JP2013060835A - 可変動弁装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の燃費の向上を図ることができる可変動弁装置を提供する。
【解決手段】可変動弁装置(50)は、内燃機関(10)の一つの気筒(18)に対して配置された第1の排気弁(17a)および第2の排気弁(17b)のうち少なくとも一方の位相を変更可能な可変動弁機構(60)と、内燃機関の回転数が所定値よりも高い高回転数の場合に、第1の排気弁の開弁時期が第2の排気弁の開弁時期に対して第1の値だけ早くなるように可変動弁機構を制御するとともに、さらに内燃機関の排気圧が所定値よりも高い高排気圧の場合には、第1の排気弁の開弁時期が第2の排気弁の開弁時期に対して第1の値よりも小さい第2の値だけ早くなるように可変動弁機構を制御する制御装置(80)と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図6
【解決手段】可変動弁装置(50)は、内燃機関(10)の一つの気筒(18)に対して配置された第1の排気弁(17a)および第2の排気弁(17b)のうち少なくとも一方の位相を変更可能な可変動弁機構(60)と、内燃機関の回転数が所定値よりも高い高回転数の場合に、第1の排気弁の開弁時期が第2の排気弁の開弁時期に対して第1の値だけ早くなるように可変動弁機構を制御するとともに、さらに内燃機関の排気圧が所定値よりも高い高排気圧の場合には、第1の排気弁の開弁時期が第2の排気弁の開弁時期に対して第1の値よりも小さい第2の値だけ早くなるように可変動弁機構を制御する制御装置(80)と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図6
Description
本発明は、可変動弁装置に関する。
従来、内燃機関の回転数が高回転数の場合には内燃機関の回転数が高回転数でない場合に比較して排気弁の開弁時期を早くすることで、内燃機関のポンプ損失(排気押し出し損失)の低減を図った可変動弁装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
内燃機関のポンプ損失を低減させることによって、内燃機関の燃費を向上させることができる。そこで、内燃機関の燃費の向上を目的として、内燃機関の回転数が高回転数の場合には内燃機関の回転数が高回転数でない場合に比較して、内燃機関の一つの気筒に対して配置された2つの排気弁のうち一方の排気弁の開弁時期を他方の排気弁の開弁時期に対して早くすることが考えられる。しかしながら、この場合、内燃機関の排気圧が高い場合には、必ずしも内燃機関の燃費を向上できるとは限らないことが分った。
具体的には、開弁時期の早い排気弁は他方の排気弁よりも早い時期に閉弁するため、排気行程の上死点近傍において一方の排気弁が閉弁し、他方の排気弁が開弁した状態となる場合が生じる。このような片方の排気弁が閉弁し他方の排気弁が開弁した期間(以下、片弁閉期間と称する場合がある)においては、圧縮仕事が発生することになる。片弁閉期間において圧縮仕事が発生した場合、片弁閉期間におけるポンプ損失は増大してしまう。
片方の排気弁の開弁時期を早くすることによるポンプ損失の低減と、片弁閉期間における圧縮仕事によるポンプ損失の増大とのバランスは、排気圧に依存する。具体的には排気圧が高いほど、片方の排気弁の開弁時期を早くすることによるポンプ損失の低減量は少なくなり、片弁閉期間における圧縮仕事によるポンプ損失の増大量は大きくなる傾向がある。したがって内燃機関の排気圧が高い場合には、片弁閉期間における圧縮仕事によるポンプ損失の増大量が、片方の排気弁の開弁時期を早くすることによるポンプ損失の低減量を上回るおそれがある。この場合、内燃機関の燃費向上を図ることは困難になってしまう。
本発明は、内燃機関の燃費の向上を図ることができる可変動弁装置を提供することを目的とする。
本発明に係る可変動弁装置は、内燃機関の一つの気筒に対して配置された第1の排気弁および第2の排気弁のうち少なくとも一方の位相を変更可能な可変動弁機構と、前記内燃機関の回転数が所定値よりも高い高回転数の場合に、前記第1の排気弁の開弁時期が前記第2の排気弁の開弁時期に対して第1の値だけ早くなるように前記可変動弁機構を制御するとともに、さらに前記内燃機関の排気圧が所定値よりも高い高排気圧の場合には、前記第1の排気弁の開弁時期が前記第2の排気弁の開弁時期に対して前記第1の値よりも小さい第2の値だけ早くなるように前記可変動弁機構を制御する制御装置と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る可変動弁装置によれば、内燃機関の回転数が高回転数であるが内燃機関の排気圧が高排気圧でない場合には、第1の排気弁の開弁時期を第2の排気弁の開弁時期に対して第1の値だけ早くすることができ、内燃機関の回転数が高回転数であり且つ内燃機関の排気圧が高排気圧である場合には、第1の排気弁の開弁時期を第2の排気弁の開弁時期に対して第1の値よりも小さい第2の値だけ早くすることができる。この場合、内燃機関の回転数が高回転数の場合に、第1の排気弁が第2の排気弁よりも早く開くことから、内燃機関のポンプ損失を低減させて内燃機関の燃費を向上させることができる。また、内燃機関の回転数が高回転数であり且つ内燃機関の排気圧が高排気圧である場合には、高回転数ではあるが高排気圧でない場合に比較して、第1の排気弁が閉弁し第2の排気弁が開弁している期間(片弁閉期間)を短くすることができる。その結果、片弁閉期間における圧縮仕事の発生量を低減させることができることから、片弁閉期間における圧縮仕事によるポンプ損失の増大を抑制できる。それにより、内燃機関の燃費を向上させることができる。
上記構成において、前記制御装置は、前記内燃機関の前記排気圧が高くなるほど、前記第2の値が小さくなるように前記可変動弁機構を制御してもよい。
この構成によれば、内燃機関の回転数が高回転数であり且つ内燃機関の排気圧が高排気圧である場合において、排気圧が高くなるほど片弁閉期間を短くすることができる。それにより、片弁閉期間における圧縮仕事の発生量を低減させることができる。その結果、圧縮仕事によるポンプ損失の増大を排気圧に応じて適切に抑制することができる。
