JP2013077808A - 基板製造方法および配線基板の製造方法 - Google Patents

基板製造方法および配線基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス基板に形成された貫通孔内に金属を充填する際に、当該貫通孔の孔内の底
部形状の影響を排除して、当該貫通孔の孔内におけるボイド発生を防止する。
【解決手段】貫通孔3が形成されたガラス基板2の一面側に第1メッキ層4aを形成して
貫通孔3の開口部を閉塞する第1の工程と、第1メッキ層4aを用いて行う電解メッキに
よりガラス基板2の他面側から第2メッキ層4bを堆積する第2の工程とを備える基板製
造方法において、第2の工程は、貫通孔3の底部の凹状窪みを平坦に均す平坦化段階と、
平坦に均した後の孔内に第2メッキ層4bを堆積させて当該孔内を埋める充填段階とを有
する。そして、少なくとも平坦化段階では、電解メッキとして、正の極性のフォワード電
流と負の極性のリバース電流を交互に与えるパルスメッキを行う。
【選択図】図3

Description

本発明は、ガラス基板を用いた基板製造方法および配線基板の製造方法に関する。
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical System)等の電子部品が実装される配線基板に対しては、高い接続信頼性を確保しつつ電子部品等の高密度実装を可能にすることが求められている。これに応えるべく、配線基板については、樹脂基板ではなく、平滑性、質性、絶縁性、耐熱性等に優れたガラス基板をコア基板として用い、そのガラス基板の表面に連通する貫通孔の孔内に金属を充填することで、基板表裏面に形成された各電気配線を確実に導通させることを可能とし、これにより微細化や高密度化等に対応し得るようにすることが、本願発明者らによって提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このようなガラス基板からなる配線基板は、以下に述べる手順で製造される。具体的には、例えば特許文献1に開示されているように、ガラス基板に貫通孔を形成する工程を行った後、メッキ法によって貫通孔内に金属を充填する工程を行う。そして、金属を充填する工程では、その初期段階において、ガラス基板の表裏面における貫通孔の開口部のいずれか一方を金属で閉塞し、その後、閉塞によって形成された孔内の底部に他方の開口部の側から金属を堆積して当該他方の開口部に向けて成長させることで貫通孔内に金属を充填する。
国際公開第2005/027605号
孔内への金属の充填は、電解メッキ法を用いて行えば、スパッタや蒸着等の他の成膜手法に比べて、コスト面での優位性が高い。ただし、コア基板がガラス基板である場合は、金属を充填すべき孔が貫通孔なので、電解メッキ法による金属充填に際して、上述したように、初期段階で一方の開口部を金属で閉塞し、その後に他方の開口部の側から孔内に金属を充填するという製造手順を経る必要がある。つまり、樹脂基板や半導体基板等で一般的な非貫通孔(いわゆるブラインドビア)の場合とは異なり、無電解メッキでビア内の全面に導電膜を形成した後、その導電膜を電極として用いつつ電解メッキ法によりビア内に金属を充填するといった製造手順を採ることができない。
ところが、初期段階で貫通孔の一方の開口部を金属で閉塞した後に孔内に金属を充填するという製造手順を経る場合には、ブラインドビアの場合(ビア内全面に導電膜を形成して金属充填を行う場合)とは全く異なる発生態様のボイドが孔内に生じ得ることがわかった。この点(貫通孔の場合とブラインドビアの場合とのボイド発生態様の相違)につき鋭意検討を重ねた結果、本願発明者は、一方の開口部を閉塞する際に金属によって形成される孔内底部の形状に着目し、その底部の形状に起因してボイドが発生してしまうという新たな知見を得るに至った。
例えば、開口部を閉塞する金属の層は、貫通孔の中央部で凹んだような形状で当該開口部を閉塞することがある(例えば特許文献1の図12参照)。その場合、開口部の閉塞によって、貫通孔の孔内には、金属による断面凹状(具体的には断面U字状または断面V字状)の底部が形成されることになる。
このような断面凹状の底部が形成されている状態で、電解メッキ法により当該底部に金属を堆積すると、堆積金属の基になる金属イオンは付着し易い箇所に集中することから、他方の開口部に最も近い断面凹状の最上部(以下「頂部」ともいう)近傍に金属イオンが集中してしまう。つまり、断面凹状の頂部近傍には金属が堆積し易い一方で、断面凹状の窪み(特に窪みの最下部)近傍には金属が堆積し難くなってしまう。したがって、窪みが金属によって埋まる前に、頂部近傍に堆積した金属同士が繋がってしまい、その結果として窪みの内側部分にボイドが発生してしまうのである。
このようにして孔内に発生するボイドは、電気抵抗の増大による導通の悪化を招く要因となり、配線基板における接続信頼性の低下に繋がることが考えられるため、その発生を未然に防止すべきである。
本発明は、上述した本願発明者による新たな知見に基づきなされたもので、ガラス基板に形成された貫通孔内に金属を充填する際に、当該貫通孔の孔内の底部形状の影響を排除することを可能とし、これにより当該貫通孔の孔内におけるボイド発生を未然に防止できる基板製造方法および配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
本明細書に開示する基板製造方法は、ガラス基板の表裏面に連通する貫通孔の孔内に金属材が充填されている基板を製造する基板製造方法である。
本基板製造方法には、前記ガラス基板の一面側に第1金属材の層を形成して当該一面側における前記貫通孔の開口部を閉塞するとともに、当該閉塞によって前記貫通孔の孔内に前記第1金属材による断面凹状の底部が形成される第1の工程と、前記第1金属材の層を用いて行う電解メッキにより前記ガラス基板の他面側から前記貫通孔の孔内に第2金属材を充填する第2の工程とが含まれている。
本基板製造方法は、前記第2の工程が前記底部の凹状窪みを前記第2金属材によって平坦に均す平坦化段階と、平坦に均した後の前記底部および前記ガラス基板の構成材料が露出する側壁によって囲まれる孔内に前記第2金属材を堆積させて当該孔内を埋める充填段階とを有しており、少なくとも前記平坦化段階では、前記電解メッキとして、正の極性のフォワード電流と負の極性のリバース電流を交互に与えるパルスメッキを行うことが特徴である。
メッキ成長は、電解液に向かって凸形状を有する領域から進行する。貫通孔の開口が他の開口から見て凹状の底部を形成するように閉塞されて有底孔となった場合には、第1金属材から構成される凹状底部の輪郭部分が電解液に凸な領域になり、しかも電解液が孔の内外を流通しがたいため、その部分(頂部近傍)のメッキ成長が早くなる。その結果、断面凹状の窪み部分において、金属イオン濃度が低下してしまう。本基板製造方法によれば、第2工程の平坦化段階において、頂部近傍への金属イオンの集中を抑制し、底部に第2金属材を堆積させることで、凹状に形成された底部は平らになる。メッキ成長が早く進む領域がなくなるため、充填化段階でボイドが発生するリスクが軽減される。また、電解液中の金属イオン濃度の低下も抑制できる。
本基板製造方法は、前記平坦化段階に加えて前記充填段階においても、前記電解メッキとして前記パルスメッキを行うと好ましい。
