JP2013072829A - 電気化学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い信号強度の電気信号を発することができるセンサに好適な電気化学素子の提供。
【解決手段】芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(A)及びオレフィン性不飽和化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(B)を有し、かつ、前記重合体ブロック(A)が下記一般式(1)で表される官能基を有するブロック共重合体(Z)からなる高分子電解質層と、該高分子電解質層の両面にそれぞれ接合した2つの電極を備える電気化学素子。
(式中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。)
【選択図】なし
【解決手段】芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(A)及びオレフィン性不飽和化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(B)を有し、かつ、前記重合体ブロック(A)が下記一般式(1)で表される官能基を有するブロック共重合体(Z)からなる高分子電解質層と、該高分子電解質層の両面にそれぞれ接合した2つの電極を備える電気化学素子。
(式中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。)
【選択図】なし
Description
本発明は、特にセンサに好適な電気化学素子に関する。
作用部の変形と電気信号とを相互に変換できる電気化学素子は種々の用途開発が進められている。例えば、イオン伝導性基を有し、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を主とする重合体ブロックと、該重合体ブロックと非相容である重合体ブロックを含有するブロック共重合体を主成分とする成形体からなる作用部と、該作用部に接合した2つの電極とからなる電気化学素子は、アクチュエータとして有用なことが知られている(特許文献1参照)。
近年注目されている電気化学素子の用途としてセンサが挙げられる。かかるセンサは、作用部の変形によって高い信号強度の電気信号を発信することが求められるが、従来の電気化学素子では、センサとして実用性のある信号強度の発信は困難であった。
しかして、本発明の目的は、高い信号強度の電気信号を発信できるセンサに好適な電気化学素子を提供することである。
しかして、本発明の目的は、高い信号強度の電気信号を発信できるセンサに好適な電気化学素子を提供することである。
本発明によれば、上記したブロック共重合体(Z)を含有する高分子電解質層を作用部とするセンサとして用いた場合に、高い信号強度の電気信号を発信することができる電気化学素子を提供できる。
本発明の電気化学素子をセンサとして用いた場合、作用部となる高分子電解質層の変形によって、官能基(1)に由来するイミダゾリウムカチオンが移動することに伴い、高い電気信号を発信すると考えている。
本発明の電気化学素子をセンサとして用いた場合、作用部となる高分子電解質層の変形によって、官能基(1)に由来するイミダゾリウムカチオンが移動することに伴い、高い電気信号を発信すると考えている。
本発明の電気化学素子が備える高分子電解質層に含有されるブロック共重合体(Z)は、官能基(1)を含まない芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(A0)及びオレフィン性不飽和化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(B)を含有するブロック共重合体(Z0)を得たのち、公知の方法で重合体ブロック(A0)に官能基(1)を導入することで得られる。
上記ブロック共重合体(Z0)が含有する重合体ブロック(A0)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メトキシスチレン、3−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルフェナントレン、ビニルビフェニル、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ペンチルスチレン、α−ヘキシルスチレン、α−ヘプチルスチレン、α−オクチルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−tert−ブチルスチレン、α−イソブチルスチレン、α−tert−ペンチルスチレン、α−ネオペンチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン、1−メチル−1−ナフチルエチレン、1−メチル−1−ビフェニリルエチレン、4,α−ジメチルスチレンが挙げられる。中でも、経済性、重合の容易性及び官能基(1)導入の容易性の観点から、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましく、耐ラジカル性の観点からα−メチルスチレンがより好ましい。これらの芳香族ビニル化合物は、単独で用いても、複数種を併用してもよい。複数種の芳香族ビニル化合物を併用する場合、かかる複数種の芳香族ビニル化合物はランダムに共重合して重合体ブロック(A0)を構成していることが好ましい。
重合体ブロック(A0)は、本発明の効果を損わない範囲で、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位以外に、1種もしくは複数種の他の構造単位を含んでいてもよい。かかる他の構造単位を与える単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン等の炭素数2〜8のアルケン;ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン、2,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン等の炭素数4〜8の共役アルカジエン;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;が挙げられる。これら単量体を用いる場合、上記芳香族ビニル化合物とランダムに共重合して重合体ブロック(A0)を構成していることが好ましい。
重合体ブロック(A0)を構成する構造単位のうち、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有率は60モル%以上が好ましく、75モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。
重合体ブロック(A0)の分子量は、標準ポリスチレン換算の数平均分子量として1,000〜1,000,000の範囲が好ましく、10,000〜100,000の範囲がより好ましい。
重合体ブロック(B)を構成するオレフィン性不飽和化合物としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン等の炭素数2〜8のアルケン;ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン、2,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン等の炭素数4〜8の共役アルカジエン;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;が挙げられる。これらオレフィン性不飽和化合物は単独で用いても、複数種を併用してもよい。複数種のオレフィン性不飽和化合物を併用する場合、かかる複数種のオレフィン性不飽和化合物はランダムに共重合して重合体ブロック(B)を構成していることが好ましい。また、オレフィン性不飽和化合物として共役アルカジエンを用いる場合、1,2−結合に基づく構造単位と1,4−結合に基づく構造単位との比率に特に制限はない。
重合体ブロック(B)は、本発明の効果を損わない範囲で、オレフィン性不飽和化合物に由来する構造単位以外に、1種もしくは複数種の他の構造単位を含んでいてもよい。かかる他の構造単位を与える単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。これら単量体とオレフィン性不飽和化合物はランダムに共重合して、重合体ブロック(B)を構成していることが好ましい。
重合体ブロック(B)を構成する構造単位のうち、オレフィン性不飽和化合物に由来する構造単位の含有率は、60質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
重合体ブロック(B)は非晶性であることが好ましい。ここで重合体ブロック(B)が非晶性であるとは、粘弾性測定において重合体ブロック(B)に由来する融点が観測されないことを指す。また、高分子電解質層の変形のしやすさという観点から、重合体ブロック(B)の軟化温度は40℃以下であることが好ましく、20℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることがさらに好ましい。
上記オレフィン性不飽和化合物が共役アルカジエンである場合のように、重合後、主鎖または側鎖が炭素−炭素二重結合を有している場合、かかる炭素−炭素二重結合は水素添加(以下「水添」と称する)してもよい。本発明の電気化学素子の耐劣化性を向上させる観点から、かかる炭素−炭素二重結合の水添率は30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましく、90モル%以上が特に好ましい。炭素−炭素二重結合の水添率は、例えば、ヨウ素価測定法、1H−NMR測定等によって算出できる。
