JP2013053869A - イムノクロマトグラフィー用試験キット、これを用いた検出方法及びこれに用いられる標識試薬 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イムノクロマトグラフィー用の平面試験片と、蛍光微粒子と、吸光微粒子とを組み合わせて具備する試験キットであって、前記平面試験片は試験領域と参照領域を有し、前記蛍光微粒子には標的物質に対する結合性が付与され、該標的物質は前記試験領域の試験用捕捉性物質との結合性を有し、一方、前記吸光微粒子は前記参照領域の参照用捕捉性物質に対する結合性が付与されたイムノクロマトグラフィー用試験キット。
【選択図】図1
Description
(1)判定までに要する時間が短く迅速な検査が可能である。
(2)検体を滴下するだけで測定でき操作が簡便である。
(3)特別な検出装置を必要とせず判定が容易である。
これらの特徴を利用して、イムノクロマト法は妊娠検査薬やインフルエンザ検査薬に用いられており、新たなPOCT(Point Of Care Testing)の手法として利用されている。また、食品検査においても、例えば食物アレルゲンの検査試薬等として広く利用され益々注目を集めている。
すなわち、本発明は、蛍光イムノクロマト試験に特有の課題の解決を目的とし、コントロールラインの蛍光発光によるテストラインの蛍光の視認性の低下を抑制・防止しうるイムノクロマトグラフィー用試験キット、これを用いた検出方法及びこれに用いられる標識試薬の提供を目的とする。
(1)イムノクロマトグラフィー用の平面試験片と、蛍光微粒子と、吸光微粒子とを組み合わせて具備する試験キットであって、
前記平面試験片は試験領域と参照領域を有し、
前記蛍光微粒子には標的物質に対する結合性が付与され、該標的物質は前記試験領域の試験用捕捉性物質との結合性を有し、一方、前記吸光微粒子は前記参照領域の参照用捕捉性物質に対する結合性が付与されたイムノクロマトグラフィー用試験キット。
(2)前記蛍光微粒子に、標的物質に対して結合性を有する試験用結合性物質が導入されている(1)に記載のキット。
(3)前記吸光微粒子に、前記参照用捕捉性物質に対して結合性を有する参照用結合性物質が導入されている(1)又は(2)に記載のキット。
(4)前記蛍光微粒子及び吸光微粒子の一方又は両方がシリカ微粒子からなる(1)〜(3)のいずれかに記載のキット。
(5)前記蛍光微粒子及び吸光微粒子の一方又は両方が平均粒径20〜1000nmである(1)〜(4)のいずれかに記載のキット。
(6)イムノクロマトグラフィー用の平面試験片と、標的物質に対する結合性が付与された蛍光微粒子と、前記試験片の参照領域にある参照用捕捉性物質に対する結合性が付与された吸光微粒子とを準備し、
前記蛍光微粒子と、前記吸光微粒子とをあらかじめ前記試験片に付与しておき、前記試験片に標的物質を付与して前記蛍光微粒子と結合させ、該蛍光微粒子を平面試験片内で移行させ、その試験領域にある試験用捕捉性物質と前記蛍光微粒子とを前記標的物質を介して結合させ、他方、前記吸光微粒子を前記試験片の参照領域にある参照用捕捉性物質と結合させ、
前記試験領域の蛍光微粒子からの蛍光発光と、前記参照領域の吸光微粒子の吸光状態とから前記標的物質の検出を行うイムノクロマトグラフィーによる検出方法。
(7)前記蛍光微粒子及び吸光微粒子の一方又は両方がシリカ微粒子からなる(6)に記載の検出方法。
(8)前記蛍光微粒子及び吸光微粒子の一方又は両方が平均粒径20〜1000nmである(6)又は(7)に記載の検出方法。
(9)蛍光微粒子と吸光微粒子とを含む、イムノクロマトグラフィーに用いられる標識試薬であって、
前記蛍光微粒子には標的物質に対する結合性が付与され、該標的物質は試験片の試験領域の試験用捕捉性物質との結合性を有し、一方、前記吸光微粒子には試験片の参照領域の参照用捕捉性物質に対する結合性が付与された標識試薬。
(10)前記蛍光微粒子に、標的物質に対して結合性を有する試験用結合性物質が導入されている(9)に記載の標識試薬。
(11)前記吸光微粒子に、前記参照用捕捉性物質に対して結合性を有する参照用結合性物質が導入されている(9)又は(10)に記載の標識試薬。
(12)前記蛍光微粒子及び吸光微粒子の一方又は両方がシリカ微粒子からなる(9)〜(11)のいずれか1項に記載の標識試薬。
(13)前記蛍光微粒子及び吸光微粒子の一方又は両方が平均粒径20〜1000nmである(9)〜(12)のいずれか1項に記載の標識試薬。
