JP2012247219A - 磁気センサ用磁石アレイの製造方法及び磁気センサの製造方法 - Google Patents
磁気センサ用磁石アレイの製造方法及び磁気センサの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】磁化容易軸の揃った用磁石アレイ及び該磁石アレイを利用した磁気センサを製造する。
【解決手段】磁性体から成る素材ブロックから所定厚さの板状素材を切り出す工程と、切り出された板状素材から所定形状の磁石アレイ用磁石を切り出す工程と、切り出された全ての磁石アレイ用磁石で磁化容易軸の方向を認識できるように目印を加工する工程と、加工された目印に基づいて磁化容易軸が所定方向となるように磁石アレイ用磁石を配置して磁石アレイを組み立てる工程とによって磁石アレイを製造し、この磁石アレイを利用して磁気センサを製造する。
【選択図】 図7
【解決手段】磁性体から成る素材ブロックから所定厚さの板状素材を切り出す工程と、切り出された板状素材から所定形状の磁石アレイ用磁石を切り出す工程と、切り出された全ての磁石アレイ用磁石で磁化容易軸の方向を認識できるように目印を加工する工程と、加工された目印に基づいて磁化容易軸が所定方向となるように磁石アレイ用磁石を配置して磁石アレイを組み立てる工程とによって磁石アレイを製造し、この磁石アレイを利用して磁気センサを製造する。
【選択図】 図7
Description
この発明は、複数の磁石を用いて製造される磁気センサ用磁石アレイの製造方法及び該磁石アレイを用いた磁気センサの製造方法に関し、特に、各磁石の磁化容易軸の方向が揃った磁石アレイの製造方法及び均一なバイアス磁界の変化を感磁素子によって検出する磁気センサの製造方法に関する。
偽造防止のために磁気インク等を利用して紙葉類に所定の磁気特性を持たせ、流通する紙葉類から磁気特性を検出できない場合に偽造紙葉類であると判定する識別技術が知られている。紙葉類の磁気特性を検出する磁気センサとして、例えば特許文献1には、感磁素子として磁気抵抗素子(MR素子)を利用したMRセンサが開示されている。このMRセンサでは、永久磁石を利用してバイアス磁界を形成し、この磁界内を通過する紙葉類の磁気特性によってバイアス磁界が変化することをMR素子によって検出する。
バイアス磁界を形成するための磁石としては、フェライト系、希土類サマリウム・コバルト系、希土類ネオジウム系等の磁石を所定形状に加工した永久磁石が利用される。また、MR素子としては、異方性磁気抵抗効果素子(AMR)、巨大磁気抵抗効果素子(GMR)、トンネル磁気抵抗効果素子(TMR)、超巨大磁気抵抗効果素子(CMR)、弾道磁気抵抗効果素子(BMR)等が利用される。
しかしながら、上記従来技術によれば、バイアス磁界を形成する磁石の磁化容易軸が考慮されていないので、均一な磁界分布を有するバイアス磁界を形成することが困難であるという問題がある。
具体的には、例えば、バイアス磁界を形成するために複数の磁石を並べて磁石アレイを形成する場合には、ブロック状の素材から切り出して着磁した複数の磁石の中から、同レベルの磁力を有する磁石を選別して利用する。ところが、アレイを形成する各磁石の磁力が同じレベルであっても、図4に示すように、各磁石の磁化容易軸が揃っていないために、バイアス磁界の強度分布が均一にならない場合がある。特に、磁界の変化を高精度に計測することが要求される紙幣識別用のAMRセンサ等の感磁素子アレイセンサでは、バイアス磁界の僅かな乱れが計測精度に影響する場合がある。
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、磁石アレイを形成する複数の磁石の磁化容易軸を揃えることができる磁気センサ用磁石アレイの製造方法及びバイアス磁界の強度分布が均一な磁気センサの製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、磁気センサのバイアス磁界形成用に使用される磁石アレイを製造する製造方法であって、磁性体から成る素材ブロックから所定厚さの板状素材を切り出す板状素材切出工程と、板状素材切出工程で切り出された板状素材から所定形状の磁石アレイ用磁石を切り出す磁石切出工程と、磁石切出工程で切り出された全ての磁石アレイ用磁石で磁化容易軸の方向を認識できるように目印を加工する目印加工工程と、目印加工工程で加工された目印に基づいて磁化容易軸が所定方向となるように磁石アレイ用磁石を配置して磁石アレイを組み立てる磁石アレイ組立工程とを含んだことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