JP2012253072A - リチウムイオンキャパシタ - Google Patents

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健太郎 倉谷
Nobuhiko Takeichi
信彦 竹市
Tsutomu Iwaki
勉 岩城
Tetsuo Sakai
哲男 境
Kazuki Okuno
一樹 奥野
Masahiro Kato
真博 加藤
Masatoshi Mashima
正利 真嶋
Tomoyuki Awazu
知之 粟津
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Abstract

【課題】本発明は、放電容量が大きく、耐久性に優れたリチウムイオンキャパシタの高エネルギー密度、優れた高出力特性及び長寿命を可能にすることを課題とする。
【解決手段】負極用集電体としての三次元構造の金属多孔体に、リチウムを吸蔵脱離できる材料であって容量が800mAh/g以上である材料を活物質として充填してなる負極と、正極用集電体としての三次元構造の金属多孔体に活性炭を充填してなる正極と、リチウム塩を含む非水電解液とを備えたリチウムイオンキャパシタであって、その負極の充放電容量と正極の充放電容量との比(N/P値)を50〜400としたことを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。また負極電位をリチウム基準で0.05V以下にすることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明はリチウムイオンキャパシタに関する。
近年、キャパシタとくにリチウムイオンキャパシタがリチウムイオン電池とともに、小型携帯用として携帯電話やノート型パソコンなどの電源、家庭用として分散型蓄電システムなどの電源として使用されてきた。さらに環境保護や脱石油、省エネルギーの観点からハイブリッド車、さらには電気自動車用などの移動用電源用として用途の拡大が進んでいる。
キャパシタの種類は極めて多い。例えば電源回路用としては、アルミ電解コンデンサ、セラミックコンデンサ、タンタルコンデンサなどが使われている。電源そのものとしての用途に、近年、電気二重層キャパシタをはじめとした大容量のキャパシタが開発され、蓄電装置として利用されることが多くなりつつある。また、負極に活性炭、正極にリチウムイオン電池におけると同様の活物質を用いるハイブリッドキャパシタが登場した。これらキャパシタも容量が増すとともにメモリーバックアップ用から、二次電池例えばリチウムイオン電池と同様にノートパソコンの電源、ハイブリッド車や電気自動車の走行用電源としても使用可能となってきている。
本来、主としてキャパシタは高出力で長寿命を目的に開発、実用化が進められてきた。一方のリチウム系二次電池は、高エネルギー密度が要求される用途が多い。ところが高エネルギー密度とともに高出力密度が要求される場合が多い。例えば電動工具や重機用、ハイブリット自動車での回生エネルギーを充電するなどの用途では、充放電の深度は浅くても頻繁に大電流の充放電を繰返すことが要求される。このような用途に対して二次電池とともにキャパシタが今後とも一層対応力を高める必要がある。この場合は、とくに内部抵抗を小さくすることで、大電流の瞬時の出入力は当然として、余分な発熱を抑えて電力ロスを少なくし、同時に長寿命であることが必須となる。
これら高出力、高エネルギー密度、低廉化、安全性の向上などを目指して、リチウム二次電池とともにリチウム系キャパシタの正極酸化物及び負極炭素系材料の改良が進められている。とくに負極材料として、黒鉛が広く使われているが、黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりはるかに大きいリチウム吸蔵能を持つケイ素、スズ、ゲルマニウム、インジウムなどとリチウムとの合金系材料あるいはケイ素、スズ、ゲルマニウム、インジウムなどの酸化物系などの酸化物系材料が注目されている(例えば特許文献1参照)。
キャパシタの中で電気二重層リチウム系キャパシタには、一般に両極ともに活性炭が使用される場合が多い。例えば特許文献2には、電気二重層キャパシタの特徴と、リチウムイオン二次電池の特徴を併せ持つリチウムイオンキャパシタとして活性炭を含む分極性電極からなる正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る負極活物質を含む負極と、リチウムイオンを含む有機電解液とを備えるリチウムイオンキャパシタが記載されている。
また、電極の集電体としては、汎用のリチウムイオン電池やキャパシタのいずれにも、正極用にアルミニウム箔、負極用に銅箔が用いられている。特許文献2にもその記載がある。しかし、アルカリ二次電池用電極技術の延長上からスクリーン、エキスパンドメタルなどの二次元構造多孔体や発泡状金属のような三次元構造の集電体も注目されている。たとえば発泡状ニッケルにクロムの含有率が25質量%以上の発泡状ニッケルクロム集電体が特許文献3に記載されている。
