽極酸化の前にあらかじめ脱脂処理されることが好ましい。
工程(b):
図2(b)に示すように、アルミニウム母材1の表面部分10(図2(a))を陽極酸化すると、細孔12を有する酸化皮膜14が形成される。
電解液としては、硫酸、シュウ酸、リン酸等が挙げられる。
図2(b)に示すように、アルミニウム母材1の表面部分10(図2(a))を陽極酸化すると、細孔12を有する酸化皮膜14が形成される。
電解液としては、硫酸、シュウ酸、リン酸等が挙げられる。
シュウ酸を電解液として用いる場合:
以下にシュウ酸を電解液として用いる場合の具体例を説明する。シュウ酸の濃度は、0.7M以下が好ましい。シュウ酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて酸化皮膜の表面が粗くなることがある。
化成電圧が30〜60Vの時、周期が100nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向にある。
以下にシュウ酸を電解液として用いる場合の具体例を説明する。シュウ酸の濃度は、0.7M以下が好ましい。シュウ酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて酸化皮膜の表面が粗くなることがある。
化成電圧が30〜60Vの時、周期が100nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向にある。
電解液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。電解液の温度が60℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
硫酸を電解液として用いる場合:
以下に硫酸を電解液として用いる場合の具体例を説明する。硫酸の濃度は0.7M以下が好ましい。硫酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて定電圧を維持できなくなることがある。
化成電圧が25〜30Vの時、周期が63nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向がある。
以下に硫酸を電解液として用いる場合の具体例を説明する。硫酸の濃度は0.7M以下が好ましい。硫酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて定電圧を維持できなくなることがある。
化成電圧が25〜30Vの時、周期が63nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向がある。
電解液の温度は、30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。電解液の温度が30℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
工程(c):
図2(c)に示すように、酸化皮膜14の一部または全てを一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点16にすることで細孔の規則性を向上することができる。酸化皮膜14は全てを除去せずに一部が残るような状態でも、酸化皮膜14のうち、すでに規則性が十分に高められた部分が残っているのであれば、酸化皮膜除去の目的を果たすことができる。
図2(c)に示すように、酸化皮膜14の一部または全てを一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点16にすることで細孔の規則性を向上することができる。酸化皮膜14は全てを除去せずに一部が残るような状態でも、酸化皮膜14のうち、すでに規則性が十分に高められた部分が残っているのであれば、酸化皮膜除去の目的を果たすことができる。
酸化皮膜を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
工程(d):
図2(d)に示すように、酸化皮膜を除去したアルミニウム母材10を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔12を有する酸化皮膜14が形成される。
図2(d)に示すように、酸化皮膜を除去したアルミニウム母材10を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔12を有する酸化皮膜14が形成される。
陽極酸化は、工程(b)と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。ただし、工程(c)の効果が失われない範囲であれば、工程(d)での陽極酸化の電圧、電解液の種類、温度等を適宜調整することが可能である。
工程(e):
図2(e)に示すように、細孔12の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔径は大きくなる。
図2(e)に示すように、細孔12の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔径は大きくなる。
工程(f):
図2(f)に示すように、再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔12の底部から下に延びる、直径の小さい円柱状の細孔12’がさらに形成される。
陽極酸化は、工程(b)と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
図2(f)に示すように、再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔12の底部から下に延びる、直径の小さい円柱状の細孔12’がさらに形成される。
