JP2013052515A - 平版印刷版原版及びその製版方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】親水性支持体上に、(A)ラジカル重合性化合物、(B)赤外吸収染料、(C)ラジカル重合開始剤、及び(D)ミクロゲルを含有する重合性組成物を含有する画像記録層を有する平版印刷版原版であって、前記(D)ミクロゲルが、(1)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、さらにイオン性親水性基を1つ又は2つ有する化合物、(2)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物、及び(3)多官能イソシアネート化合物との反応により得られることを特徴とする平版印刷版原版。
【選択図】なし
Description
特に近年は、地球環境への配慮が産業界全体の大きな関心事となっている。環境への配慮からも、より中性域に近い現像液での処理や少ない廃液が課題として挙げられている。更に湿式の後処理は、簡素化するか、乾式処理に変更することが望ましい。
しかし、熱可塑性疎水性重合体微粒子を合体(融着)させて形成する画像は、良好な機上現像性を示すものの強度が不充分で、印刷版としての耐刷性に問題がある。
また、重合性化合物は反応性が高いため、マイクロカプセルを用いて隔離しておく方法が多く提案されている。そして、マイクロカプセルのシェルには、熱分解性のポリマーを使用することが提案されている。
2.前記活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物が、水、多官能アミン、多官能アルコール、多官能フェノール及び多官能チオールから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする前記1に記載の平版印刷版原版。
3.前記活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物がエチレン性不飽和結合を有していることを特徴とする前記1又は2に記載の平版印刷版原版。
4.前記ミクロゲルが芯物質としてラジカル重合性化合物を有していることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
5.前記ミクロゲルがポリアルキレンオキシド鎖を有していること特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
6.画像記録層上に無機質の層状化合物を含有する保護層を有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
7.画像記録層の未露光部が湿し水及び印刷インキの少なくとも一方により除去可能であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
8.前記7に記載の機上現像型平版印刷版原版を、赤外線レーザーにより画像露光した後、印刷機シリンダーに取り付け、画像記録層の未露光部を湿し水及び印刷インキの少なくとも一方により除去することを特徴とする製版方法。
本発明は、露光後、従来の現像液を用いて現像する製版方式、及び現像液を用いない機上現像での製版方式のいずれの平版印刷版原版にも利用できる。
以下、本発明の平版印刷版原版について順次説明する。
本発明の画像記録層は、(A)ラジカル重合性化合物、(B)赤外吸収染料、(C)光重合開始剤、(D)ミクロゲルを含有する重合性組成物を含有する画像記録層であって、ミクロゲルがその壁中にイオン性親水性基を有することを特徴とする。
本発明の(D)ミクロゲルは、(1)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、さらにイオン性親水性基を1つ又は2つ有する化合物(以下では、特定親水性化合物ともいう。)、(2)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物、及び(3)多官能イソシアネート化合物との反応により得られることを特徴とする。
ここで、活性水素原子を有する基とは、窒素原子上に水素原子を有するアミノ基、ヒドロキシル基、チオール基である。またイオン性親水性基とは、ホスホン酸(塩)基、リン酸(塩)基、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、硫酸モノエステル(塩)基、ベタイン構造を有する基である。
なお、本発明のミクロゲルはカプセル構造となっているマイクロカプセルを含む。すなわち、カプセル構造となっていない場合もカプセル構造となっている場合を併せて、ミクロゲルと定義する。
イオン性親水性基としては、ホスホン酸(塩)基、リン酸(塩)基、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、硫酸モノエステル(塩)基、ベタイン構造を有する基が挙げられる。
本発明の活性水素原子を有する基としては、窒素原子上に水素原子を有するアミノ基、ヒドロキシル基、及びチオール基が挙げられる。このうち特に窒素原子上に水素原子を有するアミノ基、及びヒドロキシル基が好ましい。
ミクロゲルにイオン性親水性基を導入する方法は、(i)多官能イソシアネート化合物に(1)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、さらにイオン性親水性基を1つ又は2つ有する化合物(特定親水性化合物)を反応させた後、(2)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物と多官能イソシアネートと反応させることによりミクロゲルを製造する方法でもよいし、(ii) (1)特定親水性化合物と(2)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物と多官能イソシアネートを同時に反応させることによりミクロゲルを製造する方法でもよい。
上記の活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、さらに上記のイオン性親水性基を1つ又は2つ有する特定親水性化合物の中でも、特にイオン性親水性基を1つ有する化合物が耐刷性の観点で望ましい。
本発明においてミクロゲル化の際、ミクロゲルを形成するための多価イソシアネート化合物と反応する活性水素原子を有する化合物としては、一般に水が使用される。また、多官能アルコール、多官能フェノール、窒素原子上に水素原子を有する多官能アミン、多官能チオールも活性水素原子を有する化合物として用いることができる。多官能アルコール、多官能フェノール、窒素原子上に水素原子を有する多官能アミンが好ましい。
