JP2012223975A - インクと反応液とのセット及び該セットを用いる画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い画像濃度の画像が得られ、かつ、画像形成後の短時間においても別の記録媒体への転写が抑制された画像を形成することができるインクと反応液とのセット、該セットを用いた画像形成方法を提供すること。
【解決手段】顔料及び水溶性樹脂を含有してなるインクと、酸性領域に緩衝能を持つ反応液との組み合わせを有するインクと反応液とのセットであって、前記顔料が、コロイド滴定により求められる表面電荷量が0.20mmol/g以上である自己分散顔料であり、かつ、前記水溶性樹脂が、(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有する共重合体であることを特徴とするインクと反応液とのセット、及び該セットを用いた画像形成方法。
【選択図】なし
【解決手段】顔料及び水溶性樹脂を含有してなるインクと、酸性領域に緩衝能を持つ反応液との組み合わせを有するインクと反応液とのセットであって、前記顔料が、コロイド滴定により求められる表面電荷量が0.20mmol/g以上である自己分散顔料であり、かつ、前記水溶性樹脂が、(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有する共重合体であることを特徴とするインクと反応液とのセット、及び該セットを用いた画像形成方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、インクと反応液との組み合わせを有するセット、及び該セットを用いて画像を形成する画像形成方法に関する。
従来より、画像性能をより良好にする目的から、色材を含有するインクとは別に、所謂反応液を用意し、該反応液とインクとを記録媒体に付与して画像を形成する画像形成方法が種々提案されている。該方法では、記録媒体における色材の凝集とインクの浸透性を反応液によってコントロールすることができるので、反応液を用いない画像形成方法に比べて、画像濃度と定着性との両立の達成が可能になってきている。
例えば、特許文献1では、アニオン性の分散樹脂を含有する顔料インクと、色材を含まないpH3.5〜5.0の酸性透明処理液との組み合わせを有するインクジェット用インクセットを提案している。そして、酸性透明処理液が、pH緩衝剤を含有してなり、該pH緩衝剤に、pKa3.7〜6.5であるカルボキシ基を1つ持ち、かつ、水に対して10質量%以上溶解し、20℃、常圧下において実質的に揮発しない特性のものを用いている。
形成した画像に、耐水性や耐擦過性、耐マーカー性を付与することを目的として、インクに水溶性樹脂を含有させることは一般的に行われている。また、別の態様として、顔料などの水不溶性色材を水溶性樹脂で安定化した、所謂樹脂分散顔料を用いることで、インクに水溶性樹脂を含有させることも一般的な方法である。特許文献2には、pH感受性樹脂と自己分散顔料を含有する第1のインクと、所定のpHを有する第2のインクとを記録媒体において接触させ、pH感受性樹脂を不溶化させ、その表面上に存在させることで、画像の滲みなどを抑制することを開示している。
一般的に用いられている樹脂分散顔料に比べて、自己分散顔料を含有するインクは、pHの変化が生じても顔料の分散状態を安定に保つことが容易であるため、その信頼性において優れていると言える。しかし、酸性領域に緩衝能を有する反応液を用いた2液反応系に、自己分散顔料を含有するインクを適用した場合には、記録媒体の表面に色材が残りづらく、高い画像濃度が得られないといった課題があった。これは、インクにおける高い信頼性の要因の1つである自己分散顔料のpH変化に対する安定性により、酸性領域に緩衝能を有する反応液に対し安定なため、反応液と反応せず色材が記録媒体に浸透しやすくなり、記録媒体の表面に色材が残りづらいことによる。この課題に対しては、特許文献2に記載のように、インク中にpH感受性樹脂及び自己分散顔料を併存させることが有効である。すなわち、このように構成すれば、インク中のpH感受性樹脂が、適当なpHを有する第2のインクとの接触によって不溶化し、記録媒体の表面に残るようになるので、インク中の自己分散顔料も一緒に記録媒体の表面に残すことが可能になる。このように、インクの成分として自己分散顔料とpH感受性樹脂を併用することで、酸性領域に緩衝能を有する反応液を用いた2液反応系によっても、高い画像濃度の画像を得ることが可能になる。
しかし、本発明者らが検討した結果、特許文献2に記載されている自己分散顔料とpH感受性樹脂を含有するインクに、酸性領域に緩衝能を有する反応液を組み合わせてセットとして用いた場合には、以下の別の課題が生じることが判明した。すなわち、該セットにおいては、短時間での定着性、特に、連続高速記録を行う際に画像が重なった場合などに、画像が別の部分に転写してしまうといった課題があることがわかった。
したがって、本発明の目的は、高い画像濃度が得られ、しかも、画像形成後の短時間においても転写が抑制された画像を形成することができるインクと反応液とのセット、該セットを用いた画像形成方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、顔料及び水溶性樹脂を含有してなるインクと、酸性領域に緩衝能を持つ反応液との組み合わせを有するインクと反応液とのセットであって、前記顔料が、コロイド滴定により求められる表面電荷量が0.20mmol/g以上である自己分散顔料であり、かつ、前記樹脂が、(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有する共重合体であることを特徴とするインクと反応液とのセット、及び該セットを用いる画像形成方法を提供する。
本発明によれば、高い画像濃度の画像が得られ、かつ、画像形成後の短時間においても画像が別の部分に転写されることが抑制された画像を形成することができるインクと反応液とのセットが提供される。さらに、本発明によれば、該セットを用いることで、上記した優れた画像を形成し得る画像形成方法が提供される。
以下に、発明を実施するための好適な形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明における、表面張力、pHなどの各種の物性は、25℃における値である。また、本発明において、反応液が「酸性領域に緩衝能を持つ」こととは、反応液と、これとセットで用いられるインクとを、等量ずつで混合した混合物のpHが、pH7.0未満のpH領域において、反応液のpHから実質的に変化しないことを意味するものとする。より具体的には、pH7.0未満のpH領域において、反応液のpHと、インクと反応液とを等量ずつで混合した混合物のpHとの差が、0.1以内となることを意味している。また、本発明で規定する「pKa」は、酸の強さを定量的に表すための指標のひとつであって、酸解離定数や酸性度定数とも呼ばれるものである。酸から水素イオンが放出される解離反応を考えて、負の常用対数pKaによって表す。pKaが小さいほど強い酸であることを示す。
本発明者らは、酸性領域に緩衝能を有する反応液を用いる2液反応系において生じる、短時間での定着性の改善、特に、連続高速記録を行う際に画像が重なった場合などに、画像が別の部分に転写してしまうという課題を解決するために検討を行った。具体的には、上記反応液と併用する、自己分散顔料を含有するインクに、得られる画像濃度を高めるために必要なpH感受性を有する水溶性樹脂を添加した場合に、短時間での画像の定着性向上に必要な条件についての検討を行った。その結果、酸性領域に緩衝能を有し、インクと反応する反応液と共に用いるインクと反応液とのセットにおいて、下記の顔料と樹脂の組み合わせを含む特定のインクを用いることで、上記課題を解消できることがわかった。すなわち、インクの構成成分として、コロイド滴定により求められる表面電荷量が0.20mmol/g以上である自己分散顔料と、(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有する共重合体である水溶性樹脂を含む組み合わせである。該インクと上記反応液とのセットを用いることで、高い画像濃度とインクの短時間での定着性、特に連続高速記録を行った場合に、画像が重なる際に画像の別の部分への転写の低減といった、近年求められている高速記録における信頼性を満足させることができる。この理由について、本発明者らは、以下のように推測している。なお、以下の説明において、(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有する共重合体である水溶性樹脂のことを、単に「水溶性樹脂」と記載することがある。また、以下の説明における樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来するユニットなどに代表される親水性ユニットと、疎水性ユニットとを有するものであるとする。