本発明によれば、内燃機関の燃費の向上を図ることができる可変動弁装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の実施例1に係る可変動弁装置50について説明する。まず可変動弁装置50が適用される内燃機関システム5の全体構成について説明し、次いで可変動弁装置50の詳細について説明する。図1(a)は、内燃機関システム5を示す模式図である。内燃機関システム5は、内燃機関10と可変動弁装置50とを備えている。内燃機関10の種類は特に限定されないが、本実施例に係る内燃機関10はディーゼルエンジンである。但し、本実施例に係る可変動弁装置50はガソリンエンジンにも適用することができる。
内燃機関10は、シリンダブロック11と、シリンダヘッド12と、ピストン13と、吸気通路14と、排気通路15と、吸気弁(吸気弁16aおよび吸気弁16b)と、排気弁(排気弁17aおよび排気弁17b)と、過給機30と、排気浄化装置35と、各種センサとを備えている。可変動弁装置50は、可変動弁機構60と制御装置80とを備えている。
シリンダブロック11には気筒18が形成されている。本実施例において、気筒18の数は一つである。但しシリンダブロック11は、複数の気筒18を有していてもよい。シリンダヘッド12は、シリンダブロック11の上方に配置されている。ピストン13は、気筒18に配置されている。シリンダブロック11とシリンダヘッド12とピストン13とによって囲まれた領域に、燃焼室19が形成されている。燃焼室19は、燃料と空気とが混合した混合気が燃焼するための空間である。ピストン13は、クランク軸にコンロッドを介して接続されている。ピストン13が気筒18内を上下動することで、クランク軸は回転する。なお、本実施例において上方および下方は、必ずしも重力方向における上方および下方と一致している必要はない。例えば、本実施例における上方および下方は水平方向であってもよい。
吸気通路14は、燃焼室19に導入される吸気(燃焼室19に吸入される空気)が通過する通路である。排気通路15は、燃焼室19から排出される排気が通過する通路である。吸気弁16aおよび吸気弁16bは、吸気通路14を開閉する弁である。排気弁17aおよび排気弁17bは、排気通路15を開閉する弁である。
図1(b)は、気筒18を上方側から見た様子を模式的に図示している。図1(b)において、内燃機関10のクランク軸の軸線であるクランク軸線20が図示されている。本実施例に係る内燃機関10は、一つの気筒18に対して2つの吸気弁(吸気弁16aおよび吸気弁16b)および2つの排気弁(排気弁17aおよび排気弁17b)を備えている。
吸気弁16aおよび吸気弁16b(以下、両者を吸気2弁と総称する場合がある)は、気筒18のクランク軸線20を挟んで一方の側に配置されている。排気弁17aおよび排気弁17b(以下、両者を排気2弁と総称する場合がある)は、気筒18のクランク軸線20を挟んで他方の側に配置されている。但し吸気2弁および排気2弁の配置形態は、図1(b)の配置形態に限定されるものではない。
図1(a)を参照して、過給機30は排気通路15に配置されている。過給機30は、内燃機関10の排気によって駆動して、吸気を過給する装置である。このような装置であれば、過給機30の構成は特に限定されるものではない。一例として過給機30は、内燃機関10からの排気によって駆動するタービンと、タービンによって駆動されて回転して吸気を圧縮するコンプレッサとを備えている。コンプレッサによって圧縮された吸気は、吸気行程において吸気通路14から燃焼室19に導入される。
タービンとして、可変ノズル(VN)付きのタービンを用いることが好ましい。この構成によれば、内燃機関10の運転状態に応じて過給圧を好適に制御することができる。また過給機30は、過給圧を調整するためのバルブであるウエストゲートバルブを備えていることが好ましい。この構成によっても内燃機関10の運転状態に応じて過給圧を好適に制御することができる。本実施例に係る過給機30は、可変ノズル付きのタービンおよびウエストゲートバルブを備えている。
排気浄化装置35は、内燃機関10の排気を浄化する装置である。排気浄化装置35は排気通路15に配置されている。具体的には排気浄化装置35は、排気通路15の過給機30よりも排気の流動方向下流側に配置されている。但し、排気浄化装置35の配置箇所はこれに限定されるものではない。また本実施例において、排気浄化装置35は、排気に含まれる微粒子を捕集するフィルタを備えている。具体的には排気浄化装置35は、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(Diesel Particle Filter)を備えている。
各種センサは、制御装置80の動作に必要な情報を検出するセンサである。図1においては各種センサの一例として、クランクポジションセンサ40、カムポジションセンサ41および圧力センサ42が図示されている。クランクポジションセンサ40は、内燃機関10のクランク軸の位置を検出し、検出結果を制御装置80に伝える。制御装置80は、クランクポジションセンサ40の検出結果に基づいて内燃機関10のクランク角を取得する。また制御装置80は、クランクポジションセンサ40の検出結果に基づいて内燃機関10の回転数(クランク軸の回転数)を取得する。すなわち本実施例に係るクランクポジションセンサ40は、内燃機関10の回転数を検出する回転数検出手段としての機能を有している。
カムポジションセンサ41は、可変動弁機構60の後述する内部カム軸63および外部カム軸62のクランク角に対する相対位置を検出し、検出結果を制御装置80に伝える。制御装置80は、カムポジションセンサ41の検出結果に基づいて、可変動弁機構60の後述するカム65aおよびカム65bの位相を取得するとともに、排気2弁の位相を取得する。
