JP2013011498A - 架空送電線の寿命判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】地域全体の合理的な電線寿命の判定が行える架空送電線の寿命判定方法を提供する。
【解決手段】 実線路から撤去した電線を性能調査することによって架空送電線の残存強度に関するデータを、使用年代別に整理して取得し(S1)、得られたデータを、腐食地域とそれ以外の劣化地域とに分けて整理し(S2)、腐食地域について、さらに、腐食要因が共通する範囲を1つの地区として区分し(S3)、さらに各地区ごとにデータを所定の線径によって区分し(S4)、予め加速劣化試験で再現して得られた腐食劣化曲線(マスターカーブ)と各地区ごとに所定の線径によって区分されたデータに基づいて算出された電線の残存強度分布から架空送電線の寿命強度となる確率を算出し、その推移から架空送電線の寿命を判定する(S5)。
【選択図】図2

Description

本発明は、架空送電線の寿命判定方法に関し、さらに詳しくは、例えば、撤去電線から得られたデータ及び加速劣化試験により得られたマスターカーブ(腐食劣化曲線)に基づいて合理的に架空送電線の寿命を判定することが可能な架空送電線の寿命判定方法に関する。
我国の送電設備は高度成長期に飛躍的に増加し、適切な保守のもと電力の安定供給が行われている。しかしながら、近年、日本海沿岸を中心に架空送電線の腐食が確認される事例が増えている。これまでにも、架空送電線の腐食や寿命を判断するための方法や装置などが検討されており、例えば、特許文献1〜3などが提案されている。
特許文献1では、架空送電線や架空地線などの架空条体の周辺の腐食因子を室内で模擬させた加速劣化試験室で、劣化診断対象の架空条体と同様なサンプル条体に対し加速劣化試験を行って性能劣化度を測定し作成した条体劣化度のマスターカーブ(腐食劣化曲線)を作成し、実際の架空条体の測定データ(架空条体から撤去して調査した測定データ)をマスターカーブに照合させることによって実装路における架空条体の寿命を評価するという方法が提案されている。
また、特許文献2では、架空送電線にX線を照射して得られたX線撮影データをディジタルデータ記録装置に記録し、X線撮影データに異常箇所の性質に応じてX線撮影データが示す傾向に着目したクラスタ分類を施すとともに架空送電線の長手方向に対して垂直方向の上下クラスタ値差の算出を含む処理をして腐食の程度を測定する架空送電線の腐食測定方法が提案されている。
また、特許文献3では、熱履歴が加えられていない試料に熱履歴を一定温度で所定時間加え、その加熱経過時間と残留抵抗比の変化とをマスターデータにして求めておき、測定対象の架空送電線から得られた試料の残留抵抗比とマスターデータにおける残留抵抗比との一致点を求め、それに対応した加熱時間から測定対象の架空送電線の寿命を正確に判断する架空送電線の寿命測定方法が提案されている。
特開2008−064610公報 特開2009−36707号公報 特開2009−52892号公報
しかしながら、架空送電線は使用条件・環境が同等の場合であっても経過年数とともに架空送電線の強度のバラツキが大きくなることがわかってきた。従って、例えば、特許文献1のように、実際の架空条体から撤去した電線で測定された引張強度を、加速劣化試験を行って得られた前記マスターカーブに単に当てはめただけでは架空送電線の寿命を合理的に判定することは困難であり、実際とは乖離した結果となるおそれがある。
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、使用年数別にサンプリングされた架空送電線の強度が正規分布に従うことを前提に、架空送電線の寿命強度(法律で定められた、電線の安全率が2.5となるアルミ素線残存引張強さ)になる確率を求め、その推移から電線寿命を判定し、張替時期の特定を合理的に行うことが可能な架空送電線の寿命判定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、実線路に架設されている架空送電線の寿命を判定する架空送電線の寿命判定方法において、実線路