JP2012240080A - 缶体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】胴板と鏡板とを嵌合する際は剛性を確保して嵌合作業を容易とすると共に、胴板と鏡板の接合後は応力集中箇所をなくすことができる缶体の製造方法を提供する。
【解決手段】鏡板1を円筒状の胴板2に嵌合して組み立てる缶体10の製造方法において、鏡板1の胴板2との嵌合部近傍に周方向に沿った環状の第1補強リブ4を設けると共に、胴板2の鏡板1との嵌合部近傍に周方向に沿った環状の第2補強リブ5を設ける工程と、胴板2と鏡板1とを嵌合して接合する工程と、鏡板1の第1補強リブ4と胴板2の第2補強リブ5を平坦化する工程とからなる。
【選択図】図1
【解決手段】鏡板1を円筒状の胴板2に嵌合して組み立てる缶体10の製造方法において、鏡板1の胴板2との嵌合部近傍に周方向に沿った環状の第1補強リブ4を設けると共に、胴板2の鏡板1との嵌合部近傍に周方向に沿った環状の第2補強リブ5を設ける工程と、胴板2と鏡板1とを嵌合して接合する工程と、鏡板1の第1補強リブ4と胴板2の第2補強リブ5を平坦化する工程とからなる。
【選択図】図1
Description
この発明は、電気温水器等を構成する缶体の製造方法に関するものである。
従来、電気温水器等の缶体は胴板とその両端に取り付けられる鏡板から構成され、缶体の胴板及び鏡板の耐圧強度を高めるため、下記に述べる手段が採られていた。すなわち、特許文献1においては、缶体の胴板に少なくとも内側に凸形状とした耐圧補強用の張り出しリブをリング状に形成していた。また、特許文献2においては、缶体を形成する胴板の内周面適所に周方向に沿う環状の胴板補強リブを溶接すると共に、鏡板の内面に鏡板補強リブを溶接していた。
しかしながら、缶体を構成する胴板及び鏡板の材料をその期待される性能を損なわない限界まで薄肉化した場合、上記従来の技術では、補強用の張り出しリブや、缶体内部に補強板を溶接した箇所で応力集中が起こりタンクの内圧疲労特性を著しく低下せしめることとなる。その結果、缶体を構成する胴板及び鏡板の十分な材料の材料薄肉化ができず、コスト低減を達成出来ないという課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、胴板と鏡板とを嵌合する際は剛性を確保して嵌合作業を容易とすると共に、胴板と鏡板の接合後は応力集中箇所をなくすことができる缶体の製造方法を提供する。
この発明の缶体の製造方法は、鏡板を円筒状の胴板に嵌合して組み立てる方法において、鏡板の胴板との嵌合部近傍に周方向に沿った環状の第1補強リブを設けると共に、胴板の鏡板との嵌合部近傍に周方向に沿った環状の第2補強リブを設ける工程と、胴板と鏡板とを嵌合して接合する工程と、鏡板の第1補強リブと胴板の第2補強リブを平坦化する工程とからなるものである。
この発明の缶体の製造方法によれば、胴板と鏡板とを嵌合する際には、第1補強リブ及び第2補強リブが設けられ胴板と鏡板の剛性が保たれるため、嵌合作業が容易となる。そして、胴板と鏡板の接合後は、第1補強リブと第2補強リブを平坦化するため、缶体内部の圧力による応力集中箇所がなくなり、缶体の耐疲労特性を損なうことがない。そのため、缶体の材料を薄肉化することが可能となる。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1による缶体の製造方法を図に基づいて説明する。図1から図5は、この発明の実施の形態1による缶体の製造プロセスを示した斜視図である。
図1において、缶体10は、胴板2とその両端に取り付けられる鏡板1とから構成される。鏡板1は平板材料に対して深絞り成形を行い、端面を切り落として曲げ加工を施した後、天頂部に内容物を出し入れするためのニップル3を溶接する。そして、鏡板1に、胴板2と接合するための溶接用継手部の近傍に環状の第1補強リブ4を設ける。
一方、胴板2は、平板材料をロール成形し、そのロール成形の送り方向と垂直に長手溶接を実施(図示せず)して円筒状の物として作成する。さらに、胴板2は、鏡板1と同様に溶接用継手近傍に環状の第2補強リブ5を設ける。
