JP2013021766A - モータ特性解析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁鋼板の磁気異方性を考慮しながらも、等方性磁性体に関する磁界解析だけで計算を行うことが出来るモータ特性解析方法を提供する。
【解決手段】モータ鉄心に用いる磁性鋼板が等方性磁性体であると仮定して、モータ鉄心の磁界解析を行う第1工程(S2)と、モータ鉄心の各部位における磁束密度の2次元リサージュ軌跡を求める第2工程(S3)と、2次元リサージュ軌跡の形態により、モータ鉄心の各部位を交番磁束領域と回転磁束領域とに区分けする第3工程(S4)と、交番磁束領域と判断した部位を、モータ鉄心における相対的位置によって、L特性の領域とC特性の領域とに区分けする第4工程(S6)と、第3工程および第4工程によってなされた区分に基づいてモータ鉄心の各部位に、磁気特性を設定する第5工程(S5、S9、S10)と、第5工程で設定した磁気特性を有する等方性磁性体として、モータ鉄心の再度の磁界解析を行う第6工程(S11)とを含むことを特徴とするモータ特性解析方法。
【選択図】図6

Description

本発明は、分割鉄心型モータのモータ特性解析方法に関するものである。
有限要素法や境界要素法を用いた磁界解析手法は、1980年代以降に開発が進み、技術者がモータ設計作業を行う際に磁界解析ソフトを活用する機会が増えている。従来は、磁界解析ソフトの計算精度が十分でなかったり、計算処理に膨大な時間を要するといった問題点もあったりしたが、磁界解析手法の改善およびコンピュータの計算処理能力が大幅に向上された結果、現在では技術者が磁界解析ソフトによりモータ設計を行なうことが主流となっている。
磁界解析ソフトを用いてモータ設計を行う場合、モータの磁気回路を構成する磁石や電磁鋼板の磁気特性を数値データとして与えて磁界解析を行い、その磁界解析の結果を用いてモータトルクやモータ効率などのモータ性能を計算するのが一般的である。このため、モータ性能を精度良く計算するためには、磁石や電磁鋼板などの磁気回路を構成する部材の正確な磁気特性データを与えることが重要である。
電磁鋼板には方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板とがある。方向性電磁鋼板は良く知られているように鋼板面内の磁気異方性が極めて大きい。一方、無方向性電磁鋼板は方向性電磁鋼板と比較すれば磁気異方性が小さいものの、実際には鋼板圧延方向と圧延直角方向とで磁気特性が異なっている。したがって、無方向性電磁鋼板といえども、精度良くモータ性能を計算するためには、電磁鋼板の磁気異方性を考慮したモデルを用いた計算を実行することが好ましい。
ところで、従来のモータ鉄心は電磁鋼板を円形状のステータを一体として打ち抜き、これを積層して構成するのが一般的であった。このため、モータ鉄心用の電磁鋼板の磁気異方性は小さい方が好ましいとされていた。しかし、電磁鋼板をT字型形状に打ち抜き積層したT字型ピースを組み合わせてステータ鉄心とする分割鉄心型モータが増えたことにより、従来は好ましくないとされていた電磁鋼板の磁気異方性をむしろ積極的に活用する試みが検討されている。分割鉄心型モータの場合、ティース脚を電磁鋼板の圧延方向に揃えて打ち抜くことが可能であり、磁気異方性を積極的に活用することができるからである。また、分割鉄心型モータでは磁気異方性の大きい電磁鋼板を使用した方が磁気異方性の小さいものを使用した場合よりも特性の優れたモータが得られたとの報告もある。つまり、分割鉄心型モータの普及により、電磁鋼板の磁気異方性を考慮したモータ特性解析方法が、ますます重要となっている。
電気学会マグネティクス研究会資料MAG-00-255 電気学会マグネティクス研究会資料MAG-01-59
しかし、従来の磁界解析ソフトを用いてモータの設計を行う場合、電磁鋼板の磁気異方性を正確に取り扱った計算モデルが用意されていないため、磁気異方性を有する電磁鋼板を使用した分割鉄心型モータの性能を正確には算出できないという問題があった。
また、一般的な多くの磁界解析ソフトでは、電磁鋼板を等方性磁性体としてモデル化しているので、そもそも電磁鋼板の磁気異方性を取り扱うことができないということも多い。