から撤去した電線を性能調査することによって架空送電線のアルミ素線の残存引張強さに関するデータを、使用年数別に整理して取得する工程と、前記データを、前記架空送電線の腐食による強度低下が支配的な地域(腐食地域)と、それ以外の要因による劣化が支配的な地域(劣化地域)とに分けて整理する工程と、前記腐食地域について、さらに、腐食要因が共通する範囲をそれぞれの地域として区分する工程と、前記劣化地域及び前記腐食地域を区分した地域ごとに前記データを所定の線径によって区分する工程と、予め前記線径ごとに実線路電線の劣化様相を加速劣化試験で再現して得られたマスターカーブを作成する工程と、該マスターカーブと前記劣化地域及び前記腐食地域を区分した地域ごとに所定の線径によって区分された前記データとに基づいて算出された電線の残存引張強さの分布から,使用年代別の電線の寿命強度となる確率を算出すると共に該寿命強度になる確率と使用年数の関係を示す曲線(寿命カーブ)を作成する工程と,該曲線に基づいて架空送電線の寿命を判定する工程とを含み構成されることを特徴とする。
上記課題を解決するために請求項2に記載の本発明は請求項1に記載の架空送電線の寿命判定方法において、前記腐食地域における腐食要因が共通する地域は、風況、離岸距離、工業地域であるか否かによって区分されることを特徴とする。
上記課題を解決するために請求項3に記載の本発明は、請求項1から2のいずれか1項に記載の架空送電線の寿命判定方法において、前記マスターカーブは、実線路の電線の腐食様相を再現した加速劣化試験によって作成した腐食劣化曲線であり、前記腐食地域を区分した地域ごとに、腐食による強度低下が加速する前記寿命カーブの変曲点の強度となる発生確率を算出し、その変曲点に至る確率と使用年数の関係を示す曲線から架空送電線の点検時期を設定する工程を含み構成されることを特徴とする。
本発明に係る架空送電線の寿命判定方法によれば、撤去電線から得られたデータ及び加速劣化試験により得られたマスターカーブに基づいて架空送電線の寿命を判定することとしたので架空送電線の改修時期の判断や架空送電線点検時期を従来よりも合理的に判断することができるという効果がある。これにより、膨大な架空送電線の点検時期や張替時期を計画することができ効率的な作業を実施することができるという効果がある。
架空送電線の残存強度と使用年数および寿命強度に至る発生確率の関係の一例を示す特性図である。 本発明に係る架空送電線の寿命判定方法を示すフローチャートである。 撤去電線調査のデータからマスターカーブを用いて、それぞれの使用年数における残存引張強度を推定する方法を示す図である。 腐食地域Aにおける撤去電線データとマスターカーブを用いて算出した使用年数とアルミ素線残存引張強さの関係を示す図である。 架空送電線の寿命強度となる発生確率と使用年数の関係を示す図である。 寿命強度に至る確率及び変曲点に至る確率並びに使用年数の関係を示す図である。
以下、本発明に係る架空送電線の寿命判定方法について好ましい一実施形態に基づいて詳細に説明する。
初めに、架空送電線(以下、「電線」という)の使用条件及び環境が同等である場合、電線の残存引張強さのバラツキは使用年数の増加とともに大きくなることが知られている(例えば、「架空送電線性能の経年劣化定量化検討」、住友電気、第137号、1990、永井他)。一方、電線が腐食した場合の残存引張強さの低下推移については、電線の加速劣化試験などによってマスターカーブ(腐食劣化曲線:MC)を得ることによって予測することが知られている(例えば、「架空送電線の腐食挙動に関する研究(その3)」電気学会B部門、No.254、平成18年、高城他)。
しかしながら、上述のように、電線は使用条件・環境が同等の場合であっても経過年数とともに電線の残存強度のバラツキが大きくなることから,測定された電線の引張強さデータをマスターカーブに単に当てはめただけでは電線の寿命を合理的に判定することは困難であり、実際とは乖離した結果となるおそれがある。そこで、使用年数別にサンプリングされた(約1500サンプル)電線の残存引張強さが正規分布に従うことを前提に、電線の寿命強度になる確率を求め、その推移から電線の寿命若しくは改修時期の判定を行う。
