JP2013060644A - 加工性に優れた薄鋼板、めっき薄鋼板及びそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来に比べてプレス加工性が大幅に向上した薄鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、C :0.005%以下、Si:0.2%以下、Mn:0.5%以下、P :0.04%以下、S:0.03%以下、N :0.01%以下及びAl:0.1%以下を含有し、かつ、Ti:0.01〜0.1%及びNb:0.001〜0.1%のうちから選択される少なくとも一種を含有し、残部がFe及び不可避不純物の組成からなり、鋼中に、粒径が6nm以下のNb及び/又はTiの炭化物が、体積比で1×10-5〜5×10-4の範囲で分散してなることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車用部品等の構造部材や住居、家具、机などの構造体の素材として好適な、加工性に優れた薄鋼板、めっき薄鋼板及びそれらの製造方法に関するものである。
なお、本発明において、薄鋼板とは、板厚が3mm以下の冷延鋼板を意味する。
薄鋼板は、その成形性の良さから、多種多様な構造体の素材として用いられている。通常は、プレス成形で2次元の板形状のものを3次元構造体とし、これらを接合してさらに複雑な3次元の構造体を形成する。
従来、このような薄鋼板には、Cを0.03質量%程度含有する低炭素鋼板が用いられてきた。低炭素鋼板では、Cを粗大なセメンタイトとして析出させることによって加工性を向上させていた。しかしながら、今日では構造体の形状が複雑化するにつれて、より加工性のよい鋼板が必要とされるようになった。そのため、低炭素鋼板をプレス加工すると、セメンタイトが亀裂の発生源となることから、このセメンタイトを減じたり、生じないようにする試みがなされてきた。
また、特許文献1には、Cを0.003質量%以下に低減し、TiとNbを添加し、さらにS量を規定すると共に、熱間圧延での仕上温度をMn、S、Nb及びC含有量に応じて規定することで、成形性と化成処理性とを向上させる技術が開示されている。
しかしながら、この技術では、優れた伸びとr値を得ることはできるものの、実際の成形においては、プレス成形性は十分とは言い難かった。
特許文献2には、Cを0.0025質量%以下に規定し、さらにフェライト粒径を15μm以下とすることで、耐二次加工脆性の優れた薄鋼板が開示されている。
しかしながら、この技術では、伸びが低い上に、実際の成形においては、やはり十分なプレス成形性は得られなかった。
特許文献3には、Cを0.0030質量%以下に低減すると共に、C、N、S含有量に応じて適量のTiを添加し、さらに連続鋳造後、室温まで冷却すること無しに熱間圧延を開始し、粗圧延後に粗圧延バーを加熱昇温することで、深絞り性に優れた薄鋼板を得る方法が開示されている。
しかしながら、この技術では、r値や耐二次加工脆性は向上するものの、伸びが低い上に、実際の成形においては、やはり十分なプレス成形性は得られなかった。
さらに、特許文献4には、Cを0.0015質量%以下にまで低減すると共に、AlをN量に応じて積極的に添加することで、耐食性及び成形性の良好な薄鋼板が開示されている。
しかしながら、この技術でも、単純な引張試験での伸びやr値の向上は認められるものの、実際の成形においては、やはり満足のいくプレス成形性を得ることはできなかった。
特許第2712986号公報 特許第3807177号公報 特許第3428318号公報 特許第3241429号公報
上述したとおり、従来の技術では、実際のプレス成形において成形性が良好な薄鋼板を提供することは困難であった。
本発明は、上記した従来技術が抱える問題を有利に解決するもので、実際のプレス成形において良好な成形性を得ることができる、加工性に優れた薄鋼板及びめっき薄鋼板を、その有利な製造方法と共に提供することを目的とする。
従来、薄鋼板の成形性は、一般的に引張試験での伸びが指標として用いられてきたが、この伸びは、引張試験において破断に至ったときの材料の塑性変形量のことである。
しかしながら、実際の成形において破断に至った場合、プレス成形は失敗であり、製品とならない。
そこで、発明者らは、実際のプレス成形における薄鋼板の変形挙動について調査を行った。その結果、実際は破断まで成形されることはなく、引張試験時の最大荷重までに加工に応じて薄鋼板がどのように硬化していくかが実際のプレス成形における成形性を支配していることを突き止めた。
