JP2012508866A - 携帯型高分子試験装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、高分子材料が初期変形のうち、ある規定量分を元に戻すのにかかる時間を計測し、この時間を材料劣化指標として用いる高分子インデンテーション方法および試験装置を提供するものである。この元に戻るのにかかる時間は、押し込み段階において測定した固有圧縮剛性(またはインデンタ弾性率)よりもケーブル劣化に対する感受性が高いことが分かり、この高感受性は、熱劣化した高分子サンプルと照射された高分子サンプルとの両方において実現される。

Description

本発明は、高分子材料試験の技術分野に関し、特に、高分子化合物を基にした部品を現場モニタリングする携帯型高分子試験装置の技術分野に関する。
高分子化合物の経年劣化は、このような高分子化合物の不測の事態が人間の安全性、発電所の維持管理費、および、休止時間に対して重大な悪影響を及ぼす可能性があるという点で、特に、工業施設および発電所の作業員にとって非常に重要なことである。高分子化合物は、工業施設および発電所の安全かつ確実な運用にかかわるキーポイントの部品に用いられている。具体的に、高分子化合物はケーブル、ポンプ、バルブ、シール材において見られるが、これらに限定されるものではない。
電力、制御、計装、データ伝送用などの電気および光ケーブルは、一般的に信頼性が高く、構造が単純であるため、保守作業または状態監視をあまり必要としない寿命の長い部品であると長年考えられてきた。しかしながら、他の部品全てと同様に、このようなケーブルも運用的および環境的ストレスを受けて老朽化する。ケーブルの老朽化による劣化の典型的な例は、ひび、絶縁耐力の低下、リーク電流の増加につながる脆化である。経年劣化の原因となる主なストレス要因は、高温および電離放射線による熱劣化である。ケーブル劣化の他のストレス要因には、機械的ストレス、湿度、炭化水素流体、オゾンなどがある。
経年劣化の影響は、空間的に、全般的(つまり、均一温度の単一室内に全設置されているケーブルの場合など、所定ケーブルの大部分または全体に等しく作用する)であっても、局所的(高度に局在した熱源近くを通るケーブルの場合など、かなり限定されたケーブル部分のみに作用する)であってもかまわない。これら経年劣化の影響度合いは、ストレス要因の程度、ケーブル構造設計の材料、ケーブル周辺の周囲環境など、いくつかの要因に左右される。電気ケーブルの老朽化に関する詳細な解説は、Kim,J−S.著書「Evaluation of Cable Aging in Degradation Based Plant Operating Condition」(2005年)J.Nucl.Sci.Technol.42(8)745−753、および、サンディア国立研究所/米国エネルギー省作成のSAND96−0344「Aging Management Guideline for Commercial Nuclear Power Plants−−Electrical Cable and Terminations」(1996年9月)などの出版物を参照のこと。光ケーブルの老朽化に関する解説は、特に、電力研究所(EPRI)の出版物および電気通信業界の文献を参照のこと。以下の記載は電気ケーブルに限定するが、当然のことながら、ここに記載する経年劣化および分析の原則は、光ケーブルにも概ね適用可能である。
一般的な計装制御(instrumentation and control = I&C)ケーブルは、全体を遮蔽して外装する難燃性物質により絶縁されたマルチコンダクタ型アセンブリで構成されている。さらに、原子炉設備などの施設で用いられるケーブルには、電気特性、機械特性、または、防火特性を高めるテープの巻き付けが含まれている。
I&Cケーブルに用いられる絶縁被覆材料は、耐経年劣化性、電気特性、機械特性、および防火特性を向上させる添加剤および充填剤を含んだ高分子化合物である。旧CANDU(登録商標)施設において最も広く用いられた被覆絶縁材料はポリ塩化ビニル(PVC)である。新たな施設で用いられる材料は、Hypalon(登録商標)としても知られる被覆用のクロロスルホン化ポリエチレン(CSPE)と、絶縁用の架橋ポリエチレン/ポリオレフィン(XLPE/XLPO)およびエチレン・プロピレンベースのエラストマー(EPR、EPDM)である。
経年による絶縁被覆材料の劣化レベルは、使用される高分子化合物(十分な添加剤の存在など)、運転前における環境条件(保管状態)および運転中における環境条件(温度、放射線、機械的ストレス、湿度)、経過耐用年数(時間的要因)に左右される。高分子化合物の主な化学的経年劣化メカニズムは、分子レベルの開裂、架橋結合、酸化反応の結果として生じる。アルコキシル基または過酸化物基の開裂は、結果的に高分子鎖が新たな2つの鎖に切断される場合が多い。架橋結合とは、隣接する高分子間で共有結合を形成し、鎖の高密度ネットワークを形成することを指す。遊離基の形成から始まる(温度および/または放射線の影響下における共有結合の初期分解のため)酸化反応は、鎖切断か架橋結合かを引き起こす可能性がある。有機材料は、熱や放射線にさらされた結果、硬化および柔軟性低下などの物理的変化を経る場合が多い。熱劣化による物理的経年劣化メカニズムの他の例として、PVC材料内の可塑剤の蒸発および移行可能性もある。
材料の劣化レベルは、材料特性の変化を追跡することで評価できる。利用される標準的な手法として、目視および触覚による検査、引張試験、圧子押し込み試験、示差走査熱量測定、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、膨潤比測定、質量損失、可塑剤含有量、誘電率測定、密度変化などがある。
最も一般的に用いられる実験手法の1つが引張試験である。この引張試験では、経年劣化していないサンプルと経年劣化したサンプルとの引張強度または破断時の伸び率(elongation at break = EAB)を比較する。EABは、実績のある劣化指標であり、ケーブルの残留寿命を評価する一般的なパラメータでもある。このパラメータに基づいた耐用年数経過基準はすでに確立されている。EAB=50%が耐用年数基準の許容値として通常用いられる(国際原子力機関、2000年、「Assessment and Management of Ageing of Major Nuclear Power Plant Components Important to Safety: In―Containment Instrumentation and Control Cables」、第1巻、IAEA―TECDOC―1188、12月)。主な欠点は、サンプルサイズが大きくなることと、この手法は破壊を伴うということである。
発電所作業員から、破壊を伴わず、煩わしくない手法を用いたいとの強い要請があるため、現場モニタリングで利用可能な手法は限定される。その他の問題は、実験室環境で通常用いる機器のうちいくつかは現場に携帯するのが容易ではないことである。
この数年間、国際的な専門家による様々な委員会が結成され、既存データと現状のモニタリング手法の進歩状況とを検討してきた(IAEA―TECDOC―1188、2000年(上記文献)、および、核エネルギー庁、原子力施設安全委員会、2004年、「Research Efforts Related to Wire Systems Aging in NEA Member Countries」、NEA/CSNI/R報告書(2004年)12、8月11日)。これらの委員会は、ケーブルの老朽化問題に取り組む研究開発(R&D)プログラムの方向性に関する指針を示し、提言を行っている。この問題に対する今後の研究開発の取り組みへの提言は、以下のようなものであった(NEA/CSNI/R報告書、2004年(上記文献))。
・ワイヤーシステムの現状判断およびその耐用年数の予測に利用可能な、設置済みワイヤーシステムに対する新規で効果的な現場状況モニタリング手法の開発を継続すること。その際、電気分野、光分野、超音波分野、宇宙航空分野における最新技術を、原子力発電所へ応用できるように評価かつ発展させるべきである。
・経年劣化した絶縁材料の機械特性が限界に達しているという重要性をより把握するために、ワイヤーシステムの機械特性を電気特性と関連付けること。
絶縁材料の引張強度や破断時の伸びなど、ケーブルの高分子経年劣化を分析するのに用いられる物理的手法には、破壊することが本質であって、試験用に経年劣化したケーブルのサンプルが必要なものもある。しかしながら、圧縮弾性率、ねじれ弾性率、または、曲げ時の剛性測定など、非破壊的な物理的手法も存在する。これらは、ケーブルの経年劣化と測定したパラメータとの相関を明確に示し、運用条件中に実際に適用することが可能である。例えば、インデンタ・ポリマー・エイジング・モニタなどの機器による圧縮率の測定は、ケーブルの高分子経年劣化を測定する際に有用である。導体の物理的測定と外装との相関に関する解説については、例えば、EPRI TR−104075、電力研究所作成の「Evaluation of Cable Polymer Aging Through Indenter Testing of In−Plant and Laboratory Aged Specimens」1996年1月を参照のこと。
現在用いられている携帯型インデンタは、材料の剛性または硬度の単独測定に制限されるのが一般的である。しかしながら、高分子ベースの材料のなかには、破断時の伸びなどの基本的な材料特性が照射ストレスによる持続的な劣化を明らかに示しているにもかかわらず、その剛性/硬度は、照射レベルを増加させても変化しないままのものもある。同様に、高分子成分が熱劣化を受けている場合、さらなる劣化が起こり続けていると分かっていても、その剛性は、最初のうちはたまに増加するがすぐに飽和値に達する。したがって、現在利用可能なインデンタは、ケーブルの老朽化をモニタリングするのに理想的なものではない。
電力研究所(EPRI)により製造されるインデンタでは、その押し込み深さ限界は、測定された負荷の値に基づき制御される。したがって、押し込み深さは、経年劣化していないエラストマーと経年劣化したエラストマーとで異なる。これは、一定の押し込み深さ基準に関するエラストマー回復研究の妨げとなっている。EPRIインデンタを用いて、最大負荷に達してその負荷が緩み、減衰し始めた後の負荷信号の一部分をモニタリングすることができる。分析されている比較的短い緩和期間中、プローブは適切な位置で保持される。しかしながら、負荷の緩和特徴は、材料の経年劣化が増しても大幅に変化することはない。
EPRIインデンタでは、緩和情報を取得するとすぐに、プローブはゆっくりと元の位置に戻され、さらなる検査は行われない。駆動システムの性質のため、プローブを、所定の基準位置から瞬時または即座に格納することができない。したがって、EPRIインデンタを用いる場合は、負荷の緩和段階に続く変形回復を評価できるような状態を作り出すことが不可能である。
