JP2012212620A - 色素増感型太陽電池の製造方法 - Google Patents

色素増感型太陽電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、環境負荷が小さく、製造が容易であり、発電特性および耐久性に優れた色素増感型太陽電池の製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、第1電極基材上に、金属酸化物半導体微粒子を含む前駆層を形成する前駆層形成工程、上記前駆層の上記金属酸化物半導体微粒子に色素増感剤を担持させて多孔質層を形成する多孔質層形成工程、および、上記多孔質層上に、第1固体電解質層形成用塗工液を塗布して第1固体電解質層を形成する第1固体電解質層形成工程、を有する半導体電極基板調製工程と、第2電極基材上に、第2固体電解質層形成用塗工液を塗布して第2固体電解質層を形成する第2固体電解質層形成工程を有する対向電極基板調製工程と、上記第1固体電解質層および上記第2固体電解質層を対向するように配置し、貼合する基板貼合工程と、を有することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法を提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感型太陽電池の製造方法に関するものである。
近年、二酸化炭素の増加が原因とされる地球温暖化等の環境問題が深刻となり、世界的にその対策が講じられている。なかでも環境に対する負荷が小さく、クリーンなエネルギー源として、太陽光エネルギーを利用した太陽電池に関する積極的な研究開発が進められている。このような太陽電池の中でも、環境負荷が小さく、かつ製造コストを削減できる太陽電池として、色素増感型太陽電池が注目され、研究開発が進められている。
色素増感型太陽電池の一般的な構成の一例を図2に示す。図2に例示するように、一般的な色素増感型太陽電池100は、電極としての機能を備えた第1電極基材111、および第1電極基材111上に形成され、色素増感剤が担持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層112を有する半導体電極基板110と、電極としての機能を備えた第2電極基材121、および第2電極基材121上に形成された触媒層122を有する対向電極基板120とが、多孔質層112および触媒層122が対向するように配置されており、半導体電極基板110および対向電極基板120の間に酸化還元対を含む電解質層103が形成され、色素増感型太陽電池100の端部がシール材104により封止された構成を有するものである。そして、多孔質層112における色素増感剤が、第1電極基材111側から太陽光を受光することによって励起され、励起された電子が第1電極基材111へ伝導し、外部回路を通じて第2電極基材121へ伝導される。その後、酸化還元対を介して色素増感剤の基底準位に電子が戻ることによって発電するものである。
従来の色素増感型太陽電池においては、電解質層として有機溶媒やイオン液体等を溶媒とした電解液がセル内部に注入されたものが一般的であった。しかしながら、このような液体電解質を備える色素増感型太陽電池においては、電解質の漏洩や短絡等の危険性が指摘されている。そこで、近年においては、液体電解質層に代えて、固体電解質層の採用が検討されている(特許文献1参照)。
一般的な固体電解質の形成方法として、電解質層形成用塗工液を多孔質層上に塗布する方法(以下、塗布法という。)が挙げられる。この塗布法を用いることで、容易に形成可能となり生産性の向上を図ることが可能となる。このような方法としては、塗布法によって固体電解質層を形成し、熱プレス法により均一な固体電解質層を有する光電変換素子を備える色素増感型太陽電池を形成する方法が開示されている(特許文献2参照)。
しかしながら、塗布法で形成された色素増感型太陽電池は、耐久性や発電特性の観点から様々な課題を有しており、さらなる研究開発が望まれていた。
特開2000−228234号公報 特開2004−319197号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、環境負荷が小さく、製造が容易であり、発電特性および耐久性に優れた色素増感型太陽電池の製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、第1電極基材上に、金属酸化物半導体微粒子を含む前駆層を形成する前駆層形成工程、上記前駆層の上記金属酸化物半導体微粒子に色素増感剤を担持させて多孔質層を形成する多孔質層形成工程、および上記多孔質層上に、第1固体電解質層形成用塗工液を塗布して第1固体電解質層を形成する第1固体電解質層形成工程、を有する半導体電極基板調製工程と、第2電極基材上に、第2固体電解質層形成用塗工液を塗布して第2固体電解質層を形成する第2固体電解質層形成工程を有する対向電極基板調製工程と、上記第1固体電解質層および上記第2固体電解質層を対向するように配置し、貼合する基板貼合工程と、を有することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記半導体電極基板上の多孔質層上に第1固体電解質層が、上記対向電極基板上の第2電極基材上に第2固体電解質層が、各々塗布法により形成されることにより、多孔質層−第1固体電解質層界面、および第2電極基材−第2固体電解質層界面の両界面が各々良好に密着する。そのため、多孔質層−第1固体電解質層界面、および第2電極基材−第2固体電解質層界面における層間の電荷の移動を安定化させることが可能となる。
また、第1固体電解質層および第2固体電解質層は塗布法により形成されるので、各固体電解質層形成用塗工液のレベリングにより、第1固体電解質層および第2固体電解質層の表面形状の粗さが緩和される。そして、半導体電極基板および対向電極基板の貼合面が第1固体電解質層および第2固体電解質層であることから、第1固体電解質層−第2固体電解質層界面が良好に密着する。そのため、第1固体電解質層−第2固体電解質層界面における界面の電荷の移動を安定化させることが可能となる。