さらに、歪み量が5%から25%までの範囲で高い加工硬化率を有することが重要であるとの知見を得た。
そこで、発明者らは、このような加工硬化特性を得るための各種要因について、鋭意検討を重ねた。その結果、以下の知見を得た。
(a)鋼中に、微細化したNb及び/又はTiの炭化物を、適正な体積比で形成することで、ピン止めを促進し、鋼中の転位の運動が抑制される結果、高い加工硬化性が得られる。
(b)上記炭化物の方位をマトリックスのFeに対して一定の方位とすることで、加工性がさらに向上する。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたもので、その要旨構成は次のとおりである。
(1)質量%で、C :0.005%以下、Si:0.2%以下、Mn:0.5%以下、P :0.04%以下、S: 0.03%以下、N :0.01%以下及びAl:0.1%以下を含有し、かつ、Ti:0.01〜0.1%及びNb:0.001〜0.1%のうちから選択される少なくとも一種を含有し、残部がFe及び不可避不純物の組成からなり、
鋼中に、粒径が6nm以下のNb及び/又はTiの炭化物が、体積比で1×10-5〜5×10-4の範囲で分散してなることを特徴とする加工性に優れた薄鋼板。
(2)前記炭化物の(001)面がFeの(001)面と平行であり、前記炭化物の<100>がFeの<110>と平行であることを特徴とする上記(1)に記載の加工性に優れた薄鋼板。
(3)さらに質量%で、B:0.0030%以下を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の加工性に優れた薄鋼板。
(4)さらに質量%で、Cu、Sn、Ni、Ca、Mg、Co、As、Cr、Sb、W、Mo、Pb、Ta、REM、V、Cs、Zr及びHfのうちから選択される一種又は二種以上を、合計で1%以下含有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の加工性に優れた薄鋼板。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の薄鋼板の薄鋼板の表面に、めっき層をさらに備えることを特徴とするめっき薄鋼板。
(6)前記(1)、(3)又は(4)のいずれかに記載の組成からなる鋼素材に対し、
熱間圧延を施し、900℃以上で仕上げ圧延終了後、冷却し、700℃以下で巻き取りを行い、その後、酸洗、冷間圧延及び焼鈍を順次行うことで冷延鋼板を得ることを特徴とする加工性に優れた薄鋼板の製造方法。
(7)上記(6)に記載の製造方法によって得られた薄鋼板に対し、めっき処理を施すことにより、鋼板表面にめっき皮膜を形成することを特徴とするめっき薄鋼板の製造方法。
本発明によれば、従来に比べてプレス加工性が大幅に向上した薄鋼板及びめっき薄鋼板を提供することが可能となる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、薄鋼板の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、以下の成分組成を表す%は、特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.005%以下
Cは、鋼の加工硬化率を上昇させるために必要な元素である。本発明では、Ti及び/又はNbと結合して微細炭化物を形成し、鋼板の加工硬化率を向上させる。しかしながら、C含有量が0.005%を超えると、鋼が析出強化されてかえって加工硬化率が低下してしまう。従って、C量は0.005%以下とする。好ましくは0.0005%以上 0.003%以下である。
Si:0.2%以下
Siは、転位の状態を制御してフェライトの加工硬化を促進する元素である。しかしながら、Si含有量が0.2%を超えると、フェライトの固溶強化が顕著となり、加工硬化率が低下する。従って、Si量は0.2%以下とする。好ましくは0.05%以下である。
Mn:0.5%以下
Mnは、固溶強化元素であるので、本発明では低減することが望ましい。特に優れた加工性を得るためにはMn含有量は0.5%以下とする。好ましくは0.35%以下である。
P:0.04%以下
Pは、固溶強化元素であるので本発明では低減するのが望ましい。すなわち、P含有量が0.04%を超えると固溶強化が顕著となり加工硬化率が低下する。従って、P量は0.04%以下とする。好ましくは0.02%以下である。
S:0.03%以下
Sは、MnSなどの介在物を形成することから含有量が0.03%を超えると伸びを劣化させる。そのため本発明では、S量を0.03%以下とする。好ましくは0.02%以下である。
