JP2012240326A - 天然繊維含有樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境負荷を低減し、強度と表面平滑性に優れた繊維含有樹脂成形品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】天然繊維含有樹脂成形品は、天然繊維と熱硬化性樹脂から形成される成形品である。平均長2mm以下の短繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される表面層と、平均長10mm以上の長繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される内部層と、が積層されている。平均長2mm以下の短繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される半硬化状態の第一のシートと、平均長10mm以上の長繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される半硬化状態の第二のシートとを、加熱加圧して積層一体化することにより天然繊維含有樹脂成形品を製造する。
【選択図】なし
【解決手段】天然繊維含有樹脂成形品は、天然繊維と熱硬化性樹脂から形成される成形品である。平均長2mm以下の短繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される表面層と、平均長10mm以上の長繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される内部層と、が積層されている。平均長2mm以下の短繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される半硬化状態の第一のシートと、平均長10mm以上の長繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される半硬化状態の第二のシートとを、加熱加圧して積層一体化することにより天然繊維含有樹脂成形品を製造する。
【選択図】なし
Description
本発明は、繊維により強化された樹脂成形品に関する。
従来、繊維強化プラスチック(FRP)として、熱硬化性樹脂が、ガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維や、無機フィラーなどの充填材などと複合化された樹脂成形品が知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、従来から使用されている強化繊維や充填材は不燃物であるため、焼却後も残渣が多く、また焼却エネルギーも大きくなる問題があった。近年、環境負荷低減の観点から、ガラス繊維や無機フィラーなどの無機物質の代替として軽量で可燃性の天然繊維が注目されている。天然繊維を使用することで環境負荷の小さい繊維強化プラスチックを得ることができる。
しかしながら、天然繊維と樹脂とからなる成形品は、強度を確保するために繊維長が長く、かつ繊維径の大きなものを使用する必要があり、その結果表面が粗くなって品質が低下するおそれがあるという問題があった。従って、天然繊維を用いた成形品では、表面の平滑性と十分な強度とを両立させることが難しかった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、環境負荷を低減し、強度と表面平滑性に優れた繊維含有樹脂成形品及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る天然繊維含有樹脂成形品は、天然繊維と熱硬化性樹脂から形成される成形品であって、平均長2mm以下の短繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される表面層と、平均長10mm以上の長繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される内部層と、が積層されていることを特徴とするものである。
本発明の好ましい形態においては、さらに下記のいずれか一つ以上の特徴を有する。
・前記内部層の厚みは、成形品全体の厚みの5〜40%である。
・成形品中の天然繊維全体に対する前記長繊維の含有量は、15質量%以上である。
・前記短繊維は、繊維長2mm以下の繊維が80質量%以上の割合で含まれている。
・前記長繊維は、繊維長10mm以上の繊維が80質量%以上の割合で含まれている。
・前記内部層の厚みは、成形品全体の厚みの5〜40%である。
・成形品中の天然繊維全体に対する前記長繊維の含有量は、15質量%以上である。
・前記短繊維は、繊維長2mm以下の繊維が80質量%以上の割合で含まれている。
・前記長繊維は、繊維長10mm以上の繊維が80質量%以上の割合で含まれている。
本発明に係る天然繊維含有樹脂成形品の製造方法は、上記の天然繊維含有樹脂成形品を製造する方法であって、平均長2mm以下の短繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される半硬化状態の第一のシートと、平均長10mm以上の長繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される半硬化状態の第二のシートとを、加熱加圧して積層一体化することを特徴とするものである。
本発明によれば、強化繊維として天然繊維を用いることにより、環境負荷を低減することができるものであり、短繊維を含む表面層と長繊維を含む内部層とが積層されることにより、強度と表面平滑性に優れた繊維含有樹脂成形品を得ることができるものである。
本発明の天然繊維含有樹脂成形品は、天然繊維と熱硬化性樹脂から形成される成形品である。この成形品は、外表面を形成する表面層と、表面層よりも内側に配置される内部層とが積層されたものである。表面層は、使用時に表面側に配置される層である。内部層の内側に他の層が積層されてもよいし、他の層が積層されずに内部層が裏面層となっていてもよい。好ましい一例では、成形品は、表面層と内部層との二層で構成される。表面層と内部層との間に他の層が存在してもよいが、好ましくは表面層と内部層とは接触して積層されている。
表面層は、平均長2mm以下の短繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される。一方、内部層は、平均長10mm以上の長繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される。
