JP2012250425A - 人工木材及びその製造方法 - Google Patents

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孝志 ▲蓮▼見
Takashi Hasumi
Yosaku Ikeo
陽作 池尾
Hidefumi Yamauchi
秀文 山内
Yasushi Kurimoto
康司 栗本
Takanobu Sasaki
貴信 佐々木
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Abstract

【課題】木材様の外観を有し、厚さが均一であり、経時的な反りの発生が抑制された人工木材、及び、該人工木材の簡易な製造方法を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂硬化物中に、天然繊維を撚り合わせて形成された紐状物を長さ方向が互いに接触するように2本以上並列に配列させた繊維集合体を有する人工木材であり、熱硬化性樹脂の含有量は、天然繊維100質量部に対し、5質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は天然繊維を用いた人工木材及びその製造方法に関する。
近年、環境問題への関心の高まりから、環境負荷低減材料としての天然素材が注目され、天然繊維や木材の使用が求められている。
しかしながら、内装材や構造材に適用される木材はそれ自体の強度が不足することもあり、さらに、高品質の木材は高価であったり、入手が困難であったりという問題がある。そこで、天然繊維を樹脂で固化した人工木材が検討されている。人工木材の製造方法としては、麻繊維等の紡績糸を一方向以上に引き揃えて熱可塑性樹脂を含浸し、硬化させる方法等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、ヤシ繊維の集合体、回収繊維の集合体を繊維強化プラスチックの強化繊維として用いた樹脂成形体が提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。
強度を向上させる目的で竹繊維或いは竹繊維を撚り合わせたものを引き揃え、金型内で熱硬化性樹脂を添加して加熱、加圧成型する竹繊維強化プラスチックが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
一方、所定の長さを有する木質繊維束を製造する方法として、竹を押潰し状態の短冊状竹片とし、所定の形状の回転内筒とその外周面に軸方向に並列して取付けてあるインペラーと、内周面に解繊細溝を有する外筒を有する解繊機を用いて、所定の径まで解繊された竹繊維束を取出す竹繊維製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法によれば、解繊を物理的な応力のみで行うため、得られた竹繊維束にはヘミセルロースなどの成分が付着しており、また、所望されない傷が発生して、均一で、且つ、不純物の少ない木質繊維束を得ることは困難であった。
特開2007−138361公報 特開2005−254695公報 特開2005−307033公報 特開2005−150819公報
上記特許文献1〜3に記載の技術は、いずれも樹脂の強化繊維として天然繊維を用いたものであり、用いられる天然繊維原料に起因して木材様の外観を示すものの、一般に使用される木材と比較し、曲げ強度、引張強度のいずれも十分ではなく、且つ、経時により繊維と樹脂の収縮率の違いから人工木材に反りが生じる懸念があり、実用上、木材の代替品として使用するにはなお改良が必要であった。また、特許文献4に記載の繊維強化プラスチックでは、一定方向に引き揃える際に、竹繊維の太さや長さが不均一であるために均一な厚みの成形体が得難いこと、竹繊維を高圧釜で煮沸して得るために製造装置が大規模となり、製造方法が煩雑で量産が困難であることなどの問題がある。
上記問題点を考慮してなされた本発明の目的は、木材様の外観を有し、厚さが均一であり、経時的な反りの発生が抑制された人工木材、及び、該人工木材の簡易な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、検討の結果、天然繊維を撚り合わせた紐状物と熱硬化性樹脂とを組みあわせて用いることで、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の構成は以下の通りである。