電線の残存強度(アルミ素線残存引張強さ)と使用年数および寿命強度に至る発生確率の関係の一例を図1に示す。図示されているように、使用年数が増えるにつれて電線の残存強度が小さくなると共に、電線の残存引張強さの分布が次第に電線の寿命強度に近づいていき、さらに使用年数が増えるにつれて電線の残存引張強さの分布が電線の寿命強度以下となる範囲が次第に増加する。例えば、図1では使用年数が増えるにつれて寿命強度以下となる確率が3%、50%、90%のように増加している。図中の各残存強度分布における斜線部の面積が電線の寿命強度となる確率に相当する。尚、電線の寿命強度に至る発生確率Fは数1に基づいて算出される。また、図1に示すマスターカーブは実線路の電線の腐食様相を再現した加速劣化試験によって作成した腐食劣化曲線であり、このマスターカーブから明らかなように、電線の残存引張強さの傾きは直線状ではなく、初期値の約98%に変曲点があり、これを過ぎると急激に残存強度が低下しており、腐食による強度低下の兆候が現れると考えられる。従って、この変曲点強度となる発生確率の推移を知ることも重要となる。
Figure 2013011498
以下、実線路から撤去した電線の性能調査の結果に基づくデータの取得手順、及び、このデータを用いた寿命判定方法について詳細に説明する。
初めに、実線路から撤去した電線を性能調査することによって電線の残存引張強さに関するデータを使用年数別に取得する(図2ステップS1)。実際に実線路から撤去した電線について、例えば、外観調査、引張試験、捻回試験、断面形状調査などが行われているが、ここでは、アルミ素線の引張強さをデータとして取得する。尚、アルミ素線の残存引張強さは、具体的には、以下のように計算される。
アルミ素線残存引張強さ
=(アルミ素線の実測の引張強さ/初期値)×100(%)
=(アルミ素線の実測の引張強さ/(規格値×1.2))×100(%)
表1に撤去した電線の一部についてそのアルミ素線の残存引張強さの数値例を示す。
Figure 2013011498
次に、前記データ、すなわち、アルミ素線の残存引張強さを、腐食による強度低下が支配的な地域(腐食地域)と、それ以外の要因による劣化が支配的な地域(劣化地域)とに分けて整理する(図2ステップS2)。すなわち、電線の強度の低下が腐食による要因(例えば、腐食形態が孔食などの部材の形状変化を伴うもの)が大きいのか、それ以外の要因によるものであるのかによって電線の寿命に及ぼす影響が相違することから、これを分けて判断するためである。
次に、前記腐食地域について、さらに、腐食要因が共通する範囲をそれぞれの地区として区分する(図2ステップS3)。例えば、海岸線に近く海塩に晒されやすい地域(腐食地域A)、腐食地域Aに隣接した内陸部であって地形環境が類似する地域(腐食地域B)、硫黄分や酸化窒素を含む産業排出ガス等の影響を受ける地域(腐食地域C)のように、腐食要因の類似な地域を区分する。この場合、各地域の風況などによる影響も考慮することが好ましい。その地域における風向や風速などの風況によって塩害などの影響が異なる場合があるからである。
これをまとめると例えば以下のようになる。

腐食地域A:海塩に晒される地域(臨海工業地域)
腐食地域B:海塩の影響を受ける地域(内陸部)
腐食地域C:工業地域(硫黄分や酸化窒素を含む産業排出ガス等の影響を受ける地域)
次に、腐食地域を区分した地域ごとにまとめられたデータを所定の線径によって区分する(図2ステップS4)。電線の腐食による引張強度低下推移の相違を踏まえ、腐食地域を区分した地域ごとのデータを、例えば、ACSR(鋼心アルミより線)200mm以下(素線径3.0mm以下)のデータと、ACSR240mm以上(素線径3.0mmを超える)のデータとに区分する。
表2に地域毎,線径毎に区分したアルミ素線残存引張強さデータの一部を示す。
Figure 2013011498
予め各線径ごとに実線路の電線の劣化様相を再現した加速劣化試験によって作成しておいたマスターカーブと所定の線径によって区分されたアルミ素線の残存引張強さから計算した,使用年数とアルミ素線残存引張強さのデータ群の一部は表3のとおりであり,図示すると図4のとおりである。そしてこのデータ群(約1500データ)から電線の寿命強度となる確率を算出し、その推移から架空電線の寿命を判定する(図2ステップS5)。