[標識試薬]
(蛍光微粒子)
本発明において好ましい実施形態の蛍光微粒子は標識試薬に含有され、標的物質(検体)を認識する結合性物質で表面修飾されている。
前記標識粒子の平均粒径は、特に限定されないが、20〜1000nmであることが好ましく、20〜600nmであることがより好ましく、60〜300nmであることがさらに好ましい。粒径が小さすぎると、検出感度が低下し、粒径が大きすぎると、イムノクロマト法に用いられる多孔質支持体(メンブレン)の目詰まりの原因となる。
蛍光微粒子の材質に特に制限はないが、例えば、シリカ粒子、ラテックス粒子等を用いることができる。本実施形態の蛍光微粒子は、上述のように検体の標的物質を認識する物質で表面修飾されていることが好ましい。表面修飾の方法は通常この種の材料に適用されるものを適宜利用すればよい。
本発明において、蛍光微粒子はシリカ粒子からなることが好ましい。シリカ粒子としては特に制限はなく、任意のいかなる調製方法によって得られたシリカ粒子であってよい。例えば、国際公開2007/074722A1公報に記載された蛍光色素化合物含有コロイドシリカ粒子の調製方法に準じて得られた、標識物質を含有するシリカ粒子を用いることが特に好ましい。具体的には、前記標識物質を含有するシリカ粒子は、前記標識物質とシラン化合物とを反応させ、共有結合、イオン結合その他の化学的に結合もしくは吸着させて得られた生成物に1又は2種以上のシラン化合物を重合させることにより調製することができる。前記標識物質を含有するシリカ粒子の好ましい調製方法の態様としては、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基、マレイミド基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、アルデヒド基、パラニトロフェニル基、ジエトキシメチル基、エポキシ基、シアノ基等の活性基を有する前記標識物質と、それら活性基と対応して反応する置換基(例えば、アミノ基、水酸基、チオール基)を有するシランカップリング剤とを反応させ、共有結合させて得られた生成物に1又は2種以上のシラン化合物を重合させることにより調製することができる。
所望の平均粒径のシリカ粒子を得るためには、YM−10、YM−100(いずれも商品名、ミリポア社製)等の限外ろ過膜を用いて限外ろ過を行い、粒径が大きすぎたり小さすぎる粒子を除去するか、または適切な重力加速度で遠心分離を行い、上清または沈殿のみを回収することで可能である。
本発明において、前記ラテックス粒子としては、ポリスチレン、スチレン−スルホン酸(塩)共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン−スルホン酸共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体等からなる合成高分子粒子を挙げることができる。また、ラテックス粒子の着色方法としては、特開2000−178309、特開平10−48215号、特開平8−269207号、特開平6−306108号などに記載の方法で行うことができる。なお、この種の粒子に対する蛍光物質(標識物質)の固定化は、適宜定法により行うことができる。例えば、特表2005-534907、特開2010-156642、特開2010-156640などを参照することができる。商品化されている蛍光ラテックス粒子としては、Luminex社 製品名xMAP(登録商標)Multi-Analyte COOH Microspheres,(http://hitachisoft.jp/products/lifescience/lineup/luminex/about/bead.htmlhttp://hitachisoft.jp/products/lifescience/pdf/the_luminex_labmap_system.pdf)が知られている。
前記標識粒子に前記検体を認識する物質を表面修飾する方法としては特に制限は無く、静電的引力、ファンデルワールス力、疎水性相互作用等によって前記検体を認識する物質を前記標識粒子に吸着させても良いし、架橋剤や縮合剤によって化学結合で結合させてもよい。また、前記標識粒子表面にチオール基を有する場合には、前記検体を認識する物質のチオール基とS−S結合によって結合させてもよい。