具体的には多官能アルコールとしてはプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、4,4',4''-トリヒドロキシトリフェニルメタンなどが挙げられる。また多官能アミンとしてはジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンなどがあげられる。多官能チオールとしては1,3-プロパンジチオール、1,2-エタンジチオールのような化合物を使用することができる。また、多官能フェノールとしてはビスフェノールAのような化合物をあげることができる。これらの化合物は併用して使用されてもよい。これらの化合物は「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社発行(1987))に記載されている。
次に、2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートについて説明する。
この様な化合物の具体例として、例えば分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能化合物としてはm−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
多官能イソシアネートの含有量はミクロゲル全固形分に対して5〜80質量%が望ましく、10〜70質量%がさらに望ましく、20〜50質量%が最も望ましい。
たとえばトリメチロールエタンと4倍のモル数のイソホロンジイソシアネートを有機溶剤中で、攪拌しながら加熱(50〜100℃)することにより、あるいはオクチル酸第1錫等の触媒を添加しながら比較的低温(40〜70℃)で加熱して、得ることができる。
本発明では、活性水素原子を有する基を有し、イオン性親水性基を有さない化合物が、エチレン性不飽和結合を有していることが耐刷性の点で好ましい。エチレン性不飽和結合を有している活性水素化合物は下記構造式(b)で表すことができる。
L1 Lcm Zn (b)
式(b)において、L1 は、m+n価の連結基であり、m及びnは、それぞれ独立に、1乃至100の整数であり、Lcは1価のエチレン性不飽和基であり、そして、Zは活性水素原子を有する基である。
L1 は、二価以上の脂肪族基、二価以上の芳香族基、二価以上の複素環基、−O−、−S−、−NH−、−N<、−CO−、−SO−、−SO2 −又はそれらの組合せであることが好ましい。
m及びnは、それぞれ独立に、1乃至50の整数であることが好ましく、2乃至20の整数であることがより好ましく、3乃至10の整数であることが更に好ましく、3乃至5の整数であることが最も好ましい。
Lcで表される1価のエチレン性不飽和基としては、アリル基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基を挙げることができる。
Zは、OH、SH又はNH2 であることが好ましく、OH又はNH2 であることが更に好ましく、OHであることが最も好ましい。
これらの活性水素原子を有する基とエチレン性不飽和結合を有している化合物は、多官能イソシアネートと反応し、ゲル構造に取り込まれるが、一部の化合物は多官能イソシアネートと反応せず芯物質として残存してもよい。
エチレン性不飽和結合を有している活性水素化合物の含有量はミクロゲル全固形分に対して5〜80質量%が望ましく、10〜70質量%がさらに望ましく、20〜50質量%が最も望ましいが最も望ましい。
ミクロゲルの芯物質はミクロゲルのイソシアネートから構成される壁部分とは直接結合を有さず、内部に内包されている物質を示す。
ミクロゲルの芯物質に用いるラジカル重合性化合物は、エチレン系不飽和基を有し、活性水素原子を有する基を持たない化合物である。
エチレン性不飽和基としては、アリル基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基を挙げることができる。
芯物質としてのラジカル重合性化合物の含有量はミクロゲル全固形分に対して5〜80質量%が望ましく、10〜70質量%がさらに望ましく、20〜50質量%が最も望ましいが最も望ましい。
前記ミクロゲルは、壁中にポリアルキレンオキシド差を有していることが分散安定性の観点から望ましい。
なかでも、下記一般式(c)で表される末端アミノ基又は末端ヒドロキシ基を有するポリエーテル誘導体が好ましい。
一般式(c)において、mは0又は1を表し、Yはアミノ基又はヒドロキシ基を表し、Aはアリーレン基又はアルキレン基を表す。
多官能イソシアネート化合物とポリアルキレンオキシド鎖の割合はイソシアネート官能基と活性水素原子を有する基のモル比で100/1〜100/60が好ましく、100/2〜100/30がさらに好ましく、100/5〜100/20が最も好ましい。
ミクロゲルの油相を水相中に分散するための水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール及びその変成物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン/アクリル酸共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム及びアルギン酸ナトリウムを挙げることができる。これらの水溶性高分子は、イソシアネート化合物と反応しないか、極めて反応し難いものが好ましく、たとえばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは予め反応性をなくしておくことが必要である。
ミクロゲル化において、界面活性剤を油相あるいは水相の何れに添加して使用してもよいが、有機溶媒に対する溶解度が低いために水相に添加する方が容易である。添加量は油相の質量に対し0.1〜5質量%、特に0.5〜2質量%が好ましい。一般に乳化分散に用いる界面活性剤は、比較的長鎖の疎水基を有する界面活性剤が優れているとされており「界面活性剤便覧」(西一郎ら、産業図書発行(1980))、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸などのアルカリ金属塩を用いることができる。
上記ミクロゲルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmが更に好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