この発明の実施の形態1による缶体の製造方法を図に基づいて説明する。図1から図5は、この発明の実施の形態1による缶体の製造プロセスを示した斜視図である。
図1において、缶体10は、胴板2とその両端に取り付けられる鏡板1とから構成される。鏡板1は平板材料に対して深絞り成形を行い、端面を切り落として曲げ加工を施した後、天頂部に内容物を出し入れするためのニップル3を溶接する。そして、鏡板1に、胴板2と接合するための溶接用継手部の近傍に環状の第1補強リブ4を設ける。
一方、胴板2は、平板材料をロール成形し、そのロール成形の送り方向と垂直に長手溶接を実施(図示せず)して円筒状の物として作成する。さらに、胴板2は、鏡板1と同様に溶接用継手近傍に環状の第2補強リブ5を設ける。
図1では、第1及び第2補強リブ4、5は内側に張り出した形状となっている。後述するように缶体内部に内圧を加えた場合、内側に張り出した形状の方が平坦状に塑性変形させやすいためである。しかし、外側に張り出した補強リブであっても内圧によって軸方向に塑性変形させることで平坦状に戻すことができるので、外側に張り出した補強リブであっても良い。
また、第1及び第2補強リブ4、5の断面形状は、胴板2と鏡板1の嵌合が可能となる剛性が得られる断面係数とするのが良いが、後に第1及び第2補強リブ4、5を平坦化することを考え直線部を多く取る方がよい。
本実施の形態では胴板2と鏡板1を横倒しにした状態で嵌合することを想定しており、この場合、胴板2及び鏡板1の自重により断面の円形が楕円状に変形して組み立てにくい状態となる。例えば、従来の缶体の組立性と同等とするためには胴板2及び鏡板1ともに横倒しした時の天頂側の稜線部の低下が10mm以下になるように断面係数を調整すればよい。
また、第1及び第2補強リブ4、5の断面形状は、胴板2と鏡板1の嵌合が可能となる剛性が得られる断面係数とするのが良いが、後に第1及び第2補強リブ4、5を平坦化することを考え直線部を多く取る方がよい。
本実施の形態では胴板2と鏡板1を横倒しにした状態で嵌合することを想定しており、この場合、胴板2及び鏡板1の自重により断面の円形が楕円状に変形して組み立てにくい状態となる。例えば、従来の缶体の組立性と同等とするためには胴板2及び鏡板1ともに横倒しした時の天頂側の稜線部の低下が10mm以下になるように断面係数を調整すればよい。
次に、図2に示すように、鏡板1と胴板2を嵌合する。前述したように本実施の形態では胴板2と鏡板1を横倒しにした状態で嵌合することを想定している。鏡板1と胴板2には嵌合部近傍に環状の第1及び第2補強リブ4、5が形成されているので剛性が保たれ、嵌合作業が容易となる。
次に、図3に示すように、胴板2と鏡板1の嵌合部を、溶接トーチ6と溶接ワイヤ7を用いて周方向に気密溶接する。なお、下記の図4及び図5に、周方向の溶接部110を示す。
次に、図4及び図5に示すように、胴板2と鏡板1とを気密溶接した缶体10の内部に液体又は気体を充填して、コンプレッサやポンプ等の加圧源8の接続配管9とニップル3を接続し、気密溶接後の缶体10に圧力を印加する。そして、第1及び第2補強リブ4、5を塑性変形させて元の平坦な状態つまり円筒形状に戻す。
ここで缶体10内に印加する圧力は以下のように求める。すなわち、胴板2の外側半径をr、内圧をp、肉厚をtとすると胴板周方向に発生する応力σt、胴板長手方向に発生する応力σzは式(1)で表される。
ここで缶体10内に印加する圧力は以下のように求める。すなわち、胴板2の外側半径をr、内圧をp、肉厚をtとすると胴板周方向に発生する応力σt、胴板長手方向に発生する応力σzは式(1)で表される。
次に、1軸引張応力に変換するため式(2)からミーゼス応力σsを求める。
そして、ミーゼスσsが式(3)を満たすよう内圧pを反復計算により求める。この場合、第1及び第2補強リブ4、5の塑性変形によるスプリングバックを抑制するように内圧pを設定する。
