JP2013052696A - 車体下部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両Cの床下1cには、前輪Tの後方に配置され、中空状に形成された空洞部を有する骨格部材10が設けられている。床下1cには、空洞部と骨格部材10の外部とに連通する開口10cを塞ぐシール部材Sと、シール部材Sを覆うアンダコートAと、が設けられている。
【選択図】図1
Description
図8(b)に示すように、水W2が少なくて、空洞部220の深さH2が深い瓶200の場合は、低い音が発生する。
つまり、引用文献1の自動車の床下において、筒状構造の開口部は、図8(a)、(b)の空洞部120,220の開口部110,210に相当し、走行中に走行風が開口部110,210に当たれば、前記指笛の原理と同様に音(風切り音)が発生し、空洞部が振動してフロアパネル等に伝播し、車室内の乗員に不快な音となって伝わるという問題点がある。
また、シール部材は、アンダコートにより周縁が覆われて保護されていることによって、骨格部材に貼り付けたシール部材の周縁を補強することができるため、その周縁が骨格部材から剥離してシール部材が落下するのを抑制することができる。
なお、車両Cの進行方向を「前」、後退方向を「後」、「鉛直上方側を「上」、鉛直下方側を「下」、車幅方向を「左」、「右」として説明する。
まず、本発明の実施形態に係る車体下部構造を説明する前に、本発明が適用される車両Cについて説明する。
図1に示すように、車両Cは、車体前部1aにモータルームを有し、このモータルームに隔壁部(図示省略)を介在して車室(客室)が配設された自動車であり、例えば、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)、四輪駆動の乗用車等である。
なお、車両Cは、床下1cに後記する開口10cが形成されているものであれば、自動車の形式・種類は特に限定されない。以下、車体前部1aにモータルームがある乗用車の場合を例に挙げて本発明を説明する。
図1に示すように、車体1は、車両Cの全体を形成するためのものであって、例えば、フロントサイドフレーム11等の種々の金属製車体フレームを形成する骨格部材10と、不図示のボンネット、フェンダパネル等の金属製のパネル部材20と、樹脂製または金属製からなるフロントバンパB等を主に備えている。
図1に示すように、フロントバンパBは、車体前部1aの前端に車幅方向に延設されている。フロントバンパBは、このフロントバンパBに沿って車幅方向に延設されたバンパビーム(図示省略)に固定されている。そのバンパビームは、角筒状の鋼材からなる車体フレームであり、不図示のバンパビームエクステンションを介してフロントサイドフレーム11の前端に連結されている。
前輪Tは、前記フロントバンパBの後方の左右に配置され、後記するフロントホイールハウス21によって空間を介して覆われている。
図2に示すように、骨格部材10は、車両Cの骨格を形成する部材であり、中空状に形成された空洞部10aを有する金属製部材からなる。車体前部1aの車体下部1bに設けられる骨格部材10としては、後記するフロントサイドフレーム11、サイドシル12、アウトリガ13、クロスメンバ(図示省略)、トンネルフレーム(図示省略)、フロアフレーム14、フロントピラー15等がある。
図1に示すように、フロントサイドフレーム11は、車体前部1aの車体下部1bにおいて、前記バンパビーム(図示省略)の後方から車体後方に向けて延設された左右一対のフレーム部材である。フロントサイドフレーム11の後端部には、フロアフレーム14が後方へ連続して接合されると共に、その後部にアウトリガ13及びクロスメンバ(図示省略)が架設されている。
補強フチスナ11bは、フロントサイドフレーム本体11aの開口部に合致して閉塞するように形成された断面視してハット形状の鍔付きの溝鋼からなり、フロントサイドフレーム本体11aの高さよりも低く形成されている。
図1に示すように、サイドシル12は、フロントサイドフレーム11よりも車幅方向外側の左右端部に配置されて、フロントホイールハウス21(前輪T)の後方から車体後方向に向けて延設された左右一対のフレーム部材であり、フロアパネル25の左右端部を支持する部材である。
図2に示すように、サイドシル12は、車体中央側に配置されたサイドシルインナ121と、車体外側に配置されたサイドシルアウタ122と、このサイドシルアウタ122と前記サイドシルインナ121との間に配置されたサイドシルフチスナ123及びジャッキアップ用スチフナ124と、金属製板部材からなるサイドシル補強ブラケット125と、を接合してなる中空フレーム部材である。
サイドシルアウタ122は、サイドシル12全体を車外側から覆うように配置された高強度鋼板からなり、下端部の結合部10dがフェンダー22、フロントアンダパネル23、アウトリガ13に溶接手段によって接合されている。
ジャッキアップ用スチフナ124は、サイドシルインナ121とサイドシルアウタ122との間に介在されて、閉断面を左右に二分するように配置された補強用板部材であり、上端部が前記上部接合部12aに接合され、下端部が結合部10dに接合されている。