陽極酸化は、工程(b)と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
工程(g):
工程(e)の細孔径拡大処理と工程(f)の陽極酸化とを繰り返すと、図2(g)に示すように、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔12を有する酸化皮膜14が形成され、アルミニウム母材1の表面10に陽極酸化アルミナ(アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト))を有するモールド18が得られる。最後は工程(e)で終わることが好ましい。
工程(e)の細孔径拡大処理と工程(f)の陽極酸化とを繰り返すと、図2(g)に示すように、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔12を有する酸化皮膜14が形成され、アルミニウム母材1の表面10に陽極酸化アルミナ(アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト))を有するモールド18が得られる。最後は工程(e)で終わることが好ましい。
繰り返し回数は、合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の直径が減少するため、このような細孔を有する陽極酸化アルミナを用いて形成されたモスアイ構造の反射率低減効果は不十分である。
細孔12の形状としては、略円錐形状、角錐形状、円柱形状等が挙げられ、円錐形状、角錐形状等のように、深さ方向と直交する方向の細孔断面積が最表面から深さ方向に連続的に減少する形状が好ましい。
細孔12間の平均間隔は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下である。細孔12間の平均間隔は、20nm以上が好ましい。
細孔12間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する細孔12間の間隔(細孔12の中心から隣接する細孔12の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
細孔12間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する細孔12間の間隔(細孔12の中心から隣接する細孔12の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
細孔12の深さは、平均間隔が100nmの場合は、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましい。
細孔12の深さは、電子顕微鏡観察によって倍率30000倍で観察したときにおける、細孔12の最底部と、細孔12間に存在する凸部の最頂部との間の距離を測定した値である。
細孔12のアスペクト比(細孔の深さ/細孔間の平均間隔)は、0.8〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。
細孔12の深さは、電子顕微鏡観察によって倍率30000倍で観察したときにおける、細孔12の最底部と、細孔12間に存在する凸部の最頂部との間の距離を測定した値である。
細孔12のアスペクト比(細孔の深さ/細孔間の平均間隔)は、0.8〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。
このようにして、外周面に微細凹凸構造が形成された、ロール状金型を得る。このロール状金型を使用して、表面に微細凹凸構造が転写された長尺状の光学シートが製造される。
(製造装置)
本実施形態の光学シート製造方法では、図3に示す製造装置20を用いて、上記ステップ(II)が実施される。
製造装置20は、上述したように外周面に微細凹凸構造が形成され回転駆動されるロール状金型22と、光学シートの基材となる長尺状の基材24をロール状金型22に連続的に供給する機構と、ロール状金型22の外周面に長尺状の基材24を押圧するニップロール26と、活性エネルギ線硬化性樹脂組成物28をロール状金型22と長尺状の基材24の間に供給するノズル30と、ニップロール26の下流側位置で活性エネルギ線を活性エネルギ線硬化性組成物28に向けて照射する活性エネルギ線源32等を備えている。
本実施形態の光学シート製造方法では、図3に示す製造装置20を用いて、上記ステップ(II)が実施される。
製造装置20は、上述したように外周面に微細凹凸構造が形成され回転駆動されるロール状金型22と、光学シートの基材となる長尺状の基材24をロール状金型22に連続的に供給する機構と、ロール状金型22の外周面に長尺状の基材24を押圧するニップロール26と、活性エネルギ線硬化性樹脂組成物28をロール状金型22と長尺状の基材24の間に供給するノズル30と、ニップロール26の下流側位置で活性エネルギ線を活性エネルギ線硬化性組成物28に向けて照射する活性エネルギ線源32等を備えている。
ニップロール26は、ロール状金型22の回転方向上流側位置で、空気圧シリンダ34によって駆動され、長尺状の基材24をロール状金型22の外周面に押圧するよう構成されている。そして、長尺状の基材24がロール状金型22の外周面に押しつけられる領域で、タンク36に収容されている活性エネルギ線硬化性組成物28が、ノズル30から長尺状の基材24とロール状金型22の間に供給される。