Figure 2013011498
すなわち、各使用年数におけるアルミ素線残存引張強さの平均値(μ)及び標準偏差(σ)から数1を用いて電線の寿命強度になる確率(図1における斜線部の面積)を計算すると表4のとおりである。そして,その寿命強度になる確率と使用年数の関係を示す曲線(図5)から電線の寿命を判定する。尚、本例では,電線の安全率が2.5となるときのアルミ素線の引張強さは初期値の約70%となる。
Figure 2013011498
マスターカーブは、例えば、実線路において使用されている電線と同じ未使用の電線を用い、これに硫酸を加えた塩水を噴霧することによって腐食の状態を再現する加速劣化試験によってアルミ素線引張強度の腐食劣化曲線を得ることによって作成することができる。また、腐食以外の要因によるマスターカーブも同様に、実線路の環境などを再現した加速試験によって作成することができる。これらのマスターカーブは各地区ごとに作成されるものではなく、電線の線径ごとに作成される。劣化地域及び腐食地域を区分した地域ごとにそれぞれマスターカーブを作成するのは時間と費用がかかり非常に効率が悪く、その一方で、実線路の電線の環境の差にかかわらず強度低下推移の傾向は共通するので予め代表的な電線のマスターカーブを作成しておきこれを利用することとしたものである。また、線径別に分けたのは、環境の差以上に線径によって腐食による強度低下の推移に大きな差が出るからである。
一方、撤去電線から得られたデータを劣化地域及び腐食地域を区分した地域ごとに分け、さらに所定の線径によって分けるとデータ数が少なくなり、統計処理が困難となる場合が考えられる。そのため、マスターカーブを用いて1つのデータから各使用年数別のデータを推定して利用することで少ないデータ数であっても各年代における統計処理を可能とし、それによって電線の寿命強度の推定が行えるようにしている。図3に示すように、撤去電線の調査データ(丸印)からマスターカーブaを用いて各使用年数におけるデータ(三角印)の推定を行い、得られた曲線を図4のように調査データ数分(約1500データ)用いることで各使用年数のアルミ素線残存引張強さデータ群(図4)を得ることができる。例えば,腐食地域Aにおいて,実線路から撤去したサンプルの実使用年数が10年の場合,使用年数20年,30年,40年等の場合のアルミ素線残存引張強さを使用年数と残存引張強さをもとにマスターカーブを調整して推定する。すなわち,1個のサンプルにつき1本の寿命カーブが得られる。
腐食地域Aについて,具体的に示す例を記載する。様々な使用年数の実線路から撤去した電線を性能調査し,アルミ素線の引張強さを測定してそのアルミ素線の残存引張強さデータを求める。次に,求めたアルミ素線の残存引張強さデータを,腐食地域と腐食地域以外の地域に区分する。腐食地域に区分したアルミ素線残存引張強さデータを,さらに腐食地域A,腐食地域B,腐食地域Cに区分する。
前記腐食地域ごとに区分したアルミ素線残存引張強さデータを,素線径3mm以下と素線径3mm超過に区分する。そして,区分したアルミ素線残存引張強さデータを,素線径ごとにあらかじめ求めておいたマスターカーブへ適用し,性能調査した実使用年数以外の使用年数の複数のアルミ素線残存引張強さデータ群(寿命カーブ)を求める。この時点で約1500本の寿命カーブが得られる。(図4)
腐食地域Aについて,アルミ素線残存引張強さが電線の寿命強度(初期値の70%)となる場合、および、寿命カーブの変曲点の強度(初期値の98%)となる場合を図4に示す。図4によれば、腐食地域Aの電線が寿命強度(初期値の70%)となる発生確率は15年で約10%、30年で約50%、50年で約80%となっている。また、腐食地域Aの電線が寿命カーブの変曲点の強度(初期値の98%)となる発生確率は15年で約70%、30年で約80%となっている。