ブロック共重合体(Z)の柔軟性や伸びの観点から、重合体ブロック(B)を構成する構造単位が、炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数4〜8の共役アルカジエン単位、及び炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水添された炭素数4〜8の共役アルカジエン単位よりなる群から選ばれることが好ましく、経済性及び重合の容易性の観点から、炭素数4〜8の共役アルカジエン単位又は炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水添された炭素数4〜8の共役アルカジエン単位から選ばれることがより好ましい。
重合体ブロック(B)の分子量は、標準ポリスチレン換算の数平均分子量として1,000〜1,000,000の範囲が好ましく、10,000〜100,000の範囲がより好ましい。
重合体ブロック(A0)と重合体ブロック(B)との質量比は90:10〜10:90の範囲であることが好ましく、80:20〜15:85の範囲であることがより好ましく、50:50〜20:80の範囲であることがさらに好ましい。かかる質量比において、重合体ブロック(A0)の比率が90質量%より高いと、ブロック共重合体(Z)を含有する高分子電解質層の形状保持性が低下する傾向にあり、重合体ブロック(A0)の比率が10質量%より低いと、重合体ブロック(A0)から誘導される重合体ブロック(A)が連続相を形成し難くなり、イオン伝導性が低下する傾向にある。
ブロック共重合体(Z)の構造としては、重合体ブロック(A)をA、重合体ブロック(B)をBで表したとき、A−B型ジブロック共重合体、A−B−A型トリブロック共重合体、B−A−B型トリブロック共重合体、A−B−A−B型テトラブロック共重合体、A−B−A−B−A型ペンタブロック共重合体、B−A−B−A−B型ペンタブロック共重合体、(A−B)nX型星形ブロック共重合体(nは2以上の整数、Xはカップリング剤残基を表す)が挙げられる。これらは単独で用いても、複数種を併用してもよい。また各重合体ブロックは、グラフト結合をしていてもよく、製造上の観点から重合体ブロック(B)が少なくとも主鎖を形成することが好ましい。上記した中でもA−B−A型トリブロック共重合体であることが好ましい。
ブロック共重合体(Z)は、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)に加え、イオン伝導性基を有さない芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック(C)をさらに含有してもよい。
重合体ブロック(C)をさらに含有する場合のブロック共重合体(Z)の構造としては、重合体ブロック(C)をCで表すと、A−B−C型トリブロック共重合体、A−B−C−A型テトラブロック共重合体、A−B−A−C型テトラブロック共重合体、B−A−B−C型テトラブロック共重合体、A−B−C−B型テトラブロック共重合体、C−A−B−A−C型ペンタブロック共重合体、C−B−A−B−C型ペンタブロック共重合体等が挙げられる。
重合体ブロック(C)を構成する芳香族ビニル化合物としては、4−メチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4,α−ジメチルスチレン等が好ましい。またブロック共重合体(Z0)の重合体ブロック(A0)に官能基(1)を導入する際、重合体ブロック(C)への官能基(1)の導入を抑制する観点から、4−tert−ブチルスチレンがより好ましい。かかる芳香族ビニル化合物は単独で用いても、複数種を併用してもよい。複数種の芳香族ビニル化合物を併用して重合体ブロック(C)を構成する場合、かかる複数種の芳香族ビニル化合物はランダムに共重合して重合体ブロック(C)を構成していることが好ましい。
重合体ブロック(C)は、本発明の効果を損わない範囲で、上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位以外に、1種もしくは複数種の他の単量体の由来する構造単位を含んでいてもよい。かかる他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン等の炭素数2〜8のアルケン;1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン、2,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン等の炭素数4〜8の共役アルカジエン;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;が挙げられる。これら単量体を用いる場合、上記芳香族ビニル化合物とランダムに共重合して重合体ブロック(C)を構成していることが好ましい。
重合体ブロック(C)を構成する構造単位のうち、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有率は、60質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
また、重合体ブロック(C)は、本発明の効果を損わない範囲であれば公知の方法で架橋してもよい。架橋することにより、高分子電解質層の力学強度が高まる傾向にある。
重合体ブロック(C)の分子量は、標準ポリスチレン換算の数平均分子量として1,000〜1,000,000の範囲が好ましく、10,000〜100,000の範囲がより好ましい。
ブロック共重合体(Z)が重合体ブロック(C)を含有する場合、重合体ブロック(C)の含有率は40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
ブロック共重合体(Z0)の数平均分子量は、標準ポリスチレン換算の数平均分子量として10,000〜2,000,000の範囲が好ましく、15,000〜1,000,000の範囲がより好ましく、20,000〜500,000の範囲がさらに好ましい。
重合体ブロック(A)は下記一般式(1)で示される官能基(1)を有する。
R1〜R3が表す炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基が挙げられる。
重合体ブロック(A)を構成する芳香族ビニル化合物に由来する構造単位に対する官能基(1)の含有率は25〜100mol%の範囲が好ましく、30〜90mol%の範囲がより好ましく、40〜80mol%の範囲であることがさらに好ましい。かかる含有率が25mol%を下回ると電気化学素子としての性能が不十分となる傾向があり、100mol%を超えると製造が困難となる傾向がある。
ブロック共重合体(Z)は、イオン伝導性基として官能基(1)のみを有することが好ましい。官能基(1)は、導入の容易性およびセンサ性能の観点から、ブロック共重合体(Z0)の重合体ブロック(A0)を構成する芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の芳香環上に導入することが好ましい。
ブロック共重合体(Z)が含有する重合体ブロック(B)は、重合体ブロック(A)と非相容であることが好ましい。重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)とが非相容であることにより、ブロック共重合体(Z)はミクロ相分離構造を形成し、重合体ブロック(A)の形成する相はイオンチャンネルとして官能基(1)が有するイミダゾリウムカチオンの移動経路となる。また、重合体ブロック(B)が柔軟性を有する場合、高分子電解質層に弾力性、柔軟性を付与できる。なお、重合体ブロック(B)は官能基(1)を実質的に有さないことが極めて望ましい。また、ブロック共重合体(Z)がミクロ相分離構造を形成していることは、ブロック共重合体(Z)から後述する方法で調製した高分子電解質層を測定試料とし、ルテニウム等の遷移金属で染色した後に電子顕微鏡で観察することにより、確認できる。
ブロック共重合体(Z0)は、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、配位重合法などの各種重合方法で製造できる。分子量、分子量分布などの制御が容易である点から、リビングラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法が好ましく、リビングアニオン重合がより好ましい。
ブロック共重合体(Z0)が、ポリ(α−メチルスチレン)からなる重合体ブロック(A0)、及び共役アルカジエンからなる重合体ブロック(B)を含有する場合、製造及び分子構造設計の容易性の観点からリビングアニオン重合法が好ましく、例えば、
[1]テトラヒドロフラン溶媒中でジアニオン型重合開始剤を用いて共役アルカジエンを重合した後に、−78℃の温度条件下においてα−メチルスチレンを重合させA−B−A型ブロック共重合体を得る方法(Macromolecules, (1969), 2(5), 453−458).;
[2]α−メチルスチレンをアニオン重合開始剤を用いて重合を行った後に、共役アルカジエンを重合させ、その後テトラクロロシラン等のカップリング剤によりカップリング反応を行い、(A−B)nX型星形ブロック共重合体を得る方法(Kautsch.Gummi, Kunstst. , (1984),37(5), 377−399;Polym. Bull. , (1984), 12, 71−77).;および