ロール状金型22の下方に設置された活性エネルギー線照射装置28は、基材24を通して、基材24とロール状金型22の間に配置された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物28に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物28を硬化させることによって、ロール状金型22の微細凹凸構造と相補的な形状を有する硬化樹脂層38を基材24上に形成する。
基材24の表面に硬化樹脂層38が形成された光学シート材40図4)は、剥離ロール40によってロール状金型22から剥離される。
なお、本実施形態の説明においては、ロール状金型22と基材24との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物28が配置されているが、説明の簡便性から、このような状態もロール状金型22と基材24とが当接された状態と称する。また、ロール状金型22と基材24との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物28を配置せず、ロール状金型22に対して基材24を押圧しながら熱を加え、基材24の表面に直接微細凹凸構造と相補的な形状を形成しても構わない。
なお、本実施形態の説明においては、ロール状金型22と基材24との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物28が配置されているが、説明の簡便性から、このような状態もロール状金型22と基材24とが当接された状態と称する。また、ロール状金型22と基材24との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物28を配置せず、ロール状金型22に対して基材24を押圧しながら熱を加え、基材24の表面に直接微細凹凸構造と相補的な形状を形成しても構わない。
基材24は、射出成形、押出成形、流延成形、カレンダー成型、プレス成形等によるフィルム、シートが好ましい。基材24の材質としては、光透過性の材質であり、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン、ガラス等が挙げられる。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物28は、重合性化合物と、重合開始剤と、内部離型剤とを含む組成物である。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物28は、重合性化合物と、重合開始剤と、内部離型剤とを含む組成物である。
組成物の25℃における粘度は、10000mPa・s以下が好ましく、5000mPa・s以下がさらに好ましく、2000mPa・s以下がより好ましい。組成物の25℃における粘度が10000mPa・s以下であれば、微細凹凸構造への組成物の追随性が良好となり、微細凹凸構造を精度よく転写できる。組成物の粘度は、回転式E型粘度計を用い、25℃で測定する。
(重合性化合物)
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー;コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能以上のモノマー;二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
オリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
(重合開始剤)
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化反応を利用する場合、熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
重合開始剤の量は、重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。重合開始剤の量が0.1質量部未満では、重合が進行しにくい。重合開始剤の量が10質量部を超えると、硬化膜が着色したり、機械強度が低下したりすることがある。
(内部離型剤)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が内部離型剤を含むことによって、連続転写性を高めることができる。
内部離型剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物と、モールド表面との離型性を向上するものであり、かつ活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との相溶性があれば、特にその組成は制限されない。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が内部離型剤を含むことによって、連続転写性を高めることができる。
内部離型剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物と、モールド表面との離型性を向上するものであり、かつ活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との相溶性があれば、特にその組成は制限されない。
内部離型剤としては、例えば、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物、フッ素含有化合物、シリコーン系化合物、長鎖アルキル基を有する化合物、ポリアルキレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー(テフロンは登録商標)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物を主成分とするものが好ましい。