次に、用いる電解液としては非水系で有機溶媒に塩を溶解した有機電解液が用いられる。有機電解液としては、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、ブチレンカーボネイト、ジメチルカーボネイト、ジエチルカーボネイト、エチルメチルカーボネイトなどの有機溶媒にLiClO4,LiBF4、LiPF6などのリチウム塩を溶解したものを用いるのが一般的である。
また、本願発明が対象としている正極の活物質量で負極活物質量を割った負極と正極との容量比(いわゆるN/P値)がリチウムイオン電池やキャパシタを設計する上でも重要であることが特許文献4に述べられている。
通常、ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池、鉛蓄電池など汎用の水系電解液を使用する二次電池では、密閉を可能にするために、負極と正極の容量比すなわちN/P値がきわめて重要であり、少なくとも1以上であることが不可欠である。つまり、過充電時に電解液中の水を分解して正極から発生する酸素を負極で水に戻すことで密閉が可能になっている。正極の充電が終了した時点で、負極に未充電の容量がないと負極からは水素が発生し、水の電解により電解液中の水が無くなり、密閉化は不可能である。その点からは密閉を保つためにはN/P値をできるだけ大きくすることが好ましいが、電池としてのエネルギー密度の低下や価格の点で限度があり、通常N/P値として1.5〜3.0程度が採用されている。
一方、有機電解液を用いるキャパシタやリチウム系二次電池では、有機溶媒が使われていて溶媒の分解は避けなければならないので、充電は一定の充電電位に達すると遮断されるように設計されている。したがってN/P値は水系電解液二次電池ほど重要ではない。それでも、特許文献4には、負極と正極の容量比N/P値として1.2〜1.4を維持するのが電池やキャパシタの業界では通常であるとしている。その理由としてリチウム二次電池やリチウム系キャパシタでは、充放電時に正極から放出された陽極イオンが負極に吸収される充分なリザーブ(reserve)を確保するためであると記載されている。例えば、正極と負極の容量比が1以下であると、電池やキャパシタ内部で金属リチウムの析出、電解液の漏液による充放電性能の低下が生じ、場合によっては電池の内圧が上昇して爆発する危険性も含んでいると述べられている。
さらにキャパシタやリチウムイオン電池を製造するに当たっては、高容量化、高電圧化、長寿命化のために、活物質にあらかじめリチウムイオンを担持(ドーピング)する工程が採用されている。この技術は古くから用いられていて、例えば特許文献5には、リチウムを担持させた電極を用いてリチウムイオン電池あるいはキャパシタを製造することが記載されている。その方法としてリチウム金属粉末と電極材料をあらかじめ混合しておく、電極を製造後にリチウム金属箔と接触させるなどが挙げられている。後者は一種の短絡法ともいえる。また前記特許文献2には、リチウムのドーピング法として、負極とリチウム金属箔を、セパレータ(ポリプロピレン製不織布)で挟んでビーカーセルにセットし、所定量のリチウムイオンを約10時間かけて負極に吸蔵させた。リチウムのドープ量は、負極容量の約75%としたことが記載されている。
特開2009−76372号公報 特開2009−130066号公報 特開2009−176516号公報 特開平11−214027号公報 特開平3−233860号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、エネルギー密度、放電電圧が向上し、良好な高率放電特性が得られる有機電解質系リチウムイオンキャパシタを提供することを目的とする。
現在、負極の材料として、キャパシタには活性炭が、リチウムイオン電池には黒鉛材料などの炭素系材料が広く使われている。一方、黒鉛の理論容量(372mAh/g)をはるかに超えるリチウム吸蔵能を持つ材料及びその化合物としてケイ素、スズ、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、インジウムなどとリチウムの合金系材料あるいはケイ素、スズ、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、インジウムなどの酸化物系材料がかなり以前から注目されてきており、一部実用化されている。