N:0.01%以下
Nは、鋼にTi、Nb、Alなどの窒化物を形成しやすい元素が含有されている場合には、TiN、NbN、AlNなどの窒化物を形成する。N含有量が0.01%を超えるとこれらの窒化物がフェライト粒内に分散して加工硬化率が低下するとともに、窒化物とフェライト界面で亀裂が生じて伸びが低下しやすくなる。このため、N量は0.01%以下とする。
Al:0.1%以下
Alは、脱酸剤として作用する元素である。この効果を得るためには、Alは0.001%以上含有させることが望ましいが、0.1%を超える含有は介在物量を増やして転位の移動を阻害し、加工硬化率を低下させる。このため、Al量は0.1%以下とする。
また、本発明では、Ti及びNbのうちから選択される少なくとも一種の元素を含有させる必要がある。
Ti:0.01〜0.1%
Tiは、本発明において重要な元素である。すなわち、Tiは、フェライト粒内で炭化物を形成することにより、鋼板の加工硬化率を向上させる。ただし、Ti含有量が0.01%未満では、Tiの炭化物の量が少なく、転位運動の制御ができず、十分な加工硬化率の上昇を臨めない。一方、Ti含有量が0.1%を超えると、粗大なTiCが析出し、このTiCが新たに転位源となり、転位運動を阻害し、加工硬化率が低下する。従って、Ti量は0.01%以上0.1%以下とする。
Nb:0.001〜0.1%
Nbも、上述のTiと同様に重要な元素であり、フェライト粒内で炭化物を形成することにより、鋼板の加工硬化率を向上させる。ただし、Nb含有量が0.001%未満では、Nbの炭化物の量が少なく、転位運動の制御ができず、十分な加工硬化率の上昇を望めない。一方、Nb含有量が0. 1%を超えると、フェライトが細粒化して加工硬化率が低下する。従って、Nb量は0.001%以上0.1%以下とする。
以上、必須成分について説明したが、本発明では、その他にも、以下に述べる元素を必要に応じて適宜含有させることができる。
B:0.0030%以下
Bは、炭化物形成で清浄化された粒界の強化に寄与する元素である、しかしながら、B含有量が0.0030%を超えると固溶強化により加工硬化率が低下する。従って、Bを含有させる場合の上限は0.0030%とする。
Cu、Sn、Ni、Ca、Mg、Co、As、Cr、Sb、W、Mo、Pb、Ta、REM、V、Cs、Zr及びHfのうちから選んだ一種又は二種以上を合計で1%以下
Cu、Sn、Ni、Ca、Mg、Co、As、Cr、Sb、W、Mo、Pb、Ta、REM、V、Cs、Zr及びHfはいずれも、耐食性向上に有用な元素であるが、合計量が1%を超えると固溶強化による高降伏強度化で加工硬化率が低下するという問題が生じるので、単独添加又は複合添加いずれの場合も1%以下で含有させるものとした。好ましくは0.5%以下である。
なお、上記した以外の成分は、Fe及び不可避的不純物である。
以上、鋼板の成分組成範囲について説明したが、本発明で所期した効果を得るには、成分組成を上記の範囲に調整するだけでは不十分で、鋼中に析出する炭化物の種類、大きさ及び分布状態を所定の範囲に制御することが重要である。
すなわち、本発明では、粒径が6nm以下のNb及び/又はTiの炭化物を析出させ、該炭化物が、体積比で1×10-5〜5×10-4の範囲で分散してなることが重要である。
炭化物径:6nm以下
本発明において、鋼中に析出してくる炭化物の大きさは極めて重要である。かかる炭化物の平均径が6nmを超えると転位運動に障害が生じ、転位セルの形成が阻害されて加工硬化率が低下する。従って、これらの炭化物径は6nm以下とした。また、炭化物径の下限値については特に制限はないが、粒径があまりに小さい場合、炭化物平均間隔が狭くなり降伏強度の上昇を招いて加工硬化率が低下するので、かかる炭化物の平均径の下限は0.5nm程度とするのが好ましい。
なお、上述した炭化物の粒径については、透過型電子顕微鏡で260000倍での10視野の観察結果をもとに、円近似を用いた画像処理で個々の炭化物径を測定し、測定した炭化物径の平均値が6nm以下となることを要する。
炭化物の体積比:1×10-5〜5×10-4
上記した炭化物の量が、体積比で1×10-5に満たないと、転位運動の制御が行えないため、所望の加工硬化率を得ることができず、一方体積比で5×10-4を超えると転位運動自体が阻害されるため、加工効果率の向上が望めない。そのため、本発明では、炭化物の量を体積比で1×10-5〜5×10-4の範囲とした。
なお、炭化物の体積比は、260000倍での10視野の観察結果をもとに、各視野における炭化物の体積比を算出し、算出した各体積比の平均値を本発明における炭化物の体積比としている。
