JP2013001007A - 積層体 - Google Patents

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Kazuki Kato
一樹 加藤
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Abstract

【課題】微細凹凸構造の破損及び破損に伴う発塵汚染を抑制でき、しかも保護膜の剥離前後で光学性能の低下を抑制できる積層体を実現すること。
【解決手段】本発明の積層体(1)は、表面に凹凸構造(12a)が形成された微細構造層(12)と、微細構造層(12)上に設けられ凹凸構造(12a)の凹部及び凸部と接触して凹凸構造(12a)を被覆する保護膜(13)と、を具備し、微細構造層(12)は、隣接する凸部間のピッチが可視光の波長以下であり、保護膜(13)は、非水溶性の樹脂材料を含み、微細構造層(12)から剥離した後の微細構造層(12)に対する粘着力が0.01N/cm以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面に微細な凹凸構造が形成された微細構造層を有する積層体に関し、特に、微細構造層を保護する保護膜を備えた積層体に関する。
近年、ディスプレイの表面保護や、太陽電池の発電効率の向上のため、反射防止フィルムが用いられている。反射防止フィルムは、表面に微細な凹凸構造が形成された微細構造層を有しており、この微細構造層により光の反射を抑制する。このような微細構造層は、比較的外部応力に弱く、施工時や輸送時の衝撃により凹凸構造が破損することがある。このため、反射防止フィルムにおいては、繰り返し剥離可能な微粘着層を形成した粘着シートなどにより、反射防止フィルムの製造後、使用直前まで微細構造層の凹凸構造を保護して用いられている。
しかしながら、粘着シートは、粘着力及び粘着成分の経時的な安定性に欠けるため、剥離した微粘着層の糊残りによる微細構造層の汚染や、微細構造層から粘着シートが剥離不能になりやすい問題がある。特に、高さ1μm以下の微細な凹凸構造が形成された微細構造層を粘着シートで保護する場合においては、糊残りによる汚染や、粘着シートが剥離不能となるケースが顕著であり、微粘着層の糊残りの低減、及び微細構造層の長期間に亘る安定的な保護とを両立することは極めて難しい。微細構造層を長期間に亘って安定的に保護するため、水溶性樹脂を凹凸構造上に塗布して設けた保護フィルムを有する微細構造フィルム積層体(例えば、特許文献1参照)や、基材フィルムの凹凸構造形成領域外に粘着層を設け、この粘着層に凹凸構造を覆うように保護フィルムを貼着することにより、凹凸構造を非接触で保護する保護フィルム付き成形体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−17922号公報 特開2010−120348号公報
しかしながら、特許文献1に記載の微細構造フィルム積層体においては、被保護面から保護フィルムを剥離するためには溶剤を用いて保護層を除去する必要がある。このため、モスアイ構造のような微細な凹凸構造上に保護フィルムを設けた場合、保護フィルムの残留物を完全に取り除くことは難しく、かつディスプレイや太陽電池などのシステムに組み込んだ後では、溶剤を用いて保護層を除去することそのものが実施不可能となる問題が生じる。また、水溶性樹脂を使用することから保管時の温度環境及び湿度環境により保護層の安定性に問題を生じる。
さらに、特許文献2に記載の保護フィルム付き成形体においては、凹凸構造形成領域以外に設けた粘着層に保護フィルムを貼着するため、凹凸構造が保護フィルムと擦れることにより、凹凸構造の破損や発塵汚染などが生じ、保護フィルムとしての機能が必ずしも十分に得られない問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、微細構造層の凹凸構造の破損及び破損に伴う発塵汚染を抑制でき、しかも保護膜の剥離前後で光学性能の低下を抑制できる積層体を提供することを目的とする。
本発明は、鋭意検討した結果、非水溶性の樹脂材料を含み、微細構造層との間で実質的に粘着力を有さない保護膜を微細構造層の凹凸構造上に設けることにより、保護膜を微細構造層の界面で容易に剥離でき、保護膜の剥離前後で光学性能の低下を抑制できる積層体を実現できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の積層体は、表面に凹凸構造が形成された微細構造層と、前記微細構造層上に設けられ凹部及び凸部と接触して前記凹凸構造を被覆する保護膜と、を具備し、前記微細構造層は、隣接する凸部間のピッチが可視光の波長以下であり、前記保護膜は、非水溶性の樹脂材料を含み、前記微細構造層から剥離した後の前記微細構造層に対する粘着力が0.01N/cm以下であることを特徴とする。
この構成によれば、保護膜が、凹部及び凸部と接触して微細構造層の凹凸構造を被覆するので、微細構造層の凹凸構造の破損及び破損に伴う発塵汚染を抑制できる。また、保護膜と微細構造層の凹凸構造の凹部及び凸部との間の接触面積が増大するので、保護膜と微細構造層との間の粘着力が小さい場合であっても、保護膜と微細構造層とを接着することが可能となる。これにより、微細構造層からの保護膜の剥離が容易になる共に、剥離前後における微差構造層の糊残りなどの汚染を抑制でき、光学性能の低下の抑制を実現できる。
本発明の積層体においては、前記保護膜の厚みが5μmから200μmであって、前記微細構造層から前記保護膜を剥離する剥離力が0.02N/25mm以上、4N/25mm以下であり、かつ前記微細構造層から前記保護膜を剥離する剥離力が前記保護膜の破断強度より小さいことが好ましい。
本発明の積層体においては、前記保護膜が、非水溶性のナイロン、エチレン酢酸ビニル、フッ素、アクリル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、及びアクリルからなる群から選択された少なくとも1つの樹脂を主成分として含むことが好ましい。
本発明の積層体においては、前記保護膜が、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、及びスチレン−イソプレン−スチレンからなる群から選択された少なくとも1つのブロック構造を分子鎖中に含む共重合体、又は当該共重合体の変性体の熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。
本発明の積層体においては、前記保護膜が、ウレア結合を含有する脂肪族系ジイソシアネート及び炭素数4以上のグリコールを用いたポリウレタン及び/又はウレア樹脂を含むことが好ましい。
本発明の積層体においては、前記微細構造層上に設けられ熱可塑性樹脂を含む基材をさらに備え、前記微細構造層は、光硬化性樹脂を含有し、前記基材と前記微細構造層との密着力が前記微細構造層から前記保護膜を剥離する剥離力の関係より大きいことが好ましい。
本発明の積層体においては、前記微細構造層を介さずに前記基材上に設けられた粘着層と、前記粘着層上に設けられた離型フィルムとを具備することが好ましい。