さらに、現在の携帯型インデンタには、励磁信号の種類を変化させる柔軟性がなく、インデンタプローブの様々なイベントシーケンスをプログラミングすることもできない。これは、高分子化合物の劣化に対する検出感度という点において、最適な入力パラメータ、セットアップ、および、出力パラメータの系統的な同定に支障をきたすものである。
前記内容に基づくと、高分子ケーブルの老朽化をモニタリングして評価する方法および装置の必要性は依然高く、その方法および装置は、携帯型で非破壊的、そして、単なる高分子剛性以外の特徴も測定かつ最適化できる必要がある。
当該背景技術は、本発明に関連する可能性があると出願人が考えた既知情報を記載するためになされたものである。いかなる前記内容も、それが本発明に対する先行技術であると認めようとするものでも、そのように解釈されるべきでもない。
本発明の目的は、携帯型高分子試験装置を提供することである。本発明の一態様によると、ケーブル絶縁材料やケーブル外装材料などの高分子材料に押し込み試験を行う方法および装置を提供して、試験した高分子材料の粘弾性特性を特徴付ける押し込み中のパラメータと押し込み後のパラメータとを生成する。粘弾性特性は、高分子の寿命および劣化の指標として用いられる。本発明にかかる方法および装置は、高分子材料の剛性を測定し(負荷および変位の測定)、高分子材料が初期変形のうち、ある規定量分を元に戻すのにかかる時間も測定する。この時間は、高分子材料の劣化指標として用いることができる。
本発明の別の様態によると、ケーブルの高分子外装など高分子材料の物理的特徴を測定する高分子試験装置を提供する。前記高分子試験装置は、ケーブルや平らなエラストマーサンプルなどのサンプルを試験中に保持するかみあい式の保持部と、交換可能な可動式プローブと、モータおよびリニア式スライドステージとを備えた(例えば、セラミックサーボモータおよびナノステージ)、ケーブルの高分子外装に接触させてその外装を変形させるようにプローブを前に動かす駆動システムと、高分子外装と接している間にプローブの先端が受ける負荷を測定する手段およびプローブの変位を測定する手段を含んだ負荷/変位測定システムとを備えている。
本発明の他の様態によると、ケーブルの高分子経年劣化など、高分子の経年劣化を試験する方法を提供する。前記試験方法は、(ケーブルの老朽化を試験する場合の高分子外装などの)高分子材料を固定化するステップと、プローブを用いて高分子領域を変形させるステップと、測定したプローブの変位と変形中のプローブの先端が受ける負荷とから高分子の剛性を算出するステップと、プローブを所定の位置に格納して変形回復時間を測定するステップとを含んでいる。ここで、剛性と変形回復時間とは、高分子の経年劣化度合いの指標である。
[関連出願の相互参照]
本願は、2008年11月14日に出願された米国特許仮出願第61/114,889号の権益および優先権を主張し、当該米国仮出願に記載された全ての記載内容を引用して援用するものである。
図1は、本発明にかかる装置の先駆的なツール、エラスト―ダイナミック・スポット・テスターの写真である。 図2は、本発明の1実施形態にかかる携帯型高分子試験装置の斜視図である。 図3は、本発明の1実施形態にかかる押し込み試験サイクルを図示したものである。 図4は、図2の携帯型高分子試験装置の部品を図示したものである。図4Aは、駆動部の側面図であり、図4Bは、駆動部の上面図であり、図4Cは、ケーブルを保持しているかみあい式の保持部とかみあい式の保持部の固定側口金の穴の中に位置するプローブとを示す試験装置部分の側面断面図であり、図4Dは、電気信号およびモーションコントローラからの制御コマンドを受信するため、ならびに、圧縮されてコンピュータに転送される処理データを収集するために、携帯型高分子試験装置が接続されるための制御筐体を示した図である。 図5は、試験サイクルにおける初期負荷および初期押し込み段階を図示したものである。 図6は、試験サイクルにおける負荷の緩和段階を図示したものである。 図7は、試験サイクルにおける回復段階を図示したものである。 図8は、本発明にかかる携帯型高分子試験装置を用いて取得した1振動周期におけるインデンタプローブの変位と反力を振動モードで図示したものである。 図9は、熱劣化したPVCケーブル外装の押し込み試験の剛性結果を図示したものである。 図10は、熱劣化したPVCケーブル外装の押し込み試験の変形回復データを図示したものである。 図11は、放射線を浴びたPVCケーブルの破断時の伸びデータを図示したものである。 図12は、放射線を浴びたPVCケーブル外装の押し込み試験の剛性結果を図示したものである。 図13は、放射線を浴びたPVCケーブル外装の押し込み試験の変形回復データを図示したものである。 図14は、図13の破断時の伸びデータと図13の変形回復データとの相関関係を示したものである。 図15は、取付けと配線とを示す制御筐体のバックパネルを図示したものである(図16Aは正面図、図16Bは斜視図である)。 図16は、取付けと配線とを示す制御筐体のサイドパネルを図示したものである(図17Aは正面図、図17Bは斜視図である)。 図17は、取付けと配線とを示す制御筐体の内部部品を図示したものである(図18Aは内側の斜視図、図18Bは上面の斜視図である)。 図18は、筐体が開いた状態の、本発明の1実施形態にかかる携帯型高分子試験装置を図示したものである(図19Aは上面の斜視図、図19Bは底面の斜視図である)。 図19は、本発明の1実施形態にかかる押し込み試験サイクルを図示しており、試験サイクルの初期負荷、押し込み、負荷の緩和、変形回復の各段階におけるインデンタプローブの位置を示したものである。 図20は、シリコン系ドアシール材に対する負荷と変位との位相シフトを図示したものである(リサジュー図形)。
[発明の詳細な説明]
別途定義されない限り、ここに記載する全技術用語および全科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解する意味と同じである。
文脈において別途明示されない限り、ここに記載する用語の複数形は単数の場合を含み、また逆に、単数形は複数の場合を含むと解釈されるものとする。
ここに記載される「備える、含む」という用語は、それに続く各項目が全てではなく、別の適切な付加的項目、例えば、1以上のさらなる特徴、成分、部品などを必要に応じて含んでも含まなくてもよいものと理解される。
本発明の携帯型高分子試験装置(「PPT」)は、様々な入力パラメータ、プローブの変位に対する様々なイベントシーケンス、様々な出力パラメータの利用をプログラミングかつ制御するオプションがある押し込み手法を活用するために開発されたものである。本発明のPPTは、高分子を基にした部品の劣化を最もトレースしやすいパラメータを測定するように構成された(現在使用されているツールと比べて)制御可能なツールであり、現場でこれらのパラメータを測定できる完全携帯型である。
本発明のPPTは、インデンタプローブを材料の中へ直線的に駆動することによって材料剛性(または弾性率)を測定する古典的な方法を組み込んだものである。剛性パラメータは、押し込み段階においてプローブの反力とプローブの変位とを同時に取得することにより、導出される。また、当該PPTは、負荷の緩和および変形回復などの押し込み後のパラメータの測定方法も組み込んでいる。
高分子またはエラストマー材料の劣化をモニタリングする押し込み手法は、ケーブル外装やケーブル絶縁材料などの高分子またはエラストマー材料の表面にプローブの先端を押し付けるステップを根本に備えた定量的で非破壊的なモニタリング手法である(IAEA―TECDOC―1188、2000年(上記文献))。この手法には、以下のような利点が1以上ある。
・携帯型機器を開発できる
・測定が速い
・データを分析しやすい
押し込み段階においては、「インデンタ弾性率」とも呼ばれる、固有の圧縮剛性パラメータを導出するため、負荷とプローブの変位とが測定される。このパラメータは、原子力発電所などで用いられる大部分のケーブル材料に対する高分子またはエラストマー劣化との相関をいくつか示すものであるが、この手法の感度には限界がある。注目すべき例外は、インデンタ弾性率の値が一定になりがちな材料(例えば、放射線を浴びたPVC)の場合と、極度に劣化した材料(例えば、熱劣化したXLPE)に対してのみインデンタ弾性率の値が変化しがちな場合とが存在することである。
エラスト―ダイナミック・スポット・テスター(EDST)と呼ばれる現場式実験インデンタは、従来から開発されてきた。まず、EDSTは、押し込み段階におけるエラストマーの局部剛性を導出するため、また、押し込み後の様々な粘弾性特性を調査するためにも用いられた。現場でのケーブル老朽化評価に用いられるEDSTの写真を、図1に示す。
EDSTの特徴は、本発明のPPTに組み込まれてきた。本発明の携帯型高分子試験装置は、小型であって、どんな向きでも利用可能であり、駆動システムと制御システムとフィードバックシステムと負荷/変位測定システムとを組み込んでいる。本発明の1実施形態によると、PPTは、さらに、振動モードでインデンタプローブを用い、固有の動剛性などの新たなパラメータ、および、負荷信号と変位信号との間で測定された遅延(つまり位相)量を利用する方法を組み込んでいる。
本発明に特有な実施形態にかかるPPTの概略図は、図2および図18に示されている。当該PPTは、インデンタプローブの変位の統計データをプログラミングし、押し込み後のパラメータを導出するためにプローブ位置を制御するシステムを設けている。押し込み中のパラメータは、EDSTを用いて評価されたパラメータと同類である。これらのパラメータには、負荷の緩和(材料が押し込まれた時点)と、初期変形のうち定められた割合が回復した時間(緩和段階に続いて、インデンタがプリセット位置に即座に格納される時点)とが含まれる。PPTの典型的なシーケンスの概略を図3および図19に示し、その詳細については後述する。本発明にかかるPPTを用いて取得した結果は、PPTに良好な再現性があり、その試験結果がEDSTを用いて取得した結果と一致することを実証している。
PPTは、原子力施設など、過酷な条件下で用いられる場合の汚染や、常温を超えた温度環境にさらされる可能性を考慮して作られたツールである。例えば、本発明に特有な実施形態によると、当該携帯型高分子試験装置は、駆動システムと制御システムとフィードバックシステムと負荷/変位測定システムとを収容する筐体を設けており、この筐体は、試験条件に耐え、かつ、試験条件から内部部品を守るのに適した材料で作られている。
(携帯型高分子試験装置部品)