本発明は、環境負荷が小さく、製造が容易であり、光電変換効率や耐久性等の電池特性に優れた色素増感型太陽電池を製造できるという効果を奏する。
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法の一例を示す工程図である。 一般的な色素増感型太陽電池の一例を示す概略図である。
本発明は、色素増感型太陽電池の製造方法に関するものである。
以下、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について詳細に説明する。
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、第1電極基材上に、金属酸化物半導体微粒子を含む前駆層を形成する前駆層形成工程、上記前駆層の上記金属酸化物半導体微粒子に色素増感剤を担持させて多孔質層を形成する多孔質層形成工程、および、上記多孔質層上に、第1固体電解質層形成用塗工液を塗布して第1固体電解質層を形成する第1固体電解質層形成工程、を有する半導体電極基板調製工程と、第2電極基材上に、第2固体電解質層形成用塗工液を塗布して第2固体電解質層を形成する第2固体電解質層形成工程を有する対向電極基板調製工程と、上記第1固体電解質層および上記第2固体電解質層を対向するように配置し、貼合する基板貼合工程と、を有する方法である。なお、本発明においては、固体電解質層はゲル電解質層を含む概念である。
このような本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明における色素増感型太陽電池の製造方法の一例を示した工程図である。
まず、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、第1電極基材11上に、金属酸化物半導体微粒子を含む前駆層12を形成する前駆層形成工程(図1(a))、上記前駆層12の上記金属酸化物半導体微粒子に色素増感剤を担持させて多孔質層13を形成する多孔質形成工程(図1(b))、および上記多孔質層13上に、第1固体電解質層形成用塗工液を塗布して第1固体電解質層14aを形成して、半導体電極基板10を形成する第1固体電解質層形成工程(図1(c))を有する半導体電極基板調製工程を行う。
また、表面に触媒層22を有する第2電極基材21を準備し(図1(d))、上記触媒層22上に、第2固体電解質層形成用塗工液を塗布して第2固体電解質層14bを形成して、対向電極基板20を形成する第2固体電解質層形成工程(図1(e))を有する対向電極基板調製工程を行う。
そして、上記第1固体電解質層14aおよび上記第2固体電解質層14bを対向するように配置し(図1(f))、貼合する基板貼合工程を行い、色素増感型太陽電池1を製造するものである(図1(g))。
本発明で光電変換効率および耐久性に優れた色素増感型太陽電池を製造することができる理由は、下記のように推定される。本発明においては、上記半導体電極基板上の多孔質層上に第1固体電解質層が、上記対向電極基板上の第2電極基材上に第2固体電解質層が、各々塗布法により形成されることにより、多孔質層−第1固体電解質層界面、および第2電極基材−第2固体電解質層界面の両界面が各々良好に密着する。そのため、多孔質層−第1固体電解質層界面、および第2電極基材−第2固体電解質層界面における層間の電荷の移動を安定化させることが可能となる。
また、第1固体電解質層および第2固体電解質層は塗布法により形成されるので、各固体電解質層形成用塗工液のレベリングにより、第1固体電解質層および第2固体電解質層の表面形状の粗さが緩和される。そして、半導体電極基板および対向電極基板の貼合面が第1固体電解質層および第2固体電解質層であることから、第1固体電解質層−第2固体電解質層界面が良好に密着する。そのため、第1固体電解質層−第2固体電解質層における界面の電荷の移動を安定化させることが可能となる。
したがって、本発明によれば、半導体電極基板側または対向電極基板側のいずれか一方のみに固体電解質層を塗布形成し2基板を貼合する場合と比較して、色素増感型太陽電池の各構成層の密着性を優れたものとすることが可能であり、層間の電荷の移動が安定的になるため、光電変換効率および耐久性に優れた色素増感型太陽電池を製造することができる。
以下、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法の各工程について説明する。
A.半導体電極基板調製工程
まず、本発明における半導体電極基板調製工程について説明する。本発明における半導体電極基板調製工程は、第1電極基材上に、金属酸化物半導体微粒子を含む前駆層を形成する前駆層形成工程、上記前駆層の上記金属酸化物半導体微粒子に色素増感剤を担持させて多孔質層を形成する多孔質層形成工程、および、上記多孔質層上に、第1固体電解質層形成用塗工液を塗布して第1固体電解質層を形成する第1固体電解質層形成工程を有する工程である。
以下、各工程について説明する。
1.前駆層形成工程
本発明における前駆層形成工程は、第1電極基材上に、金属酸化物半導体微粒子を含む前駆層を形成する工程である。
以下、このような前駆層形成工程について説明する。
(1)前駆層
本工程によって形成される前駆層について説明する。本工程によって形成される前駆層は、第1電極基材上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を含むものである。
このような前駆層について、図面を参照しながら説明する。図1(a)に例示するように、前駆層12は、第1電極基材11上に形成されるものである。