、磁石アレイ用磁石の外観形状を整える表面加工工程と、磁石アレイ用磁石に防錆処理を施す表面処理工程とをさらに含み、目印加工工程で磁石アレイ用磁石に加工された目印は、表面加工工程及び表面処理工程の後も認識可能であることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、磁石アレイ組立工程は、磁石アレイ用磁石をケース内に配置して磁石アレイを組み立てる工程であり、磁石アレイ用磁石をケースに配置した場合に、磁石アレイ用磁石の目印とケースの所定面との位置関係に基づいて、磁石アレイ用磁石がケースに対して正しく配置されたことを認識可能であることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、磁石アレイ組立工程は、磁石アレイ用磁石をケース内に配置して磁石アレイを組み立てる工程であり、目印加工工程で磁石アレイ用磁石に加工される目印が凹部又は凸部によって形成されるとともにケースには目印に対応する凸部又は凹部が形成されており、磁石アレイ組立工程では、磁石アレイ用磁石とケースの凹凸を合わせて正しく配置した場合にのみ磁石アレイを組み立て可能であることを特徴とする。
また、本発明は、磁石アレイで形成されたバイアス磁界の変化を感磁素子によって検出する磁気センサの製造方法であって、磁性体から成る素材ブロックから所定厚さの板状素材を切り出す板状素材切出工程と、板状素材切出工程で切り出した板状素材から所定形状の磁石アレイ用磁石を切り出す磁石切出工程と、磁石切出工程で切り出された全ての磁石アレイ用磁石で磁化容易軸の方向を認識できるように目印を加工する目印加工工程と、目印加工工程で加工された目印に基づいて磁化容易軸が所定方向となるように磁石アレイ用磁石をケース内に配置して磁石アレイを組み立てる磁石アレイ組立工程と、磁石アレイ組立工程で組み立てられた磁石アレイで形成されるバイアス磁界の変化を検出する位置に感磁素子を組み付ける感磁素子組付工程とを含んだことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、磁石アレイ用磁石の外観形状を整える表面加工工程と、磁石アレイ用磁石に防錆処理を施す表面処理工程とをさらに含み、目印加工工程で磁石アレイ用磁石に加工された目印は、表面加工工程及び表面処理工程の後も認識可能であることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、感磁素子組付工程は感磁素子が組まれた基板を、前記磁石アレイに対して、直接又はスペーサを介して組み付ける工程であり、感磁素子組付工程で基板をスペーサを介して磁石アレイに組み付けた場合に、磁石アレイ用磁石の目印と基板又はスペーサの所定面との位置関係に基づいて、磁石アレイ用磁石がケースに対して正しく配置されたことを認識可能であることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、感磁素子組付工程は感磁素子をスペーサを介して磁石アレイに組み付ける工程であり、目印加工工程で磁石アレイ用磁石に加工される目印が凹部又は凸部によって形成されるとともに、スペーサには目印に対応する凸部又は凹部が形成されており、感磁素子組付工程では、磁石アレイ用磁石とスペーサの凹凸を合わせて正しく配置した場合にのみスペーサ及び感磁素子を組み付け可能であることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、感磁素子組付工程で組み付けられる感磁素子は磁気抵抗効果素子であることを特徴とする。
本発明によれば、磁気センサ用磁石アレイに利用する磁石の製造段階で全ての磁石に磁化容易軸を認識可能な目印を加工して、この目印に基づいて磁石アレイを製造するので、磁化容易軸を揃えた磁石アレイを容易に製造することができる。また、この磁石アレイを利用すればバイアス磁界の強度分布が均一な磁気センサを容易に製造することができる。
また、本発明によれば、目印が、目印を加工した後に行われる研磨又は研削等の機械加工やメッキ又はコーティング等の表面処理によって消えないので、従来の製造工程に目印を加工する工程を加えるだけで、磁化容易軸を揃えた磁石アレイを容易に製造することができる。また、この磁石アレイを利用すればバイアス磁界の強度分布が均一な磁気センサを容易に製造することができる。