上述したように、本発明のPPTは、駆動システムと制御システムとフィードバックシステムと負荷/変位測定システムとを備えている。さらに、当該PPTは、ケーブルなどのサンプルを試験中に適切な位置で保持するかみあい式の保持部やプローブといった部品を取り囲む筐体を設けている。プローブは、特性が異なる試験対象の高分子材料に合わせて、様々な先端サイズのプローブと交換することができる。一例を挙げると、直径および高分子外装が異なる高分子含有ケーブルを試験する際はそれぞれに合わせて、プローブを交換することができる。さらに、PPTには、内部電源(例えば、バッテリー)、または、外部電源への接続手段(例えば、AC電源プラグ)が設けられている。
本発明のPPT部品に関する詳細は、図面を参照して後述する。
(駆動システム)
本発明のPPTに組み込まれた駆動システムは、変形回復時間の測定を可能にするため、プローブを瞬時または高速に格納する手段を備えている。
当該駆動システムには、モータ、リニアスライド、高解像度の光学式エンコーダシステム、モーションコントローラ、および、モータドライバ/アンプが設けられている。これらの部品の配置は、閉ループ制御系である。より具体的には、リニアスライドに装てんされたメーカー指定面に対して、モータには初期負荷がかけられる。この初期負荷により、モータをあらゆる方向に滑ることなくスライドさせることができる。さらに、リニアスライドには、位置測定ができるように目盛りが設けられている。光学式リニアエンコーダシステムは、位置決め精度を向上させるために、目盛りを「読み取り」、そのデータを補間器に送信する読取ヘッドセンサを備えている。そして、この位置情報は、電気的手段によりモーションコントローラへ転送される。モーションコントローラは、PPTのアプリケーションに応じて、位置エラーが仮想的にゼロ、または、許容範囲内である限りモータドライバ/アンプを介してモータに命令を出すアルゴリズムを採用している。
本発明の1実施形態によると、当該駆動システムは、以下の仕様に従って製造される。
・少なくとも5mmのステージ移動距離
・約0.010μm〜約0.1μmのステップ分解能
・約0.010μm〜約0.1μmの測定分解能
・約30N〜約34Nのモータ動的失速力
・約26N〜約30Nのモータ静止保持力
・−10度〜50度のモータ動作温度範囲
本発明の別の実施形態によると、当該駆動システムは、以下の仕様に従って製造される。
・約40mmのステージ移動距離
・約10nmのステップ分解能
・測定分解能:約10nm
・モータ動的失速力:約32N
・モータ静止保持力:約28N
・モータ動作温度範囲:約0度〜約50度
駆動部品を選択する際、PPTの手持部分の全体的なサイズおよび重さは、PPTのサイズと重さの両方に影響を及ぼす部品として考える必要がある。ボイスコイルモータや、リニアシャフトモータ、セラミックサーボモータなどが適したモータ種であるが、これらに限定されるものではない。
図4を参照すると、本発明のPPT10の駆動システム20の具体例では、セラミックサーボモータ30をナノステージ40に組み込んでおり、PPT10使用中におけるプローブ50の瞬時/高速格納が円滑になる。ナノステージ40は、ステージテーブル42とステージ基盤44とを備えている。これは、多数の部品の製造または組み立てが必要のないパッケージ化された駆動システムである。ステージ構造は、クロスローラーベアリング付リニアスライド60と光学式リニアエンコーダ(図示せず)とを利用する。ナノステージ40は完成品として提供される。使用するセラミックモータ70は、高分解能かつ高ダイナミック性能の最新式装置であることが好ましい。
(負荷/変位測定システム)
図4Aおよび図4Bに示す通り、負荷/変位測定システムは、スライドの正面に取り付けられた小型ロードセル110と、試験中のプローブの先端が受ける負荷を測定するために用いるロードセル信号調整器(図示せず)とを備えている。駆動システムにおけるリニアエンコーダは、プローブ位置測定を提供する。
(制御システム)
制御システムは、モーションコントローラと、負荷/変位測定システムに対する制御およびフィードバックを行うために用いる制御ソフトプログラムとを備えている。動作パラメータは、試験対象(例えば、サイズ、高分子など)のサンプルの種類(例えば、ケーブルの種類)と試験場所または試験環境とを考慮して選択される。本発明に特有な実施形態によると、PPTの動作パラメータは以下のとおりである。
・約0N〜約20Nの負荷測定範囲
・約5mm/sの最大位置決め速度
・約0.1μmの最小位置決め分解能
・約1μm〜約100μmの振動振幅
・約0.1Hz〜約100Hzの発振周波数
・約15度〜約50度の動作温度
制御筐体は、コントローラ、モータアンプ、エンコーダ、電源、および、熱電対トランスミッタを取り付けるために用いられる。
携帯型高分子試験装置のモータ、リニアステージ、および、筐体の例の概略図を図4A〜図4D、図15、図16、図17、および、図18に示す。
テストシーケンスパラメータおよびデータ収集は、適切なオペレーションシステム、例えば、Windows XP(登録商標)を搭載したコンピュータで制御される。この例では、Windowsプログラミング環境は、National Instruments Inc.が開発したLabVIEW(登録商標)である。
(インデンタプローブ)
試験を行う高分子またはエラストマーサンプル(例えば、ケーブル)の種類に基づき、様々な先端サイズの交換可能なプローブを用いることができる。先端を動かすプログラミングオプションはとても広範囲で、調整が容易である。制御かつ変更可能な入力パラメータには、初期負荷、押し込み深さ、押し込み速度、駆動入力信号の種類(線形、正弦波など)、負荷の緩和パラメータ、および、変形回復パラメータが含まれる。新たな試験条件を調査するためにカスタム信号プロファイルを即座に創出して、高分子劣化に対する感度を向上させることができる。
(温度センサ)
本発明のPPTは、オプションとして温度センサも備えている。
試験された高分子材料を特徴付けるPPT出力パラメータは、15〜30度の温度範囲であっても、温度の影響を非常に受けやすい。したがって、サンプルの試験領域における温度は、正確にモニタリングしておかなければならない。使用する温度プローブは、赤外線超小型熱電対などの非接触型センサの場合が多く、押し込みを行う直前に試験対象の材料表面を測定できるよう適切な位置に置かれる。同じ領域に対して後に次の測定を行う場合、温度変動を補償するために押し込みデータへの補正係数適用方法を提供できるよう、温度情報が記録される。また、一定基準温度での押し込み測定結果取得を可能にする加熱または冷却装置の制御方法も設けることができる。
ステージに取り付けられた温度センサが周囲大気温度を測定する。モータ位置における温度をモニタリングするためには、別の熱電対が用いられる。ツールに取り付けられた2つの小型熱電対トランスミッタがコントローラに増幅信号を送る。これにより、ツールと制御筐体との間の熱電対延長ワイヤが必要なくなる。温度センサと小型熱電対トランスミッタとをさらに制御筐体に取り付ければ、機器の過熱が起こらないことを保証することができる。
(サンプル保持部)
本発明のPPTを用いた試験中には、サンプルを適切な位置に保持しておく必要がある。したがって、本発明のPPTは、オプションとしてサンプル保持部も備えている。サンプル保持部の構造および部品は、PPTの適用方法や試験対象のサンプル種類によって異なる。
図4を再び参照すると、本発明の1実施形態では、ケーブルなどの試験中の保持に適したサンプル保持部が設けられている。図4Cに示す通り、このようなサンプル保持部は、可動式かみあい口金92と固定式かみあい口金94とを設けたかみあい式の保持部90でもかまわない。さらに、かみあい式の保持部は、試験中に2つのかみあい口金92および94の間でケーブル100の締め付けを行う、可動式かみあい口金の位置調整手段を備えている。図4Cに図示したとおり、固定式かみあい口金94には、プローブ50が貫通してケーブル100の高分子外装と接触し、その外装を押し込む貫通穴96が設けられている。
(携帯型高分子試験装置を用いた押し込み試験)
本発明は、さらに、以下のステップを含んだ高分子経年劣化試験またはモニタリング方法を提供する。
(a)インデンタプローブの先端を高分子、例えば、ケーブルの高分子外装と接触させる(「初期負荷段階」)。
(b)プローブを前方に動かして、インデンタプローブの先端が受ける負荷およびプローブの変位を測定しながら高分子を変形させる(「押し込み段階」)。
(c)所定の位置に達すれば、プローブ動作を停止させる。
(d)最大押し込み時にプローブの先端へかかった負荷を測定して剛性または弾性率パラメータを導出する。
(e)高分子の負荷を緩和させるため、所定時間、例えば、60秒間、所定の最大押し込み位置でプローブを保持する。
(f)所定の中間位置までプローブを素早く(約50mm/s〜100mm/sの速度で)格納し、プローブと再び接触するまでの回復時間をモニタリングする(「回復段階」)。
(g)プローブを高分子外装と接触しない元の位置に戻し、ケーブルを取り外す。
ステップ(a)〜(f)は、図19に示した概略図で説明されている。
軟質性があまりない高分子材料の場合、押し込み中の負荷の変化は、変位の変化に基本的に比例する。この場合、結果として得られる高分子の固有圧縮剛性を、負荷と変位のデータを用いて直接算出する。ここでは、負荷の変化を変位の変化で割って算出する。
上記のとおり、押し込み段階に先立ち、インデンタの先端を高分子表面に接触させる短期でわずかな初期負荷段階がある。この段階において生じた負荷と変位の変化は、図5に図示されている。
本発明のPPTは、上述した高分子試験方法を実行するために開発された。当該PPTは、負荷の緩和(材料が押し込まれた時点)や、初期変形のうち定められた割合が回復した時間(緩和段階に続いて、インデンタが素早く引っ込む時点)など、他の押し込み後のパラメータを算出するために、インデンタプローブの変位の統計データをプログラミングし、プローブ位置を制御するオプションを提供している。経年劣化していないサンプルの特性と経年劣化したサンプルの特性とを比べると、負荷の緩和レベル(および負荷の緩和曲線の全体的な形状)には著しい変化が見られない。しかしながら、この負荷の緩和段階は、その材料が回復段階において経年劣化していないサンプルと経年劣化したサンプルとの間の大きな変化を示すための前提条件となるものであろう。
負荷の緩和段階において生じた負荷と変位の変化は、図6に図示されている。
回復段階において生じた負荷と変位の変化は、図7に図示されている。回復段階において、プローブの先端は、高分子表面が再び接触するのを待つ所定の位置までコントローラにより格納される。変形を回復し始めさせるため、プローブの先端が一時的に高分子と接触しなくなるようにプローブの格納は素早く行われる。測定用に設定される基準回復割合は、材料劣化に対する手法の感度に基づく。この段階において、注目度の高いパラメータは、回復時間、つまり、プローブの先端格納開始から、引っ込めたプローブの先端に材料の表面が接触するまでの時間である。通常、熱劣化および/または照射により、回復時間は著しく増加する傾向にある。したがって、このパラメータは、この種のストレス要因から生じる高分子劣化に対する感受性が高い。