内部離型剤としてモールド離型剤と同じ(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物を含むことによって、その硬化物である硬化樹脂層とモールドとの離型性が特に良好となる。また、離型時の負荷が極めて低いため、微細凹凸構造の破損が少なく、その結果、モールドの微細凹凸構造を効率よく、かつ精度よく転写できる。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物としては、離型性の点から、下記式(1)で表わされる化合物が好ましい。
(HO)3−n(O=)P[−O−(R2O)m−R1]n ・・・(1)
R1は、アルキル基であり、R2は、アルキレン基であり、mは1〜20の整数であり、nは1〜3の整数である。
(HO)3−n(O=)P[−O−(R2O)m−R1]n ・・・(1)
R1は、アルキル基であり、R2は、アルキレン基であり、mは1〜20の整数であり、nは1〜3の整数である。
R1としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数3〜18のアルキル基がより好ましい。
R2としては、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基がより好ましい。
mは、1〜10の整数が好ましい。
R2としては、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基がより好ましい。
mは、1〜10の整数が好ましい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物は、モノエステル体(n=1)、ジエステル体(n=2)、トリエステル体(n=3)のいずれであってもよい。また、ジエステル体またはトリエステル体の場合、1分子中の複数の(ポリ)オキシアルキレンアルキル基はそれぞれ異なっていてもよい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物の市販品としては、例えば、下記のものが挙げられる。
城北化学社製:JP−506H(n≒1〜2,m≒1,R1=ブチル,R2=エチレン)、 アクセル社製:モールドウイズINT−1856(構造非公開)、 日光ケミカルズ社製:TDP−10(n≒3,m≒10,R1=C12〜15,R2=エチレン)、TDP−8(n≒3,m≒8,R1=C12〜15,R2=エチレン)、TDP−6(n≒3,m≒6,R1=C12〜15,R2=エチレン)、TDP−2(n≒3,m≒2,R1=C12〜15,R2=エチレン)、DDP−10(n≒2,m≒10,R1=C12〜15,R2=エチレン)、DDP−8(n≒2,m≒8,R1=C12〜15,R2=エチレン)、DDP−6(n≒2,m≒6,R1=C12〜15,R2=エチレン)、DDP−4(n≒2,m≒4,R1=C12〜15,R2=エチレン)、DDP−2(n≒2,m≒2,R1=C12〜15,R2=エチレン)、TLP−4(n≒3,m≒4,R1=ラウリル,R2=エチレン)、TCP−5(n≒3,m≒5,R1=セチル,R2=エチレン)、DLP−10(n≒3,m≒10,R1=ラウリル,R2=エチレン)。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
城北化学社製:JP−506H(n≒1〜2,m≒1,R1=ブチル,R2=エチレン)、 アクセル社製:モールドウイズINT−1856(構造非公開)、 日光ケミカルズ社製:TDP−10(n≒3,m≒10,R1=C12〜15,R2=エチレン)、TDP−8(n≒3,m≒8,R1=C12〜15,R2=エチレン)、TDP−6(n≒3,m≒6,R1=C12〜15,R2=エチレン)、TDP−2(n≒3,m≒2,R1=C12〜15,R2=エチレン)、DDP−10(n≒2,m≒10,R1=C12〜15,R2=エチレン)、DDP−8(n≒2,m≒8,R1=C12〜15,R2=エチレン)、DDP−6(n≒2,m≒6,R1=C12〜15,R2=エチレン)、DDP−4(n≒2,m≒4,R1=C12〜15,R2=エチレン)、DDP−2(n≒2,m≒2,R1=C12〜15,R2=エチレン)、TLP−4(n≒3,m≒4,R1=ラウリル,R2=エチレン)、TCP−5(n≒3,m≒5,R1=セチル,R2=エチレン)、DLP−10(n≒3,m≒10,R1=ラウリル,R2=エチレン)。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物の量は、重合性化合物の100質量%に対して、0.01〜1質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%がより好ましく、0.05〜0.1質量%がさらに好ましい。(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物の量が1質量%以下であれば、硬化樹脂層の性能の低下が抑えられる。また、基材との密着性の低下が抑えられ、その結果、モールドへの樹脂残り(離型不良)や物品からの硬化樹脂層の剥がれが抑えられる。(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物の量が0.01質量%以上であれば、モールドからの離型性が十分となり、モールドへの樹脂残り(離型不良)が抑えられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、離型性をさらに向上する目的で、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物以外の離型性を向上させる成分を含んでいてもよい。該成分としては、例えば、フッ素含有化合物、シリコーン系化合物、リン酸エステル系化合物、長鎖アルキル基を有する化合物、固形ワックス(ポリアルキレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー(テフロンは登録商標)等)等を含む化合物、等が挙げられる。