また、本発明によれば、目印を加工した複数の磁石をケースに配置して磁石アレイを組み立てる場合に、配置された磁石の目印とケースの所定面との位置関係から磁化容易軸が揃うように磁石が配置されていることを認識できるので、配置が誤っている場合にはこれを修正し、磁化容易軸を揃えた磁石アレイを容易に製造することができる。また、この磁石アレイを利用すればバイアス磁界の強度分布が均一な磁気センサを容易に製造することができる。
また、本発明によれば、各磁石の目印を凹部又は凸部で形成して、各磁石をケース内に正しく配置しなければ磁石アレイを組み立てられないようにケースに各磁石の目印に対応する凸部又は凹部を形成したので、ケースに対する磁石の配置を誤った場合にはこれを認識して修正し、磁化容易軸を揃えた磁石アレイを容易に製造することができる。また、この磁石アレイを利用すればバイアス磁界の強度分布が均一な磁気センサを容易に製造することができる。
また、本発明によれば、目印を加工した複数の磁石によって形成されたバイアス磁界形成用の磁石アレイに対して、スペーサを介して感磁素子が組まれた基板を組み付けて磁気センサを組み立てる場合に、スペーサ又は基板の所定面と各磁石の目印との位置関係から磁化容易軸が揃うように磁石が配置されていることを認識できるので、配置を誤った場合にはこれを修正し、バイアス磁界の強度分布が均一な磁気センサを容易に製造することができる。
また、本発明によれば、凹部又は凸部を含む目印を加工した複数の磁石によって形成されたバイアス磁界形成用の磁石アレイに対して、正しく配置しなければスペーサを組み付けられないように、スペーサに各目印に対応する凸部又は凹部を形成したので、磁石の配置を誤った場合にはこれを認識して修正し、バイアス磁界の強度分布が均一な磁気センサを容易に製造することができる。
また、本発明によれば、感磁素子として磁気抵抗効果素子を利用するので、均一な磁界分布を有するバイアス磁界の変化を高精度に検出するAMR等の感磁素子アレイを利用する磁気センサを容易に製造することができる。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る磁気センサ用磁石アレイの製造方法及び磁気センサの製造方法の好適な実施例を詳細に説明する。この発明は、バイアス磁界を形成して、この磁界の変化を検出する磁気センサであれば、ホール素子等を利用した磁気センサにも適用できるものであるが、特に、感磁素子をアレイ状に配置した磁気アレイセンサで複数の磁石によってバイアス磁界を形成する場合に有用な技術である。なお、以下では、磁気アレイセンサを製造する場合を例に説明するが、センサについては単に「磁気センサ」と記載する。
まず、本実施例の特徴を明らかにするために、磁気センサ用磁石アレイの製造方法について、一般的な従来方法を説明する。
図1は、磁気センサ用磁石アレイを製造する従来方法を示すフローチャートである。図1では、従来と本実施例との差違を説明するために、素材となるブロックから磁石を切り出す加工工程から後の工程のみを示している。
図2(A)は、磁石100を製造するための素材ブロック1を示している。図中の矢印は磁化容易軸300を表している。素材ブロック1は、例えば、原料となる磁性体粉末を磁場中でブロック状に圧縮成形し、これを焼結するなどして製造されたものである。素材ブロック1の磁化容易軸300が例えばZ軸方向と一致するように、磁性体粉末は、所定方向の磁場中で圧縮成形される。しかし、焼結段階での収縮等が原因で、実際には、図2(A)に示すように、磁化容易軸300が成形時の設定方向(図中破線)から僅かにずれる場合が多い。
図2(A)に示すようなブロック状の素材ブロック1が得られると、これをダイヤモンドカッター等を利用して切断して、図2(B)に示すような板状体の素材10に加工する(図1ステップS1)。次に、スライスした板状体の素材10をさらに賽の目状に切断して、図2(C)に示すような直方体状の磁石100に加工する(図1ステップS2)。
次に、切り出された各磁石100を所定の寸法及び形状とするために、研削や研磨等の機械加工が施され、続いて耐食性を向上させるためのコーティングやメッキ等の表面処理加工が施される(図1ステップS3)。このような加工として、例えば、図3に示したように、磁石100と研磨用の研磨剤等を研磨槽3の中に入れてこの研磨槽3を振動させたり回転させることによって磁石100を研磨するバレル研磨や、同様にメッキ槽3の中に磁石100とメッキ液を入れて磁石100にメッキを施すバレルメッキ等がある。
素材ブロック1の磁化容易軸300が、図2(A)に示した矢印の方向である場合には、素材ブロック1から切り出された直後の各磁石100の磁化容易軸300は、同図(C)に示した矢印の方向となる。すなわち、この段階では、切り出された各磁石100の磁化容易軸300は、全てが同じ方向を向いている。ところが、この後、図3に示したようにバレル研磨やバレルメッキ等の加工が施されるときに、磁石100の磁化容易軸300がどの方向にあるかが不明な状態となる。