<1> 熱硬化性樹脂硬化物中に、天然繊維を撚り合わせて形成された紐状物を長さ方向が互いに接触するように2本以上並列に配列させた繊維集合体を有する人工木材。
本実施形態では、天然繊維を撚り合わせた紐状物を用いることで、天然繊維の継ぎ目による厚さのムラを無くすことができ、天然繊維が規則正しく絡み合うことで配向性がなくなり、得られた人工木材の反りを防止できる。また、結合材として熱硬化性樹脂を使用しているため、強度と耐熱性の高い人工木材となる。
<2> 前記熱硬化性樹脂の含有量が、前記天然繊維100質量部に対し、5質量部以上30質量部以下である<1>に記載の人工木材。
本実施形態では、天然繊維に対する結合材としての熱硬化性樹脂の添加量を上記範囲とすることで、天然繊維の外観を生かしつつ、より高強度の人工木材とすることができる
<3> 前記天然繊維が竹繊維である<1>又は<2>に記載の人工木材。
天然繊維として成長の早い竹繊維を用いることで環境負荷の低減が達成されるとともに、より高強度の人工木材とすることができる。
<4> 前記竹繊維が、pH10以上、温度20℃〜80℃のアルカリ溶液中で1時間以上168時間以下の条件で処理した竹繊維である<3>に記載の人工木材。
竹繊維をアルカリ処理により得ることで、他の方法で得たものに比較し、より高強度で均一な竹繊維を簡易に得ることができる。
<5> 前記紐状物が、前記天然繊維を束ねたバンドルを2本以上8本以下で撚り合わせた紐状物である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の人工木材。
紐状物を形成するための天然繊維の本数を上記範囲とすることで、繊維間への結合材としての熱硬化性樹脂が均一に浸透するために、形成された人工木材がより高強度となり、且つ、反りの防止効果が向上する。
<6> 前記紐状物が、天然繊維を1.2g/m以上6.6g/m以下に束ねたバンドルを撚り合わせた紐状物である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の人工木材。
<7> 前記繊維集合体が、平面状に一方向に引き揃えた紐状物における複数の紐状物同士を横糸または接着剤により該紐状物を引き揃えた方向と垂直方向に固定化した固定部を有する繊維集合体である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の人工木材。
<8> 前記繊維集合体における紐状物の長さが300mm以上6000mm以下であり、且つ、横糸又は接着剤による固定化部が、紐状物の長さ方向の8mm以上500mm以下の間隔で設けられている<7>に記載の人工木材。
引き揃えた紐状物からなる繊維集合体において紐状物の垂直方向に固定部を設けることで紐状物のばらつきが抑制され、得られる人工木材の厚みをより均一とすることができる。このような固定部は、一定の間隔を置いて複数箇所に設けることでその効果が著しく、間隔を500mm以下とすることで、加熱圧縮固化の際に生じる紐状物のばらつきを抑制できるため、高強度化に有効であり、8mm以上とすることで、固定部が多すぎることにより、強度に寄与する天然繊維紐状物が相対的に少なくなるという事態が防止される。
<9> 天然繊維を撚り合わせて形成された紐状物を長さ方向が互いに接触するように2本以上並列に配列させた繊維集合体を作製する工程と、該繊維集合体に熱硬化性樹脂を含浸させる工程と、熱硬化性樹脂を硬化させる工程と、をこの順に有する人工木材の製造方法。
この方法によれば、高強度で反りの発生が抑制された人工木材が簡易な製造方法で得られる。
<10> 前記繊維集合体に熱硬化性樹脂を含浸させる工程の後に、熱硬化性樹脂を含浸させた複数の繊維集合体を複数層積層する工程を有する<9>に記載の人工木材の製造方法。
この方法によれば、より厚みのある人工木材とすることができる。
<11> 前記繊維集合体に熱硬化性樹脂を含浸させる工程の前又は後に、前記繊維集合体を型枠内に配置する工程をさらに含む<9>又は<10>に記載の人工木材の製造方法。
型枠内で成型することで人工木材の形状や厚みの自由度が向上される。
<12> 前記繊維集合体が、前記複数の紐状物同士を横糸または接着剤により固定化した固定部を有する繊維集合体であり、前記繊維集合体を複数積層する工程において、隣接する繊維集合体における前記固定部同士が互いに重ならないように積層される<10>又は<11>に記載の人工木材の製造方法。
この方法によれば、繊維のばらつきが抑制され、且つ、固定部において生じる厚みのばらつきやそれに起因する応力の集中が抑制され、さらなる高強度化が達成される。