各視野(観察領域)における炭化物の体積比は次のように算出する。まず、炭化物の写真より炭化物が球形であると仮定して個々の炭化物の体積を求めた後、観察領域中の個々の炭化物の体積を合計し、観察領域にある炭化物の合計体積を求める。また、透過型電子顕微鏡に付随しているEELSでサンプルの膜厚を測定し、視野の広さと膜厚より観察領域の体積を計算する。この値で炭化物の合計の体積を除することで観察領域における炭化物の体積比を算出する。
炭化物とFeとの方位関係
本発明では、前記炭化物とFeとの方位関係を規定することが、転位運動の制御の点から好ましい。本発明の炭化物は、TiC、NbC、(Ti,Nb)C、Nb(CN)、(Ti,Nb)(CN)等があり、これらは、NaCl型(B2型)結晶構造を有する。これら炭化物の(001)面がFeの(001)面と平行であり、前記炭化物の<100>がFeの<110>と平行であるようにすることで、優れた加工効果率を得ることができる。
また、本発明の鋼板は、表面にめっき皮膜を有するものとしてもよい。鋼板表面にめっき皮膜を形成することにより、薄鋼板の耐食性が向上する。なお、めっき皮膜としては、例えば溶融亜鉛めっき皮膜や合金化溶融亜鉛めっき皮膜の他、電気亜鉛めっき、例えばZn−Ni電気合金めっき等が挙げられる。
次に、本発明の薄鋼板の製造方法について説明する。
本発明では、好適には連続鋳造で得られたスラブを鋼素材とし、熱間圧延後、冷却してコイルに巻き取り、ついで酸洗後、冷間圧延したのち、連続焼鈍を施すことによって薄鋼板とする。
本発明において、鋼素材の溶製方法は特に限定されず、転炉や電気炉等、公知の溶製方法いずれもが適合する。鋳造方法も特に限定はされないが、連続鋳造方法が好適である。また、スラブを熱間圧延するに際しては、加熱炉でスラブを再加熱した後に熱間圧延しても良いし、温度補償を目的として1250℃以上の加熱炉で短時間加熱した後に熱間圧延に供しても良い。
上記のようにして得られた鋼素材(スラブ)に、熱間圧延を施す。この熱間圧延は、粗圧延と仕上げ圧延による圧延でも、粗圧延を省略した仕上げ圧延だけの圧延としてもよいが、いずれにしても仕上げ圧延温度が重要である。
仕上げ圧延温度:900℃以上
仕上げ圧延温度が900℃を下回ると、フェライト粒が伸展して加工硬化率が低下する。また、炭化物も粗大に析出するようになる。そのため、仕上げ圧延温度は900℃以上とする。なお、仕上げ圧延温度の上限については特に制限はないが、1000℃程度とするのが好適である。
上記の熱間圧延後、冷却してコイルに巻き取るが、この巻取り温度も重要である。
巻取温度:700℃以下
巻取り温度が700℃超えでは、Nb及び/又はTiの炭化物の粗大化が顕著となり本発明の効果が得られない。このため、巻き取り温度は700℃以下とする。なお、巻取温度の下限については550℃程度とするのが好適である。
そして、酸洗後、冷間圧延したのち、焼鈍を順次施すが、この冷間圧延や焼鈍条件に特に制限はなく、従来公知の方法に従って行えば良い。
例えば、冷間圧延における圧下率:45〜95%程度、連続焼鈍における焼鈍温度は760〜880℃程度とするのが好適である。また、焼鈍は連続焼鈍でも箱焼鈍でもかまわない。
なお、本発明においては、以上のようにして製造された冷延鋼板に対し、めっき処理を施すことにより、鋼板表面にめっき皮膜を形成してもよい。例えば、めっき処理として、鋼板表面に溶融亜鉛めっき処理を施して溶融亜鉛めっき皮膜を形成しても良いし、溶融亜鉛めっき処理後、合金化処理を施すことにより、合金化溶融亜鉛めっき皮膜を形成してもよい。焼鈍と亜鉛めっきを1ラインで連続して行ってもよい。その他、Zn−Ni電気合金めっき等の電気めっきにより、めっき皮膜を形成してもよい。
(実施例1)
表1に示す成分組成になる溶鋼を、連続鋳造して、厚み:270mmのスラブ(鋼素材)とした。ついで、得られたスラブを、表2に示す温度で仕上げ圧延終了後、同じく表2に示す温度で巻取って、板厚:2.8mmの熱延鋼板とした。ついで、酸洗して表面のスケールを除去し、圧下率:65%の冷間圧延を施したのち、800〜860℃の温度で連続焼鈍を施した。なお、表2のNo.17,18,19の薄鋼板については、焼鈍後直ちに480℃の亜鉛めっき浴(0.1%Al−Zn)中に浸漬し、付着量:45g/m2の溶融亜鉛めっき皮膜を両面に形成したのち、520℃で合金化処理を行い、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした。
Figure 2013060644