所定形状を有する磁石100を製造するための機械加工及び表面処理としては、上記方法に限定されず、例えば、ワイヤーやレーザを利用した加工方法や電着塗装や真空蒸着による表面薄膜の形成等様々な方法が利用される。また、これらの加工に加えて、磁石100に割れや欠けが無いこと及び所定形状に仕上がっていることを確認するために、磁石100の各方向の寸法を計測したり、各面の表面状態を確認する外観形状検査が行われる場合もある。これらの各作業を行う際に、各磁石100の磁化容易軸300が考慮されないため、磁気センサに利用する磁石100が完成したときには各磁石100の磁化容易軸300が不明な状態となる。
機械加工及び表面処理を行った後、着磁処理によって着磁された各磁石100の磁力等が検査され、この検査結果に基づいて同レベルの磁力を有する磁石100を選別して磁石アレイが組み立てられる(図1ステップS4)。磁気センサでは、均一なバイアス磁界を形成することが望ましいため、加工及び着磁処理を行った後、複数の磁石100の中から所定の磁力を有しかつ磁力が同レベルであるものを選別して利用する。なお、磁石アレイの組立については、着磁処理後の検査によって選定した磁石100をそのまま用いて磁石アレイを組み立てる他、組立作業を容易なものとするために、磁石100を選定した後に一旦脱磁処理を行ってから磁石アレイを組み立てて再度着磁する場合もある。
磁石アレイは、磁気センサ用のケース内に複数の磁石100を並べて配置されたもので、磁気センサのバイアス磁界を形成するために利用される。例えば、磁気センサ用のケースの中で、図4に示すように、複数の磁石100を2列(100A及び100B)に並べて配置して磁石アレイを形成する。なお、以下では、X軸方向に並ぶ複数の磁石100を1列として、各列を区別することなく説明するときには例えば磁石100のように数字の符号のみで表すとともに、各列を区別して言うときには符号にアルファベットを付して100A又は100Bのように表す。
従来方法では、磁石アレイを組み立てる段階で各磁石100の磁化容易軸300が不明な状態になっているため、組み立てられた磁石アレイでは、図4に示すように磁化容易軸300の方向がバラバラな状態となる。
このように、アレイを形成する各磁石100の磁化容易軸300が揃っていない場合には、磁石アレイで形成されるバイアス磁界に僅かな乱れが生じて均一な磁界を得ることができない。磁界の変化を高精度に計測することが要求される紙幣識別用のAMRセンサ等の磁気センサでは、このようなバイアス磁界の僅かな乱れが計測精度に影響する。
上記従来方法に対し、本実施例では、磁化容易軸300を揃えた磁石アレイを製造することができる。以下では、本実施例に係る磁石アレイの製造方法を説明する。図5は、磁気センサ用磁石アレイの製造方法を示すフローチャートである。図2(A)に示した素材ブロック1をスライス加工して、同図(B)に示した板状体の素材10を得るステップS10は、図1に示した従来方法のステップS1と同様である。
次に、板状体の素材10に磁化容易軸300を認識するための目印となるマーク加工を行う(図5ステップS11)。具体的には、例えば、図6(A)に示すように、磁化容易軸300の方向側にある面(Z軸正方向側の面)にマーク(目印)20となる溝を形成する。
マーク20を形成した素材10から磁石を切り出すと(図5ステップS12)、図6(B)に示すように、各磁石101は、その所定表面上にマーク20を有する状態となる。
素材10に形成されるマーク20は、形状及び寸法を整えるための研磨及び研削、防錆等を目的としたコーティングやメッキ等の後工程の処理によって認識不可能となることがないように、後工程の研磨量や被膜厚さを考慮した深さとなっている。また、マーク20は、素材10を切断して複数の磁石101を切り出した際に、全ての磁石101が所定方向の表面にマーク20を有するように、その位置を考慮して形成される。
具体的には、例えば、図6(A)に示すように、素材10を賽の目状にカットする際のX軸方向の全ての切断線について、各切断線と所定間隔を有する位置に、研磨によって無くならずかつメッキによって埋まることのない所定深さの溝を加工してマーク20とする。