今のところ、回復時間は、特に、約35〜50%の回復割合において、照射レベルの上昇および熱劣化の増加の結果として生じるPVC劣化と非常によく相関している。回復時間の変化は、照射の影響により生じる材料の引張特性における変化と類似している。
(動的振動モード)
本発明のPPTは、また、正弦波励振を発生させることにより入力したプローブの変位を制御する動的振動モードを用いて、高分子特性の分析にも利用することができる。軟質性の高い材料の場合、プローブは、振動周期全体を通して接触したままである。1振動周期にわたって材料の反力とインデンタプローブの変位とを同時に取得することにより、さらなる分析が可能になり、また、材料の粘弾性特性を特徴付けるパラメータ(このパラメータは、粘弾性材料における負荷信号と変位信号との間に存在する遅延(つまり位相)の測定から導出される)や固有動剛性などの他のパラメータの利用が可能になる。
PPTを用いて、比較的軟質な高分子材料に、変位dを正弦関数的に変化させたとき、以下の式で表されるように、インデンタプローブの先端の材料反力Fは、変位に対して遅延するであろう。
ここで、tは時間、F0およびd0はそれぞれ、1正弦波周期における最大反力および最大押し込み深さ、ωは正弦波振動の角速度、δは位相差(変位に対する負荷の遅延量)である。典型的な負荷と変位との時間履歴曲線を図8に示す。
軟質性の高い高分子材料の場合、動剛性パラメータは、PPTを振動モードで用いることにより導出できる。これらのパラメータは、試験材料の劣化と相関がある。式(3)で表されるような、粘弾性材料に対する複素動剛性k*は、実部k’(正弦関数的に変化させることにより与えられた変位dと同位相)と虚部k’’(正弦関数的に変化させることにより与えられた変位dと90度位相が異なる)とから構成されている。
動剛性パラメータは、以下のように導出される。
熱劣化および/または照射による材料劣化の評価用に、無次元パラメータDが以下のとおり定義される。
ここで、Dは、試験材料の粘弾性特性を特徴付けるパラメータである。熱劣化および/または照射によりこれらの特性が変化すると、この粘弾性パラメータの値は通常大きくなる。したがって、このパラメータと固有動剛性とを用いて、軟質性の高い高分子材料の劣化を評価することができる。
(高分子試験の適用)
本発明のPPTおよび方法は、大抵、高分子またはエラストマーの老化または劣化の測定手法として、高分子またはエラストマーの特性を試験および/またはモニタリングする際に有用である。以下に挙げた項目は、本発明のPPTおよび方法を用いて分析可能な成分を含む高分子またはエラストマーであるが、これらに限定されるものではない。
・ケーブル絶縁体
・ケーブル外装
・Oリング
・駆動ベルト
・ダイヤフラム
・手袋
・シール材
・ガスケット
・ホース
・作業認定のためのフラット・リファレンス・スラブの材料
上記で詳述したとおり、PPTのサンプル保持部は、様々な種類のサンプルの分析を円滑に行えるよう取り除いても適用してもかまわない。例えば、サンプル保持部の構造は、管状のサンプルと平たなサンプルとで異なる。
さらに、軟質性の高い弾性材料の場合(シール材、Oリング、いくつかのガスケット材など)、振動モードにより、従来の押し込み試験よりも優れた材料劣化評価が可能になる。振動モードでは、動的パラメータと劣化係数とが用いられる。この場合に従来の押し込み試験を用いると、押し込み中において規定の回数計測された負荷データと変位データとの間にはおそらく直線関係がないので、剛性を導出することができないであろう。また、軟質性の高い弾性材料は、たとえ老化しても伸縮性があるため、回復時間を測定するのはかなり困難であろう。なぜなら、その時間は非常に短く、経年劣化していないサンプルと経年劣化したサンプルとの回復時間の変化を捉えることはより困難だからである。
硬質の弾性高分子材料(ケーブル絶縁体、ケーブル外装、ホース、いくつかのガスケット材、いくつかのシール材など)の場合には、回復時間の測定内で同時に負荷と変位とを測定することができることにより、従来の押し込み試験でも剛性の測定をすることができる。この場合には振動モードを用いることができない。なぜなら、このような材料には十分な「伸縮性」がなく、強制振動動作を起こしている際にインデンタプローブを材料にずっと接触させておくことが一般的にできないからである。
本発明のPPTおよび方法は、材料認定(製造)、生命延長&監視プログラム、実験材料研究、保守作業など、適用範囲が広い。その結果、本発明のPPTおよび方法は、高分子および弾性材料を利用する、エネルギー、航空宇宙、材料科学、自動車、軍事、化学プロセスなどの様々な分野や産業において有益である。
ここに記載した発明をよりよく理解するため、いくつかの例を以下に挙げる。当然のことながら、これらの例は例示のみを目的としたものであり、本発明の範囲を決して限定するものではない。
(実施例)
(例1:熱劣化のみのPVCケーブル外装の押し込み試験)
一連のPVCケーブル外装サンプルを通風炉内において最大200日間110度で熱劣化させた。そして、本発明の1実施形態にかかるPPTを用いて、熱劣化したサンプルを試験した。
固有圧縮剛性の結果を図9に示す。経年劣化していないサンプルに対する11.9N/mmから、110度で200日間熱劣化されたサンプルに対する21.7N/mmまで、熱劣化日数に応じて、剛性の段階的な変化が見られる。初期変形から35%回復するのにかかる時間を図10に示す。回復時間は、50日後には約+75%、75日後には約+167%、100日後には約+392%、200日後には約+788%の変化であり、回復時間は、熱劣化期間の増加に非常に影響を受けやすいことが分かる。
(例2:照射のみのPVCケーブル外装の押し込み試験)
一連のPVCケーブル外装サンプルに、ガンマセル内において2〜60MRadの放射線量を照射した。そして、本発明の1実施形態にかかるPPTと標準的な破断時の伸び測定方法とを用いて、サンプルを試験した。ダンベル形状をしたPVCケーブル外装の試験サンプルを、ロイドLR5K引張試験機の空気圧グリップに置き、破断するまで引張を行った。EABパラメータは、破断時の伸び増加率として定義される。
これらの照射PVCケーブルに対する破断時の伸び参照データを、照射線量の関数として、図11に示す。当該グラフから、60MRadで、破断時の伸びが絶対量で50%、つまり、一般に認められているケーブルの寿命(IAEA―TECDOC―1188、2000年(上記文献))に相当する劣化レベルまで減少することが分かる。
照射PVCケーブル外装サンプルに対する固有圧縮剛性の結果を図12に示す。剛性パラメータは、照射による劣化に対して感受性が低い。これにより、文献(IAEA―TECDOC―1188、2000年(上記文献))で報告された先行研究にて判明したことが確認できる。
同じ照射サンプルに対する変形回復データを図13に示す。初期変形から35%回復する時間は、照射線量に応じて、ほぼ直線的に増加する。経年劣化していない状態から、平均回復時間は、10MRadで33%、20MRadで86%、30MRadで165%、60MRadで320%の増加が見られる。したがって、回復時間を利用したこの新たな手法で初めて、押し込み方法を用いた照射PVCの劣化評価方法を提供する。さらに、変形回復時間は、様々な照射レベルに対して測定されたEAB値と非常に良く相関し、どちらのパラメータも材料の劣化に対する感受性は極めて高い。破断時の伸びと初期変形の35%回復時間との良好な相関関係を図14に示す。
(例3:経年劣化していないシリコンサンプルと照射されたシリコンサンプルとに対する、振動モードのPPTを用いた動的パラメータの導出)
表1において、動剛性パラメータと粘弾性パラメータDとを、核施設で用いられるシリコン系ドアシール材の経年劣化していないサンプルと60Mrad照射したサンプルとに対して比較する。照射により、複素動剛性の実部k′は4.88N/mmから7.81N/mmに増加し、虚部k″は、0.89N/mmから0.45N/mmに減少する。粘弾性パラメータDは、5.48から17.3に増加する。経年劣化していないサンプルと照射したサンプルとに対する負荷と変位の関数を図20に示す。
本明細書に記載した出版物、特許、および、特許出願は全て、本発明に関する当業者の技術レベルを示しており、各出版物、特許、または、特許出願をそれぞれ引用して援用すると明記したものとしてその範囲をここに引用して援用する。
本発明はこのように記載されているため、各種変形を施してもかまわないのは自明であろう。このような変形例は本発明から逸脱したものとはみなされず、このような改良例は全て請求項の範囲内であることは当業者にとって自明であろう。
本発明は、高分子材料試験の技術分野に関し、特に、高分子化合物を基にした部品を現場モニタリングする携帯型高分子試験装置の技術分野に関する。
高分子化合物の経年劣化は、このような高分子化合物の不測の事態が人間の安全性、発電所の維持管理費、および、休止時間に対して重大な悪影響を及ぼす可能性があるという点で、特に、工業施設および発電所の作業員にとって非常に重要なことである。高分子化合物は、工業施設および発電所の安全かつ確実な運用にかかわるキーポイントの部品に用いられている。具体的に、高分子化合物はケーブル、ポンプ、バルブ、シール材において見られるが、これらに限定されるものではない。
電力、制御、計装、データ伝送用などの電気および光ケーブルは、一般的に信頼性が高く、構造が単純であるため、保守作業または状態監視をあまり必要としない寿命の長い部品であると長年考えられてきた。しかしながら、他の部品全てと同様に、このようなケーブルも運用的および環境的ストレスを受けて老朽化する。ケーブルの老朽化による劣化の典型的な例は、ひび、絶縁耐力の低下、リーク電流の増加につながる脆化である。経年劣化の原因となる主なストレス要因は、高温および電離放射線による熱劣化である。ケーブル劣化の他のストレス要因には、機械的ストレス、湿度、炭化水素流体、オゾンなどがある。
経年劣化の影響は、空間的に、全般的(つまり、均一温度の単一室内に全設置されているケーブルの場合など、所定ケーブルの大部分または全体に等しく作用する)であっても、局所的(高度に局在した熱源近くを通るケーブルの場合など、かなり限定されたケーブル部分のみに作用する)であってもかまわない。これら経年劣化の影響度合いは、ストレス要因の程度、ケーブル構造設計の材料、ケーブル周辺の周囲環境など、いくつかの要因に左右される。電気ケーブルの老朽化に関する詳細な解説は、Kim,J−S.著書「Evaluation of Cable Aging in Degradation Based Plant Operating Condition」(2005年)J.Nucl.Sci.Technol.42(8)745−753、および、サンディア国立研究所/米国エネルギー省作成のSAND96−0344「Aging Management Guideline for Commercial Nuclear Power Plants−−Electrical Cable and Terminations」(1996年9月)などの出版物を参照のこと。光ケーブルの老朽化に関する解説は、特に、電力研究所(EPRI)の出版物および電気通信業界の文献を参照のこと。以下の記載は電気ケーブルに限定するが、当然のことながら、ここに記載する経年劣化および分析の原則は、光ケーブルにも概ね適用可能である。