表面層及び内部層を形成する天然繊維は、平均長が異なる以外は、同種の材料であってもよく、あるいは異なる材料であってもよい。天然繊維としては、植物繊維などを用いることができ、例えば、竹繊維、ケナフ繊維、マニラ麻、サイザル麻、ジュート、ヤシ繊維などの繊維を挙げることができる。このうち、竹繊維は、表面平滑性と強度とを高めることができるので好ましい。また、同一の層内に複数の種類の天然繊維が用いられてもよい。
表面層及び内部層を形成する天然繊維の繊維径としては、平均径30〜500μmのものを用いることができるが、これに限定されるものではない。
表面層及び内部層を形成する熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂組成物などの熱硬化性の樹脂組成物を用いることができる。具体的には、熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂及び硬化剤に、必要により硬化促進剤などを添加して混合した樹脂組成物を用いることができる。
樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ユリア系樹脂などを用いることができる。
硬化剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、クエン酸、ラジカル重合開始剤、塩化アンモニウムなどを用いることができる。樹脂組成物(溶剤を除く)中の硬化剤の含有量は、例えば、0.1〜10質量%にすることができる。
硬化促進剤としては、イミダゾール系、トリフェニルホスフィン系などを用いることができる。樹脂組成物(溶剤を除く)中の硬化促進剤の含有量は、例えば、0.1〜5質量%にすることができる。樹脂組成物には、充填剤、顔料、増粘剤、内部離型剤、低収縮剤などを添加してもよい。
熱硬化性樹脂組成物は、溶剤により希釈されてもよい。溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロパノール、メチルエチルケトン、水、などが挙げられる。樹脂が液状である場合は、溶剤は不使用であってもよい。
成形品における内部層の厚みは、成形品全体の厚みの5〜40%であることが好ましい。内部層の厚みがこの範囲内になることにより、強度と表面平滑性とが両立した成形品を得ることができる。その観点から、内部層の厚みは、成形品全体の厚みの10〜30%であることがさらに好ましい。成形品の厚みは2〜10mmにすることができる。成形品は、立体成形品であってもよいが、板状成形品であってもよい。
また、成形品中の天然繊維全体に対する長繊維の含有量は、15質量%以上であることが好ましい。長繊維の含有量がこの範囲になることにより、強度の高い成形品を得ることがより可能となる。また、長繊維の含有量は、80質量%以下であることが好ましい。これ以外の場合、表面層の繊維量の割合が少なくなり、表面に長繊維層が浮き出して表面平滑性が低下するおそれがある。これらの観点から、長繊維の含有量は、15〜60質量%であることがさらに好ましい。成形品中の天然繊維全体に対する短繊維の含有量は、85質量%以下であることが好ましく、40〜85質量%であることがさらに好ましい。
短繊維は、繊維長2mm以下の繊維が80質量%以上の割合で含まれていることが好ましい。繊維長が短い繊維がこの範囲で含まれていることにより、短繊維の平均長が2mm以下になることが容易になって、表面層の表面をより平滑にすることができる。繊維長2mm以下の繊維の含有量の上限は100質量%であってよい。短繊維の繊維長は、好ましくは0.5〜2.5mmの範囲内での分布となるものである。
長繊維は、繊維長10mm以上の繊維が80質量%以上の割合で含まれていることが好ましい。繊維長が長い繊維がこの範囲で含まれていることにより、長繊維の平均長が10mm以上になることが容易になって、成形品の強度をより向上することができる。繊維長10mm以上の繊維の含有量の上限は100質量%であってよい。長繊維の繊維長は、好ましくは8〜20mmの範囲内での分布となるものである。
表面層において、短繊維と熱硬化性樹脂の含有比率は、質量比で、10:90〜70:30の範囲にすることができる。また、内部層において、長繊維と熱硬化性樹脂の含有比率は、質量比で、10:90〜60:40の範囲にすることができる。各層において繊維の量がこれらの範囲になることにより、強度を向上することができる。
以下、天然繊維含有樹脂成形品を製造する方法について説明する。
まず、平均長2mm以下の短繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより、半硬化状態の第一のシートを形成する。また、平均長10mm以上の長繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより、半硬化状態の第二のシートを形成する。
このとき、第一及び第二のシートはいずれも、天然繊維と熱硬化性樹脂組成物とを混合し、加圧ロールなどでシート状に成形した後、半硬化させることによって形成することができる。あるいは、天然繊維をマット状に成形し、このマット状物に熱硬化性樹脂組成物を含浸させて、半硬化させることによって形成することができる。短繊維を用いた第一のシートでは、繊維と樹脂とを混合してシートを形成することが好ましい。長繊維を用いた第二のシートでは、繊維のマット状物に樹脂組成物を含浸させてシートを形成することが好ましい。
そして、第一のシートと第二のシートとを金型内で重ね合わせ、圧縮成形機により、表面側(表面層側)と裏面側(内部層側)とを挟み込んで押圧して、加熱加圧して積層一体化することにより、樹脂が完全に硬化し、天然繊維含有樹脂成形品を得ることができる。成形温度は、60〜180℃にすることができる。成形時間は、15〜60分にすることができる。成形圧力は、3〜8MPaにすることができる。このように半硬化状態のシートを圧縮成形することにより、接着剤を使用せずに一体化させ成形品を得ることができる。
こうして得られた天然繊維含有樹脂成形品は、短繊維を含む表面層と長繊維を含む内部層とが積層されているので、表面平滑性に優れ、強度が高いものである。この天然繊維含有樹脂成形品は、繊維強化プラスチック(FRP)として利用可能である。
天然繊維を用いた繊維強化プラスチックは、比重が小さいため成形品の軽量化が可能である。また、成形品の焼却時に二酸化炭素が生じるが、天然繊維は生育時に二酸化炭素を内部に吸収するため、大気中への二酸化炭素の新たな排出にはならないか、あるいは二酸化炭素の排出量は比較的少なくなるものと考えられる。そのため、天然繊維を使用することで二酸化炭素の排出を抑えることができ、環境負荷の小さい繊維強化プラスチックを得ることができるものである。