<13> 前記熱硬化性樹脂を硬化させる工程の後に、得られた人工木材を複数層積層し、積層された人工木材同士を接着剤で接着する工程をさらに含む<9>〜<12>のいずれか1つに記載の人工木材の製造方法。
この方法によれば、より厚みの大きい、高強度の人工木材が製造され、建築物の構造材としても有用な人工木材とすることができる。
本発明によれば、木材様の外観を有し、厚さが均一であり、経時的な反りの発生が抑制された人工木材、及び、該人工木材の簡易な製造方法を提供することができる。
本実施形態の人工木材を示す概略斜視図である。 天然繊維バンドルから紐状物を作製するフローを示す概略図である。 横糸による固定部を有する繊維集合体を示す概略図である。 固定部を有する繊維重合体を複数積層した状態を示すモデル図である。 アルカリ処理後に、回収された竹繊維の状態を示す光学写真である。 横糸による固定部を有する繊維集合体の状態を示す光学写真である。
以下、本発明を、図を参照して、その製造方法とともに具体的に説明する。
図1は、本実施形態の人工木材の概略斜視図である。人工木材10は、天然繊維を撚り合わせて形成された紐状物12を互いに接触するように並列に配列してなる繊維集合体が熱硬化性樹脂硬化物14中に存在することを特徴とする。
即ち、本実施形態の人工木材10は、天然繊維を撚り合わせてなる紐状物12を引き揃えてなる繊維集合体を、熱硬化性樹脂14を結合材として繊維同士を互いに固定化するように熱硬化性樹脂を硬化させることで形成された平板状の硬化物である。通常、熱硬化性樹脂は透明であるために、得られた人工木材10は、天然繊維からなる紐状物12を並列させた繊維集合体の外観を反映し、木材様の外観を示す。
本実施形態の人工木材を製造するには、まず、天然繊維を複数本撚り合わせた紐状物を作製し、得られた紐状物を複数本、互いに接触するように並列に配列された繊維集合体を作製する。
天然繊維としては、強度の観点からは、ある程度の太さと長さを有するものが好ましく、素材としては、綿、麻などの繊維、木材を解繊して得られる木質繊維や竹を解繊して得られる竹繊維などが挙げられ、強度と入手容易性の観点から竹繊維が好ましい。
竹繊維としては、1.2g/m〜6.6g/mの竹繊維バンドルが好ましく、これを2本〜8本撚り合わせて紐状物とすることが好ましい。
竹繊維バンドルは6.6g/m以下とすることで、紐状物の撚り合わせに緩みが生じ難くなり、高強度の紐状物が得られ、1.2g/m以上とすることで、十分な竹繊維の量となり撚り合わせが容易に行え、紐の解れを抑制できる。したがって、竹繊維バンドルは1.2g/m〜6.6g/mが望ましく、1.5g/m〜6.0g/mがより好ましく、1.8g/m〜5.4g/mが最も好ましい。
繊維を撚り合わせて紐状物とする際には、一度に撚り合わせる本数を2本〜8本とすることが好ましい。8本以下とすることで、繊維同士の空隙内に樹脂が十分に含浸され、高強度の人工木材が得られる。撚り合わせる本数は、2本〜6本がより望ましい。
紐状物の太さ(又は単位長さあたりの重量)は、得られる人工木材の使用目的に応じて適宜選択されるが、通常の厚み3mm〜100mm程度の板状の人工木材を得る場合には、2.4g/m〜19.8g/mであることが好ましく、3.6g/m〜16.2g/mであることがより好ましい。
次に、本実施形態に好適に使用される竹繊維の製造方法について説明する。
竹繊維は、繊維にヘミセルロース等が付着しており、これを除去することが好ましい。従って、高温、高圧処理或いはアルカリ処理を行って繊維表面に付着した、ヘミセルロース等を除去する。工程の簡便性からはアルカリ処理を行うことが好ましい。アルカリ処理工程では、まず竹を切断して節を取り除き、節を取り除いた円筒形の部分を必要に応じて2片以上に切断する。
長さとしては特に制限はないが、得ようとする紐状物の強度の観点からは、10mm以上であることが好ましく、50mm以上であることがより好ましい。また、断面積が3cm以内となるように切断させることが処理効率の観点から好ましい。
得られた竹の切断片をpH10以上のアルカリ水溶液中で処理する。このとき、アルカリ条件下で活性なセルロース分解酵素を作用させることがより好ましい。アルカリ処理工程を経ることで、竹繊維同士を結束しているヘミセルロース等が除去され、繊維束鞘を中心とする竹繊維が得られる。
このアルカリ処理に用いられるアルカリ水溶液のpHは10以上であれば特に制限はない。