[3]非極性溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃にて、5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに共役アルカジエンを重合させた後、カップリング剤を添加して、A−B−A型トリブロック共重合体を得る方法;が挙げられ、経済性の観点から上記[3]の方法がより好ましい。
[1]テトラヒドロフラン溶媒中でジアニオン型重合開始剤を用いて共役アルカジエンを重合した後に、−78℃の温度条件下においてα−メチルスチレンを重合させA−B−A型ブロック共重合体を得る方法(Macromolecules, (1969), 2(5), 453−458).;
[2]α−メチルスチレンをアニオン重合開始剤を用いて重合を行った後に、共役アルカジエンを重合させ、その後テトラクロロシラン等のカップリング剤によりカップリング反応を行い、(A−B)nX型星形ブロック共重合体を得る方法(Kautsch.Gummi, Kunstst. , (1984),37(5), 377−399;Polym. Bull. , (1984), 12, 71−77).;および
[3]非極性溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃にて、5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに共役アルカジエンを重合させた後、カップリング剤を添加して、A−B−A型トリブロック共重合体を得る方法;が挙げられ、経済性の観点から上記[3]の方法がより好ましい。
また、上記[1]〜[3]の方法において、別の芳香族ビニル化合物を添加し、ブロック共重合体(Z0)に重合体ブロック(C)を導入してもよい。
重合体ブロック(B)が炭素−炭素二重結合を有している場合には、重合体ブロック(A0)への官能基(1)の選択的導入の容易さ及び高分子電解質層の耐劣化性の向上等の観点から、その一部又は全てを水添するのが好ましい。
水添の方法としては、例えば、有機溶媒にブロック共重合体(Z0)を溶解し、触媒の存在下、水素を反応させる方法が挙げられる。有機溶媒としては、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;が挙げられる。
また水添に用いる触媒(水添触媒)としては、ニッケル系チーグラー触媒、コバルト系チーグラー触媒などのチーグラー触媒、チタノセン触媒などのメタロセン触媒などを挙げることができる。
水添を行う際の温度は0〜100℃の範囲が好ましく、20〜90℃の範囲がより好ましい。水添を行う際の水素圧は10〜10000kPaの範囲が好ましく、500〜3000kPaの範囲がより好ましい。
水添を行う際の温度は0〜100℃の範囲が好ましく、20〜90℃の範囲がより好ましい。水添を行う際の水素圧は10〜10000kPaの範囲が好ましく、500〜3000kPaの範囲がより好ましい。
ブロック共重合体(Z)の製造方法は、まず、ハロゲン化炭化水素に溶解させたブロック共重合体(Z0)にスルホン化剤を反応させて重合体ブロック(A0)の芳香環にスルホン酸基を導入する(以下、スルホン酸基を導入した重合体ブロック(A0)を重合体ブロック(A1)と称する)。ハロゲン化炭化水素としてはクロロホルム、ジクロロメタンが挙げられ、溶解性の観点からジクロロメタンが好ましい。また、スルホン化剤としては濃硫酸、アセチルサルフェートが挙げられ、アセチルサルフェートが好ましい。なお。アセチルサルフェートは例えば無水酢酸と濃硫酸とを反応させることで容易に調製できる。
得られるスルホン酸基を導入したブロック共重合体(Z0)(以下、ブロック共重合体(Z1)と称する)において、スルホン酸基の含有率は、該ブロック共重合体(Z1)1gに対して0.30mmol以上であることが好ましく、0.40mmol以上であることがより好ましい。なお、スルホン酸基の含有率は、滴定法を用いて算出することができる。
次に、得られたブロック共重合体(Z1)をカチオン交換処理して、重合体ブロック(A1)が有するスルホン酸基を官能基(1)に変換する。具体的には、ブロック共重合体(Z1)をカチオン交換処理用溶液中に浸漬させることにより、重合体ブロック(A1)の有するスルホン基が官能基(1)に変換された、すなわち重合体ブロック(A1)が重合体ブロック(A)に変換されたブロック共重合体(Z)が得られる。カチオン交換処理における処理温度、処理時間、用いるカチオン交換処理用溶液のカチオン源の濃度は、適宜調節することができ、特に制限はない。カチオン交換処理用溶液としては、3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液、3−エチル-1,2−ジメチルイミダゾリウムアセテート水溶液等が挙げられ、電気化学素子の性能を高める観点から3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液が好ましい。なお、上記カチオン交換処理は、ブロック共重合体(Z1)を用いて高分子電解質層を作成し、必要に応じてさらに電極を接合した後に行うのが、製造上の観点から好ましい。
本発明の電気化学素子が備える高分子電解質層はブロック共重合体(Z)のみからなることが好ましいが、本発明の効果を損わない限り、任意成分として他の樹脂、軟化剤、水、有機溶媒、各種添加剤を含有してもよい。
高分子電解質層が含有してもよい他の樹脂の例としては、例えば、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレン−(1−ブテン)共重合体、プロピレン−エチレン−(1−ブテン)共重合体、プロピレン−(4−メチル−1−ペンテン)共重合体、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどのエチレン単独重合体、エチレン−(1−ブテン)共重合体、エチレン−(1−ヘキセン)共重合体、エチレン−(1−ヘプテン)共重合体、エチレン−(1−オクテン)共重合体、エチレン−(4−メチル−1−ペンテン)共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体などのポリオレフィン系樹脂;ポリオキシメチレン、ポリフェニレンエーテル系樹脂等のポリエーテル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6,12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、キシレン基含有ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリp−メチルスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂などのスチレン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴム;ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー等のエラストマー;を挙げることができる。
高分子電解質層が含有してもよい軟化剤としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマ系プロセスオイル等の石油系軟化剤、流動パラフィン、植物油系軟化剤が挙げられる。
高分子電解質層が含んでもよい有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、イソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸エチル、乳酸エチル等のエステル;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール等のアルコール;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド;ジメチルスルホキシド等のジアルキルスルホキシド;を挙げることができ、これらの中ではアルキレンカーボネート、アルキレングリコール、ニトリルが好ましく、重合体ブロック(A)との親和性の観点からエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートがより好ましい。これら有機溶媒は複数種含まれていてもよい。
高分子電解質層が含んでもよいその他の各種添加剤としては、例えば、フェノール系安定剤、イオン系安定剤、リン系安定剤、光安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、発泡剤、顔料、染料、増白剤、カーボン繊維、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、ガラス繊維、マイカ、カオリン、酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができ、これらは単独で用いても、複数種を併用してもよい。
高分子電解質層におけるブロック共重合体(Z)の含有率は、イオン伝導性の観点や電気化学素子の性能の観点から、60質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましく、80質量%以上であるのがさらに好ましく、90質量%以上であるのがより一層好ましい。