さらに、鋼板面内の磁気異方性を取り扱い可能な磁界解析ソフトにおいても、原理的に現実を正確に反映し得ないモデルを用いており、計算結果として磁化が電磁鋼板の飽和磁化を上回ってしまう場合があるなどの問題が指摘されている(非特許文献1参照)。このような問題を解決する方法も考案されているが(非特許文献2参照)、その方法は特殊な測定装置を用いて電磁鋼板の磁気特性を測定する必要がある上、プログラミングや数値計算に関する高度の技能が必要とされるため、一般のモータ設計者が容易に使いこなせる方法とは言えない。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、磁気異方性を有する電磁鋼板を使用する分割鉄心型モータの設計を行う場合に、電磁鋼板の磁気異方性を考慮しながらも、等方性磁性体に関する磁界解析だけでモータ特性の計算を行うことが出来るモータ特性解析方法を提供することにある。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るモータ特性解析方法は、モータ鉄心に用いる磁性鋼板が等方性磁性体であると仮定して、当該モータ鉄心の磁界解析を行う第1工程と、前記第1工程の磁界解析の結果を用いてモータ鉄心の各部位における磁束密度の2次元リサージュ軌跡を求める第2工程と、前記第2工程で求めた2次元リサージュ軌跡の形態により、モータ鉄心の各部位を交番磁束領域と回転磁束領域とに区分けする第3工程と、前記第3工程で交番磁束領域と判断した前記モータ鉄心の部位を、前記モータ鉄心における相対的位置によって、少なくともL特性の領域とC特性の領域とに区分けする第4工程と、前記第3工程および前記第4工程によってなされた区分に基づいて前記モータ鉄心の各部位に磁気特性を設定する第5工程と、前記第5工程で設定した磁気特性を有する等方性磁性体として、前記モータ鉄心の再度の磁界解析を行う第6工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係るモータ特性解析方法によれば、磁気異方性を有する電磁鋼板を使用する分割鉄心型モータの設計を行う場合に、電磁鋼板の磁気異方性を考慮しながらも、等方性磁性体に関する磁界解析だけでモータ特性の計算を行うことができる。
図1は、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法を適用する分割鉄心型モータのステータの構成を示す斜視図である。 図2は、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法を適用する分割鉄心型モータのステータの構成を示す断面図である。 図3は、ティース部の脚方向が圧延方向に整列した打抜き方を示す図である。 図4は、ティース部の脚方向が圧延直角方向に整列した打抜き方を示す図である。 図5は、無方向性電磁鋼板におけるL方向、C方向、および、D方向の磁気特性の違いを示すグラフである。 図6は、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法を示すフローチャートである。 図7は、ステータの各部における磁束密度の2次元リサージュ軌跡を表示した図である。 図8は、交番磁束領域と回転磁束領域とに分解されたステータの各領域を示した図である。 図9は、L特性、C特性およびL+C特性の等方性磁性体に分解されたステータの各領域を示した図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法を適用する分割鉄心型モータのステータの構成を示す斜視図であり、図2は、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法を適用する分割鉄心型モータのステータの構成を示す断面図である。
図1に示されるように、分割鉄心型モータのステータ1は、電磁鋼板をT字形状に打ち抜いたT字形コア片3を組み合わせて作成したリング状のステータ層2を積層して構成される。図1に示される分割鉄心型モータのステータ1の例では、12個のT字型コア片3を一組にして、リング状のステータ層2を形成している。一つのT字形コア片3は、主にティース部3aとヨーク部3bとからなり、ティース部3aはT字形の縦棒(または脚部)に相当する部分であり、ヨーク部3bはT字形の横棒に相当する部分である。
図2に示されるように、分割鉄心型モータのステータ1は、ロータ4と軸5と組み合わせて使用される。ロータ4は軸5を中心に回転自在に保持されており、ロータ4の内部には磁石6が設けられている。ステータ1のティース部3aは、ティース部3aに巻かれたコイルにより発生した磁束をロータ4の方向に導くことによって、ロータ4の磁石6と反発力および吸引力を発生させてロータ4を回転させる。