一般的な計装制御(instrumentation and control = I&C)ケーブルは、全体を遮蔽して外装する難燃性物質により絶縁されたマルチコンダクタ型アセンブリで構成されている。さらに、原子炉設備などの施設で用いられるケーブルには、電気特性、機械特性、または、防火特性を高めるテープの巻き付けが含まれている。
I&Cケーブルに用いられる絶縁被覆材料は、耐経年劣化性、電気特性、機械特性、および防火特性を向上させる添加剤および充填剤を含んだ高分子化合物である。旧CANDU(登録商標)施設において最も広く用いられた被覆絶縁材料はポリ塩化ビニル(PVC)である。新たな施設で用いられる材料は、Hypalon(登録商標)としても知られる被覆用のクロロスルホン化ポリエチレン(CSPE)と、絶縁用の架橋ポリエチレン/ポリオレフィン(XLPE/XLPO)およびエチレン・プロピレンベースのエラストマー(EPR、EPDM)である。
経年による絶縁被覆材料の劣化レベルは、使用される高分子化合物(十分な添加剤の存在など)、運転前における環境条件(保管状態)および運転中における環境条件(温度、放射線、機械的ストレス、湿度)、経過耐用年数(時間的要因)に左右される。高分子化合物の主な化学的経年劣化メカニズムは、分子レベルの開裂、架橋結合、酸化反応の結果として生じる。アルコキシル基または過酸化物基の開裂は、結果的に高分子鎖が新たな2つの鎖に切断される場合が多い。架橋結合とは、隣接する高分子間で共有結合を形成し、鎖の高密度ネットワークを形成することを指す。遊離基の形成から始まる(温度および/または放射線の影響下における共有結合の初期分解のため)酸化反応は、鎖切断か架橋結合かを引き起こす可能性がある。有機材料は、熱や放射線にさらされた結果、硬化および柔軟性低下などの物理的変化を経る場合が多い。熱劣化による物理的経年劣化メカニズムの他の例として、PVC材料内の可塑剤の蒸発および移行可能性もある。
材料の劣化レベルは、材料特性の変化を追跡することで評価できる。利用される標準的な手法として、目視および触覚による検査、引張試験、圧子押し込み試験、示差走査熱量測定、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、膨潤比測定、質量損失、可塑剤含有量、誘電率測定、密度変化などがある。
最も一般的に用いられる実験手法の1つが引張試験である。この引張試験では、経年劣化していないサンプルと経年劣化したサンプルとの引張強度または破断時の伸び率(elongation at break = EAB)を比較する。EABは、実績のある劣化指標であり、ケーブルの残留寿命を評価する一般的なパラメータでもある。このパラメータに基づいた耐用年数経過基準はすでに確立されている。EAB=50%が耐用年数基準の許容値として通常用いられる(国際原子力機関、2000年、「Assessment and Management of Ageing of Major Nuclear Power Plant Components Important to Safety: In―Containment Instrumentation and Control Cables」、第1巻、IAEA―TECDOC―1188、12月)。主な欠点は、サンプルサイズが大きくなることと、この手法は破壊を伴うということである。
発電所作業員から、破壊を伴わず、煩わしくない手法を用いたいとの強い要請があるため、現場モニタリングで利用可能な手法は限定される。その他の問題は、実験室環境で通常用いる機器のうちいくつかは現場に携帯するのが容易ではないことである。
この数年間、国際的な専門家による様々な委員会が結成され、既存データと現状のモニタリング手法の進歩状況とを検討してきた(IAEA―TECDOC―1188、2000年(上記文献)、および、核エネルギー庁、原子力施設安全委員会、2004年、「Research Efforts Related to Wire Systems Aging in NEA Member Countries」、NEA/CSNI/R報告書(2004年)12、8月11日)。これらの委員会は、ケーブルの老朽化問題に取り組む研究開発(R&D)プログラムの方向性に関する指針を示し、提言を行っている。この問題に対する今後の研究開発の取り組みへの提言は、以下のようなものであった(NEA/CSNI/R報告書、2004年(上記文献))。
・ワイヤーシステムの現状判断およびその耐用年数の予測に利用可能な、設置済みワイヤーシステムに対する新規で効果的な現場状況モニタリング手法の開発を継続すること。その際、電気分野、光分野、超音波分野、宇宙航空分野における最新技術を、原子力発電所へ応用できるように評価かつ発展させるべきである。
・経年劣化した絶縁材料の機械特性が限界に達しているという重要性をより把握するために、ワイヤーシステムの機械特性を電気特性と関連付けること。
絶縁材料の引張強度や破断時の伸びなど、ケーブルの高分子経年劣化を分析するのに用いられる物理的手法には、破壊することが本質であって、試験用に経年劣化したケーブルのサンプルが必要なものもある。しかしながら、圧縮弾性率、ねじれ弾性率、または、曲げ時の剛性測定など、非破壊的な物理的手法も存在する。これらは、ケーブルの経年劣化と測定したパラメータとの相関を明確に示し、運用条件中に実際に適用することが可能である。例えば、インデンタ・ポリマー・エイジング・モニタなどの機器による圧縮率の測定は、ケーブルの高分子経年劣化を測定する際に有用である。導体の物理的測定と外装との相関に関する解説については、例えば、EPRI TR−104075、電力研究所作成の「Evaluation of Cable Polymer Aging Through Indenter Testing of In−Plant and Laboratory Aged Specimens」1996年1月を参照のこと。
現在用いられている携帯型インデンタは、材料の剛性または硬度の単独測定に制限されるのが一般的である。しかしながら、高分子ベースの材料のなかには、破断時の伸びなどの基本的な材料特性が照射ストレスによる持続的な劣化を明らかに示しているにもかかわらず、その剛性/硬度は、照射レベルを増加させても変化しないままのものもある。同様に、高分子成分が熱劣化を受けている場合、さらなる劣化が起こり続けていると分かっていても、その剛性は、最初のうちはたまに増加するがすぐに飽和値に達する。したがって、現在利用可能なインデンタは、ケーブルの老朽化をモニタリングするのに理想的なものではない。
電力研究所(EPRI)により製造されるインデンタでは、その押し込み深さ限界は、測定された負荷の値に基づき制御される。したがって、押し込み深さは、経年劣化していないエラストマーと経年劣化したエラストマーとで異なる。これは、一定の押し込み深さ基準に関するエラストマー回復研究の妨げとなっている。EPRIインデンタを用いて、最大負荷に達してその負荷が緩み、減衰し始めた後の負荷信号の一部分をモニタリングすることができる。分析されている比較的短い緩和期間中、プローブは適切な位置で保持される。しかしながら、負荷の緩和特徴は、材料の経年劣化が増しても大幅に変化することはない。
EPRIインデンタでは、緩和情報を取得するとすぐに、プローブはゆっくりと元の位置に戻され、さらなる検査は行われない。駆動システムの性質のため、プローブを、所定の基準位置から瞬時または即座に格納することができない。したがって、EPRIインデンタを用いる場合は、負荷の緩和段階に続く変形回復を評価できるような状態を作り出すことが不可能である。
さらに、現在の携帯型インデンタには、励磁信号の種類を変化させる柔軟性がなく、インデンタプローブの様々なイベントシーケンスをプログラミングすることもできない。これは、高分子化合物の劣化に対する検出感度という点において、最適な入力パラメータ、セットアップ、および、出力パラメータの系統的な同定に支障をきたすものである。
前記内容に基づくと、高分子ケーブルの老朽化をモニタリングして評価する方法および装置の必要性は依然高く、その方法および装置は、携帯型で非破壊的、そして、単なる高分子剛性以外の特徴も測定かつ最適化できる必要がある。
当該背景技術は、本発明に関連する可能性があると出願人が考えた既知情報を記載するためになされたものである。いかなる前記内容も、それが本発明に対する先行技術であると認めようとするものでも、そのように解釈されるべきでもない。
本発明の目的は、携帯型高分子試験装置を提供することである。本発明の一態様によると、ケーブル絶縁材料やケーブル外装材料などの高分子材料に押し込み試験を行う方法および装置を提供して、試験した高分子材料の粘弾性特性を特徴付ける押し込み中のパラメータと押し込み後のパラメータとを生成する。粘弾性特性は、高分子の寿命および劣化の指標として用いられる。本発明にかかる方法および装置は、高分子材料の剛性を測定し(負荷および変位の測定)、高分子材料が初期変形のうち、ある規定量分を元に戻すのにかかる時間も測定する。この時間は、高分子材料の劣化指標として用いることができる。
本発明の別の様態によると、ケーブルの高分子外装など高分子材料の物理的特徴を測定する高分子試験装置を提供する。前記高分子試験装置は、ケーブルや平らなエラストマーサンプルなどのサンプルを試験中に保持するかみあい式の保持部と、交換可能な可動式プローブと、モータおよびリニア式スライドステージとを備えた(例えば、セラミックサーボモータおよびナノステージ)、ケーブルの高分子外装に接触させてその外装を変形させるようにプローブを前に動かす駆動システムと、高分子外装と接している間にプローブの先端が受ける負荷を測定する手段およびプローブの変位を測定する手段を含んだ負荷/変位測定システムとを備えている。
本発明の他の様態によると、ケーブルの高分子経年劣化など、高分子の経年劣化を試験する方法を提供する。前記試験方法は、(ケーブルの老朽化を試験する場合の高分子外装などの)高分子材料を固定化するステップと、プローブを用いて高分子領域を変形させるステップと、測定したプローブの変位と変形中のプローブの先端が受ける負荷とから高分子の剛性を算出するステップと、プローブを所定の位置に格納して変形回復時間を測定するステップとを含んでいる。ここで、剛性と変形回復時間とは、高分子の経年劣化度合いの指標である。
[関連出願の相互参照]
本願は、2008年11月14日に出願された米国特許仮出願第61/114,889号の権益および優先権を主張し、当該米国仮出願に記載された全ての記載内容を引用して援用するものである。