コロイド滴定により求められる表面電荷量が0.20mmol/g以上である自己分散顔料と、上記特定の水溶性樹脂を共存させたインクとした場合、以下のことが起こると考えられる。上記表面電荷量が0.20mmol/g以上である自己分散顔料はその粒子表面に多くのイオン性基を有するために、これらのイオン性基は、共存している水溶性樹脂の(メタ)アクリル酸に由来するユニットのカルボキシ基のイオン性と互いに反発する。このため、インク中では自己分散顔料と水溶性樹脂は一定の距離を取って存在しており、顔料粒子の表面への水溶性樹脂の吸着などの相互作用は生じにくいと考えられる。したがって、上記自己分散顔料と水溶性樹脂が共存しているインクでは、反応液と接触した際に、水溶性樹脂と顔料とはそれぞれ独立にふるまう。すなわち、顔料は凝集しないものの、共存する樹脂は、インク中で溶解していた状態から、反応液と接触した際にその溶解性が急激に低下するために、顔料を巻き込むことなく樹脂単体で不溶化し、エマルションのような形態となって記録媒体の表面に堆積する。このように堆積した樹脂の不溶化物の間に取り込まれるような状態で顔料も記録媒体の表面に堆積する。
このように、表面電荷量が高い自己分散顔料を含有するインクの場合、水溶性樹脂は、顔料粒子とは独立して存在するため不溶化が速く、また、顔料粒子の表面近傍に水溶性樹脂が存在しないため、顔料と液体成分との固液分離も素早く生じる。結果として、酸性領域に緩衝能を有する反応液に対しても、高い画像濃度を得ることが可能となる。また、上述のように反応液と接触した際に水溶性樹脂が急激に不溶化することで、樹脂とインク中の液体成分との固液分離が速やかに行われる。このために、記録媒体においても水に不溶になった樹脂及び顔料と、その他のインク中の液体成分の分離が速やかに行われる。上記したことから、インクの短時間での定着性、特に、連続高速記録を行った場合に画像が重なった際に、画像が別の部分に転写されることを低減することが可能となったと考えられる。
一方、コロイド滴定により求められる表面電荷量が0.20mmol/g未満である自己分散顔料と、上記特定の水溶性樹脂を共存させたインクとした場合、以下のことが起こると考えられる。上記表面電荷量が0.20mmol/g未満である自己分散顔料は、その粒子表面のイオン性基が少ないために、顔料粒子のイオン性が低く、先に述べたような反発が生じにくく、イオン性を有する樹脂は顔料粒子に接近して存在する。また、上記自己分散顔料は、顔料粒子の表面の隙間、すなわちイオン性基が結合していない部位が多く、ここに樹脂を構成するユニットの1つであるスチレンなどの疎水性部分が吸着しやすい。以上のことから、顔料の表面のイオン性基が少ない自己分散顔料と、(メタ)アクリル酸ユニットを有する樹脂がインク中で共存する場合には、該樹脂が顔料に吸着する形で存在しているものと考えられる。したがって、上記自己分散顔料と水溶性樹脂が共存しているインクは、反応液と接触することで樹脂の溶解性が急激に低下するが、この際、樹脂の一部は顔料粒子の表面に吸着しているため、顔料粒子を巻き込みながら不溶化する。そして、この場合は、先に述べた、表面電荷量が高い場合とは異なり、大きな凝集体として樹脂及び顔料が不溶化し、記録媒体の表面に堆積する。このため、記録媒体の表面に顔料粒子を残すことができ、これによって高い画像濃度を得ることが可能となる。しかし、その一方で、記録媒体の表面に残る凝集体が大きいため、インク中の液体成分の分離が速やかに行われず、インクの短時間での定着性、特に、連続高速記録を行った場合に画像が重なった際に、画像の別の部分への転写が生じてしまうものと思われる。
これまでに述べてきたように、自己分散顔料の表面電荷量の違いにより、インク中の顔料と水溶性樹脂の存在状態が異なると考えられる。そして、この樹脂の存在状態の違いにより、酸性領域に緩衝能を有する反応液とインクとが接触した後の顔料や水溶性樹脂の挙動が異なり、インクの短時間での定着性に違いが生じるものと考えられる。
<インクと反応液とのセット>
以下、本発明のセットを構成するインク及び反応液について、それぞれ詳細に説明する。
[反応液]
本発明を構成する反応液は、酸性領域に緩衝能を持つものである。なお、本発明において、反応液とインクとの反応は、反応液の酸性領域における緩衝能によって、インク中の(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有する共重合体である水溶性樹脂が酸析されるために生じる。反応液は、画像を形成する際にインクと併用するので、色材を含有せず、画像への影響を考慮すると可視域に吸収を示さない無色のものであることが好ましい。ただし、可視域に吸収を示すものであっても、実際の画像に影響を与えない程度であれば、淡色のものであっても構わない。以下、反応液を構成する各成分について説明する。
以下、本発明のセットを構成するインク及び反応液について、それぞれ詳細に説明する。
[反応液]
本発明を構成する反応液は、酸性領域に緩衝能を持つものである。なお、本発明において、反応液とインクとの反応は、反応液の酸性領域における緩衝能によって、インク中の(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有する共重合体である水溶性樹脂が酸析されるために生じる。反応液は、画像を形成する際にインクと併用するので、色材を含有せず、画像への影響を考慮すると可視域に吸収を示さない無色のものであることが好ましい。ただし、可視域に吸収を示すものであっても、実際の画像に影響を与えない程度であれば、淡色のものであっても構わない。以下、反応液を構成する各成分について説明する。
(緩衝剤)
本発明を構成する反応液は、酸性領域、つまり、pH7.0未満のpH領域に緩衝能を有することを要する。酸性領域にpH緩衝能を有する反応液とするためには、反応液に緩衝剤を含有させることが好ましい。緩衝剤としては、添加することによって、反応液が酸性領域に緩衝能を有することが可能な物質であれば、従来公知のpH変化に対する緩衝能を持たせることができる化合物はいずれも本発明に用いることができる。反応液中の緩衝剤の含有量(質量%)は、反応液が本発明で規定する緩衝能を有することを満足するものとなればよく、例えば、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。
本発明を構成する反応液は、酸性領域、つまり、pH7.0未満のpH領域に緩衝能を有することを要する。酸性領域にpH緩衝能を有する反応液とするためには、反応液に緩衝剤を含有させることが好ましい。緩衝剤としては、添加することによって、反応液が酸性領域に緩衝能を有することが可能な物質であれば、従来公知のpH変化に対する緩衝能を持たせることができる化合物はいずれも本発明に用いることができる。反応液中の緩衝剤の含有量(質量%)は、反応液が本発明で規定する緩衝能を有することを満足するものとなればよく、例えば、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。
本発明者らの検討によると、記録媒体においてインクと反応液とが接触したときの反応性を考慮すると、酸性領域に緩衝能を持たせるために反応液に含有させる緩衝剤としては、弱酸である有機酸を使用することが好ましい。このような有機酸としては、具体的には、カルボキシ基を持つ有機酸が挙げられる。カルボキシ基を持つ有機酸は一般に弱酸であるため、酸の強さを示す尺度として、酸解離定数(pKa)を適用することができる。カルボキシ基を有する有機酸のpKaは、反応性を効果的に向上させる観点からは、25℃の水中でのpKaが、2.5以上6.5以下であるものが特に好ましく用いられる。pKaが2.5未満であると、酸性度が強すぎて、記録装置を構成する部材に腐食を生じさせやすい場合がある。一方、pKaが6.5を超えると、酸性度が弱すぎて、水溶性樹脂を十分に不溶化させることができず、高いレベルの画像濃度が得られない場合がある。なお、2価以上の多価カルボン酸はその価数のカルボキシ基に対応する複数段階の電離を示すが、全ての段階のpKaが上記範囲に含まれるのが好ましい。
本発明においては、反応液に緩衝能を持たせるためには、具体的には、下記に挙げるようなカルボキシ基を持つ有機酸を緩衝剤として含有させることが好ましい。例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などのモノカルボン酸の塩;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ピロメリット酸、トリメリット酸などの、ジカルボン酸の塩や水素塩;クエン酸などの、トリカルボン酸の塩や水素塩;オキシコハク酸、DL−リンゴ酸、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸の塩が挙げられる。塩を形成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属イオンが挙げられる。