また、前記標識粒子表面の生体分子(例えば、抗体、抗原、DNA、RNA)などの前記検体を認識する物質を結合したときに粒子が凝集する場合は、予め、前記標識粒子表面に交互吸着法によって表面処理を施しておいてもよい。交互吸着法とは、電荷を有する基板や粒子の表面に電荷を持った高分子を静電的引力で吸着させることで、基板や粒子の表面に高分子の薄膜を形成する手法である。前記標識粒子の表面に交互吸着処理を行うことにより粒子表面に電荷を付与できるため、粒子間に静電的反発力が生じ、分散性が向上する。また、粒子に結合した高分子は排除体積を持つことから、立体反発力の効果によっても分散性が向上する。
本発明に用いられる吸光微粒子は参照用捕捉性物質に対して結合性を有する生体分子等で表面修飾されていることが好ましい。その種類や形状は特に限定されない。吸光微粒子の平均粒径、構成材料等の好ましいものは前記蛍光微粒子と同様である。標識物質としては、微粒子の構成材料が吸光性のものであれば特に用いなくてもよい。標識物質(吸光物質)を適用する場合には、多環顔料やアゾ顔料などの有機顔料、カーボンブラックやウルトラマリン青などの無機顔料を用いることができる。例えば、前記シリカ粒子やラテックス粒子に前記吸光物質を内包させてもよい。また、吸光微粒子には下記の半導体微粒子等を用いることも好ましい。
前記半導体粒子の材質は特に制限されないが、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、InP、InAs、GaN、GaP、GaAs、TiO2、WO3、PbS、又はPbSeが好ましく例示される。例えば、特許第3897285号公報等に記載の半導体ナノ粒子を用いることができる。前記半導体ナノ粒子は、チオール化合物の−SH基が半導体ナノ粒子の表面のS、O、Se、Te、P、As、N等の原子と置換することにより表面修飾することができる。前記金粒子、前記金属ナノ粒子としては、特開2003−26638明細書等に記載の金コロイド粒子及び金属コロイド粒子を用いることができる。前記金属コロイド粒子の具体例としては、白金、銅、酸化鉄等の金属コロイド粒子が挙げられる。前記無機結晶としては、酸化鉄(III)(Fe2O3)、酸化銀(I)(Ag2O)、酸化スズ(IV)(SnO2)、酸化チタン(IV)(TiO2)、インジウムスズ酸化物(ITO)等が挙げられる。例えば、特開2005−76064公報に記載の無機結晶を用いることができる。
吸光微粒子は、可視光を吸収し着色して視認できるものであることが好ましい。そのモル吸光係数εが5×106M−1cm−1以上である粒子であることが好ましく、モル吸光係数εが5×107M−1cm−1〜1×1010M−1cm−1であることがより好ましい。
A=Log10(I0/I)=εbp=asbp’
[A:吸光度、I:透過光の強度、I0:入射光の強度、ε:モル吸光係数(M−1cm−1)、b:光路長(cm)、p:標識粒子(着色粒子及び蛍光微粒子の混合分散液を含む。)の濃度(M(mol/l))、as:比吸光度、p’:標識粒子(着色粒子及び蛍光微粒子の混合分散液を含む。)の濃度(g/l)]
図1は、本発明の好ましい実施形態としての長尺試験体を模式的に示す分解斜視図である。本実施形態の平面試験片(テストストリップ)80は、図1右から、まず、被検物質(標的物質)1を含有する試料(検体)sを添加する部材であるサンプルパッド8aを具備する。次いで、その隣にはコンジュゲートパッド8bが配設されている。ここには、標的物質と特異的に結合する結合性物質が導入された蛍光微粒子をもつ蛍光標識体2と、参照用捕捉性物質5と特異的に結合する結合性物質が導入された吸光微粒子をもつ吸光標識体3が付与されている。
さらに、多孔質支持体からなるメンブレン8cが配されている。ここには、蛍光微粒子を、結合性物質及び標的物質を介して捕捉するための試験用捕捉性物質4が局所的に固定された試験領域ntが設けられている。メンブレン8cには、試験領域ntのさらにフロー方向Lの前方に参照領域nrがある。ここに固定された参照用捕捉性物質5により吸光微粒子をもつ吸光標識体を捕捉するコントロールラインが形成される。その後に、検体液をラテラルフロー方向(L)に流すために、メンブレンから検体液を吸い上げる吸収パッド8dが配され、上記の順に連結されて構成されている。
再度まとめていうと、平面試験片80は、サンプルパッド8aとコンジュゲートパッド8b、コンジュゲートパッド8bとメンブレン8c、メンブレン8cと吸収パッド8dがそれぞれ部分的に重ね合うように連結された構造となっている。サンプルパッド8aに検体液を滴下すると、順にコンジュゲートパッド8b、メンブレン8c、吸収パッド8dへと検体液が毛細管現象(毛管力)により移動していく。