本発明における画像記録層に用いるラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物などの化学的形態をもつ。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (d)
(ただし、R4及びR5は、H又はCH3を示す。)
赤外線吸収染料は、吸収した赤外線を熱に変換する機能と赤外線により励起して(C)ラジカル重合開始剤に電子移動及びエネルギー移動の少なくとも一方をする機能を有する。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
また特開平5−5005号公報の段落番号[0008]〜[0009]、特開2001−222101号公報の段落番号[0022]〜[0025]に記載の化合物も好ましく使用することができる。
本発明の画像記録層には、公知のラジカル重合開始剤が用いられる。このようなラジカル重合開始剤としては、例えば、(a)有機ハロゲン化物、(b)カルボニル化合物、(c)アゾ化合物、(d)有機過酸化物、(e)メタロセン化合物、(f)アジド化合物、(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(h)有機ホウ酸塩化合物、(i)ジスルホン化合物、(j)オキシムエステル化合物、(k)オニウム塩化合物、が挙げられる。なかでも、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、アジニウム塩、オキシムエステル化合物及びトリアジン化合物を挙げることができる。
これらの具体例としては、例えば、特開2008−195018号公報に記載の化合物を挙げることができる。
本発明の画像記録層には、画像記録層の膜強度を向上させるため、バインダーポリマーを用いることができる。本発明に用いることができるバインダーポリマーは、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有するポリマーが好ましい。なかでも、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
本発明の画像記録層には、必要に応じて、更に下記の成分を含有することができる。
本発明における画像記録層は、耐刷性を低下させることなく機上現像性を向上させるために、低分子親水性化合物を含有してもよい。
低分子親水性化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のポリオール類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、ベタイン類、等が挙げられる。
これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の画像記録層には、着肉性を向上させるために、画像記録層にホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーなどの感脂化剤を用いることができる。特に、保護層に無機質の層状化合物を含有させる場合、これらの化合物は、無機質の層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機質の層状化合物による印刷途中の着肉性低下を防止する。
(1)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比10/90 Mw4.5万)
(2)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80 Mw6.0万)
(3)2−(エチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比30/70 Mw4.5万)
(4)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/2−エチルヘキシルメタクリレート共重合体(モル比20/80 Mw6.0万)
(5)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=メチルスルファート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比40/60 Mw7.0万)
(6)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比 25/75 Mw6.5万)
(7)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルアクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80 Mw6.5万)
(8)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=13−エチル−5,8,11−トリオキサ−1−ヘプタデカンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80 Mw7.5万)
(9)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート/2−ヒドロキシ−3−メタクロイルオキシプロピルメタクリレート共重合体(モル比15/80/5 Mw6.5万)
更にその他の成分として、界面活性剤、着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機微粒子、無機質層状化合物、及び増感助剤もしくは連鎖移動剤などを添加することができる。具体的には、特開2008−284817号公報の段落番号[0114]〜[0159]、特開2006−091479号公報の段落番号[0023]〜[0027]、米国特許公開2008/0311520号明細書の段落番号[0060]に記載の化合物及び添加量が好ましい。
本発明における画像記録層は、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0142]〜[0143]に記載のように、必要な上記各成分を公知の溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、これを支持体上にバーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することで形成される。塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層と支持体との間に下塗り層(中間層と呼ばれることもある)を設けることが好ましい。下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着を強化し、未露光部においては画像記録層の支持体からの剥離を生じやすくさせるため、耐刷性を損なわず現像性を向上させるのに寄与する。また、赤外線レーザー露光の場合は、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散して感度が低下するのを防ぐ。