前述したように、メッキ浴の電解液に向けて凸な領域が形成されていると、その領域のメッキ成長が早くなる。充填段階は、メッキ成長過程が長いため、その過程で凸部が形成される可能性がある。本基板製造方法によれば、充填段階においてパルスメッキを行うと、フォワード電流時に形成された凸部をリバース電流で平坦化するため、充填段階で出現した凸部に集中してメッキ成長が生じる現象を抑制することができる。
本基板製造方法は、前記充填段階に先立って少なくとも前記側壁を粗化する粗化工程を備えると好ましい。
充填段階でメッキ成長する金属と孔の側壁は密着性に乏しい。充填された金属と孔の側壁は、単に化学的作用を持たずに接触しているにすぎないからである。本基板製造方法によれば、側壁を粗化することにより、金属は側壁の凹凸に噛みあうように接触する。その結果、孔の壁面は充填金属を確実に保持固定することができる。
本基板製造方法は、前記第1金属材と前記第2金属材とが同一金属材であると好ましい。
第1金属材と第2金属材が同一である場合、それぞれの金属の電気的特性の相違から生じる電気的界面が発現しなくなる。
本基板製造方法は、前記第1金属材および前記第2金属材が、銅、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、クロム、アルミニウム、ロジウムのいずれか1種から構成される金属または2種以上から構成される合金であると好ましい。
本基板製造方法は、前記電解メッキを定電流で行うことが好ましい。ここでいう定電流とは、メッキ成長に係る電極反応を進める電流を、電流値の管理を持って行うことを示しており、単一の電流値で行うことのみを示さない。具体的には、パルスメッキ制御において、特定の正電流値と特定の負電流値を設定し、それら正電流値、負電流値の値を時間軸に対して設定して制御する方法も、ここでいう「定電流」に含まれる。
電解メッキによって成長する金属の量は、電気量(電流×時間)に比例する。電流制御で電解メッキを実施することで、メッキ成長具合を把握することができるので好ましい。
本明細書では、配線基板の製造方法も開示する。本配線基板の製造方法は、前述までの基板製造方法により、貫通孔に金属を充填しているガラス基板を製造した後、前記ガラス基板の第1面および第2面のうち少なくとも一方に配線パターンを形成することを特徴とする配線基板の製造方法である。
本発明によれば、ガラス基板に形成された貫通孔内に金属を充填する際に、当該貫通孔
の孔内におけるボイド発生を未然に防止することができ、これにより電子部品等の接続信
頼性の高い高密度実装を可能とする配線基板を実現することができる。
本発明の実施の形態に係る配線基板の構成例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る配線基板の製造方法を説明する工程図(その1)である。 本発明の実施の形態に係る配線基板の製造方法を説明する工程図(その2)である。 貫通孔の断面形状を示す拡大図である。 本発明の実施の形態に係るパルス反転メッキ法を説明するタイムチャートである。 本発明の実施の形態に係る配線基板の製造方法を説明する工程図(その3)である。 本発明の実施の形態に係る配線基板の製造方法を説明する工程図(その4)である。
本明細書に記載する実施形態の特徴について最初に列記する。
(特徴1)ガラス基板は感光性ガラスで構成されている。感光性ガラス基板は貫通孔を高精度に形成することができるので、ガラス配線基板、特に、両面ガラス配線基板に適している。
(特徴2)感光性ガラス基板は、イオンマイグレーションを抑制する前処理を行ったものを用意する。
感光性ガラス基板には、リチウムイオンやカリウムイオンといったアルカリ金属イオンが含まれている。紫外線照射や熱処理を行うことにより、アルカリ金属イオンが基板中に固定される。アルカリ金属イオンの移動が抑制されるので、イオンマイグレーションも抑制される。
(特徴3)メッキ下地層は、貫通孔の第1の開口側に位置する側壁面にも形成している。側壁部に形成することによって、第1の工程で第1開口部を肉厚な金属で閉塞することができる。
(特徴4)メッキ下地層は二層構造であり、ガラス基板上に最初に形成される層はクロム層である。ガラス表面にクロム膜は密着性よく製膜される。密着性に優れた層を介することにより、ガラスと充填金属の接合状態を向上させることができる。
(特徴5)充填工程(第2の工程)のメッキ電流密度は、開口閉塞工程(第1の工程)よりも低い。
充填工程におけるメッキ成長は、金属をより緻密に充填するために遅い速度で成長させることが好ましい。
(特徴6)ガラス基板の貫通孔は、第1開口に向けて裾広がり形状(フレア状)である。メッキ下地層を真空蒸着法やスパッタ法で形成する場合、ガラス基板は、蒸発源やターゲットに第1面側を向けて製膜する。貫通孔が第1開口に向けて裾広がりの形状であれば、貫通孔の裾広がりな領域に位置する側壁部が蒸発源やターゲットに向くため、側壁部に確実にメッキ下地層を形成することができる。
以下、図面に基づき本発明に係る基板製造方法および配線基板の製造方法について説明する。
本実施形態では、以下の順序で説明を行う。
1.配線基板の概略構成
2.配線基板の製造方法の手順
2−1.貫通孔形成工程
2−2.ガラス基板改質工程
2−3.壁面粗化工程
2−4.貫通孔充填工程
(1)準備工程(メッキ下地層形成)
(2)第1の工程(開口部閉塞)
(3)第2の工程(孔内金属充填)
(i)平坦化段階
(ii)充填段階
(iii)電解メッキ制御
(4)第3の工程(不要層除去)
2−5.配線パターン形成工程
3.本実施形態の効果
4.変形例等
<1.配線基板の概略構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る配線基板の構成例を示す断面図である。
図例の配線基板1は、そのコア基板としてガラス基板2を用いて構成されている。ガラス基板2には、複数(図1では1つのみ表示)の貫通孔3が設けられている。貫通孔3には、金属4が充填されている。ガラス基板2の表裏面には、それぞれ、密着層5を介して、配線経路に応じたパターン形状の配線パターン6が形成されている。このことから、配線基板1は、両面配線基板を構成している。なお、以下の説明では、図1において、ガラス基板2の下面を第1面とし、ガラス基板2の上面を第2面とする。つまり、ガラス基板2の第1面と第2面は、互いに表裏の関係になっている。
ガラス基板2は、感光性ガラス基板を用いて構成されている。ガラス基板2に用いられる感光性ガラス基板は、その平滑性、硬質性、絶縁性、加工性等の面で、配線基板1のコア基板として優れている。このような性質は、感光性ガラスのほかに、ソーダライムガラス等の化学強化ガラス、無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス等でも同様であり、これらのガラスも配線基板1のコア基板に用いることが可能である。
貫通孔3は、平面視円形に形成されている。本発明を実施するにあたって、貫通孔3の配置に特に制限はない。このため、貫通孔3については、例えば、所望する配線パターン6のパターン形状に合わせてランダムに配置してもよいし、予め決められた間隔でマトリクス状に配置してもよいし、マトリクス状以外の配列で配置してもよい。
金属4は、上述したようにガラス基板2の両面(第1面、第2面)に形成された配線パターン6同士を電気的に接続するものである。このため、金属4は、電気抵抗の低い金属材料(導電材料)であることが好ましい。また、本実施形態においては、貫通孔3を金属4で埋め込む手法として電解メッキを利用する。このため、金属4は、電解メッキに適した金属材料であることが望ましい。具体的には、金属4は、銅、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、クロム、アルミニウム、ロジウムのいずれか一種から構成される金属または二種以上から構成される合金である。本実施形態においては、金属4を銅で構成しているものとする。