なお、マーク20がこれに限定されるものではなく、例えば、マーク20が線状の溝ではなく孔等の他の形状であってもよいし、Z軸負方向側等の他の表面にマーク20を形成してもよい。また、所定表面への溝や孔等によってマーク20を形成する他、例えば、切り出された磁石101の外観や断面形状から磁化容易軸300を判断できるように所定の角部を削るような加工を施してもよいし、一つの磁石101に複数のマークを形成してもよい。また、マーク20を形成する工程が、素材10から複数の磁石101を切り出す前工程ではなく、図2(C)に示すように複数の磁石101を切り出した後に行われても構わない。
この後、素材10から切り出された磁石101には、従来の工程(図1ステップS3)と同様に、研磨やメッキ等の加工が施される(図5ステップS13)。しかし、マーク20は後工程の処理で消えることがないように形成されているので、各磁石101に対する全ての処理が完了した後も、各磁石101においてマーク20から磁化容易軸300の方向を認識することができる。
次に、従来同様に着磁や検査の工程を経て、磁石アレイが組み立てられる(図5ステップS14)。このとき、各磁石101のマーク20を目印として磁石アレイを形成することにより、図7に示すように、磁石アレイの磁化容易軸300の方向を揃えることができる。
このように、各磁石101が所定表面上に視認可能なマーク20を有しているので、マーク20に基づいて、磁化容易軸300の揃った磁石アレイを容易に組み立てることができる。
図8は、組み立てられた磁石アレイの磁界強度の計測例を示している。図8(A)は、図4に示すように磁化容易軸300が揃っていない磁石アレイの磁界強度の計測例であり、同図(B)は図7に示すように磁化容易軸300が揃えられた磁石アレイの計測例である。図8では縦軸に磁界強度を、横軸に図7に示すX軸方向の磁石アレイの位置を表している。図8から、同図(A)の磁化容易軸300の方向が揃っていない磁石アレイに比べて、同図(B)の磁化容易軸300が揃えられた磁石アレイでは磁界強度の均一性が改善されていることが分かる。
このように、各磁石101の磁化容易軸300の方向を揃えることができるので、磁石アレイによって形成されるバイアス磁界分布を均一なものとすることができる。また、この磁石アレイを利用することにより、バイアス磁界の変化を高精度に計測可能な磁気センサを製造することができる。
各磁石101のマーク20を利用すれば、磁化容易軸300を揃えた磁石アレイを組み立てることができるが、磁気センサを構成する他の部品を利用すれば、より確実に磁化容易軸300を揃えたり磁化容易軸300が揃っていることを確認したりすることができる。以下では、この方法について詳細を説明する。
図9は、磁石101を利用して組み立てられる磁気センサの例を示している。図9(A)は磁気センサをX軸方向から見たときの断面を、同図(B)は磁気センサをY軸方向から見たときの側面を、同図(C)は磁気センサをZ軸方向から見たときの上面を示す説明図である。
磁気センサは、例えば、図9(A)に示すように、ケース50と、ケース50内で図7に示すような磁石アレイを形成する複数の磁石101と、スペーサ40と、スペーサ40を介して磁石アレイの上に設置されたセンサ基板30とによって構成される。センサ基板30は、下方に位置する磁石アレイによって形成されるバイアス磁界の変化を検出する感磁素子と、感磁素子によって検出した磁界の変化を増幅するためのブリッジ回路等のアンプ回路を含んでいる。なお、磁気センサは、この他、センサ周囲の他部品への磁界の影響を抑制するためのシールド、センサを構成する部品全体を納めるケース、カバー等によってユニット化されるが、図9では、本実施例での説明に必要な構成要素のみを示している。
図9(A)に示すように、磁石101の上面に形成するマーク20A及び20Bを、磁石101の上に設置されるスペーサ40又はセンサ基板30と並行になるように形成しておけば、磁石101がケース50に正しく組み付けられたことを容易に確認することができる。すなわち、磁化容易軸300が揃っていることを容易に確認することができる。
具体的には、磁石101が磁化容易軸300の方向が揃うように正しく配置されている場合には、上面方向(Z軸正方向)から見たときに、図9(C)に示すように、スペーサ40又はセンサ基板30の側面近傍に、この側面と並行に直線状のマーク20A及び20Bが存在することになる。このとき、マーク20A及び20Bが視認できない磁石101がある場合には、この磁石101がY軸方向又はZ軸方向に逆方向に組み付けられていることを認識できる。これにより磁化容易軸300が揃うように、磁石101の向きを修正することができる。
また、同様に、図9(A)に示すように、磁石101の側面に形成するマーク21A及び21Bを、磁石101を組み付けたケース50の上面と並行になるように形成しておけば、磁石101がケース50に正しく組み付けられたことを容易に確認することができる。
