JP2012248295A - 電界放出型発光装置 - Google Patents

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清彦 當山
Ryota Yuge
亮太 弓削
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隆志 眞子
Mayumi Kosaka
眞由美 小坂
Keiichi Tokutome
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Abstract

【課題】電子線を効率的に光に変換でき、かつ構造上の無駄のない電界放出型発光装置を提供する。
【解決手段】電子放出材料層1Bと蛍光体層2Bとの表面方向で、電子放出材料層1Bが形成されている第一領域を有し、表面方向でカソード電極1Aとアノード電極2Aとの距離の0.05〜0.3倍まで電子放出材料層1Bの縁部から外側の第二領域を有し、第一領域の外周に第二領域を加えた第三領域に蛍光体層2Bが対向している。このため、電子線の広がりに対応した領域に蛍光体層2Bが設けられるため、従来の技術に比べて発光に寄与しない電子線が少なく、さらに発光に寄与しない蛍光体層2Bが少ない。
【選択図】図1

Description

本発明は、カソード基板とアノード基板が略平行に対向して配置されており、カソード基板にはカソード電極および電子放出材料層が積層されており、アノード基板にはアノード電極および蛍光体層が積層されており、電子放出材料層から蛍光体層に電子を放射する電界放出型発光装置に関する。
現在、電界放出素子を利用した、フィールドエミッションランプである電界放出型発光装置が、次世代光源として期待されている。その理由として、省電力であること、高輝度な面光源を形成可能であること、水銀レスであること、などが挙げられる。
電界放出素子は、カソード電極とアノード電極とを有し、カソード電極とアノード電極との間に電界を印加することで、カソード電極に配置した電子放出材料から電子を放出させるものである。
電子放出材料は一般に高いアスペクト比を有し、その先端に電界が集中することで電子を放出する。アノード電極上に電子線励起発光の蛍光体を配置することで、発光装置を作製することができる。さらに、平面状のカソードとアノードを対向させることで、面発光する発光装置を作製することもできる。
電子放出材料としては、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤー、スピント型エミッタといった、アスペクト比が高い導電性構造体が用いられる。カーボンナノチューブは、0.4ナノメートルから数10ナノメートル程度の直径を持つ炭素の筒状構造体であるが、高いアスペクト比および高い耐電流密度といった利点から有望視されている。
さらに、ペースト化することで印刷によってもカソードを形成できるため、低コスト化および大面積化が容易である利点を持つ。この場合、カーボンナノチューブは粘着テープによる剥離等の方法によって起毛処理することで顕著に電界放出しやすくなる。
従来技術の電界放出型発光装置について、図面を用いて説明する。図14、図15はその断面図である。カソード基板3とアノード基板4が略平行に対向させて組み上げられており、カソード基板3上にカソード1が、アノード基板4上にアノード2が形成されている。
カソード1はカソード電極1Aと電子放出材料層1Bから構成される。電子放出材料層1Bは、基本的に複数の電子放出材料が混在して層を成している。しかし、究極的には電子放出材料層1Bが一つの電子放出材料(例えば、一本のカーボンナノチューブ)であってもよい。
カソード電極1Aのアノード電極2A側の表面に電子放出材料層1Bが形成される。またカソード電極面に平行な方向について、カソード電極1Aは電子放出材料層1Bよりも大きい。
一方、アノード2はアノード電極2Aと蛍光体層2Bから構成される。蛍光体層2Bはアノード電極2Aのカソード電極1A側の表面に形成される。アノード電極面に平行な方向について、アノード電極2Aは蛍光体層2Bよりも大きい。
また、蛍光体層2Bは、図14のように、発光装置の断面図において電子放出材料層1Bの直上の領域に形成されるか、あるいは、図15のように電子放出材料層1Bの直上を含有する、より広範囲な領域に形成される。
カソード基板3とアノード基板4との間は真空に保たれるが、図14および図15では装置内部を真空封止するための構造は省略してある。電圧源5によって、カソード電極1Aとアノード電極2Aとの間に電圧が印加されることで、電子放出材料層1Bの中にある電子放出材料に電界が印加され、電子6が放出される。
電子6はカソード電極1Aとアノード電極2Aとの表面に略垂直な方向に印加された電界によって加速され、蛍光体層2B中の蛍光体を励起する。励起された蛍光体から光7が放出される。
従来技術の電界放出型発光装置については、さらに、電子放出材料層を複数設ける場合もある。図16にその断面図を示す。発光装置を構成する要素は図14、図15と同様であるが、電源は省略してある。
図16では電子放出材料層1Bは二個であるが、三個以上設けてもよい。電子放出材料層1Bを複数設けることで、まず、発光装置の大面積化が容易になる。すなわち、印刷、蒸着、その他プロセスで一度に電子放出材料層1Bを形成できる面積は限られているが、プロセスを繰り返すことで、大きな発光装置を作製できる。