なお、図1および図2に図示した分割鉄心型モータのステータ1の例は、本発明の実施形態を説明するために例示したものであり、上記例以外にも様々な形状の分割鉄心型モータのステータ1が存在する。例えば、ティース部3aやヨーク部3bの形状、分割鉄心型モータのステータ1の一つ当たりのティース部3aの数などは、用途に応じて設計変更される。コイルの巻き方も、図1および図2では、集中巻き方式のステータを用いて説明を行ったが、本発明の実施には、分布巻き方式のステータを用いてもよい。また、図1および図2に図示したロータ4の例は、埋め込み磁石型(IPM)のロータを図示しているが、表面磁石型のロータであっても本発明を適切に実施することができる。
次に、分割鉄心型モータのステータ1の磁気特性について説明する。
上記説明した分割鉄心型モータのステータ1のT字形コア片3は、電磁鋼板をT字形形状に打ち抜いて作成される。その際、例えば図3または図4のように、T字形コア片3は、電磁鋼板7において整列された状態で打ち抜かれる。図3の例では、T字形コア片3のティース部3aの脚方向は、常に圧延方向に整列し、T字形コア片3のヨーク部3bの脚方向は、常に圧延直角方向に整列する。逆に図4の例では、T字形コア片3のティース部3aの脚方向は、常に圧延直角方向に整列し、T字形コア片3のヨーク部3bの脚方向は、常に圧延方向に整列する。
一般に磁気異方性を有する電磁鋼板の磁気特性は、圧延方向、圧延直角方向、および、圧延45度方向はそれぞれ磁気特性が異なっている。図5は、無方向性電磁鋼板(35A230)における、圧延方向、圧延直角方向、および、圧延45度方向の磁気特性の違いをグラフ化したものである。なお、これら磁気特性は、JIS−C2550で規定される方法で測定されたデータである。
以下の説明では、電磁鋼板の圧延方向をL方向と略記し、このL方向の磁気特性をL特性と呼ぶ。同様に、圧延直角方向をC方向と略記し、このC方向の磁気特性をC特性と呼び、圧延45度方向をD方向と略記し、このD方向の磁気特性をD特性と呼ぶ。さらに、L方向とC方向との平均磁気特性をL+C特性と略記し、圧延45度方向まで考慮した方向平均磁気特性を(L+2D+C)/4特性と略記する。
図5に示されるグラフから解るように、無方向性電磁鋼板といえども、L方向、C方向、および、D方向によって、磁気特性に違いがある。そこで、本発明では、以下に説明する方法により、等方性磁性体の磁界解析しか実行できない磁界解析ソフトを用いても、適切なモータ特性解析をし得るように工夫をする。
〔モータ特性解析方法〕
図6は、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法を示すフローチャートである。本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法は、一般的なPC等の計算機上に実装した磁界解析ソフトなどを用いてモータ設計者が実行することができる。
本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法は、モータ設計者がステータ1に用いた電磁鋼板7のL特性、C特性、およびL+C特性の磁気特性データを事前に取得しておく(ステップS1)。なお、ここでは電磁鋼板7の方向平均磁気特性として、データの入手が容易であるL+C特性を用いて説明するが、(L+2D+C)/4特性を用いれば、磁束方向が回転する際のD方向の磁気特性まで考慮することができ、より高精度な計算結果を期待することができる。
次に、ステータ1に用いた電磁鋼板7が等方性磁性体であると仮定して、モータ設計者が計算機を用いてステータ1の磁界解析を行う(ステップS2)。このとき、ステータ1に用いた電磁鋼板7は、任意の磁化方向の磁気特性がL+C特性である等方性磁性体であると仮定して、仮の磁界解析を行う。
そして、上記磁界解析の結果に基づいて、ステータ1の各部における磁束密度の2次元リサージュ軌跡をモータ設計者が計算機を用いて計算する(ステップS3)。ここで、磁束密度の2次元リサージュ軌跡とは、磁束密度の方向および大きさの時間変化を2次元座標面上の軌跡として描画したものである。
ここで、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法を示すフローチャートの説明を中断して、図7を参照しながら、磁束密度の2次元リサージュ軌跡について詳述する。図7は、ステータ1の各部における磁束密度の2次元リサージュ軌跡を表示したものである。図7では、特に、ステータ1のヨーク部3bの中央付近(グラフA)、ティース部3aの付け根付近(グラフB)、ティース部3aの中央付近(グラフC)、および、ティース部3aの先端付近(グラフD)での磁束密度の2次元リサージュ軌跡を図示している。