具体的には、磁化容易軸300の方向が揃うように磁石101がケース50に対して正しく配置されている場合には、側面方向(Y軸方向)から見たときに、図9(B)に示すように、ケース50の上面近傍に、この上面と並行に直線状のマーク21A及び21Bが存在することになる。このとき、マーク21A及び21Bが視認できない磁石101がある場合には、この磁石101がY軸方向に逆方向に組み付けられていることを認識できる。また、マーク21A及び21Bがケース50上面から離れて、磁石101のZ軸方向の上方に位置する磁石101がある場合には、この磁石101がZ軸方向に逆方向に組み付けられていることを容易に認識することができる。これにより磁化容易軸300が揃うように、磁石101の向きを修正することができる。
このように、磁石101に形成するマーク(20及び21)を、磁化容易軸300の方向が揃うように正しく組み立てられたことが他の部品との関係から認識できるように形成すれば、複数の磁石101を利用する磁石アレイにおいて組み立てに誤りがあることを容易に認識することができる。この結果、磁石101の向きが誤っていればこれを修正し、磁化容易軸300を確実に揃えることができる。
なお、図9では、磁石101の上面及び側面に2つのマーク(20及び21)を形成した例を示しているが、いずれか片方のマークのみであってもよいし、さらに別のマークが形成されていてもよい。
また、磁石101をケース50に組み付けて磁石アレイを組み立てるときに、互いが正しい位置関係になければ組み立てられないようにしてもよい。例えば、磁石101とケース50の対応する位置に凹部及び凸部を形成して、互いの位置が合わなければ組み立てられないようにする。
具体的な例を、図10に示す。図10は、ケース50に磁石101を正しく配置して磁石アレイを形成した場合のX軸方向から見た断面図を示している。図10(A)に示すように、磁石101に凹部となるマーク22A及び22Bを形成し、これと対応するケース50の位置に凸部を形成しておけば、同図に示す位置関係でなければ磁石101をケース50に正しく組み付けることができない。異なる位置関係ではケース50に対して磁石101が傾いた状態となるので、組み立ての誤りを容易に認識して、磁化容易軸300の方向が揃うように修正することができる。
また、図10(B)に示すように、磁石101の一部を面取りする形でマーク23A及び23Bを形成し、ケース50をこれと対応する形状にしておけば、同図に示す位置関係でなければ磁石101をケース50に正しく組み付けることができない。この場合も、同様に、異なる位置関係ではケース50に対して磁石101が傾いた状態となるので、組み立ての誤りを容易に認識して修正することができる。
なお、図10(A)に示す凹部及び凸部は、磁石101及びケース50のX軸方向全体に渡って延設する必要はなく、図11(A)に示すように、上方(Z軸正方向)から見た場合のマーク24A及び24BのX軸方向の長さが磁石101のX軸方向長さより短くてもよい。磁化容易軸300の方向が揃うようにケース50に対して正しい位置関係で磁石101を配置したときには問題無く組み立てることができるとともに、誤った位置関係では磁石が傾くように形成されていれば、凹部及び凸部の形状は特に限定されないし、磁石101側に凸部を形成してケース50側に凹部を形成しても構わない。
また、磁石101の一部を面取りしたようなマークとする場合も、図10(B)のように磁石101の底面側にX軸方向に形成する他、図11(B)に示すように磁石101の側面にZ軸方向にマーク25A及び25Bを形成してもよい。また、この場合には、角部を面取りした形状とする他、図11(C)に示すように、ケース50の一部にZ軸方向に延設した凸部56A及び56Bを形成して、磁石101に凹部26A及び26Bを形成してもよい。図11(B)及び(C)に示した例では、図10や図11(A)に示した例に比べて、組み立てるときに磁石101とケース50とが正しい位置関係にあることを上方又は側方から容易に目視確認できるので、磁石101とケース50との位置関係を確認しながら組み立てることができるという利点がある。