密着層5は、ガラス基板2に対する配線パターン6の密着力を強化する層である。密着層5は、配線パターン6と同一のパターン形状をなしている。本実施形態においては、配線パターン6を金属4と同様に銅で構成している。この銅をガラス基板2上に直接積層すると十分な密着力が得られない。このため、ガラス基板2と配線パターン6との間に密着層5を介在させている。密着層5は、クロム層と銅層の2層構造でもよいし、それらの層間にクロム銅層を介在させた3層構造でもよいし、4層以上の多層構造でもよい。本実施形態においては、一例として、密着層5を3層構造にしている。具体的には、密着層5の構造を、ガラス基板2上にクロム層5a、クロム銅層5bおよび銅層5cを順に積層した3層構造にしている。
配線パターン6は、密着層5の上に積層した状態で形成されている。より具体的には、配線パターン6は、密着層5の最上層となる銅層5cの上に形成されている。ガラス基板2の第1面に形成された配線パターン6の一部と、ガラス基板2の第2面に形成された配線パターン6の一部とは、貫通孔3に充填された金属4を介して電気的に接続(導通)されている。
<2.配線基板の製造方法の手順>
次に、配線基板の製造方法について説明する。
配線基板の一連の製造工程のなかには、貫通孔形成工程、ガラス基板改質工程、壁面粗化工程、貫通孔充填工程、および、配線パターン形成工程が含まれる。このうち、配線パターン形成工程を除く一連の工程は、本実施形態の基板製造方法に含まれる工程となる。
(2−1.貫通孔形成工程)
貫通孔形成工程は、ガラス基板2に貫通孔3を形成する工程である。貫通孔形成工程は、表裏の関係にある第1面および第2面を有する板状のガラス基材に、第1面側を第1開口部とし、かつ、第2面側を第2開口部とする貫通孔を形成してなるガラス基板を用意する工程に相当する。このため、貫通孔3付きのガラス基板2を入手する手法としては、貫通孔形成工程を行う以外にも、例えば、他のメーカーから貫通孔3付きのガラス基板2を購入してもよい。貫通孔3の形成方法としては、例えば、レーザー加工法やフォトリソグラフィ法を用いることができる。本実施形態においては、貫通孔3を高精度に形成するうえで、レーザー加工法よりも有利なフォトリソグラフィ法を用いることにする。フォトリソグラフィ法は露光および現像の各処理を経て行われる。このため、貫通孔3の形成対象となるガラス基材には、感光性の物質をガラス中に分散させた感光性ガラスを用いることにする。
その場合、ガラス基板2は、感光性を示すものであれば特に制限はない。ガラス基板2には、感光性成分として金(Au)、銀(Ag)、亜酸化銅(CuO)または酸化セリ
ウム(CeO)のうち少なくとも1種を含んでいることが好ましく、2種以上含んでい
ることがより好ましい。このようなガラス基板2としては、例えば質量%で、SiO:55%〜85%,酸化アルミニウム(Al):2%〜20%,酸化リチウム(LiO):5%〜15%,SiO+Al+LiO>85%を基本成分とし、Au:0.001%〜0.05%,Ag:0.001%〜0.5%,CuO:0.001%〜1%を感光性金属成分とし、更にCeO:0.001%〜0.2%を光増感剤として含有するものを用いることができる。
以下、フォトリソグラフィ法によってガラス基板2に貫通孔3を形成する場合の具体的な手順について説明する。まず、ガラス基板2の貫通孔3を形成する部分(以下「貫通孔形成部分」という。)を露光する。この露光処理では、マスク開口を有するフォトマスク(図示せず)を用いる。フォトマスクは、例えば、透明な薄いガラス基板に所望のパターン形状で遮光膜(クロム膜等)を形成し、この遮光膜で露光光(本形態例では紫外線)の通過を遮断するものである。上記露光処理では、このフォトマスクをガラス基板2の第1面または第2面に密着させて配置する。次に、フォトマスクを介してガラス基板2に紫外線を照射する。そうすると、ガラス基板2の貫通孔形成部分に対応してフォトマスクに形成されたマスク開口を通してガラス基板2に紫外線が照射される。
次に、ガラス基板2を熱処理する。熱処理は、感光性ガラス基板の転移点と屈伏点との間の温度で行うことが好ましい。転移点を下回る温度では熱処理効果が十分に得られず、屈伏点を上回る温度では感光性ガラス基板の収縮が起こって露光寸法精度が低下するおそれがあるためである。熱処理時間としては30分〜5時間程度とすることが好ましい。
このような紫外線照射と熱処理を行うことにより、紫外線が照射された貫通孔形成部分が結晶化される。その結果、図2(A)に示すように、ガラス基板2の貫通孔形成部分に露光結晶化部3aが形成される。
その後、上述のように露光結晶化部3aが形成されたガラス基板2を現像する。現像処理は、適度な濃度の希フッ化水素酸等のエッチング液を、現像液としてガラス基板2にスプレー等することにより行う。この現像処理により、露光結晶化部3aが選択的に溶解除去される。その結果、図2(B)に示すように、ガラス基板2に貫通孔3が形成される。この貫通孔3は、ガラス基板2の下面(第1面)と上面(第2面)にそれぞれ開口した状態となる。以降の説明では、ガラス基板2の下面側に開口する貫通孔3の開口部(第1開口部)を下開口部とし、ガラス基板2の上面側に開口する貫通孔3の開口部(第2開口部)を上開口部とする。
上記のフォトリソグラフィ法を用いた貫通孔3の形成方法によれば、ガラス基板2にアスペクト比10程度の貫通孔3を所望の数だけ同時に形成することができる。例えば、厚さ0.3mm〜1.5mm程度のガラス基板2を用いた場合には、孔径(直径)が30μm〜150μm程度の貫通孔3を所望の位置に複数同時に形成することができる。これにより、配線パターンの微細化、貫通孔形成工程の効率化を図ることが可能になる。さらに、配線の高密度化のために、ランド幅を極めて小さくする、あるいはランド幅をゼロとしたランドレス構造とする場合には、貫通孔3間のスペースを十分広く確保することができる。そのため、貫通孔3間にも配線を形成することが可能になり、配線パターンの設計自由度の拡大や配線密度の向上を図ることも可能になる。また、複数の貫通孔3を狭ピッチで形成することによって配線密度の向上を図ることも可能になる。
(2−2.ガラス基板改質工程)
貫通孔形成工程でガラス基板2に貫通孔3を形成した後は、ガラス基板改質工程を行う。
通常、感光性のガラス基板2には、リチウムイオン(Li)、カリウムイオン(K)等のアルカリ金属イオンが含まれている。これらのアルカリ金属イオンが配線基板1の配線金属に漏洩し、これに水が吸着すると、電圧が印加されている回路間において配線金属がイオン化し、これが再度電荷を受けて還元され析出するイオンマイグレーションが発生する。このイオンマイグレーションにより、最悪の場合には、析出した金属によって一方の回路から他方の回路に向かう配線が形成され、回路間が短絡してしまうおそれがある。このような短絡不良は、配線間隔が小さい場合に顕著となる。このため、微細な配線を高密度に形成するためにはイオンマイグレーションを抑止する必要がある。
ガラス基板改質工程では、貫通孔3が形成されたガラス基板2全体に、例えば紫外線を約700mJ/cmで照射し、その後、約850℃の温度で約2時間の熱処理を行うことにより、ガラス基板2を結晶化する。このように感光性のガラス基板2全体を結晶化することにより、結晶化前にくらべて、ガラス基板2に含まれるアルカリ金属イオンが移動しにくくなる。このため、イオンマイグレーションを効果的に抑止することができる。