本発明の積層体においては、前記基材は、一対の主面を有し、当該一対の両主面上に、それぞれ前記微細構造層及び前記保護膜がこの順に積層されたことが好ましい。
本発明によれば、微細構造層の凹凸構造の破損及び破損に伴う発塵汚染を抑制でき、しかも保護膜の剥離前後で光学性能の低下を抑制できる積層体を実現できる。
本実施の形態に係る積層体の一例を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る積層体の他の例を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る積層体の別の例を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る積層体の別の例を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る積層体の断面SEM写真である。 実施例1に係る積層体の保護膜形成前後の反射率を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが可能である。
図1A,図1Bは、本発明の実施の形態に係る積層体の断面模式図である。
図1Aに示すように、本実施の形態に係る積層体1は、基材11と、この基材11上に設けられ表面に凹凸構造12aが形成された微細構造層12と、この微細構造層12上に設けられ微細構造層12の凹凸構造12aの凹部及び凸部と接触して凹凸構造12aを被覆する保護膜13とを具備する。
基材11は、対向する一対の主面を有しており、一方の主面上に微細構造層12が設けられる。微細構造層12の凹凸構造12aは、微細構造層12の表面内(図1の左右方向及び奥行方向)に延在する連続した複数の凹部及び凸部を含み、隣接する凸部間のピッチPが、可視光の波長以下となるように設けられる。保護膜13は、微細構造層12の表面内に延在する凹部及び凸部に追従するように、凹部及び凸部と密着して設けられ、微細構造層12の凹凸構造12aの凹部内に充填される。また、保護膜13は、非水溶性の樹脂材料を含み、微細構造層12との間で実質的に粘着性を有しない。この積層体1においては、保護膜13が微細構造層12の凹凸構造12aの凹部内に入り込むので、保護膜13と微細構造層12との間の接触面積が増大し、保護膜13と微細構造層12とを接着することが可能となる。また、保護膜13と微細構造層12との間の粘着力が小さいので、微細構造層12から保護膜13を剥離する際の微細構造層12の凹凸構造12aの破損、保護膜13の破壊、及び保護膜13を構成する材料の残留などを抑制できる。
なお、保護膜13が微細構造層12との間で実質的に粘着性を有しないとは、微細構造層12と保護膜13とを積層してから、微細構造層12から剥離した後の微細構造層12と保護膜13との実質的な粘着力が0.01N/cm以下であることをいう。実質的な粘着力が0.01N/cm以下でも、保護膜13が微細構造層12上の凹凸構造12aの凹部及び凸部と接触していれば、保護膜13と微細構造層12との分子間力により充分に接着した状態を保つことができる。また、凹凸構造12aを微細化した場合、微細構造層12aの表面積が大きくなることも保護膜13と微細構造層12との接着に寄与していると考えられる。なお、剥離後の保護膜13の微細構造層12との粘着力の測定は、23℃、50%RHの環境下で剥離した保護膜13を、剥離した面同士を再度向きあうように保護膜13と微細構造層12とを微細構造の形状が破壊しない範囲の加重で押し合わせ、JIS Z1528に準拠した粘着テープ90度剥離試験治具を用いて測定することで行うことができる。
なお、微細構造層12から一旦剥離した保護膜13は、再び微細構造層12の凹凸構造12a形成面へ密着させることができない。これは保護膜13と、微細構造層12上の凹凸構造12aの凹部及び凸部との接触不良(凹凸構造の噛み合わせ不良)が起きるためであると考えられる。保護膜13としては、有機溶剤に可溶な樹脂材料を用いることが好ましい。なお、積層体1としては、図1Bに示すように、微細構造層12と保護膜13とが積層されたものであれば、必ずしも基材11を備えたものでなくともよい(図1B参照)。
図2は、本実施の形態に係る積層体の他の構成例を示す図である。同図に示す積層体1においては、図1に示す構成に、さらに粘着層14と、粘着層14上に設けられた離型フィルム15とを備える。この積層体1においては、基材11の一方の主面上に微細構造層12及び保護膜13がこの順に積層され、基材11の他方の主面上に粘着層14及び離型フィルム15がこの順に積層される。この構成により、ディスプレイ、ショーウインドウパネル、各種光学素子などの空気との界面部分に、ラミネート法やプレス法などにより基材11を簡易に装着することが可能となる。その結果、積層体1に反射防止機能や超親水性、超撥水性などの機能を付加することができる。なお、図2に示す積層体1において、微細構造層12及び保護膜13は、図1に示した積層体1と同様に構成される。また、図2に示す例においては、基材11の一方の主面に微細構造層12を設け、他方の主面に粘着層14を介して離型フィルム15を設けた構成について説明したが、粘着層14及び離型フィルム15は、必ずしも他方の主面に設ける必要はなく、基材11の端面に設けてもよい。
図3及び図4は、本実施の形態に係る積層体の別の構成例を示す図である。図3に示す積層体1においては、基材11の一方の主面上に微細構造層12A及び保護膜13Aがこの順に積層され、基材11の他方の主面上に微細構造体12B及び保護膜13Bがこの順に積層される。この構成により、97%以上の優れた透過性能を有するフィルム状やシート状の積層体1を形成できる。これにより、従来使用されているショーウインドウや掛け時計、照明器具、懐中電灯などに使用されているガラスやアクリル系のパネルへ代替適用することが可能となり、視認性の向上と透過性の向上、軽量化が実現できる。さらに、ガラスのように破損しないので安全性も向上する。
図4に示す積層体1は、粘着層14を介して一対の基材11A,11Bの一方の主面同士が接合され、基材11Aの他方の主面上に、微細構造層12A及び保護膜13Aがこの順に積層され、基材11Bの他方の主面上に、微細構造層12B及び保護膜13Bがこの順に積層される。なお、図3及び図4に示す積層体1において、微細構造層12A,12B及び保護膜13A,13Bは、図1に示した積層体1と同様に構成される。
本実施の形態に係る積層体1においては、保護膜13が、微細構造層12の凹凸構造の凹部及び凸部と接触して凹凸構造12aを被覆するので、微細構造層12の凹凸構造12aの破損及び破損に伴う発塵汚染を抑制できる。さらに、保護膜13が、凹部及び凸部と接触して凹凸構造12aを被覆するので、保護膜13が微細構造層12の凹凸構造12aの凹部内に充填され、保護膜13と微細構造層12との間の接触面積が増大する。これにより、保護膜13と微細構造層12との間の粘着力が小さい場合であっても、保護膜13と微細構造層12とを接着することが可能となり、微細構造層12からの保護膜13の剥離が容易になる。また、保護膜13の剥離前後における微細構造層12の糊残りなどの汚染を抑制でき、光学性能の低下の抑制を実現できる。特に、微細構造層12の凹凸構造12aをモスアイ構造のような微細な凹凸構造とした場合、微細構造層12と保護膜13との間の接触面積が大幅に増大し、上述した効果が顕著に発現される。
