JP2013080599A - 高分子電解質膜、膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents
高分子電解質膜、膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(A0)、非晶性オレフィン重合体ブロック(B)、及び芳香族ビニル重合体ブロック(C)からなる7または8個の重合体ブロックからなり、重合体ブロック(A0)又は重合体ブロック(C)を末端重合体ブロックとし、重合体ブロック(B)の両端に結合する重合体ブロックが重合体ブロック(C)のみであるブロック共重合体(Z0)の、重合体ブロック(A0)にイオン伝導性基を導入した構造からなり、25℃、相対湿度50%、引張速度500mm/min.における破断伸びが300%以上であるブロック共重合体(Z)を含有する高分子電解質膜;該高分子電解質膜を備える膜−電極接合体;及び該膜−電極接合体を備える固体高分子型燃料電池。
【選択図】なし
Description
例えば、イオン伝導性基を有する芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(A)及びフレキシブルな重合体ブロック(B)を所定の比率で含むブロック共重合体を主成分とする、25℃、引張速度500mm/min.の条件での引張試験における100%モジュラスが15MPa以下であり、破断強さが15MPa以上であり、かつ破断伸びが300%以上である高分子電解質膜が提案されている(特許文献1参照)。かかる高分子電解質膜は電極との接合性が高い。
一方、起動時に速やかに発電を開始する上では、高分子電解質膜は低湿度雰囲気においてイオン伝導性に優れる必要がある。イオン伝導性を高める手段としては高分子電解質膜中のイオン伝導性基の含有率(イオン交換容量)を高めることが一般的である。しかしながら、高分子電解質膜中のイオン交換容量を高めるにしたがって、耐久性は低下する傾向となる。かかる観点からは特許文献1で開示された高分子電解質膜は、なお改良の余地があった。
[1]イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(A0)、イオン伝導性基を有さない非晶性オレフィン重合体ブロック(B)、及びイオン伝導性基を有さない芳香族ビニル化合物重合体ブロック(C)からなる7または8個の重合体ブロックからなり、前記重合体ブロック(A0)又は重合体ブロック(C)を末端重合体ブロックとし、前記重合体ブロック(B)の両端に結合する重合体ブロックが重合体ブロック(C)のみであるブロック共重合体(Z0)の、前記重合体ブロック(A0)にイオン伝導性基を導入した構造からなり、25℃、相対湿度50%、引張速度500mm/min.における破断伸びが300%以上であるブロック共重合体(Z)を含有する高分子電解質膜;
[2]前記ブロック共重合体(Z0)が、イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(A0)15〜45質量%と、イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)15〜35質量%と、イオン伝導性を有さない重合体ブロック(C)35〜55質量%とからなる上記[1]の高分子電解質膜;
[3]前記イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(A0)が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロックである、上記[1]又は[2]の高分子電解質膜;
[4]前記イオン伝導性基が、−SO3M又は−PO3HM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で示される基である上記[1]〜[3]のいずれかの高分子電解質膜;
[5]前記重合体ブロック(B)が、軟化温度30℃以下の非晶性オレフィン重合体ブロックである上記[1]〜[4]のいずれかの高分子電解質膜;
[6]前記重合体ブロック(C)が、下記一般式(a)
本発明の高分子電解質膜を構成するブロック共重合体(Z)は、イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(A0)(以下、単に「重合体ブロック(A0)」と称する場合がある)、イオン伝導性基を有さない非晶性オレフィン重合体ブロック(B)(以下、単に「重合体ブロック(B)」と称する場合がある)、及びイオン伝導性基を有さない芳香族ビニル化合物重合体ブロック(C)(以下、単に「重合体ブロック(C)」と称する場合がある)からなる7または8個の重合体ブロックからなり、重合体ブロック(A0)又は重合体ブロック(C)を末端重合体ブロックとし、前記重合体ブロック(B)の両端に結合する重合体ブロックが重合体ブロック(C)のみであるブロック共重合体(Z0)の重合体ブロック(A0)にイオン伝導性基を導入し重合体ブロック(A)とした構造からなる。
ここで破断伸びは、ブロック共重合体(Z)より厚さ30μmの膜を作製し、ダンベル状の試験片を打ち抜いて、25℃、相対湿度50%の条件で調湿したものを、引張試験機により、25℃、相対湿度50%、引張速度500mm/min.の条件にて測定する。上記膜は、ブロック共重合体(Z)を適当な溶媒に溶解させた溶液を離型フィルム上に塗布し、溶媒を乾燥除去したのち、離型フィルムから剥離することで得られる。
