JP2012221610A - 耐熱アルミニウム電線 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム素線を絶縁体が被覆してなる耐熱アルミニウム電線であって、前記絶縁体が、ポリエチレン樹脂35〜60質量部、エチレン共重合体65〜40質量部、及び難燃剤として水酸化マグネシウム60〜100質量部を含むことを特徴とする耐熱アルミニウム電線である。絶縁体の降伏点強度は12MPa以上であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
また、アルミニウム導体は熱引きが悪く、電線難燃性を満足させるためには、多量に難燃剤を添加しなければ電線難燃性を満足することは困難であるという背景もある。
すなわち、上記課題を解決する本発明は以下の通りである。
前記絶縁体が、ポリエチレン樹脂35〜60質量部、エチレン共重合体65〜40質量部、及び難燃剤として水酸化マグネシウム60〜100質量部を含むことを特徴とする耐熱アルミニウム電線。
上述の通り、難燃剤として水酸化アルミニウムを用いると自動車用電線としての特性を満足させることは困難である。そこで、難燃剤として水酸化アルミニウムを用いず、水酸化マグネシウムを用い、耐熱性、難燃性、耐摩耗性、耐寒性、及び耐温水性に優れた耐熱アルミニウム電線を提供するのである。
本発明において、アルミニウム素線としては、通常アルミニウム電線に用いられているものを使用することができる。また、その径についても特に制限はないが、通常0.15〜0.30mmとされる。
本発明において、絶縁体には、ポリエチレン樹脂35〜60質量部、エチレン共重合体65〜40質量部、及び難燃剤として水酸化マグネシウム60〜100質量部を含む。
以下に、各成分について説明する。
ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、無水マレイン酸などによる変性ポリエチレン樹脂が挙げられる。
ポリエチレン樹脂の含有量としては、35〜60質量部であり、好ましくは40〜45質量部である。当該含有量が35質量部未満では屈曲性に劣り、60質量部を超えると難燃性に劣ることとなる。
エチレン共重合体としては、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/不飽和カルボン酸共重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、エチレン/メチルメタクリレート共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アミノアルキルメタクリレート共重合体、エチレン/ビニルシラン共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
エチレン共重合体の含有量としては、65〜40質量部であり、好ましくは55〜60質量部である。
また、エチレン共重合体はポリエチレン樹脂に対して柔らかく削れやすいため、その割合が多い場合は、対摩耗性は低下する傾向にある。
一方、エチレン共重合体の含有量が少なく、難燃剤の量が多い場合は耐寒性が劣る。耐寒性の優劣は、−40℃下においてマンドレルに巻きつけた絶縁体に亀裂が生じるか否かが基準であるが、エチレン共重合体が少なく、難燃剤として水酸化マグネシウムのような無機フィラーが多い場合、柔軟でなく樹脂と無機フィラーとの界面に応力が集中し絶縁体に亀裂が入ってしまうからと考えられる。
本発明において、難燃剤としては水酸化マグネシウムを用いる。使用する水酸化マグネシウムは、平均粒子径0.5〜30μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがより好ましい。
水酸化マグネシウムの含有量は、60〜100質量部であり、好ましくは、70〜80質量部である。
絶縁体は降伏点を過ぎると屈曲で受ける応力を緩和できなくなり、絶縁体及びアルミニウム素線に応力が疲労蓄積され破断すると推定される。従って、降伏点強度が低い場合、屈曲で受ける応力が早い段階(後述する屈曲性の試験において屈曲回数が少ない)で導体及び絶縁体に疲労として蓄積され屈曲回数が低下するものと考えられる。降伏点強度が12MPa以上であると、屈曲回数を2000回以上とすることができる。
被覆後の架橋の方法も特に制限はなく、電子線架橋法や化学架橋法で行うことができる。電子線架橋法で行う場合、電子線の線量は1〜30Mradが適当であり、効率よく架橋を行うためにトリメチルプロパントリアクリレートなどの(メタ)アクリレート系化合物、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物などの多官能性化合物を架橋助剤として配合していおいてもよい。
化学架橋法の場合は、樹脂組成物にヒドロペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ペルオキシエステル、ケトンペルオキシエステル、ケトンペルオキシドなどの有機過酸化物を架橋剤として配合し、押出成形被覆後に加熱処理により架橋を行う方法を採用することができる。
各実施例・比較例において、ポリエチレン樹脂と、エチレン共重合体と、難燃剤として水酸化マグネシウムと、その他添加剤とをそれぞれ表4〜6に示す部数(質量部)用いて溶融混練し、造粒したものを押出機を使用してアルミニウム素線(径:1.85mm)に被覆し耐熱性アルミニウム電線を作製した。なお、各成分の詳細は以下の通りである。
ポリエチレン樹脂:HDPE(高密度ポリエチレン)(日本ポリエチレン(株)製HE122R)
エチレン共重合体:EEA(エチレンエチルアクリレート)(日本ユニカー(株)製DPDJ−6169EK)
難燃剤:水酸化マグネシウム(粒径:1.2μm)(協和化学工業(株)製キスマ5A)
酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤(BASF社製IRGANOX 1010)
重金属不活性化剤:銅害防止剤(旭電化工業(株)製CDA−6)
<評価基準>
(1)耐温水性
85℃、3%塩水35日間浸漬下において体積固有抵抗を測定し、その値が109Ω・m以上である場合を○とし、109Ω・m未満の場合を×とした(関連規格:ISO6722)。
(2)難燃性
各実施例・比較例の耐熱性アルミニウム電線を用意し、傾き45度傾斜に固定し、15秒間接炎し、消炎するまでの時間が70秒未満の場合を合格とし、70秒超の場合を不合格として評価した。これを50回繰り返し、すべて合格の場合を○とし、不合格が1つでもあれば×とした。
(3)耐寒性
−40℃、4時間後、自己径巻きつけにて絶縁被覆に亀裂が発生しないことを確認し、耐電圧試験にて1kV1分以上を満足したものを○、満足しないものを×として評価した。
(4)耐摩耗性
スクレープ摩耗性試験(荷重7N)にて、1500回超の場合を◎とし、750回超の場合を○とし、750回未満の場合を×として評価した。なお、自動車用途としては1500回超が特に好ましい。
(5)屈曲性
図1に示すような測定装置を用い、一端に1200gのおもりを付けた各実施例・比較例の耐熱アルミニウム電線10(1500mm)を、マンドレル12(径:25mm)を軸として何度も折り曲げた。図1において、符号14はおもりである。電線の電機抵抗を測定し、抵抗値が初期値の10%以上を超えた場合、断線と判定し、その回数(=n)を計測した。これを5回繰り返し、各回の最小のnが2000以上の場合を○とし、2000未満の場合を×とした。
JISK7161に準じて、電線から絶縁体のみをサンプリングし、引張強度200mm/minにて引張試験を実施し、降伏点の強度を測定した。そして、測定した降伏点強度と、既述の(5)屈曲性の評価において得られた屈曲回数との関係を表すグラフを図2に示す。
図2に示すように、降伏点強度が12MPa以上の場合、屈曲回数が2000回以上である。すなわち、降伏点強度が12MPa以上であると、屈曲性が良好となるのが分かる。
Claims (2)
- アルミニウム素線を絶縁体が被覆してなる耐熱アルミニウム電線であって、
前記絶縁体が、ポリエチレン樹脂35〜60質量部、エチレン共重合体65〜40質量部、及び難燃剤として水酸化マグネシウム60〜100質量部を含むことを特徴とする耐熱アルミニウム電線。 - 前記絶縁体の降伏点強度が12MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐熱アルミニウム電線。
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