<基材>
基材11の材料としては、ガラス、セラミック、金属などの無機材料などを用いることができ、使用目的や用途に応じて任意に選択することが可能である。用途によっては、光の透過性が要求される場合と非透過性が要求される場合とがあり、目的に応じて種類を選択できる。光透過性が必要な場合、使用目的に応じた波長領域で透明である必要があり、透明な樹脂やガラスが好ましく、さらに屈曲性も要求される場合、透明な樹脂がより好ましい。
また、基材11の材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート(以下、PC)樹脂、ポリスチレン(以下、PST)樹脂、シクロオレフィン(以下COP)樹脂、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート(以下、PAR)樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド(以下PEI)樹脂、ポリエーテルサルフォン(以下、PES)樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(以下、PEN)樹脂、ポリエチレン(以下、PE)樹脂、ポリオキシメチレン(以下、POM)樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、トリアセテートセルロース(以下TAC)樹脂などの熱可塑性樹脂や、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系などの紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などの有機材料を用いることができる。また、基材11の材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、及びポリサルフォン樹脂から選択された少なくとも一つの熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
また、基材11としては、ガラスなどの無機基板にシランカップリング剤やプライマー処理やUV処理などの表面処理を施したものを用いてもよい。基材11として樹脂フィルムを用いた場合、フレキシブル性、加工性、生産性、耐衝撃性が向上するメリットがある。基材11として樹脂材料を用いる場合、本来の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の従来の添加物を樹脂材料に添加したものを用いてもよい。例えば、有機及び無機の粒子、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、易接着層、染料などを含むことができる。これらは樹脂材料に直接配合して用いてもよく、これらを含む層を基材11上に積層してもよい。さらに、基材11としては、基材11上に接着層や干渉低減層を形成した基材11を使用することもできる。
また、熱や光、水分などの劣化要因から基材11を保護する為に、ガスバリアのための樹脂層を基材11表面にコーティングしてもよい。光学用途で使用される多くの場合は、基材11には、透明性が求められる。この場合の必要条件は、(a)使用目的に応じた波長領域で透明であり、(b)光硬化樹脂との接着性が良く、(c)光硬化樹脂との屈折率差が小さく、(d)ヘイズが小さいことが要求される。また好ましくは(e)機械物性が優れ、(f)価格が安いことも考慮される項目として挙げられる。以上の観点から基材11としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂、PC樹脂、COP樹脂、PET樹脂、PEN樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、TAC樹脂が好ましい。
<微細構造層>
微細構造層12は、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ゾルゲル反応物などを含む。微細構造層12の微細凹凸パタン(凹凸構造12a)は、金型を使ったナノインプリント法で成型され、その具体的な方法としては、光ナノインプリント法や熱ナノインプリント法、室温ナノインプリント法、キャスト法などがある。微細凹凸パタンを連続転写し易い観点から、微細構造層12の成型方法としては、光硬化性樹脂を使った光ナノインプリント法が好ましい。光硬化性樹脂の微細凹凸パタンは、透明樹脂基材上に形成する。
微細構造層12としては、微細凹凸パタンの高さを含む微細構造層12の厚さが0.01μm〜20μmで形成されることが好ましい。高温高湿条件下における光硬化性樹脂のクラックの発生を抑えるためにも微細構造層12の厚みは10μm以下であることがより好ましい。さらに、高温高湿下での硬化性樹脂の収縮に起因するカールを抑制するためにも微細構造層12の厚みが5μm以下であることがより好ましい。また、微細構造層12は、基材11への硬化性樹脂の密着性保持や未転写部分の発生を防ぐために微細構造層12の厚みが0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm〜3μmであることがより好ましい。
微細構造層12は、凹凸構造12aの凸部間のピッチが300nm以下で配列しているとき、光学用途に優れ、特に反射防止フィルムとして好適である。例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの映像表示装置、レンズ、ショーウインドウ、眼鏡レンズ、観覧用水槽などの空気層と接する対象物の表面に貼り付けて使用される。反射防止以外の用途としては、光導波シート、ホログラム、集光レンズ、プリズムシート、偏光分離素子、超撥水性フィルム、超親水性フィルム、細胞培養シートなどが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂やポリジメチルシロキサン(PDMS)樹脂、フッ素含有樹脂などが挙げられる。金型からの剥離性をよくするためには、樹脂の表面エネルギーが小さいことが有効であることから、シリコーン系のポリジメチルシロキサン樹脂が好ましく、より表面エネルギーに低いフッ素含有樹脂がより好ましい。また熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば転写性の観点からアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等が好ましい。また離型性の観点から、フッ素含有樹脂も好ましい。ゾルゲル反応物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物などであればよい。
光硬化性樹脂としては、ラジカル重合系樹脂又はカチオン重合系樹脂が好ましく、反応速度が速く、連続生産性の観点からラジカル重合系樹脂が好ましい。また、微細凹凸パタン深部への反応性を高めるために、反応寿命の長いカチオン重合系樹脂をラジカル重合系樹脂に混合した光硬化性樹脂でもあってもよい。カチオン重合系の光硬化性樹脂としては、重合性官能基がエポキシ基、ビニルオキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基などを有するモノマーであることが好ましい。