ブロック共重合体(Z)はブロック共重合体(Z0)の重合体ブロック(A0)にイオン伝導性基を導入した構造からなり、重合体ブロック(A)は重合体ブロック(A0)にイオン伝導性基を導入した構造からなる重合体ブロックである。
ブロック共重合体(Z)は、(A)−(C)−(B)−のブロック結合を有するので、ブリッジ構造のみとなり、重合体ブロック(C)がブリッジ鎖を形成する。このことからブロック共重合体(Z)を含有する高分子電解質膜は力学強度が向上すると推定される。
ブロック共重合体(Z)を構成する重合体ブロック(A)は、重合体ブロック(B)と極性、構造が異なり、重合体ブロック(C)とは極性が異なるので、ミクロ相分離が起こりやすい。重合体ブロック(A)は、重合体ブロック(B)および重合体ブロック(C)とミクロ相分離した状態で、イオンチャンネルを形成するため、ブロック共重合体(Z)を含有する高分子電解質膜のイオン伝導性を高める上で有利となると推定している。
重合体ブロック(A0)としては、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック、ポリエーテルケトンブロック、ポリスルフィドブロック、ポリホスファゼンブロック、ポリフェニレンブロック、ポリベンゾイミダゾールブロック、ポリエーテルスルホンブロック、ポリフェニレンオキシドブロック、ポリカーボネートブロック、ポリアミドブロック、ポリイミドブロック、ポリ尿素ブロック、ポリスルホンブロック、ポリスルホネートブロック、ポリベンゾオキサゾールブロック、ポリベンゾチアゾールブロック、ポリフェニルキノキサリンブロック、ポリキノリンブロック、ポリトリアジンブロック、ポリアクリレートブロック、ポリメタクリレートブロック等の重合体ブロックが挙げられる。中でも、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック、ポリエーテルケトンブロック、ポリスルフィドブロック、ポリホスファゼンブロック、ポリフェニレンブロック、ポリベンゾイミダゾールブロック、ポリエーテルスルホンブロック、ポリフェニレンオキシドブロックから選ばれる重合体ブロックが好ましく、製造が容易である観点から、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロックがより好ましい。
かかる分子量がかかる分子量が1,000以上であれば、ミクロ相分離が起こりやすく、イオンチャンネルを形成しやすくなるためイオン伝導性が高くなり、また力学特性が優れる傾向となり、100,000以下であれば、高分子電解質膜の成形性、製膜性が良好となる。
イオン伝導性基としては、ブロック共重合体(Z)を含有する高分子電解質膜および膜−電極接合体が十分なイオン伝導度を発現できる基であればよく、例えばプロトン等のカチオンを伝導するイオン伝導性基として、−SO3M、−PO3HM、−CO2M(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で示されるスルホン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基又はそれらの塩を用いることができ、特に高いカチオン伝導性を示す観点から、−SO3M又は−PO3HM(式中、Mは前記定義のとおりである)で示されるスルホン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩が好ましい。
ブロック共重合体(Z)を構成する重合体ブロック(B)は、イオン伝導性基を有さない非晶性オレフィン重合体ブロックである。ここで、非晶性オレフィン重合体ブロックとは、オレフィンに由来する構造単位からなる重合体ブロックであって、かつ非晶性のものを指す。非晶性については、動的粘弾性の測定で、結晶性オレフィン重合体由来の貯蔵弾性率の変化がないことによって確認できる。ブロック共重合体(Z)を用いた本発明の高分子電解質膜において重合体ブロック(B)は、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(C)とミクロ相分離が起こりやすく、使用温度域において弾力性を有し、かつ柔軟になり、膜−電極接合体や固体高分子型燃料電池の作製にあたっては成形性(組立性、接合性、締付性等)に優れる。
重合体ブロック(B)を構成するオレフィンに由来する構造単位としては、例えば炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数5〜8のシクロアルケン単位、炭素数7〜10のビニルシクロアルカン単位、炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位などが挙げられる。これらは、1種が単独で存在しても複数種が存在してもよい。
複数種の単量体を併用する場合、これら単量体はランダム共重合して重合体ブロック(B)を形成していることが好ましい。
なお、炭素−炭素二重結合の水添率は、1H−NMR測定によって算出できる。
また、イオン伝導性基を有さないブロック共重合体(Z0)を重合した後にイオン伝導性基を導入してブロック共重合体(Z)とする場合に、重合体ブロック(B)が飽和炭化水素構造であれば、重合体ブロック(B)にはイオン伝導性基が導入されにくいため好ましい。したがって、イオン伝導性基を有さないブロック共重合体(Z0)を重合した後に重合体ブロック(B)に残存する炭素−炭素二重結合の水添反応を行う場合は、イオン伝導性基を導入する前に行うことが望ましい。