以上のように、本実施の形態によれば、胴板2と鏡板1を理論上の限界近くまで薄肉化した場合であっても、胴板2と鏡板1とを嵌合する際に、第1補強リブ4及び第2補強リブ5により胴板2と鏡板1の剛性が保たれるため、嵌合作業が容易となる。そして、耐力より大きく破断応力より小さな応力が材料に発生するような内圧を缶体10に印加することにより、鏡板1と胴板2の第1及び第2補強リブ4、5を塑性変形させて平坦化する。これにより、胴板と鏡板の接合後は、応力集中箇所となる部分を削減することができる。
また、缶体10は一般的に製造後に気密、耐圧検査を行う。従って、上記本実施の形態の缶体内部に圧力を印加して補強リブを平坦化する工程において、検査時の缶体内部に充填する液体又は気体を流用すれば、検査と補強リブ除去加工を同時に行うことができ加工費を削減出来る効果がある。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2による缶体の製造方法を図に基づいて説明する。図6はこの発明の実施の形態2による缶体製造プロセスの補強リブを平坦化する工程を示す図であり、図7は補強リブの平坦化工程のより詳細な説明図である。
この発明の実施の形態2による缶体の製造方法を図に基づいて説明する。図6はこの発明の実施の形態2による缶体製造プロセスの補強リブを平坦化する工程を示す図であり、図7は補強リブの平坦化工程のより詳細な説明図である。
本実施の形態に係る缶体10は、実施の形態1と同様、胴板2とその両端に取り付けられる鏡板1とから構成され、鏡板1には胴板2と接合するための溶接用継手部の近傍に環状の第1補強リブ4が設けられ、胴板2には鏡板1と同様に溶接用継手近傍に環状の第2補強リブ5が設けられている。ただし、実施の形態1と相違する点は、鏡板1には、後述する加工ローラー12を挿入するための開口部1Aを有し、この開口部1Aには図示しない蓋体が取り付けられようになっている。
次に、本実施の形態の缶体の製造プロセスについて説明する。胴板2と鏡板1の嵌合から気密溶接までの工程は実施の形態1と同様であるためここでは説明を省略する。
缶体10の胴板2と鏡板1を気密溶接した後、缶体10の外周部にスピニング加工ローラー11を配置すると共に、鏡板1の開口部1Aから缶体10の内部にスピニング加工ローラー12を挿入する。そして、第1及び第2補強リブ4、5を両ローラー11及び12で挟み込むことで、第1及び第2補強リブ4、5を塑性変形させて元の円筒状の平坦な状態に戻す。この場合、平坦なローラーで単純に押しつけただけではスプリングバックにより完全な平坦面とはならず応力集中箇所が残るため、図7に示すように、加工ローラー11の加工表面にリブ張り出し方向とは逆に凹形状を設け、加工ローラー12の加工表面に凸形状を設けて、リブ張り出し方向とは逆に張り出すまで加工する。この場合の張り出し量はスプリングバック分だけ加工することになるが材料種別や調質処理によりスプリングバック量は変化し、予測は困難であるため逆に張り出す量と加工後の平坦度との関係を実験により求めて決定することとする。
第1及び第2補強リブ4、5の形状は、図6及び図7に示すように、三角形状であることが好ましい。補強リブが三角形状であれば、両ローラー11及び12ともに三角形の3個の角部に当接する3個の加工ローラー(図示せず)を用意すれば、3個のローラーの軸方向位置や径方向位置を調整することにより、色々な深さや幅の補強リブに対応することができる。また、後に平坦化することを考えると、曲げ箇所が少ない三角形状の補強リブが好適である。ただし、補強リブの形状が半円形であっても四角形状等であっても構わない。
本実施の形態では、張り出し方向が缶の内向きの場合を挙げたが外向きの張り出しであってもローラーの凹凸を逆にすることで同様の加工が可能である。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様、胴板2と鏡板1とを嵌合する際には、第1補強リブ4及び第2補強リブ5が設けられ胴板2と鏡板1の剛性が保たれるため、嵌合作業が容易となる。そして、胴板2と鏡板1の接合後は、第1補強リブ4と第2補強リブ5を加工ローラー11及び12で平坦化するため、缶体内部の圧力による応力集中箇所がなくなり、缶体の耐疲労特性を損なうことがないため、材料を薄肉化することが可能である。
実施の形態3.