(実施例1)
熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製 jER828EL)100質量部に、硬化剤ヘキサメチレンジアミンを当量(15質量部)で加えて混合し、樹脂組成物を調製した。
熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製 jER828EL)100質量部に、硬化剤ヘキサメチレンジアミンを当量(15質量部)で加えて混合し、樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物40gに、竹繊維の短繊維(平均長1mm、平均径100μm)32.4gを加え、撹拌しコンパウンド(繊維・樹脂複合物)を作製した。このコンパウンドを加圧ロールでシート状に成形し、半硬化させて、半硬化状態のシート状物(第一のシート)を得た。
一方、竹繊維の長繊維(平均長15mm、平均径100μm)7.2gをローラ圧縮しマット状に加工し、マット状物を得た。このマット状物に前記の樹脂組成物を含浸させ、半硬化させて、半硬化状態のシート状物(第二のシート)を得た。このシート状物は28gであった。なお、竹繊維(短繊維+長繊維)と樹脂との質量割合が40:60程度のときに高い物性を示すため、実施例1では、短繊維と混合する樹脂量を40g、長繊維マットに含浸させる樹脂量を20gとすることで、竹繊維量と樹脂量の割合を約40:60にしている。
上記によって得た短繊維のシート状物(第一のシート)を下金型に配置し、その上に、長繊維のシート状物(第二のシート)を重ねて、以下の条件にて成形し、シート状物を積層一体化させて、板状の成形品を得た。
<成形条件>
金型寸法:100×100mm(成形品板厚3mm)
成形温度:下金型150℃、上金型130℃
成形圧力:5MPa
成形時間:30分
金型寸法:100×100mm(成形品板厚3mm)
成形温度:下金型150℃、上金型130℃
成形圧力:5MPa
成形時間:30分
(実施例2〜5、比較例1、2)
竹繊維の短繊維及び長繊維の割合を、表1のように変えた以外は、実施例1と同様にして、成形品を得た。
竹繊維の短繊維及び長繊維の割合を、表1のように変えた以外は、実施例1と同様にして、成形品を得た。
(評価)
各実施例、比較例の成形品について、曲げ強度をJISK7171、衝撃強度をJISK7061により測定した。また、成形品を短冊状に切断し、その短冊の表面を顕微鏡により観察することで表面平滑性を評価した。表面平滑性については、凹凸が観察されない状態を「○」とし、一部凹凸が観察される状態を「△」とし、表面全体に凹凸が観察される状態を「×」として判定した。
各実施例、比較例の成形品について、曲げ強度をJISK7171、衝撃強度をJISK7061により測定した。また、成形品を短冊状に切断し、その短冊の表面を顕微鏡により観察することで表面平滑性を評価した。表面平滑性については、凹凸が観察されない状態を「○」とし、一部凹凸が観察される状態を「△」とし、表面全体に凹凸が観察される状態を「×」として判定した。
表1に結果を示す。この表1に示されるように、各実施例の成形品は、強度が高く、表面平滑性に優れていた。
Claims (6)
- 天然繊維と熱硬化性樹脂から形成される成形品であって、平均長2mm以下の短繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される表面層と、平均長10mm以上の長繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される内部層と、が積層されていることを特徴とする、天然繊維含有樹脂成形品。
- 前記内部層の厚みは、成形品全体の厚みの5〜40%であることを特徴とする、請求項1に記載の天然繊維含有樹脂成形品。
- 成形品中の天然繊維全体に対する前記長繊維の含有量は、15質量%以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の天然繊維含有樹脂成形品。
- 前記短繊維は、繊維長2mm以下の繊維が80質量%以上の割合で含まれていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の天然繊維含有樹脂成形品。
- 前記長繊維は、繊維長10mm以上の繊維が80質量%以上の割合で含まれていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の天然繊維含有樹脂成形品。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の天然繊維含有樹脂成形品を製造する方法であって、平均長2mm以下の短繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される半硬化状態の第一のシートと、平均長10mm以上の長繊維である天然繊維と熱硬化性樹脂とにより形成される半硬化状態の第二のシートとを、加熱加圧して積層一体化することを特徴とする、天然繊維含有樹脂成形品の製造方法。
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JP2011113506A JP2012240326A (ja) | 2011-05-20 | 2011-05-20 | 天然繊維含有樹脂成形品及びその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111433015A (zh) * | 2017-12-05 | 2020-07-17 | 大塚化学株式会社 | 复合叠层体及其制造方法 |
-
2011
- 2011-05-20 JP JP2011113506A patent/JP2012240326A/ja not_active Withdrawn
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US11491759B2 (en) | 2017-12-05 | 2022-11-08 | Otsuka Chemical Co., Ltd. | Composite laminate and method for producing same |
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