以下、ラジカル重合系の光硬化性樹脂について詳細に説明する。光硬化性樹脂は、1分子中に2つ以上のアクリル基及び/又はメタクリル基を含有する1種以上の単量体(以下、2官能以上のアクリレート及び/又はメタクリレートと称す)を含有するものである。単量体としては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシ化グリセルトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、3官能以上のポリエステルアクリレートオリゴマー、3官能以上のウレタンアクリレートオリゴマー、3官能以上のエポキシアクリレートオリゴマー、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタアクリレート、プロポキシ化グリセルトリメタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタアクリレート、トリスメタアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ウレタンジアクリレート、3官能以上のポリエステルメタアクリレートオリゴマー、3官能以上のウレタンメタアクリレートオリゴマー、3官能以上のエポキシメタアクリレートオリゴマーなどの1種以上が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、エトキシ化及びプロポキシ化された単量体というのは、単量体1分子当たり、1当量〜20当量の範囲の、1種以上のエトキシ基及び/又はプロポキシ基が含まれる単量体を指す。これらの単量体の中でも、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリメタアクリレートは諸物性のバランスが良いので好ましい。中でもトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレートを用いた光硬化性樹脂は、光反応後のモールドからの離型性が優れるため、特に好ましい。
光硬化性樹脂としては、上記のような、1分子中に2以上のアクリル基及び/又はメタクリル基を含有する1種以上の単量体を任意の範囲で含有する物であってもよい。3以上のアクリル基及び/又はメタクリル基の含有量を20質量%以上とすることで、比較的強度な成型体が得られる上、高架橋密度となり、成型体からブリードアウトしてしまうような低重合度オリゴマーの副生及びブリードアウトを最低限に抑えることができる。
光硬化性樹脂としては、上述の単量体の他に、粘性の調整及び、硬化物の諸物性を調整する目的で別の単量体を配合したものであってもよい。単量体としては特に制限は無いが、光硬化性樹脂の粘性を調整する必要から、単量体及びオリゴマーと組み合わせて使用することも好ましい。
具体的に使用できる単量体及びオリゴマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ラウリルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、ステアリルアクリレート、n−ブトキシエチルアクリレート、ブトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、カプロラクトンアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート4級化物、アクリル酸、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、PEG#200ジアクリレート、PEG#400ジアクリレート、PEG#600ジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、グリセリンジアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルアクリレート、ビスフェノールA−EO付加物ジアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、テトラフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、パーフロロオクチルエチルアクリレート、ノニルフェノール−EO付加物アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴアクリレート、エチルカルビトールオリゴアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、ペンタエリスリトールオリゴアクリレート、ペンタメチルピペリジルアクリレート、テトラメチルピペリジルアクリレート、パラクミルフェノール−EO変性アクリレート、N−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、イソシアヌル酸−EO変性ジアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、イソミリスチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、n−ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、カプロラクトンメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物、メタクリル酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、ネオペンチルグリコールメタクリル酸安息香酸エステル、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジルメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、PEG#200ジメタクリレート、PEG#400ジメタクリレート、PEG#600ジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ビスフェノールA−EO付加物ジメタクリレート、トリフロロエチルメタクリレート、テトラフルオロペンチルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、パーフロロオクチルエチルメタクリレート、ノニルフェノール−EO付加物メタクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリル酸安息香酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴメタクリレート、エチルカルビトールオリゴメタクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴメタクリレート、トリメチロールプロパンオリゴメタクリレート、ペンタエリスリトールオリゴメタクリレート、ペンタメチルピペリジルメタクリレート、テトラメチルピペリジルメタクリレート、パラクミルフェノール−EO変性メタクリレート、N−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、イソシアヌル酸−EO変性ジメタクリレート、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(シクロヘキシロキシ)メチルオキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、オキセタニルシリケート、フェノールノボラックオキセタン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ベンゼンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