本工程によって形成される前駆層は、後工程で上記金属酸化物半導体微粒子に色素増感剤を担持させることにより多孔質層となる層であり、半導体特性を備える金属酸化物半導体微粒子を含有していることから、半導体電極基板に半導体特性を付与する性質を有するものである。
本工程に用いられる金属酸化物半導体微粒子としては、半導体特性を備える金属酸化物からなるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、TiO,ZnO,SnO、ITO、ZrO、SiO、MgO、Al、CeO、Bi、Mn、Y、WO、Ta、Nb、La等を挙げることができる。これらの金属酸化物半導体微粒子は、多孔性の多孔質層形成に適しており、エネルギー変換効率の向上、製造コストの削減を図ることができる。なかでも、本発明においては、上記金属酸化物半導体微粒子としてTiOからなるものを用いることが好ましい。特に半導体特性に優れるからである。
本工程に用いられる金属酸化物半導体微粒子としては、すべて同一の金属酸化物からなるものであっても良く、あるいは、異なる金属酸化物からなるものが2種類以上用いられているものであっても良い。
本工程に用いられる金属酸化物半導体微粒子の粒径としては、後述する多孔質層形成工程によって形成される多孔質層が所望の表面積を得ることができる程度であれば特に限定されるものではないが、通常、1nm〜10μmの範囲内であることが好ましい。なかでも、10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、10nm〜500nmの範囲内であることが特に好ましい。
粒径が上記範囲より小さい場合、各々の金属酸化物半導体微粒子が凝集し二次粒子を形成してしまう恐れがある。また粒径が上記範囲より大きい場合、前駆層および後述する多孔質層が厚膜化してしまう恐れがあり、さらに多孔度、すなわち比表面積が減少してしまうため、後述する多孔質層形成工程において充分な色素増感剤を担持することができず、光電変換を充分に行うことができない可能性があるからである。
本発明に用いられる前駆層中における金属酸化物半導体微粒子の含有量としては、40質量%〜99.9質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、85質量%〜99.5質量%の範囲内であることがより好ましい。
本工程によって形成される前駆層としては、所望の機能を有することができるものであれば特に限定されるものではなく、単層であっても良く、複数層であっても良い。
本工程における前駆層形成方法としては、所望の機能を有する前駆層を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、塗布法により形成されることが好ましい。塗布法としては、前駆層形成用塗工液を調製し、前駆層形成用塗工液を第1電極基材上に塗布し、乾燥して前駆層を形成する方法等が挙げられる。
(2)第1電極基材
本発明に用いられる第1電極基材について説明する。本発明における第1電極基材としては、透明性を有していても良く、透明性を有していなくても良いが、本発明における色素増感型太陽電池としては、上記第1電極基材または後述する第2電極基材のいずれかが透明電極基材であることが必要となる。
本発明に用いられる第1電極基材としては、導電性を有しており、前駆層または後述する多孔質層等を支持することができる程度の自己支持性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、上述したように透明電極基材や金属電極基材等を用いることができる。
なお、透明電極基材については、後述する「B.対向電極基板形成工程」の項に記載するため、ここでの説明は省略する。
また、本発明に用いられる金属電極基材としては、金属材料からなる金属層を備える電極基材であれば特に限定されるものではなく、金属層のみからなる金属電極基材(第1態様)であっても良く、基材上に、金属層を電極層として備える金属電極基材(第2態様)であっても良いが、金属電極基材が金属層のみからなる金属電極基材であることが好ましい。
一般的な金属材料は耐熱性に優れることから、金属層のみからなる金属電極基材を用いることにより、後述する任意の工程である焼成工程を行うことが可能となるからである。焼成工程を行うことにより第1電極基材上に前駆層を安定的に形成できるため、より発電特性に優れた半導体電極基板とすることが可能となる。
以下、各態様について説明する。
(i)第1態様
本態様に用いられる第1電極基材は、金属層のみからなるものである。
上記金属層は金属材料からなるものであり、金属材料は一般的に優れた耐熱性を有することから、耐熱性に優れた金属電極基材とすることができ、後述する焼成工程を行うことが可能となる。
なお、焼成工程を行うことにより、第1電極基材上に前駆層を安定的に形成することが可能となる。
本態様に用いられる金属層を形成する金属材料としては、例えば、チタン、クロム、タングステン、モリブデン、白金、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、亜鉛、ニッケル、銅、アルミニウム、および鉄等の単体、ステンレス鋼等の上記金属の合金、上記金属に他の上記金属を被覆させたもの等を挙げることができる。
本態様における金属層の厚みとしては、自己支持性を有し、金属層上に半導体電極基板の各構成層を形成することにより半導体電極基板として用いることができる程度の膜厚であれば特に限定されるものではないが、5μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。なかでも、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましく、特に20μm〜200μmの範囲内であることがより好ましい。
金属層の膜厚が上記範囲より厚い場合、色素増感型太陽電池の薄型化が図れなくなる可能性があり、また一方、上記範囲より薄い場合、自己支持性を有することが困難となる可能性があるからである。