図7における各グラフを参照するとわかるように、上記ステップS2で行った磁界解析によれば、ステータ1の各部は、ヨーク部3bの中央付近およびティース部3aの中央付近のように、磁束の状態変化がほぼ交番磁束である領域と、ティース部3aの付け根付近およびティース部3aの先端付近のように、磁束状態の変化が回転磁束である領域と、が存在する(図8参照)。本発明の実施形態にかかるモータ特性解析方法では、この2種類の領域に対して異なる処理を行うので、以下の説明では、磁束状態の変化がほぼ交番磁束である領域を交番磁束領域と名付け、磁束状態の変化が回転磁束である領域を回転磁束領域と名付けるものとする。
ここで、図6の本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法を示すフローチャートの説明に戻り、上記説明した磁界解析の結果に基づいたステップS3以降の処理について説明する。
上記説明したように、ステータ1の各部は、交番磁束領域と回転磁束領域とに区分けすることができる(ステップS4)。多くの場合、リサージュ軌跡の形状を観察すれば、ステータ1の部位が交番磁束領域であるか回転磁束領域であるかが明瞭である。したがって、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法を利用するモータ設計者は、ステップS3で計算したリサージュ軌跡をグラフ化して交番磁束領域と回転磁束領域とに区分けすることができる。
一方、ステップS4を計算機上で自動化するため、適切な閾値を設定し、2次元座標の原点からリサージュ軌跡に至る距離の最大値と最小値との比が、この閾値を超えた場合に交番磁束領域とし、この閾値未満の場合は回転磁束領域とするように、計算機に自動判定させることもできる。例えば、この閾値として1/10を設定すれば、2次元座標の原点からリサージュ軌跡に至る距離の最大値と最小値との比が1/10以上ある場合は回転磁束領域とし、1/10未満の場合は交番磁束領域である。
次に、ステップS4で、モータ設計者は回転磁束領域であると判断されたステータ1の領域について(ステップS4:回転)、モータ設計者がその領域の磁気特性データとしてL+C特性を代入する(ステップS5)。なお、先に説明したように、本発明のモータ特性解析方法では、ステータ1がL+C特性であると仮定して磁界解析をしているので(ステップS2参照)、ここでは、L+C特性を代入するのではなく、データの更新をしないという方法も取り得る。また、L+C特性の代わりに(L+2D+C)/4特性を用いた実施形態においては、本ステップS5においても、磁気特性データとして(L+2D+C)/4特性を用いる。
ステップS4で、交番磁束領域であると判断されたステータ1の領域について(ステップS4:交番)、モータ設計者は、その領域がティース部3aであるかヨーク部3bであるかを判断する(ステップS6)。ヨーク部3bであると判断した場合(ステップS6:ヨーク)、T字形コア片3を電磁鋼板7から打ち抜いた際にティース部3aの脚方向が電磁鋼板のL方向であったかC方向であったかを判断する(ステップS7)。
ステータ1のティース部3aの脚方向が電磁鋼板7のL方向である場合(ステップS7:L方向)、ヨーク部3bは電磁鋼板7のC方向であることになるので、モータ設計者は、ヨーク部3bの磁気特性データとしてC特性を代入する(ステップS9)。一方、ティース部3aの脚方向が電磁鋼板7のC方向である場合(ステップS7:C方向)、ヨーク部3bが電磁鋼板7のL方向であることになるので、モータ設計者は、ヨーク部3bの磁気特性データとしてL特性を代入する(ステップS10)。
一方、ステップS6にて、交番磁束領域がティース部3aであると判断した場合でも(ステップS6:ティース)、同様にT字形コア片3を電磁鋼板7から打ち抜いた際にティース部3aの脚方向が電磁鋼板7のL方向であったかC方向であったかを判定する(ステップS8)。そして、ティース部3aの脚方向が電磁鋼板7のL方向である場合、モータ設計者は、ティース部3aの磁気特性データとしてL特性を代入する(ステップS10)。一方、ティース部3aの脚方向が電磁鋼板7のC方向である場合、モータ設計者は、ティース部3aの磁気特性データとしてC特性を代入する(ステップS9)。
上記説明したステップS3からステップS10の処理をステータ1の各部について行うことにより、ステータ1の各部が、任意の磁化方向の磁気特性がL+C特性である等方性磁性体と、任意の磁化方向の磁気特性がL特性である等方性磁性体と、任意の磁化方向の磁気特性がC特性である等方性磁性体とに区分けされる。図9は、上記説明したステップS3からステップS10の処理により、L特性、C特性およびL+C特性の等方性磁性体に分解されたステータ1の各領域を図示したものである。