(他の成分)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物、帯電防止剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤、微粒子、少量の溶媒を含んでいてもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物、帯電防止剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤、微粒子、少量の溶媒を含んでいてもよい。
非反応性のポリマーとしては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
活性エネルギー線照射装置32としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、フュージョンランプ等が好ましく、この場合の光照射エネルギー量は、100〜10000mJ/cm2が好ましい。
(光学シート材)
図4は、製造装置20によって製造され、微細凹凸構造を表面に有する長尺状の光学シート材40の構成を概略的に示す断面図である。
図4は、製造装置20によって製造され、微細凹凸構造を表面に有する長尺状の光学シート材40の構成を概略的に示す断面図である。
基材24上に形成された硬化樹脂層38は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物28の硬化物からなる層であり、ロール状金型22が外周面に形成せれた微細凹凸形状と相補的な形状を構成する凸部44を備えている。なお、凸部44の形状は、ロール状金型22の外周面に形成された微細凹凸構造の凹部の形状と相補的なものである。また、微細凹凸構造は、可視光の波長以下の間隔で多数の微細な凸部44が並んだ所謂モスアイ構造である。
凸部44の形状は、高さ方向と直交する方向の凸部断面積が最表面から深さ方向に連続的に増加する形状、すなわち、凸部の高さ方向の断面形状が、三角形、台形、釣鐘型等の形状が好ましい。
凸部44間の平均間隔は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下である。陽極酸化アルミナのモールドを用いて凸部を形成した場合、凸部間の平均間隔は100から200nm程度となることから、250nm以下が特に好ましい。
凸部44の平均間隔は、凸部の形成のしやすさの点から、20nm以上が好ましい。
凸部44の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する凸部44の間隔(凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部44の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する凸部44の間隔(凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部44の高さは、平均間隔が100nmの場合は、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましい。凸部の高さが80nm以上であれば、反射率が十分低くなり、かつ反射率の波長依存性が少ない。凸部の高さが500nm以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
凸部44の高さは、電子顕微鏡によって倍率30000倍で観察したときにおける、凸部の最頂部と、凸部間に存在する凹部の最底部との間の距離を測定した値である。
凸部44のアスペクト比(凸部の高さ/凸部間の平均間隔)は、0.8〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。凸部のアスペクト比が1.0以上であれば、反射率が十分に低くなる。凸部のアスペクト比が5.0以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
硬化樹脂層38の屈折率と基材24の屈折率との差は、0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.05以下が特に好ましい。屈折率差が0.2以下であれば、硬化樹脂層38と基材24との界面における反射が抑えられる。
表面に微細凹凸構造を有する場合、その表面が疎水性の材料から形成されていればロータス効果により超撥水性が得られ、その表面が親水性の材料から形成されていれば超親水性が得られることが知られている。
硬化樹脂層38の材料が疎水性の場合の微細凹凸構造の表面の水接触角は、90゜以上が好ましく、110゜以上がより好ましく、120゜以上が特に好ましい。水接触角が90゜以上であれば、水汚れが付着しにくくなるため、十分な防汚性が発揮される。また、水が付着しにくいため、着氷防止を期待できる。
硬化樹脂層38の材料が親水性の場合の微細凹凸構造の表面の水接触角は、25゜以下が好ましく、23゜以下がより好ましく、21゜以下が特に好ましい。水接触角が25゜以下であれば、表面に付着した汚れが水で洗い流され、また油汚れが付着しにくくなるため、十分な防汚性が発揮される。該水接触角は、硬化樹脂層38の吸水による微細凹凸構造の変形、それに伴う反射率の上昇を抑える点から、3゜以上が好ましい。
上述したように、ロール状金型22の外周面には、切削痕である畝状の部分を有する筋状の凹凸が残留しているため、この畝状の部分を含む筋状の凹凸形状も、硬化樹脂層38に反転転写されている。