これらの中でも、水への溶解度が高い緩衝剤を用いることが好ましい。このような緩衝剤としては、酢酸塩やプロピオン酸塩などモノカルボン酸の塩、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、クエン酸などの多価カルボン酸の塩や水素塩、リンゴ酸や酒石酸などのヒドロキシカルボン酸の塩などが挙げられる。さらには、反応性に優れ、かつ、水への溶解度が高いことから、モノカルボン酸よりも、少なくとも2つのカルボキシ基を持つ、例えば、ジカルボン酸の塩を用いることが好ましい。ジカルボン酸は、記録媒体においてインクと反応液とが接触した際に、インクと反応液の混合物のpHが変動しにくく、酸による水溶性樹脂の不溶化を促進することができる。また、分子中のカルボキシ基の数が多くなると、インクとの反応性はより高くなるものの、水への溶解性が低くなる。また、本発明者らの検討によると、ジカルボン酸を用いることで、酸性領域における緩衝能がより強くなり、水溶性樹脂を特に効果的に不溶化させることができる。本発明においては、緩衝剤として、グルタル酸やその塩又は水素塩を用いることが特に好ましい。
また、本発明者らの検討の結果、反応液が緩衝剤としてカルボキシ基を持つ有機酸を含有し、かつ、反応液のpHが3.5以上5.5以下であることが好ましいことがわかった。これに対し、反応液のpHが低すぎると、記録装置を構成する部材に腐食を生じさせやすい場合があるため、3.5以上とすることが好ましい。一方、反応液のpHが高すぎると、インクとの反応が十分に生じない場合があるため、5.5以下とすることが好ましい。反応液が3.5以上5.5以下のpHを有するように調整するためには、例えば、酢酸、メタンスルホン酸などの有機酸、硫酸、硝酸などの無機酸、アルカリ金属の水酸化物などの塩基のようなpH調整剤を含有させることが好ましい。
(水性媒体)
本発明を構成する反応液には、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を水性媒体として含有させることが好ましい。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。反応液中の水の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、25.0質量%以上95.0質量%以下、さらには50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤としては、インクジェット用の反応液に一般的に使用される公知のものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上の水溶性有機溶剤を用いることができる。具体的には、1価又は多価のアルコール類、アルキレン基の炭素原子数が1〜4程度のアルキレングリコール類、平均分子量200〜2,000程度のポリエチレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。反応液中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、3.0質量%以上70.0質量%以下、さらには3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
本発明を構成する反応液には、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を水性媒体として含有させることが好ましい。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。反応液中の水の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、25.0質量%以上95.0質量%以下、さらには50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤としては、インクジェット用の反応液に一般的に使用される公知のものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上の水溶性有機溶剤を用いることができる。具体的には、1価又は多価のアルコール類、アルキレン基の炭素原子数が1〜4程度のアルキレングリコール類、平均分子量200〜2,000程度のポリエチレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。反応液中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、3.0質量%以上70.0質量%以下、さらには3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
(その他の成分)
本発明を構成する反応液には、上記成分以外にも必要に応じて、尿素、エチレン尿素などの含窒素化合物、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、上記の成分の他に、さらに必要に応じて、高分子化合物、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート剤などの種々の添加剤を反応液に含有させてもよい。
本発明を構成する反応液には、上記成分以外にも必要に応じて、尿素、エチレン尿素などの含窒素化合物、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、上記の成分の他に、さらに必要に応じて、高分子化合物、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート剤などの種々の添加剤を反応液に含有させてもよい。
[インク]
上記で説明した反応液とともに本発明のセットを構成するインクは、顔料を含有し、該顔料が自己分散顔料であることを特徴とする。インクの色相については特に限定はなく、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、レッド、ブルー、グリーンなどとすることができる。以下、インクを構成する成分について説明する。
上記で説明した反応液とともに本発明のセットを構成するインクは、顔料を含有し、該顔料が自己分散顔料であることを特徴とする。インクの色相については特に限定はなく、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、レッド、ブルー、グリーンなどとすることができる。以下、インクを構成する成分について説明する。
(顔料)
本発明を構成するインクに用いる色材は顔料である。本発明で用いることができる顔料の種類は特に限定されず、公知の無機顔料や有機顔料をいずれも用いることができる。具体的には、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラックなどの無機顔料、フタロシアニン、キナクドリンなどの有機顔料が挙げられる。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには0.2質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。インクには、顔料の他に公知の染料などその他の色材が含まれていてもよい。
本発明を構成するインクに用いる色材は顔料である。本発明で用いることができる顔料の種類は特に限定されず、公知の無機顔料や有機顔料をいずれも用いることができる。具体的には、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラックなどの無機顔料、フタロシアニン、キナクドリンなどの有機顔料が挙げられる。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには0.2質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。インクには、顔料の他に公知の染料などその他の色材が含まれていてもよい。
本発明を構成するインクに使用する自己分散顔料は、コロイド滴定により求められる表面電荷量が0.20mmol/g以上であることを要する。つまり、顔料粒子の表面に、親水性基が直接又は他の原子団を介して化学的に結合してなり、コロイド滴定により求められる表面電荷量として示される顔料1g当たりの前記親水性基の量が0.20mmol/g以上であることを要する。また、前記表面電荷量は5.0mmol/g以下、さらには2.0mmol/g以下、特には1.8mmol/g以下であることが好ましい。本発明を構成するインクには、後述するように、水溶性樹脂として(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有する共重合体を含有させている。しかし、本発明においては、この水溶性樹脂の作用のみによって顔料を分散させることを期待しているのではない。すなわち、本発明でいう「自己分散」とは、樹脂などの高分子化合物や、界面活性能を有する化合物などが顔料粒子の表面に吸着し、基本的に、これらのもつ分散作用のみによって顔料を分散させるものではないことを意味している。本発明でいう自己分散顔料は、該顔料粒子の表面に、例えば、親水性基が直接又は他の原子団を介して化学的に結合しており、結合した親水性基の作用によって顔料粒子の分散を可能にしているものである。つまり、顔料粒子の表面に樹脂(分散剤)を吸着させることではじめて顔料の分散を達成している所謂樹脂分散顔料とは異なり、本発明において使用する自己分散顔料は、上記特定の樹脂を用いなくとも分散させることができるものである。