(ii)第2態様
本態様の第1電極基材は、基材と、上記基材上に金属層を電極層として備えるものである。
以下、各構成について説明する。
(基材)
本態様に用いられる基材としては、一般的な電極部材に用いられるものを使用することができ、例えば、ガラスや樹脂材料等を挙げることができる。
上記ガラスとしては、例えば、ケイ酸塩やホウ酸塩を主成分としたもの等を挙げることができ、また上記樹脂材料としては、例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、およびポリイミド等を挙げることができる。
なお、本発明に用いられる基材としては、単独で使用しても良く、2種類以上の異なる基材を積層して用いても良い。
本態様に用いられる基材の厚みとしては、本発明によって製造される色素増感型太陽電池の用途等に応じて適宜選択することができるものであるが、通常、10μm〜2000μmの範囲内であることが好ましい。なかでも50μm〜1800μmの範囲内であることが好ましく、特に100μm〜1500μmの範囲内であることがより好ましい。
(金属層)
本態様における金属層としては、金属材料からなるものであり、上述した基材上に電極層として備えられるものである。
ここで、本態様における金属層に用いられる金属材料としては、上記第1態様で記載した金属材料を用いることができるため、ここでの記載は省略する。
また、本態様における金属層の厚みとしては、電極層として所望の機能を有するものであり、また、100Ω以下の抵抗値を示すものであれば特に限定されるものではない。具体的には、20nm〜200μmの範囲内であることが好ましく、100nm〜100μmの範囲内であることがより好ましく、100nm〜50μmの範囲内であることが特に好ましい。
本態様における金属層の形成方法としては、上述した基材上に所望の厚みで形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、金属薄膜を接着剤等を用いて基材上に貼合する方法、基材上に直接形成する方法等が挙げられる。また、基材上に直接形成する方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等を用いることができる。
2.多孔質層形成工程
本発明における多孔質層形成工程について説明する。本発明における多孔質層形成工程は、上述した前駆層に含有される金属酸化物半導体微粒子に色素増感剤を担持させて多孔質層を形成する工程である。
以下、本工程について説明する。
本工程によって形成される多孔質層は、第1電極基材上に形成され、上述した前駆層に含有される金属酸化物半導体微粒子に色素増感剤を担持させたものである。
本工程によって形成される多孔質層について、図面を参照して説明する。図1(b)に例示するように、多孔質層13は、第1電極基材11上に形成されており、前駆層中に含まれる金属酸化物半導体微粒子に色素増感剤を担持させることにより形成されるものである。
本工程によって形成される多孔質層は、半導体特性を有する金属酸化物半導体微粒子に色素増感剤を担持させていることから、太陽光が照射されることによって生じた電荷を第1電極基材に伝導する光電変換層としての機能を有するものである。
なお、本工程中における金属酸化物半導体微粒子は、上述した前駆層中に含有されるものと同様のものであり、上記「1.前駆層形成工程」の項に記載したため、ここでの説明は省略する。
このような多孔質層としては、上述した光電変換層としての機能を有することができるものであれば特に限定されるものではなく、単層であっても良いし、複数層であっても良い。
本工程に用いられる色素増感剤としては、光を吸収し起電力を生じさせることが可能なものであれば特に限定されるものではない。このような色素増感剤としては、例えば、有機色素または金属錯体色素を用いることができる。
ここで、有機色素としては、例えば、アクリジン系、アゾ系、インジゴ系、キノン系、クマリン系、メロシアニン系、フェニルキサンテン系、インドリン系、スクアリウム系、カルバゾール系等の色素が挙げられる。本発明においては、特にインドリン系の色素およびカルバゾール系の色素が好適に用いられる。
また、金属錯体色素としては、例えばルテニウム系色素が好適に用いられ、特にルテニウム錯体であるルテニウムビピリジン色素およびルテニウムターピリジン色素が好適に用いられる。このような色素増感剤は、吸収できる光の波長範囲が広いため、金属酸化物半導体微粒子に担持させることにより、光電変換可能な光の波長領域を大幅に拡げることが可能であるからである。
本工程によって形成される多孔質層の膜厚としては、通常、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、なかでも、5μm〜30μmの範囲内であることがより好ましい。上記範囲よりも厚い場合、多孔質層自体の凝集破壊が起こりやすく、膜抵抗が生じやすくなる可能性を有するからである。また一方、上記範囲よりも薄い場合、均一な厚みを有する多孔質層を形成することが困難となり、例えば、本発明によって製造される色素増感型太陽電池素子において、色素増感剤を含んだ多孔質層が太陽光等を充分に吸収できないために、発電特性が低下してしまう可能性を有するからである。
本工程によって形成される多孔質層の形成方法、すなわち、色素増感剤を金属酸化物半導体微粒子に担持させる方法としては、例えば、金属酸化物半導体微粒子を含む前駆層を、色素増感剤が分散している色素増感剤分散溶液に浸漬させた後で乾燥させる方法等を挙げることができる。
3.第1固体電解質層形成工程
本発明における第1固体電解質層形成工程は、上述した多孔質層上に、第1固体電解質層形成用塗工液を塗布して第1固体電解質層を形成する工程である。
以下、第1固体電解質層形成工程について説明する。
(1)第1固体電解質層