高分子電解質層の作製方法に特に限定はない。例えば、ブロック共重合体(Z)および必要に応じて上記任意成分を適当な溶媒と混合して調製したブロック共重合体(Z)の溶液または懸濁液をガラス等の板状体の上に注型したり、コーターやアプリケーター等を用いて塗布したりスクリーン印刷機等を用いて印刷したりしたのち、溶媒を除去することで高分子電解質層を得ることができる。
溶媒としては、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン、ベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、テトラヒドロフラン等のエーテル;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール等のアルコール;あるいはこれらの混合溶媒が挙げられ、芳香族炭化水素とアルコールの混合溶媒が好ましい。
溶媒の使用量に特に制限はないが、ブロック共重合体(Z)の20倍以下であることが好ましい。溶媒を除去する条件は、ブロック共重合体(Z)が分解しない条件であれば特に制限はない。例えば、60〜140℃の範囲で熱風乾燥する方法;10〜30℃の範囲で常圧下にて乾燥した後、さらに60〜140℃(特に80〜120℃)の範囲で熱風乾燥する方法;10〜30℃の範囲で常圧下にて乾燥した後、さらに25〜40℃の範囲で減圧下にて乾燥する方法;10〜30℃の範囲で常圧下にて乾燥した後、さらに60〜140℃(特に80〜120℃)の範囲で常圧下にて乾燥する方法;等が挙げられる。
製膜性の観点から、10〜30℃の範囲で常圧下にて乾燥させた後、さらに80〜120℃で常圧下にて乾燥する方法が好ましい。
溶媒としては、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン、ベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、テトラヒドロフラン等のエーテル;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール等のアルコール;あるいはこれらの混合溶媒が挙げられ、芳香族炭化水素とアルコールの混合溶媒が好ましい。
溶媒の使用量に特に制限はないが、ブロック共重合体(Z)の20倍以下であることが好ましい。溶媒を除去する条件は、ブロック共重合体(Z)が分解しない条件であれば特に制限はない。例えば、60〜140℃の範囲で熱風乾燥する方法;10〜30℃の範囲で常圧下にて乾燥した後、さらに60〜140℃(特に80〜120℃)の範囲で熱風乾燥する方法;10〜30℃の範囲で常圧下にて乾燥した後、さらに25〜40℃の範囲で減圧下にて乾燥する方法;10〜30℃の範囲で常圧下にて乾燥した後、さらに60〜140℃(特に80〜120℃)の範囲で常圧下にて乾燥する方法;等が挙げられる。
製膜性の観点から、10〜30℃の範囲で常圧下にて乾燥させた後、さらに80〜120℃で常圧下にて乾燥する方法が好ましい。
また、ブロック共重合体(Z)を圧縮成形、ロール成形、押出成形、射出成形等によって成形し、高分子電解質層としてもよい。
ブロック共重合体(Z)からなる高分子電解質層の別の調製方法として、ブロック共重合体(Z1)を、上記したブロック共重合体(Z)から高分子電解質層を調製する方法と同様にしてブロック共重合体(Z1)からなる層を形成したのち、上記した方法でカチオン交換処理することでスルホン酸基を官能基(1)に変換し、ブロック共重合体(Z)とする方法が挙げられる。
本発明の電気化学素子は、ブロック共重合体(Z)からなる高分子電解質層と、該高分子電解質層の両面にそれぞれ接合した2つの電極とからなる。かかる電極としては、金属薄膜;導電体が分散した樹脂の成形体;などを用いることができる。
このうち導電体が分散した樹脂の成形体において、樹脂としてエラストマーを用いて電極とした場合、電極が柔軟になり、高分子電解質層の変形による電極の剥離や破壊が抑制できることから、センサ用途に好ましい。またセンサ用途において、かかるエラストマーが高分子電解質であると、センサの作用部に変形を与えた際に信号強度の経時変化が少なく信号強度の値が安定することから、より好ましい。また、かかる高分子電解質が、イオン伝導性基を有する芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック及びオレフィン性不飽和化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロックを含有するブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマーである場合、高分子電解質層との接合性の観点からさらに好ましい。また、かかるブロック共重合体は、本発明の電気化学素子が備える高分子電解質層をなすブロック共重合体(Z)であってもよい。
電極となる成形体に分散させる導電体としては、金、銀、銅、白金、アルミニウム、ニッケル等の金属;酸化ルテニウム(RuO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、二酸化イリジウム(IrO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)等の金属酸化物;硫化亜鉛(ZnS)などの金属硫化物;カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の導電性カーボン;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子;を挙げられる。取扱いの容易性の観点からは導電性カーボンが好ましく、これらは単独で用いても、複数種を併用してもよい。
このうち導電体が分散した樹脂の成形体において、樹脂としてエラストマーを用いて電極とした場合、電極が柔軟になり、高分子電解質層の変形による電極の剥離や破壊が抑制できることから、センサ用途に好ましい。またセンサ用途において、かかるエラストマーが高分子電解質であると、センサの作用部に変形を与えた際に信号強度の経時変化が少なく信号強度の値が安定することから、より好ましい。また、かかる高分子電解質が、イオン伝導性基を有する芳香族ビニル化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロック及びオレフィン性不飽和化合物に由来する構造単位からなる重合体ブロックを含有するブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマーである場合、高分子電解質層との接合性の観点からさらに好ましい。また、かかるブロック共重合体は、本発明の電気化学素子が備える高分子電解質層をなすブロック共重合体(Z)であってもよい。
電極となる成形体に分散させる導電体としては、金、銀、銅、白金、アルミニウム、ニッケル等の金属;酸化ルテニウム(RuO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、二酸化イリジウム(IrO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)等の金属酸化物;硫化亜鉛(ZnS)などの金属硫化物;カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の導電性カーボン;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子;を挙げられる。取扱いの容易性の観点からは導電性カーボンが好ましく、これらは単独で用いても、複数種を併用してもよい。
前記電極となる成形体の成形方法は、導電体を分散させる点を除けば、高分子電解質層の調製方法と同様である。
高分子電解質層の両面に2つの電極を接合する方法としては、例えば、金属類の真空蒸着法、スパッタリング法や電気メッキ、化学メッキ法などで接合する方法や、電極材料を含むインキを塗布する方法、別途作製した電極を圧着、溶着する方法等が挙げられ、中でも加工性および汎用性の観点から、電極材料を含むインキを塗布する方法が好ましい。
また、高分子電解質層の片面のみに電極を接合して接合体としたのち、かかる接合体2枚を高分子電解質層同士で貼り合わせることにより、2層からなる高分子電解質層の両面に2つの電極をそれぞれ接合してもよい。かかる2層の高分子電解質層の材料および厚さは同じであっても異なっていてもよい。2枚の接合体を貼り合わせる方法は熱圧着が好ましい。
本発明の電気化学素子の形状については特に制限はなく、例えば、膜、フィルム、シート、板、繊維、ロッド、立方体、直方体、球状、ラグビーボール状などが挙げられ、これらは使用目的に応じて適宜選択すればよい。
上記のような方法で得られた本発明の電気化学素子は、例えば、圧力、力、変位等を検知するセンサやキャパシタとして利用することができ、特にセンサとして利用する場合に、高い信号強度を示す。
以下、参考例、比較例及び実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。また、以下の参考例、実施例及び比較例において用いた測定機器、測定方法及び使用材料を以下に示す。
[1]ブロック共重合体(Z0)のα−メチルスチレン含有率(質量%)、重合体ブロック(B)の水添率及びブロック共重合体(Z1)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(mol%)
日本電子社製核磁気共鳴装置(JNM−LA 400)を用いて、重クロロホルム単独、又は重テトラヒドロフランと重メタノールとの混合物(質量比 80:20)を溶媒として測定した1H−NMRスペクトルから算出した。