本発明で必要となる自己分散顔料の表面電荷量の測定は、コロイド滴定法により行う。後述する実施例においては、流動電位滴定ユニット(PCD−500)を搭載した電位差自動滴定装置AT−510(京都電子工業製)を用いて測定した。また、滴定試薬としてメチルグリコールキトサンを用いた電位差滴定により、顔料分散液中の自己分散顔料の表面電荷量を測定した。
顔料粒子の表面に、直接又は他の原子団を介して化学的に結合している親水性基としては、例えば、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2(式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。)などが挙げられる。また、前記他の原子団(−R−)としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基、フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基、アミド基、スルホン基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基が挙げられる。また、これらの基を組み合わせた基などが挙げられる。Mとして表されるアルカリ金属としては、例えば、Li、Na、Kなどが挙げられる。親水性基が塩を形成している場合、インク中における塩の形態は、その一部が解離した状態、又は全てが解離した状態のいずれの形態であってもよい。
本発明に用いる自己分散顔料としては、その他、表面酸化処理が施された自己分散顔料であってもよく、コロイド滴定により求められる表面電荷量が0.20mmol/g以上であれば用いることができる。このような自己分散顔料としては、次亜塩素酸ソーダによる酸化処理、水中オゾン処理、オゾン処理を施した後に酸化剤により湿式酸化し、粒子表面を改質するなどの方法によって得られるものが挙げられる。本発明においては、本発明の効果が得られる範囲で、他の分散方式の顔料(樹脂分散顔料、マイクロカプセル顔料、樹脂結合型自己分散顔料など)をさらに併用してもよい。
(水溶性樹脂)
本発明を構成するインクには、水溶性樹脂として(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有する共重合体を含有させる。上述の通り、この水溶性樹脂は、上記の自己分散顔料の分散剤として使用するものではない。なお、本発明において樹脂が水溶性であることとは、該樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に粒子径を有さないものであることとする。このような条件を満たす樹脂を、本発明においては水溶性樹脂として記載する。インク中の水溶性樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下、さらには0.3質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。また、水溶性樹脂は、その重量平均分子量が、1,000以上30,000以下、さらには3,000以上15,000以下であることが好ましい。
本発明を構成するインクには、水溶性樹脂として(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有する共重合体を含有させる。上述の通り、この水溶性樹脂は、上記の自己分散顔料の分散剤として使用するものではない。なお、本発明において樹脂が水溶性であることとは、該樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に粒子径を有さないものであることとする。このような条件を満たす樹脂を、本発明においては水溶性樹脂として記載する。インク中の水溶性樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下、さらには0.3質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。また、水溶性樹脂は、その重量平均分子量が、1,000以上30,000以下、さらには3,000以上15,000以下であることが好ましい。
本発明で規定する(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有する共重合体である水溶性樹脂は、(メタ)アクリル酸構造に含まれるアニオン性基の作用によって水性媒体中に溶解している。記録媒体においてインクが反応液と接触した際に、酸性領域に緩衝能を有する反応液の作用によりその溶解性が急激に低下し、記録媒体の表面に堆積するようになるため、共重合体が(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有することが必要である。
具体的には、以下に挙げるような親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして少なくとも有する水溶性樹脂が好ましい。なお、以下の記載における(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルを示すものとする。
重合により親水性ユニットとなる、親水性基を有する単量体としては、以下のものが挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシ基を有する単量体、(メタ)アクリル酸−2−ホスホン酸エチルなどのホスホン酸基を有する単量体、これらの酸性単量体の無水物や塩などのアニオン性単量体、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基を有する単量体が挙げられる。なお、アニオン性単量体の塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンが挙げられる。
また、重合により疎水性ユニットとなる、疎水性基を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、などの芳香環を有する単量体、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、iso−、t−)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有する単量体が挙げられる。
本発明者らの検討によると、水溶性樹脂はインク中の溶解性も確保しつつ、反応液と接触した際の樹脂の不溶化物の親水性が高すぎないことが好ましい。このため、水溶性樹脂の酸価は、100mgKOH/g以上215mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が100mgKOH/g未満であると、水性媒体に対する水溶性樹脂の溶解性が低くなる傾向があり、インクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。一方、酸価が215mgKOH/gを超えると、反応液と接触することで水溶性樹脂が不溶化しても、該水溶性樹脂の親水性が高すぎるために、インク中の液体成分との分離が速やかに行われず、短時間の耐転写性が十分に得られない場合がある。
また、本発明においては、インク中の水溶性樹脂の含有量(質量%)が、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.25倍以上0.75倍以下であることが好ましい。なお、この場合の水溶性樹脂及び顔料の含有量は、インク全質量を基準とした値である。質量比率が0.25倍未満であると、反応液と接触することで不溶化する樹脂の量が少なすぎ、記録媒体の表面に堆積する樹脂も少なくなるため、顔料を記録媒体の表面上に効率よく存在させることができないことがあるので好ましくない。この場合には、十分に高い画像濃度の画像が得られなくなるおそれがある。一方、質量比率が0.75倍を超えると、反応液と接触することで不溶化する樹脂の量が多くなって、記録媒体の表面に堆積する樹脂も多くなり、顔料も記録媒体の表面上に多く存在させることができる。しかし、この場合は、樹脂の量が多すぎるために、顔料や不溶化した水溶性樹脂と、インク中の液体成分との分離が速やかに行われず、短時間での耐転写性が十分に得られない場合があるので好ましくない。
(水性媒体)