使用年数ごとに得られた,アルミ素線残存引張強さデータ群から,アルミ素線残存引張強さの平均値及び標準偏差を計算する。そして,その平均値及び標準偏差から[数1]により算出した電線の寿命強度となる発生確率の推移を図5に示す。図示されているように、腐食地域Aでは、電線の寿命強度となる確率は、早いもので約10年から徐々に増加している。また、電線の寿命強度となる確率推移の傾きは、海岸からの離岸距離が長い腐食地域Bよりも海岸からの離岸距離が短い腐食地域Aの方が急激となっている。また、臨海工業地域など腐食要因が複合する腐食地域Cはさらに急激となっている。
一方、腐食による引張強度低下の兆候が現れると考えられる寿命カーブの変曲点の強度(初期値の98%)となる腐食地域Aにおける発生確率の推移を図6に示す。当然のことながら、同一の使用年数では、電線の寿命強度となる確率よりも、電線が変曲点の強度となる確率の方が高い。そこで、電線が変曲点の強度となる確率の推移をもとに、電線の点検時期を設定することにより電線が寿命に至る前の最適な時期に電線状況の判定が可能となる。これらのことから,例えば、図6において、寿命カーブの変曲点に至る確率が80%となる時点(経過25年程度)で点検を実施し、異常がなければ電線の寿命強度となる確率が50%となる時点(経過30年程度)で張替を計画するなどの指標化を可能とする。
[実施形態の効果]
本実施形態に係る電線の寿命判定方法によれば、実線路から得られた撤去電線のデータとマスターカーブから地域ごとに確率推移を求めることで、合理的な電線の改修時期の判断や電線の点検時期を計画することができる効果がある。
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、電線の配置構造、線種、形状等が異なる場合であっても、腐食および劣化の影響を受ける電線であれば本発明を適用可能である。また、本発明は寿命判定の対象を電線としたが、データの採取条件等を変更することにより、電線以外の金属構造物等にも適用することが可能である。

Claims (3)

  1. 実線路に架設されている架空送電線の寿命を判定する架空送電線の寿命判定方法において、
    実線路から撤去した電線を性能調査することによって架空送電線のアルミ素線の残存引張強さに関するデータを、使用年代別に整理して取得する工程と、
    前記データを、前記架空送電線の腐食による強度低下が支配的な地域(腐食地域)と、それ以外の要因による劣化が支配的な地域(劣化地域)とに分けて整理する工程と、
    前記腐食地域について、さらに、腐食要因が共通する範囲をそれぞれの地域として区分する工程と、
    前記劣化地域及び前記腐食地域を区分した地域ごとに前記データを所定の線径によって区分する工程と、
    予め前記線径ごとに電線実線路の劣化様相を加速劣化試験で再現して得られたマスターカーブを作成する工程と、
    該マスターカーブと前記劣化地域及び前記腐食地域を区分した地域ごとに所定の線径によって区分された前記データとに基づいて算出された電線の残存強度分布から,使用年代別の電線の寿命強度となる確率を算出すると共に該寿命強度になる確率と使用年数の関係を示す曲線を作成する工程と,
    該曲線に基づいて架空送電線の寿命を判定する工程と、
    を含み構成されることを特徴とする架空送電線の寿命判定方法。
  2. 請求項1に記載の架空送電線の寿命判定方法において、
    前記腐食地域における腐食要因が共通する地域は、風況、離岸距離、工業地域であるか否かによって区分されることを特徴とする架空送電線の寿命判定方法。
  3. 請求項1から2のいずれか1項に記載の架空送電線の寿命判定方法において、
    前記マスターカーブは、実線路の電線の腐食様相を再現した加速劣化試験によって作成した腐食劣化曲線であり、前記腐食地域を区分した地域ごとに、腐食による強度低下が加速する前記寿命カーブの変曲点の強度となる発生確率を算出し、その変曲点に至る確率と使用年数の関係を示す曲線から架空送電線の点検時期を設定する工程と、
    を含み構成されることを特徴とする架空送電線の寿命判定方法。
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