サイドシル補強ブラケット125は、サイドシルインナ121内の上部に設けられた金属製補強板部材である。
図2に示すように、アウトリガ13は、フロントサイドフレーム11とサイドシル12との間に架設されて、それらにそれぞれ溶接手段によって連結されたフレーム部材である。図3に示すように、アウトリガ13は、縦断面視して略ハット形状にプレス成形された鋼板からなり、このアウトリガ13の下面13aに、車両前方から車両後方へ向かって流れる気流(走行風)を車体外側方向へ指向させるデフューザ3が設けられている。アウトリガ13の前後方向の端部には、前端部に、ダッシュボードロアパネル24に接合する前側溶接フランジ13fが形成され、後端部に、ダッシュボードロアパネル24及びフロアパネル25に接合される後側溶接フランジ13gが形成されている。
前記骨格部材10の開口10cは、いわゆる逃げ孔であり、例えば、アウトリガ13とサイドシル12との結合部10dに配置されている。アウトリガ13とフロントサイドフレーム11との結合部(図示省略)にも同様な開口(図示省略)が形成されている。
つまり、車体前後方向に延設された骨格部材10と、車体1の幅方向に向けて延設された骨格部材10とを連結する場合は、開口10cが形成される。なお、この開口10c(逃げ孔)は、アウトリガ13の下面13a及び側面に溶接フランジ13d,13eをプレス成形すると必ず形成される。
前記クロスメンバ(図示省略)は、車体1に対して略左右方向に配置される筒状フレーム部材であり、左右のフロントサイドフレーム2,2の後部部に架設されている。
前記のトンネルフレーム(図示省略)は、車室の床部中央部に設置されるトンネル部の左右端部に車両前後方向に向けて延設される左右一対の金属製中空部材からなる。トンネルフレーム(図示省略)は、その前端に設置されたフロアフレーム14、アウトリガ13及びダッシュボードロアパネル24に接合されて、フロアパネル25の車体中央部側を保持するためのフレーム部材であり、車室内の床下1cに配置されている。
フロアフレーム14は、前端が、フロントサイドフレーム2の後部に連結され、車体中央側が、トンネルフレーム(図示省略)に連結され、車体外側が、左右のサイドシル12の車室側側面に溶接されている。
パネル部材20は、図1に示すように、鋼板あるいはアルミ合金等の金属製板材、または、合成樹脂製板材からなる。車体前部1aの車体下部1bに設けられるパネル部材20としては、後記するフロントホイールハウス21、フェンダー22、フロントアンダパネル23、ダッシュボードロアパネル24、フロアパネル25等がある。
フロントホイールハウス21は、前輪Tを空間を介して覆うように配置された部材であり、フロントサイドフレーム2の車幅方向の外側側面に配置されている。フロントホイールハウス21の下面には、樹脂製のインナフェンダ21aや、樹脂製のホイールアーチプロテクタ21b等が設けられている。
図2に示すフェンダー22は、不図示のモータルームの上面に配置されるボンネットの左右から下方に延設されたパネル部材であり、フロントピラロア(図示省略)と共にフェンダー22の下端部22aが、サイドシル12の前端部に連結されている。
図1に示すように、フロントアンダパネル23は、車体前部1aの車体下部1bにおいて、モータルームの下側に配置された鋼板であり、フロントバンパBの後方部位からフロアアンダパネル26の先端部に亘って配置されている。
ダッシュボードロアパネル24は、モータルームと車室とを仕切る隔壁の下方部位を形成する部材であり、例えば、鋼板等からなる。
フロアパネル25は、車室(客室)の床面を形成する板部材であり、例えば、左右のサイドシル12から車体中央部に配置されたトンネルフレーム(図示省略)に亘って配置された鋼板からなる。
フロアアンダパネル26は、フロアパネル25の下方に配置されたフロアアンダカバーである。なお、フロアアンダパネル26の開口10c寄りの左右前端部は、ジャッキで車体1をジャッキアップする際に、ジャッキを配設するために切除してある。
図4及び図6に示すように、デフューザ3は、車体下部1bに設けられた空力部品であり、アウトリガ13の下面13aの中央部位に、車幅方向外側がやや車体後側になるように斜めにして配置されている。デフューザ3は、開口10cよりも車体前方側に配置されて、デフューザ3に当たった車体前方から車体後方に向かって流れる走行風を車幅方向の外方向に受け流して、前輪Tの後方の床下1cに走行風の渦(乱流)を発生し難くすると共に、開口10c側方向に走行風(気流)が流れ難くしている。デフューザ3は、固定クリップ、ねじ等の固定具Nが挿入される3つの貫通孔3aが形成された平面板部31と、平らな平面板部31から下方向に向けて垂設された整流板部32と、を一体形成した金属製板部材からなる。デフューザ3は、貫通孔3aに挿入したねじNによって座金33を介在してアウトリガ13の下面13aに固定されている。
整流板部32は、平面視して円弧状(図1参照)、背面視して矩形に形成された立板部であり、床下1cを車体前方から車体後方に向けて流れる走行風が当たるように、床下1cから下側に突出して配置されている。