また、光硬化性樹脂においては、N−ビニル化合物である単量体を5質量%〜40質量%の範囲で含有することが好ましい。ここで、特に好ましく用いられるN−ビニル化合物である単量体としては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、及びN−ビニルカプロラムタムの少なくとも1種以上が挙げられる。これらのN−ビニル化合物類を配合することにより、成型体の基材への付着性を向上できる一方で、光反応後のモールドからの離型性も良好であるので好ましい。これらの単量体の含有量は上記効果を発揮するには5質量%以上であることが好ましく、また40質量%以下であることによって、成型体からブリードアウトしてしまうような、低重合度オリゴマーの副生を最低限に抑えることができ、また成型体の過度の吸湿も抑制でき成型体の耐湿特性が向上するので好ましい。これらの単量体の含有量は17質量%〜35質量%の範囲であることがより好ましい。
さらに、光硬化性樹脂においては、アクリル基及び/又はメタクリル基を含むシリコーーン化合物を0.1質量%〜10質量%の範囲で含有することが好ましい。シリコーン化合物の一例としては、ポリジメチルシロキサン骨格にアクリル基を結合させた、BYK−UV3500、BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製)、ebecryl350(ダイセル・サイテック社製)などの、シリコーンアクリレート化合物が挙げられる。これらのシリコーン化合物を配合することにより、光反応後の成型体のモールドからの離型性をさらに向上できる上、これらのシリコーン化合物は成型体からのブリードアウトも少ないので、精密な微細構造を成型する目的に対して好ましい。これらのシリコーン化合物の含有量は上記効果を発現するには0.1質量%以上であることが好ましく、また10質量%以下であることによって、成型体の強度低下への影響も少ないので好ましい。
光硬化性樹脂は、光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]―フェニル}−2−メチル−プロパン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、1,2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(η−5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)などが挙げられる。特に本発明においては、高感度で、低揮発性である2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)などが好ましく用いられる。これら光重合開始剤は単独で適用することも可能であるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。このほか公知の光重合促進剤及び増感剤などと組み合わせて適用することもできる。光重合開始剤の配合比としては、質量%で0.1%〜5.0%の範囲であることが好ましい。
また、光硬化性樹脂としては、異物(パーティクル)が、ろ過などの手法で除去されているものが好ましい。ろ過の場合、捕捉出来る最小粒子径が1μm以下のフィルターを使用することが好ましく、0.5μm以下のものがさらに好ましい。いずれの最小粒子径でも、フィルターの捕捉効率は99.9%以上であることが好ましい。
本実施の形態に係る積層体1においては、基材11が上述した熱可塑性樹脂を含有し、微細構造層12が光硬化性樹脂を含有すると共に、基材11と微細構造層12との密着力が微細構造層12から保護膜13を剥離する剥離力の関係より大きいことが好ましい。この構成により、フレキシブルで耐衝撃性に優れた、反射防止フィルムをロールツーロール加工することも可能となる。また、保護膜13を剥離する際に、基材11上の微細構造層12が損傷、脱落すること無く積層体1を製造できる。なお、光硬化性樹脂としては、1分子中に2つ以上のアクリル基及び/又はメタクリル基を含有する1種以上の単量体と光重合開始剤とを最低限含む材料を用いることができる。
<保護膜>
保護膜13においては、微細構造を外部応力や汚染から保護するために、適度な柔軟性、微細構造面との接着性、衝撃吸収性、外部応力分散する特性を求められる。保護膜13の厚みは、これらの特性を満たす範囲であれば特に制限は無いが、保護膜13が薄すぎると必要特性を得ることが難しくなる。逆に厚い場合は、保護機能が向上する。しかし、厚みが増すことにより、体積、重量、コストが増加するので好ましくない。保護膜13の適切な厚みとしては、5μmから200μmが好ましく、10μmから100μmの範囲がより好ましく、20μmから75μm厚みの範囲がさらに好ましい。
積層体1を使用する際には、保護膜13を剥離する必要がある。保護膜13の剥離力が、0.02N/25mm以上、4N/25mm以下であれば、剥離のきっかけを作り易く、取り扱いし易い。保護膜13の剥離力が0.08N/25mm以上、2.5N/25mm以下であれば更に取り扱いしやすくより好ましい。
本実施の形態に係る積層体1においては、保護膜13の厚みが5μmから200μmであって、微細構造層12から保護膜13を剥離する剥離力が0.02N/25mm以上、4N/25mm以下であり、かつ微細構造層12から保護膜13を剥離する剥離力が保護膜13の破断強度より小さいことが好ましい。これにより、剥離力に対し保護膜13の充分な強度を確保することが可能となるので、剥離時に保護膜13が破損して凹凸構造12aに残ること無く安定かつ綺麗に微細構造層12と保護膜13の分離することが可能となる。