さらに、複数の電子放出材料層1Bの間に間隙が存在することで、電子放出材料層1Bが全面に存在する場合に比べて、光の取り出し効率が向上できる。例えば、間隙に光反射層(図示せず)を設けることにより、蛍光体からカソード1の側に放射されて発光装置の外部に取り出せていなかった光を、アノード基板4の側に反射し、取り出すことで、発光装置としての光の取り出し効率が向上できる。
現在、上述のような電界放出型発光装置として各種の提案がある(特許文献1〜3)。
特開2001−015077号公報 特開2001−319560号公報 特開2010−062070号公報
しかしながら、従来の電界放出型発光装置には次に述べる課題がある。
まず、電界がカソード電極1Aとアノード電極2Aとの両電極面に略垂直な方向に印加されていても、電子線は両電極面に平行な方向に広がりを持つ。従来、この広がりに対応した構造設計ができていなかった。そのため、図14に例示するように、蛍光体層の形成範囲が狭いために、蛍光体に当たらず発光に寄与しない電子線6'が生じてしまう問題があった。
また、図15や図16に例示するように、蛍光体層の範囲が広すぎるため、あるいは電子放出材料層1B間の距離が大きすぎるために、電子線が当たらず発光に寄与しない蛍光体層2B'が大きくなってしまう問題が生じていた。
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、電子線を効率的に光に変換でき、かつ構造上の無駄のない電界放出型発光装置を提供するものである。
本発明の電界放出型発光装置は、カソード基板とアノード基板が略平行に対向して配置されており、カソード基板にはカソード電極および電子放出材料層が積層されており、アノード基板にはアノード電極および蛍光体層が積層されており、電子放出材料層から蛍光体層に電子を放射する電界放出型発光装置であって、電子放出材料層と蛍光体層との表面方向で電子放出材料層が形成されている第一領域を有し、表面方向でカソード電極とアノード電極との距離の0.05〜0.3倍まで電子放出材料層の縁部から外側の第二領域を有し、第一領域の外周に第二領域を加えた第三領域に蛍光体層が対向している。
なお、本発明で云う表面方向とは、相互に平行な電子放出材料層と蛍光体層との表面と平行な二次元方向を意味している。
本発明の電界放出型発光装置では、電子放出材料層と蛍光体層との表面方向で電子放出材料層が形成されている第一領域を有し、表面方向でカソード電極とアノード電極との距離の0.05〜0.3倍まで電子放出材料層の縁部から外側の第二領域を有し、第一領域の外周に第二領域を加えた第三領域に蛍光体層が対向している。このため、電子線の広がりに対応した領域に蛍光体層が設けられるため、従来の技術に比べて発光に寄与しない電子線が少なく、さらに発光に寄与しない蛍光体層が少ない。そのため、従来の技術に比べて電子線を効率的に光に変換でき、かつ構造上の無駄が少ない。
本発明の実施の形態の電界放出型発光装置の内部構造を示す模式的な縦断正面図である。 アノード基板の表面構造を示す模式的な平面図である。 カソード電極とアノード電極との距離が1mm、6mmの場合の発光状態を示す模式図である。 放物線状の電子線の軌道を示す模式的な斜視図である。 カソード電極とアノード電極との距離と電子線半径との関係を示す特性図である。 カソード電極とアノード電極との距離と電子線半径と印加電圧との関係を示す特性図である。 第一の変形例の電界放出型発光装置の模式的な縦断正面図である。 アノード基板の表面構造を示す模式的な平面図である。 第二の変形例の電子放出材料層の形状を示す模式的な平面図である。 第三の変形例の電子放出材料層の形状を示す模式的な平面図である。 第四の変形例の電子放出材料層の形状を示す模式的な平面図である。 第五の変形例の電子放出材料層の形状を示す模式的な平面図である。 本発明の電界放出型発光装置と従来の電界放出型発光装置との発光状態を示す模式図である。 本発明の実施の形態の電界放出型発光装置の構造を示す縦断正面図である。 電界放出型発光装置の構造を示す縦断正面図である。 電界放出型発光装置の構造を示す縦断正面図である。
まず、本発明の実施の第一の形態を図面を参照して以下に説明する。ただし、本実施の形態に関して前述した一従来例と同一の部分は、同一の名称を使用して詳細な説明は省略する。
まず、電子放出材料層が一個だけ設けられる場合について説明する。図1は本発明の実施形態の模式的な縦断正面図であり、図2はアノード基板4の表面に垂直な方向から見た模式的な平面図である。
図2では電子放出材料層1Bは長方形の形状としているが、三角形・六角形・円形など、任意の形状とすることができる。装置を構成する要素は図14の従来技術と同様である。
そして、本実施の形態の電界放出型発光装置では、図1に示すように、カソード基板3とアノード基板4が略平行に対向して配置されており、カソード基板3にはカソード電極1Aおよび電子放出材料層1Bが積層されており、アノード基板4にはアノード電極2Aおよび蛍光体層2Bが積層されており、電子放出材料層1Bから蛍光体層2Bに電子を放射する。