このようなアルカリ水溶液中に、竹の切断片を浸漬し、20℃〜80℃の温度条件下で、1〜168時間の範囲で処理される。
酵素を使用する場合、pHは好ましくは12〜13、温度条件は、好ましくは、25〜35℃の範囲であり、処理時間は、より好ましくは、6〜120時間の範囲である。酵素を使用しない場合、pHは好ましくは13〜14、温度条件は、好ましくは、60〜80℃の範囲であり、処理時間は、より好ましくは、3〜24時間の範囲である。
アルカリ水溶液は、公知のアルカリ剤、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
などを用い、pHを測定しながら、これらを適切な量、水に溶解して調整することができる。pHの微調製は、アンモニアや無機酸類などの公知のpH調整剤を用いて行うこともできる。また、pHの測定は公知の方法、例えば、pH電極を用いる方法や、呈色反応を示すpH試験紙による方法などにより行うことができる。
アルカリ水溶液の溶媒となる水には特に制限はなく、工業用水、水道水、イオン交換水、純水などを用いることができるが、アルカリ性の調整や、酵素に対する影響を考慮して、有機質の不純物が少なく、酸性物質を含まない水を選択して用いることが好ましい。
特に好ましくは、酵素を使用する場合、1000mlあたり水酸化ナトリウム0.4g〜4.0gを溶解させた水溶液が用いられ、酵素を使用しない場合1000mlあたり水酸化ナトリウム4.0g〜40.0gを溶解させた水溶液が用いられる。
アルカリ処理により竹繊維を得る方法としては、本願出願人が先に提出した特開2009−154387公報及びに詳細に記載され、この方法を本願発明における竹繊維の調製に用いてもよい。
所定時間浸漬し、アルカリ処理を経た後、竹片から繊維束同士を互いに接着させていたヘミセルロースなどが除去され、直径0.1〜3mm程度、長さが短冊状に加工した竹片の長さとほぼ同一の繊維束が得られる。ここで、アルカリ水溶液を除去し、その後過剰の水で洗浄して残存するアルカリ成分を除去し、以下に挙げるような任意の方法で解繊し、繊維束を取り出す。
上記解繊の方法としては、櫛を用いて手作業で処理物を抄く方法、機械的に振動や衝撃を加えて、柔組織をふるい落とす方法などが挙げられる。
アルカリ処理を施す方法を用いることにより、短冊状に加工された竹片の長さと略同一の長さを有し、繊維の表面における不純物の付着を良好に抑制した高純度な竹繊維束を得ることができる。
次に解繊された複数の竹繊維を束ねたバンドル11を撚り合わせて紐状物12を形成する。図2は、紐状物の作製手順を示すフローである。
図2Aのように回収した竹繊維を1.2g/m〜6.6g/mごとにまとめた竹繊維バンドル11を作製し、そのバンドル11を重ね合わせてつなげたもの(図2B参照)を撚り合わせて図2Cに示すように竹繊維からなる紐状物12を作製する。
例えば、前述の方法により製造された竹繊維は、短冊状に加工した竹片の長さと略同一の長さを有しており、竹繊維からなる紐状物の製造においても優れた加工性を得ることができる。
バンドル11を撚る方法としては、手綯いして撚る方法、撚り機によって撚る方法、組紐機により紐打ちする方法等が挙げられる。
撚り工程に用いる竹繊維バンドル(1.2g/m〜6.6g/mのバンドル)の本数は、用いる竹繊維の太さや長さ、得ようとする竹繊維紐状物の太さや長さ等によっても異なるが、繊維間の長さ方向の接合を効率的に得ること、部位間のばらつきを低減することなどの観点から、2〜8本の竹繊維バンドルを用いて撚る態様が好ましく、2〜6本の竹繊維バンドルを撚って紐状物とすることがより好ましい。
撚り工程を経て、複数本の竹繊維バンドル11が撚り合わされた紐状物12が得られる。
次に、紐状物12を長さ方向に並列に配列させて繊維集合体を形成する。
繊維集合体は、前記で得られた紐状物を互いに接触するように並列に配列させた繊維集合体である。繊維集合体における紐状物の配置密度、長さなどは人工木材の使用目的に応じて適宜選択されるが、強度の観点からは隣接する紐状物同士は少なくとも一部で互いに接触していることが好ましい。
薄板状の人工木材とする場合には、紐状物を平板な台上に一列を並列に配列すればよく、より厚みを持たせたい場合には、紐状物を高密度で互いに重なり合うように並列に配列して配置すればよい。
この繊維集合体に熱硬化性樹脂を含浸させ、樹脂を硬化させることで結合材としての熱硬化性樹脂硬化物中に繊維集合体を有する本発明の人工木材が得られる。