(2−3.壁面粗化工程)
ガラス基板改質工程でガラス基板2を結晶化した後は、壁面粗化工程を行う。
壁面粗化工程は、少なくともガラス基板2に形成されている貫通孔3の側壁に対して、その表面の粗化を行う工程である。表面の粗化とは、当該表面を粗い面状態に変化させること、より具体的にはSEM(電子顕微鏡)観察で識別できる差異が生じる程度以上の面粗さの変化を伴う面処理を行うことをいう。なお、壁面粗化工程では、少なくとも貫通孔3の側壁面に対して粗化を行えばよいことから、当該側壁面の他にガラス基板2の表裏面や側端面等を粗化対象面として含んでいてもよい。
表面の粗化は、以下のような手法で行う。本実施形態においては、貫通孔3が形成され、かつ、結晶化された後のガラス基板2に対して、酸性フッ化アンモニウム(NHF・HF)と硫酸アンモニウム((NHSO)とが所定比率で混合されてなるエッチング液によるエッチングを行う。このようなエッチング処理を行うと、ガラス基板2を構成する各種結晶のうち、上記のエッチング液に溶け易いもの(例えば石英ガラス)が優先して選択的に溶解除去される。その結果、エッチング処理された表面(貫通孔3の孔内における側壁の表面を含む)には、微細なエッチング痕が多数形成されることになる。このエッチング痕の形成によって、ガラス基板2の表面が粗化される。
このようにして粗化された表面については、粗化をしない場合に比べると、後述する第2の工程における充填段階で貫通孔3の孔内に充填される金属材料の濡れ性が向上する。また、金属材料の充填後は、粗化によって形成されたエッチング痕の底部まで金属材料が入り込むことでアンカー効果が発揮されるので、粗化をしない場合に比べると、粗化された表面に対する金属材料の密着強度が向上する。
なお、壁面粗化工程での粗化は、必ずしも上述したエッチング処理で行う必要はなく、例えば機械的な研削処理を利用するような他の手法で行うものであってもよい。
(2−4.貫通孔充填工程)
壁面粗化工程で少なくとも貫通孔3の側壁面を粗化した後は、貫通孔充填工程を行う。貫通孔充填工程では、(1)準備工程(メッキ下地層形成)、(2)第1の工程(開口部閉塞)、(3)第2の工程(孔内金属充填)、および、(4)第3の工程(不要層除去)を順に行う。
(1)準備工程(メッキ下地層形成)
準備工程は、電解メッキによって貫通孔3の孔内に金属材料を充填するのに先立ち、ガラス基板2の下面側に金属のメッキ下地層7を形成する工程である。この工程では、ガラス基板2の上面側にメッキ下地層7を形成せず、ガラス基板2の下面側だけにメッキ下地層7を形成する。また、準備工程では、図3(A)に示すように、ガラス基板2の下面とあわせて、貫通孔3の下開口部(第1開口部)の縁から貫通孔3の側壁面の一部にかけてもメッキ下地層7を形成しておく。これにより、ガラス基板2の下面側に位置する貫通孔3の側壁面部分はメッキ下地層7で覆われるのに対して、ガラス基板2の上面側に位置する貫通孔3の側壁面部分はメッキ下地層7で覆われることなく露出した状態となる。ちなみに、ここで記述する「貫通孔3の側壁面の一部」とは、貫通孔3の深さ方向の一部を占める側壁面部分であって、かつ、貫通孔3の下開口部の縁から貫通孔3の奥側(上開口部)に向かって連続する側壁面部分をいう。
貫通孔3の深さ方向において、メッキ下地層7を形成する範囲は、ガラス基板2の除去予定領域8よりも貫通孔3の奥側に入り込んだ位置まで確保することが望ましい。ガラス基板2の除去予定領域8とは、後述する第3の工程でガラス基板2の表層部を機械加工により除去する際に、ガラス基板2の除去を予定している領域をいう。図3(A)においては、2本の二点鎖線で示す位置までガラス基板2の表層部を機械加工で除去する予定になっている。このため、ガラス基板2の機械加工(平坦化加工)を終えた段階では、2本の二点鎖線よりも内側の基板部分2aが、最終的にガラス基板2として残る部分になる。
ガラス基板2の除去予定領域8は、ガラス基板2の両面にそれぞれ設定されている。このうち、ガラス基板2の下面側に設定された除去予定領域8に関しては、機械加工によってガラス基板2の表層部を除去した後でも貫通孔3の下開口部がメッキ下地層7および第1メッキ層4a(後述)によって閉塞された状態となるように、メッキ下地層7を形成しておく。具体的には、除去予定領域8の境界位置(二点鎖線で示す位置)よりも貫通孔3の奥側までメッキ下地層7を形成しておく。
メッキ下地層7は、ガラス基板2との密着性が良好なスパッタリングによって形成することが望ましい。具体的には、ガラス基板2の下面側に、例えば厚さが約0.05μmのクロム層7aと厚さが約1.5μmの銅層7bを、スパッタリングにより順に積層することにより、2層構造のメッキ下地層7を形成する。その際、スパッタリングによってターゲットからはじき飛ばされた金属原子(以下、「スパッタ原子」とも記す)の一部が、貫通孔3の下開口部から貫通孔3内に進入し、貫通孔3の側壁面に付着する。このため、スパッタ原子を貫通孔3の側壁面に効率良く付着させるには、上記貫通孔形成工程において、貫通孔3の下開口部側の断面形状が裾広がり状(フレア状)となるように、ガラス基板2に貫通孔3を形成しておくことが望ましい。
具体的には、上記貫通孔形成工程において、露光結晶化部3aをエッチング液で溶解する場合に、エッチング液の濃度を適宜調整することにより、貫通孔3の深さ方向でガラス基板2の下開口部の縁に近い部分が遠い部分よりも多く溶けるようにする。これにより、貫通孔3の孔径が、深さ方向の中心部から上下の開口部に向かって徐々に大きくなるように、貫通孔3が形成されることになる。このように貫通孔3を形成しておけば、上記のクロム層7aおよび銅層7bのスパッタリングに際して、図4に示すように、貫通孔3の下開口部側の側壁面が貫通孔3の中心軸(一点鎖線)に対してフレア状に傾いた状態で配置される。このため、スパッタリングによって貫通孔3の下開口部から貫通孔3内に進入したスパッタ原子が、貫通孔3の側壁面に付着しやすくなる。貫通孔3の深さ方向におけるメッキ下地層7の形成範囲については、例えば、貫通孔3の深さ寸法(ガラス基板2の厚み寸法)の少なくとも1/20以上、より好ましくは1/10以上、さらに好ましくは1/5〜1/2程度の範囲とし、この範囲で貫通孔3の側壁面をメッキ下地層7で被覆すればよい。
(2)第1の工程(開口部閉塞)
準備工程に次いで行う第1の工程は、ガラス基板2の下面側に電解メッキによって第1金属材の層である第1メッキ層4aを形成することにより、貫通孔3の下開口部を第1メッキ層4aによって閉塞する工程である。この工程では、図3(B)に示すように、ガラス基板2の下面でメッキ下地層7の表面から第1メッキ層4aを成長させるとともに、貫通孔3の内部でもメッキ下地層7の表面から第1メッキ層4aを成長させることにより、貫通孔3の下開口部を第1メッキ層4aによって閉塞する。本実施形態においては、銅の電解メッキによって第1メッキ層4aを形成する。つまり、本実施形態では、第1メッキ層4aを構成する第1金属材として銅を用いる。