ただし、本実施の形態の電界放出型発光装置では、図1および図2に示すように、電子放出材料層1Bと蛍光体層2Bとの表面方向で電子放出材料層1Bが形成されている第一領域を有し、表面方向でカソード電極1Aとアノード電極2Aとの距離の0.05〜0.3倍まで電子放出材料層1Bの縁部から外側の第二領域を有し、第一領域の外周に第二領域を加えた第三領域に蛍光体層2Bが対向している。
より具体的には、カソード基板3とアノード基板4は略平行に対向させて組み上げられており、カソード基板3上にカソード1が、アノード基板4上にアノード2が形成されている。
カソード1はカソード電極1Aと電子放出材料層1Bから構成される。カソード電極1Aは、カソード電極1Aとアノード電極2Aとの表面に平行な方向(「表面方向」と呼ぶ)について、電子放出材料層1Bよりも大きいことが好ましい。
ただし、電子放出材料層1Bが何らかの活性化処理(カーボンナノチューブに対する起毛処理など)によって顕著に電界放出しやすい状態に変化しうる場合、つまり活性化処理された領域が実質的に電界放出特性を支配する場合は、この限りではない。
すなわち、電子放出材料層1Bのうち活性化処理された領域が、表面方向について、カソード電極1Aよりも小さいことが好ましい。一方で、電子放出材料層1Bそのものがカソード電極1Aと略同じ大きさか、カソード電極1Aより大きくてもよい。以下、電子放出材料層1Bが活性化処理によって顕著に電界放出しやすい状態に変化しうる場合は、「電子放出材料層1B」は、活性化処理された領域を指す。
一方、アノード2はアノード電極2Aと蛍光体層2Bから構成される。蛍光体層2Bはアノード電極2Aのカソード電極1A側の表面に形成することができる。ただし、電子線が通過できる程度の層厚の電極をカソード電極1A側の蛍光体層2B表面に形成し、これをアノード電極2Aとして利用する場合はこの限りではない。また表面方向について、アノード電極2Aは蛍光体層2Bと略同じ形状か、蛍光体層2Bよりも大きいことが好ましい。
このようにカソード電極1Aとアノード電極2Aとを単純な平行平板状の導電体にすると、各電極をパターニングする場合に比べて構造が単純で製造コストが抑えられる。さらに、表面方向の導電領域が広く、絶縁性の基板が露出する領域が小さいために、基板上への帯電が生じにくく、従って異常放電が抑えられる。
カソード基板3とアノード基板4との間は真空に保たれる。なお、図1においては装置内部を真空封止するための構造は省略してある。また、図1においては電圧源も省略してあるが、図14と同様に電圧源によって、カソード電極1Aとアノード電極2Aとの間に電圧が印加される。
なお、電圧源からカソード電極1Aまでの配線は、カソード基板3の表面上に配置してもよいし、カソード基板3内を通してもよい。電圧源からアノード電極2Aまでの配線も同様である。
カソード電極1Aとアノード電極2Aとが平行平板状であるため、マクロに見ると、電子放出材料層1Bと蛍光体層2Bとの間には、両層の表面に略垂直で一様な電界が加わる。
一方で、ミクロに見ると、すなわち電子放出材料層1B中の電子放出材料の近傍で見ると、印加電界は電子放出材料に集中し、電子放出材料から電子6が放出される。電子6は電界によって加速され、蛍光体層2B中の蛍光体を励起する。このため、励起された蛍光体から光が放出される。
ここで、電子放出材料層1Bと蛍光体層2Bとの位置関係および大小関係について説明する。本実施の形態の電界放出型発光装置では、電子放出材料層1Bと蛍光体層2Bとの表面方向で電子放出材料層1Bが形成されている第一領域を有し、表面方向でカソード電極1Aとアノード電極2Aとの距離の0.05〜0.3倍まで電子放出材料層1Bの縁部から外側の第二領域を有し、第一領域の外周に第二領域を加えた第三領域に蛍光体層2Bが対向している。
図1において、表面方向(図中の横方向)に関して電子放出材料層1Bの「外側」とは電子放出材料層1Bの左端の左側、あるいは右端の右側である。図2において上記「外側」とは、電子放出材料層1Bの左端の左側、あるいは右端の右側、あるいは上端の上側、あるいは下端の下側、である。以下、表面方向に関して電子放出材料層1Bの外側とは、同様の領域を指す。
図1では、表面方向で、電子放出材料層1Bが形成されている第一領域の直上と、電子放出材料層1Bの左右それぞれの端部から電子放出材料層1Bの外側に0.05d〜0.3dの領域の直上と、を加えた範囲に、蛍光体層2Bが存在している。
ここで、図1に示すように、カソード電極1Aとアノード電極2Aとの距離=dとした。また、図2に示すように、表面方向で、電子放出材料層1Bが形成されている第一領域を有し、第一領域と電子放出材料層1Bの縁部から外側に0.05d〜0.3dまでの領域と、を加えた領域に蛍光体層2Bが形成されている。
蛍光体層2Bの形成領域が、上記範囲より狭い場合、蛍光体に当たらない電子線が生じるため、発光効率が低下するため好ましくない。すなわち、電子放出材料層1Bの形成領域と、電子放出材料層1Bの縁部から外側に0.05d未満の領域とを加えた領域にだけ蛍光体層2Bが存在する場合、発光効率は低下するため好ましくない。また、電子放出材料層1Bが形成されている第一領域に蛍光体層2Bが存在しない場合も同様に、発光効率が低下するため、好ましくない。