図1は、本発明にかかる装置の先駆的なツール、エラスト―ダイナミック・スポット・テスターの写真である。 図2は、本発明の1実施形態にかかる携帯型高分子試験装置の斜視図である。 図3は、本発明の1実施形態にかかる押し込み試験サイクルを図示したものである。 図4は、図2の携帯型高分子試験装置の部品を図示したものである。図4Aは、駆動部の側面図であり、図4Bは、駆動部の上面図であり、図4Cは、ケーブルを保持しているかみあい式の保持部とかみあい式の保持部の固定側口金の穴の中に位置するプローブとを示す試験装置部分の側面断面図であり、図4Dは、電気信号およびモーションコントローラからの制御コマンドを受信するため、ならびに、圧縮されてコンピュータに転送される処理データを収集するために、携帯型高分子試験装置が接続されるための制御筐体を示した図である。 図5は、試験サイクルにおける初期負荷および初期押し込み段階を図示したものである。 図6は、試験サイクルにおける負荷の緩和段階を図示したものである。 図7は、試験サイクルにおける回復段階を図示したものである。 図8は、本発明にかかる携帯型高分子試験装置を用いて取得した1振動周期におけるインデンタプローブの変位と反力を振動モードで図示したものである。 図9は、熱劣化したPVCケーブル外装の押し込み試験の剛性結果を図示したものである。 図10は、熱劣化したPVCケーブル外装の押し込み試験の変形回復データを図示したものである。 図11は、放射線を浴びたPVCケーブルの破断時の伸びデータを図示したものである。 図12は、放射線を浴びたPVCケーブル外装の押し込み試験の剛性結果を図示したものである。 図13は、放射線を浴びたPVCケーブル外装の押し込み試験の変形回復データを図示したものである。 図14は、図11の破断時の伸びデータと図13の変形回復データとの相関関係を示したものである。 図15は、取付けと配線とを示す制御筐体のバックパネルを図示したものである(図15Aは正面図、図15Bは斜視図である)。 図16は、取付けと配線とを示す制御筐体のサイドパネルを図示したものである(図16Aは正面図、図16Bは斜視図である)。 図17は、取付けと配線とを示す制御筐体の内部部品を図示したものである(図17Aは内側の斜視図、図17Bは上面の斜視図である)。 図18は、筐体が開いた状態の、本発明の1実施形態にかかる携帯型高分子試験装置を図示したものである(図18Aは上面の斜視図、図18Bは底面の斜視図である)。 図19は、本発明の1実施形態にかかる押し込み試験サイクルを図示しており、試験サイクルの初期負荷、押し込み、負荷の緩和、変形回復の各段階におけるインデンタプローブの位置を示したものである。 図20は、シリコン系ドアシール材に対する負荷と変位との位相シフトを図示したものである(リサジュー図形)。
[発明の詳細な説明]
別途定義されない限り、ここに記載する全技術用語および全科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解する意味と同じである。
文脈において別途明示されない限り、ここに記載する用語の複数形は単数の場合を含み、また逆に、単数形は複数の場合を含むと解釈されるものとする。
ここに記載される「備える、含む」という用語は、それに続く各項目が全てではなく、別の適切な付加的項目、例えば、1以上のさらなる特徴、成分、部品などを必要に応じて含んでも含まなくてもよいものと理解される。
本発明の携帯型高分子試験装置(「PPT」)は、様々な入力パラメータ、プローブの変位に対する様々なイベントシーケンス、様々な出力パラメータの利用をプログラミングかつ制御するオプションがある押し込み手法を活用するために開発されたものである。本発明のPPTは、高分子を基にした部品の劣化を最もトレースしやすいパラメータを測定するように構成された(現在使用されているツールと比べて)制御可能なツールであり、現場でこれらのパラメータを測定できる完全携帯型である。
本発明のPPTは、インデンタプローブを材料の中へ直線的に駆動することによって材料剛性(または弾性率)を測定する古典的な方法を組み込んだものである。剛性パラメータは、押し込み段階においてプローブの反力とプローブの変位とを同時に取得することにより、導出される。また、当該PPTは、負荷の緩和および変形回復などの押し込み後のパラメータの測定方法も組み込んでいる。
高分子またはエラストマー材料の劣化をモニタリングする押し込み手法は、ケーブル外装やケーブル絶縁材料などの高分子またはエラストマー材料の表面にプローブの先端を押し付けるステップを根本に備えた定量的で非破壊的なモニタリング手法である(IAEA―TECDOC―1188、2000年(上記文献))。この手法には、以下のような利点が1以上ある。
・携帯型機器を開発できる
・測定が速い
・データを分析しやすい
押し込み段階においては、「インデンタ弾性率」とも呼ばれる、固有の圧縮剛性パラメータを導出するため、負荷とプローブの変位とが測定される。このパラメータは、原子力発電所などで用いられる大部分のケーブル材料に対する高分子またはエラストマー劣化との相関をいくつか示すものであるが、この手法の感度には限界がある。注目すべき例外は、インデンタ弾性率の値が一定になりがちな材料(例えば、放射線を浴びたPVC)の場合と、極度に劣化した材料(例えば、熱劣化したXLPE)に対してのみインデンタ弾性率の値が変化しがちな場合とが存在することである。
エラスト―ダイナミック・スポット・テスター(EDST)と呼ばれる現場式実験インデンタは、従来から開発されてきた。まず、EDSTは、押し込み段階におけるエラストマーの局部剛性を導出するため、また、押し込み後の様々な粘弾性特性を調査するためにも用いられた。現場でのケーブル老朽化評価に用いられるEDSTの写真を、図1に示す。
EDSTの特徴は、本発明のPPTに組み込まれてきた。本発明の携帯型高分子試験装置は、小型であって、どんな向きでも利用可能であり、駆動システムと制御システムとフィードバックシステムと負荷/変位測定システムとを組み込んでいる。本発明の1実施形態によると、PPTは、さらに、振動モードでインデンタプローブを用い、固有の動剛性などの新たなパラメータ、および、負荷信号と変位信号との間で測定された遅延(つまり位相)量を利用する方法を組み込んでいる。
本発明に特有な実施形態にかかるPPTの概略図は、図2および図18に示されている。当該PPTは、インデンタプローブの変位の統計データをプログラミングし、押し込み後のパラメータを導出するためにプローブ位置を制御するシステムを設けている。押し込み中のパラメータは、EDSTを用いて評価されたパラメータと同類である。これらのパラメータには、負荷の緩和(材料が押し込まれた時点)と、初期変形のうち定められた割合が回復した時間(緩和段階に続いて、インデンタがプリセット位置に即座に格納される時点)とが含まれる。PPTの典型的なシーケンスの概略を図3および図19に示し、その詳細については後述する。本発明にかかるPPTを用いて取得した結果は、PPTに良好な再現性があり、その試験結果がEDSTを用いて取得した結果と一致することを実証している。
PPTは、原子力施設など、過酷な条件下で用いられる場合の汚染や、常温を超えた温度環境にさらされる可能性を考慮して作られたツールである。例えば、本発明に特有な実施形態によると、当該携帯型高分子試験装置は、駆動システムと制御システムとフィードバックシステムと負荷/変位測定システムとを収容する筐体を設けており、この筐体は、試験条件に耐え、かつ、試験条件から内部部品を守るのに適した材料で作られている。
(携帯型高分子試験装置部品)
上述したように、本発明のPPTは、駆動システムと制御システムとフィードバックシステムと負荷/変位測定システムとを備えている。さらに、当該PPTは、ケーブルなどのサンプルを試験中に適切な位置で保持するかみあい式の保持部やプローブといった部品を取り囲む筐体を設けている。プローブは、特性が異なる試験対象の高分子材料に合わせて、様々な先端サイズのプローブと交換することができる。一例を挙げると、直径および高分子外装が異なる高分子含有ケーブルを試験する際はそれぞれに合わせて、プローブを交換することができる。さらに、PPTには、内部電源(例えば、バッテリー)、または、外部電源への接続手段(例えば、AC電源プラグ)が設けられている。
本発明のPPT部品に関する詳細は、図面を参照して後述する。
(駆動システム)
本発明のPPTに組み込まれた駆動システムは、変形回復時間の測定を可能にするため、プローブを瞬時または高速に格納する手段を備えている。
当該駆動システムには、モータ、リニアスライド、高解像度の光学式エンコーダシステム、モーションコントローラ、および、モータドライバ/アンプが設けられている。これらの部品の配置は、閉ループ制御系である。より具体的には、リニアスライドに装てんされたメーカー指定面に対して、モータには初期負荷がかけられる。この初期負荷により、モータをあらゆる方向に滑ることなくスライドさせることができる。さらに、リニアスライドには、位置測定ができるように目盛りが設けられている。光学式リニアエンコーダシステムは、位置決め精度を向上させるために、目盛りを「読み取り」、そのデータを補間器に送信する読取ヘッドセンサを備えている。そして、この位置情報は、電気的手段によりモーションコントローラへ転送される。モーションコントローラは、PPTのアプリケーションに応じて、位置エラーが仮想的にゼロ、または、許容範囲内である限りモータドライバ/アンプを介してモータに命令を出すアルゴリズムを採用している。
本発明の1実施形態によると、当該駆動システムは、以下の仕様に従って製造される。
・少なくとも5mmのステージ移動距離
・約0.010μm〜約0.1μmのステップ分解能
・約0.010μm〜約0.1μmの測定分解能
・約30N〜約34Nのモータ動的失速力
・約26N〜約30Nのモータ静止保持力
・−10度〜50度のモータ動作温度範囲
本発明の別の実施形態によると、当該駆動システムは、以下の仕様に従って製造される。
・約40mmのステージ移動距離
・約10nmのステップ分解能
・測定分解能:約10nm
・モータ動的失速力:約32N
・モータ静止保持力:約28N
・モータ動作温度範囲:約0度〜約50度
駆動部品を選択する際、PPTの手持部分の全体的なサイズおよび重さは、PPTのサイズと重さの両方に影響を及ぼす部品として考える必要がある。ボイスコイルモータや、リニアシャフトモータ、セラミックサーボモータなどが適したモータ種であるが、これらに限定されるものではない。