第1の工程の電解メッキでは、例えば、メッキ液である硫酸銅水溶液の入ったメッキ浴中に、銅板を陽極とし、ガラス基板2のメッキ下地層7を陰極として、それぞれ配置する。その際、メッキ下地層7が形成されているガラス基板2の下面側(第1面側)から電解メッキを行うために、ガラス基板2の下面側を陽極(銅板)に対向させる。この状態で陽極と陰極に直流電源を接続して所定の電圧を印加することにより、メッキ下地層7の表面に銅を析出させる。第1メッキ層4aの形成は、貫通孔3の孔径にも依存するが、通常よりも比較的高い電流密度の条件下(例えば、1A/dm〜5A/dm程度)で行うようにする。また、この電流密度は、メッキ液濃度にも依存するため、その値を適切に設定するようにする。一般的には、メッキ液濃度が高い場合には、低い場合にくらべて、より高い電流密度に設定することができる。このような電流密度条件下で電解メッキを行うことにより、貫通孔3の下開口部を第1メッキ層4aによって閉塞することができる。このとき、電解メッキによってメッキ下地層7の上に積層される第1メッキ層4aの一部は、貫通孔3の側壁面を這い上がるようにしてメッキ下地層7よりも貫通孔3の奥側まで成長する。また、貫通孔3内における第1メッキ層4aの表面は、貫通孔3の中心部分で断面略U字形または断面略V字状に凹んだ形状になる。つまり、下開口部の閉塞によって、貫通孔3の孔内には、第1メッキ層4aによる断面凹状(具体的には断面略U字状または断面略V字状)の底部が形成されることになる。
(3)第2の工程(孔内金属充填)
第1の工程に次いで行う第2の工程は、ガラス基板2の上面側からの電解メッキによって貫通孔3内に第2金属材からなる第2メッキ層4bを堆積することにより、貫通孔3を第2金属材で充填する工程である。ここで記述する「ガラス基板2の上面側からの電解メッキ」とは、ガラス基板2の上面および下面のうち、ガラス基板2の上面側にこれに対向するように陽極を配置するとともに、第1メッキ層4aを陰極として用いて行う電解メッキをいう。また、「貫通孔3を金属で充填する」とは、第1の工程において貫通孔3の下開口部を第1メッキ層4aで閉塞した場合に、貫通孔3内で第1メッキ層4aにより埋め込まれていない部分(未充填部分)を第2金属材で満たすことをいう。
第2の工程では、図3(C),(D)に示すように、貫通孔3の内部で第1メッキ層4aの表面から貫通孔3の上開口部に向かって第2メッキ層4bを成長させることにより、貫通孔3を第2金属材で充填する。本実施形態においては、上述した第1メッキ層4aと同様に、銅の電解メッキによって貫通孔3内に第2メッキ層4bを形成する。つまり、本実施形態では、第2メッキ層4bを構成する第2金属材として、第1メッキ層4aを構成する第1金属材と同一金属材である銅を用いる。この場合、貫通孔3の内部には、第1メッキ層4aおよび第2メッキ層4bを構成する銅と共に、メッキ下地層7(クロム層7a、銅層7b)を構成するクロムおよび銅が存在し、これらの金属によって貫通孔3が埋め込まれることになる。
第2の工程の電解メッキでは、例えば、メッキ液である硫酸銅水溶液の入ったメッキ浴中に、銅板を陽極とし、ガラス基板2の第1メッキ層4aを陰極として、それぞれ配置する。その際、第1メッキ層4aが形成されていないガラス基板2の上面側(第2面側)から電解メッキを行うために、ガラス基板2の上面側を陽極(銅板)に対向させる。この状態で陽極と陰極に直流電源を接続して電流を印加することにより、第1メッキ層4aの表面に銅を析出させる。これにより、先に貫通孔3内に形成されているメッキ下地層7および第1メッキ層4aと、第1メッキ層4aの上に積層される第2メッキ層4bとによって、貫通孔3を埋め込む。
ところで、本実施形態においては、第2の工程における貫通孔3の孔内への銅の充填、すなわち銅の電解メッキによる貫通孔3内への第2メッキ層4bの形成を、(i)平坦化段階と、(ii)充填段階とに分けて行う。以下、これらの各段階について説明する。
(i)平坦化段階
平坦化段階では、図3(C)に示すように、貫通孔3の孔内に形成された第1メッキ層4aによる断面凹状(具体的には断面略U字状または断面略V字状)の底部に対して、電解メッキにより第2メッキ層4bを形成することで、その底部の凹状窪みを平坦に均す。つまり、第1の工程で貫通孔3の下開口部を閉塞すると、貫通孔3の孔内には断面凹状の底部が形成されるので、その後に行う第2の工程の平坦化段階では、先ず、貫通孔3の孔内における底部の凹状窪みに対する平坦化を行うのである。
この平坦化段階での電解メッキ、すなわち貫通孔3の底部平坦化のための電解メッキは、いわゆるパルス反転メッキ法を用いて行う。パルス反転メッキ法では、正の極性のフォワード電流と負の極性のリバース電流を交互に与えるパルスメッキを行う。このような技法を用いて電解メッキを行えば、リバース電流の印加時にメッキ層の厚い部分(例えば凹状底部の頂部近傍)から金属材を電解液に再び戻すことになるので、金属材の付き易い部分のメッキ層を厚くし過ぎることなく、金属材の付き難い部分(例えば凹状底部の窪み部分)にもメッキ層を形成することができる。
なお、パルス反転メッキ法によるパルスメッキの詳細については、後述する(iii)電解メッキ制御において具体例を挙げて説明する。
本実施形態においては、平坦化段階でパルス反転メッキ法によるパルスメッキを行うので、第1メッキ層4aによって形成された孔内の底部に第2メッキ層4bの基になる銅イオンが集中し易い箇所が存在していても、その箇所への銅イオンの集中的な付着が抑制される。具体的には、第1メッキ層4aによる孔内底部が断面凹状であると、その断面凹状の頂部(貫通孔3の上開口部の側に近い最上部)の近傍に銅イオンが集中し易くなるが、パルス反転メッキ法によるパルスメッキを行うことで、その断面凹状の頂部近傍への銅イオンの集中的な付着が抑制され、凹状窪みの内側にも第2メッキ層4bを構成する銅が堆積される。したがって、本実施形態においては、凹状窪みが銅によって埋まる前に、断面凹状の頂部近傍に付着した銅同士が繋がってしまうことがない。換言すると、凹状窪みに起因するボイドが発生してしまうことなく、凹状窪みを銅で埋めること、すなわち貫通孔3の底部を第2メッキ層4bによって平坦化することが可能となる。
このようにして、平坦化段階では、貫通孔3の孔内底部の平坦化を行う。したがって、第2の工程において、先ず、平坦化段階を行えば、一旦貫通孔3の孔内底部を平坦に均すことになるので、孔内底部がどのような形状であっても、その底部形状の影響を排除することが可能となる。より具体的には、貫通孔3の孔内底部が断面凹状の場合であっても、凹状窪みに起因するボイドが生じてしまうのを防止することができる。
(ii)充填段階
平坦化段階での孔内底部平坦化の後は、続いて、充填段階を行う。
充填段階では、図3(D)に示すように、第2メッキ層4bによって平坦に均した後の孔内底部とガラス基板2の構成材料が露出する側壁とによって囲まれる貫通孔3の孔内に、電解メッキによって第2メッキ層4bを構成する銅を堆積させる。そして、貫通孔3の上開口部に向かって第2メッキ層4bを成長させることで、貫通孔3の孔内を銅で埋める。その後、第2メッキ層4bの表面が貫通孔3の上開口部に達すると、貫通孔3が完全に埋め込まれた状態となる。ここでは、第2メッキ層4bの成長による貫通孔3の充填を確実なものとするために、図3(D)に示すように、第2メッキ層4bの表面がガラス基板2の上面側に突出するまで電解メッキを行うものとする。
この充填段階での電解メッキ、すなわち貫通孔3の孔内を埋めるための電解メッキについても、上述した平坦化段階と同様に、パルス反転メッキ法を用いたパルスメッキによって行う。
以上のような充填段階は、平坦化段階の後に行う。つまり、充填段階では、孔内の底部が平坦な状態で、かつ、側壁はガラス基板2の構成材料が露出している状態で、当該孔内に銅を充填することになる。したがって、充填段階では、孔内の側壁に対する局所的な銅イオンの付着を抑制しつつ、銅を平坦な底部の面上に均一に堆積させることができる。このことは、平坦化段階のみならず、充填段階においても、貫通孔3の孔内にボイドが生じてしまうのを防止し得ることを意味する。