逆に、蛍光体の形成領域が上記範囲より広い場合、電子線の当たらない蛍光体層が増大するため、構造上無駄が生じてしまうため好ましくない。すなわち、電子放出材料層1Bの縁部から外側に0.3dより大きな領域まで蛍光体層2Bが存在している場合、構造上無駄が生じてしまうため好ましくない。
以上のような実施形態により、電子線の表面方向の広がりに適した発光装置を形成できる。以下にその説明を行う。まず、従来技術では、電子線の表面方向の広がりが十分に分析・考慮されず、電子放出材料層1Bと蛍光体層とが適切な位置関係、適切な大きさで形成されていなかった。
一方、本実施の形態の電界放出型発光装置では、電子線の表面方向の広がりを分析・考慮した適切な構造を提供する。本実施の形態の電界放出型発光装置では、電子放出材料層1Bと蛍光体層2Bの両面に略垂直な電界の印加下において、電子線の表面方向の広がりが、表面方向について略等方的であり、電子放出材料の種類・形状に大きくは依存せず、さらにカソード電極1Aとアノード電極2Aとの距離に法則性をもって依存する、という知見が得られた。
この知見をもとに、電子線の表面方向の広がりが特定され、電子放出材料層1Bと蛍光体層2Bとの適切な位置関係、適切な大きさが設定された電界放出型発光装置の構造が新たに見出された。
多層カーボンナノチューブを電子放出材料とした場合の電子線の広がりを例として、説明を続ける。図3(A)、図3(B)はそれぞれ、カソード電極1Aとアノード電極2Aとの距離が1mm、6mmの場合の発光写真の模式図である。
ここで電子放出材料層1B・蛍光体層2B間には、両面に略垂直な一定電界が印加されており、両図について電界の大きさは略同じである。白色の領域が発光部分である。それぞれの図について、発光は略円形の輝点から構成されており、その大きさは互いに略同じである。すなわち、電子線は表面方向に略等方的な軌道をしており、また、異なる電子放出材料からの電子線の軌道は略同じである。
一方で、図3(A)と図3(B)を比較すると、後者の輝点が大きい。つまりカソード電極1Aとアノード電極2Aとの距離の大きいほうが、電子線の広がりが大きい。これは電子が一定電界の下で等加速度運動をしているため、すなわち電子線の軌道が放物線状であるため、と理解しうる。
以下、このことを示す。図4に、放物線状の軌道の簡単なモデルを示す。等方的な表面方向の初速度を持って電子が放出されるとすると、電子線は一定電界の下、図4のように放物線状の軌道を描き、略円形の輝点9を生じせしめる。
そのため、カソード電極1Aとアノード電極2Aとの距離dが大きいほど、電子線半径r(輝点の半径)が大きい。図5は、dとrの関係について実験結果をプロットしたものである。この実験結果から、r∝d1/2の関係が成り立つことがわかった。これは、電子線の軌道が放物線状であると理解できることを示している。
さらに、このモデルを詳しく式で表す。電子が電子放出材料から表面方向の初速度vで放出されるとすると、式は下記の式(1)のように書くことができる。
ma=eV/d, d=at/2, r=vt (1)
ここで、mは電子の質量、aは加速度、eは素電荷、Vは印加電圧、tは電子が電界放出されてからアノード電極2Aに達するまでの所要時間である。
以上の式を変形すると、下記の式(2)の関係が得られる。
r/d∝V1/2 (2)
図6は、合成方法、形状の異なる単層カーボンナノチューブ(SWNT)、二層カーボンナノチューブ(DWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)に関して、式(2)の関係を調べた実験結果である。
式(2)の関係は、様々な合成方法、様々な形状のカーボンナノチューブについて同様に成り立ち、さらに比例定数も略同じであることがわかった。図6の結果から、電子線の表面方向の広がりに対応した発光装置の構造設計が可能となる。
まず、電子線励起の蛍光体を十分に効率よく発光させるためには、印加電圧をある程度大きくする必要がある。そこで、印加電圧は1kV〜30kVが好ましい。この電圧範囲では、図6より、r/d=0.05〜0.3となる。このr/dの値を考慮した、電子放出材料層1Bと蛍光体層2Bの位置関係、大きさを設けることが有用となる。
以上から、電子放出材料層1Bと蛍光体層2Bの両面に略垂直な電界の印加下において、電子線の表面方向の広がりが、電子放出材料の種類や形状に大きく依存せず、等方的であることがわかり、さらに十分な印加電圧により高い発光効率を得るためには、r/d=0.05〜0.3という電子線の広がりを考慮することが好ましいことがわかる。
従って、電子放出材料層1Bと蛍光体層2Bとの表面方向で電子放出材料層1Bが形成されている第一領域を有し、表面方向でカソード電極1Aとアノード電極2Aとの距離の0.05〜0.3倍まで電子放出材料層1Bの縁部から外側の第二領域を有し、第一領域の外周に第二領域を加えた第三領域に蛍光体層2Bが対向する本実施の形態の電界放出型発光装置は、発光に寄与しない電子が少なく、また電子が当たらず発光に寄与しない蛍光体が少ない。
つまり、電子線が効率的に光に変換でき、かつ構造上の無駄が少ない。蛍光体の形成領域が、上記範囲より狭い場合、蛍光体に当たらない電子線が生じるため、発光効率が低下するため好ましくない。