本工程によって形成される第1固体電解質層は、上述した多孔質層上に、第1固体電解質層形成用塗工液を塗布して形成されるものである。
本工程によって形成される第1固体電解質層について図面を参照しながら説明する。図1(c)に例示するように、第1固体電解質層14aは、第1電極基材11上に形成された多孔質層13上に形成されるものである。
本発明により形成される第1固体電解質層は、後述する基板貼合工程において第2固体電解質層と貼合されることによって固体電解質層を形成し、受光された太陽光によって生成された電荷を半導体電極基板内の上記第1電極基材側に移動させる機能を有するものである。
本発明により形成される第1固体電解質層としては、流動性を示さない電解質層であれば特に限定されるものではなく、例えば、固体化剤を用いて固体化されるもの等が挙げられる。
なお、このような固体化剤としては、後述する「(2)固体電解質層形成用塗工液」の項に記載するため、ここでの説明は省略する。
上記第1固体電解質層の厚みとしては、1μm〜75μmの範囲内であることが好ましく、2μm〜20μmの範囲内であることがより好ましく、3μm〜10μmの範囲内であることがさらに好ましい。
上記第1固体電解質層の厚みが上記の範囲より厚過ぎると、内部抵抗が大きくなり性能が低下する可能性を有し、また上記範囲より薄過ぎると、半導体電極基板上の多孔質層と対向電極基板とが接触して短絡する可能性を有するからである。
本工程によって形成される第1固体電解質層の形成方法としては、第1固体電解質層形成用塗工液を調製し、上述した多孔質層上に塗布し、乾燥させる方法等を挙げることができる。
なお、このような第1固体電解質層形成用塗工液としては、例えば、後述する「(2)第1固体電解質層形成用塗工液」の項に記載する第1固体電解質層形成用塗工液を用いることができる。
第1固体電解質層形成用塗工液を塗布する方法としては、公知の塗布方法であれば特に限定するものではないが、例えば、ダイコート法、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、スロットダイコート法、スライドダイコート法、ディップコート法、マイクロバーコート法、マイクロバーリバースコート法や、スクリーン印刷法などを挙げることができる。
このような塗布方法を用いて、一回又は複数回、塗布及び乾燥を繰り返すことにより、第1固体電解質層を所望の膜厚になるよう調節して形成する。
(2)第1固体電解質層形成用塗工液
本工程に用いられる第1固体電解質層形成用塗工液としては、所望の機能を有する固体電解質層を形成できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的な固体電解質層形成用塗工液を用いることができるが、通常、酸化還元対、固体化剤、溶媒を有するものである。
以下、各構成成分について説明する。
(i)酸化還元対
本工程に用いられる酸化還元対としては、一般的に色素増感型太陽電池の電解質層に用いられているものであれば特に限定されるものではない。なかでも、ヨウ素の酸化還元対、または臭素の酸化還元対が好適に用いられる。ヨウ素の酸化還元対としては、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせを挙げることができ、具体的なヨウ化物としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウム、TPAI(テトラプロピルアンモニウムヨージド)、および後述するヨウ化物系イオン性液体等が挙げられる。また、臭素の酸化還元対としては、臭素と臭化物との組み合わせを挙げることができ、具体的な臭化物としては、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム等が挙げられる。
第1固体電解質層中における酸化還元対の濃度としては、酸化還元対の種類によって適宜選択されるものであり特に限定されるものではないが、ヨウ素または臭素の酸化還元対を用いる場合、ヨウ素または臭素が0.001mol/L〜0.5mol/L、ヨウ化物または臭化物が0.1mol/L〜5mol/Lの範囲内であることが好ましく、一般的にはヨウ素または臭素と、ヨウ化物または臭化物とのモル比が1:10程度となることが好ましい。
上記酸化還元対の濃度が上記範囲より高い場合、透過率の低下や逆電子移動の発生により変換効率が低下する恐れが生じるからである。また、上記範囲より低い場合、酸化還元反応の効率低下により変換効率が低下する可能性を有するからである。
(ii)固体化剤
本工程に用いられる固体化剤は、上述した酸化還元対を保持して第1固体電解質層を形成するものである。例えば、各種のオリゴマー化合物や高分子化合物、および酸化チタン粒子やシリカ粒子等の無機粒子等を挙げることができ、なかでも高分子化合物が好適に用いられる。容易に固体電解質層を形成することが可能であり、経時的な劣化が少ないからである。
このような高分子化合物としては、所望の機能を有する第1固体電解質層を形成することができるものであれば特に限定されるものではないが、なかでも樹脂材料が好ましい。溶媒に溶解または分散することが比較的容易にできるので、塗布法による第1固体電解質層の形成が可能となるからである。
また、上述した樹脂材料としては、所望の機能を有する第1固体電解質層を形成することができるものであれば特に限定されるものではないが、特に熱可塑性樹脂であることが特に好ましい。後述する基板貼合工程時に、加熱しながら貼合することで、密着性良く基板を貼合することが可能となるからである。
本工程に用いられる熱可塑性樹脂としては、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、アミド系樹脂、アクリル系樹脂、カーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂等