とくにケイ素系酸化物は質量あたりのリチウム吸蔵能は高く、電池の高エネルギー密度化において有望な材料とされている。しかし、初期効率が低いこと、リチウム吸蔵時に体積変化が炭素系材料よりも大きいので、作製した電池のエネルギー密度は、活性炭や黒鉛系材料を負極に用いたリチウム系キャパシタやリチウム系二次電池と比べて、エネルギー密度向上の効果は少なく、充放電特性の点で劣るという問題点があった。つまり、これら材料及びその化合物は、充放電を繰返すことによる材料の体積増加あるいは微粉化が避けられないことがその主な原因である。その改良のために炭素材料との混合や特許文献3に示した耐電解液性、耐酸化性に優れた三次元構造の金属多孔体を集電体とする方法の提案があり、材料あるいはその化合物の使用が可能になった。しかし、さらに、高エネルギー密度や長寿命化、材料の資源性に関してのリチウムイオンキャパシタへの期待がある。
とくに活性炭を正極とし、負極に800mAh/g以上の充放電容量(以下単に「容量」ともいう)を持つ材料あるいはその化合物を用いたリチウムイオンキャパシタがリチウムイオン電池に近いエネルギー密度、出力特性、充放電サイクル特性を得ることが出来れば、キャパシタとしてさらなる用途拡大が期待できる。
本発明者らは、三次元構造の金属多孔体を集電体に活物質を充填した負極及び正極を備えたリチウムイオンキャパシタにおいて、リチウムを吸蔵脱離できる充放電容量が800mAh/g以上の活物質を充填してなる負極と、活性炭を充填してなる正極と、リチウム塩を含む非水電解液とを備え、負極の充放電容量と正極の充放電容量との比(N/P値)を50〜400としたリチウムイオンキャパシタが上記の課題を解決することができることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の構成を備えたリチウムイオンキャパシタである。
(1)負極用集電体としての三次元構造の金属多孔体に、リチウムを吸蔵脱離できる材料であって容量が800mAh/g以上である材料を活物質として充填してなる負極と、正極用集電体としての三次元構造の金属多孔体に活性炭を充填してなる正極と、リチウム塩を含む非水電解液とを備えたリチウムイオンキャパシタであって、その負極の充放電容量と正極の充放電容量との比(N/P値)を50〜400としたことを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
(2)前記負極の充放電容量と正極の充放電容量との比(N/P値)が、55〜200であることを特徴とする(1)に記載のリチウムイオンキャパシタ。
(3)負極の充放電容量と正極の充放電容量との比(N/P値)が、60〜160であることを特徴とする(1)に記載のリチウムイオンキャパシタ。
(4)リチウムイオンキャパシタを構成する前の負極活物質にリチウムが担持(ドープ)されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
(5)正極用集電体に用いる三次元構造の金属多孔体の材料が、ニッケルクロム合金であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
(6)前記容量が800mAh/g以上である材料が、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、これらの元素の酸化物及びこれらの元素とリチウムとの合金よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
(7)負極電位がリチウム基準で0.05V以下であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
(8)前記容量を800mAh/g以上を有する材料が酸化ケイ素(SiО)であることを特徴とする(6)又は(7)に記載のリチウムイオンキャパシタ。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、エネルギー密度、放電電圧が高く、良好な高率放電特性を示す。
正極2と負極1とを組み合わせたリチウムイオンキャパシタA(N/P値:110)の放電曲線を示す図である。 正極3と負極4を組み合わせたリチウムイオンキャパシタB(N/P値:7)の放電曲線を示す図である。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、リチウム塩を含む非水電解液を用いた、エネルギー密度、出力特性、充放電サイクル特性を向上させたリチウムイオンキャパシタである。
すなわち、本発明の特徴は、リチウムイオンキャパシタの負極と正極の容量比(N/P値)に注目し、その値を従来よりも大幅に大きくすることにある。具体的にはN/P値の具体的な好ましい値として、50〜400を選ぶ。N/P値のより好ましい値は55〜200であり、更に好ましくは60〜160である。このことにより、本発明のリチウムイオンキャパシタは、キャパシタでありながらリチウム系二次電池に近いエネルギー密度を持ちつつ高出力、長寿命を可能にすることができ、また、資源としてもコバルト、希土類など貴金属や稀金属を用いる必要がないという長所を有する。