日本電子社製核磁気共鳴装置(JNM−LA 400)を用いて、重クロロホルム単独、又は重テトラヒドロフランと重メタノールとの混合物(質量比 80:20)を溶媒として測定した1H−NMRスペクトルから算出した。
[2]数平均分子量の測定
下記の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を測定し、標準ポリスチレン換算して求めた。
機器:東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム:東ソー社製TSK−GEL SuperMultiporeHZ−M 4.6mm(ID)×15.0cm(L)を直列に連結
ガードカラム: TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−M 4.6mm(ID)×2.0cm(L)
溶離液:テトラヒドロフラン、流量 1.0ml/分
検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
検出方法 : 示差屈折率(RI)
下記の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を測定し、標準ポリスチレン換算して求めた。
機器:東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム:東ソー社製TSK−GEL SuperMultiporeHZ−M 4.6mm(ID)×15.0cm(L)を直列に連結
ガードカラム: TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−M 4.6mm(ID)×2.0cm(L)
溶離液:テトラヒドロフラン、流量 1.0ml/分
検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
検出方法 : 示差屈折率(RI)
[3]ブロック共重合体(Z1)のスルホン酸基の含有率
ブロック共重合体(Z1)P(g)を秤量し、100質量倍のテトラヒドロフランに完全に溶解させた。かかる溶液に過剰量の飽和塩化ナトリウム水溶液を加えた後、フェノールフタレイン溶液を数滴加えた。0.01MのNaOH標準水溶液を用いて滴定し、滴定に要したNaOH標準水溶液の量Q(ml)から、次式よりスルホン酸基の含有率(ブロック共重合体(Z1)1gあたりのスルホン酸基のモル数)を求めた。
スルホン酸基の含有率:f(mmol/g)=0.01Q/P
ブロック共重合体(Z1)P(g)を秤量し、100質量倍のテトラヒドロフランに完全に溶解させた。かかる溶液に過剰量の飽和塩化ナトリウム水溶液を加えた後、フェノールフタレイン溶液を数滴加えた。0.01MのNaOH標準水溶液を用いて滴定し、滴定に要したNaOH標準水溶液の量Q(ml)から、次式よりスルホン酸基の含有率(ブロック共重合体(Z1)1gあたりのスルホン酸基のモル数)を求めた。
スルホン酸基の含有率:f(mmol/g)=0.01Q/P
[4]ブロック共重合体(Z−1)〜(Z−3)およびブロック共重合体(Y−1)〜(Y−5)中のスルホン酸基の残存率の測定
密閉できるガラス容器中に、実施例1〜3及び比較例3〜7で作製した接合体を入れ、過剰量の塩化ナトリウム水溶液を加えた後、フェノールフタレイン溶液を数滴加えた。0.01MのNaOH標準水溶液を用いて滴定し、滴定に要したNaOH標準水溶液の量R(ml)から、次式よりカチオン交換処理後のブロック共重合体((Z−1)〜(Z−3)、(Y−1)〜(Y−5))中のスルホン酸基の残存率(ブロック共重合体1gあたりのスルホン酸基のモル数)を求めた。
スルホン酸基の残存率(mmol/g)=0.01R/S
Sは、カチオン交換処理後の接合体に含まれるカチオン交換処理後のブロック共重合体の質量であり、高分子電解質層の体積からブロック共重合体の比重を1g/cm3と見積もって算出した。
密閉できるガラス容器中に、実施例1〜3及び比較例3〜7で作製した接合体を入れ、過剰量の塩化ナトリウム水溶液を加えた後、フェノールフタレイン溶液を数滴加えた。0.01MのNaOH標準水溶液を用いて滴定し、滴定に要したNaOH標準水溶液の量R(ml)から、次式よりカチオン交換処理後のブロック共重合体((Z−1)〜(Z−3)、(Y−1)〜(Y−5))中のスルホン酸基の残存率(ブロック共重合体1gあたりのスルホン酸基のモル数)を求めた。
スルホン酸基の残存率(mmol/g)=0.01R/S
Sは、カチオン交換処理後の接合体に含まれるカチオン交換処理後のブロック共重合体の質量であり、高分子電解質層の体積からブロック共重合体の比重を1g/cm3と見積もって算出した。
[5]センサの信号強度の測定
実施例1〜3及び比較例1〜7で作製したセンサを恒温恒湿器(エスペック社製、小型環境試験器、SH−221)内で80℃、50%R.H.で15時間調湿した。
測定は、センサを板バネに挟んで固定し、ステージコントローラ(シグマ光機(株)製、SHOT−202)で動作制御した小型アクチュエータ(シグマ光機(株)製 、ステッピングモータ駆動小型アクチュエータ、SGSP−13ACT−BO)で1mmの曲げ変形を加えて20 秒間変形を保持し、このとき発生した電圧を電圧計にてモニターして評価し、変形中に示した電圧の最大値を測定したセンサの信号強度とした。なお、曲げ変形における変位量は、レーザー変位計((株)キーエンス製、CCDレーザー変位計、LK−G3000)で測定した。
実施例1〜3及び比較例1〜7で作製したセンサを恒温恒湿器(エスペック社製、小型環境試験器、SH−221)内で80℃、50%R.H.で15時間調湿した。
測定は、センサを板バネに挟んで固定し、ステージコントローラ(シグマ光機(株)製、SHOT−202)で動作制御した小型アクチュエータ(シグマ光機(株)製 、ステッピングモータ駆動小型アクチュエータ、SGSP−13ACT−BO)で1mmの曲げ変形を加えて20 秒間変形を保持し、このとき発生した電圧を電圧計にてモニターして評価し、変形中に示した電圧の最大値を測定したセンサの信号強度とした。なお、曲げ変形における変位量は、レーザー変位計((株)キーエンス製、CCDレーザー変位計、LK−G3000)で測定した。
[参考例1:ブロック共重合体(Z0−1)の製造]
既報(WO02/40611号)と同様の方法で、α−メチルスチレン重合体ブロック(重合体ブロック(A0))とブタジエン重合体ブロック(重合体ブロック(B))とが(A0)−(B)−(A0)の順に結合したトリブロック共重合体を合成した。
かかるトリブロック共重合体をシクロヘキサンに溶解させ、耐圧容器に仕込んで窒素置換した後、ニッケル系チーグラー触媒存在下、水素圧981kPa、80℃で水添反応に供し、ブロック共重合体(Z0)であるブロック共重合体(Z0−1)を得た。得られたブロック共重合体(Z0−1)の数平均分子量(標準ポリスチレン換算)は127,700、重合体ブロック(B)の水添率は98.9%、α−メチルスチレン重合体ブロックの含有率は40質量%であった。
既報(WO02/40611号)と同様の方法で、α−メチルスチレン重合体ブロック(重合体ブロック(A0))とブタジエン重合体ブロック(重合体ブロック(B))とが(A0)−(B)−(A0)の順に結合したトリブロック共重合体を合成した。
かかるトリブロック共重合体をシクロヘキサンに溶解させ、耐圧容器に仕込んで窒素置換した後、ニッケル系チーグラー触媒存在下、水素圧981kPa、80℃で水添反応に供し、ブロック共重合体(Z0)であるブロック共重合体(Z0−1)を得た。得られたブロック共重合体(Z0−1)の数平均分子量(標準ポリスチレン換算)は127,700、重合体ブロック(B)の水添率は98.9%、α−メチルスチレン重合体ブロックの含有率は40質量%であった。
[参考例2:ブロック共重合体(Z1−1)の製造]
参考例1で得られたブロック共重合体(Z0−1)55gを、攪拌機を備えた3L反応容器中に入れて、2Pa、30℃で1時間乾燥し、ついで窒素で系内を置換した後、ジクロロメタン3Lを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、ジクロロメタン155ml中、0℃にて無水酢酸34.7mlと硫酸77.5mlとを反応させて得られたスルホン化剤(アセチルサルフェート)を、5分間かけて滴下した。35℃にて7時間攪拌後、反応溶液を蒸留水10L中に攪拌しながら注ぎ、固形物を析出させた。析出した固形物を蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ別した。この洗浄及びろ別を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した固形物を2Pa、30℃で12時間乾燥してブロック共重合体(Z1)であるブロック共重合体(Z1−1)を得た。得られたブロック共重合体(Z1−1)のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率は1H−NMRスペクトルから50.0mol%であった。また、かかるブロック共重合体(Z1−1)中のスルホン酸基の含有率を測定したところ1.42mmol/gであった。