圧力センサ42は、内燃機関10の排気の圧力(以下、排気圧と称する)を検出し、検出結果を制御装置80に伝える。すなわち圧力センサ42は、排気圧を検出する排気圧検出手段としての機能を有している。本実施例に係る圧力センサ42は、排気通路15の過給機30よりも排気の流動方向上流側の排気圧を検出している。但し、圧力センサ42の排気圧の検出箇所は、これに限定されるものではない。
可変動弁装置50の可変動弁機構60は、排気2弁のうち少なくとも一方の位相を変更可能な可変動弁機構である。可変動弁機構60は制御装置80によって制御される。可変動弁機構60の詳細は後述する。
制御装置80は、各種センサの検出結果に基づいて可変動弁機構60を制御する制御部と、制御部の動作に必要な情報を記憶する記憶部とを備えている。制御部は、可変動弁機構60を制御することで、排気2弁の位相を制御する。制御装置80として、電子制御装置(Electronic Control Unit)を用いることができる。本実施例においては、制御装置80の一例として、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82およびRAM(Random Access Memory)83を備える電子制御装置を用いる。制御部の機能は、CPU81によって実現される。記憶部の機能は、ROM82およびRAM83によって実現される。
続いて可変動弁機構60の詳細について説明する。前述したように可変動弁機構60は、排気2弁のうち少なくとも一方の位相を変更可能な可変動弁機構である。このような可変動弁機構として、排気2弁のうち他方の排気弁の位相を変更することなく一方の排気弁の位相を変更可能な可変動弁機構(以下、排気片弁位相可変機構と称する場合がある)、排気2弁のうち一方の排気弁および他方の排気弁の位相をそれぞれ独立して変更可能な可変動弁機構(以下、排気両弁位相可変機構と称する場合がある)等を用いることができる。
本実施例においては、可変動弁機構60として排気片弁位相可変機構を用いる。排気片弁位相可変機構の具体的な構成は、特に限定されるものではないが、本実施例では、一例として二重軸構造のカム軸を有する可変動弁機構を用いる。この可変動弁機構として、例えば特開2009−144521号公報等に記載されているような排気両弁位相可変機構を排気2弁用の排気片弁位相可変機構に応用したものを用いることができる。
可変動弁機構60の構成の要部を以下に説明する。図2(a)は、可変動弁機構60として排気片弁位相可変機構を用いた場合の可変動弁装置50の要部を示す模式図である。可変動弁機構60は、二重カム軸61およびアクチュエータ70aを備えている。二重カム軸61は、外部カム軸62および内部カム軸63を備えている。外部カム軸62は、内部カム軸63の外側に内部カム軸63と同一の回転中心線を有して配置されている。図2(a)において、外部カム軸62および内部カム軸63の回転中心線は、回転中心線64によって図示されている。外部カム軸62はカム65aを有している。内部カム軸63はカム65bを有している。カム65aは排気弁17aに対応している。カム65bは排気弁17bに対応している。なお、内燃機関10が複数の気筒18を有している場合には、可変動弁機構60は、回転中心線64の線の方向が気筒18の配列方向になるようにして内燃機関10に配置され、二重カム軸61は、一組のカム65aおよびカム65bを気筒18の数に対応した数だけ備えることになる。
内部カム軸63は、内燃機関10のクランク軸と同期して回転するように構成されている。外部カム軸62もクランク軸と同期して回転するように構成されている。また外部カム軸62は、アクチュエータ70aによっても強制的に回転可能に構成されている。
なお、カム65aの外部カム軸62への接続方法およびカム65bの内部カム軸63への接続方法は、外部カム軸62が内部カム軸63に対して独立して所定の角度回転できるのであれば、特に限定されるものではない。本実施例においてカム65aは、外部カム軸62の外表面にピン、ボルト等の締結部材を用いて接続されている。カム65bは、締結部材を用いて内部カム軸63に接続されている。具体的には、カム65bは、締結部材をカム65bの例えばカムヒール側から少なくとも内部カム軸63に至る部分にまで挿入することで、内部カム軸63に接続されている。この場合、外部カム軸62には、内部カム軸63が回転したときにカム65b用の締結部材が移動するための溝が形成されている。内部カム軸63が回転したとき、カム65bは外部カム軸62に対して摺動しながら回転する。
アクチュエータ70aは、外部カム軸62を強制的に駆動する駆動装置である。本実施例においてはアクチュエータ70aの一例として、ベーン式のアクチュエータを用いる。この場合、アクチュエータ70aは、ベーン71aとベーン71aを収容するハウジング72aとを備えている。ベーン71aは、制御装置80の制御部に制御されることでハウジング72aに対して相対的に回転する。なお、ベーン71aの回転中心線は回転中心線64と一致している。
制御装置80の制御部がベーン71aが回転するようにアクチュエータ70aを制御することで、ベーン71aに接続した外部カム軸62は内部カム軸63に対して相対的に回転する。その結果、外部カム軸62の位相はクランク軸の位相に対して変更される。一方、内部カム軸63の位相は変更されない。このようにして排気片弁位相可変機構である可変動弁機構60によれば、排気弁17bの位相を変更せずに排気弁17aの位相を変更することができる。
なお可変動弁機構60として、排気両弁位相可変機構を用いる場合には、例えば前述した特開2009−144521号公報等に記載されているような二重軸構造のカム軸を有する排気両弁位相可変機構を排気2弁に応用したものを用いるいることができる。この可変動弁機構60の構成の要部を以下に説明する。図2(b)は、可変動弁機構60として排気両弁位相可変機構を用いた場合の可変動弁装置50の要部を示す模式図である。図2(b)に係る可変動弁機構60は、アクチュエータ70bをさらに備える点において図2(a)に係る可変動弁機構60と異なっている。