具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物が好適に挙げられる。特開2005−238816号、特開2005−125749号、特開2006−239867号、特開2006−215263号の各公報記載の架橋性基(好ましくは、エチレン性不飽和結合基)、支持体表面に相互作用する官能基、及び親水性基を有する低分子又は高分子化合物を含有するものも好ましく用いられる。より好ましいものとして、特開2005−125749号及び特開2006−188038号公報に記載の支持体表面に吸着可能な吸着性基、親水性基、及び架橋性基を有する高分子ポリマーが挙げられる。
下塗り層用の高分子ポリマーは、質量平均モル質量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体としては、公知の支持体が用いられる。なかでも、公知の方法で粗面化処理され、陽極酸化処理されたアルミニウム板が好ましい。
また、上記アルミニウム板は必要に応じて、特開2001−253181号公報や特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理や封孔処理、及び米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケートあるいは米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸などによる表面親水化処理を適宜選択して行うことができる。
支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであるのが好ましい。
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層の上に保護層(オーバーコート層)を設けることが好ましい。保護層は酸素遮断によって画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層における傷の発生防止、及び高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有する。
変性ポリビニルアルコールとしては、カルボキシ基又はスルホ基を有する酸変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。具体的には、特開2005−250216号、特開2006−259137号の公報に記載の変性ポリビニルアルコールが好適である。
無機質層状化合物とは、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、下記一般式 A(B,C)2−5D4O10(OH,F,O)2
〔ただし、AはLi,K,Na,Ca,Mg,有機カチオンの何れか、B及びCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSi又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・H2Oで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、りん酸ジルコニウムなどが挙げられる。
層状化合物の粒子径は、その平均径が1〜20μm、好ましくは1〜10μm、特に好ましくは2〜5μmである。粒子径が1μm以上であれば酸素や水分の透過の抑制が十分であり、効果を十分に発揮でき好ましい。また20μm以下であれば塗布液中での分散安定性が十分であり、安定的な塗布を行うことができ好ましい。また、該粒子の平均の厚さは、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、特に好ましくは0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度であることが好ましい。
本発明の平版印刷版原版は、露光後、現像処理工程で現像されてから印刷に供せられるか、あるいは現像処理工程を経ることなく、印刷インキと湿し水とを供給して機上現像されて、そのまま印刷に供せられる。以下、本発明の製版方法について詳細に説明する。
本発明において画像様の露光に用いられる光源としては、レーザーが好ましい。本発明に用いられるレーザーは波長760〜1200nmの赤外線を照射する固体レーザーが好適に挙げられる。
赤外線レーザーの出力は100mW以上であることが好ましく、1画素当たりの露光時間は20マイクロ秒以内であるのが好ましく、また照射エネルギー量は10〜300mJ/cm2であるのが好ましい。露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。
本発明の平版印刷版原版の現像処理は、公知の方法で行うことができる。界面活性剤、有機溶剤、アルカリ剤、水溶性高分子化合物、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、無機酸、無機塩などから選ばれる成分を含有する水溶液からなる公知の現像液が用いられる。pH10未満の水溶液を用いることもでき、その際、界面活性剤及び水溶性樹脂の少なくとも一方を含有する現像液が好ましい。通常平版印刷版原版を現像した後に版を保護するための不感脂化液も現像液として用いることもできる。
なお、本発明において、現像処理後の平版印刷版を、引き続いて、水洗、乾燥処理、不感脂化処理することも任意に可能である。不感脂化処理では、公知の不感脂化液を用いることができる。
露光された平版印刷版原版は、印刷機の版胴に装着される。レーザー露光装置付きの印刷機の場合は、平版印刷版原版を印刷機の版胴に装着したのち画像様露光される。
このようにして、平版印刷版原版はオフセット印刷機上で現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
以下に、ミクロゲルの代表的合成例を示す。本発明のミクロゲルは、これらの合成例に準じて合成することができる。表1と2には、実施例の平版印刷版原版の作製に用いたミクロゲルを一覧で示した。
なお、成分として記載のH−1、M−1などは、各成分の説明に記載の例示化合物番号を示す。また、合成例1,2を示すが、どちらの合成方法を用いてもかまわない。