が挙げられるが、なかでも、セルロース系樹脂が好適に用いられる。耐熱性に優れているため、高温下でも液漏れ等が生じる可能性が低く、熱安定性に優れた第1固体電解質層とすることができるからである。
セルロース系樹脂としては、例えば、セルロース及びセルロース誘導体を挙げることができ、セルロース誘導体として、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース等のセルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、硝酸セルロース等のセルロースエステル類、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース、シアノエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエーテル類を挙げることができる。また、セルロース又はセルロース誘導体の水酸基にカチオン化剤を反応させてカチオン化したカチオン性セルロース誘導体を挙げることができる。これらのセルロース系樹脂は、いずれかを単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
固体化剤として用いられる樹脂材料の分子量としては、樹脂材料の種類によって異なり特に限定されないが、通常、固体電解質層を形成する際に良好な造膜性を得る観点から、重量平均分子量が10,000以上(ポリスチレン換算)の範囲内であることが好ましく、特に100,000〜200,000の範囲であることが好ましい。
なお、重量平均分子量としては、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した値を用いることができる。
また、固体化剤として用いられる樹脂材料のガラス転移温度としては、通常、固体電解質層に十分な熱安定性を付与する観点から、80℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。
第1固体電解質層中における固体化剤の含有量としては、所望の機能を有する第1固体電解質層を形成することができれば特に限定されるものではないが、一般的に含有量が低すぎると固体電解質層の熱安定性が低下する恐れがあり、逆に高すぎると色素増感型太陽電池の光電変換効率が低下することが知られており、これらを考慮して適宜設定されるものである。具体的には、固体化剤の種類等に応じて適宜選択されるものであるが、5質量%〜60質量%の範囲内であることが好ましい。
固体化剤の含有量が上記範囲より低い場合、後述する第2固体電解質層との密着性が不十分となる可能性を有し、また、第1固体電解質層自体の機械的強度の低下に繋がる可能性を有する。また一方、固体化剤の含有量が上記範囲より高い場合、絶縁性である固体化剤が多量に存在することから、電荷輸送が阻害される可能性を有するからである。
(iii)溶媒
本工程に用いられる溶媒としては、上述した酸化還元対および固体化剤を溶解または分散させることが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒、及び純水などを挙げることができる。なかでも、第1固体電解質層形成用塗工液の安定性や多孔質層への浸透性の観点から、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコールや、水、N−メチル−2−ピロリドンなどの溶媒を好適に用いることができる。
(iv)その他
本工程に用いられる第1固体電解質層形成用塗工液としては、上述した酸化還元対、固体化剤、および溶媒を有しているものであれば特に限定されるものではなく、所望の機能を有する第1固体電解質層を形成するために必要な構成成分を適宜追加することが可能である。例えば、イオン性液体等を挙げることができる。
(イオン性液体)
本工程に用いられる第1固体電解質層形成用塗工液としては、イオン性液体を含有していても良い。イオン性液体は、電解質の粘性を低下させ、イオンの伝導性を改善するため、光電変換効率を向上させることが可能となるからである。また、イオン性液体は、蒸気圧が極めて低く、室温では実質的に殆ど蒸発せず、一般的な有機溶媒のように揮発や引火等の恐れがないことから、揮発による電池特性の低下を防止することが可能となる。
上記イオン性液体としては、アニオン系とカチオン系とに大別することができる。
アニオン系イオン性液体としては、アニオンが、例えば、フッ素イオン、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロボレート、及びトリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロアセテートなどのフッ素系、ヨウ素イオン、臭素イオン、塩素イオン、シアネート系、並びにチオシアネート系等である液体を挙げることができる。
また、カチオン系イオン性液体としては、カチオンが、イミダゾリウム系、ピリジウム系、ホスホニウム系、スルホニウム系、脂環式アミン系、及び脂肪族アミン系等である液体を挙げることができる。
これらのイオン性液体は、いずれか一種を単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
本工程に用いられるイオン性液体としては、特に、ヨウ素イオンを含有するヨウ化物系イオン性液体を用いることが好ましい。ヨウ化物系イオン性液体は、ヨウ素イオンの供給源であり上記の酸化還元対としても機能させることができるからである。ヨウ化物系イオン性液体としては、例えば、1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−n−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、及び1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド等を挙げることができる。