この本発明の特長を発揮させるために、本発明においては、正極、負極ともにその集電体として三次元構造の金属多孔体を用いる。すなわち、正極の活物質である活性炭及び負極の活物質であるケイ素、スズなどの材料あるいはその酸化物等を充填する集電体として、従来用いられている正極の集電体としてのアルミニウム箔、負極の集電体としての銅箔の代わりに、正極、負極ともにその集電体として三次元構造の金属多孔体を用いる。
三次元構造の金属多孔体としては、活物質の充填性や多孔度の点で、発泡状ニッケル、不織布状ニッケル等、発泡ウレタンや不織布を基材としたものを好ましく用いることができる。三次元構造体としては、その他にも、金属板に多数の小孔をあけたものや、金属板に凹凸を設けて擬似的に3次元構造としたもの、焼結体や連通気孔を有する構造体などもあるが、発泡ウレタンや不織布を基材として得られた三次元構造の金属多孔体が最適である。
三次元構造の金属多孔体への活物質の充填は、活物質等をスラリー状にし、このスラリーを圧入法などの公知の方法によって充填すればよい。他には、例えば、スラリー中に集電体を浸漬し、必要に応じて減圧工程を加え、スラリーを集電体の一方面からポンプ等で加圧しながら充填するなどの方法も採用できる。
まず、正極用の活物質である活性炭は通常導電助剤としてカーボンブラック、増粘剤、バインダを添加してスラリーとして集電体に充填する方法が最も好ましい。一方の負極として金属を箔として活物質とする提案があるが、本発明においては三次元構造集電体に正極と同様に金属粉あるいは金属酸化物などとカーボンブラック、増粘剤、バインダを添加してスラリーとして集電体に充填する方法が適している。
導電剤としては、カーボンブラック(ケッチェンブラック、アセチレンブラック等)の他に、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛なども使用可能である。しかし、導電性などの観点からケッチェンブラックが最も好ましい。導電助剤の添加量は、重量比で0.1〜10部程度が好ましい。
また、バインダとしてはPVdFのNMP溶液を用いることができるが、その他にポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなども用いることができる。これらはエマルジョンや水溶液として用いることが出来ることから注目されている。バインダの添加量は、材料にもよるが、重量比で0.5〜10%程度が好ましい。0.5%未満であると活物質の保持性に劣り、10%を超えると、容量が小さくなるとともに電気抵抗も大きくなる。
正極、負極ともに、活物質スラリーを充填した後、乾燥させて有機溶媒を除くことが好ましい。その後、スラリーを充填した後、ローラープレス機等により加圧することにより、圧縮成形することが好ましい。加圧前後の厚さには限定はないが、圧縮前の厚さは、250〜1500μm程度、加圧後の厚さは、通常100〜800μm程度とすることが好ましい。キャパシタには、リード端子が具備されていることが好ましい。キャパシタの構造としては、板状、ボタン型、角型、円筒型など、用途に応じて汎用の構造を採用すればよい。
このようにして正極には活性炭を用い、負極にはリチウムを吸蔵脱離でき、容量が800mAh/g以上である材料あるいはその酸化物を主とした負極活物質を充填してリチウムイオンキャパシタを構成する。ここで、このリチウムイオンキャパシタにおいて、その負極の計算容量を正極の計算容量の50〜400倍とした、リチウム塩を含む非水電解液を用いたリチウムイオンキャパシタを構成することにより、高容量、高出力、長寿命などを達成するものである。
このような従来考えられなかった大きなN/Pで本発明の目的を達成するためには、正極用集電体として金属箔や二次元構造の集電体ではなく三次元構造の金属多孔体を用いることが必要で、三次元構造の金属多孔体としては耐酸化性、耐電解液性の観点からニッケルクロム合金が最適である。また負極用集電体としては、その他に三次元構造のニッケル多孔体も使用可能である。
また、キャパシタにおける正極活物質は、リチウムイオン電池に用いるようなリチウム含有遷移金属酸化物である必要はなく活性炭で十分である。このようにリチウムイオンキャパシタの高容量化のためには、正極の容量も大きい方が好ましく、活性炭を負極同様に金属多孔体、とくに発泡状ニッケルクロム集電体に充填して用いることが好ましい。
正極の活物質として用いる活性炭としては、その原料として、よく知られているように廃木材、ヤシ殻、パルプ廃液、石炭、石油重質油、石炭・石油系ピッチや各種樹脂などが用いられている。得られた活性炭については賦活処理を施すのが一般的である。賦活法としては、高温下で水蒸気、炭酸ガス、不活性ガス中の酸素等と反応させる方法や塩化亜鉛、水酸化ナトリウムなどの薬品によって処理する方法が一般的である。また、活性炭の粒径としては、20μm以下、比表面積としては、1000〜3000m/g程度が望ましい。