上述のように、ステータ1の各領域に異なる磁気特性データを設定した後、モータ設計者は、当該磁気特性データを用いて最終的な磁界解析を行う(ステップS11)。そして、モータ設計者は、この最終的な磁界解析の結果を用いて、トルクなどのモータ性能を計算する(ステップS12)。
このようにして得られたモータの性能は、使用する電磁鋼板の磁気異方性を考慮した解析となっているため、電磁鋼板の磁気異方性を考慮しない場合に比べてより精度の高い解析となっている。さらに、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法は、電磁鋼板の磁気異方性を考慮した磁界解析であるにも関わらず、等方性磁性体に関する磁界解析だけで計算を行うことが出来るので、特殊な磁界解析ソフトを用いることなく一般のモータ技術者にも実施することが出来る。
なお、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法の精度を向上させるために、上記説明したステップS3からステップS10の処理を適宜変更することができる。例えば、上記ステップS6では、交番磁束領域であると判断されたステータ1の領域について、ティース部3aであるかヨーク部3bであるかを判断したが、より細分化した判断をすることも可能である。
例えば、交番磁束領域と判定されたステータ1の領域について、交番磁束の変化方向の角度と電磁鋼板の圧延方向との相対的角度に基づいて、代入すべき磁気特性データとしてL特性またはC特性を選定する方法が考えられる。このようにL特性またはC特性を選定する方法では、ステータ1のティース部3aとヨーク部3bの境界領域において、より精度の高い区分けが行える。また、当該相対的角度について閾値を設定することにより、計算機上の自動判別として実装することにも適している。
さらに、交番磁束の変化方向が圧延方向(L方向)とも圧延直角方向(C方向)とも大きく異なる場合には、D特性(圧延45度方向の磁気特性)を有する等方性磁性体として磁気特性を設定することが考えられる。交番磁束領域を2種類ではなく3種類に区分けすることにより、L特性およびC特性のみならずD特性を考慮することができ、電磁鋼板の磁気異方性をより高精度に計算結果に反映できる。
〔効果の検証〕
最後に、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法による精度の向上について説明する。
本実施例に用いた電磁鋼板は板厚0.35mmの35A230であり、その磁気特性は図5のグラフに示したものである。そして、T字形コア片3をこの電磁鋼板から図3のように打ち抜いて作成した。すなわち、T字形コア片3のティース部3aの脚方向が電磁鋼板7の圧延方向と一致するように打ち抜いている。
このように作成したT字形コア片3を組み合わせて積層し、ステータ外径160mm、ロータ径90mm、鉄心積み厚25mm、8極12スロットの埋め込み永久磁石式DCブラシレスモータのステータ1を作成した。ロータ4は、電磁鋼板35A230を一体打ち抜きして積層し、埋め込み穴にフェライト磁石を挿入して作成した。なお、ステータとロータのギャップは0.5mmとしている。また、巻き数95ターン/コイル、定格電流15Armsである。
モータテストベンチを用いて上記モータのトルクを測定したところ、条件:1500rpm、電流10Armsにおいて、2.015N・mのトルクが得られた。
一方で、従来のモータ特性解析方法により上記トルクを計算した場合、条件:1500rpm、電流10Armsにおいて、1.94N・mのトルクであった。ここで、従来のモータ特性解析方法とは、上記電磁鋼板35A230を、L+C特性を有する等方性磁性体と仮定して磁界計算を行なったものである。
これを、本発明の実施形態にかかるモータ特性解析方法を用いてトルクを計算したところ、条件:1500rpm、電流10Armsにおいて、2.013N・mのトルクとなり、実測値である2.015N・mに非常に近い値が得られた。したがって、本発明の実施形態にかかるモータ特性解析方法によれば、より精度の高いモータ特性を得られることが確認された。