アクチュエータ70bは、内部カム軸63を強制的に駆動する駆動装置である。アクチュエータ70bは、ベーン71bとベーン71bを収容するハウジング72bとを備えている。内部カム軸63および外部カム軸62は、内燃機関10のクランク軸と同期して回転するように構成されている。また内部カム軸63は、アクチュエータ70bによっても強制的に回転可能に構成されている。外部カム軸62は、アクチュエータ70aによっても強制的に回転可能に構成されている。
制御装置80の制御部がベーン71aが回転するようにアクチュエータ70aを制御することで、ベーン71aに接続した外部カム軸62は内部カム軸63に対して相対的に回転する。その結果、外部カム軸62の位相はクランク軸の位相に対して変更される。また制御部がベーン71bが回転するようにアクチュエータ70bを制御することで、ベーン71bに接続した内部カム軸63は外部カム軸62に対して相対的に回転する。その結果、内部カム軸63の位相はクランク軸の位相に対して変更される。このようにして排気両弁位相可変機構である可変動弁機構60によれば、排気弁17aおよび排気弁17bの位相をそれぞれ独立して変更することができる。
続いて、制御装置80による可変動弁機構60の制御の詳細について説明する。まず制御装置80の制御部は、内燃機関10の回転数が所定値よりも高い高回転数の場合に、排気2弁のうち一方の排気弁(本実施例では一方の排気弁として排気弁17aを用いる)の開弁時期が他方の排気弁(排気弁17b)の開弁時期に対して早くなるように可変動弁機構60を制御する。この結果得られる排気弁17aの開弁時期と排気弁17bの開弁時期との差を、第1の値と称する。また、制御部は、さらに内燃機関10の排気圧が所定値よりも高い高排気圧の場合には、排気弁17aの開弁時期が排気弁17bの開弁時期に対して第1の値よりも小さい第2の値だけ早くなるように可変動弁機構60を制御する。
すなわち制御部は、内燃機関10の回転数が高回転数であるが内燃機関10の排気圧が高排気圧でない場合には、排気弁17aの開弁時期が排気弁17bの開弁時期に対して第1の値だけ早くなるように可変動弁機構60を制御し、内燃機関10の回転数が高回転数であり内燃機関10の排気圧が高排気圧の場合には、排気弁17aの開弁時期が排気弁17bの開弁時期に比較して第2の値(<第1の値)だけ早くなるように可変動弁機構60を制御している。
排気弁17aの開弁時期を排気弁17bの開弁時期に対して第1の値または第2の値だけ早くするために行う制御部による可変動弁機構60の具体的な制御手法は、特に限定されるものではない。例えば制御部は、排気弁17aの位相が排気弁17bの位相に対して第1の値または第2の値だけ進角するように可変動弁機構60を制御すればよい。
具体的には本実施例のように可変動弁機構60として排気片弁位相可変機構(図2(a))が用いられる場合には、制御部は、排気弁17aの位相がクランク角に対して第1の値または第2の値だけ進角するようにアクチュエータ70aを制御することで、排気弁17aの位相を排気弁17bの位相に対して第1の値または第2の値だけ進角させることができる。また可変動弁機構60として排気両弁位相可変機構(図2(b))が用いられる場合には、制御部は、排気弁17aの位相が排気弁17bの位相に対して第1の値または第2の値だけ進角するようにアクチュエータ70aおよびアクチュエータ70bを制御すればよい。
排気弁17aの位相が排気弁17bの位相に対して進角した場合、排気弁17aおよび排気弁17bのバルブリフト曲線は以下のように変化する。図3(a)は、排気弁17aの位相の進角制御前の状態における排気弁17aおよび排気弁17bのバルブリフト曲線を示す模式図である。図3(b)は、排気弁17aの位相の進角制御後の状態における排気弁17aおよび排気弁17bのバルブリフト曲線を示す模式図である。図3(a)および図3(b)において、縦軸はバルブリフト量を示し、横軸はクランク角を示している。なお図3(b)は、排気弁17aの位相の進角量が第1の値の場合を例示している。
図3(a)に示す曲線100aは、排気弁17aの位相の進角制御前の状態における排気弁17aおよび排気弁17bのバルブリフト曲線を示している。排気弁17aの位相の進角制御前において、排気弁17aおよび排気弁17bは同位相になっていることから、排気弁17aおよび排気弁17bのバルブリフト曲線は重なっている。
図3(b)に示す曲線100bは、排気弁17aの位相の進角制御後の状態における排気弁17bのバルブリフト曲線を示し、曲線100cは、排気弁17aの位相の進角制御後の状態における排気弁17aのバルブリフト曲線を示している。排気弁17aの位相の進角制御後における排気弁17bのバルブリフト曲線(曲線100b)は、排気弁17aの位相の進角制御前における排気弁17bのバルブリフト曲線(曲線100a)に対して変化していない。一方、排気弁17aの位相の進角制御後における排気弁17aのバルブリフト曲線(曲線100c)は、排気弁17bのバルブリフト曲線(曲線100b)に対して左側(進化側)に第1の値だけ平行移動している。
以上のように排気弁17aの位相が排気弁17bの位相に対して第1の値だけ進角した場合、排気弁17aの開弁時期は排気弁17bの開弁時期に対して第1の値だけ早くなる。これと同様に、排気弁17aの位相が排気弁17bの位相に対して第2の値だけ進角した場合、排気弁17aの開弁時期は排気弁17bの開弁時期に対して第2の値だけ早くなる。このように制御部が排気弁17aの位相が排気弁17bの位相に対して第1の値または第2の値だけ進角するように可変動弁機構60を制御することで、排気弁17aの開弁時期を排気弁17bの開弁時期に対して第1の値または第2の値だけ早くすることができる。なお、排気弁17aの開弁時期が排気弁17bの開弁時期に対して早くなった場合(すなわち排気弁17aが早開きになった場合)、排気弁17aは排気弁17bに対して早く閉じるようになる(すなわち排気弁17aは早閉じになる)。
さらに本実施例に係る制御部は、排気弁17aの開弁時期を内燃機関10の回転数に応じて進角させる。この制御が行われる結果、内燃機関10の回転数が高回転になるほど、排気弁17aの開弁時期はより早い時期になる。この制御の詳細を以下に説明する。