図4を参照すると、本発明のPPT10の駆動システム20の具体例では、セラミックサーボモータ30をナノステージ40に組み込んでおり、PPT10使用中におけるプローブ50の瞬時/高速格納が円滑になる。ナノステージ40は、ステージテーブル42とステージ基盤44とを備えている。これは、多数の部品の製造または組み立てが必要のないパッケージ化された駆動システムである。ステージ構造は、クロスローラーベアリング付リニアスライド60と光学式リニアエンコーダ(図示せず)とを利用する。ナノステージ40は完成品として提供される。使用するセラミックモータ30は、高分解能かつ高ダイナミック性能の最新式装置であることが好ましい。
(負荷/変位測定システム)
図4Aおよび図4Bに示す通り、負荷/変位測定システムは、スライドの正面に取り付けられた小型ロードセル110と、試験中のプローブの先端が受ける負荷を測定するために用いるロードセル信号調整器(図示せず)とを備えている。駆動システムにおけるリニアエンコーダは、プローブ位置測定を提供する。
(制御システム)
制御システムは、モーションコントローラと、負荷/変位測定システムに対する制御およびフィードバックを行うために用いる制御ソフトプログラムとを備えている。動作パラメータは、試験対象(例えば、サイズ、高分子など)のサンプルの種類(例えば、ケーブルの種類)と試験場所または試験環境とを考慮して選択される。本発明に特有な実施形態によると、PPTの動作パラメータは以下のとおりである。
・約0N〜約20Nの負荷測定範囲
・約5mm/sの最大位置決め速度
・約0.1μmの最小位置決め分解能
・約1μm〜約100μmの振動振幅
・約0.1Hz〜約100Hzの発振周波数
・約15度〜約50度の動作温度
制御筐体32(図4Dおよび図17参照)は、コントローラ33、モータアンプ34、エンコーダ(図示せず)、電源36、および、熱電対トランスミッタ38を取り付けるために用いられる。図4Dに図示するように、制御筐体32は筐体35内に取り付け可能である。
携帯型高分子試験装置のモータ30、リニアステージ40、および、制御筐体32の例の概略図を図4A〜図4D、図15、図16、図17、および、図18に示す。
テストシーケンスパラメータおよびデータ収集は、適切なオペレーションシステム、例えば、Windows XP(登録商標)を搭載したコンピュータで制御される。この例では、Windowsプログラミング環境は、National Instruments Inc.が開発したLabVIEW(登録商標)である。
(インデンタプローブ)
試験を行う高分子またはエラストマーサンプル(例えば、ケーブル)の種類に基づき、様々な先端サイズの交換可能なプローブを用いることができる。先端を動かすプログラミングオプションはとても広範囲で、調整が容易である。制御かつ変更可能な入力パラメータには、初期負荷、押し込み深さ、押し込み速度、駆動入力信号の種類(線形、正弦波など)、負荷の緩和パラメータ、および、変形回復パラメータが含まれる。新たな試験条件を調査するためにカスタム信号プロファイルを即座に創出して、高分子劣化に対する感度を向上させることができる。
(温度センサ)
本発明のPPTは、オプションとして温度センサも備えている。
試験された高分子材料を特徴付けるPPT出力パラメータは、15〜30度の温度範囲であっても、温度の影響を非常に受けやすい。したがって、サンプルの試験領域における温度は、正確にモニタリングしておかなければならない。使用する温度プローブは、赤外線超小型熱電対などの非接触型センサの場合が多く、押し込みを行う直前に試験対象の材料表面を測定できるよう適切な位置に置かれる。同じ領域に対して後に次の測定を行う場合、温度変動を補償するために押し込みデータへの補正係数適用方法を提供できるよう、温度情報が記録される。また、一定基準温度での押し込み測定結果取得を可能にする加熱または冷却装置の制御方法も設けることができる。
ステージに取り付けられた温度センサが周囲大気温度を測定する。モータ位置における温度をモニタリングするためには、別の熱電対が用いられる。ツールに取り付けられた2つの小型熱電対トランスミッタがコントローラに増幅信号を送る。これにより、ツールと制御筐体との間の熱電対延長ワイヤが必要なくなる。温度センサと小型熱電対トランスミッタとをさらに制御筐体に取り付ければ、機器の過熱が起こらないことを保証することができる。
(サンプル保持部)
本発明のPPTを用いた試験中には、サンプルを適切な位置に保持しておく必要がある。したがって、本発明のPPTは、オプションとしてサンプル保持部も備えている。サンプル保持部の構造および部品は、PPTの適用方法や試験対象のサンプル種類によって異なる。
図4を再び参照すると、本発明の1実施形態では、ケーブルなどの試験中の保持に適したサンプル保持部が設けられている。図4Cに示す通り、このようなサンプル保持部は、可動式かみあい口金92と固定式かみあい口金94とを設けたかみあい式の保持部90でもかまわない。さらに、かみあい式の保持部は、試験中に2つのかみあい口金92および94の間でケーブル100の締め付けを行う、可動式かみあい口金の位置調整手段を備えている。図4Cに図示したとおり、固定式かみあい口金94には、プローブ50が貫通してケーブル100の高分子外装と接触し、その外装を押し込む貫通穴96が設けられている。
(携帯型高分子試験装置を用いた押し込み試験)
本発明は、さらに、以下のステップを含んだ高分子経年劣化試験またはモニタリング方法を提供する。
(a)インデンタプローブの先端を高分子、例えば、ケーブルの高分子外装と接触させる(「初期負荷段階」)。
(b)プローブを前方に動かして、インデンタプローブの先端が受ける負荷およびプローブの変位を測定しながら高分子を変形させる(「押し込み段階」)。
(c)所定の位置に達すれば、プローブ動作を停止させる。
(d)最大押し込み時にプローブの先端へかかった負荷を測定して剛性または弾性率パラメータを導出する。
(e)高分子の負荷を緩和させるため、所定時間、例えば、60秒間、所定の最大押し込み位置でプローブを保持する。
(f)所定の中間位置までプローブを素早く(約50mm/s〜100mm/sの速度で)格納し、プローブと再び接触するまでの回復時間をモニタリングする(「回復段階」)。
(g)プローブを高分子外装と接触しない元の位置に戻し、ケーブルを取り外す。
ステップ(a)〜(f)は、図19に示した概略図で説明されている。
軟質性があまりない高分子材料の場合、押し込み中の負荷の変化は、変位の変化に基本的に比例する。この場合、結果として得られる高分子の固有圧縮剛性を、負荷と変位のデータを用いて直接算出する。ここでは、負荷の変化を変位の変化で割って算出する。
上記のとおり、押し込み段階に先立ち、インデンタの先端を高分子表面に接触させる短期でわずかな初期負荷段階がある。この段階において生じた負荷と変位の変化は、図5に図示されている。
本発明のPPTは、上述した高分子試験方法を実行するために開発された。当該PPTは、負荷の緩和(材料が押し込まれた時点)や、初期変形のうち定められた割合が回復した時間(緩和段階に続いて、インデンタが素早く引っ込む時点)など、他の押し込み後のパラメータを算出するために、インデンタプローブの変位の統計データをプログラミングし、プローブ位置を制御するオプションを提供している。経年劣化していないサンプルの特性と経年劣化したサンプルの特性とを比べると、負荷の緩和レベル(および負荷の緩和曲線の全体的な形状)には著しい変化が見られない。しかしながら、この負荷の緩和段階は、その材料が回復段階において経年劣化していないサンプルと経年劣化したサンプルとの間の大きな変化を示すための前提条件となるものであろう。
負荷の緩和段階において生じた負荷と変位の変化は、図6に図示されている。
回復段階において生じた負荷と変位の変化は、図7に図示されている。回復段階において、プローブの先端は、高分子表面が再び接触するのを待つ所定の位置までコントローラにより格納される。変形を回復し始めさせるため、プローブの先端が一時的に高分子と接触しなくなるようにプローブの格納は素早く行われる。測定用に設定される基準回復割合は、材料劣化に対する手法の感度に基づく。この段階において、注目度の高いパラメータは、回復時間、つまり、プローブの先端格納開始から、引っ込めたプローブの先端に材料の表面が接触するまでの時間である。通常、熱劣化および/または照射により、回復時間は著しく増加する傾向にある。したがって、このパラメータは、この種のストレス要因から生じる高分子劣化に対する感受性が高い。
今のところ、回復時間は、特に、約35〜50%の回復割合において、照射レベルの上昇および熱劣化の増加の結果として生じるPVC劣化と非常によく相関している。回復時間の変化は、照射の影響により生じる材料の引張特性における変化と類似している。
(動的振動モード)
本発明のPPTは、また、正弦波励振を発生させることにより入力したプローブの変位を制御する動的振動モードを用いて、高分子特性の分析にも利用することができる。軟質性の高い材料の場合、プローブは、振動周期全体を通して接触したままである。1振動周期にわたって材料の反力とインデンタプローブの変位とを同時に取得することにより、さらなる分析が可能になり、また、材料の粘弾性特性を特徴付けるパラメータ(このパラメータは、粘弾性材料における負荷信号と変位信号との間に存在する遅延(つまり位相)の測定から導出される)や固有動剛性などの他のパラメータの利用が可能になる。
PPTを用いて、比較的軟質な高分子材料に、変位dを正弦関数的に変化させたとき、以下の式で表されるように、インデンタプローブの先端の材料反力Fは、変位に対して遅延するであろう。
ここで、tは時間、F0およびd0はそれぞれ、1正弦波周期における最大反力および最大押し込み深さ、ωは正弦波振動の角速度、δは位相差(変位に対する負荷の遅延量)である。典型的な負荷と変位との時間履歴曲線を図8に示す。
軟質性の高い高分子材料の場合、動剛性パラメータは、PPTを振動モードで用いることにより導出できる。これらのパラメータは、試験材料の劣化と相関がある。式(3)で表されるような、粘弾性材料に対する複素動剛性k*は、実部k’(正弦関数的に変化させることにより与えられた変位dと同位相)と虚部k’’(正弦関数的に変化させることにより与えられた変位dと90度位相が異なる)とから構成されている。
動剛性パラメータは、以下のように導出される。
熱劣化および/または照射による材料劣化の評価用に、無次元パラメータDが以下のとおり定義される。
ここで、Dは、試験材料の粘弾性特性を特徴付けるパラメータである。熱劣化および/または照射によりこれらの特性が変化すると、この粘弾性パラメータの値は通常大きくなる。したがって、このパラメータと固有動剛性とを用いて、軟質性の高い高分子材料の劣化を評価することができる。
(高分子試験の適用)
本発明のPPTおよび方法は、大抵、高分子またはエラストマーの老化または劣化の測定手法として、高分子またはエラストマーの特性を試験および/またはモニタリングする際に有用である。以下に挙げた項目は、本発明のPPTおよび方法を用いて分析可能な成分を含む高分子またはエラストマーであるが、これらに限定されるものではない。
・ケーブル絶縁体
・ケーブル外装
・Oリング