図4及び図6に示すように、シール部材Sは、床下1cの空洞部10a(図2参照)と骨格部材10の外部10bとに連通する開口10cを塞いで、走行風等の気体や、雨水等の液体や、砂利、塵埃、小さなゴミ等の異物が空洞部10a内に侵入するのを防止するための閉塞部材(パッチ)である。シール部材Sは、例えば、熱硬化型の材料によって、矩形を含む多角形形状に形成されている。そのシール部材Sは、例えば、テープ状の加熱硬化型シーラからなり、良好な塗装外観と優れたシール性と剛性とを備えた片面粘着タイプのものからなる。
図6及び図7に示すように、このシール部材Sは、開口10cを閉塞するために、アウトリガ13の稜線部13cにシール部材Sの対角線Saを一致させるようにして、アウトリガ13の下面13a及び後側側面13bと、サイドシルインナ121とに亘って貼付されている。
図6及び図7に示すように、アンダコートAは、シール部材Sを覆って剥離及び脱落を防止する補強部材であり、前記シール部材Sの外形よりも大きく形成された熱硬化型の樹脂製材料からなるコーティング材である。このアンダコートAは、例えば、シール部材S全体を覆うようにアウトリガ13とサイドシル12との結合部10dに塗付される。特に、アンダコートAは、シール部材Sの外周縁部と、アウトリガ13及びサイドシル12のアンダコートAの周辺部位とを塗付して覆うことにより、アンダコートAが車体1から剥離しないように設けられている。このアンダコートAは、例えば、アクリル樹脂、ウエタン樹脂を主成分とし、その他に充填剤、可塑剤、添加剤等が含有された材料からなる。
なお、このアンダコートAは、車体1に塗付することによって、塗装剥がれ防止、磨耗防止、チッピング防止、防錆、防音、防振等の効果もある。
次に、図1〜図7を主に参照しながら本発明の実施形態に係る車体下部構造の作用を説明する。まず、骨格部材10の開口10cを塞ぐ作業について説明する。
これにより、シール部材S及びアンダコートAの取り付けが完了する。
図1に示すように、車両Cが前方へ走行すると、車両Cの外周全体には、車体前方から車体後方に向けて走行風(矢印a,b,c)が流れる。そのとき、車体1の床下1cにも、車体前方から車体後方に向けて走行風(矢印a,b,c)が流れる。
車体中央部寄りの床下1cを流れる走行風(矢印a)は、フロントバンパBの下からフロントアンダパネル23の下方を通ってその後方のフロアアンダパネル26の下を後方向に向かって真っ直ぐ流れる。
これにより、シール部材Sは、従来、走行風(気流)が開口10cに侵入することで、指笛の原理により、アウトリガ13が走行風で振動してフロアパネル25に伝播し、車室内側に不快な風切り音となって聞こえていたのを解消することができる。
また、シール部材Sは、その周縁部や周囲全体がアンダコートAによってしっかりと車体1に固定されているので、走行風、雨水、砂利等が当接しても剥離することがない。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
また、それらの骨格部材10は、剛性の高い材料であればよく、アルミニウム合金等の軽合金や樹脂材料からなるものであっても構わない。
1c 床下
3 デフューザ
10 骨格部材
10a 空洞部
10b 外部
10c 開口
10d 結合部
11 フロントサイドフレーム
12 サイドシル
13 アウトリガ
13a 下面
20 パネル部材
A アンダコート
C 車両
S シール部材
T 前輪
Claims (6)
- 前輪の後方に配置され、中空状に形成された空洞部を有する骨格部材を、車両の床下に備えた車体下部構造であって、
前記床下には、前記空洞部と前記骨格部材の外部とに連通する開口を塞ぐシール部材と、
前記シール部材を覆うアンダコートと、
が設けられていることを特徴とする車体下部構造。 - 前記骨格部材は、車体前後方向に延設された左右一対のフロントサイドフレームと、
前記フロントサイドフレームよりも車幅方向外側に配置されて車体前後方向に延設された左右一対のサイドシルと、
前記左右のフロントサイドフレームと前記左右のサイドシルとをそれぞれ連結するアウトリガと、備えてなり、
前記開口は、前記左右のアウトリガと、前記左右のフロントサイドフレームまたは前記左右のサイドシルとの結合部に配置されていることを特徴とする請求項1の車体下部構造。 - 前記シール部材は、矩形を含む多角形形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2の車体下部構造。
- 前記アンダコートは、前記シール部材の外形よりも大きく形成されていること特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の車体下部構造。
- 前記シール部材及び前記アンダコートは、熱硬化型の材料からなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の車体下部構造。
- 前記左右のアウトリガの下面には、車両前方から車両後方へ向かって流れる気流を車体外側方向へ指向させるデフューザが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車体下部構造。
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