すなわち、電子放出材料層1Bが形成されている第一領域を有し、電子放出材料層1Bの縁部から外側に0.05d未満の領域とを加えた領域にだけ蛍光体層2Bが存在する場合、発光効率は低下するため好ましくない。また、電子放出材料層1Bが形成されている第一領域に蛍光体層2Bが存在しない場合も同様に、発光効率が低下するため、好ましくない。
逆に、蛍光体の形成領域が上記範囲より広い場合、電子線の当たらない蛍光体層2Bが増大するため、構造上無駄が生じてしまうため好ましくない。すなわち、電子放出材料層1Bの縁部から外側に0.3dより大きな領域まで蛍光体層2Bが存在している場合、構造上無駄が生じてしまうため好ましくない。
蛍光体層2Bの形成領域はさらに、使用する蛍光体の種類に応じて好適な範囲がある。CRT(Cathode-Ray Tube)用蛍光体など比較的高電圧に適した蛍光体を用いる場合、加速電圧を20kV〜30kVと高くすることで発光効率を高くすることができる。この場合、図6より、電子放出材料層1Bの縁部から外側に0.05d〜0.07dの領域に蛍光体層2Bが存在することが好ましい。
ただし、同じ蛍光体を用いる場合でも、発光装置を薄型化したい場合は、アノード・カソード間の距離の低減に対応して加速電圧も下げる必要がある。加速電圧は10kV〜20kVが好適であり、高効率と装置の薄型化が両立できる。この場合、電子放出材料層1Bの縁部から外側に0.07d〜0.1dの領域に蛍光体層2Bが存在することが好ましい。
一方、高電圧型FPD用蛍光体など比較的低電圧に適した蛍光体を用いる場合、好適な加速電圧範囲5kV〜10kVに対応して、電子放出材料層1Bの縁部から外側に0.1d〜0.14dの領域に蛍光体層2Bが存在することが好ましい。
さらに、低電圧型FPD用蛍光体などより低電圧に適した蛍光体を用いる場合、好適な加速電圧範囲1kV〜5kVに対応して、電子放出材料層1Bの縁部から外側に0.14d〜0.3dの領域に蛍光体層2Bが存在することが好ましい。
以上の蛍光体層2Bの形成領域は電子放出材料層1Bの外側について述べたが、電子放出材料層1Bが形成されている第一領域も含むことが好ましい。また、それぞれの蛍光体について述べた好適な形成領域を外れて蛍光体層2Bを形成することで発光効率の低下や構造の無駄が生じるのは、前記と同様である。
カソード電極1Aには、Al、Cuなどの金属、ITO、ZnO、TiO2などの金属酸化物、およびその他任意の導電性物質を用いることができる。カソード電極1Aは、蒸着・スパッタ・めっきにより形成することができる。
この際、パターニングにはフォトリソグラフィやメタルマスクを用いることができる。あるいは、スクリーン印刷、インクジェットなどの印刷方法によっても形成することができるが、これらに限られない。
また、電子放出材料層1B自身が十分な表面方向の導電性を有する場合は、カソード電極1Aは必須ではない。この場合、カソード電極1Aと電子放出材料層1Bとを同一として議論できる。
電子放出材料層1Bには、電子放出材料を含有させる。電子放出材料には、アスペクト比が高いために電界集中が起こりやすく、また導電性を有するものを用いることができる。
上記の例では様々なカーボンナノチューブで同様の電子線広がりが生じていたことから、カーボンナノチューブ以外にも、例えば、カーボンナノホーン、カーボンナノチューブ・カーボンナノホーン複合体、カーボンファイバー、カーボンスティックなどの炭素材料、あるいはこれらの混合物を用いることが可能である。
このうち、カーボンナノチューブは特にアスペクト比が高く、耐電流密度性が高いために好ましい。カーボンナノチューブとしては、単層・二層・多層のいずれのカーボンナノチューブを用いることもできる。
特に、低電圧で電子を放出させる場合は単層が好ましく、また特に耐久性をより上げたい場合は多層とすることが好ましく、低電圧で電子を放出させ、かつ耐久性も上げたい場合は二層とすることができる。
さらに、電子放出材料としては、金属ナノワイヤーを用いることもできる。同ワイヤーの金属の材料としては、Ni、Co、Fe、Auを用いることができるが、これらに限定されない。
さらに電子放出材料としては、金属ナノチューブを用いることもできる。同チューブの金属の材料としては、Au、Ag、Pt、Rh、Irを用いることができるが、これらに限定されない。
電子放出材料としてカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、あるいはこれらの複合体、混合体を用いる場合、電子放出材料をペーストやインクに含有させ、印刷により形成することができる。
ペーストを印刷する場合、ペースト中にはエチルセルロースなどの有機バインダーや、テルピネオールなどの溶媒を混合することも可能である。さらに、固着を補助するためにガラスフリットや金属、金属酸化物なども含有させることができる。印刷後には、焼成処理によって固着を促進することも可能である。焼成環境は、例えば、大気などの酸素含有雰囲気、不活性ガス雰囲気、真空とすることができる。
また、電子放出材料を直接合成することもできる。例えば、カーボンナノチューブの場合、化学気相成長法によって直接合成することができる。この場合、まず、Fe、Ni、Co、Moなどのカーボンナノチューブ成長触媒を配置する。その後、エチレン・アセチレンなどのガスやエタノール、メタノール、ベンゼン、トルエンなどの蒸気を炭素源として流し、高温にさらすことでカーボンナノチューブを成長させることができる。この際、希釈ガスとしてアルゴン、窒素、水素などを用いることができる。