保護膜13の組成としては、微細構造層13との界面で剥離可能であれば、特に限定するものではないが、環境特に湿度などの影響を受けない非水溶性の樹脂材料を含むものが好ましく、水以外の有機溶剤で溶液化または分散可能なエマルジョンを形成する特性が好ましい。保護膜13が非水溶性の樹脂材料を含むことにより、保管環境、特に湿度や雨などの影響を受けることなく保存安定性に優れる。保護膜13を構成する樹脂材料としては、具体的には、ナイロン、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、フッ素、アクリル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂やスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、及びスチレン−イソプレン−スチレンなどのブロック構造を分子鎖中に含む共重合体、又は共重合体の変性体などの熱可塑性エラストマーなどを用いることが出来る。保護膜13には、帯電防止剤を含有、視認性向上のため顔料、染料や製膜性の安定化させるレベリング剤、保護膜の耐久性向上の為に酸化防止剤、紫外線吸収剤や強度調整の為の無機フィラーなどの添加剤を含有してもよい。
本実施の形態に係る積層体1においては、保護膜13が、非水溶性のナイロン、エチレン酢酸ビニル、フッ素、アクリル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、及びアクリルからなる群から選択された少なくとも1つの樹脂を主成分として含むことが好ましい。これにより、保護膜13が、凹凸構造12aと保護膜13との界面で強固に接着することが無いので、凹凸構造12aと保護膜13の界面で剥離が可能となる。なお、本明細書において、保護膜13の主成分とは、保護膜13の全重量に対して50質量%以上含むことをいう。
また、本実施の形態に係る積層体1においては、保護膜13が、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、及びスチレン−イソプレン−スチレンからなる群から選択された少なくとも1つのブロック構造を分子鎖中に含む共重合体、又は当該共重合体の変性体の熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。これにより、保護膜13が、凹凸構造12aと保護膜13の界面で強固に接着する事が無いので、凹凸構造12aと保護膜13の界面で剥離が可能となる。
また、本実施の形態に係る積層体1においては、保護膜13が、ウレア結合を含有する脂肪族系ジイソシアネート及び炭素数4以上のグリコールを用いたポリウレタン及び/又はウレア樹脂であることが好ましい。これにより、保護膜13の凝集力が増し、凹凸構造12a界面との密着力が低くなり、好適な密着性と剥離性のバランスを実現できる。
<保護膜の形成方法>
保護膜13は、溶液化されて微細構造層12の凹凸構造12a上へ塗布される。溶液化する溶媒としては、微細構造層12及び基材11を侵食しなければ、特に限定されない。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン、塩化メチレン、クロロホルム、シクロヘキサン、トルエン、酢酸エチル、THF、ジメチルアセトアミドなどの有機溶剤が挙げられ、これらを混合溶媒として使用しても良い。溶液化された溶液粘度は、塗布方法により種種調整される。塗布方法としては、特に限定されるものではなく、ロールコーター法、(マイクロ)グラビアコーター法、エアドクタコーター法、ブレ−ドコーター法、ナイフコーター法、ロッドコーター法、カーテン(フロー)コーター法、キスコーター法、ビードコーター法、キャストコーター法、ロータリースクリーン法、浸漬コーティング法、スロットオリフィスコーター法、バーコード法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、押出コーターなどの方法が挙げられる。生産性を考慮すると、連続成産可能なスプレーコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティングが優れている。保護膜13中の溶媒は、乾燥機で溶媒の除去を行う。これにより作成された保護膜13を有する積層体1は、カールしないことが望ましい。積層体1がカールしてしまうと、後に粘着層と離型フィルム層を形成する際に問題を生じる。積層体1のカールは、100mm×100mmをサンプルとして切り出して、平滑面へ置いた際の浮きは、20mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、5mm以下がさらに好ましい。
本実施の形態に係る積層体1においては、微細構造層12から保護膜13を剥離する剥離力が、保護膜13の破断強度より小さいことが望ましい。また、微細構造層12から保護膜13を剥離する剥離力は、基材11と微細構造層12との間の密着力より小さいことが望ましい。
また、基材11の裏面(微細構造層12が形成された主面と対向するもう一方の主面)は、既製粘着シートや粘着剤の塗布により形成することができる。粘着シートは、離型フィルム越しに空気を抜きながら弾性ロールなどによりラミネート加工することが可能である。塗布形成した場合は、シリコーン系やフッ素系の離形フィルム15を後加工でラミネート積層する。ここで、使用する粘着剤の屈折率は、基材11の屈折率との差が小さいことが光学特性上好ましい。
以上説明したように、上記実施の形態に係る積層体1においては、凹凸構造12aの凹部及び凸部と接触するように微細構造層12上に保護膜13を設けたことから、微細構造層12の凹凸構造12aの凹部内に保護膜13が充填されるので、微細構造層12と保護膜13との間の接触面積が増大する。これにより、微細構造層12との間の粘着力が0.01N/cm以下の保護膜13を用いた場合であっても、保護膜13と微細構造層12とを接着することが可能となるので、微細構造の汚染や外部応力からの凹凸構造12aの保護が可能となり、微細な凹凸構造12aの破損及び破損に伴う発塵汚染を抑制できる。また、微細構造層12との間の粘着力が小さい保護膜13で微細構造層12の凹凸構造12aを被覆するので、容易に保護膜13を剥離することが可能となり、保護膜13を剥離する際の微細構造層12の凹凸構造12a、及び保護膜13の破損、並び保護膜13を構成する材料の糊残りを抑制でき、保護膜13の剥離前後で光学性能の低下を抑制できる。さらに、保護膜13を剥離した微細構造層を洗浄する洗浄工程が不要となると共に、剥離後の保護膜13の微細構造層12への再付着も抑制でき、取り扱い性も良好となると共に、省スペース、低コスト化も実現できる。また、保護膜13として従来の粘着シートを用いた場合と比較して薄膜で十分な保護機能が発現される。
以下、本発明を明確にするために行った実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。まず、実施例中の測定値の測定方法について説明する。
<保護膜の厚みの測定>
接触式厚み計(ミツトヨ社製、デジマチックインジケータID−C112CX)にて測定した。
<カールの評価>
評価サンプルを100mm×100mmに切り出し、それを平滑面に置いた時に生じる平滑面から浮いた最大値を定規で測定した。平滑面からの浮きが10mm以下を○とし、平滑面からの浮きが10mmを超えた場合に×とした。
<保護機能1:鉛筆硬度試験>
評価サンプルを80mm×30mmに切り出し、鉛筆硬度試験機(テスター産業社製)に装着し、鉛筆3H、250g加重、移動スピード5mm/秒にて試験を行った後、保護膜を剥離し、微細構造体の破壊の有無を判定した。微細構造層の破損がない場合を○とし、微細構造層が破損した場合を×とした。
<保護機能2:スチールウール試験>