ここで用語の定義を確認すると、標的物質1(図中の符号を併せて示すが、これにより限定して解釈されるものではない。)はラテラルフロー法による検出対象となる物質であり、検体中の被検物質と同義である。結合性物質2b,3b(図2)はそれぞれ前記標的物質及び捕捉性物質に対する結合能を有する物質であり、好ましくは生体分子である。標識物質(図示せず)が導入された標識粒子2a,3a(図2)を標識体2,3と呼ぶ。ただし、広義には、標識粒子という用語を標識体を含む意味で用いることがある。また、標識粒子とは蛍光微粒子と吸光微粒子との総称である。一方、試験領域でメンブレンに固定され、標的物質1を介して標識体2を捕捉するものが試験用捕捉性物質4である。他方、参照領域でメンブレンに固定されたものが参照用捕捉性物質5であり、これに標識体3が標的物質1を介さずに捕捉される。
なお、本明細書において物質とは、化合物ないし化学合成された分子などを意味するほか、生体分子(タンパク質、ペプチド、核酸等)を包含し、人工起源のものであっても、天然起源のものであってもよい。広義には生体細胞や微生物(細菌等)、ウィルスをも包含する意味である。また、結合とは、複数のものが分離した状態から連続して一体となることを全般的に指し、共有結合やイオン結合、水素結合といった化学的な結合のほか、化学吸着や物理吸着、そのほか嵌合、螺合、咬合した物理的な連結状態等も含む意味である。ここで、結合とは、直接複数のものが結合しても、別のものを介して間接的に結合してもよい意味である。
本実施形態に適用される検体sとしては、特に制限はないが、ヒトや動物の血液、血漿、血清、リンパ液、尿、唾液、膵液、胃液、喀痰、鼻や咽等の粘膜から採取したぬぐい液等の体液や便等に代表される臨床検体、液体飲料、半固形食品、固形食品等に代表される食品検体、土壌、河川、海水等の自然界からのサンプリング検体、工場内の生産ラインやクリーンルームのふき取り検体、エアーサンプラーによるサンプリング検体等に代表される環境サンプリング検体等が挙げられる。検体は液体であればそのまま用いることもできるし、半固形又は固形物等の場合には、希釈や抽出等の処理を施した後に用いることもできる。
本実施形態において試験用の結合性物質2b(図2)は上記標識粒子2aと一体化して用いる(標識体2)。結合性物質2bの具体的な例は特に限定されないが、上記標的粒子と結合能を有する生体分子が挙げられ、具体的には抗体が挙げられる。結合性物質は標識粒子に直接結合して一体化されていてもよいし、他の物質を介して間接的に結合していてもよい。標識粒子と結合性物質との結合は、疎水的相互作用等により物理的に吸着させる方法、スクシンイミド基とアミノ基との結合やマレイミド基とチオール基との結合のように、官能基を介して化学的に結合させる方法等の常法により行うことができる。標識粒子がナノ粒子である場合には、一つの標識体の表面に複数の結合性物質が結合しうる。なお、標識粒子として蛍光シリカ微粒子を用い結合性物質と一体化した標識体の実施形態については、例えば、国際公開第2008/018566号パンフレットを参照することができる。
本実施形態に用いられるメンブレンは、上記のメンブレンの材料に試験用捕捉性物質4が固定化されている。この捕捉性物質4は、前記標識粒子2aと結合性物質2bと前記標的物質1とを含む複合体を捕捉するよう、標的物質1への結合能を有する(図2参照)。捕捉性物質4が上記のような結合能を有することで、標識体2と標的物質1とからなる複合体を捕捉することが可能になる。その結果、標識体2による蛍光を発生するラインが試験領域ntに形成される。「結合性物質」−「標的物質」−「捕捉性物質」の組合わせの例として、抗体(B)−抗体(B)の抗原(C)−抗原(C)の抗体(D)、抗原(E)−抗原(E)の抗体(F)−抗体(F)の抗体(G)、核酸(H)−核酸(H)に相補的な配列を有する核酸(I)−核酸(I)に相補的な配列であって核酸(H)の配列とは異なる配列を有する核酸(J)、受容体(K)−受容体(K)のリガンド(L)−リガンド(L)に対する抗体(M)、アプタマー(N)−アプタマー(N)が特異的に結合するタンパク質(O)−タンパク質(O)とアプタマー(N)とは異なる部位で特異的に結合するアプタマー(P)、アプタマー(Q)−アプタマー(Q)と特異的に結合するタンパク質(R)−タンパク質(R)に対する抗体(S)等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施形態においては、メンブレンの参照領域nrに参照用捕捉性物質5が固定されている。これは、標的物質1を介さずに、直接、参照用の結合性物質3bと結合するものである。したがって、移行してくる検体液sに混合されて標的物質1と結合していない標識体3が移行してくると、これを直接捕捉する(図2参照)。その結果、標識体3による吸光を呈するラインが参照領域nrに形成される。参照用捕捉性物質5は特に限定されないが、結合性物質と結合能を有する生体分子が挙げられ、具体的には抗体等が挙げられる。