一方、負極に用いるリチウムを吸蔵脱離できる容量800mAh/g以上の材料としては、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、これらの元素の酸化物、これらの元素とリチウムとの合金などが挙げられる。
また、リチウムイオンキャパシタを構成する前の負極活物質にリチウムが担持(ドープ)されていることが重要である。一般に負極にリチウムイオンを吸蔵させることは、放電でリチウムイオンを正極に充分供給するために好ましい手段であり、セル電圧を上げることも可能になる。負極にリチウムイオンを吸蔵させることは正極に三次元構造の集電体を用いて高容量を可能にするためにも必要な工程である。その方法としてはリチウム金属粉末と電極材料をあらかじめ混合しておく方法、電極の製造後に電極をリチウム金属箔と接触させるなどがある。後者は一種の短絡法ともいえる。
本発明に係るリチウムイオンキャパシタは以下の方法により製造することができる。そのキャパシタの基本的な構成は従来通りであり、一対の正極、負極と、この電極間に配置された電解液が含浸されたセパレータとから成っており電槽に収納されている。
なお、セパレータとしては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、ガラス繊維等の公知の多孔体を用いることができる。セパレータの平均孔径は特に限定されないが、孔径0.01μm〜5μm程度、多孔度30〜70%、厚さは10μm〜100μmが採用できる。
以下、本発明のリチウムイオンキャパシタの実施例を示す。しかし、これらの実施例は例示であって、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲の範囲によって示され、特許請求の範囲の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
[負極の作製]
(集電体)
三次元構造の金属多孔体の集電体としては、発泡状ニッケルにクロムを含む浸透材を充填して還元雰囲気で加熱する粉末パック法を用いてクロマイジング処理をして作製された発泡状ニッケルクロム合金集電体を用いた。
発泡状ニッケルは、ウレタンシート(平均孔径90μm、厚さ1.4mm、多孔度96%の市販品)に導電処理後、350g/m2のニッケルめっきが施され、ウレタンを除去後に還元性で加熱して作製されたものである。
クロマイジング処理は、前記発泡状ニッケルの基材に、クロム粉末とハロゲン化物、アルミナを混合した浸透材(クロム:90%、NH4Cl:1%、Al23:9%)を充填して水素ガス雰囲気中で800℃に加熱することにより行った。得られた発泡状ニッケルクロム基材のクロムの含有量は30重量%で、厚さは1.4mmであった。
これを多孔度96%、孔径100〜400μmで、あらかじめ250、500、1000、1300μmに厚さを調節し、金型で直径11mm円状に打抜いた発泡状ニッケルクロムを集電体とした。
(負極活物質)
負極活物質として酸化物形材料である酸化ケイ素SiО (計算容量密度1500mAh/g)を用いた。市販の平均粒径約5μmのSiОを重量比で80に対して、導電剤としてケッチェンブラック(KB)5、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)15、溶媒N−メチル−2−ピロリドン(NMP)100を混合機で攪拌しながらバインダを溶媒に溶解してスラリーを得た。
(集電体への負極活物質の充填)
前記で得た集電体に前記スラリーを圧入することによって充填し、乾燥、加圧して負極を得た。
(負極へのリチウムドープ)
上記で得た負極に、直径13mm、厚さ100μmのリチウム箔を接触させて50℃中で1夜放置した。この操作により、負極に圧着したリチウムがイオン化して負極の酸化ケイ素に吸蔵される。
リチウムドープ後の負極電位はリチウム基準で0.05V以下であった。
[正極の作製]
(集電体)
正極の集電体として、負極に用いたと同じ発泡状ニッケルクロム多孔体を用いた。
正極では、発泡状ニッケルクロム多孔体を厚さ500、780、1300μmに調節し、負極と同様に金型で直径11mm円状に打抜いて正極用の集電体とした。
(正極活物質)
アルカリ処理により賦活した表面積(1500m/g)、平均粒径15μmの活性炭(市販品)を用いた。
また、活物質の重量比80に対して、導電剤としてKBを5、PVdFを15、NMP100を混合機で攪拌しながらバインダを溶媒に溶解して正極用スラリーを得た。
(集電体への負極活物質の充填)
前記正極用の集電体に前記正極用スラリーを圧入法によって充填し、乾燥、加圧して正極を得た。
[キャパシタの作製]