繊維集合体の形成に際しては、並列に引き揃えた繊維の繊維方向と垂直に固定部を設けて紐状物同士を固定してもよい。固定部は、例えば、図3に示すように、紐状物12を横糸16で結合してもよく、また、引き揃えた紐状物の表面から流動性を有する接着剤を繊維の垂直方向に塗布してもよく、剥離紙上に接着剤層を有する接着テープで接着した後、剥離紙を剥離して、接着剤層を引き揃えた紐状物の表面に有する繊維集合体としてもよい。
繊維方向に垂直に設けられる固定部は6mm〜500mmの間隔で、等間隔に設けることが好ましい。紐状物の長さ方向と垂直な方向に少なくとも2カ所固定部を設けることで繊維のばらつきを効果的に抑制し、均一且つ安定な繊維集合体とすることができる。
なお、繊維集合体に熱硬化性樹脂を適用する場合、繊維集合体を構成する紐状物に張力を掛けて成型を行うことで、紐状物の形状がより均一化され、形成される人工木材の強度をより向上させることができる。
使用される熱硬化性樹脂には特に制限はなく、公知の樹脂を適宜使用してもよい。天然繊維からなる紐状物に含浸させやすいという観点からは、より低粘度であること、硬化時の肉やせが少ないことが好ましく、例えば、エポキシ樹脂、イソシアネート系樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、イソシアネート系樹脂が好ましい。
樹脂を含浸させる方法としては、繊維集合体を樹脂中に浸漬する方法、繊維集合体に樹脂を塗布する方法のいずれでもよい。塗布する場合には、繊維間に十分に樹脂が浸透するように硬質の台状や、金型内で塗布することも好ましい。
樹脂の含有量としては、天然繊維100質量部に対し、5質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。この範囲で十分な強度が得られる。
得られた繊維集合体は1層のみで熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させてもよく、2層以上を積層した後、熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させてもよい。複数層の繊維集合体を含む人工木材を得る場合には、複数の繊維集合体を積層した後、熱硬化性樹脂を適用してもよく、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維集合体を積層した後、樹脂を硬化させてもよい。また、適切な金型中に任意の数の繊維集合体を配置し、金型内に熱硬化性樹脂を流し込んで金型中で樹脂を加熱硬化させ、人工木材を作製してもよい。
さらには、熱硬化させて得られた人工木材複数枚を接着剤などにより接着して厚みのある人工木材を得てもよい。
また、上記樹脂を含浸させる場合、紐状物からなる繊維集合体の長手方向に張力を与えながら樹脂により硬化させる方法(張架工程)をとってもよい。この張架工程は、樹脂を含浸した天然繊維バンドルからなる紐状物を、強度が樹脂硬化時の最終到達強度の70〜100%に到達するまで、引張荷重をかけて張架しながら樹脂を硬化させ、硬化後に荷重を解放する工程である。ここで、引張荷重としては、撚り合わせていない天然繊維バンドルの破断荷重の1〜20%となる引張荷重をかけることが好ましく、6〜20%がより好ましい。引張荷重を上記範囲に制御し、樹脂の硬化による強度が上記範囲に到達するまでの時間張架することにより、より高弾性率であり、補強材などに有用な人工木材を得ることができる。
ここで、「撚り合わせていない天然繊維バンドルの(単位断面積あたりの)破断荷重」は、撚り合わせていない天然繊維束に樹脂を含浸させ、これを張架して破断するまで荷重を掛け、破断した時点での引張荷重を測定することで、単位断面積あたりの破断荷重を算出すればよい。
なお、前記固定部を有する繊維集合体を積層する場合、固定部において繊維と樹脂との配列にムラが生じるために、積層する場合には、隣接する繊維集合体の固定部の位置をずらせて積層すること繊維と樹脂との配列の均一性が確保され、所望されない応力集中などの欠陥が抑制されるため好ましい。積層する場合、固定部を同じ位置として積層した繊維集合体としてもよいが、図4のモデル図の如く、固定部を互いにずらせて積層した繊維集合体とすることが好ましい。
いずれの場合にも本発明の効果を奏するが、図4のように、固定部をずらせて積層した場合には繊維と樹脂との配列により生ずるムラが抑制され、所望されない応力集中等が緩和されるために得られた人工木材はより強度が向上する。