油相成分として、下記構造の多官能イソシアネート(1)(三井化学(株)製;75質量%酢酸エチル溶液)6.32gを酢酸エチル4.12gに溶解した。水相成分として、パイオニンA−41C(竹本油脂(製))0.05g、親水性化合物(H−2)0.40g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−205)1gを蒸留水14gに溶解した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水5gに添加し、40℃で4時間攪拌した。その後、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.1g、サンアプロ社製)を添加し、室温で30分攪拌後、45℃で24時間静置した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度が15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これをミクロゲルとした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
上記ミクロゲルの合成1における親水性化合物(H−2)0.40gの代わりに親水性化合物(H−23)0.51gを用いた以外はミクロゲルの合成1と同様にして、固形分濃度が15質量%のミクロゲルを得た。これをミクロゲルMG−5とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
上記ミクロゲルの合成1において親水性化合物(H−2)を添加しなかった以外はミクロゲルの合成1と同様にして、固形分濃度が15質量%の比較用のミクロゲルを得た。これをミクロゲル比較MG−1とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
油相成分として、上記構造の多官能イソシアネート(1)(三井化学(株)製;75質量%酢酸エチル溶液)6.32g、トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰り返し数90)を付加させた付加体(1)(三井化学(株)製;50質量%酢酸エチル溶液)3.39gを酢酸エチル5.32gに溶解した。水相成分として、パイオニンA−41C(竹本油脂(製))0.23g、親水性化合物(H−2)0.40gを蒸留水35gに溶解した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を蒸留水12gに添加し、40℃で4時間攪拌した。その後、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.15g、サンアプロ社製)を添加し、室温で30分攪拌後、45℃で24時間静置した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度が15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これをミクロゲルMG−7とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
上記ミクロゲルの合成4において親水性化合物(H−2)を添加しなかった以外はミクロゲルの合成4と同様にして、固形分濃度が15質量%の比較用のミクロゲルを得た。これをミクロゲル比較MG−2とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
油相成分として、上記構造の多官能イソシアネート(1)(三井化学(株)製;75質量%酢酸エチル溶液)6.32g、活性水素を有する基とエチレン性不飽和結合を有する化合物(以下では、エチレン性不飽和結合化合物と略記する。)(M−10)6.77gを酢酸エチル6.32gに溶解した。水相成分として、パイオニンA−41C(竹本油脂(製))0.1g、親水性化合物(H−2)0.40g、ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−205)1gを蒸留水37gに溶解した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を蒸留水13gに添加し、40℃で4時間攪拌した。その後、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.2g、サンアプロ社製)を添加し、室温で30分攪拌後、45℃で24時間静置した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度が15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これをミクロゲルMG−13とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
上記ミクロゲルの合成6において親水性化合物(H−2)を添加しなかった以外はミクロゲルの合成6と同様にして、固形分濃度が15質量%の比較用のミクロゲルを得た。これをミクロゲル比較MG−3とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
油相成分として、上記構造の多官能イソシアネート(1)(三井化学(株)製;75質量%酢酸エチル溶液)6.32g、トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰り返し数90)を付加させた付加体(1)(三井化学(株)製;50質量%酢酸エチル溶液)3.39g、エチレン性不飽和結合化合物(M−10) 6.77gを酢酸エチル6.32gに溶解した。水相成分として、パイオニンA−41C(竹本油脂(製))0.1g、親水性化合物(H−1)0.45gを蒸留水42gに溶解した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を蒸留水15gに添加し、40℃で4時間攪拌した。その後、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.2g、サンアプロ社製)を添加し、室温で30分攪拌後、45℃で24時間静置した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度が15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これをミクロゲルMG−19とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