本実施形態の平面試験片80に採用しうる各構成部材の材料としては特に制限は無く、イムノクロマト法用テストストリップに用いられる通常の部材が使用できる。サンプルパッドおよびコンジュゲートパッドとしては、例えば、Glass Fiber Conjugate Pad(商品名、MILLIPORE社製)等のガラスファイバーのパッドが好ましい。メンブレンとしてはHi−Flow Plus120メンブレン(商品名、MILLIPORE社製)等のニトロセルロースメンブレンが好ましい。吸収パッドとしてはCellulose Fiber Sample Pad(商品名、MILLIPORE社製)等のセルロースメンブレンが好ましい。前記粘着剤付きバッキングシートを用いる場合には、AR9020(商品名、Adhesives Research社製)等が挙げられる。
蛍光イムノクロマト試験においては、前記コンジュゲートパッドに、前記標識体として、結合性物質を結合させた着色粒子と同様の蛍光微粒子とを導入しておくことが好ましい。コンジュゲートパッドにおける単位面積(cm2)当たりの前記標識粒子の含有量は特に制限ないが20μg/cm2〜2mg/cm2が好ましく、20〜200μg/cm2であることがより好ましい。含有量が多すぎると、1粒子当りの検体結合数が低下し、検出感度が低下する。含有させる方法としては、前記標識粒子の分散液を塗布、滴下ないしは噴霧後、乾燥する方法等が挙げられる。このとき着色粒子または蛍光微粒子を含有させ、一旦乾燥させた後、蛍光微粒子または着色粒子を含有させてもよく、予め着色粒子と蛍光微粒子を混合し、この混合コロイドを含有させてもよい。
本発明の好ましい実施形態に係るイムノクロマト法用標識試薬を用いてなる検査方法について説明する。イムノクロマト法用テストストリップを用いてなる検査方法は、まず、検体を含む試料液体(サンプル)をサンプルパッドに滴下して行うことができる。このときコントロールラインの発色は目視で確認が可能であり、陽性あるいは陰性の判定ができる。
なお、本明細書において「検出」とは、定性検出のみならず定量検出や、その他の各種の測定や同定、分析、評価等を含む概念である。
(1)テストラインとコントロールラインとの距離(図1のd)は、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。上限は特にないが、例えば20mm以下ないし10mm以下が実際的である。
(2)蛍光微粒子のテストラインにおける蛍光発光の波長は下記のように400〜800nmが一般的であり、500〜700nmが好ましい。一方、吸光微粒子の吸収波長は、400〜800であることが好ましく、450〜650であることがより好ましい。
本発明の好ましい実施形態に係るイムノクロマト法用検出装置は、励起光源およびフィルタからなる。前記励起光源としては水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザダイオード、発光ダイオードなどが挙げられる。前記フィルタは、励起光源から特定の波長の光のみを透過するためのフィルタと、さらに、蛍光のみを検出する観点から、前記励起光を除去し蛍光のみを透過するフィルタであり、前記蛍光微粒子の蛍光波長、蛍光波長から適宜選択する。前記蛍光検出装置は、前記蛍光を受光する光電子倍増管又はCCD検出器を備えていてもよい。これにより目視では確認できない強度ないしは波長の蛍光も検出でき、さらにはその蛍光強度を測定できることから検体の定量もでき、高感度検出及び定量が可能となる。