本発明の人工木材は、外観が天然繊維を生かしたものとなり、軽量、高強度であり、且つ、経時的な反りも生じないことから、壁材としてのボードに代表される内装材料、構造材として、木材に換えて広範囲に使用することができ、その応用範囲は広い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例01〕
孟宗竹の節を除くように切断し、さらに、環状の部分を4個に切断して、短冊状の竹片(長さ200mm×幅60mm×厚み5mm)を得た。
得られた孟宗竹片を、80℃、8%水酸化ナトリウム溶液に6時間浸漬した。ここで用いた溶液のpHは14であった。
浸漬後、組織全体が軟化し、繊維束を容易に解繊できる状態となった。これを溶液中から取りだし、水洗し、その後、櫛を用いて手解繊し、長さ200mmの竹繊維を回収した。回収した竹繊維の状態を図5に示す。
次に、図2A〜図2Cで示すように、回収した竹繊維を1.8g/mごとにまとめたものを天然繊維バンドル11とし、そのバンドルを重ね合わせてつなげ、これを2本撚り合わせて竹繊維からなる紐状物12を作製した。
また、この竹繊維からなる紐状物を同方向にて並列させ、結合材としてイソシアネート系樹脂(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名:WC−300)を含浸し、160℃、5MPaで圧縮固化を行い、圧縮成形竹繊維人工木材(長さ:500mm 幅:200mm 厚み4.5mm)を得た。
〔実施例02〕
実施例01において、竹繊維からなる紐状物を同方向にて並列させた後、25mm間隔で、横糸で固定化し、図6に示すような竹繊維集合体を作製した。実施例01における繊維集合体に比較し、繊維集合体を作製した後に搬送しても竹繊維の抜けやズレがなくハンドリング性に優れていた。
横糸による固定部を有する繊維集合体を4層、固定部の位置が一致するように積層した後、実施例01で用いたのと同様のイソシアネート系樹脂で含浸し、160℃、5MPaで圧縮固化を行い、圧縮成形竹繊維人工木材(長さ:500mm 幅:200mm 厚み4.5mm)を得た。
〔実施例03〜実施例21〕
前記実施例02において繊維集合体の形成方法、積層枚数、固定部の間隔などを下記表1に示すように換えた以外は同様にして圧縮成形竹繊維人工木材を得た。
なお、表1中、「引っ張りながらの成形」とは、前記「張架工程」を指し、繊維集合体の繊維の長手方向に135kgの引っ張り荷重をかけながら樹脂を硬化させる処理を行ったものを「○」これを行わなかったものを「×」と記載した。この張架工程を伴う成形方法の場合は、紐状物の量を実施例01と比較して1/4とし、長さ500mm、幅50mm、厚み4.5mmの圧縮成形竹繊維人工木材を得た。
〔比較例01〕
実施例01において、竹繊維からなるバンドル(1.8g/m)を撚って紐状物とすることなく、そのまま同方向にて並列させて竹繊維集合体を作製した。得られた竹繊維集合体を、結合材として、実施例01で用いたイソシアネート系樹脂を用いて含浸し、160℃、5MPaで圧縮固化を行い、圧縮成形竹繊維人工木材(長さ:500mm 幅:200mm 厚み:4.5mm)を得た。
〔人工木材の評価〕
得られた人工木材について、厚さムラ、反りの有無、引張強度を測定した。一部試験体については曲げ強度を測定した。
厚さムラは、試験体の厚さを10点測定しその値の変動幅とした。
反りの有無は、平板上に試験体を置いたときの、平板と試験体との最大距離が0.5mm未満の場合に反りなし、0.5mm以上のとき反りありと判断した。
引張強度はJIS−Z−2241に基づき5号試験片の形状に加工し歪増加率を20%/min、20℃の条件で測定し、曲げ強度はJIS−Z−2248の押し曲げ法に基づき1号試験片の形状に加工して実施した。結果を下記表1に示す。
なお、下記表1の「撚り線」においては、○は、繊維集合体として天然繊維バンドルを撚って紐状物を形成したものを用いていることを指し、×は、天然繊維バンドルを撚ることなく並列させたものを用いていることを指す。
表1に明らかなように、本発明の人工木材は、厚さムラが少なく、高強度で経時による反りの発生が抑制され、木材の代替品として優れたものであった。
例えば、実施例01と実施例02との対比より、横糸による固定部を設けることで、引張強度が向上することがわかる。
また、撚り線の形成に使用する竹繊維を束ねて得られたバンドルの単位長さ当たりの質量は1.2g/m〜6.6g/mとすることで厚さのムラ及び反りのない人工木材となり、1.8g/m〜5.4g/mが特に良好であった。1.8g/m未満の場合は一部に紐の解れが発生し、5.4g/mを超える場合には、樹脂が含浸しにくくなり、それぞれの場合において厚さのムラ及び反りは生じないものの、引張強度が低下する傾向がみられた。