ブロック共重合体(Z)を構成する重合体ブロック(C)は、イオン伝導性基を有さない芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロックである。重合体ブロック(C)は重合体ブロック(A)と極性が異なり、重合体ブロック(B)と構造が異なるので、ミクロ相分離が起こりやすい。重合体ブロック(C)は重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)とミクロ相分離した状態で、かつ軟化温度(すなわち該重合体ブロック(C)が独立して重合体となった場合の軟化温度)以下で使用した場合に拘束相として機能し、ブロック共重合体(Z)を含有する高分子電解質膜の耐久性を高める上で有利となると推定している。
また、同様の観点から、重合体ブロック(C)の軟化温度は80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2〜R4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数3〜8のアルキル基を表し、かつR2〜R4の少なくとも1つは炭素数3〜8のアルキル基を表す)
で示される芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロックが、合成が容易であり、かつ拘束相として機能するという観点から好ましい。また、イオン伝導性基を有さないブロック共重合体(Z0)を重合した後に重合体ブロック(A0)にイオン伝導性基を導入する場合に、R2〜R4が存在することで、重合体ブロック(C)へのイオン伝導性基の導入が妨げられる。さらに、該重合体ブロックの軟化温度が高くなるので、使用温度域を広くすることができる。
ブロック共重合体(Z)の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、ブロック共重合体(Z0)を製造した後、イオン伝導性基を導入する方法が好ましい。
4−tert−ブチルスチレン等の前記一般式(a)で示される構造単位で構成される重合体ブロック(C)、スチレン等の芳香族ビニル化合物に由来する構造単位で構成される重合体ブロック(A0)及び共役ジエンに由来する構造単位で構成される重合体ブロック(B)からなるイオン伝導性基を有さないブロック共重合体(Z0)を製造する場合、リビングアニオン重合法が好ましい。具体的には、シクロヘキサン等の溶媒中で、有機リチウム化合物等のアニオン重合開始剤の存在下に、10〜100℃で、単量体を順次重合させることで得られるブロック共重合体を、ブロック共重合体(Z0)とすることができる。
ブロック共重合体(Z0)の重合体ブロック(A0)にスルホン酸基を導入する方法(スルホン化)について述べる。スルホン化は、公知のスルホン化法を適用でき、例えば、ブロック共重合体(Z0)と有機溶媒とを混合して溶液または懸濁液を調製し、スルホン化剤を添加する方法や、ブロック共重合体(Z0)にガス状のスルホン化剤を添加する方法等が挙げられる。
本発明の高分子電解質膜はブロック共重合体(Z)を含有する。高分子電解質膜はかかるブロック共重合体(Z)またはブロック共重合体(Z)を含有する組成物(以下、「ブロック共重合体(Z)またはブロック共重合体(Z)を含有する組成物」を、単に「ブロック共重合体(Z)を含有する組成物」と称する)のみからなっても、該ブロック共重合体(Z)を含有する組成物からなる高分子電解質層に通液性の高い補強材層が積層されていてもよい。上記ブロック共重合体(Z)を含有する組成物中の当該ブロック共重合体(Z)の含有量は、イオン伝導性の観点から、90〜100質量%であることが好ましく、93質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
また、前記補強材層としては、通液性が高いことが求められ、補強材層の主面を貫通する貫通孔を複数備える多孔質材料が好ましく、織布および不織布がより好ましい。中でも、加工性(電解質との複合化の容易性、補強材の薄膜化の容易性など)、材料の入手性などの観点から不織布がさらに好ましく、低吸水性、耐酸性、耐薬品性の観点から、芳香族単位を主体とする液晶ポリエステル繊維からなる不織布が特に好ましい。これら不織布を補強材層として有する高分子電解質膜は、固体高分子型燃料電池に用いた場合に良好な耐久性及び出力特性を有する。
また、補強材層が多孔質材料である場合、ブロック共重合体(Z)を含有する組成物は、多孔質材の内部の一部または全部に含浸していてもよい。
ヒンダードアミン類としては、例えば、コハク酸ジメチル/1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ((6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペジル)イミノ))、2−(2,3−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン/2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペジル)セバケート、コハク酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)が挙げられる。
これら光安定剤は1種のみ用いても複数種を併用してもよい。
高分子電解質膜が補強材層を有する場合の作製方法としては、上記した方法で調製した塗工液を、離形処理済のPETフィルム等にコーターやアプリケーター等を用いて塗布した後、適切な条件で溶媒を除去することによって、所望の厚みを有する高分子電解質膜を得、次いで補強材を得られた高分子電解質膜上に積層した後、該補強材上に別途上記した方法で調製した塗工液を、コーターやアプリケーター等を用いて塗布し、適切な条件で溶媒を除去することによって得る方法が挙げられる。