本発明を構成するインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を水性媒体として含有させることが好ましい。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤としては、インクジェット用のインクに一般的に使用される公知のものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上の水溶性有機溶剤を用いることができる。具体的には、1価又は多価のアルコール類、アルキレン基の炭素原子数が1〜4程度のアルキレングリコール類、数平均分子量200〜2,000程度のポリエチレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
本発明を構成するインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を水性媒体として含有させることが好ましい。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤としては、インクジェット用のインクに一般的に使用される公知のものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上の水溶性有機溶剤を用いることができる。具体的には、1価又は多価のアルコール類、アルキレン基の炭素原子数が1〜4程度のアルキレングリコール類、数平均分子量200〜2,000程度のポリエチレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
(その他の成分)
本発明で使用するインクには、上記成分以外にも必要に応じて、尿素、エチレン尿素などの含窒素化合物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、上記の成分の他に、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
本発明で使用するインクには、上記成分以外にも必要に応じて、尿素、エチレン尿素などの含窒素化合物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、上記の成分の他に、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
なお、インクのpHは、6.0以上9.5以下であることが好ましい。pHが6.0未満であると、顔料の分散安定性が低くなる傾向があり、インクの保存安定性などが十分に得られない場合がある。一方、pHが9.5を超えると、インクジェット記録装置を構成する部材を腐食するなど、インクの接液性が低下する問題が生じやすい場合がある。また、インクの表面張力は、25.0mN/m以上38.0mN/m以下であることが好ましい。表面張力が38.0mN/mを超えると、記録媒体へのインクの浸透や拡散が遅くなり、インクの乾燥時間が長くなる場合がある。一方、表面張力が25.0mN/m未満であると、記録媒体にインクが過度に浸透しやすくなる傾向があり、その裏面にまでインクが到達し、裏抜けが生じやすくなる場合がある。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法では、インクを記録媒体に付与する工程、及び、反応液を記録媒体に付与する工程を有し、記録媒体においてインク及び反応液を互いに接触させて画像を形成する。そして、この際に、上記で説明した本発明の反応液とインクとのセットを用いることを特徴とする。本発明においては、インクは高精細な画像を得るためにインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させることが好ましいが、記録媒体への反応液の付与方法は、インクジェット方式に限らず、ローラーなどで塗布する方法を利用することもできる。つまり、反応液を何らかの方法で記録媒体に付与し、インクと反応液とを記録媒体において互いに接触させることができればよい。本発明の画像形成方法を行うための装置の構成としてはインクジェット記録装置やこれに塗布機構を設けたものが挙げられ、公知のいずれの構成も採用することができる。インクジェット記録装置に搭載される記録ヘッドには、力学的エネルギーや熱エネルギーの作用により液体を吐出させる方式があるが、本発明においては特に熱エネルギーの作用により液体を吐出させる方式の記録ヘッドを用いることが好ましい。
本発明の画像形成方法では、インクを記録媒体に付与する工程、及び、反応液を記録媒体に付与する工程を有し、記録媒体においてインク及び反応液を互いに接触させて画像を形成する。そして、この際に、上記で説明した本発明の反応液とインクとのセットを用いることを特徴とする。本発明においては、インクは高精細な画像を得るためにインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させることが好ましいが、記録媒体への反応液の付与方法は、インクジェット方式に限らず、ローラーなどで塗布する方法を利用することもできる。つまり、反応液を何らかの方法で記録媒体に付与し、インクと反応液とを記録媒体において互いに接触させることができればよい。本発明の画像形成方法を行うための装置の構成としてはインクジェット記録装置やこれに塗布機構を設けたものが挙げられ、公知のいずれの構成も採用することができる。インクジェット記録装置に搭載される記録ヘッドには、力学的エネルギーや熱エネルギーの作用により液体を吐出させる方式があるが、本発明においては特に熱エネルギーの作用により液体を吐出させる方式の記録ヘッドを用いることが好ましい。
インク及び反応液を記録媒体に付与する場合の順序としては、反応液を付与した後にインクを付与する場合や、インクを付与した後に反応液を付与する場合など、或いは、これらの組み合わせが挙げられる。本発明の目的を鑑みれば、反応液を先に付与した後にインクを付与する場合を少なくとも含むことが好ましい。
また、インクジェット方式の記録ヘッドからの吐出性という観点からは、インク及び反応液の特性について、粘度が1mPa・s以上15mPa・s以下、さらには1mPa・s以上5mPa・s以下であることが好ましい。また、反応液は記録媒体において、意図したインクと効率的に接触させて反応させることが好ましい。そのため、所望のインクによる記録領域とは別の箇所に反応液が滲まないように、反応液の表面張力を、記録ヘッドから吐出可能な範囲内で、かつ、反応液によって不安定化させる対象となるインクのそれよりも大きくすることが好ましい。
記録媒体への反応液の付与量は、反応液の緩衝能や、それと反応させるインクの構成によって適宜調整すればよい。本発明においては、得られる画像の均一性などの観点から、反応液の付与量を0.5g/m2以上10.0g/m2以下、さらには、2.0g/m2を超えて5.0g/m2以下とすることが好ましい。なお、記録媒体の大きさ(面積:m2)に対して、反応液を付与する領域が、ある一部分のみである場合は、記録媒体の全面に付与したと仮定して、反応液の付与量の値(g/m2)を求め、この値が上記の範囲を満足することが好ましい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、文中、「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。また、各種の物性は、25℃において測定した値である。pHの測定には、pHメータ(F−21;堀場製作所製)を用いた。
<顔料分散液の準備>
(自己分散顔料の表面電荷量)
先ず、自己分散顔料の表面電荷量を測定する方法を説明する。顔料分散液中の自己分散顔料の表面電荷量は、流動電位滴定ユニット(PCD−500)を搭載した電位差自動滴定装置AT−510(京都電子工業製)を用い、滴定試薬としてメチルグリコールキトサンを用いた電位差滴定により測定した。
(自己分散顔料の表面電荷量)
先ず、自己分散顔料の表面電荷量を測定する方法を説明する。顔料分散液中の自己分散顔料の表面電荷量は、流動電位滴定ユニット(PCD−500)を搭載した電位差自動滴定装置AT−510(京都電子工業製)を用い、滴定試薬としてメチルグリコールキトサンを用いた電位差滴定により測定した。
(顔料分散液A)
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.5gの4−アミノフタル酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃の水9gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、比表面積が220m2/gでDBP吸油量が105mL/100gのカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、顔料粒子の表面に−C6H3−(COONa)2基が結合している自己分散顔料Aを調製した。得られた自己分散顔料Aに水を加えて、顔料の含有量が10.0%となるように分散して顔料分散液Aを調製した。自己分散顔料Aのコロイド滴定により求められる表面電荷量は0.41mmol/gであった。