評価サンプルを80mm×40mmに切り出し、表面特性測定機(井元製作所社製)のサンプル評価ステージに固定した。次に、スチールウール(日本スチールウール社製、品番No.0000)を10mm径の平板面へ装着し表面特性測定器に取りつけて評価サンプル上へ接触させた。なお、評価条件は、1kg加重、移動スピード5mm/秒にて30回往復を実施した。その後、保護膜を剥離し、微細構造体の破壊の有無を判定した。微細構造層の破損がない場合を○とし、微細構造層が破損した場合を×とした。
<保護膜の剥離性の可否>
評価サンプルを100mm×100mmに切り出し、保護膜の端部をつまみ保護膜が破断すること無く、微細構造層と保護膜との界面で剥離可能か否かを判断した。微細構造層と保護膜との界面で剥離した場合を○とし、剥離不良や微細構造層と保護膜との界面で剥離した場合以外を×とした。
<保護膜の剥離力の測定>
保護膜の剥離力は、評価サンプルを幅25mm、長さ100mmの短冊状に裁断し、そのサンプルを、23℃、50%RHの室内でJIS Z1528に準拠した、粘着テープ90度剥離試験治具を用いて、引っ張り試験機にて剥離速度300mm/分の剥離力を測定した。
<保護膜の粘着力の測定>
剥離後の保護膜と微細構造層との間の粘着力は、23℃、50%RH下の環境で剥離した保護膜を10mm×100mmの短冊に切り出し、それを微細構造上へ剥離した面同士が向き合うように乗せる。次に、ゴムローラー(例えば、大田製作所社製のソフトウレタンローラー品番No.10840などの使用が可能)などで、微細構造の形状が破壊しない範囲の加重で押し付けてサンプルとする。このサンプルを23℃、50%RHの室内でJIS Z1528に準拠した、粘着テープ90度剥離試験治具を用いて、引っ張り試験機にて剥離速度300mm/分の剥離力を測定した。ただし、保護膜が微細構造層に接着せず簡単にずれてしまうような場合は、引っ張り試験機で粘着力の測定をする事無く0.01N/cm未満とした。
<剥離前後の反射率の測定>
剥離前後の反射率の測定は、反射分光膜厚計(大塚電子社製、FE3000:自動ステージ仕様)で測定した。測定条件は、絶対反射率測定、測定モードは、マッピング、対物レンズを25倍にした後、アルミニウムを参照としてベースラインを調整し、他の参照として反射率が既知のBK7の反射率も測定し装置が正常であることを確認しサンプルの測定を実施した。なお、マッピングは、40mm×40mm範囲内をX軸4箇所、Y軸4箇所で計16箇所、ほぼ等間隔に反射光を測定するよう設定した。剥離前後の反射率の変化が0.1%以下の場合を○とし、反射率の変化が0.1%より大きい場合を×とした。
<微細構造層の組成>
次に、実施例に使用した微細構造層の3種の光硬化性樹脂組成について記載する。本実施例では、微細構造層として以下の3つの光硬化性樹脂の組成を用いた。
<光硬化性樹脂のA組成>
褐色容器に、ウレタンアクリレート(ビームセット575CB、荒川化学工業社製)140g、N−ビニルピロリドン40g、シリコーンジアクリレート(EBECRYL350、ダイセル・サイテック社製)16g、の順に加え、50℃の湯浴にて15分ほど温めて樹脂の粘度を下げた。樹脂の粘度の下がった状態で、樹脂をスパチュラで激しく撹拌し、均一になるまで混合した。室温に冷ました後、開始剤のDAROCUR TPO(Ciba社製)を4g添加し、約2時間、超音波装置で開始剤を溶解させた。これを樹脂Aとした。
<光硬化性樹脂のB組成>
500mL褐色ボトルに、ウレタンアクリレート(UV3000B、日本合成化学工業社製)150g、ポリエチレングリコールジアクリレート(KAYARAD、PEG400DA、日本化薬社製)150g、1,9−ノナンジオールジアクリレート(ライトアクリレート1.9ND−A、共栄社化学社製)150g、N−ビニルピロリドン23.2g、シリコーンジアクリレート(EBECRYL350、ダイセル・サイテック社製)を800mg、の順に加え、遮光下、50℃の湯浴にて15分ほど温めて樹脂の粘度を下げた。樹脂の粘度の下がった状態で、樹脂をスパチュラで激しく撹拌し、均一になるまで混合した。室温に冷ました後、開始剤のDAROCUR TPO(Ciba社製)を9.1g添加し、約2時間、超音波装置で開始剤を溶解させた。これを樹脂Bとした。
<光硬化性樹脂のC組成>
褐色容器に、トリメチロールプロパントリアクリレート(アロニックスM309、東亞合成社製)165g、1,9−ノナンジオールジアクリレート(ライトアクリレート1.9ND−A、共栄社化学社製)を165g、N−ビニルピロリドンを165g、シリコーンジアクリレート(EBECRYL350、ダイセル・サイテック社製)を2.5g、DAROCUR TPO(Ciba社製)を10gの順に加え、遮光下、約2時間、超音波装置で均一に溶解させた。これを樹脂Cとした。
<基材>
基材としては、(a)使用目的に応じた波長領域で透明である、(b)光硬化樹脂との接着性が良い、(c)光硬化樹脂との屈折率差が小さい、(d)ヘイズが小さいことが要求される。本実施例においては、以上を条件を満たす、トリアセチルセルロースフィルム(以下、TACフィルムと表記する。富士フイルム社製、フジタック(登録商標))を基材として使用した。
<実施例1>
レーザー干渉露光法によりパターニングされたピッチ240nm、高さ300nmの凸凹楕円錘構造を三方格子に配列されたニッケルスタンパA0.2mm厚みの平板スタンパを300mm、200mmの長方形に加工した。このニッケルスタンパをロール面へ接合し、凸凹楕円錐構造が形成された微細構造層を有するスタンパロールとした。このスタンパロールには、デュラサーフHD−2101Zダイキン化成販売製の処理により離型処理を実施した。
次に、厚み80μm、幅250mmのTACフィルムのロール(フィルム長250m)に連続的に上記光硬化性樹脂(A組成)をグラビアコーターにより幅200mm、厚み0.8μm塗布した。次に、塗布面をロールスタンパの凸凹楕円錐構造の形成面へ接触させ、TACフィルム側からメタルハライドランプ(ウシオ電機社製、型番UVC−2519−1MNSC7−MS01)で、1J/cmの光量で光硬化させた。次に、光硬化性樹脂Aに連続的に微細構造が転写されたTACフィルムをロールスタンパから剥離し、ロール状に巻き取った。次に、微細構造層が形成されたTACフィルムを200mm×200mmで切り出し、この微細構造層上に保護膜としてウレタン樹脂(DIC社製、製品名:クリスボンASPU−121)をイソプロピルアルコールで固形分濃度20重量%に調整し、ナイフコーターで塗布した。次にこのTACフィルムを23℃、50%RHのドラフト内で30分間放置し、更に80℃のオーブンで30min乾燥させて溶媒を除去して積層体を作製した。評価用サンプルの評価結果を下記表1に示す。なお、下記表1において、微細構造層のパタン(イ)とは、ピッチ240nm、高さ300nmの凸凹楕円錐を三方配列したものであり、パタン(ロ)とは、ピッチ300nm、高さ320nmの凸凹楕円錐を三方配列したものである。
図5に、評価用サンプルの走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真を示す。図5から分かるように、実施例1の積層体においては、保護膜が微細構造層の凹凸構造の凹部及び凸部に対して連続的に接触していることが分かる。