ロール状金型22の外周面上の畝状の部分は、ロール状金型22の軸線(回転軸)に直交するように、即ちロール状金型22の外周面の側縁とほぼ平行に延びているので、長尺状の光学シート40上で筋状の凹凸(畝)が延びる方向は、長尺状の光学シート40の側端とほぼ平行な方向となる。
ロール状金型22の外周面上の畝状の部分は、ロール状金型22の軸線(回転軸)に直交するように、即ちロール状金型22の外周面の側縁とほぼ平行に延びているので、長尺状の光学シート40上で筋状の凹凸(畝)が延びる方向は、長尺状の光学シート40の側端とほぼ平行な方向となる。
この筋状の凹凸は、通常では視認されないが、光学シート材40の裏面より指向性の高いLED光源を使用して透過光による観察を行うと、かすかに視認される。
次に、ステップ(II)の切断工程について説明する。
本実施形態では、長尺状の光学シート材40は、ロール状金型22の下流側に配置された保護フィルム貼り付け装置(図示せず)両面に保護フィルム42、44が貼り付けられ、さらに切断器(図示せず)によって、長手方向軸線と直交する方向に所定長で切断され、矩形状の光学シート材片46(図5)とされ、ステップ(II)の処理に送られてくる。筋状の凹凸(畝)が延びる方向は、光学シート片材46の側縁46aと略平行に延びている。
本実施形態では、長尺状の光学シート材40は、ロール状金型22の下流側に配置された保護フィルム貼り付け装置(図示せず)両面に保護フィルム42、44が貼り付けられ、さらに切断器(図示せず)によって、長手方向軸線と直交する方向に所定長で切断され、矩形状の光学シート材片46(図5)とされ、ステップ(II)の処理に送られてくる。筋状の凹凸(畝)が延びる方向は、光学シート片材46の側縁46aと略平行に延びている。
なお、両面に保護フィルムが貼り付けられた長尺状の光学シート材片40を、矩形状の切断することなくステップ(II)の切断工程に送込んでも良い。
図6は、光学シート片材46を、さらに矩形の光学シートに切断するプレス機50の構成を示す模式的な斜視図である。
この切断作業は、両面に保護フィルムを貼り付けられた光学シート材片40を、プレス機50によって液晶表示装置等に対応した矩形形状を有する光学シートに切断する作業である。
この切断作業は、両面に保護フィルムを貼り付けられた光学シート材片40を、プレス機50によって液晶表示装置等に対応した矩形形状を有する光学シートに切断する作業である。
図6に示されているように、プレス機50は、静止側となるベース板52と、ベース板52に対向して配置されベース板52に対して上下動するプレス板54とを備えている。ベース板52の上面すなわちプレス板54に対向する面には、板状のベース側ダイセット56が取付けられ、プレス板54の下面すなわちベース板52に対向する面には、板状のプレス側ダイセット58が取付けられている。
さらに、プレス側ダイセット58の下面すなわちベース側ダイセット56に対向する面には、ピナクル刃型60が取付けられている。ピナクル刃型60には、光学シート材片46を略矩形の形状に半抜きする枠状のピナクル刃62が、先端部がベース側ダイセット56に向けて突出するように取付けられている。本実施形態では、枠状のピナクル刃62の輪郭形状は、液晶表示装置等の形状に適合するように略矩形に設定されている。
ピナクル刃62の先端部の突出量は、プレス板54が最も下方まで降下したとき、刃の先端が、ベース側ダイセット56上に載置された光学シート材片46を切断するが裏面側の保護フィルム44は切断せず、光学シート材片46を半抜き加工することができる量に設定されていてもよく、光学シート材片46および保護フィルムを完全に切断する量に設定されていてもよい。
さらに、ベース側ダイセット56には、複数の位置決めピン64が配置されている。これらの位置決めピン64は、図7に示されているように、所定の寸法の矩形の光学シート材片46の端部を位置決めピン64に押し当てて、光学シート材片46をベース側ダイセット16上で位置決めしたとき、光学シート材片46が、点線で示す筋状の凹凸構造の畝46bが、略矩形の枠状のピナクル刃62の左右一対の直線部分62a、62bに対して0.2〜45度の角度θをなすように、位置決めされるように配置されている。
図7では、明確化のため、筋状の凹凸構造の畝46bとピナクル刃62の直線部分62aとの角度が誇張して示されている。
図7では、明確化のため、筋状の凹凸構造の畝46bとピナクル刃62の直線部分62aとの角度が誇張して示されている。
上述したように、筋状の凹凸(畝)46bが延びる方向は、光学シート片材46の側縁46aと略平行であるので、略矩形の枠状のピナクル刃62の左右一対の直線部分62a、62bは、光学シート片材46の側縁46aに対しても0.2〜45度の角度θをなすことになる。
次いで、図8に示されているように、光学シート材片46を、加工部位がベース板52とプレス板54の間に配置されるように、矢印A方向に挿入し、さらに、光学シート材片46の端部が各位置決めピン64に当接するように位置決めする(図9)。
次いで、プレス板54をベース板52に向けて矢印B方向に降下させ、ピナクル刃62を光学シート材片46に接触させる(図10)。
さらに、ピナクル刃62の先端が、光学シート材片46の基材24は切断するが、裏側の保護フィルム44は切断しない最も下方の位置まで、プレス板54を降下させ、光学シート材片46を半抜き加工する(図11)。
最後に、プレス板54を上昇させ、さらに、半抜き加工された矩形状の光学シートと残部の光学シート材片46とをプレス機50から排出して、1サイクルの切断作業を終了する。
このようなカット方法によれば、略矩形状のピナクル刃62の直線部分62a、62bが、光学シート材片46の筋状の凹凸構造の畝46bに対して約0.2〜45度、傾斜して配置されるため、光学シート材片46を矩形にカットすれば、該矩形の少なくとも一辺と、筋状の凹凸46bとがなす角度が所定の角度である、電子表示装置用反射防止フィルムが製造される。