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.5gの4−アミノフタル酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃の水9gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、比表面積が220m2/gでDBP吸油量が105mL/100gのカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、顔料粒子の表面に−C6H3−(COONa)2基が結合している自己分散顔料Aを調製した。得られた自己分散顔料Aに水を加えて、顔料の含有量が10.0%となるように分散して顔料分散液Aを調製した。自己分散顔料Aのコロイド滴定により求められる表面電荷量は0.41mmol/gであった。
(顔料分散液B)
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.55gのp−アミノ安息香酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃の水9gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、比表面積が220m2/gでDBP吸油量が105mL/100gのカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、顔料粒子の表面に−C6H4−COONa基が結合している自己分散顔料Bを調製した。得られた自己分散顔料Bに水を加えて顔料の含有量が10.0%となるように分散して顔料分散液Bを調製した。自己分散顔料Bのコロイド滴定により求められる表面電荷量は0.21mmol/gであった。
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.55gのp−アミノ安息香酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃の水9gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、比表面積が220m2/gでDBP吸油量が105mL/100gのカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、顔料粒子の表面に−C6H4−COONa基が結合している自己分散顔料Bを調製した。得られた自己分散顔料Bに水を加えて顔料の含有量が10.0%となるように分散して顔料分散液Bを調製した。自己分散顔料Bのコロイド滴定により求められる表面電荷量は0.21mmol/gであった。
(顔料分散液C)
5.5gの水に2.5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で0.8gのp−アミノ安息香酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃の水9gに0.9gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、比表面積が220m2/gでDBP吸油量が105mL/100gのカーボンブラック9gを撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、顔料粒子の表面に−C6H4−COONa基が結合している自己分散顔料Cを調製した。得られた自己分散顔料Cに水を加えて顔料の含有量が10.0%となるように分散して顔料分散液Cを調製した。自己分散顔料Cのコロイド滴定により求められる表面電荷量は0.16mmol/gであった。
5.5gの水に2.5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で0.8gのp−アミノ安息香酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃の水9gに0.9gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、比表面積が220m2/gでDBP吸油量が105mL/100gのカーボンブラック9gを撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、顔料粒子の表面に−C6H4−COONa基が結合している自己分散顔料Cを調製した。得られた自己分散顔料Cに水を加えて顔料の含有量が10.0%となるように分散して顔料分散液Cを調製した。自己分散顔料Cのコロイド滴定により求められる表面電荷量は0.16mmol/gであった。
(顔料分散液D)
顔料分散液Dとしては、カーボンブラックの粒子表面にカルボキシ基が結合している自己分散顔料を含む市販の顔料分散体であるCAB−O−JET300(キャボット製)を用いた。顔料分散液D中の顔料の含有量は15.0%である。この顔料分散液D中の顔料を自己分散顔料Dと呼ぶ。自己分散顔料Dのコロイド滴定により求められる表面電荷量は0.098mmol/gであった。
顔料分散液Dとしては、カーボンブラックの粒子表面にカルボキシ基が結合している自己分散顔料を含む市販の顔料分散体であるCAB−O−JET300(キャボット製)を用いた。顔料分散液D中の顔料の含有量は15.0%である。この顔料分散液D中の顔料を自己分散顔料Dと呼ぶ。自己分散顔料Dのコロイド滴定により求められる表面電荷量は0.098mmol/gであった。
(顔料分散液E)
20gの顔料、7mmolの((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩、20mmolの硝酸、及び200mLの純水を混合した。この際、顔料としては、比表面積220m2/g、DBP吸油量105mL/100gのカーボンブラックを用い、混合は、シルヴァーソン混合機を用いて、室温で6,000rpmにて混合した。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた20mmolの亜硝酸ナトリウムをゆっくり添加した。この混合によって混合物の温度が60℃に達し、この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、混合物のpHを10に調整した。30分後、20mLの純水を加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションを行い、さらに、水を加えて顔料の含有量が10.0%となるように分散して顔料分散液Eを調製した。このようにして、顔料粒子の表面にカウンターイオンがナトリウムである((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が結合している自己分散顔料Eが水中に分散された状態の顔料分散液Eを得た。自己分散顔料Eのコロイド滴定により求められる表面電荷量は0.45mmol/gであった。
20gの顔料、7mmolの((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩、20mmolの硝酸、及び200mLの純水を混合した。この際、顔料としては、比表面積220m2/g、DBP吸油量105mL/100gのカーボンブラックを用い、混合は、シルヴァーソン混合機を用いて、室温で6,000rpmにて混合した。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた20mmolの亜硝酸ナトリウムをゆっくり添加した。この混合によって混合物の温度が60℃に達し、この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、混合物のpHを10に調整した。30分後、20mLの純水を加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションを行い、さらに、水を加えて顔料の含有量が10.0%となるように分散して顔料分散液Eを調製した。このようにして、顔料粒子の表面にカウンターイオンがナトリウムである((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が結合している自己分散顔料Eが水中に分散された状態の顔料分散液Eを得た。自己分散顔料Eのコロイド滴定により求められる表面電荷量は0.45mmol/gであった。
<水溶性樹脂の準備>
(水溶性樹脂A)
常法により合成した、重量平均分子量が5,000、酸価が120mgKOH/gであるスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(組成(モル)比33:44:23)を、該共重合体の酸価と当量の水酸化カリウムで中和した。これに水を加えて、水溶性樹脂Aの含有量が10.0%である樹脂水溶液Aを調製した。
(水溶性樹脂A)