また、図6に、実施例1の積層体の保護膜形成前後の反射率変化を示す。なお、図6においては、積層体の40mm×40mmの範囲内をX軸4箇所、Y軸4箇所で計16箇所の近傍位置の反射光を測定したスペクトル16本を重ね書きしている。図6に示すように、保護膜形成前の光反射率(図6A参照)に対し、保護膜形成後の光反射率(図6B参照)は、ほぼ同一の反射率を示すことが分かる。この結果から、実施例1の積層体においては、保護膜の形成前後において、光学性能の低下が小さいことが分かる。
<実施例2>
実施例1で使用したニッケルスタンパの凸凹楕円錐構造のピッチを300nmとし、高さを320nmとした以外は、実施例1と同一条件で積層体を作製した。評価用サンプルの評価結果を下記表1に示す。
<実施例3>
実施例1で使用した光硬化性樹脂をB組成とした以外は、実施例1と同一条件で積層体を作製した。評価用サンプルの評価結果を下記表1に示す。
<実施例4>
実施例1で使用した光硬化性樹脂をC組成とした以外は、実施例1と同一条件で積層体を作製した。評価用サンプルの評価結果を下記表1に示す。
<実施例5>
実施例1で使用した保護膜の種類をウレタン樹脂(DIC社製、製品名:クリスボンASPU−112)とした以外は、実施例1と同一条件で積層体を作製した。評価用サンプルの評価結果を下記表1に示す。
<実施例6>
実施例1で使用した保護膜の種類をウレタン樹脂(DIC社製、製品名:クリスボンASPU−116)とした以外は、実施例1と同一条件で積層体を作製した。評価用サンプルの評価結果を下記表1に示す。
<実施例7>
実施例1で使用した保護膜の種類をアルコール可溶性ナイロン樹脂(東レ社製、製品名アミランCM8000)とし、アルコール可溶性ナイロン樹脂をメチルアルコールで固形分濃度15重量%に調整し、ナイフコーターで塗布した以外は、実施例1と同一条件で積層体を作製した。評価用サンプルの評価結果を下記表1に示す。
<比較例1>
微細構造層上に保護膜を形成しないこと以外は、実施例1と同一条件で積層体を作製した。評価用サンプルの評価結果を下記表1に示す。
<比較例2>
実施例2で使用した保護膜の種類を水溶性ポリウレタン樹脂(DIC社製、製品名ボンディック1310NE)とし、水溶性ポリウレタン樹脂を希釈せずにナイフコーターで塗布した。次に、TACフィルムを23℃、50%RHのドラフト内で24時間放置し、更に80℃のオーブンで30min乾燥させて溶媒を除去した。その他の条件については、実施例2と同一条件で積層体を作製した。評価用サンプルの評価結果を下記表1に示す。
<比較例3>
実施例2で使用した保護膜の種類を水溶性ポリウレタン樹脂(DIC社製、製品名:ハイドランAP−201)とし、水溶性ポリウレタン樹脂希釈せずにナイフコーターで塗布した。次に、TACフィルムを23℃、50%RHのドラフト内で24時間放置し、更に80℃のオーブンで30min乾燥させて溶媒を除去した。その他の条件については、実施例2と同一条件で積層体を作製した。評価用サンプルの評価結果を下記表1に示す。
表1から分かるように、微細構造層から剥離した後の微細構造層に対する粘着力が0.01N/cm以下(剥離力が0.02N/25mmから4N/25mm以下)である保護膜を用いた場合には、保護機能が良好であり、鉛筆硬度試験及びスチールウール試験のいずれにおいても良好な結果がられることが分かる(実施例1から実施例7)。アルコール可溶性ナイロン樹脂を用いた場合には、保護機能は十分であってもカールが生じてしまうために取り扱い性がやや悪くなるケースもある(実施例7)。これに対して、保護膜を設けない場合には保護機能が得られず(比較例1参照)。また、保護膜を設けた場合であっても、水溶性のウレタン樹脂を用いた場合には、保護膜剥離前後における積層体の光学性能の低下が大きい(比較例2)又は剥離そのものができないことが分かる(比較例3)。
本発明は、微細構造層の凹凸構造の破損及び破損に伴う発塵汚染を抑制でき、しかも保護膜の剥離前後で光学性能の低下を抑制できるという効果を有し、特に、反射防止用のフィルム、シート、光学素子などのレンズ成型体など好適に用いることが可能である。また、積層体の施工時、輸送時、保管時の汚染や損傷、破壊防止を実現できる。
1 積層体
11 基材
12 微細構造層
13 保護膜
14 粘着層
15 離型フィルム

Claims (8)

  1. 表面に凹凸構造が形成された微細構造層と、前記微細構造層上に設けられ凹部及び凸部と接触して前記凹凸構造を被覆する保護膜と、を具備し、
    前記微細構造層は、隣接する凸部間のピッチが可視光の波長以下であり、前記保護膜は、非水溶性の樹脂材料を含み、前記微細構造層から剥離した後の前記微細構造層に対する粘着力が0.01N/cm以下であることを特徴とする積層体。
  2. 前記保護膜の厚みが5μmから200μmであって、前記微細構造層から前記保護膜を剥離する剥離力が0.02N/25mm以上、4N/25mm以下であり、かつ前記微細構造層から前記保護膜を剥離する剥離力が前記保護膜の破断強度より小さいことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記保護膜が、非水溶性のナイロン、エチレン酢酸ビニル、フッ素、アクリル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、及びアクリルからなる群から選択された少なくとも1つの樹脂を主成分として含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の積層体。
  4. 前記保護膜が、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、及びスチレン−イソプレン−スチレンからなる群から選択された少なくとも1つのブロック構造を分子鎖中に含む共重合体、又は当該共重合体の変性体の熱可塑性エラストマーを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の積層体。
  5. 前記保護膜が、ウレア結合を含有する脂肪族系ジイソシアネート及び炭素数4以上のグリコールを用いたポリウレタン及び/又はウレア樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の積層体。
  6. 前記微細構造層上に設けられ熱可塑性樹脂を含む基材をさらに備え、
    前記微細構造層は、光硬化性樹脂を含有し、
    前記基材と前記微細構造層との密着力が前記微細構造層から前記保護膜を剥離する剥離力の関係より大きいことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の積層体。
  7. 前記微細構造層を介さずに前記基材上に設けられた粘着層と、前記粘着層上に設けられた離型フィルムとを具備することを特徴とする請求項6記載の積層体。
  8. 前記基材は、一対の主面を有し、当該一対の両主面上に、それぞれ前記微細構造層及び前記保護膜がこの順に積層されたことを特徴とする請求項6又は請求項7記載の積層体。
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