上述のようにして製造された電子表示装置用反射防止フィルムは、液晶表示装置や有機ELなどの表示装置の表面に配置して用いることができる。表示装置では、約100μm〜300μmの所定のドットピッチで画素ドットが縦横に規則正しく配置されており、この上に画素ドットの配列と平行なパターンを有する光学シート等を配置すると、干渉模様が発生しやすくなる。本発明に基づく光学シートでは、筋状の凹凸形状が、表示装置等の形状に合わせてた略矩形形状の一辺に対して傾斜していることから、表示装置の上に配置しても干渉模様の発生が抑制される。
また、本発明に基づく電子表示装置用反射防止フィルムは、表示装置の保護板や前面板の片面または両面や、表示装置の上に配置されるタッチパネルなどの部材の片面または両面に配置して用いることができる。しかしながら、表示装置から離れて配置される部材では、表示装置の画素との干渉模様が発生しにくいことから、本発明に基づく電子表示装置用反射防止フィルムは、表示装置の表面に張り付けて用いられることが好ましい。
(実施例1)
まずロール状モールドの製作として、直径200mm、幅320mmのアルミニウム母材を準備した。アルミニウム母材は両端にチャック用の軸加工が施されており、旋盤加工による変形が発生しないように加工がされているものを用いた。
次に基準となるアルミニウム母材の軸部の触れが5μm以下になるように精密旋盤にセットした。
まずロール状モールドの製作として、直径200mm、幅320mmのアルミニウム母材を準備した。アルミニウム母材は両端にチャック用の軸加工が施されており、旋盤加工による変形が発生しないように加工がされているものを用いた。
次に基準となるアルミニウム母材の軸部の触れが5μm以下になるように精密旋盤にセットした。
次に先端R10mmの単結晶ダイヤモンドバイトを準備し、バイト先端に異常がないことを顕微鏡により確認後、精密旋盤に取り付けた。ロールを毎分1000回転で回転させた状態で、5μmの切込みを行い、毎回転200μmの送りをかけて鏡面切削を行った。この際に、加工部の冷却と潤滑を向上させるため、ダイヤモンドバイトのすくい面と逃げ面に切削油をミスト状に供給し、加工を実施した。また、発生する切りくずを鏡面加工の未加工側に配置し、発生する切りくずの排出を並行して実施した。
次いで、鏡面加工が施されたアルミニウム母材に以下の処理を施し、表面に微細凹凸形状を形成した。
(a)工程:
このアルミニウム板を、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30分間陽極酸化を行った。
(b)工程:
上記工程で酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜を除去した。
このアルミニウム板を、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30分間陽極酸化を行った。
(b)工程:
上記工程で酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜を除去した。
(c)工程:
このアルミニウム板を、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行った。
(d)工程:
上記工程で酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
このアルミニウム板を、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行った。
(d)工程:
上記工程で酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
(e)工程:
前記(c)工程及び(d)工程を合計で5回繰り返し、周期100nm、深さ180nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。
前記(c)工程及び(d)工程を合計で5回繰り返し、周期100nm、深さ180nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。
得られた陽極酸化ポーラスアルミナを脱イオン水で洗浄し、次いで表面の水分をエアーブローで除去し、フッ素系剥離材(ダイキン工業社製、商品名オプツールDSX)を固形分0.1質量%になるように希釈剤(ハーベス社製、商品名HD−ZV)で希釈した溶液に10分間浸漬し、20時間風乾して、表面上に細孔が形成されたロール状モールドを得た。
得られたロール状モールドに指向性の高いLED光源からの光を当てて観察すると、かすかに筋状の凹凸構造が確認された。
ロール状モールドの細孔面上に紫外線硬化性樹脂組成物を流し込み、その上に基材フィルムを押し広げながら被覆した。この基材フィルム側から高圧水銀灯を用いて2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射し、樹脂組成物を硬化した。その後、モールドから基材フィルムと硬化した樹脂組成物を剥離して、ナノ凹凸構造を表面に有する光学シート材を得た。
この光学シートの表面には、ロール状モールドのナノ凹凸構造が転写されており、図4に示すような、隣り合う凸部の間隔が100nm、凸部46の高さが180nmである略円錐形状のナノ凹凸構造が形成されていた。
この光学シート材を、筋状の凹凸構造がピナクル刃型20の一辺と45度の角度をなす様にセットした。即ち、ロール状モールドの鏡面加工時の切削方向とピナクル刃型20の一辺が45度の角度をなす状態に、光学フィルム減反とピナクル刃型をセットした。この状態で抜き加工を実施し、矩形状であり筋状の凹凸が矩形形状の一辺と45度の角度をなす光学シートを得た。得られた光学シートの裏面より指向性の高いLED光源を使用して透過光による観察を行った結果、ロール状モールドを製造する工程で実施した鏡面加工時のバイトと同じ送り周期の筋状の凹凸形状が微かに視認された。