実施の形態1では、第1補強リブ4と第2補強リブ5を平坦化するために、胴板2と鏡板1とを嵌合して接合した缶体10内部に液体又は気体を満たしその圧力により第1補強リブ4及び第2補強リブ5を平坦化した。また、実施の形態2では、第1補強リブ4と第2補強リブ5を平坦化するために、第1補強リブ4及び第2補強リブ5に対して外側及び内側から加工ローラー11及び12を押し付けることにより平坦化した。
これに対して、本実施の形態では、第1補強リブ4と第2補強リブ5を平坦化するために、胴板2と鏡板1とを嵌合して接合した缶体10内部に液体又は気体を満たすと共に、第1補強リブ4及び第2補強リブ5に対して外側から加工ローラーを押し付けることにより平坦化する。
実施の形態1では、第1補強リブ4と第2補強リブ5を平坦化するために、胴板2と鏡板1とを嵌合して接合した缶体10内部に液体又は気体を満たしその圧力により第1補強リブ4及び第2補強リブ5を平坦化した。また、実施の形態2では、第1補強リブ4と第2補強リブ5を平坦化するために、第1補強リブ4及び第2補強リブ5に対して外側及び内側から加工ローラー11及び12を押し付けることにより平坦化した。
これに対して、本実施の形態では、第1補強リブ4と第2補強リブ5を平坦化するために、胴板2と鏡板1とを嵌合して接合した缶体10内部に液体又は気体を満たすと共に、第1補強リブ4及び第2補強リブ5に対して外側から加工ローラーを押し付けることにより平坦化する。
本実施の形態によれば、上記実施の形態と同様、胴板2と鏡板1とを嵌合する際には、第1補強リブ4及び第2補強リブ5が設けられ胴板2と鏡板1の剛性が保たれるため、嵌合作業が容易となる。そして、胴板2と鏡板1の接合後は、胴板2と鏡板1とを嵌合して接合した缶体10内部に液体又は気体を満たすと共に、第1補強リブ4及び第2補強リブ5に対して外側から加工ローラーを押し付けることにより、第1補強リブ4と第2補強リブ5を平坦化するため、缶体内部の圧力による応力集中箇所がなくなり、缶体の耐疲労特性を損なうことがないため、材料を薄肉化することが可能である。
1 鏡体、2 胴体、4 第1補強リブ、5 第2補強リブ、6 溶接トーチ、
7 溶接ワイヤ、8 加圧源、9 接続配管、10 缶体、11 加工ローラー、
12 加工ローラー。
7 溶接ワイヤ、8 加圧源、9 接続配管、10 缶体、11 加工ローラー、
12 加工ローラー。
Claims (5)
- 鏡板を円筒状の胴板に嵌合して組み立てる缶体の製造方法において、
前記鏡板の前記胴板との嵌合部近傍に周方向に沿った環状の第1補強リブを設けると共に、前記胴板の前記鏡板との嵌合部近傍に周方向に沿った環状の第2補強リブを設ける工程と、
前記胴板と前記鏡板とを嵌合して接合する工程と、
前記鏡板の第1補強リブと前記胴板の第2補強リブを平坦化する工程とからなる缶体の製造方法。 - 前記鏡板の第1補強リブと前記胴板の第2補強リブを平坦化する工程は、前記胴板と前記鏡板とを嵌合して接合した前記缶体内部に、液体又は気体を満たしその圧力により第1補強リブ及び第2補強リブを平坦化する請求項1に記載の缶体の製造方法。
- 前記鏡板の第1補強リブと前記胴板の第2補強リブを平坦化する工程は、第1補強リブ及び第2補強リブに対して外側及び内側から加工ローラーを押し付けることにより平坦化する請求項1に記載の缶体の製造方法。
- 前記鏡板の第1補強リブと前記胴板の第2補強リブを平坦化する工程は、前記胴板と前記鏡板とを嵌合して接合した前記缶体内部に液体又は気体を満たすと共に、第1補強リブ及び第2補強リブに対して外側から加工ローラーを押し付けることにより平坦化する請求項1に記載の缶体の製造方法。
- 第1補強リブ及び第2補強リブは外側又は内側に張り出したリブである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の缶体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011112091A JP2012240080A (ja) | 2011-05-19 | 2011-05-19 | 缶体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012240080A true JP2012240080A (ja) | 2012-12-10 |
Family
ID=47462323
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011112091A Withdrawn JP2012240080A (ja) | 2011-05-19 | 2011-05-19 | 缶体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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2011
- 2011-05-19 JP JP2011112091A patent/JP2012240080A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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