アノード電極2Aには、ITO、ZnO、TiO2などの金属酸化物、あるいはカーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどの炭素電極、といった透明電極を用いることができる。蛍光体層2Bには、電子線励起発光の蛍光体を用いることができる。
また、蛍光体層2Bのカソード電極1A側の表面に電子線が透過できる導電膜を形成する場合、導電膜にはAlなどの金属薄膜を用いることができる。この金属薄膜により、蛍光体からの光をアノード基板の側に反射することができる。
カソード基板3には、ガラス基板や石英基板、非ドープのシリコン基板など、電気的に絶縁性を有するものを用いることができる。アノード基板4には、ガラス基板や石英基板などの透明な基板が用いられるが、これらに限定されない。
カソード電極1Aとアノード電極2Aとの距離dは0.1mmから300mmであることが好ましく、より好適には1mmから10mmであるが、これらに限定されない。カソード基板3とアノード基板4の間は、1.0×10−3Pa以下、より好適には1.0×10−4Pa以下の真空度とすることが好ましい。
次に、電子放出材料層1Bが二個以上設けられる場合について説明する。図7は第一の変形例の電界放出型発光装置の模式的な縦断正面図であり、図8はアノード基板4の表面に垂直な方向から見た平面図である。装置を構成する要素は図14と同様である。
図8では電子放出材料層1Bは長方形の形状としているが、三角形・六角形・円形など、任意の形状とすることができる。また、図8では電子放出材料層1Bは二個のみであるが、三個以上設けてもよい。
カソード基板3とアノード基板4は略平行に対向させて組み上げられており、カソード基板3上にカソード1が、アノード基板4上にアノード2が形成されている。カソード1はカソード電極1Aと電子放出材料層1Bから構成される。カソード電極1Aは、表面方向について、電子放出材料層1Bよりも大きいことが好ましい。
一方、アノード2はアノード電極2Aと蛍光体層2Bから構成される。蛍光体層2Bはアノード電極2Aのカソード電極1A側の表面に形成することができる。ただし、電子線が通過できる程度の層厚の電極をカソード電極1A側の蛍光体層2B表面に形成し、これをアノード電極2Aとして利用する場合はこの限りではない。また、表面方向について、アノード電極2Aは蛍光体層2Bと略同じ形状か、蛍光体層2Bよりも大きいことが好ましい。
このようにカソード電極1Aとアノード電極2Aとを単純な平行平板状の導電体にすると、各電極をパターニングする場合に比べて構造が単純で製造コストが抑えられる。さらに、表面方向の導電領域が広く、絶縁性の基板が露出する領域が小さいために、基板上への帯電が生じにくく、従って異常放電が抑えられる。
カソード基板3とアノード基板4との間は真空に保たれる。なお、図7においては装置内部を真空封止するための構造は省略してある。また、図7においては電圧源も省略してあるが、図14と同様に電圧源によって、カソード電極1Aとアノード電極2Aとの間に電圧が印加される。
なお、電圧源からカソード電極1Aまでの配線は、カソード基板3の表面上に配置してもよいし、カソード基板3内を通してもよい。電圧源からアノード電極2Aまでの配線も同様である。
カソード電極1Aとアノード電極2Aとが平行平板状であるため、マクロに見ると、電子放出材料層1Bと蛍光体層2Bとの間には、両層の表面に略垂直で一様な電界が加わる。
一方で、ミクロに見ると、すなわち電子放出材料層1B中の電子放出材料の近傍で見ると、印加電界は電子放出材料に集中し、電子放出材料から電子6が放出される。電子6は電界によって加速され、蛍光体層2B中の蛍光体を励起する。励起された蛍光体から光7が放出される。
図7、図8に示した実施形態では、電子放出材料層1Bを複数に形成することで、発光装置の大面積化が容易である。さらに、電子放出材料層1Bの間に間隙が存在することで、電子放出材料層1Bが全面に存在する場合に比べて、光の取り出し効率が向上できる。
例えば、間隙に光反射層(図示せず)を設けることにより、蛍光体からカソードの側に放射されて装置外部に取り出せていなかった光を、アノード基板4の側に反射することで、光の取り出し効率が向上できる。なお、光反射層はカソード基板3の装置内部側に設けてもよいし、装置外部側に設けてもよい。
ここで、電子放出材料層1Bと蛍光体層2Bとの位置関係および大小関係について説明する。本実施の形態の電界放出型発光装置では、表面方向に関して間隙を設けて対向した電子放出材料層1Bの端部間について、最近接端部間の距離がカソード電極1Aとアノード電極2Aとの距離の0.05〜0.3倍である。
さらに、電子放出材料層1Bを蛍光体層2Bの面に垂直投影した場合に、電子放出材料層1Bの上記最近接端部間に蛍光体層2Bが存在する。ここで「最近接端部」とは、図8における、左の電子放出材料層1Bの右辺、および右の電子放出材料層1Bの左辺、であり、「最近接端部間」とは、この両辺に挟まれた領域を指す。最近接端部に相当する辺は、略平行であることが好ましい。以下、「最近接端部」、「最近接端部間」という場合は、同様の領域を指す。