まず、制御装置80の記憶部は、排気弁17aの開弁時期および閉弁時期を内燃機関10の回転数に関連付けて規定したマップを記憶しておく。このマップにおいて、排気弁17aの開弁時期および閉弁時期は内燃機関10の回転数が高くなるほど早くなるように規定されている。図4(a)は、内燃機関10の回転数と排気弁17aの開弁時期および閉弁時期との関係を模式的に示す図である。また図4(a)は、上記マップの一例でもある。縦軸は平均有効圧力(Pme)を示し、横軸は内燃機関10の回転数を示している。
図4(a)において、領域200a〜領域200eが区画されている。領域200a〜領域200eは、領域200a、領域200b、領域200c、領域200dおよび領域200eの順に内燃機関10の回転数が高くなっている。領域200a〜領域200eの各々は、排気弁17aの開弁時期(EVO)および閉弁時期(EVC)の組み合わせを示している。一例として、領域200a〜領域200eの排気弁17aの開弁時期は、それぞれ10°、20°、30°、40°および50°である(「°」はクランク角である)。また領域200a〜領域200eの排気弁17aの閉弁時期は、それぞれ20°、10°、0°、−10°および−20°である。なお、領域200a〜領域200eのいずれにおいても、排気弁17aの開弁時期は、排気弁17bの開弁時期よりも早い時期になっているものとする。また、領域200a〜領域200eの開弁時期および閉弁時期の具体的数値は、上記値に限定されるものではない。
図4(a)における排気弁17aの開弁時期および閉弁時期のイメージを描き易くするために、排気弁17aのバルブタイミングの一例を図4(b)および図4(c)に示す。図4(b)は図4(a)の領域200bに対応しており、図4(c)は図4(a)の領域200eに対応している。図4(b)と図4(c)とを比較した場合、内燃機関10の回転数が高い図4(c)の方が内燃機関10の回転数が低い図4(b)に比較して、排気弁17aの開弁時期および閉弁時期は早くなっている。
以上説明したように、図4(a)は、内燃機関10の回転数が高くなるほど排気弁17aの開弁時期および閉弁時期が早くなるように、排気弁17aの開弁時期および閉弁時期を内燃機関10の回転数に関連付けて規定したマップとなっている。制御装置80の記憶部は、図4(a)に示すようなマップを記憶しておき、制御装置80の制御部は、内燃機関10の回転数が高回転数ではあるが内燃機関10の排気圧が高排気圧でない場合には、クランクポジションセンサ40の検出結果に基づいて内燃機関10の回転数を取得し、取得された回転数に対応する排気弁17aの開弁時期および閉弁時期を記憶部のマップから取得し、取得された開弁時期および閉弁時期になるように可変動弁機構60を制御する。その結果、排気弁17aの開弁時期を内燃機関10の回転数が高回転数になるほど早くすることができる。
内燃機関10の回転数が高回転数になるほど排気弁17aの開弁時期が早くなった場合、排気弁17aの開弁時期の排気弁17bの開弁時期に対する差である第1の値も、内燃機関10の回転数が高回転になるほと大きくなる。すなわち、本実施例に係る第1の値は、内燃機関10の回転数が高回転になるほど大きな値になる。
また、本実施例に係る制御部は、内燃機関10の回転数が高回転数であり内燃機関10の排気圧が高排気圧の場合において、排気弁17aの開弁時期が排気弁17bの開弁時期に比較して第2の値だけ早くなるように可変動弁機構60を制御するにあたり、第2の値を、第1の値を補正することによって取得する。具体的には制御部は、第1の値から所定の値(以下、補正量と称する場合がある)を減ずることで、第2の値を取得する(すなわち、第2の値=(第1の値−補正量)である)。この補正量は、記憶部が予め記憶しておく。この場合、第1の値から補正量を減ずることで得られる第2の値も内燃機関10の回転数が高回転になるほど大きな値になる。
なお、制御装置80は、図4(a)に示すようなマップに代えて、例えば、第1の値が内燃機関10の回転数が高くなるほど大きな値になるように、第1の値を内燃機関10の回転数に関連付けて規定したマップを記憶していてもよい。この場合、制御部は、クランクポジションセンサ40の検出結果に基づいて内燃機関10の回転数を取得し、取得された回転数に対応する第1の値を記憶部のマップから抽出し、抽出された第1の値だけ排気弁17aの開弁時期が排気弁17bの開弁時期に対して早くなるように可変動弁機構60を制御してもよい。この制御手法を用いた場合にも、排気弁17aの開弁時期を内燃機関10の回転数が高回転数になるほど早くすることができる。
また制御装置80は、第2の値を第1の値の補正によって取得する制御手法に代えて、第2の値を予め記憶部に記憶しておき、排気弁17aの開弁時期が排気弁17bの開弁時期に対して記憶部に記憶された第2の値だけ早くなるように可変動弁機構60を制御する制御手法を用いてもよい。この場合、記憶部は、内燃機関10の回転数が高くなるほど第2の値が大きな値になるように、第2の値を内燃機関10の回転数に関連付けて規定したマップを記憶しておく。制御部は、クランクポジションセンサ40の検出結果に基づいて内燃機関10の回転数を取得し、取得された回転数に対応する第2の値を記憶部のマップから抽出し、抽出された第2の値だけ排気弁17aの開弁時期が排気弁17bの開弁時期に対して早くなるように可変動弁機構60を制御してもよい。
なお、排気弁17aの開弁時期を内燃機関10の回転数に応じて早くした場合における排気弁17aのバルブリフト曲線の変化をイメージし易くするために、図5に排気弁17aのバルブリフト曲線の変化の一例を示す。縦軸は排気弁17aのバルブリフト量を示し、横軸はクランク角を示している。クランク角0°が上死点(TDC)であり、クランク角−180°が下死点(BDC)である。図5には、排気弁17aのバルブリフト曲線として、曲線110a、曲線110bおよび曲線110cが図示されている。排気弁17aのバルブリフト曲線は、内燃機関10の回転数の上昇に応じて、曲線110a、曲線110bおよび曲線110cのように左側へ平行移動している。