中でも、ブロック共重合体(Z)の溶解性の観点から、トルエン及びイソブチルアルコールの混合溶媒、トルエン及び2−プロパノールの混合溶媒、シクロヘキサン及び2−プロパノールの混合溶媒、シクロヘキサン及びイソブチルアルコールの混合溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン及びメタノールの混合溶媒が好ましく、特に、トルエン及びイソブチルアルコールの混合溶媒、トルエン及び2−プロパノールの混合溶媒が好ましい。なお、上記混合溶媒の混合比(質量比)は適宜選択できる。
本発明の膜−電極接合体は、前述した本発明の高分子電解質膜を備える。該膜−電極接合体の製造方法に特に制限はなく、公知の方法を適用することができ、例えば、イオン伝導性バインダー、導電性触媒担体および分散媒を含む触媒ペーストを、印刷法やスプレー法によりガス拡散層上に塗布し乾燥することで、触媒層とガス拡散層との接合体を形成させ、このようにして形成した接合体2枚でそれぞれの触媒層が高分子電解質膜に接するように挟み、ホットプレス等により接合させる方法;上記触媒ペーストを印刷法やスプレー法により高分子電解質膜の両面に塗布し、乾燥して触媒層を形成させ、それぞれの触媒層にホットプレス等によりガス拡散層を圧着させる方法;イオン伝導性バインダーを含む溶液又は懸濁液を、高分子電解質膜の両面及び/又は1対のガス拡散電極の触媒層面に塗布し、高分子電解質膜と触媒層面とを貼り合わせ、熱圧着等により接合させる方法;上記触媒ペーストをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製等の基材フィルムに塗布し、乾燥して触媒層を形成させたものを2枚用意し、それぞれの触媒層が高分子電解質膜に接するように挟み、高分子電解質膜の両側に加熱圧着により触媒層を転写したのち、基材フィルムを剥離することで高分子電解質膜と触媒層との接合体を得、それぞれの触媒層にホットプレスによりガス拡散層を圧着する方法;が挙げられる。これらの方法においては、ブロック共重合体(Z)を含有する高分子電解質膜が有するイオン伝導性基をナトリウム等の金属との塩にした状態で上記の操作を行い、接合後の酸処理によってプロトン型に戻してもよい。
本発明の固体高分子型燃料電池は、前述した本発明の膜−電極接合体を、極室分離と電極へのガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータ材の間に挿入することにより得られる。
本発明の固体高分子型燃料電池は、用いる燃料によって、水素を使用した純水素型、メタノールを改質して得られる水素を使用したメタノール改質型、天然ガスを改質して得られる水素を使用した天然ガス改質型、ガソリンを改質して得られる水素を使用したガソリン改質型、メタノールを直接使用する直接メタノール型等に分類できる。
各実施例および比較例で得たブロック共重合体(1)〜(4)(ブロック共重合体(Z))を秤量(秤量値a(g))し、過剰量の塩化ナトリウム飽和水溶液((300〜500)×a(ml))を添加して、密閉系で12時間攪拌した。フェノールフタレインを指示薬として、水中に発生した塩化水素を0.01規定の水酸化ナトリウム標準水溶液(力価f)にて滴定(滴定量b(ml))した。
以上の結果から、ブロック共重合体(Z)のイオン交換容量を次式により求めた。
イオン交換容量(meq/g)=(0.01×b×f)/a
ブロック共重合体(Z0)の数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により下記の条件で測定した。
装置:東ソー(株)製、商品名:HLC−8220GPC
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム:東ソー(株)製、商品名:TSK−GEL(TSKgel G3000HxL(内径7.6mm、有効長30cm)を1本、TSKgel Super Multipore HZ−M(内径4.6mm、有効長15cm)を2本の計3本を直列で接続)
カラム温度:40℃
検出器:RI
送液量:0.35ml/分
数平均分子量計算:標準ポリスチレン換算
後述の実施例及び比較例で得たブロック共重合体(1)〜(4)について、下記1)〜3)の物性を測定するため、試験膜を製造した。
ブロック共重合体(1)の13質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比75/25)溶液を調製し、離型処理済PETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約450μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃で4分間乾燥後、25℃で離型処理済PETフィルムから剥離させて、厚さ30μmの高分子電解質膜(試験膜(1)と称する)を得た。
ブロック共重合体(2)の14質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比825/175)溶液を調製し、離型処理済PETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約350μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃で4分間乾燥後、25℃で離型処理済PETフィルムから剥離させて、厚さ29μmの高分子電解質膜(試験膜(2)と称する)を得た。