また、凹部および凸部は、磁石101及びケース50に形成する他、図12に示すように、各磁石101の上面とこの上面に組み付けられるスペーサ40とに形成してもよい。図12(A)に示すように磁石101の上面にマーク27A及び27Bを形成すれば、各磁石101のマーク27A及び27BがX軸方向に直線状に並ぶことを確認しながらケース50に磁石101を組み付けることができる。また、その後、磁石101上にスペーサ40を組み付けるときに、磁石101が正しく配置されていない場合には、スペーサ40が傾いて、正しく組み付けることができないので、磁石101の配置の誤りを容易に認識して修正することができる。また、図12(B)に示すように、磁石101の上面に面取りしたようなマーク28A及び28Bを形成した場合にも、スペーサ40の形状をこれに合わせることで、同様に、マーク28A及び28Bの位置関係を見ながら磁石101をケース50に配置することができ、さらにスペーサ40を磁石101に組み付けるときに磁石101の配置に誤りがないことを確認することができる。
このように、磁石101に磁化容易軸300の方向を認識できる立体形状のマーク20〜27を設けるとともに、スペーサ40やケース50等の他の部品の対応する位置に対応する形状の立体形状を設けることにより、ケース50に磁石101を組み付ける際及び磁石101にスペーサ40を組み付ける際に、磁石アレイを形成する各磁石101の磁化容易軸300が揃っていることを容易に確認することができる。そして磁化容易軸300が揃っていない場合には、これを修正することにより、確実に磁化容易軸300を揃えることができる。
上述してきたように、本実施例では、磁気センサ用磁石を製造する工程に、マーク20〜27を形成する工程を追加するだけで、このマーク20〜27に基づいて磁石アレイを組み立てて、磁石アレイの磁化容易軸300を揃えることができる。また、このマーク20が正しい位置にあることを、スペーサ40やケース50等の他部品との位置関係で確認することができるので、磁石アレイを組み立てるときに方向が誤っていることを容易に認識することができる。
また、磁石101の所定面に凹状又は凸状のマーク20〜27を設けて、これに対応する他部品の位置をマーク20〜27に対応する凸状又は凹状とすることで、正しい方向でなければ、ケース50に磁石101を組み付けたり、磁石101にスペーサ40を組み付けたりすることができいので、確実に磁化容易軸300を揃えて磁石アレイを組み立てることができる。
また、このようにして組み立てられた磁気センサでは、磁化容易軸300が揃っていることから均一なバイアス磁界を形成することができるので、磁界の変化を高精度に計測することができる。これにより、例えば、紙幣識別用に高性能なAMRセンサを製造することができる。
以上のように、本発明は、磁化容易軸の揃った磁石アレイを容易かつ確実に製造するために有用である。また、バイアス磁界の変化を高精度に検出可能な磁気センサを製造するために有用である。
1 素材ブロック
10 板状素材
20〜27 マーク
30 センサ基板
40 スペーサ
50 ケース
100、101磁石
300 磁化容易軸
10 板状素材
20〜27 マーク
30 センサ基板
40 スペーサ
50 ケース
100、101磁石
300 磁化容易軸
Claims (9)
- 磁気センサのバイアス磁界形成用に使用される磁石アレイを製造する製造方法であって、
磁性体から成る素材ブロックから所定厚さの板状素材を切り出す板状素材切出工程と、
前記板状素材切出工程で切り出された前記板状素材から所定形状の磁石アレイ用磁石を切り出す磁石切出工程と、
前記磁石切出工程で切り出された全ての前記磁石アレイ用磁石で磁化容易軸の方向を認識できるように目印を加工する目印加工工程と、
前記目印加工工程で加工された前記目印に基づいて前記磁化容易軸が所定方向となるように前記磁石アレイ用磁石を配置して前記磁石アレイを組み立てる磁石アレイ組立工程と
を含んだことを特徴とする磁気センサ用磁石アレイの製造方法。 - 前記磁石アレイ用磁石の外観形状を整える表面加工工程と、
前記磁石アレイ用磁石に防錆処理を施す表面処理工程と
をさらに含み、
前記目印加工工程で前記磁石アレイ用磁石に加工された前記目印は、前記表面加工工程及び前記表面処理工程の後も認識可能であることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ用磁石アレイの製造方法。 - 前記磁石アレイ組立工程は、前記磁石アレイ用磁石をケース内に配置して前記磁石アレイを組み立てる工程であり、
前記磁石アレイ用磁石を前記ケースに配置した場合に、前記磁石アレイ用磁石の前記目印と前記ケースの所定面との位置関係に基づいて、前記磁石アレイ用磁石が前記ケースに対して正しく配置されたことを認識可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気センサ用磁石アレイの製造方法。 - 前記磁石アレイ組立工程は、前記磁石アレイ用磁石をケース内に配置して前記磁石アレイを組み立てる工程であり、