さらに、本実施形態においては、充填段階でもパルス反転メッキ法を用いたパルスメッキを行うので、例えばガラス基板2の面上に複数の貫通孔3がある場合に、各貫通孔3間での銅の充填度合いのバラツキを抑制できる。より具体的には、ガラス基板2の面上において、金属イオンが孔内に集中し易い態様で貫通孔3が形成されているイオン集中領域と、金属イオンが孔内に集中し難い態様で貫通孔3が形成されているイオン分散領域とが、混在して配されている場合を考える。この場合であっても、パルス反転メッキ法を用いたパルスメッキを行えば、特定の貫通孔の孔内への金属イオンの集中的な付着が生じることがない。したがって、イオン集中領域とイオン分散領域とにおける銅の孔内充填度合いが均等化されるのである。なお、イオン集中領域としては、例えば、ガラス基板2の平面上に貫通孔3が疎に分布する態様で形成された領域が挙げられる。一方、イオン分散領域としては、例えば、ガラス基板2の平面上に貫通孔3が密に分布する態様で形成された領域が挙げられる。ただし、イオン集中領域およびイオン分散領域は、これらの領域に限定されるものではない。
また、充填段階での金属充填が行われる際には、貫通孔3の側壁面が粗化された状態となっている。したがって、充填段階では、孔内への銅の充填を行うのにあたり、側壁の表面の濡れ性が向上していることから底部上面の平坦状態が保たれ易く、銅を平坦な底部の面上に均一に堆積させる上で非常に好適である。
しかも、貫通孔3の側壁面が粗化された状態であれば、充填段階で貫通孔3の孔内に銅を充填したときに、粗化によって形成されたエッチング痕の底部まで銅が入り込むことで、アンカー効果が発揮される。したがって、粗化をしない場合に比べると、粗化された表面に対する銅の密着強度が向上することになる。
(iii)電解メッキ制御
ここで、平坦化段階および充填段階からなる第2の工程で行う電解メッキの制御について詳しく説明する。
(パルス制御)
第2の工程では、上述したように、電解メッキとしてパルス反転メッキ法によるパルスメッキを行う。すなわち、平坦化段階および充填段階のそれぞれにおいて、正の極性のフォワード電流と負の極性のリバース電流を交互に与えるパルスメッキを行う。
図5は、本発明の実施の形態に係るパルス反転メッキ法を説明するタイムチャートである。図例では、電解メッキの際に陽極と陰極の間に印加する電流値Iを縦軸にとり、経過時間tを横軸にとり、パルス反転メッキ法での印加電流の時間変移を表している。より具体的には、正の極性のフォワード電流と、負の極性のリバース電流とについて、時間経過に対する変移を表している。
ここでいう電流値は、陽極と陰極の間に正と負の一定電流値を流すことによって規定される。ただし、後述するように、必ずしも一定電流値である必要はなく、一定電圧値を印加することによって規定されるものであってもよい。本実施形態においては、正の極性のフォワード電流値をFwとし、負の極性のリバース電流値Revとし、これらによって規定される場合を例に挙げて、以下の説明を行う。
パルス反転メッキ法によるパルスメッキでは、図5に示すように、正の極性のフォワード電流値Fwによるパルスと、負の極性のリバース電流値Revによるパルスとを、それぞれ交互に流す。
フォワード電流値Fwとリバース電流値Revとの絶対値の比Fw/Revは、例えば1/1〜1/5の範囲内、好ましくは1/2〜1/3程度に設定される。フォワード電流値Fwによるパルスの印加時間T1と、リバース電流値Revによるパルスの印加時間T2との比T1/T2は、例えば5/1〜30/1の範囲内、好ましくは20/1程度に設定される。なお、1パルスの時間T1は、例えば0.1sec〜5secに設定される。1回の印加時間T1が短いとパルスの切り替えが頻繁に行われることになる一方で、1回の印加時間T1があまり長いとメッキ層の膜質が低下するおそれがあるため、上記の範囲内に1パルスの時間T1を設定することが好ましい。
このようなパルス制御によれば、1パルスあたりの正の極性の電気量(すなわち、1パルスあたりのフォワード電流値Fwの時間積分値)のほうが、1パルスあたりの負の極性の電気量(すなわち、1パルスあたりのリバース電流値Revの時間積分値)よりも大きくなる。したがって、正と負の各極性の電流を交互に与えるパルスメッキを行った場合であっても、第2メッキ層4bの成長が確保されることになる。
なお、正の極性のフォワード電気量を印加する際には、比較的低い電流密度の条件下(例えば、0.2A/dm〜0.8A/dm程度)で行うようにする。
また、正の極性のフォワード電気量を印加する際の印加電圧は、水素過電圧以下に設定することが肝要である。貫通孔3が高アスペクト比である場合には、発生した水素ガス泡を除去することが非常に困難だからである。
このようなパルスメッキにおいて、フォワード電流の印加時には、陰極である第1メッキ層4aの表面に銅が析出する。
一方、リバース電流の印加時には、一旦析出した銅が電解液に溶け込むことになる。このとき、反対の電極に最も近い4bに示される凹状頂部近傍から集中的に離脱するが、そうでない箇所からは脱離し難い。
したがって、フォワード電流とリバース電流を交互に印加するパルスメッキを行えば、特定箇所への銅の析出を抑制しつつ、析出し難かった箇所に対しても銅を析出させ得るようになる。つまり、銅析出度合いの箇所別バラツキを抑制することが実現可能となる。
(定電流制御)
上述したパルス反転メッキ法によるパルス制御を伴う電解メッキは、定電流法と定電圧法のいずれによっても行うことができる。定電流法は、一定電流値を用いて電解メッキを行う。一方、定電圧法は、一定電圧値を用いて電解メッキを行う。
定電圧法による電解メッキ(以下、単に「定電圧電解」という)であれば、電圧が一定であるため、液の状態等により流れる電流量が一定ではなくなる。このために析出速度を時間で管理することが困難となる。また、積算電流による管理が可能ではあるが、電流密度が変化することにより、析出したメッキ層の物性に問題が生じる場合がある。
これに対して、定電流法による電解メッキ(以下、単に「定電流メッキ」という)であれば、電流値を一定に制御することが可能であるために、メッキの析出量を時間で管理することが可能になる。したがって、メッキ層の析出の多くの時間を要してしまったり、不均一なメッキ層が形成されてしまうことはない。
第2の工程で行う電解メッキ(すなわち、パルス反転メッキ法によるパルスメッキ)は、定電流電解によるものであってもよいし、定電圧電解によるものであってもよいし、これら両方を併用したものであってもよい。ただし、本実施形態においては、上述した理由(すなわち、電解メッキ処理の迅速さや、形成するメッキ層の均一さ等)を考慮して、定電流電解によって行うものとする。
(4)第3の工程(不要層除去)
第2の工程に次いで行う第3の工程は、貫通孔3の孔内への金属充填をした後のガラス基板2から不要な層を除去するとともに、除去後における露出面の平坦化を行う工程である。すなわち、第3の工程は、不要な層を除去する基板面露出工程と、ガラス基板2の露出面の平坦化を行う基板平坦化工程とを含む。
(基板面露出工程)
基板面露出工程は、ガラス基板2の下面から第1メッキ層4aおよびメッキ下地層7を取り除いてガラス基板2の下面を露出させる工程である。この工程では、図3(D)と図6(A)を対比すると分かるように、ガラス基板2の下面を覆っていた第1メッキ層4aおよびメッキ下地層7を除去するとともに、ガラス基板2の上面側に突出していた第2メッキ層4bをへこませる。