上記のようにして得られた薄鋼板から試験片を採取して、引張試験を行い、引張強さを測定し、加工硬化指数n値を求めた。
また、透過型電子顕微鏡を用いて、上記薄鋼板中の微細炭化物の種類、平均径及び体積比、炭化物とマトリックスのFeとの方位関係を以下のようにして求めた。算出結果を表2に示す。
(i)組織観察
得られた薄鋼板から作製した薄膜を透過型電子顕微鏡(TEM)によって倍率:120000〜260000倍で観察し、Nb及び/又はTiを含む微細炭化物の種類、平均粒子径及び体積比を求めた。
Nb及び/又はTiを含む微細炭化物の平均径は、260000倍での10視野で50個の炭化物を観察し、円近似を用いた画像処理で個々の直径を求め、求めた粒子径を算術平均し炭化物径とした。
次に、個々の炭化物の直径から、個々の炭化物の体積を求め、これを合計することで各視野における炭化物の合計の体積を算出した。また、透過型電子顕微鏡に付随しているEELSでサンプルの膜厚を測定し、視野の広さと膜厚より観察領域の体積を計算した。この値で炭化物の合計の体積を割ることで体積比を求めた。
また、透過型電子顕微鏡による電子線回折を用いて、微細炭化物の種類を同定し、さらに、Nb及び/又はTiの炭化物の(001)面がFeの(001)面と平行であり、炭化物の<100>がFeの<110>と平行であるか否かを確認した。両方とも平行である場合には○、いずれか一方でも平行でない場合には×とした。結果を表2に示す。なおNo.14の鋼板ではTi及びNbの含有量が著しく少ないため、析出炭化物は検出されなかった。
(ii)引張試験
得られた薄鋼板から、圧延方向に対して平行方向を引張方向とするJIS 5号引張試験片(JIS Z 2201)を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験を行って、引張強さを測定した。また、真歪みが0.05から0.25の間の加工硬化指数n値を求めた。
なお、このn値が0.23以上であれば、プレス成形工性に優れているといえる。得られた結果を、表2に併記する。
Figure 2013060644
表2に示したとおり、本発明に従い得られた薄鋼板はいずれも、n値が0.23以上であり、プレス成形性に優れていることが分かる。
本発明によれば、従来に比べてプレス加工性が大幅に向上した薄鋼板及びめっき薄鋼板を提供することが可能となり、産業上格段の効果を奏する。

Claims (7)

  1. 質量%で、C :0.005%以下、Si:0.2%以下、Mn:0.5%以下、P :0.04%以下、S: 0.03%以下、N :0.01%以下及びAl:0.1%以下を含有し、かつ、Ti:0.01〜0.1%及びNb:0.001〜0.1%のうちから選択される少なくとも一種を含有し、残部がFe及び不可避不純物の組成からなり、
    鋼中に、粒径が6nm以下Nb及び/又はTiの炭化物が、体積比で1×10-5〜5×10-4の範囲で分散してなることを特徴とする加工性に優れた薄鋼板。
  2. 前記炭化物の(001)面がFeの(001)面と平行であり、前記炭化物の<100>がFeの<110>と平行であることを特徴とする請求項1に記載の加工性に優れた薄鋼板。
  3. さらに質量%で、B:0.0030%以下を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の加工性に優れた薄鋼板。
  4. さらに質量%で、Cu、Sn、Ni、Ca、Mg、Co、As、Cr、Sb、W、Mo、Pb、Ta、REM、V、Cs、Zr及びHfのうちから選択される一種又は二種以上を、合計で1%以下含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加工性に優れた薄鋼板。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の薄鋼板の表面に、めっき層をさらに備えることを特徴とするめっき薄鋼板。
  6. 請求項1、3又は4に記載の組成からなる鋼素材に対し、
    熱間圧延を施し、900℃以上で仕上げ圧延終了後、冷却し、700℃以下で巻き取りを行い、その後、酸洗、冷間圧延及び焼鈍を順次行うことで冷延鋼板を得ることを特徴とする加工性に優れた薄鋼板の製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法によって得られた薄鋼板に対し、めっき処理を施すことにより、鋼板表面にめっき皮膜を形成することを特徴とするめっき薄鋼板の製造方法。
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