イムノクロマト試験は、必ずしも2本のライン(テストライン1本、コントロールライン1本)からなるものではない。多項目診断イムノクロマトでは、複数本のテストラインが存在する。デンカ生研で製造されているインフルエンザ検出キット(クイックナビTM−Flu[商品名])は、1度のフロー試験でA型インフルエンザとB型インフルエンザの判定が可能となる。このようなケースにおいて陽性である場合、どちらかのライン+コントロールラインが発色(発光)することとなる。とりわけ、今後、インフルエンザのみならず様々な項目を同時に検出するキットが作製されてくると予測される。例えば、アデノウィルスやインフルエンザ、RSウィルス等を同時に検出する複数のラインが1本のテストストリップに存在する場合、複数の感染症にかかっていれば複数本のテストライン+コントロールラインが発色・発光する可能性がある。
このような場合にも、本発明によれば、蛍光微粒子と吸光微粒子とを適宜組み合わせることで、蛍光微粒子のみを用いるときの検出感度の問題を解消することができ、効果を発揮する。
ら限定されるものではない
コア粒子としての蛍光色素含有シリカは、特開2009−221059に記載された手法により、粒径約300nmのローダミン6G含有シリカ粒子を作製した。具体的には、以下の方法で作製した。5−(及び−6)−カルボキシローダミン6G・スクシンイミジルエステル(商品名、HiLyte Biosciences社製)ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、APSを加え、室温(23℃)で1時間反応を行い、カルボキシローダミン6G−APSのDMF溶液を得た。アンモニア水とエタノール混合溶媒にTEOSと前記カルボキシローダミン6G−APSのDMF溶液を加え、40℃にて2時間撹拌した。反応終了後、遠心分離を行い、粒子を沈降させた後、直ちに上清液を除去した。得られた沈殿物をエタノールに再分散させ、再度遠心分離を行い、粒子を沈降させ、未反応のTEOS等を除去した。さらにエタノールの代わりに蒸留水を用いた以外は同様な洗浄操作を4回行い、遊離色素等を除去することで粒径約300nmのローダミン6G含有シリカ粒子を作製した。粒子中の蛍光色素であるローダミン6Gの最大吸収波長は535nmである。
製造例1で調製した粒子のコロイドに、MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid)緩衝液(pH6.0)、NHS、EDC(1-ethyl-3-(3-(dimethylamino)propyl)carbodiimide)、蒸留水を加え、30分間混合した。
反応液を遠心分離し、上清を除去後、蒸留水を加え粒子を分散させた。同様にして遠心分離と蒸留水への分散を繰り返して粒子を洗浄し、最後に50mMのKH2PO4緩衝液(pH8.0)1mLに分散させた。ここにKH2PO4緩衝液(pH8.0)に溶解した抗hCG抗体(Anti−hCG マウスIgG1、Medix Biochemica社製)を加え、2時間混合した。続いてBSA溶液を加え、さらに1時間混合した。
反応液を遠心分離し、上清を除去後、KH2PO4緩衝液(pH8.0)を加え粒子を分散させた。更に、遠心分離とKH2PO4緩衝液(pH8.0)への分散を繰り返して粒子を洗浄し、最後にKH2PO4緩衝液(pH8.0)1mLに分散させ、蛍光微粒子で標識された抗hCG抗体のコロイドを得た。
粒径約40nmのAuコロイド粒子(BBI社製)に、MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid)緩衝液(pH6.0)、NHS、EDC(1-ethyl-3-(3-(dimethylamino)propyl)carbodiimide)、蒸留水を加え、30分間混合した。
反応液を遠心分離し、上清を除去後、蒸留水を加え粒子を分散させた。更に遠心分離と蒸留水への分散を繰り返して粒子を洗浄し、最後にKH2PO4緩衝液(pH8.0)1mLに分散させた。ここにKH2PO4緩衝液(pH8.0)に溶解したヤギIgG抗体(ヤギIgG2b、タカラバイオ社製)を加え、2時間混合した。続いてBSA溶液を100μL加え、さらに1時間混合した。
反応液を遠心分離し、上清を除去後、KH2PO4緩衝液(pH8.0)を加え粒子を分散させた。更に、遠心分離とKH2PO4緩衝液(pH8.0)への分散を繰り返して粒子を洗浄し、最後にKH2PO4緩衝液(pH8.0)1mLに分散させ、蛍光微粒子で標識されたヤギIgG抗体のコロイドを得た。
ッドの作製)
製造例2で作製した抗hcG抗体で修飾された蛍光シリカ粒子コロイド(10mg/ml)0.25mlと、製造例3で作製したヤギIgG抗体で修飾されたAuコロイド粒子(10mg/ml)0.05mlと、50mg/mlのスクロース3mlと、蒸留水1.7mlを混合した。