得られた矩形状の光学シートをセルピッチ180μm液晶セルの上にセットし、バックライトユニットに組み込み点灯させた結果、写りこみなどの反射が抑制されつつ、筋状の凹凸構造や干渉縞の確認されない、良好な外観を得ることができた。
(実施例2)
光学シートの筋状の凹凸形状とピナクル刃型の一辺とが20度の角度となるようにセットし(即ち、ロール状金型の鏡面加工時の切削方向とピナクル刃型20の一辺が20度の角度をなす状態にセットし)、抜き加工を実施した以外は、実施例1と同様の作業を行った。
光学シートの筋状の凹凸形状とピナクル刃型の一辺とが20度の角度となるようにセットし(即ち、ロール状金型の鏡面加工時の切削方向とピナクル刃型20の一辺が20度の角度をなす状態にセットし)、抜き加工を実施した以外は、実施例1と同様の作業を行った。
得られた矩形状の光学シートをセルピッチ180μm液晶セルの上にセットし、バックライトユニットに組み込み点灯させた結果、写りこみなどの反射が抑制されつつ、筋状の凹凸構造や干渉縞の確認されない、良好な外観を得ることができた。
(実施例3)
光学シート材の筋状の凹凸形状とピナクル刃型の一辺とが2度の角度となるようにセットし(即ち、ロール状金型の鏡面加工時の切削方向とピナクル刃型の一辺が2度の角度をなす状態にセットし)、抜き加工を実施した以外は、実施例1と同様の作業を行った。
光学シート材の筋状の凹凸形状とピナクル刃型の一辺とが2度の角度となるようにセットし(即ち、ロール状金型の鏡面加工時の切削方向とピナクル刃型の一辺が2度の角度をなす状態にセットし)、抜き加工を実施した以外は、実施例1と同様の作業を行った。
得られた矩形状の光学シートをセルピッチ180μm液晶セルの上にセットし、バックライトユニットに組み込み点灯させた結果、写りこみなどの反射が抑制されつつ、筋状の凹凸構造や干渉縞の確認されない、良好な外観を得ることができた。
(比較例1)
光学シートの筋状の凹凸形状とピナクル刃型の一辺とが平行になるようにセットし(即ち、ロール状金型の鏡面加工時の切削方向とピナクル刃型の一辺が0度の角度をなす状態にセットし)、抜き加工を実施した以外は、実施例1と同様の作業を行った。
光学シートの筋状の凹凸形状とピナクル刃型の一辺とが平行になるようにセットし(即ち、ロール状金型の鏡面加工時の切削方向とピナクル刃型の一辺が0度の角度をなす状態にセットし)、抜き加工を実施した以外は、実施例1と同様の作業を行った。
得られた矩形状光学フィルムをセルピッチ180μm液晶セルの上にセットし、バックライトユニットに組み込み点灯させた結果、明確な干渉縞が確認され、良好な外観を得ることができなかった。
46:光学シート材片
46b:凹凸構造の畝
50:プレス機
52:ベース板
54:プレス板
56:ベース側ダイセット
60:ピナクル刃型
62:ピナクル刃
62a:ピナクル刃の左右一対の直線部分
64:位置決めピン
46b:凹凸構造の畝
50:プレス機
52:ベース板
54:プレス板
56:ベース側ダイセット
60:ピナクル刃型
62:ピナクル刃
62a:ピナクル刃の左右一対の直線部分
64:位置決めピン
Claims (6)
- 光学シートの製造方法であって、
微細凹凸形状が形成されたロール状金型の外周面に長尺状シートを当接させながら前記微細凹凸形状を前記長尺状シートに転写して長尺状の光学シート材とする転写ステップであって、前記ロール状金型がロール状アルミニウム母材の外周面に切削バイトで鏡面加工を施し更に陽極酸化によって前記微細凹凸形状が形成されたロール状金型であり、前記光学シート材には前記鏡面加工時の切削痕に対応する筋状の凹凸も転写される転写ステップと、
前記長尺状の光学シート材または該長尺状の光学シート材を矩形状に切断した光学シート材片を略矩形の光学シートに切断する切断ステップであって、前記略矩形の光学シートの一辺が前記筋状の凹凸の延びる方向と0.2度〜45度の角度となるように前記長尺状の光学シート材または前記シート材片を切断する切断ステップと、を備えている、
ことを特徴とする光学シートの製造方法。 - 前記光学シートが電子表示装置用反射防止フィルムである、
請求項1に記載の光学シートの製造方法。 - 略矩形の光学シートであって、
一方の面に微細凹凸形状と側縁に沿って並列状態で伸びる複数の筋状の凹凸とが形成され、
前記筋状の凹凸と前記側縁とがなす角度が0.2度〜45度の範囲内である、
ことを特徴とする光学シート。 - 前記筋状の凹凸の周期が、5μm〜50μmの範囲である、
請求項3に記載の光学シート。 - 前記光学シートが、電子表示装置用反射防止フィルムである、
請求項3又は4に記載の光学シート。 - 請求項3又は4に記載の光学シートを備えることを特徴とする電子表示装置。
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KR20190034765A (ko) * | 2017-09-25 | 2019-04-03 | 주식회사 엘지화학 | 광학필름 재단장치 |
-
2011
- 2011-10-06 JP JP2011221935A patent/JP2013083707A/ja active Pending
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KR102350662B1 (ko) * | 2017-09-25 | 2022-01-14 | 산진 옵토일렉트로닉스 (쑤저우) 컴퍼니 리미티드 | 광학필름 재단장치 |
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