上記で得た直径11mmの円状の正極及び負極を用い、両電極の間にポリプロピレン製のセパレータ(厚さ25μm)を挟んで対向させてセルを構成し、R2032サイズのコインセルケースに収納し、体積比1:1のエチレンカーボネイト(EC)とジエチルカーボネイト(DEC)に1mol/lのLiPFを溶解した電解液を用いて電極及びセパレータに含浸した。さらに、プロピレン製の絶縁ガスケットを介してケース蓋を締めて封口して、コイン形のリチウムイオンキャパシタAを作製した。
このように作製した負極1〜3及び正極1〜4の電極の調厚後厚さと加圧後厚さ及び活物質充填量を表1及び表2に示した(但し、負極4、負極5及び正極4については金属箔を用いているため調厚後厚さは記載していない)。また、表1には比較として銅箔を集電体とした電極4、5についても示した。表2には比較としてアルミニウム箔に活性炭スラリーを用いて作製した正極4についても示した。
上記負極及び正極を用いて作製したリチウムイオンキャパシタのN/P値を表3に示した。
N/Pは以下のようにして求めた。負極活物質であるSiOの容量を1500mAh/g、正極活物質である活性炭の容量を30mAh/gとし、それぞれの電極に含有されているSiOおよび活性炭の重量をかけたものをそれぞれの電極の容量とした。このようにして求めた負極の電極容量を正極の電極容量で割った値をN/P比とした。N/P比は集電体に充填する活物質の量を変化させることで調節した。
Figure 2012253072
Figure 2012253072
Figure 2012253072
図1に正極2と負極1を組み合わせたリチウムイオンキャパシタA(N/P値:110)の放電曲線を示す。図1から明らかなように、4Vから2Vにかけて直線的な放電曲線を描いており、リチウムイオンキャパシタAはキャパシタとして正常に機能している。容量は約1.0mAh/cmである。
図2に正極3と負極4を組み合わせたリチウムイオンキャパシタB(N/P値:7)の放電曲線を示す。4Vから2Vにかけて放電曲線が屈曲しており、リチウムイオンキャパシタBはキャパシタとして正常に機能していないことが分かる。
以上の実施例の結果から正極、負極ともに三次元構造の金属多孔体に、正極には活性炭を充填し、負極には容量800mAh/g以上の酸化ケイ素を充填し、負極計算容量と正極計算容量の比すなわちN/Pを50〜400、とくに60〜160を採用することにより、リチウム系二次電池に近いエネルギー密度、高出力密度、長寿命が得られ、資源性にも優れたリチウムイオンキャパシタが得られた。
本発明の新規技術を導入したリチウムイオンキャパシタは、携帯用、移動用、緊急用、その他の一般、産業用の電源として用途の拡大が可能になると思われる。

Claims (8)

  1. 負極用集電体としての三次元構造の金属多孔体に、リチウムを吸蔵脱離できる材料であって容量が800mAh/g以上である材料を活物質として充填してなる負極と、正極用集電体としての三次元構造の金属多孔体に活性炭を充填してなる正極と、リチウム塩を含む非水電解液とを備えたリチウムイオンキャパシタであって、その負極の充放電容量と正極の充放電容量との比(N/P値)を50〜400としたことを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  2. 前記負極の充放電容量と正極の充放電容量との比(N/P値)が、55〜200であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  3. 負極の充放電容量と正極の充放電容量との比(N/P値)が、60〜160であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  4. リチウムイオンキャパシタを構成する前の負極活物質にリチウムが担持(ドープ)されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
  5. 正極用集電体に用いる三次元構造の金属多孔体の材料が、ニッケルクロム合金であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
  6. 前記容量が800mAh/g以上である材料が、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、これらの元素の酸化物及びこれらの元素とリチウムとの合金よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
  7. 負極電位がリチウム基準で0.05V以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
  8. 前記容量を800mAh/g以上を有する材料が酸化ケイ素(SiО)であることを特徴とする請求項6又は7に記載のリチウムイオンキャパシタ。

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