図6は制御装置80のフローチャートの一例を示す図である。制御装置80は、図6のフローチャートを所定の周期で繰り返し実行する。まず制御装置80の制御部は、内燃機関10の回転数が高回転数であるか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10の具体的な判定手法は、特に限定されるものではないが、本実施例においては一例として以下の手法が用いられる。まず、制御装置80の記憶部は、ステップS10の判定処理の基準となる内燃機関10の回転数の所定値を記憶しておく。制御部は、クランクポジションセンサ40の検出結果に基づいて取得した内燃機関10の回転数が記憶部の所定値より高いか否かを判定することで、内燃機関10の回転数が高回転数であるか否かを判定する。具体的には内燃機関10の回転数が記憶部の所定値より高い場合、制御部は内燃機関10の回転数が高回転数であると判定する。
ステップS10において内燃機関10の回転数が高回転数であると判定されなかった場合、制御部は排気弁17aの早開き制御を行わない(ステップS20)。なお、既に排気弁17aが排気弁17bに比較して早く開弁するように制御されている場合には、制御部はステップS20において排気弁17aが排気弁17bと同時に開弁するように可変動弁機構60を制御する。次いで制御部は、フローチャートの実行を終了する。
ステップS10において内燃機関10の回転数が高回転数であると判定された場合、制御部は、内燃機関10の排気圧が高排気圧であるか否かを判定する(ステップS30)。ステップS30の具体的な判定手法は、特に限定されるものではないが、本実施例においては一例として以下の手法が用いられる。まず、制御装置80の記憶部は、ステップS30の判定処理の基準となる内燃機関10の排気圧の所定値を記憶しておく。制御部は、圧力センサ42の検出結果に基づいて取得した内燃機関10の排気圧が記憶部の所定値よりも高いか否かを判定することで、内燃機関10の排気圧が高排気圧であるか否かを判定する。具体的には内燃機関10の排気圧が記憶部の所定値よりも高い場合、制御部は内燃機関10の排気圧が高排気圧であると判定する。
ステップS30において内燃機関10の排気圧が高排気圧であると判定されなかった場合、制御部は排気弁17aの開弁時期の排気弁17bの開弁時期に対する進角量(以下、排気弁17aの早開き量と称する)を第1の値に制御する(ステップS40)。次いで制御部はフローチャートの実行を終了する。
ステップS30において内燃機関10の排気圧が高排気圧であると判定された場合、制御部は排気弁17aの早開き量を第2の値(<第1の値)にする(ステップS50)。次いで制御部はフローチャートの実行を終了する。
続いて本実施例に係る可変動弁装置50の作用効果について説明するが、可変動弁装置50の作用効果の理解を容易にするために、先に可変動弁装置50が解決しようとする課題について再度詳細に説明し、次いで可変動弁装置50の作用効果について説明する。まず、早開きの排気弁17aは他方の排気弁17bよりも早く閉弁するため、排気行程の上死点近傍において一方の排気弁17aが閉弁し、他方の排気弁17bが開弁した状態となる場合が生じる。このような片方の排気弁17aが閉弁し他方の排気弁17bが開弁した期間(以下、片弁閉期間と称する場合がある)においては、圧縮仕事が発生することになる。片弁閉期間において圧縮仕事が発生した場合、片弁閉期間におけるポンプ損失は増大してしまう。
片方の排気弁17aを早開きにすることによるポンプ損失の低減と、片弁閉期間における圧縮仕事によるポンプ損失の増大とのバランスは、排気圧に依存する。具体的には排気圧が高いほど、片方の排気弁17aを早開きにすることによるポンプ損失の低減量は少なくなり、片弁閉期間における圧縮仕事によるポンプ損失の増大量は大きくなる傾向がある。したがって内燃機関10の排気圧が高い場合には、片弁閉期間における圧縮仕事によるポンプ損失の増大量が、片方の排気弁17aを早開きにすることによるポンプ損失の低減量を上回るおそれがある。この場合、内燃機関10の燃費向上を図ることは困難になってしまう。
上述した排気圧が高い場合に生じる課題を、グラフを用いて具体的に説明する。図7(a)および図7(b)は、片弁閉期間における圧縮仕事によるポンプ損失の増大の排気圧依存を模式的に示す図である。具体的には図7(a)および図7(b)は、内燃機関10の回転数が4400rpmで燃料の噴射量がストローク当たり85mgのとき(85mg/st)の場合について、筒内圧と体積との関係を示している。図7(b)は図7(a)よりも排気圧が高い場合を示している。図7(a)および図7(b)において、曲線120a、曲線120b、曲線120cおよび曲線120dは、この順に排気弁17aの開弁時期が10°間隔で進角している。すなわち、曲線120aよりも曲線120bの方が排気弁17aの開弁時期は10°早く、曲線120bよりも曲線120cの方が排気弁17aの開弁時期は10°早く、曲線120cよりも曲線120dの方が排気弁17aの開弁時期は10°早い。
図7(a)および図7(b)において、グラフが上方に位置する程、片弁閉期間における圧縮仕事は増大し、ポンプ損失は増大する。図7(a)に比較して図7(b)の方が全体的にグラフは上方に位置している。したがって、排気圧が高いほど片弁閉期間における圧縮仕事によるポンプ損失の悪化の度合いが高くなっていることが分る。
図8は、内燃機関10の体積効率の向上率およびポンプ損失の低減量の排気圧依存を模式的に示す図である。具体的には図8は、内燃機関10の排気圧が低排気圧の場合(実線)と内燃機関10の排気圧が高排気圧の場合(点線)とについて、排気弁17aの開弁時期を10°間隔で進角させたときの体積効率の向上率およびポンプ損失の低減量を示す図である。点130a、点130b、点130cおよび点130dは、この順に排気弁17aの開弁時期が10°進角している。すなわち、点130aよりも点130bの方が排気弁17aの開弁時期は10°早く、点130bよりも点130cの方が排気弁17aの開弁時期は10°早く、点130cよりも点130dの方が排気弁17aの開弁時期は10°早い。図8において、右上方に行くほど、内燃機関10の燃費は向上する。