このように隣接する電子放出材料層1Bの間に適切な間隔を設けることによって、本発明では、隣接する電子放出材料層1Bの最近接端部間の蛍光体が十分に励起される。理由は、電子放出材料層1Bが一個の場合について述べた通りである。すなわち、図16の従来技術のような蛍光体の無駄が低減される。
最近接端部間の距離には、さらに、使用する蛍光体の種類に応じて好適な範囲がある。CRT用蛍光体など比較的高電圧に適した蛍光体を用いる場合、加速電圧を20kV〜30kVと高くすることで発光効率を高くすることができる。この場合、図6より、最近接端部間の距離は0.05d〜0.07dが好ましい。
ただし、同じ蛍光体を用いる場合でも、発光装置を薄型化したい場合は、アノード・カソード間距離の低減に対応して加速電圧も下げる必要がある。加速電圧は10kV〜20kVが好適であり、高効率と装置の薄型化が両立できる。この場合、最近接端部間の距離は0.07d〜0.1dが好ましい。
一方、高電圧型FPD用蛍光体など比較的低電圧に適した蛍光体を用いる場合、好適な加速電圧範囲5kV〜10kVに対応して、最近接端部間の距離は0.1d〜0.14dが好ましい。
さらに、低電圧型FPD用蛍光体などより低電圧に適した蛍光体を用いる場合、好適な加速電圧範囲1kV〜5kVに対応して、最近接端部間の距離は0.14d〜0.3dが好ましい。
さらに、蛍光体層2Bの形成範囲については、図7、図8に例示するように、電子放出材料層1Bと蛍光体層2Bとの表面方向で、電子放出材料層1Bが形成されている第一領域を有し、表面方向でカソード電極1Aとアノード電極2Aとの距離の0.05〜0.3倍まで電子放出材料層1Bの縁部から外側の第二領域を有し、第一領域の外周に第二領域を加えた第三領域に蛍光体層2Bが対向していることが、さらに好ましい。
こうすることで、他の電子放出材料層1Bが隣接しないような電子放出材料層1Bの端部(図8では左の電子放出材料層1Bの上辺、左辺、下辺、あるいは右の電子放出材料層1Bの上辺、右辺、下辺)からの電子線が十分に発光に寄与し、また蛍光体層2Bの無駄が少ない。ここで、蛍光体層2Bの形成領域に、蛍光体の種類に応じて好適な範囲があることは、電子放出材料層1Bが一個の場合について説明したことと同様である。
電子放出材料層1Bは、図9に示すように、表面方向について、略四角形の形状とし、格子状に並べることも可能である。また図10に示すように、略三角形の形状とし、格子状に並べることも可能である。
さらに、図11に示すように、略六角形の形状とし、格子状に並べることも可能である。以上のように、略四角形、略三角形、略六角形を採用することで、電子放出材料層1Bの領域、および電子放出材料層1Bの最近接端部間の領域によって略最密に平面を敷き詰めることができる。従って、対向する蛍光体層2Bを略全面発光させることができる。
さらに、上記四角形は平行四辺形であることが、平面充填が容易であるために好ましい。また、設計の容易さから、正方形あるいは長方形であることが、より好ましい。上記六角形は、平面充填が容易であるために平行六辺形であることが好ましい。以上の電子放出材料層1Bの形状は、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
さらに、図9、図10、図11に示す電子放出材料層1Bの一個ずつは、表面方向で、カソード電極1Aとアノード電極2Aとの距離を直径とする円に含まれる大きさであることが好ましい。
このように電子放出材料層1Bを表面方向に関して小さくすることで、電子放出材料層1B間の間隙の表面積を電子放出材料層1B自身の表面積に対して相対的に大きくすることができる。
電子放出材料層1B間の間隙が相対的に大きければ、光の取り出し効率が向上しやすくなる。例えば、間隙に光反射層を設けることにより、蛍光体からカソード1の側に放射され発光装置の外部に取り出せていなかった光を、アノード基板4の側に反射し、取り出すことができる。
さらに、図12に示すように、電子放出材料層1Bは、表面方向で、横幅がカソード電極1Aとアノード電極2Aとの距離以下の帯状とすることも可能である。このように単純なパターンとすることで、均一かつ取り出し効率の高い発光装置を、容易に製造することができる。
その他、基板、電極、電子放出材料、蛍光体の材料や構造については、電子放出材料層1Bが一個の場合について説明したものと同様とすることができる。以上すべての実施形態について、蛍光体層2Bは、表面方向で、内部に空隙を有しない、とすることも可能である。こうすることで、蛍光体層2Bの形成を容易に行うことができ、また均一な発光面を得ることができる。
続いて、具体的な実施例を用いて、本発明の電界放出型発光装置を説明する。電子放出材料としては単層カーボンナノチューブ(SWNT1、SWNT2)を用いた。まず、以下のようにカーボンナノチューブ含有ペーストを作製した。
ペーストの組成は、SWNT1については、カーボンナノチューブ60mg、セルロース系有機バインダー120mg、ガラスフリット420mg、αテルピネオール10mlとした。
SWNT2については、カーボンナノチューブ60mg、セルロース系有機バインダー120mg、ガラスフリット420mg、αテルピネオール6mlとした。これらの混合物を、それぞれ機械的混練を行い、ペーストを作製した。
カソード基板にはガラス板を用い、カソード電極1Aには30mm角にパターニングしたITO(酸化インジウムスズ)を用いた。カソード電極1A内部に上記ペーストをスクリーン印刷した。