油相成分として、上記構造の多官能イソシアネート(1)(三井化学(株)製;75質量%酢酸エチル溶液)6.32gに親水性化合物(H−11のナトリウム塩)1.06g、メチルエチルケトン3g、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.1g、サンアプロ社製)を加えて60℃、4時間撹拌した。もう一つの油相成分として、トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ9、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰り返し数90)を付加させた付加体(1)(三井化学(株)製;50質量%酢酸エチル溶液)3.39g、エチレン性不飽和結合化合物(M−10)6.77gを酢酸エチル6.32gに溶解した。水相成分として、パイオニンA−41C(竹本油脂(製))0.1gを蒸留水42gに添加した溶液を調整した。
油相成分二つと及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を蒸留水15gに添加し、40℃で4時間攪拌した。その後、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.2g、サンアプロ社製)を添加し、室温で30分攪拌後、45℃で24時間静置した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度が15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これをミクロゲルMG−31とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
油相成分として、上記構造の多官能イソシアネート(1)(三井化学(株)製;75質量%酢酸エチル溶液)6.32g、トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰り返し数90)を付加させた付加体(1)(三井化学(株)製;50質量%酢酸エチル溶液)3.39g、エチレン性不飽和結合化合物としてM−10 6.77gを酢酸エチル6.32gに溶解した。水相として蒸留水42gを添加した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を蒸留水15gに添加し、40℃で4時間攪拌した。その後、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.2g、サンアプロ社製)を添加し、室温で30分攪拌後、45℃で24時間静置した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度が15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これをミクロゲルとした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
(1)イソシアネート基と反応する活性水素原子を有する基を片末端に1つ以上有する親水性ポリマーの合成
メタクリル酸3-スルホプロピルエステルカリウム塩100g、2−メルカプトエチルアミン塩酸塩2.0g、和光純薬工業(株)製重合開始剤VA−044 0.3gを水100gに溶解し得られた水溶液を 窒素雰囲気下、50℃に保たれた水100g中へ2時間で滴下し、更に滴下後、50℃で2時間、60℃で2時間攪拌し、冷却後、アセトン3Lへ徐々に滴下すると、白色の固体が析出する。得られた固体をろ過、乾燥し、末端アミン塩酸塩の親水性ポリマーが95g得られた。(Mw21000)。
油相成分として、上記構造の多官能イソシアネート(1)(三井化学(株)製;75質量%酢酸エチル溶液)6.32g、トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰り返し数90)を付加させた付加体(1)(三井化学(株)製;50質量%酢酸エチル溶液)3.39g、エチレン性不飽和結合化合物(M−10) 6.77gを酢酸エチル6.32gに溶解した。水相成分として、パイオニンA−41C(竹本油脂(製))0.1g、親水性ポリマー0.90gを蒸留水42gに溶解した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を蒸留水15gに添加し、40℃で4時間攪拌した。その後、U‐CAT SA102(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン‐オクチル酸塩、0.2g、サンアプロ社製)を添加し、室温で30分攪拌後、45℃で24時間静置した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度が15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これをミクロゲル比較MG−5とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
エチレン性不飽和結合化合物の欄には、芯物質として用いたラジカル重合性化合物M−15も併記した。
1.平版印刷版原版の作製
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、この板に15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥して支持体(1)を作製した。
その後、非画像部の親水性を確保するため、支持体(1)に2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて60℃で10秒間、シリケート処理を施し、その後、水洗して支持体(2)を得た。Siの付着量は10mg/m2であった。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
次に、上記支持体(2)上に、下記下塗り層用塗布液(1)を乾燥塗布量が20mg/m2になるよう塗布して、以下の実験に用いる下塗り層を有する支持体を作製した。
・下記構造の下塗り層用化合物(1) 0.18g
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 0.10g
・メタノール 55.24g
・水 6.15g