図8において高排気圧の場合と低排気圧の場合とを排気弁17aの開弁時期が同じ場合について比較した場合、高排気圧の場合は低排気圧の場合に比較して、ポンプ損失の低減量が小さいことが分る。すなわち、排気圧が高排気圧の場合は排気圧が低排気圧の場合に比較して、排気弁17aを早開きにすることによるポンプ損失の低減効果は少なくなっている。また図8において、排気弁17aの開弁時期が進角するにつれて、体積効率向上率は低下していく傾向がある。これは、排気弁17aが排気弁17bに対して早開きになったことによって新気が筒内に入り難くなって内部EGRが増加したため、体積効率向上率が低下したものと考えられる。
以上のことから、内燃機関10の回転数が高回転数の場合に排気弁17aを早開きにすることでポンプ損失の低減を図って内燃機関10の燃費向上を図ろうとしても、内燃機関10の排気圧が高排気圧の場合には、排気弁17aを早開きにすることによるポンプ損失の低減効果が少ないため、燃費を向上させることは困難であることが分る。逆に、排気弁17aを早開きにしてもポンプ損失の低減効果が少ない高排気圧の場合は、排気弁17aの早開き量を少なくすることで、片弁閉期間を短くして体積効率の低下を図ることが、燃費向上にとって有効である。
そこで本実施例に係る可変動弁装置50において、制御装置80の制御部は、内燃機関10の回転数が高回転数の場合に排気弁17aの開弁時期を排気弁17bの開弁時期に対して第1の値だけ早くするとともに、さらに内燃機関10の排気圧が所定値よりも高い高排気圧の場合には、排気弁17aの開弁時期が排気弁17bの開弁時期に対して第1の値よりも小さい第2の値だけ早くなるように可変動弁機構60を制御している。この場合、内燃機関10の回転数が高回転数であるが内燃機関10の排気圧が高排気圧でない場合には、排気弁17aの開弁時期を排気弁17bの開弁時期に対して第1の値だけ早くすることができ、内燃機関10の回転数が高回転数であり且つ内燃機関10の排気圧が高排気圧である場合には、排気弁17aの開弁時期を排気弁17bの開弁時期に対して第1の値よりも小さい第2の値だけ早くすることができる。
その結果、可変動弁装置50によれば、内燃機関10の回転数が高回転数の場合に排気弁17aが排気弁17bよりも早く開くことから、内燃機関10のポンプ損失を低減させて内燃機関10の燃費を向上させることができる。また、内燃機関10の回転数が高回転数であり且つ内燃機関10の排気圧が高排気圧である場合には、高回転数ではあるが高排気圧でない場合に比較して、排気弁17aの早開き量を少なくして片弁閉期間を短くすることができる。その結果、片弁閉期間における圧縮仕事の発生量を低減させることができることから、片弁閉期間における圧縮仕事によるポンプ損失の増大を抑制でき、体積効率の低下も抑制できる。それにより、内燃機関10の燃費を向上させることができる。
なお、本実施例において、制御部は内燃機関10の回転数が高くなるほど排気弁17aが早く開くように可変動弁機構60を制御しているが、これに限定されるものではない。例えば制御部は、内燃機関10の回転数が高くなるほど排気弁17aが早く開くように可変動弁機構60を制御しなくてもよい。この場合にも、片弁閉期間における圧縮仕事によるポンプ損失の増大を抑制でき、体積効率の低下も抑制できることから、内燃機関10の燃費を向上させることは可能である。但し、本実施例のように制御部が内燃機関10の回転数が高くなるほど排気弁17aが早く開くように可変動弁機構60を制御することで、内燃機関10の回転数が高くなるほど片弁閉期間を大きくすることができる。それにより、内燃機関10の回転数に応じて効果的にポンプ損失を低減させることができる。
なお、制御装置80は、図6のステップS30において内燃機関10の排気圧が高排気圧であるか否かの判定を、以下の手法を用いて実行してもよい。具体的には、内燃機関10において排気浄化装置35のフィルタの再生処理が実行される場合には、フィルタの再生処理の実行前の排気圧は、フィルタの再生処理の実行後の排気圧に比較して高くなる傾向がある。そこで、制御装置80の制御部は、ステップS30において、内燃機関10のフィルタの再生処理の実行の有無を判定することで、内燃機関10の排気圧が高排気圧であるか否かを判定してもよい。この場合、内燃機関10のフィルタの再生処理が実行されたと判定された場合、制御部は内燃機関10の排気圧が高排気圧ではないと判定し、内燃機関10のフィルタの再生処理が実行されていないと判定された場合、制御部は内燃機関10の排気圧が高排気圧であると判定する。すなわち、この構成によれば、内燃機関10の排気圧が高排気圧である場合は、フィルタの再生処理の実行前の場合に相当し、内燃機関10の排気圧が高排気圧でない場合は、フィルタの再生処理の実行後の場合に相当することになる。
また、内燃機関10の加速時等において例えばウエストゲートバルブの開き遅れ等が生じたことによって過給機30の応答遅れが発生した場合にも、排気圧は高くなる傾向がある。そこで、制御部は、ステップS30において、過給機30の応答遅れが発生したか否かを判定することで、内燃機関10の排気圧が高排気圧であるか否かを判定してもよい。この場合、過給機30の応答遅れが発生した場合、制御部は内燃機関10の排気圧が高排気圧であると判定し、過給機30の応答遅れが発生していない場合、制御部は内燃機関10の排気圧が高排気圧でないと判定することになる。
また、内燃機関10が排気通路15の排気流量を絞る排気絞り弁を備えている場合、内燃機関10の例えば暖機運転時等において排気絞り弁による排気絞りが実行された場合にも排気圧は高くなる傾向がある。そこで、制御部はステップS30において、排気絞りが実行されたか否かを判定することで、内燃機関10の排気圧が高排気圧であるか否かを判定してもよい。この場合、排気絞りが実行された場合、制御部は内燃機関10の排気圧が高排気圧であると判定し、排気絞りが実行されなかった場合、制御部は内燃機関10の排気圧が高排気圧でないと判定することになる。