続いて前記混合粒子コロイドをGlass Fiber Conjugate Pad(商品名、MILLIPORE社製、8×150mm)1枚に対し0.8ml含有させた(Pad101)。
着色Auコロイド粒子と蛍光ラテックス粒子の混合粒子を含有させたGlass Fiber Conjugate Pad 101は薄い赤色であり、パッドに粒子が含有されていることが目視で確認できた。
製造例2で作製した、抗hCG抗体で修飾された蛍光シリカ粒子(10mg/ml)0.3mlと、50mg/mlスクロース3mlと、蒸留水1.7mlを混合した。得られた蛍光シリカ粒子コロイドをGlass Fiber Conjugate Pad(商品名、MILLIPORE社製、8×150mm)1枚に対し0.8ml含有させた。粒子を含有させたGlass Fiber Conjugate Pad c01は薄い赤色であり、パッドに粒子が含有されていることが目視で確認できた。
(1)抗体固定化メンブレンの作製
メンブレン(丈25mm、商品名Hi−Flow Plus120 メンブレン、MILLIPORE社製)の中央付近(端から約12mm)に幅約1mmのテストラインとして抗hCG抗体(alpha subunit of FSH(LH), clone code/6601、Medix Biochemica社製)が1mg/mL含まれる溶液((50mMKH2PO4,pH7.0)+5%スクロース)を0.75μL/cmの塗布量で塗布した。
続いて、幅約1mmのコントロールラインとしてヤギIgG抗体(ヤギIgG2b、タカラバイオ社製)が1mg/mL含まれる溶液((50mMKH2PO4,pH7.0)シュガー・フリー)を0.75μL/cmの塗布量で塗布し、50℃で30分乾燥させた。
次に、ブロッキング処理として前記メンブレン全体をブロッキングバッファー中に室温で30分浸した。
メンブレン洗浄/安定バッファーに移し室温で30分静置した。メンブレンを引上げ、ペーパータオル上に置いて室温で一夜乾燥させて、抗体固定化メンブレンを作製した。
前記得られたメンブレン、実施例1で得られた着色Auコロイド粒子と蛍光シリカ粒子の混合粒子を含有したコンジュゲートパッド、サンプルパッド(Glass Fiber Conjugate Pad(GFCP)、MILLIPORE社製)、吸収パッド(Cellulose Fiber Sample Pad(CFSP)(MILLIPORE社製)をバッキングシート(商品名AR9020,Adhesives Research社製)上で組み立て、5mm幅、長さ60mmのストリップ状に切断し、図1に示した構成のテストストリップ101を得た。図1については前述の通りである。ただし、バッキングシートは図示を省略している。
なお、各構成部材は、図1に示しているように各々その両端を隣接する部材と2mm程度重ね合わせて貼付した(以下、同様である。)。テストラインとコントロールラインとの距離dは3mmであった。
100,50,20,10,5,2,0.2, 0.1IU/LのリコンビナントhCG(ロート製薬社製)100μLを前記ストリップのサンプルパッド部分に100μL滴下し、五分間放置し、目視で抗hCG抗体(alpha subunit of FSH(LH), clone code/6601、Medix Biochemica社製)を塗布したライン(テストライン)および、ヤギIgG抗体を塗布したライン(コントロールライン)の発色を確認したところ、コントロールラインの発色が確認できた。一方、目視ではテストラインの発色は確認されなかった。
続いて、励起光源側のフィルタとしてFF01−482(商品名、Semrock社製)、検出器側のフィルタとしてFF01−536(商品名、Semrock社製)を用い、前記リコンビナントhCGが100,50,20,10,5,0.2,0.1IU/Lのサンプルを滴下したテストストリップを水銀ランプ(103W)で照射し、検出器としてCCD検出器(C2741−35A(商品名、浜松ホトニクス社製))を用いて蛍光の画像化を行った。その結果リコンビナントhCGが100,50,20,10,5,0.2,0.1IU/Lの何れのサンプルについても、テストラインおよびコントロールラインの蛍光発色を確認した。
以上の結果から、前記着色Auコロイド粒子と蛍光シリカ粒子の混合粒子を用いた前記テストストリップはリコンビナントhCGが100〜0.1IU/Lのときであっても蛍光検出装置で判定が可能であることが分かる。