常法により合成した、重量平均分子量が5,000、酸価が120mgKOH/gであるスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(組成(モル)比33:44:23)を、該共重合体の酸価と当量の水酸化カリウムで中和した。これに水を加えて、水溶性樹脂Aの含有量が10.0%である樹脂水溶液Aを調製した。
(水溶性樹脂B)
重量平均分子量が8,500、酸価が215mgKOH/gである市販のスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル678;BASF製)を、該共重合体の酸価と当量の水酸化カリウムで中和した。その後、水を加えて、水溶性樹脂Bの含有量が10.0%である樹脂水溶液Bを調製した。
重量平均分子量が8,500、酸価が215mgKOH/gである市販のスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル678;BASF製)を、該共重合体の酸価と当量の水酸化カリウムで中和した。その後、水を加えて、水溶性樹脂Bの含有量が10.0%である樹脂水溶液Bを調製した。
(水溶性樹脂C)
重量平均分子量が4,600、酸価が108mgKOH/gである市販のスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル586;BASF製)を、該共重合体の酸価と当量の水酸化カリウムで中和した。これに水を加えて、水溶性樹脂Cの含有量が10.0%である樹脂水溶液Cを調製した。
重量平均分子量が4,600、酸価が108mgKOH/gである市販のスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル586;BASF製)を、該共重合体の酸価と当量の水酸化カリウムで中和した。これに水を加えて、水溶性樹脂Cの含有量が10.0%である樹脂水溶液Cを調製した。
(水溶性樹脂D)
重量平均分子量が8,000、酸価が160mgKOH/gである市販のスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル683;BASF製)を、該共重合体の酸価と当量の水酸化カリウムで中和した。これに水を加えて、水溶性樹脂Dの含有量が10.0%である樹脂水溶液Dを調製した。
重量平均分子量が8,000、酸価が160mgKOH/gである市販のスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル683;BASF製)を、該共重合体の酸価と当量の水酸化カリウムで中和した。これに水を加えて、水溶性樹脂Dの含有量が10.0%である樹脂水溶液Dを調製した。
(水溶性樹脂E)
常法により合成した、重量平均分子量が12,000、酸価が230mgKOH/gであるスチレン−アクリル酸共重合体(組成(モル)比66:34)を、該共重合体の酸価と当量の水酸化カリウムで中和した。これに水を加えて、水溶性樹脂Eの含有量が10.0%である樹脂水溶液Eを調製した。
常法により合成した、重量平均分子量が12,000、酸価が230mgKOH/gであるスチレン−アクリル酸共重合体(組成(モル)比66:34)を、該共重合体の酸価と当量の水酸化カリウムで中和した。これに水を加えて、水溶性樹脂Eの含有量が10.0%である樹脂水溶液Eを調製した。
(水溶性樹脂F)
常法により、(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有さない共重合体である、重量平均分子量が8,000、酸価が140mgKOH/gであるスチレン−アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸共重合体(組成(モル)比48:52)を合成した。次に、得られた共重合体の酸価と当量の水酸化カリウムで中和し、水を加えて、水溶性樹脂Fの含有量が10.0%である樹脂水溶液Fを調製した。
常法により、(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有さない共重合体である、重量平均分子量が8,000、酸価が140mgKOH/gであるスチレン−アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸共重合体(組成(モル)比48:52)を合成した。次に、得られた共重合体の酸価と当量の水酸化カリウムで中和し、水を加えて、水溶性樹脂Fの含有量が10.0%である樹脂水溶液Fを調製した。
(水溶性樹脂G)
常法により合成した、重量平均分子量が10,000、酸価が200mgKOH/gであるベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(組成(モル)比40:60)を、酸価と当量の水酸化カリウムで中和した。これに水を加えて、水溶性樹脂Gの含有量が10.0%である樹脂水溶液Gを調製した。
常法により合成した、重量平均分子量が10,000、酸価が200mgKOH/gであるベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(組成(モル)比40:60)を、酸価と当量の水酸化カリウムで中和した。これに水を加えて、水溶性樹脂Gの含有量が10.0%である樹脂水溶液Gを調製した。
<インクの調製>
表1の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。なお、表1中のアセチレノールE100はアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物であり、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。また、ポリエチレングリコールは平均分子量600のものを使用した。表1の下段には、調製したインクの表面張力の値を示した。インクの表面張力は、10mm×24mmの白金プレートを搭載した表面張力計CBVP−A3(協和界面科学製)を用い、温度25.0±0.5℃で測定した。さらに、表1の下段には、各インク中の、水溶性樹脂の含有量[%]及び顔料の含有量[%]、水溶性樹脂の含有量/顔料の含有量の値[倍]も示した。
表1の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。なお、表1中のアセチレノールE100はアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物であり、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。また、ポリエチレングリコールは平均分子量600のものを使用した。表1の下段には、調製したインクの表面張力の値を示した。インクの表面張力は、10mm×24mmの白金プレートを搭載した表面張力計CBVP−A3(協和界面科学製)を用い、温度25.0±0.5℃で測定した。さらに、表1の下段には、各インク中の、水溶性樹脂の含有量[%]及び顔料の含有量[%]、水溶性樹脂の含有量/顔料の含有量の値[倍]も示した。
<反応液の調製>
表2の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、さらに表2の下段に示すpHとなるように8mol/Lの水酸化カリウム水溶液を添加して、十分撹拌した。その後、ポアサイズ0.45μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各反応液を調製した。なお、表2中のアセチレノールE100は、前記した川研ファインケミカル製の界面活性剤であり、ポリエチレングリコールは平均分子量600のものを使用した。反応液のpHは、pHメータ(商品名:F−21;堀場製作所製)を用い、25℃で測定した。
表2の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、さらに表2の下段に示すpHとなるように8mol/Lの水酸化カリウム水溶液を添加して、十分撹拌した。その後、ポアサイズ0.45μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各反応液を調製した。なお、表2中のアセチレノールE100は、前記した川研ファインケミカル製の界面活性剤であり、ポリエチレングリコールは平均分子量600のものを使用した。反応液のpHは、pHメータ(商品名:F−21;堀場製作所製)を用い、25℃で測定した。
<評価>
上記で得られたインク及び反応液を、表3の左側に示す組み合わせで用いてインクと反応液との各セットとした。実施例1〜17及び比較例1、3〜5の各セットは、pH7.0未満のpH領域において、反応液のpHと、インクと反応液とを等量ずつ混合した混合物のpHとの差が0.1以内であり、反応液は酸性領域に緩衝能を有するものであった。
上記で得られたインク及び反応液を、表3の左側に示す組み合わせで用いてインクと反応液との各セットとした。実施例1〜17及び比較例1、3〜5の各セットは、pH7.0未満のpH領域において、反応液のpHと、インクと反応液とを等量ずつ混合した混合物のpHとの差が0.1以内であり、反応液は酸性領域に緩衝能を有するものであった。