その後、基板を窒素中、500℃で1時間焼成した。ITOの厚みは1μm以下、カーボンナノチューブ層の厚みは1〜2μmであった。評価直前には、粘着テープの剥離による起毛処理を行い、カーボンナノチューブを基板面に垂直な方向へ起毛させた。
アノードについてもカソードと同様に、基板にガラス板を用い、電極には30mm角のITOを用いた。アノード電極2A内部にP22蛍光体含有ペーストをスクリーン印刷した。その後、基板を大気中、480℃で1時間焼成した。蛍光体層2Bの厚みは5μmであった。
続いて、カソード基板3とアノード基板4とを、略平行に対向させた。ここで、基板面に垂直な方向から見た場合に、蛍光体層2B端部が電子放出材料層1Bの外側に位置するようにした。
表面方向に関して電子放出材料層1B端部から電子放出材料層1Bの外側に所定の距離Lまで蛍光体層2Bを設け、またカソード・アノード間距離dを所定の距離に設定することで、本発明の実施例および従来技術の比較例とした。
表1に上記距離の設定をまとめた。表1の(A)〜(E)は本発明の実施例であり、一方、(F)、(G)は従来技術の比較例である。なお、L/d<0.05の場合は、dが大きいために、同じ電界放出を実現しようとしても高電圧が必要となり、異常放電を引き起こしてしまうため、実施していない。
Figure 2012248295
対向させたカソード基板3とアノード基板4とを、10−6〜10―5Pa程度の真空中に置いた。カソード電極1Aとアノード電極2Aと間に電圧を印加し、発光パターンを評価した。
図13(A)〜(E)は本発明の電界放出型発光装置と従来の電界放出型発光装置との発光写真の模式図である。図13(F)、(G)は比較例の発光写真の模式図である。略円形の白い点が輝点である。
本発明の実施例については、まず、輝点が蛍光体層2B内部におおよそ含まれている。すなわち、蛍光体に当たらない電子線が少ない。さらに、蛍光体層2Bのうち、電子線が当たらない無駄な領域が少ない。一方、従来技術の比較例では、蛍光体層2Bのうち、電子線が当たらない無駄な領域が多い。以上のように、本発明の実施例では、従来技術の比較例に比べて、電子線を効率的に光に変換でき、かつ構造上の無駄が少ない。
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。また、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
1 カソード
1A カソード電極
1B 電子放出材料層
2 アノード
2A アノード電極
2B 蛍光体層
2B′ 発光に寄与しない蛍光体層
3 カソード基板
4 アノード基板
5 電圧源
6 電子
7 光
8 電子放出材料層の最近接端部間の間隙
9 輝点

Claims (7)

  1. カソード基板とアノード基板が略平行に対向して配置されており、前記カソード基板にはカソード電極および電子放出材料層が積層されており、前記アノード基板にはアノード電極および蛍光体層が積層されており、前記電子放出材料層から前記蛍光体層に電子を放射する電界放出型発光装置であって、
    前記電子放出材料層と前記蛍光体層との表面方向で前記電子放出材料層が形成されている第一領域を有し、
    前記表面方向で前記カソード電極と前記アノード電極との距離の0.05〜0.3倍まで前記電子放出材料層の縁部から外側の第二領域を有し、
    前記第一領域の外周に前記第二領域を加えた第三領域に前記蛍光体層が対向していることを特徴とする、電界放出型発光装置。
  2. 前記電子放出材料層が前記表面方向で複数に分断されており、
    前記表面方向で分断されている複数の前記電子放出材料層の最近接端部間の距離が前記カソード電極と前記アノード電極との距離の0.05〜0.3倍であることを特徴とする、請求項1に記載の電界放出型発光装置。
  3. 前記電子放出材料層の平面形状が、略三角形、略四角形、略六角形、の少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1または2に記載の電界放出型発光装置。
  4. 前記電子放出材料層が、前記表面方向の直径が前記カソード電極と前記アノード電極との距離である円内に形成されていることを特徴とする、請求項1ないし3の何れか一項に記載の電界放出型発光装置。
  5. 前記電子放出材料層が、前記表面方向で横幅が前記カソード電極と前記アノード電極との距離以下の帯状に形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電界放出型発光装置。
  6. 前記蛍光体層が、前記表面方向に空隙を有しないことを特徴とする、請求項1ないし5の何れか一項に記載の電界放出型発光装置。
  7. 前記電子放出材料層が、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノチューブ・カーボンナノホーン複合体、カーボンナノチューブ・カーボンナノホーン混合体、の少なくとも一つからなることを特徴とする、請求項1ないし6の何れか一項に記載の電界放出型発光装置。
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