本工程における第1固体電解質層形成用塗工液中のイオン性液体の濃度としては、イオン性液体の種類によって適宜選択されるものではあるが、第1固体電解質層中に5質量%〜95質量%の範囲内であることが好ましく、特に10質量%〜85質量%含有させることが好ましい。
イオン性液体の濃度が上記範囲より低い場合、イオン伝導性の向上を図ることが困難となる可能性があり、また一方、上記範囲より高い場合、粘度が増大することによりイオン伝導性が低下する可能性を有するからである。
なお、ヨウ化物系イオン性液体のように、酸化還元対としても機能するイオン性液体については、上記の第1固体電解質層中のイオン性液体の濃度を決するにあたってイオン性液体ではなく酸化還元対として含有させることとし、上記の酸化還元対について述べた濃度とすることが好ましく、すなわち第1固体電解質層中に0.1mol/L〜12mol/L程度含有させることが好ましい。
(添加剤)
また、第1固体電解質層形成用塗工液としては、塗工適性を向上させる観点から、種々の添加剤を用いても良い。上記添加剤としては、例えば、界面活性剤、粘度調整剤、分散助剤、pH調節剤などを用いることができる。また、pH調整剤としては、例えば、硝酸、塩酸、酢酸、アンモニアなどを挙げることができる。
4.任意の工程
本発明における半導体電極基板調製工程としては、上述した前駆層形成工程、多孔質層形成工程、および第1固体電解質層形成工程を有していれば特に限定されるものではなく、本発明によって製造される色素増感型太陽電池の用途等により任意の工程を適宜追加することが可能である。任意の工程としては、例えば、前駆層形成工程によって形成される前駆層を焼成する焼成工程、焼成工程前もしくは焼成工程と同時に前駆層を加圧する加圧工程等を挙げることができる。
5.半導体電極基板
本工程によって形成される半導体電極基板について説明する。本工程によって形成される半導体電極基板は、第1電極基材上に、色素増感剤を担持させた金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層を有しており、上記多孔質層上に第1固体電解質層を有するものである。
本工程によって形成される半導体電極基板について、図面を参照しながら説明する。図1(c)に例示するように、半導体電極基板10は、第1電極基材11上に多孔質層13が形成され、上記多孔質層13上に第1固体電解質層14aが形成されたものである。
本発明によって製造される半導体電極基板としては、上述した構成以外にも必要な部材を選択して追加することが可能である。
B.対向電極基板調製工程
続いて、本発明における対向電極基板調製工程について説明する。本発明における対向電極基板調製工程は、第2電極基材上に、第2固体電解質層形成用塗工液を塗布して第2固体電解質層を形成する第2固体電解質層形成工程を有することを特徴とするものである。
1.第2固体電解質層形成工程
本工程における第2固体電解質層形成工程は、第2電極基材上に、第2固体電解質層形成用塗工液を塗布して第2固体電解質層を形成する工程である。
本工程について図面を参照して説明する。図1(e)に例示するように、表面に触媒層22を有する第2電極基材21上に第2固体電解質層14bを形成する工程である。
(1)第2固体電解質層
本工程によって形成される第2固体電解質層は、第2電極基材上に、第2固体電解質層形成用塗工液を塗布して形成されるものである。
本工程によって形成される第2固体電解質層は、後述する基板貼合工程において、上記第1固体電解質層と貼合されることによって固体電解質層を形成し、受光した太陽光によって生成された電荷を対向電極基板内の上記第2電極基材側に移動させる機能を有するものである。
上記第2固体電解質層の厚みとしては、第1固体電解質層と同様の厚みを有していても良く、異なる厚みを有していても良い。通常、第1固体電解質層と同様の厚みとすることができる。
ここで、本発明によって製造される色素増感型太陽電池における第1固体電解質層および第2固体電解質層の厚みの比率としては、後述する基板貼合工程において貼合した際に所望の機能を有する固体電解質層を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、通常、1:1〜10:1の範囲内であることが好ましく、1:1〜5:1の範囲内であることがより好ましく、1:1〜3:1の範囲内であることがさらに好ましい。
上記比率において第1固体電解質層の比率が上記範囲より低い場合、多孔質層の凹凸が第1固体電解質層表面に影響し、半導体電極基板および対向電極基板を貼合することが困難となる可能性を有するからである。
本工程によって形成される第2固体電解質層としては、流動性を示さない電解質層であれば特に限定されるものではなく、第1固体電解質層と同様の組成を有するものであっても良く、異なる組成を有するものであっても良い。
なお、第2固体電解質層が第1固体電解質層と同様の組成を有するものである場合、本工程に用いられる第2固体電解質層形成用塗工液として、上述した第1固体電解質層形成用塗工液と同様のものを用いることができる。
ここで、第1固体電解質層形成用塗工液については、上記「A.半導体電極基板調製工程」の項に記載したため、ここでの記載は省略する。
また、本工程における第2固体電解質層形成用塗工液の塗布方法としては、上記「A.半導体電極基板調製工程」の項に記載した第1固体電解質層形成用塗工液の塗布方法と同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
(2)第2電極基材
本発明に用いられる第2電極基材としては、透明性を有していても良く、透明性を有していなくても良いが、本発明における色素増感型太陽電池としては、上記第1電極基材または第2電極基材のいずれかに透明電極基材を有することが必要となる。