以上、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法は、ステータ1に用いる磁性鋼板が等方性磁性体であると仮定して、ステータ1の磁界解析を行う第1工程(ステップS2)と、第1工程(ステップS2)の磁界解析の結果を用いてステータ1の各部位における磁束密度の2次元リサージュ軌跡を求める第2工程(ステップS3)と、第2工程(ステップS3)で求めた2次元リサージュ軌跡の形態により、ステータ1の各部位を交番磁束領域と回転磁束領域とに区分けする第3工程(ステップS4)と、第3工程(ステップS4)で交番磁束領域と判断したステータ1の部位を、ステータ1における相対的位置によって、少なくともL特性の領域とC特性の領域とに区分けする第4工程(ステップS6)と、第3工程(ステップS4)および第4工程(ステップS6)によってなされた区分けに基づいて、ステータ1の各部位に磁気特性を設定する第5工程(ステップS5、S9、S10)と、第5工程(ステップS5、S9、S10)で設定した磁気特性を有する等方性磁性体として、ステータ1の再度の磁界解析を行う第6工程(ステップS11)とを含むので、電磁鋼板の磁気異方性を考慮しながらも、等方性磁性体に関する磁界解析だけでモータ性能を計算することが出来る。
さらに、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法は、磁束密度の2次元リサージュ軌跡において、2次元座標の原点からリサージュ軌跡に至る距離の最大値と最小値との比が、1/10以上の場合は回転磁束領域と判定し、1/10未満の場合は交番磁束領域と判定することにより、モータ設計者の恣意性を排除し、計算機上で自動化する実装にも好適である。
また、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法は、L特性の領域とC特性の領域とさらにD特性の領域とに区分けすることにより、電磁鋼板の磁気異方性をより高精度に計算結果に反映できる。
また、本発明の実施形態に係るモータ特性解析方法は、回転磁束領域と判定された部位に対してはL+C特性を有する等方性磁性体として磁気特性データを設定することも、(L+2D+C)/4特性を有する等方性磁性体として磁気特性データを設定することもできる。方向平均磁気特性として、(L+2D+C)/4特性を用いれば、磁束方向が回転する際のD方向の磁気特性まで考慮することができ、より高精度な計算結果を期待することができる。
1 ステータ
2 ステータ層
3 T字形コア片
3a ティース部
3b ヨーク部
4 ロータ
5 軸
6 磁石
7 電磁鋼板

Claims (5)

  1. モータ鉄心に用いる磁性鋼板が等方性磁性体であると仮定して、当該モータ鉄心の磁界解析を行う第1工程と、
    前記第1工程の磁界解析の結果を用いてモータ鉄心の各部位における磁束密度の2次元リサージュ軌跡を求める第2工程と、
    前記第2工程で求めた2次元リサージュ軌跡の形態により、モータ鉄心の各部位を交番磁束領域と回転磁束領域とに区分けする第3工程と、
    前記第3工程で交番磁束領域と判断した前記モータ鉄心の部位を、前記モータ鉄心における相対的位置によって、少なくともL特性の領域とC特性の領域とに区分けする第4工程と、
    前記第3工程および前記第4工程によってなされた区分けに基づいて、前記モータ鉄心の各部位に磁気特性を設定する第5工程と、
    前記第5工程で設定した磁気特性を有する等方性磁性体として、前記モータ鉄心の再度の磁界解析を行う第6工程と、
    を含むことを特徴とするモータ特性解析方法。
  2. 前記第3工程は、前記磁束密度の2次元リサージュ軌跡において、2次元座標の原点からリサージュ軌跡に至る距離の最大値と最小値との比が、1/10以上の場合は回転磁束領域と判定し、1/10未満の場合は交番磁束領域と判定することを特徴とする請求項1に記載のモータ特性解析方法。
  3. 前記第4工程は、L特性の領域とC特性の領域とさらにD特性の領域とに区分けすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータ特性解析方法。
  4. 前記第5工程は、回転磁束領域と判定された部位に対してはL+C特性を有する等方性磁性体として磁気特性データを設定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のモータ特性解析方法。
  5. 前記第5工程は、回転磁束領域と判定された部位に対しては(L+2D+C)/4特性を有する等方性磁性体として磁気特性データを設定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のモータ特性解析方法。
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