比較例01の結果から、撚り合わせていない竹繊維バンドルを用いた場合には、反りが発生することがわかる。
複数層で成型した人工木材は1層のものと比べて引張強度に差が生じなかった。
また、固定部の間隔が狭いと人工木材に占める横糸の割合が高くなり、引張強度に寄与する竹繊維紐状物の割合が低くなるため、引張強度が低下する傾向にあり、間隔が大きすぎても、紐状物のずれを防止する機能は低下することがわかる。
横糸などの固定部は、積層時に互いにずらすことで樹脂の含浸しにくい箇所や厚みの薄い箇所が平均化され、強度的な欠陥の発生は抑制され、強度向上に有用であった。
また、樹脂を含浸させて成型する際に、紐状物に張力を掛けながら成型することにより、硬化の際に生じる紐状物のずれを最小限にできるため、引張強度がより高くなることがわかる。
10 人工木材
11 天然繊維バンドル
12 紐状物
14 熱硬化性樹脂硬化物
16 横糸(固定部)

Claims (13)

  1. 熱硬化性樹脂硬化物中に、天然繊維を撚り合わせて形成された紐状物を長さ方向が互いに接触するように2本以上並列に配列させた繊維集合体を有する人工木材。
  2. 前記熱硬化性樹脂の含有量が、前記天然繊維100質量部に対し、5質量部以上30質量部以下である請求項1に記載の人工木材。
  3. 前記天然繊維が竹繊維である請求項1又は請求項2に記載の人工木材。
  4. 前記竹繊維が、pH10以上、温度20℃〜80℃のアルカリ溶液中で1時間以上168時間以下の条件で処理した竹繊維である請求項3に記載の人工木材。
  5. 前記紐状物が、前記天然繊維を束ねたバンドルを2本以上8本以下で撚り合わせた紐状物である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の人工木材。
  6. 前記紐状物が、天然繊維を1.2g/m以上6.6g/m以下に束ねたバンドルを撚り合わせた紐状物である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の人工木材。
  7. 前記繊維集合体が、並列に配列された紐状物同士を該紐状物の長さ方向と垂直方向に横糸または接着剤により固定化した固定部を有する繊維集合体である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の人工木材。
  8. 前記繊維集合体における紐状物の長さが300mm以上6000mm以下であり、且つ、横糸又は接着剤による固定化部が、紐状物の長さ方向の8mm以上500mm以下の間隔で設けられている請求項7に記載の人工木材。
  9. 天然繊維を撚り合わせ形成された紐状物を長さ方向が互いに接触するように2本以上並列に配列させた繊維集合体を作製する工程と、該繊維集合体に熱硬化性樹脂を含浸させる工程と、熱硬化性樹脂を硬化させる工程と、をこの順に有する人工木材の製造方法。
  10. 前記繊維集合体に熱硬化性樹脂を含浸させる工程の後に、熱硬化性樹脂を含浸させた複数の繊維集合体を複数層積層する工程を有する請求項9に記載の人工木材の製造方法。
  11. 前記繊維集合体に熱硬化性樹脂を含浸させる工程の前又は後に、前記繊維集合体を型枠内に配置する工程をさらに含む請求項9又は請求項10に記載の人工木材の製造方法。
  12. 前記繊維集合体が、前記並列に配列された複数の紐状物同士を横糸または接着剤により固定化した固定部を有する繊維集合体であり、前記繊維集合体を複数層積層する工程において、隣接する繊維集合体における前記固定部同士が互いに重ならないように積層される請求項10又は請求項11に記載の人工木材の製造方法。
  13. 前記熱硬化性樹脂を硬化させる工程の後に、得られた人工木材を複数枚積層し、積層された人工木材同士を接着剤で接着する工程をさらに含む請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の人工木材の製造方法。
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WO2023236819A1 (zh) * 2022-06-06 2023-12-14 上海鲜猿科技有限公司 线状木材的制备方法

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