・駆動ベルト
・ダイヤフラム
・手袋
・シール材
・ガスケット
・ホース
・作業認定のためのフラット・リファレンス・スラブの材料
上記で詳述したとおり、PPTのサンプル保持部は、様々な種類のサンプルの分析を円滑に行えるよう取り除いても適用してもかまわない。例えば、サンプル保持部の構造は、管状のサンプルと平たなサンプルとで異なる。
さらに、軟質性の高い弾性材料の場合(シール材、Oリング、いくつかのガスケット材など)、振動モードにより、従来の押し込み試験よりも優れた材料劣化評価が可能になる。振動モードでは、動的パラメータと劣化係数とが用いられる。この場合に従来の押し込み試験を用いると、押し込み中において規定の回数計測された負荷データと変位データとの間にはおそらく直線関係がないので、剛性を導出することができないであろう。また、軟質性の高い弾性材料は、たとえ老化しても伸縮性があるため、回復時間を測定するのはかなり困難であろう。なぜなら、その時間は非常に短く、経年劣化していないサンプルと経年劣化したサンプルとの回復時間の変化を捉えることはより困難だからである。
硬質の弾性高分子材料(ケーブル絶縁体、ケーブル外装、ホース、いくつかのガスケット材、いくつかのシール材など)の場合には、回復時間の測定内で同時に負荷と変位とを測定することができることにより、従来の押し込み試験でも剛性の測定をすることができる。この場合には振動モードを用いることができない。なぜなら、このような材料には十分な「伸縮性」がなく、強制振動動作を起こしている際にインデンタプローブを材料にずっと接触させておくことが一般的にできないからである。
本発明のPPTおよび方法は、材料認定(製造)、生命延長&監視プログラム、実験材料研究、保守作業など、適用範囲が広い。その結果、本発明のPPTおよび方法は、高分子および弾性材料を利用する、エネルギー、航空宇宙、材料科学、自動車、軍事、化学プロセスなどの様々な分野や産業において有益である。
ここに記載した発明をよりよく理解するため、いくつかの例を以下に挙げる。当然のことながら、これらの例は例示のみを目的としたものであり、本発明の範囲を決して限定するものではない。
(実施例)
(例1:熱劣化のみのPVCケーブル外装の押し込み試験)
一連のPVCケーブル外装サンプルを通風炉内において最大200日間110度で熱劣化させた。そして、本発明の1実施形態にかかるPPTを用いて、熱劣化したサンプルを試験した。
固有圧縮剛性の結果を図9に示す。経年劣化していないサンプルに対する11.9N/mmから、110度で200日間熱劣化されたサンプルに対する21.7N/mmまで、熱劣化日数に応じて、剛性の段階的な変化が見られる。初期変形から35%回復するのにかかる時間を図10に示す。回復時間は、50日後には約+75%、75日後には約+167%、100日後には約+392%、200日後には約+788%の変化であり、回復時間は、熱劣化期間の増加に非常に影響を受けやすいことが分かる。
(例2:照射のみのPVCケーブル外装の押し込み試験)
一連のPVCケーブル外装サンプルに、ガンマセル内において2〜60MRadの放射線量を照射した。そして、本発明の1実施形態にかかるPPTと標準的な破断時の伸び測定方法とを用いて、サンプルを試験した。ダンベル形状をしたPVCケーブル外装の試験サンプルを、ロイドLR5K引張試験機の空気圧グリップに置き、破断するまで引張を行った。EABパラメータは、破断時の伸び増加率として定義される。
これらの照射PVCケーブルに対する破断時の伸び参照データを、照射線量の関数として、図11に示す。当該グラフから、60MRadで、破断時の伸びが絶対量で50%、つまり、一般に認められているケーブルの寿命(IAEA―TECDOC―1188、2000年(上記文献))に相当する劣化レベルまで減少することが分かる。
照射PVCケーブル外装サンプルに対する固有圧縮剛性の結果を図12に示す。剛性パラメータは、照射による劣化に対して感受性が低い。これにより、文献(IAEA―TECDOC―1188、2000年(上記文献))で報告された先行研究にて判明したことが確認できる。
同じ照射サンプルに対する変形回復データを図13に示す。初期変形から35%回復する時間は、照射線量に応じて、ほぼ直線的に増加する。経年劣化していない状態から、平均回復時間は、10MRadで33%、20MRadで86%、30MRadで165%、60MRadで320%の増加が見られる。したがって、回復時間を利用したこの新たな手法で初めて、押し込み方法を用いた照射PVCの劣化評価方法を提供する。さらに、変形回復時間は、様々な照射レベルに対して測定されたEAB値と非常に良く相関し、どちらのパラメータも材料の劣化に対する感受性は極めて高い。破断時の伸びと初期変形の35%回復時間との良好な相関関係を図14に示す。
(例3:経年劣化していないシリコンサンプルと照射されたシリコンサンプルとに対する、振動モードのPPTを用いた動的パラメータの導出)
表1において、動剛性パラメータと粘弾性パラメータDとを、核施設で用いられるシリコン系ドアシール材の経年劣化していないサンプルと60Mrad照射したサンプルとに対して比較する。照射により、複素動剛性の実部k′は4.88N/mmから7.81N/mmに増加し、虚部k″は、0.89N/mmから0.45N/mmに減少する。粘弾性パラメータDは、5.48から17.3に増加する。経年劣化していないサンプルと照射したサンプルとに対する負荷と変位の関数を図20に示す。
本明細書に記載した出版物、特許、および、特許出願は全て、本発明に関する当業者の技術レベルを示しており、各出版物、特許、または、特許出願をそれぞれ引用して援用すると明記したものとしてその範囲をここに引用して援用する。
本発明はこのように記載されているため、各種変形を施してもかまわないのは自明であろう。このような変形例は本発明から逸脱したものとはみなされず、このような改良例は全て請求項の範囲内であることは当業者にとって自明であろう。

Claims (15)

  1. 高分子または弾性材料の物理的特性を測定する試験装置であって、
    (a)インデンタプローブと、
    (b)前記プローブと連動する電動式リニアスライドステージを備えた、前記プローブの動作を制御する駆動システムと、
    (c)前記高分子または弾性材料と前記プローブの先端とが接触している間に前記プローブの先端が受ける負荷を測定する手段、および、前記プローブの変位を測定する手段を備えた負荷/変位測定システムと
    を備える試験装置。
  2. さらに、試験中に前記高分子または弾性材料の全てまたは一部を固定するサンプル保持部を備える
    請求項1に記載の試験装置。
  3. 前記サンプル保持部は、第1可動式かみあい口金と、前記第1可動式かみあい口金に対向して設置された第2固定式かみあい口金とを備える
    請求項2に記載の試験装置。
  4. 前記駆動システムはナノステージとセラミックサーボモータとを備える
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の試験装置。
  5. 前記負荷を測定する手段はロードセルを備える
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の試験装置。
  6. 前記変位を測定する手段は光学式リニアエンコーダを備える
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の試験装置。
  7. さらに、温度センサを備える
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の試験装置。
  8. 前記駆動システムは、正弦波励振を発生させることにより前記プローブの変位を制御する
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の試験装置。
  9. 前記駆動システムは、
    (a)少なくとも5mmのステージ移動距離と、
    (b)約0.010μm〜約0.1μmのステップ分解能と、
    (c)約0.010μm〜約0.1μmの測定分解能と、
    (d)約30N〜約34Nのモータ動的失速力と、
    (e)約26N〜約30Nのモータ静止保持力と、
    (f)−10度〜50度のモータ動作温度範囲と
    を備える仕様である
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の試験装置。
  10. 前記駆動システムは、
    (a)約40mmのステージ移動距離と、
    (b)約10nmのステップ分解能と、
    (c)約10nmの測定分解能と、
    (d)約32Nのモータ動的失速力と、
    (e)約28Nのモータ静止保持力と、
    (f)約0度〜約50度のモータ動作温度範囲と
    を備える仕様である
    請求項9に記載の試験装置。
  11. 前記PPTの動作パラメータは、
    (a)約0N〜約20Nの負荷測定範囲と、
    (b)約5mm/sの最大位置決め速度と、
    (c)約0.1μmの最小位置決め分解能と、
    (d)約1μm〜約100μmの振動振幅と、
    (e)約0.1Hz〜約100Hzの発振周波数と、
    (f)約15度〜約50度の動作温度と
    である請求項1〜10のいずれか1項に記載の試験装置。
  12. 高分子材料の経年劣化試験方法であって、
    (a)プローブを用いて前記高分子材料の領域を変形させるステップと、
    (b)測定した前記プローブの変位と変形中に測定した前記プローブの先端が受ける負荷とから、前記高分子材料の固有圧縮剛性を算出するステップと、
    (c)負荷を緩和させるため、前記プローブを所定の押し込み深さに保持するステップと、
    (d)前記プローブを所定の中間位置に格納して、変形回復時間を測定するステップと
    を含み、
    前記固有圧縮剛性および前記変形回復時間は、高分子の経年劣化度合いの指標である
    試験方法。
  13. さらに、ステップ(a)に先立って、高分子材料を固定するステップを含む
    請求項12に記載の試験方法。
  14. さらに、前記プローブの先端を前記高分子材料に接触させるステップを含む
    請求項12または13に記載の試験方法。
  15. 前記高分子材料の粘弾性特性を示す複数のパラメータ(複素動剛性の絶対値、実部、虚部、および、前記インデンタプローブの変位を正弦関数的に変化させたときの位相と前記プローブの先端における反力が正弦関数的に変化するときの位相との差を計測することにより決定される粘弾性パラメータ)を導き出すために、振動モードを用いて前記電動式リニアスライドステージを可動させることにより、請求項1に記載のツールを利用する方法。
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