これらのセットを用いて、以下の条件で評価を行った。画像の形成には、熱エネルギーの作用により液体を吐出させる記録ヘッドを搭載するインクジェット記録装置(商品名:PIXUS Pro9500;キヤノン製)を改造したものを用いた。セットを構成するインク及び反応液をそれぞれカートリッジに充填し、反応液のカートリッジをフォトマゼンタのポジションに、また、インクのカートリッジは2つ用意し、シアン及びレッドのポジションにそれぞれセットした。
記録条件は、記録ヘッドの吐出口の配置幅分の画像を、記録ヘッドのホームポジションから開始する走査でのみ記録を行う、1パス片方向記録とし、同一のパスで反応液を記録媒体に付与し、その後にインクを重なるように付与した。本実施例においては、1/600inch×1/600inchを1ピクセルと定義し、1ピクセルを格子状に4分割して、以下のように反応液及びインクを付与した。反応液は4分割された格子に千鳥状に2滴を、また、インクは、レッドのポジションに対応する吐出口から4分割された格子のそれぞれに4滴、シアンのポジションに対応する吐出口から4分割された格子に千鳥状に2滴、の合計6滴を付与するようにした。
(画像濃度の評価)
表3に示した各セットを用い、上記の条件で、PB PAPER GF−500(キヤノン製)を記録媒体として、1cm×2cmのベタ画像を形成した。1時間後に分光光度計(Macbeth RD918;Macbeth製)を用いて、ベタ画像の画像濃度を測定し、画像濃度の評価を行った。画像濃度の評価基準は以下の通りである。評価結果を表3の右側に示した。本発明においては、下記の評価基準でB以上を許容できるレベル、Cを許容できないレベルとした。
A:画像濃度が1.4以上であった。
B:画像濃度が1.2以上1.4未満であった。
C:画像濃度が1.2未満であった。
表3に示した各セットを用い、上記の条件で、PB PAPER GF−500(キヤノン製)を記録媒体として、1cm×2cmのベタ画像を形成した。1時間後に分光光度計(Macbeth RD918;Macbeth製)を用いて、ベタ画像の画像濃度を測定し、画像濃度の評価を行った。画像濃度の評価基準は以下の通りである。評価結果を表3の右側に示した。本発明においては、下記の評価基準でB以上を許容できるレベル、Cを許容できないレベルとした。
A:画像濃度が1.4以上であった。
B:画像濃度が1.2以上1.4未満であった。
C:画像濃度が1.2未満であった。
(短時間の耐転写性の評価)
表3に示した各セットを用い、上記の条件で、A4サイズのPB PAPER GF−500(キヤノン製)を記録媒体とし、下記の画像を形成した。具体的には、その長手方向に見た下方、つまり、記録装置から画像形成後の記録媒体が排出される際の記録媒体の後端付近に、1cm×2cmのベタ画像を形成した。この際、上記ベタ画像は、記録媒体の長手方向に対して斜め45度に記録されるようにした。そして、画像が形成されてから5秒後に、斜めに記録したベタ画像の重心を通るように、記録媒体を記録面が内側になるように折り、縦方向に指を滑らせて折り目をつけ、画像に対応する部分を加圧した。そして、記録媒体を開き、斜めに記録したベタ画像が折り曲げた際に対応する箇所に転写し、転写跡が形成されているかを目視で確認して、短時間の耐転写性の評価を行った。同様の評価を画像が形成されてから10秒後及び15秒後についても行い、同様に短時間の耐転写性の評価を行った。短時間の耐転写性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表3の右側に示した。本発明においては、下記の評価基準でB以上を許容できるレベル、Cを許容できないレベルとした。
A:ベタ画像の転写跡が確認できなかった。
B:ベタ画像の転写跡がうっすらと確認できたが、転写された部分とベタ画像の部分で×の形が形成されてはいなかった。
C:ベタ画像の転写跡が確認でき、転写された部分とベタ画像の部分で×の形が形成されていた。
表3に示した各セットを用い、上記の条件で、A4サイズのPB PAPER GF−500(キヤノン製)を記録媒体とし、下記の画像を形成した。具体的には、その長手方向に見た下方、つまり、記録装置から画像形成後の記録媒体が排出される際の記録媒体の後端付近に、1cm×2cmのベタ画像を形成した。この際、上記ベタ画像は、記録媒体の長手方向に対して斜め45度に記録されるようにした。そして、画像が形成されてから5秒後に、斜めに記録したベタ画像の重心を通るように、記録媒体を記録面が内側になるように折り、縦方向に指を滑らせて折り目をつけ、画像に対応する部分を加圧した。そして、記録媒体を開き、斜めに記録したベタ画像が折り曲げた際に対応する箇所に転写し、転写跡が形成されているかを目視で確認して、短時間の耐転写性の評価を行った。同様の評価を画像が形成されてから10秒後及び15秒後についても行い、同様に短時間の耐転写性の評価を行った。短時間の耐転写性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表3の右側に示した。本発明においては、下記の評価基準でB以上を許容できるレベル、Cを許容できないレベルとした。
A:ベタ画像の転写跡が確認できなかった。
B:ベタ画像の転写跡がうっすらと確認できたが、転写された部分とベタ画像の部分で×の形が形成されてはいなかった。
C:ベタ画像の転写跡が確認でき、転写された部分とベタ画像の部分で×の形が形成されていた。
なお、短時間の転写性の評価と同様の条件で形成したベタ画像について、画像が形成されてから10秒後に40g/cm2の錘を乗せたシルボン紙で1回擦り、画像や記録媒体の汚れの程度を目視で確認する従来の定着性の評価も行った。しかし、実施例及び比較例のいずれのセットにおいても、転写跡は確認されなかった。
また、熱エネルギーの作用によりインクを吐出させる記録ヘッドと、反応液を付与する塗布ローラーとを搭載するインクジェット記録装置(商品名:PIXUS MX7600;キヤノン製)を用い、以下の評価試験を行った。具体的には、クリアーインクのタンクに上記で調製した反応液4を、また、ブラックのポジションに実施例1〜7のセットを構成するインクをそれぞれにセットして、上記と同様に、画像濃度及び短時間の転写性の評価を行った。その結果、反応液をローラー塗布方式で記録媒体に付与しても、反応液をインクジェット方式により付与した場合の実施例1〜7と同様の評価結果となり、本発明の効果が得られることが確認された。
Claims (6)
- 顔料及び水溶性樹脂を含有してなるインクと、酸性領域に緩衝能を持つ反応液との組み合わせを有するインクと反応液とのセットであって、
前記顔料が、コロイド滴定により求められる表面電荷量が0.20mmol/g以上である自己分散顔料であり、かつ、前記水溶性樹脂が、(メタ)アクリル酸に由来するユニットを有する共重合体であることを特徴とするインクと反応液とのセット。 - インク中の前記水溶性樹脂の含有量(質量%)が、インク中の前記顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.25倍以上0.75倍以下である請求項1に記載のインクと反応液とのセット。
- 前記水溶性樹脂の酸価が、100mgKOH/g以上215mgKOH/g以下である請求項1又は2に記載のインクと反応液とのセット。
- 前記反応液が、カルボキシ基を持つ有機酸を含有してなり、かつ、そのpHが3.5以上5.5以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクと反応液とのセット。
- 前記有機酸が、少なくとも2つのカルボキシ基を持つ請求項4に記載のインクと反応液とのセット。
- インクを記録媒体に付与する工程と、反応液を記録媒体に付与する工程とを有し、該記録媒体において、インク及び反応液を互いに接触させて画像を形成する画像形成方法であって、反応液及びインクに、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の反応液とインクとのセットを用いることを特徴とする画像形成方法。
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JP2011093348A JP2012223975A (ja) | 2011-04-19 | 2011-04-19 | インクと反応液とのセット及び該セットを用いる画像形成方法 |
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WO2020066516A1 (ja) | 2018-09-28 | 2020-04-02 | 富士フイルム株式会社 | 前処理液、インクセット及び画像記録方法 |
WO2022097503A1 (ja) | 2020-11-06 | 2022-05-12 | 富士フイルム株式会社 | 浸透性基材用インクセット及び画像記録方法 |
-
2011
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