参考例1で得られたブロック共重合体(Z0−1)55gを、攪拌機を備えた3L反応容器中に入れて、2Pa、30℃で1時間乾燥し、ついで窒素で系内を置換した後、ジクロロメタン3Lを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、ジクロロメタン155ml中、0℃にて無水酢酸34.7mlと硫酸77.5mlとを反応させて得られたスルホン化剤(アセチルサルフェート)を、5分間かけて滴下した。35℃にて7時間攪拌後、反応溶液を蒸留水10L中に攪拌しながら注ぎ、固形物を析出させた。析出した固形物を蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ別した。この洗浄及びろ別を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した固形物を2Pa、30℃で12時間乾燥してブロック共重合体(Z1)であるブロック共重合体(Z1−1)を得た。得られたブロック共重合体(Z1−1)のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率は1H−NMRスペクトルから50.0mol%であった。また、かかるブロック共重合体(Z1−1)中のスルホン酸基の含有率を測定したところ1.42mmol/gであった。
[参考例3:ブロック共重合体(Z0−2)の製造]
既報(特開2007−336790号)と同様の方法で、α−メチルスチレン重合体ブロック(重合体ブロック(A0))とブタジエン重合体ブロック(重合体ブロック(B))とが(A0)−(B)−(A0)の順に結合したトリブロック共重合体を合成した。
かかるトリブロック共重合体を参考例1と同様の方法で水添反応に供し、ブロック共重合体(Z0)であるブロック共重合体(Z0−2)を得た。得られたブロック共重合体(Z0−2)の数平均分子量(標準ポリスチレン換算)は78,000、重合体ブロック(B)の水添率は99.7%、α−メチルスチレン重合体ブロックの含有率は28質量%であった。
既報(特開2007−336790号)と同様の方法で、α−メチルスチレン重合体ブロック(重合体ブロック(A0))とブタジエン重合体ブロック(重合体ブロック(B))とが(A0)−(B)−(A0)の順に結合したトリブロック共重合体を合成した。
かかるトリブロック共重合体を参考例1と同様の方法で水添反応に供し、ブロック共重合体(Z0)であるブロック共重合体(Z0−2)を得た。得られたブロック共重合体(Z0−2)の数平均分子量(標準ポリスチレン換算)は78,000、重合体ブロック(B)の水添率は99.7%、α−メチルスチレン重合体ブロックの含有率は28質量%であった。
[参考例4:ブロック共重合体Z1−2)の製造]
参考例3で得られた重合体(Z0−2)55gを攪拌機を備えた3L反応容器中に入れて、2Pa、30℃で1時間乾燥し、ついで窒素で系内を置換した後、ジクロロメタン3Lを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、ジクロロメタン56.1ml中、0℃にて無水酢酸28.1mlと硫酸12.6mlとを反応させて得られたスルホン化剤(アセチルサルフェート)を、5分間かけて滴下した。35℃にて7時間攪拌後、反応溶液を蒸留水10Lの中に攪拌しながら注ぎ、固形物を析出させた。析出した固形物を蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ別した。この洗浄及びろ別を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した固形物を2Pa、30℃で12時間乾燥してブロック共重合体(Z1)であるブロック共重合体(Z1−2)を得た。得られたブロック共重合体(Z1−2)のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率は1H−NMRスペクトルから49.8mol%であった。また、かかるブロック共重合体(Z1−2)中のスルホン酸基の含有率を測定したところ1.08mmol/gであった。
参考例3で得られた重合体(Z0−2)55gを攪拌機を備えた3L反応容器中に入れて、2Pa、30℃で1時間乾燥し、ついで窒素で系内を置換した後、ジクロロメタン3Lを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、ジクロロメタン56.1ml中、0℃にて無水酢酸28.1mlと硫酸12.6mlとを反応させて得られたスルホン化剤(アセチルサルフェート)を、5分間かけて滴下した。35℃にて7時間攪拌後、反応溶液を蒸留水10Lの中に攪拌しながら注ぎ、固形物を析出させた。析出した固形物を蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ別した。この洗浄及びろ別を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した固形物を2Pa、30℃で12時間乾燥してブロック共重合体(Z1)であるブロック共重合体(Z1−2)を得た。得られたブロック共重合体(Z1−2)のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率は1H−NMRスペクトルから49.8mol%であった。また、かかるブロック共重合体(Z1−2)中のスルホン酸基の含有率を測定したところ1.08mmol/gであった。
[比較例1]
[1]参考例2の方法で得られたブロック共重合体(Z1−1)50gを、ジイソプロピルベンゼン/1−ヘキサノール混合溶媒(質量比8/2)200gに溶解させて、電解質溶液を調製した。一方、同様にして調製した電解質溶液250gにさらにケッチェンブラック4.4gを加えて、ホモジナイザーを用いて混合し、電極分散液を得た。
[2]市販の銀ペーストで集電極(厚み10μm)を設けた軟質フィルム(厚み200μm)の該集電極上に、スクリーン印刷機を用いて前記電極分散液を印刷し、その後80℃で乾燥する工程を繰り返し、膜厚100μmの層状の電極を形成した。
[3]上記[2]の操作で形成した電極上に、スクリーン印刷機を用いて前記電解質溶液を印刷した後、100℃で乾燥する工程を繰り返し、膜厚15μmの高分子電解質層を形成し、集電極/電極/高分子電解質層をこの順に接合した接合体を得た。
[4]上記[3]の操作で得た接合体2枚を、高分子電解質層同士が接するように重ね合わせ、100℃、0.5MPaで5分間圧着することでブロック共重合体(Z1−1)を高分子電解質層として備える比較センサ1を得た。
[5]比較センサ1の2つの集電極にそれぞれリード線を繋ぎ、センサとしての評価を行った。
[1]参考例2の方法で得られたブロック共重合体(Z1−1)50gを、ジイソプロピルベンゼン/1−ヘキサノール混合溶媒(質量比8/2)200gに溶解させて、電解質溶液を調製した。一方、同様にして調製した電解質溶液250gにさらにケッチェンブラック4.4gを加えて、ホモジナイザーを用いて混合し、電極分散液を得た。
[2]市販の銀ペーストで集電極(厚み10μm)を設けた軟質フィルム(厚み200μm)の該集電極上に、スクリーン印刷機を用いて前記電極分散液を印刷し、その後80℃で乾燥する工程を繰り返し、膜厚100μmの層状の電極を形成した。
[3]上記[2]の操作で形成した電極上に、スクリーン印刷機を用いて前記電解質溶液を印刷した後、100℃で乾燥する工程を繰り返し、膜厚15μmの高分子電解質層を形成し、集電極/電極/高分子電解質層をこの順に接合した接合体を得た。
[4]上記[3]の操作で得た接合体2枚を、高分子電解質層同士が接するように重ね合わせ、100℃、0.5MPaで5分間圧着することでブロック共重合体(Z1−1)を高分子電解質層として備える比較センサ1を得た。
[5]比較センサ1の2つの集電極にそれぞれリード線を繋ぎ、センサとしての評価を行った。
[実施例1]
[1]比較例1の[1]〜[3]と同様にして得られた接合体を、0.2Mに調製した3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液に室温で1時間浸漬して、該接合体が備える高分子電解質層におけるブロック共重合体(Z1−1)中の、スルホン酸基のプロトンを3−エチル−1−メチルイミダゾリウムカチオンと交換した官能基(1)(以下、官能基(1−1)と称する)に変換した。
次いで、かかる接合体を、pHに変化がなくなるまで蒸留水で洗浄を行ったのち、12時間風乾し、官能基(1−1)を有するブロック共重合体(Z)(以下、「ブロック共重合体(Z−1)」と称する)を備える接合体を得た。
[2]上記[1]の操作で得られた接合体2枚を、高分子電解質層同士が接するように重ね合わせ、100℃で5分間、0.5MPaで圧着することで、ブロック共重合体(Z−1)を高分子電解質層として備える本発明の電気化学素子からなるセンサ1を得た。
[3]センサ1の2つの集電極にそれぞれリード線を繋ぎ、センサとしての評価を行った。
[4]別途上記[1]と同様に作製した接合体が備える高分子電解質層におけるブロック共重合体(Z−1)中の、カチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、ブロック共重合体(Z1−1)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、ブロック共重合体(Z−1)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(1−1)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[1]比較例1の[1]〜[3]と同様にして得られた接合体を、0.2Mに調製した3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液に室温で1時間浸漬して、該接合体が備える高分子電解質層におけるブロック共重合体(Z1−1)中の、スルホン酸基のプロトンを3−エチル−1−メチルイミダゾリウムカチオンと交換した官能基(1)(以下、官能基(1−1)と称する)に変換した。