基板面露出工程では、除去の対象となる膜の構成材料に適した薬液を用いて、エッチング処理を行う。本実施形態においては、薬液を変えて2回のエッチング処理を行う。まず、1回目のエッチング処理では、例えば、塩化第二鉄を主成分とする薬液を用いて、第1メッキ層4aを構成している銅や、メッキ下地層7の銅層7bを構成している銅をエッチングにより除去(溶解)する。また、1回目のエッチング処理では、第2メッキ層4bを構成している銅をエッチングにより除去する。次に、2回目のエッチング処理では、例えば、フェリシアン化カリウムを主成分とする薬液を用いて、メッキ下地層7のクロム層7aを構成しているクロムをエッチングにより除去する。
ちなみに、1回目のエッチング処理では、ガラス基板2の下面側にクロム膜7bが露出するまで銅をエッチングにより除去するが、貫通孔3内においては、エッチングによる第1メッキ層4aの後退面F1が、ガラス基板2の除去予定領域8(図3(A)を参照)内にとどまるようにエッチング時間等を調整する。また、ガラス基板2の上面側においては、第2メッキ層4bの表面がガラス基板2の上面から突出しないように、1回目のエッチング処理によって第2メッキ層4bの表面を貫通孔3内まで後退させる。この場合も、エッチングによる第2メッキ層4bの後退面F2が、ガラス基板2の除去予定領域8(図3(A)を参照)内にとどまるようにエッチング時間等を調整する。
(基板平坦化工程)
基板平坦化工程は、ガラス基板2の上面および下面のうち少なくとも下面を機械加工によって平坦化する工程である。本実施形態においては、ガラス基板2の両面(上面および下面)を機械加工によって平坦化する。具体的には、ガラス基板2の上面および下面を両面ラップ加工によって平坦化し、その後、必要に応じてガラス基板2の両面を仕上げ研磨する。このような機械加工により、ガラス基板2の上面側および下面側の各表層部が、それぞれ除去予定領域8の境界位置(図3(A)の二点鎖線で示す位置)にあわせて除去される。その結果、図6(B)に示すように、ガラス基板2の両面が平坦化されるとともに、貫通孔3に充填された金属4の両端面が、それぞれガラス基板2の上面および下面と面一な状態に仕上げられる。また、ガラス基板2の貫通孔3の下開口部は、メッキ下地層7および第1メッキ層4aによって閉塞された状態となる。この場合、貫通孔3の内部には、メッキ下地層7を構成する銅およびクロムと、メッキ層4a,4bを構成する銅とが残存した状態になる。そして、これらの金属が貫通孔3に充填された状態となる。これにより、図1に示すように、貫通孔3に金属4を充填した構造のガラス基板2が得られる。
なお、基板平坦化工程に先立って基板面露出工程を行い、ガラス基板2の下面から第1メッキ層4aおよびメッキ下地層7を取り除いてガラス基板2の下面を露出させておけば、基板平坦化工程を行う際には、ガラス基板2の上面および下面のいずれも、ガラスという同一(共通)の材料をもって露出した面になる。このため、基板平坦化工程においては、機械加工によるガラス基板2の平坦化処理を両面ラップ加工で行うことができる。これにより、ガラス基板2を両面同時に平坦化処理することが可能となる。したがって、ガラス基板2を片面ずつ平坦化処理する場合にくらべて、基板製造コストを安く抑えることができる。ちなみに、ガラス基板2の上面と下面が互いに異なる材料をもって露出している場合は、両面ラップ加工の適用が困難になるため、ガラス基板2を片面ずつ平坦化処理する必要がある。
(2−5.配線パターン形成工程)
準備工程、第1の工程、第2の工程および第3の工程を含む貫通孔充填工程を行って、貫通孔3に金属4を充填した構造のガラス基板2を得た後は、配線パターン形成工程を行う。配線パターン形成工程は、ガラス基板2の上面および下面のうち少なくとも一方に配線パターン6を形成する工程である。配線パターン形成工程には、密着層形成工程、配線層形成工程およびパターニング工程が含まれる。以下、各工程について説明する。
(密着層形成工程)
密着層形成工程では、図7(A)に示すように、ガラス基板2の各面に対して、スパッタリング法によって密着層5を形成する。本実施形態では、クロム層5a、クロム銅層5bおよび銅層5cを順に積層した3層構造で密着層5を形成する。密着層5を構成する各金属層は、後述するエッチングによって配線パターン6を形成するときに生じるサイドエッチング量を考慮すると、極力薄く形成することが望ましい。ただし、密着層5の各金属層の厚さが薄すぎると、配線層のパターニングのために行われる処理によって密着層5が除去されるおそれがある。したがって、例えば、上述のように密着層5を3層構造で形成する場合は、クロム層5aの厚さを0.04μm〜0.1μm程度、クロム銅層5bの厚さを0.04μm〜0.1μm程度、銅層5cの厚さを0.5μm〜1.5μm程度とすることが望ましい。これにより、密着層5の厚さは、合計で2μm以下に抑えられる。
(配線層形成工程)
配線層形成工程では、図7(B)に示すように、ガラス基板2の各面に対して、先に形成した密着層5を覆う状態で配線層6aを形成する。配線層6aの形成は、電解メッキによって行う。この配線層6aについては、上述した密着層5と同様に、サイドエッチング量を考慮して極力薄く形成することが望ましい。しかし、配線層6aが薄すぎると、使用環境によってガラス基板2の温度変化が繰り返された場合に、配線層6aの熱膨張係数とガラス基板2の熱膨張係数との差によって、配線パターンに金属疲労が生じるおそれがある。このため、金属疲労に対する配線パターンの接続の信頼性を確保するために、配線層6aは適度な厚みにしておく必要がある。具体的には、配線層6aの厚みを1μm〜20μm程度とすることが望ましく、さらには4μm〜7μm程度とすることがより好ましい。配線層6aの厚さが1μmを下回る場合には、上記金属疲労によって配線の断線が生じる危険性が高くなる。また、配線層6aの厚さが20μmを上回る場合には、配線パターンの微細化の要求に応えることが難しくなる。
(パターニング工程)
パターニング工程では、図7(C)に示すように、ガラス基板2の各面上において、密着層5および配線層6aをフォトリソグラフィ法とエッチングによってパターニングすることにより、配線パターン6を形成する。具体的には、ガラス基板2の配線層6aを図示しないレジスト層で覆った後、このレジスト層を露光・現像することにより、レジストパターンを形成する。これにより、ガラス基板2の配線層6aの一部(配線パターンとして残す部分)がレジストパターンで覆われた状態となる。次に、レジストパターンをマスクとして、配線層6aおよび密着層5の露出部分をエッチングによって除去する。これにより、レジストパターンと同じパターン形状をもつ配線パターン6が得られる。ここで用いるレジストは、液状レジストでもドライフィルムレジストでも電着レジストでもよい。また、レジストタイプとしては、ポジ型およびネガ型のいずれであってもかまわない。一般的には、ネガ型レジストにくらべてポジ型レジストのほうが、解像性が高い。このため、微細な配線パターンを形成するうえでは、ポジ型レジストのほうが適している。
<3.本実施形態の効果>
本実施形態で説明した基板製造方法および配線基板の製造方法によれば、以下のような効果が得られる。
(第1の効果)
本実施形態によれば、第2の工程を平坦化段階と充填段階とに分けて行う。つまり、貫通孔3の孔内における底部の凹状窪みを平坦に均した上で、その貫通孔3の孔内を銅で埋める。このような底部の平坦化を一旦経ることで、貫通孔3の孔内に断面凹状(具体的には断面略U字状または断面略V字状)の底部が形成された場合でも、貫通孔3の孔内への金属充填の際のボイド発生を未然に防止することができる。