また、内燃機関10が排気通路15の排気を吸気通路14に戻す排気再循環バルブ(EGRバルブ)を備えている場合、EGRバルブを全閉にした場合もEGRバルブが開の場合に比較して排気圧は高くなる傾向がある。そこで、制御部はステップS30において、EGRバルブが全閉になったか否かを判定することで、内燃機関10の排気圧が高排気圧であるか否かを判定してもよい。この場合、EGRバルブが全閉になった場合、制御部は内燃機関10の排気圧が高排気圧であると判定し、EGRバルブが全閉になっていない場合、制御部は内燃機関10の排気圧が高排気圧でないと判定することになる。
(変形例1)
本変形例に係る可変動弁装置50は、制御装置80の制御部が、内燃機関10の排気圧が高くなるほど第2の値が小さくなるように可変動弁機構60をさらに制御している点において、実施例1に係る可変動弁装置50と異なっている。その他の構成は実施例1に係る可変動弁装置50と同様である。
本変形例に係る可変動弁装置50は、制御装置80の制御部が、内燃機関10の排気圧が高くなるほど第2の値が小さくなるように可変動弁機構60をさらに制御している点において、実施例1に係る可変動弁装置50と異なっている。その他の構成は実施例1に係る可変動弁装置50と同様である。
図9は、本変形例に係る第2の値と排気圧との関係を示す図である。縦軸は第2の値を示し、横軸は排気圧を示している。図9に示す直線は、各々の排気圧に対応した第2の値を示す直線であり、右肩下がりに傾斜している。すなわち、図9の直線に対応する第2の値は、排気圧が高くなるほど小さくなっている。
内燃機関10の排気圧が高くなるほど第2の値の値が小さくなるように可変動弁機構60を制御する制御装置80の具体的制御手法は、特に限定されるものではないが、本変形例においては一例として以下の手法が用いられる。まず、制御装置80が実施例1の図6のステップS50において、第1の値から所定の補正量を減ずることによって第2の値を取得し、排気弁17aの早開き量をこの取得された第2の値にする場合、制御装置80の記憶部は、この補正量を、内燃機関10の排気圧が高くなるほど補正量の値が大きくなるように、内燃機関10の排気圧に関連付けて規定したマップを記憶しておけばよい。
この場合、制御装置80の制御部は、図6のステップS50において、圧力センサ42の検出結果に基づいて取得した排気圧に対応する補正量を記憶部に記憶されたマップから取得し、第1の値からこの取得された補正量を減ずることで第2の値を取得し、排気弁17aの早開き量がこの取得された第2の値になるように可変動弁機構60を制御する。この制御が実行された場合、内燃機関10の回転数が高回転数であり且つ内燃機関10の排気圧が高排気圧である場合において、内燃機関10の排気圧が高くなるほど第2の値を小さくして、排気弁17aの早開き量を小さくすることができる。
あるいは、制御装置80が実施例1の図6のステップS50において、第2の値を記憶部に記憶しておき、排気弁17aの早開き量が記憶部に記憶された第2の値になるように可変動弁機構60を制御する場合、記憶部は、排気圧が高くなるほど第2の値が小さい値になるように第2の値を排気圧に関連付けて規定したマップを記憶しておけばよい。このマップを図示すると、前述した図9と同様になる。図9において、右肩下がりの直線は、排気圧が高くなるほど小さい値になるように排気圧に関連付けて規定された第2の値に相当する。
制御装置80の記憶部は図9に示すようなマップを記憶しておき、制御装置80の制御部は、図6のステップS50において、圧力センサ42の検出結果に基づいて取得した排気圧に対応する第2の値を記憶部のマップから取得し、排気弁17aの早開き量が取得された第2の値になるように可変動弁機構60を制御する。この制御が実行された場合においても、内燃機関10の回転数が高回転数であり且つ内燃機関10の排気圧が高排気圧である場合において、内燃機関10の排気圧が高くなるほど第2の値を小さくして、排気弁17aの早開き量を小さくすることができる。
本変形例に係る可変動弁装置50によれば、内燃機関10の回転数が高回転数であり且つ内燃機関10の排気圧が高排気圧である場合において、排気圧が高くなるほど片弁閉期間を短くすることができる。それにより、片弁閉期間における圧縮仕事の発生量を低減させることができる。その結果、片弁閉期間における圧縮仕事によるポンプ損失の増大を排気圧に応じて適切に抑制することができる。
なお、実施例1および実施例1の変形例1において制御装置80は、排気弁17aおよび排気弁17bのうち排気弁17aの開弁時期を早くしているが、これに限定されるものではない。制御装置80は、排気弁17aではなく排気弁17bの開弁時期を早くしてもよい。
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
5 内燃機関システム
10 内燃機関
17a,17b 排気弁
18 気筒
50 可変動弁装置
60 可変動弁機構
80 制御装置
10 内燃機関
17a,17b 排気弁
18 気筒
50 可変動弁装置
60 可変動弁機構
80 制御装置
Claims (2)
- 内燃機関の一つの気筒に対して配置された第1の排気弁および第2の排気弁のうち少なくとも一方の位相を変更可能な可変動弁機構と、
前記内燃機関の回転数が所定値よりも高い高回転数の場合に、前記第1の排気弁の開弁時期が前記第2の排気弁の開弁時期に対して第1の値だけ早くなるように前記可変動弁機構を制御するとともに、さらに前記内燃機関の排気圧が所定値よりも高い高排気圧の場合には、前記第1の排気弁の開弁時期が前記第2の排気弁の開弁時期に対して前記第1の値よりも小さい第2の値だけ早くなるように前記可変動弁機構を制御する制御装置と、を備えることを特徴とする可変動弁装置。 - 前記制御装置は、前記内燃機関の前記排気圧が高くなるほど、前記第2の値が小さくなるように前記可変動弁機構を制御する請求項1記載の可変動弁装置。
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