次いで、かかる接合体を、pHに変化がなくなるまで蒸留水で洗浄を行ったのち、12時間風乾し、官能基(1−1)を有するブロック共重合体(Z)(以下、「ブロック共重合体(Z−1)」と称する)を備える接合体を得た。
[2]上記[1]の操作で得られた接合体2枚を、高分子電解質層同士が接するように重ね合わせ、100℃で5分間、0.5MPaで圧着することで、ブロック共重合体(Z−1)を高分子電解質層として備える本発明の電気化学素子からなるセンサ1を得た。
[3]センサ1の2つの集電極にそれぞれリード線を繋ぎ、センサとしての評価を行った。
[4]別途上記[1]と同様に作製した接合体が備える高分子電解質層におけるブロック共重合体(Z−1)中の、カチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、ブロック共重合体(Z1−1)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、ブロック共重合体(Z−1)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(1−1)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[比較例2]
ブロック共重合体(Z1−1)の代わりに、参考例4で得られたブロック共重合体(Z1−2)50gを用いた以外は、比較例1と同様にして接合体を作製したのち、かかる接合体から比較センサ2を作製し、評価を行った。
ブロック共重合体(Z1−1)の代わりに、参考例4で得られたブロック共重合体(Z1−2)50gを用いた以外は、比較例1と同様にして接合体を作製したのち、かかる接合体から比較センサ2を作製し、評価を行った。
[実施例2]
[1]ブロック共重合体(Z1−1)の代わりに、参考例4で得られたブロック共重合体(Z1−2)50gを用いた以外は実施例1の[1]〜[3]と同様にして、官能基(1−1)を有するブロック共重合体(Z)(以下、「ブロック共重合体(Z−2)」と称する)を高分子電解質層として備える接合体を作製したのち、かかる接合体から本発明の電気化学素子からなるセンサ2を作製し、評価を行った。
[2]上記[1]と同様に別途作製した接合体を用いて、高分子電解質層におけるブロック共重合体(Z−2)中の、カチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、ブロック共重合体(Z1−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、ブロック共重合体(Z−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(1−1)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[1]ブロック共重合体(Z1−1)の代わりに、参考例4で得られたブロック共重合体(Z1−2)50gを用いた以外は実施例1の[1]〜[3]と同様にして、官能基(1−1)を有するブロック共重合体(Z)(以下、「ブロック共重合体(Z−2)」と称する)を高分子電解質層として備える接合体を作製したのち、かかる接合体から本発明の電気化学素子からなるセンサ2を作製し、評価を行った。
[2]上記[1]と同様に別途作製した接合体を用いて、高分子電解質層におけるブロック共重合体(Z−2)中の、カチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、ブロック共重合体(Z1−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、ブロック共重合体(Z−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(1−1)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[実施例3]
[1]3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液に代えて、0.2Mに調製した3−エチル-1,2−ジメチルイミダゾリウムアセテート水溶液を用いた以外は実施例2の[1]と同様にして、ブロック共重合体(Z1−2)のスルホン酸基のプロトンを3−エチル−1,2−ジメチルイミダゾリウムカチオンに交換した官能基(1)(以下、「官能基(1−2)」と称する)を有するブロック共重合体(Z)(以下、「ブロック共重合体(Z−3)」と称する)を高分子電解質層として備える接合体を作製したのち、かかる接合体から本発明の電気化学素子からなるセンサ3を得て、評価を行った。
[2]上記[1]と同様に別途作製した接合体を用いて、高分子電解質層におけるブロック共重合体(Z−3)中のカチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、ブロック共重合体(Z1−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、ブロック共重合体(Z−3)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(1−2)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[1]3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液に代えて、0.2Mに調製した3−エチル-1,2−ジメチルイミダゾリウムアセテート水溶液を用いた以外は実施例2の[1]と同様にして、ブロック共重合体(Z1−2)のスルホン酸基のプロトンを3−エチル−1,2−ジメチルイミダゾリウムカチオンに交換した官能基(1)(以下、「官能基(1−2)」と称する)を有するブロック共重合体(Z)(以下、「ブロック共重合体(Z−3)」と称する)を高分子電解質層として備える接合体を作製したのち、かかる接合体から本発明の電気化学素子からなるセンサ3を得て、評価を行った。
[2]上記[1]と同様に別途作製した接合体を用いて、高分子電解質層におけるブロック共重合体(Z−3)中のカチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、ブロック共重合体(Z1−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、ブロック共重合体(Z−3)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(1−2)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[比較例3]
[1]3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液に代えて、0.5Mに調製したアンモニア水を用いた以外は実施例2の[1]と同様にして、ブロック共重合体(Z1−2)のスルホン酸基のプロトンをアンモニウムカチオンに交換した官能基(W−1)を有するブロック共重合体(Y−1)を高分子電解質層として備える接合体を作製したのち、かかる接合体から比較センサ3を得て、評価を行った。
[2]上記[1]と同様に別途作成した接合体を用いて、高分子電解質層におけるブロック共重合体(Y−1)中のカチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、ブロック共重合体(Z1−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、ブロック共重合体(Y−1)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(W−1)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[1]3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液に代えて、0.5Mに調製したアンモニア水を用いた以外は実施例2の[1]と同様にして、ブロック共重合体(Z1−2)のスルホン酸基のプロトンをアンモニウムカチオンに交換した官能基(W−1)を有するブロック共重合体(Y−1)を高分子電解質層として備える接合体を作製したのち、かかる接合体から比較センサ3を得て、評価を行った。
[2]上記[1]と同様に別途作成した接合体を用いて、高分子電解質層におけるブロック共重合体(Y−1)中のカチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、ブロック共重合体(Z1−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、ブロック共重合体(Y−1)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(W−1)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[比較例4]
[1]3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液に代えて、0.5Mに調製したテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた以外は実施例2の[1]と同様にして、ブロック共重合体(Z1−2)のスルホン酸基のプロトンをテトラメチルアンモニウムカチオンに交換した官能基(W−2)を有するブロック共重合体(Y−2)を高分子電解質層として備える接合体を作製したのち、かかる接合体から比較センサ4を得て、評価を行った。