ブロック共重合体(3)の12質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離型処理済PETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約100μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃で4分間乾燥後、さらに約300μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃で4分間乾燥後、25℃で離型処理済PETフィルムから剥離させて、厚さ30μmの高分子電解質膜(試験膜(3)と称する)を得た。
ブロック共重合体(4)の19質量%トルエン/イソプロピルアルコール(質量比5/5)溶液を調製し、離型処理済PETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約350μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃で4分間乾燥後、25℃で離型処理済PETフィルムから剥離させて、厚さ30μmの高分子電解質膜(試験膜(4)と称する)を得た。
試験膜(1)〜(4)より試験片を切り出し、広域動的粘弾性測定装置(レオロジ社製「DVE−V4FTレオスペクトラー」)を使用して、引張りモード(周波数:11Hz)で、昇温速度を3℃/分、−80℃から250℃まで昇温して、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)及び損失正接(tanδ)を測定した。結晶化オレフィン重合体に由来する80〜100℃における貯蔵弾性率の変化がないことに基づき、重合体ブロック(B)の非晶性を判断した。この結果、下記実施例、比較例で得られたすべてのブロック共重合体について、重合体ブロック(B)は非晶性であった。また、損失正接のピーク温度より、重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)の軟化温度を測定した。なお、重合体ブロック(C)と重合体ブロック(A)の損失正接のピーク温度が近いため、ピーク分割処理にてそれぞれのピークに分割し、重合体ブロック(C)の軟化温度を特定した。
試験膜(1)〜(4)から1cm×4cmの試験片を切り出し、一対の金電極で挟み、開放系セルに装着した。測定セルを温度90℃、相対湿度30%の雰囲気下に設置し、交流インピーダンス法によりプロトン伝導度を測定した。
3−1)25℃、相対湿度50%における破断伸びの測定
試験膜(1)〜(4)からダンベル状の試験片を切り出し、25℃、相対湿度50%の条件で調湿したのち、引張試験機(インストロンジャパン社製5566型)にセットし、25℃、相対湿度50%、引張速度500mm/min.の条件において、破断伸びを測定した。
3−2)25℃、湿潤時における破断伸びの測定
試験膜(1)〜(4)からダンベル状の試験片を切り出し、25℃の蒸留水中に12時間浸漬させたのち、3−1)と同様に破断伸びを測定した。
[参考例1]
乾燥後、窒素置換した内容積1400mlのオートクレーブに、脱水したシクロヘキサン664ml、及びsec−ブチルリチウム(1.0mol/Lシクロヘキサン溶液)1.65mlを添加した後、60℃にて撹拌しつつ、スチレン27.4ml、4−tert−ブチルスチレン13.8ml、スチレン27.4ml、4−tert−ブチルスチレン13.8ml、イソプレン111ml、4−tert−ブチルスチレン13.8ml、スチレン27.4ml、及び4−tert−ブチルスチレン13.8mlを順次添加して重合し、ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、STSTITST−1と略記する)を製造した。
得られたSTSTITST−1の数平均分子量は196,000であり、1H−NMR(400MHz)から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は93.8%、スチレン単位の含有量は35.4質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は24.4質量%であった。
得られたSTSTETST−1のポリイソプレンに由来する炭素−炭素二重結合量を、1H−NMRスペクトル(400MHz)により算出を試みたが、検出限界以下であった。
乾燥後、窒素置換した内容積2000mlのオートクレーブに、脱水したシクロヘキサン851ml、及びsec−ブチルリチウム(1.15mol/Lシクロヘキサン溶液)2.79mlを添加した後、60℃にて撹拌しつつ、4−tert−ブチルスチレン6.2ml、スチレン17.5ml、4−tert−ブチルスチレン6.0ml、イソプレン51.0ml、4−tert−ブチルスチレン5.9ml、スチレン17.0ml、及び4−tert−ブチルスチレン5.8mlを順次添加して重合し、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、TSTITSTと略記する)を製造した。
得られたTSTITSTの数平均分子量は52,000であり、1H−NMR(400MHz)から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は93.8%、スチレン単位の含有量は34.8質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は24.2質量%であった。