しかも、本実施形態では、平坦化段階でパルス反転メッキ法によるパルスメッキを行うので、第1メッキ層4aによって形成された孔内の底部に第2メッキ層4bの基になる銅イオンが集中し易い箇所が存在していても、その箇所への銅イオンの集中的な付着が抑制される。つまり、第1メッキ層4aによる底部が断面凹状であっても、当該断面凹状の頂部近傍への第2メッキ層4bの集中的な堆積が抑制されることになる。したがって、貫通孔3の孔内の底部形状の影響を排除することが可能となり、その結果として上述したボイド発生の防止が確実なものとなる。
さらに、本実施形態では、平坦化段階の後に充填段階を行う。つまり、充填段階においては、孔内の底部が平坦な状態で、かつ、側壁はガラス基板2の構成材料が露出している状態で、当該孔内に銅を充填することになる。したがって、充填段階では、孔内の側壁に対する局所的な銅イオンの付着を抑制しつつ、銅を平坦な底部の面上に均一に堆積させることができる。このことは、充填段階においても、上述したボイド発生の防止を確実に行えることを意味する。
(第2の効果)
本実施形態によれば、充填段階でもパルス反転メッキ法を用いたパルスメッキを行う。
したがって、例えばガラス基板2の面上に複数の貫通孔3がある場合には、各貫通孔3間での銅の充填度合いのバラツキを抑制できる。
(第3の効果)
本実施形態によれば、充填段階に先立って壁面粗化工程を行う。そして、壁面粗化工程では、少なくとも貫通孔3の側壁に対して、その表面の粗化を行う。したがって、充填段階で貫通孔3の孔内に銅を充填するのにあたり、粗化をしない場合に比べて孔内の側壁の濡れ性が向上するので、第2メッキ層4bの上面の平坦状態を良好に保つことができる。
その結果として、充填段階におけるボイド発生を確実に防止し得るようになる。さらには、側壁を粗化することで、粗化をしない場合に比べて、当該側壁に対するアンカー効果の発揮により第2メッキ層4bの密着強度が向上することにもなる。
(第4の効果)
本実施形態によれば、貫通孔3の孔内に形成される第1メッキ層4aと第2メッキ層4bは、同一金属材である銅によって形成されている。したがって、第1メッキ層4aと第2メッキ層4bとが同一の導電特性を有することになり、両者の間に電気的な界面が形成されてしまうことがない。これにより、例えば第1メッキ層4aと第2メッキ層4bとが互いに異なる金属材で形成されている場合に比べると、特に高周波導電特性が改善されることになる。
(第5の効果)
本実施形態によれば、貫通孔3の孔内に充填する金属材として、導電性に優れた銅を用いている。したがって、ガラス基板2の表裏面の導通が確実に確保される。ただし、第1メッキ層4aを構成する第1金属材および第2メッキ層4bを構成する第2金属材は、電解メッキに対応する導電性金属であれば、銅以外の金属材であってもよい。具体的には、銅、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、クロム、アルミニウム、ロジウムのいずれか1種の金属または2種以上からなる合金等の金属材を用いることが可能である。
(第6の効果)
本実施形態によれば、第2の工程の電解メッキを定電流で行う。したがって、メッキ層の成長に多くの時間を要してしまったり、不均一なメッキ層が形成されてしまうことがない。
(第7の効果)
本実施形態によれば、上述した一連の工程からなる基板製造方法を利用して配線基板の製造方法が構成されている。したがって、その製造方法によって得られる配線基板は、貫通孔3の孔内にボイドが存在せず、信頼性に優れたものとなる。さらに、第1メッキ層4a、第2メッキ層4bおよび配線層6aをいずれも銅の電解メッキにより行うことにより、配線基板1のすべての配線経路を銅(低抵抗材料)で構成することができる。
<4.変形例等>
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
例えば、本実施形態においては、配線基板の製造方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、配線基板以外の用途で利用される基板製造方法として実施することも可能である。
また、本実施形態においては、ガラス基板2として、感光性を有するガラス基板を用いたが、感光性を有していない他のガラス基板を用いてもよい。その場合は、貫通孔を形成する工程において、フォトリソグラフィ法以外の方法、例えば、レーザー加工法によってガラス基板2に貫通孔3を形成することができる。
1…配線基板
2…ガラス基板
3…貫通孔
4…金属
4a…第1メッキ層
4b…第2メッキ層
5…密着層
6…配線パターン
6a…配線層
7…メッキ下地層

Claims (7)

  1. ガラス基板の表裏面に連通する貫通孔の孔内に金属材が充填されている基板を製造する基板製造方法であって、
    前記ガラス基板の一面側に第1金属材の層を形成して当該一面側における前記貫通孔の開口部を閉塞するとともに、当該閉塞によって前記貫通孔の孔内に前記第1金属材による断面凹状の底部が形成される第1の工程と、
    前記第1金属材の層を用いて行う電解メッキにより前記ガラス基板の他面側から前記貫通孔の孔内に第2金属材を充填する第2の工程とを備え、
    前記第2の工程は、
    前記底部の凹状窪みを前記第2金属材によって平坦に均す平坦化段階と、
    平坦に均した後の前記底部および前記ガラス基板の構成材料が露出する側壁によって囲まれる孔内に前記第2金属材を堆積させて当該孔内を埋める充填段階とを有し、
    少なくとも前記平坦化段階では、前記電解メッキとして、正の極性のフォワード電流と負の極性のリバース電流を交互に与えるパルスメッキを行う
    ことを特徴とする基板製造方法。
  2. 前記平坦化段階に加えて前記充填段階においても、前記電解メッキとして前記パルスメッキを行う
    ことを特徴とする請求項1記載の基板製造方法。
  3. 前記充填段階に先立って少なくとも前記側壁を粗化する粗化工程を備える
    ことを特徴とする請求項1または2記載の基板製造方法。
  4. 前記第1金属材と前記第2金属材とが同一金属材である
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の基板製造方法。
  5. 前記第1金属材および前記第2金属材は、銅、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、クロム、アルミニウム、ロジウムのいずれか1種から構成される金属または2種以上から構成される合金である
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の基板製造方法。
  6. 前記電解メッキを定電流で行う
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の基板製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の基板製造方法により、ガラス基板の貫通孔の孔内に金属材が充填されている基板を製造した後、当該ガラス基板における一面側と他面側との少なくとも一方に配線を形成する
    ことを特徴とする配線基板の製造方法。
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