前記目印加工工程で前記磁石アレイ用磁石に加工される前記目印が凹部又は凸部によって形成されるとともに、前記ケースには前記目印に対応する凸部又は凹部が形成されており、
前記磁石アレイ組立工程では、前記磁石アレイ用磁石と前記ケースの凹凸を合わせて正しく配置した場合にのみ前記磁石アレイを組み立て可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気センサ用磁石アレイの製造方法。 - 磁石アレイで形成されたバイアス磁界の変化を感磁素子によって検出する磁気センサの製造方法であって、
磁性体から成る素材ブロックから所定厚さの板状素材を切り出す板状素材切出工程と、
前記板状素材切出工程で切り出した前記板状素材から所定形状の磁石アレイ用磁石を切り出す磁石切出工程と、
前記磁石切出工程で切り出された全ての前記磁石アレイ用磁石で磁化容易軸の方向を認識できるように目印を加工する目印加工工程と、
前記目印加工工程で加工された前記目印に基づいて前記磁化容易軸が所定方向となるように前記磁石アレイ用磁石をケース内に配置して前記磁石アレイを組み立てる磁石アレイ組立工程と、
前記磁石アレイ組立工程で組み立てられた前記磁石アレイで形成される前記バイアス磁界の変化を検出する位置に前記感磁素子を組み付ける感磁素子組付工程と
を含んだことを特徴とする磁気センサの製造方法。 - 前記磁石アレイ用磁石の外観形状を整える表面加工工程と、
前記磁石アレイ用磁石に防錆処理を施す表面処理工程と
をさらに含み、
前記目印加工工程で前記磁石アレイ用磁石に加工された前記目印は、前記表面加工工程及び前記表面処理工程の後も認識可能であることを特徴とする請求項5に記載の磁気センサの製造方法。 - 前記感磁素子組付工程は前記感磁素子が組まれた基板を、前記磁石アレイに対して、直接又はスペーサを介して組み付ける工程であり、
前記感磁素子組付工程で前記基板を前記スペーサを介して前記磁石アレイに組み付けた場合に、前記磁石アレイ用磁石の前記目印と前記基板又は前記スペーサの所定面との位置関係に基づいて、前記磁石アレイ用磁石が前記ケースに対して正しく配置されたことを認識可能であることを特徴とする請求項5又は6に記載の磁気センサの製造方法。 - 前記感磁素子組付工程は前記感磁素子をスペーサを介して前記磁石アレイに組み付ける工程であり、
前記目印加工工程で前記磁石アレイ用磁石に加工される前記目印が凹部又は凸部によって形成されるとともに、前記スペーサには前記目印に対応する凸部又は凹部が形成されており、
前記感磁素子組付工程では、前記磁石アレイ用磁石と前記スペーサの凹凸を合わせて正しく配置した場合にのみ前記スペーサ及び前記感磁素子を組み付け可能であることを特徴とする請求項5又は6に記載の磁気センサの製造方法。 - 前記感磁素子組付工程で組み付けられる前記感磁素子は磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一つに記載の磁気センサの製造方法。
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JP2011117150A JP2012247219A (ja) | 2011-05-25 | 2011-05-25 | 磁気センサ用磁石アレイの製造方法及び磁気センサの製造方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016503891A (ja) * | 2013-01-02 | 2016-02-08 | メアス ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングMEAS Deutschland GmbH | 自身の周辺の磁気的な特性を測定するための測定装置 |
WO2022030501A1 (ja) * | 2020-08-07 | 2022-02-10 | Tdk株式会社 | 磁気センサ及びその製造方法 |
WO2022030502A1 (ja) * | 2020-08-07 | 2022-02-10 | Tdk株式会社 | 磁気センサ及びその製造方法 |
WO2023188787A1 (ja) * | 2022-03-30 | 2023-10-05 | アルプスアルパイン株式会社 | 電流センサおよびインサート成形部材の製造方法 |
-
2011
- 2011-05-25 JP JP2011117150A patent/JP2012247219A/ja not_active Withdrawn
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