得られたTSTETSTのポリイソプレンに由来する炭素−炭素二重結合量を1H−NMRスペクトル(400MHz)により算出を試みたが、検出限界以下であった。
乾燥後、窒素置換した内容積2000mlのオートクレーブに、脱水したシクロヘキサン904ml、及びsec−ブチルリチウム(0.83mol/Lシクロヘキサン溶液)2.00mlを添加した後、60℃にて撹拌しつつ、スチレン28.8ml、4−tert−ブチルスチレン20.8ml、スチレン28.8ml、4−tert−ブチルスチレン20.8ml、イソプレン91.5ml、4−tert−ブチルスチレン20.8ml、スチレン28.8ml、及び4−tert−ブチルスチレン20.8mlを順次添加して重合し、ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリイソプレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、STSTITST−2と略記する)を製造した。
得られたSTSTITST−2の数平均分子量は126,000であり、1H−NMR(400MHz)から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は93.7%、スチレン単位の含有量は35.4質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は34.4質量%であった。
得られたSTSTETST−2のポリイソプレンに由来する炭素−炭素二重結合量を1H−NMRスペクトル(400MHz)により算出を試みたが、検出限界以下であった。
乾燥後、窒素置換した内容積1400mlのオートクレーブに、脱水したシクロヘキサン865ml、及びsec−ブチルリチウム(1.2mol/Lシクロヘキサン溶液)1.27mlを添加した後、60℃にて撹拌しつつ、4−tert−ブチルスチレン36.1ml、スチレン51.0ml、イソプレン148.8ml、スチレン49.4ml及び4−tert−ブチルスチレン33.7mlを順次添加して重合し、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)−b−ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリ(4−tert−ブチルスチレン)(以下、TSISTと略記する)を製造した。
得られたTSISTの数平均分子量は86,000であり、1H−NMR(400MHz)から求めたポリイソプレン部位の1,4−結合量は93.8%、スチレン単位の含有量は35.2質量%、4−tert−ブチルスチレン単位の含有量は25.1質量%であった。
得られたTSESTのポリイソプレンに由来する炭素−炭素二重結合量を1H−NMRスペクトル(400MHz)により算出を試みたが、検出限界以下であった。
(ブロック共重合体(1)の製造)
乾燥後、窒素置換した内容積200mlの三口フラスコに、塩化メチレン72.7ml及び無水酢酸36.4mlを添加し、0℃にて撹拌しつつ濃硫酸16.3mlを滴下し、さらに0℃にて60分間攪拌して、スルホン化剤を調製した。
一方、参考例1で得られたブロック共重合体STSTETST−1を20g、攪拌機を備えた内容積3Lのガラス製反応容器に入れ、系内を窒素置換した後、塩化メチレン250mlを加えて25℃で4時間攪拌して溶解させた。この溶液に、先に調製したスルホン化剤114mlを5分かけて滴下した。25℃で48時間攪拌後、蒸留水25.2mlを加えて反応を停止し、攪拌しながらさらに、蒸留水225mlを徐々に滴下して、ブロック重合体を析出させた。この混合液から塩化メチレンを留去した後、ろ過してブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体をビーカーに入れ、蒸留水を1.0L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過によりブロック共重合体を回収した。この洗浄及びろ過操作を、洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、得られたブロック共重合体を減圧下で乾燥して、スルホン化STSTETST−1(以下、ブロック共重合体(1)と称する)を得た。
得られたブロック共重合体(1)のスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)から100モル%、滴定の結果からイオン交換容量は2.65meq/gであった。
前述の試験膜(1)の製造と同様の手法で、厚さ30μmの高分子電解質膜を得た。
(ブロック共重合体(2)の製造)
乾燥後、窒素置換した内容積2000ml三口フラスコに、塩化メチレン581ml及び無水酢酸290mlを添加し、0℃にて撹拌しつつ濃硫酸を130ml滴下し、さらに0℃にて60分間攪拌して、スルホン化剤を調製した。