[2]上記[1]と同様に別途作成した接合体を用いて、高分子電解質層におけるブロック共重合体(Y−2)中のカチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、ブロック共重合体(Z1−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、ブロック共重合体(Y−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(W−2)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[1]3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液に代えて、0.5Mに調製したテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた以外は実施例2の[1]と同様にして、ブロック共重合体(Z1−2)のスルホン酸基のプロトンをテトラメチルアンモニウムカチオンに交換した官能基(W−2)を有するブロック共重合体(Y−2)を高分子電解質層として備える接合体を作製したのち、かかる接合体から比較センサ4を得て、評価を行った。
[2]上記[1]と同様に別途作成した接合体を用いて、高分子電解質層におけるブロック共重合体(Y−2)中のカチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、ブロック共重合体(Z1−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、ブロック共重合体(Y−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(W−2)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[比較例5]
[1]3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液に代えて、0.5Mに調製した塩化リチウム水溶液を用いた以外は実施例2の[1]と同様にして、ブロック共重合体(Z1−2)のスルホン酸基のプロトンをリチウムカチオンに交換した官能基(W−3)を有するブロック共重合体(Y−3)を高分子電解質層として備える接合体を作製したのち、かかる接合体から比較センサ5を得て、評価を行った。
[2]上記[1]と同様に別途作成した接合体を用いて、高分子電解質層におけるブロック共重合体(Y−3)中のカチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、重合体(Z1−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、重合体(Y−3)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(W−3)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[1]3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液に代えて、0.5Mに調製した塩化リチウム水溶液を用いた以外は実施例2の[1]と同様にして、ブロック共重合体(Z1−2)のスルホン酸基のプロトンをリチウムカチオンに交換した官能基(W−3)を有するブロック共重合体(Y−3)を高分子電解質層として備える接合体を作製したのち、かかる接合体から比較センサ5を得て、評価を行った。
[2]上記[1]と同様に別途作成した接合体を用いて、高分子電解質層におけるブロック共重合体(Y−3)中のカチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、重合体(Z1−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、重合体(Y−3)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(W−3)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[比較例6]
[1]3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液に代えて、0.5Mに調製した水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外は、実施例2の[1]と同様にして、ブロック共重合体(Z1−2)のスルホン酸基のプロトンをナトリウムカチオンに交換した官能基(W−4)を有するブロック共重合体(Y−4)を高分子電解質層として備える接合体を作製したのち、かかる接合体から比較センサ6を得て、評価を行った。
[2]上記[1]と同様に別途作成した接合体を用いて、高分子電解質層におけるブロック共重合体(Y−4)中のカチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、ブロック共重合体(Z1−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、ブロック共重合体(Y−4)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(W−4)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[1]3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液に代えて、0.5Mに調製した水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外は、実施例2の[1]と同様にして、ブロック共重合体(Z1−2)のスルホン酸基のプロトンをナトリウムカチオンに交換した官能基(W−4)を有するブロック共重合体(Y−4)を高分子電解質層として備える接合体を作製したのち、かかる接合体から比較センサ6を得て、評価を行った。
[2]上記[1]と同様に別途作成した接合体を用いて、高分子電解質層におけるブロック共重合体(Y−4)中のカチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、ブロック共重合体(Z1−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、ブロック共重合体(Y−4)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(W−4)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[比較例7]
[1]3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液に代えて、0.5Mに調製した水酸化カリウム水溶液を用いた以外は、実施例2の[1]と同様にして、ブロック共重合体(Z1−2)のスルホン酸基のプロトンをカリウムカチオンに交換した官能基(W−5)を有するブロック共重合体(Y−5)を高分子電解質層として備える接合体を作製したのち、かかる接合体から比較センサ7を得て、評価を行った。
[2]上記[1]と同様に別途作成した接合体を用いて、高分子電解質層におけるブロック共重合体(Y−5)中のカチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、ブロック共重合体(Z1−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、ブロック共重合体(Y−5)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(W−5)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
[1]3−エチル-1−メチルイミダゾリウムアセテート水溶液に代えて、0.5Mに調製した水酸化カリウム水溶液を用いた以外は、実施例2の[1]と同様にして、ブロック共重合体(Z1−2)のスルホン酸基のプロトンをカリウムカチオンに交換した官能基(W−5)を有するブロック共重合体(Y−5)を高分子電解質層として備える接合体を作製したのち、かかる接合体から比較センサ7を得て、評価を行った。
[2]上記[1]と同様に別途作成した接合体を用いて、高分子電解質層におけるブロック共重合体(Y−5)中のカチオン交換されていないスルホン酸基の残存率を測定したところ検出されなかった。このことから、ブロック共重合体(Z1−2)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対するスルホン酸基の含有率(モル%)が、ブロック共重合体(Y−5)中のα−メチルスチレンに由来する構造単位に対する官能基(W−5)の含有率(モル%)に等しいと判断した。
実施例1から3および比較例1から8で得られたセンサの信号強度を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜3のセンサは、比較例1〜7のセンサと比較して、高い信号強度を示す。
本発明の電気化学素子を用いたセンサは、高い信号強度の電気信号を発することができ、例えば変形センサとして好適に使用できる。
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