上記のようにして形成された下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(1)をバー塗布した後、100℃60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画像記録層を形成した。
・バインダーポリマー(1)〔下記構造〕 0.240g
・ミクロゲル(表記載の合成ミクロゲル) 1.900g
・赤外線吸収染料(1)〔下記構造〕 0.015g
・ラジカル重合開始剤(1)〔下記構造〕 0.100g
・ラジカル重合性化合物
トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
(NKエステルA−9300、新中村化学(株)製) 0.192g
・低分子親水性化合物
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート 0.062g
・低分子親水性化合物(1)〔下記構造〕 0.050g
・感脂化剤 ホスホニウム化合物(1)〔下記構造〕 0.055g
・感脂化剤
ベンジル−ジメチル−オクチルアンモニウム・PF6塩 0.018g
・感脂化剤
アンモニウム基含有ポリマー
[下記構造、還元比粘度44cSt/g/ml] 0.035g
・フッ素系界面活性剤(1)〔下記構造〕 0.008g
・2−ブタノン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
上記画像記録層上に、さらに下記組成の保護層塗布液(1)をバー塗布した後、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/m2の保護層を形成して実施例1〜53用及び比較例1〜5用の平版印刷版原版を得た。
・無機質層状化合物分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製CKS50、スルホン酸変性、
けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液 0.55g
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−405、
けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液 0.03g
・日本エマルジョン(株)製界面活性剤
(エマレックス710)1質量%水溶液 0.86g
・イオン交換水 6.0g
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
(1)機上現像性
得られた平版印刷版原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1000rpm、レーザー出力70%、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像及び20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。
得られた露光済み原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水とスペースカラーフュージョンG墨インキ(DICグラフィックス(株)製)とを用い、LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給して機上現像した後、毎時10000枚の印刷速度で、特菱アート(76.5kg)紙に印刷を500枚行った。
画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測した。結果を表3と4に示す。
上述した経時前の機上現像性の評価を行った後、さらに印刷を続けた。印刷枚数を増やしていくと徐々に画像記録層が磨耗するため印刷物上のインキ濃度が低下した。印刷物におけるFMスクリーン50%網点の網点面積率をグレタグ濃度計で計測した値が印刷100枚目の計測値よりも5%低下したときの印刷部数を刷了枚数として耐刷性を評価した。結果を表3と4に示す。
本発明の特定親水性化合物に代えて、特許文献8に記載の、イオン性親水性基を側鎖に有する繰り返し単位を有し、活性水素原子を有する基を有する高分子化合物を用いた比較例5は、現像性は経時後も良好だが、耐刷性が低いことが分かる。
Claims (8)
- 親水性支持体上に、(A)ラジカル重合性化合物、(B)赤外吸収染料、(C)ラジカル重合開始剤、及び(D)ミクロゲルを含有する重合性組成物を含有する画像記録層を有する平版印刷版原版であって、前記(D)ミクロゲルが、(1)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、さらにイオン性親水性基を1つ又は2つ有する化合物、(2)活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物、及び(3)多官能イソシアネート化合物との反応により得られることを特徴とする平版印刷版原版。
- 前記活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物が、水、多官能アミン、多官能アルコール、多官能フェノール及び多官能チオールから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
- 前記活性水素原子を有する基を少なくとも1つ有し、イオン性親水性基を有さない化合物がエチレン性不飽和結合を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版原版。
- 前記ミクロゲルが芯物質としてラジカル重合性化合物を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記ミクロゲルがポリアルキレンオキシド鎖を有していること特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 画像記録層上に無機質の層状化合物を含有する保護層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 画像記録層の未露光部が湿し水及び印刷インキの少なくとも一方により除去可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
- 請求項7に記載の機上現像型平版印刷版原版を、赤外線レーザーにより画像露光した後、印刷機シリンダーに取り付け、画像記録層の未露光部を湿し水及び印刷インキの少なくとも一方により除去することを特徴とする製版方法。
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