一方、参考例2で得られたブロック共重合体TSTETSTを130g、攪拌機を備えた内容積5Lのガラス製反応容器に入れ、系内を窒素置換した後、塩化メチレン1625mlを加えて25℃で4時間攪拌して溶解させた。この溶液に、先に調製したスルホン化剤909mlを、5分かけて滴下した。25℃で48時間攪拌後、蒸留水160mlを加えて反応を停止し、攪拌しながらさらに蒸留水1465mlを徐々に滴下して、ブロック共重合体を析出させた。この混合液から塩化メチレンを留去した後、ろ過してブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体をビーカーに入れ、蒸留水を1.0L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過によりブロック共重合体の回収をした。この洗浄及びろ過操作を、洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、得られたブロック共重合体を減圧下で乾燥してスルホン化TSTETST(以下、ブロック共重合体(2)と称する)を得た。
得られたブロック共重合体(2)のスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)から100モル%、滴定の結果からイオン交換容量は2.61meq/gであった。
前述の試験膜(2)の製造と同様の手法で、厚さ29μmの高分子電解質膜を得た。
(高分子電解質膜の作製)
ブロック共重合体(1)の9質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比75/25)溶液を調製し、離型処理済PETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約100μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃で4分間乾燥させた後、全芳香族液晶ポリエステル系不織布(厚み13μm、空孔率67%)を該電解質膜上に固定し、さらに約100μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃で4分間乾燥させ、さらに約150μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃で4分間乾燥させることで、厚さ23μmの高分子電解質膜を得た。
(ブロック共重合体(3)の製造)
乾燥後、窒素置換した内容積1l三口フラスコに、塩化メチレン262ml及び無水酢酸131mlを添加し、0℃にて撹拌しつつ濃硫酸を58.7ml滴下し、さらに0℃にて60分間攪拌して、スルホン化剤を調製した。
一方、参考例3で得られたブロック共重合体STSTETST−2を72g、攪拌機を備えた内容積5Lのガラス製反応容器に入れ、窒素置換した後、塩化メチレン900mlを加え、25℃で4時間攪拌して溶解させた。この溶液に、先に調製したスルホン化剤411mlを、5分かけて滴下した。25℃で48時間攪拌後、蒸留水91.0mlを加えて反応を停止し、攪拌しながらさらに蒸留水1000mlを徐々に滴下し、ブロック重合体を析出させた。この混合液から塩化メチレンを留去した後、ろ過によりブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体をビーカーに入れ、蒸留水を1.0L加えて、攪拌しながら洗浄を行った後、ろ過によりブロック共重合体を回収した。この洗浄及びろ過操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後に回収したブロック共重合体を減圧下で乾燥してスルホン化STSTETST−2(以下、ブロック共重合体(3)と称する)を得た。
得られたブロック共重合体(3)のスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)から100モル%、滴定の結果からイオン交換容量は2.65meq/gであった。
前述の試験膜(3)の製造と同様の手法で、厚さ30μmの高分子電解質膜を得た。
(高分子電解質膜の製造)
ブロック共重合体(3)の9質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離型処理済PETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約100μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃で4分間乾燥させた後、全芳香族液晶ポリエステル系不織布(厚み13μm、空孔率67%)を該電解質膜上に固定し、さらに約100μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃で4分間乾燥させ、さらに約150μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃で4分間乾燥させることで、厚さ23μmの高分子電解質膜を得た。
(ブロック共重合体(4)の製造)
乾燥後、窒素置換した内容積2lの三口フラスコに、塩化メチレン492.8ml及び無水酢酸246.4mlを添加し、0℃にて攪拌しつつ濃硫酸110.2mlを滴下し、さらに0℃にて60分間攪拌して、スルホン化剤を調製した。
一方、参考例4で得られたブロック共重合体TSESTを100g、攪拌機を備えた内容積5Lのガラス製反応容器に入れ、窒素置換した後、塩化メチレン1337mlを加え、25℃で4時間攪拌して溶解させた。この溶液に、先に調製したスルホン化剤566.3mlを、5分かけて滴下した。25℃で48時間攪拌後、蒸留水130mlを加えて反応を停止し、攪拌しながらさらに蒸留水1200mlを徐々に滴下し、ブロック共重合体を析出させた。この混合液から塩化メチレンを留去した後、ろ過によりブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体をビーカーに移し、蒸留水を1.0L添加して、攪拌下で洗浄を行った後、ろ過によりブロック共重合体を回収した。洗浄及びろ過操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、得られたブロック共重合体を減圧下で乾燥してスルホン化TSEST(以下、ブロック共重合体(4)と称する)を得た。