コンジュゲートパッドとして、蛍光シリカ粒子を含有させたコンジュゲートパッドc01を用いた以外は実施例2(1)と同じ方法で作製したテストストリップc01を用いて、実施例2(2)と同じ方法でリコンビナントhCGの検出を行った。その結果、五分間放置したテストストリップのラインの発色を確認したところ、いずれのラインも発色が確認されなかった。
蛍光検出器を用いた評価においては、リコンビナントhCGが100,50,20,10,5,2,0.2IU/Lのサンプルについてのみ、テストラインおよびコントロールラインの蛍光発色を確認した。リコンビナントhCGが0.1IU/Lのときはテストラインの発色は確認されなかった。
以上の結果から、前記蛍光シリカ粒子を用いた前記テストストリップはリコンビナントhCGが0.2IU/L以上の場合に蛍光検出装置で判定が可能であることが分かる。
2 蛍光標識体
2a 蛍光微粒子
2b 試験用結合性物質
3 吸光標識体
3a 吸光微粒子
3b 参照用結合性物質
4 試験用捕捉性物質
5 参照用捕捉性物質
6 筐体
61 検出開口部
62 検体導入開口部
6a 筐体上部
6b 筐体下部
80 平面試験片(テストストリップ)
8a サンプルパッド
8b コンジュゲートパッド
8c メンブレン
8d 吸収パッド
100 長尺試験体
nr 参照領域(コントロールライン)
nt 試験領域(テストライン)
L ラテラルフロー方向
S 険体
Claims (13)
- イムノクロマトグラフィー用の平面試験片と、蛍光微粒子と、吸光微粒子とを組み合わせて具備する試験キットであって、
前記平面試験片は試験領域と参照領域を有し、
前記蛍光微粒子には標的物質に対する結合性が付与され、該標的物質は前記試験領域の試験用捕捉性物質との結合性を有し、一方、前記吸光微粒子は前記参照領域の参照用捕捉性物質に対する結合性が付与されたイムノクロマトグラフィー用試験キット。 - 前記蛍光微粒子に、標的物質に対して結合性を有する試験用結合性物質が導入されている請求項1に記載のキット。
- 前記吸光微粒子に、前記参照用捕捉性物質に対して結合性を有する参照用結合性物質が導入されている請求項1又は2に記載のキット。
- 前記蛍光微粒子及び吸光微粒子の一方又は両方がシリカ微粒子からなる請求項1〜3のいずれかに記載のキット。
- 前記蛍光微粒子及び吸光微粒子の一方又は両方が平均粒径20〜1000nmである請求項1〜4のいずれかに記載のキット。
- イムノクロマトグラフィー用の平面試験片と、標的物質に対する結合性が付与された蛍光微粒子と、前記試験片の参照領域にある参照用捕捉性物質に対する結合性が付与された吸光微粒子とを準備し、
前記蛍光微粒子と、前記吸光微粒子とをあらかじめ前記試験片に付与しておき、前記試験片に標的物質を付与して前記蛍光微粒子と結合させ、該蛍光微粒子を平面試験片内で移行させ、その試験領域にある試験用捕捉性物質と前記蛍光微粒子とを前記標的物質を介して結合させ、他方、前記吸光微粒子を前記試験片の参照領域にある参照用捕捉性物質と結合させ、
前記試験領域の蛍光微粒子からの蛍光発光と、前記参照領域の吸光微粒子の吸光状態とから前記標的物質の検出を行うイムノクロマトグラフィーによる検出方法。 - 前記蛍光微粒子及び吸光微粒子の一方又は両方がシリカ微粒子からなる請求項6に記載の検出方法。
- 前記蛍光微粒子及び吸光微粒子の一方又は両方が平均粒径20〜1000nmである請求項6又は7に記載の検出方法。
- 蛍光微粒子と吸光微粒子とを含む、イムノクロマトグラフィーに用いられる標識試薬であって、
前記蛍光微粒子には標的物質に対する結合性が付与され、該標的物質は試験片の試験領域の試験用捕捉性物質との結合性を有し、一方、前記吸光微粒子には試験片の参照領域の参照用捕捉性物質に対する結合性が付与された標識試薬。 - 前記蛍光微粒子に、標的物質に対して結合性を有する試験用結合性物質が導入されている請求項9に記載の標識試薬。
- 前記吸光微粒子に、前記参照用捕捉性物質に対して結合性を有する参照用結合性物質が導入されている請求項9又は10に記載の標識試薬。
- 前記蛍光微粒子及び吸光微粒子の一方又は両方がシリカ微粒子からなる請求項9〜11のいずれか1項に記載の標識試薬。
- 前記蛍光微粒子及び吸光微粒子の一方又は両方が平均粒径20〜1000nmである請求項9〜12のいずれか1項に記載の標識試薬。
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