得られたブロック共重合体(4)のスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR(400MHz)から100モル%、滴定の結果からイオン交換容量は2.64meq/gであった。
前述の試験膜(4)の製造と同様の手法で、厚さ30μmの高分子電解質膜を得た。
以下の試験において、実施例及び比較例で得られた高分子電解質膜の耐久性を評価するため、固体高分子型燃料電池用単セルは以下の手順で作製した。Pt触媒担持カーボンに、Nafionの10質量%水分散液を、カーボンとNafionとの質量比が1:1になるように添加混合し、ついでn−プロピルアルコールを、水/n−プロピルアルコールの質量比が1/1になるまで添加混合し、均一に分散されたペーストを調製した。このペーストをスプレー法にて、カーボンペーパーの片面に均一に塗布した。130℃で30分乾燥させ、電極を作製した。その後、実施例、比較例で作製した高分子電解質膜を、上記の電極でそれぞれ膜と触媒面とが向かい合うように挟み、その外側を2枚の耐熱性フィルム及び2枚のステンレス板で順に挟み、ホットプレス(115℃、2MPa、8min)により膜−電極接合体を作製した。ついで作製した膜−電極接合体を、2枚のガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータで挟み、さらにその外側を2枚の集電板及び2枚の締付板で挟み、固体高分子型燃料電池用単セル(電極面積は25cm2)を作製した。
上記で得られた固体高分子型燃料電池用単セルの温度を80℃にした後、かかる固体高分子型燃料電池用単セルの両極に、100%R.H.に加湿した窒素ガスを1000ml/minで3分間供給することで高分子電解質膜を固体高分子型燃料電池が起動している間の湿潤状態と同様の環境にした。次いで、乾燥窒素ガスを1000ml/minで7分間供給して固体高分子型燃料電池が停止している間の乾燥状態と同様の環境にした。以上を固体高分子型燃料電池の起動停止モデルの1サイクルとした。
かかる固体高分子型燃料電池の起動停止モデルの操作を繰り返して、250サイクル毎に試験を中断し、アノードへ水素、カソードへ窒素を供給し、リニアスイープボルタンメトリーを実施し、アノードからカソードへの水素リークにより生じる電流値を測定した。0.4Vの時の電流値が試験前の値と比べて10倍以上となった時点で膜の破断を生じたと判断し、サイクル数を記録し、耐久性の指標とした。実用上、2000サイクル以上であれば問題なく、5000サイクルにおいて膜が破断しないものは特に優れていると判断した。
Claims (8)
- イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(A0)、イオン伝導性基を有さない非晶性オレフィン重合体ブロック(B)、及びイオン伝導性基を有さない芳香族ビニル化合物重合体ブロック(C)からなる7または8個の重合体ブロックからなり、前記重合体ブロック(A0)又は重合体ブロック(C)を末端重合体ブロックとし、前記重合体ブロック(B)の両端に結合する重合体ブロックが重合体ブロック(C)のみである構造からなるブロック共重合体(Z0)の、前記重合体ブロック(A0)にイオン伝導性基を導入した構造からなり、25℃、相対湿度50%、引張速度500mm/min.における破断伸びが300%以上であるブロック共重合体(Z)を含む高分子電解質膜。
- 前記ブロック共重合体(Z0)が、イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(A0)15〜45質量%と、イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(B)15〜35質量%と、イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(C)35〜55質量%とからなる、請求項1に記載の高分子電解質膜。
- 前記イオン伝導性基を有さない重合体ブロック(A0)が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロックである請求項1又は2に記載の高分子電解質膜。
- 前記イオン伝導性基が、−SO3M又は−PO3HM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で示される基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子電解質膜。
- 前記重合体ブロック(B)が軟化温度30℃以下の非晶性オレフィン重合体ブロックである請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子電解質膜。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の高分子電解質膜を備える膜−電極接合体。
- 請求項7に記載の膜−電極接合体を備える固体高分子型燃料電池。
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