また、本発明における第2電極基材は、導電性を有しており、上述した第2固体電解質層等の対向電極基板の各構成層を支持することができる程度の自己支持性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、上述したように透明電極基材や金属電極基材等を用いることができ、なかでも透明電極基材であることが好ましい。耐熱性付与の観点から第1電極基材が金属層のみからなる金属電極基材であることが好ましいため、第2電極基材側から太陽光を受光し、多孔質層中の色素増感剤に光を照射することが必要となるからである。
本発明に用いられる第2電極基材の透明性としては、本発明における色素増感型太陽電池が対向電極基板側から太陽光を受光することにより機能を発揮することができるように、太陽光を透過できるものであれば特に限定されるものではないが、全光線透過率50%以上であることが好ましく、なかでも80%以上がより好ましい。
なお、第2電極基材の透明性は、JIS K7361−1:1997に準拠した測定方法により測定した値である。
上記第2電極基材に用いられる透明電極基材としては、通常、透明基材および透明基材上に形成された透明電極層を有するものである。
以下、透明基材および透明電極層について説明する。
(i)透明基材
本発明に用いられる透明基材としては、後述する透明電極層および上記第2固体電解質層を形成することができる程度の自己支持性を有するものであれば特に限定されるものではない。このような透明基材としては、例えば、無機透明基材や樹脂基材を用いることができ、なかでも樹脂基材が好適に用いられる。軽量であり、加工性に優れ、製造コストの低減が図れるからである。
上記樹脂基材としては、例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエステルナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。なかでも、PET、PEN、PC等が好ましい。
また、無機透明基材としては、合成石英基材やガラス基材等を挙げることができる。
また、透明基材の厚みとしては、上記色素増感型太陽電池の用途等に応じて適宜選択することができるものであるが、通常、10μm〜2000μmの範囲内であることが好ましい。なかでも、50μm〜1800μmの範囲内であることが好ましく、特に100μm〜1500μmの範囲内であることがより好ましい。
(ii)透明電極層
本工程に用いられる透明電極層としては、透明性を有し、所定の導電性を有するもので
あれば特に限定されるものではない。このような透明電極層に用いられる材料としては、
金属酸化物、導電性高分子材料等を挙げることができる。
上記金属酸化物としては、例えば、SnO、ZnO、酸化インジウムにスズを添加し
た化合物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を添加した化合物(IZO)、フッ素ドープしたSnO(FTO)等を挙げることができる。本発明においては、これらのいずれの金属酸化物であっても好適に用いることができるが、なかでも、FTO、ITOを用いることが好ましい。FTOおよびITOは、導電性および太陽光の透過性の両方に優れているからである。
一方、上記導電性高分子材料としては、例えば、ポリチオフェン、ポリエチレンスルフ
ォン酸(PSS)、ポリアニリン(PA)、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフ
ェン(PEDOT)等を挙げることができる。また、これらを1種のみで用いても良く、2種以上混合して用いても良い。
本工程に用いられる透明電極層としては、単層からなるものであっても良く、また、複数層が積層されてなるものであっても良い。
本工程に用いられる透明電極層の厚みとしては、上記色素増感型太陽電池の用途等に応じて、所望の導電性を実現できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明における透明電極層の膜厚としては、5nm〜2000nmの範囲内が好ましく、特に10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。
透明電極層の厚みが上記範囲よりも厚いと、均質な透明電極層を形成することが困難となる場合や、全光線透過率が低下して良好な光電変換効率を得ることが難しくなる場合があり、また、厚みが上記範囲よりも薄いと、透明電極層の導電性が不十分となる可能性があるからである。
なお、上記厚みは、透明電極層が複数の層から構成される場合には、すべての層の厚み
を合計した総厚みを指すものとする。
上記透明電極層を上記透明基材上に形成する方法としては、一般的な電極層の形成方法
を用いることができ、例えば、蒸着法、スパッタ法、CVD法等を挙げることができる。なかでも、スパッタ法を好適に用いることができる。
(iii)任意の構成
本工程によって製造される第2電極基材としては、上述した透明基板および透明電極層以外に任意の構成を有していても良い。
以下、各構成について具体的に説明する。
(触媒層)
本工程に用いられる触媒層について説明する。
本工程においては、第2電極基材が表面に触媒層を有することが好ましい。触媒層が第2電極基材表面に形成されることにより、本発明によって製造される色素増感型太陽電池をより発電効率に優れたものとすることができるからである。
本工程に用いられる触媒層としては、例えば、Ptを蒸着した層や、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン(PA)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリスルホン酸(PSS)、パラトルエンスルホン酸(PTS)およびこれらの混合物等を挙げることができるが、この限りではない。
触媒層の厚みとしては、上記第2電極基材上に形成することができ、本発明によって製造される色素増感型太陽電池の発電効率を向上させることができるものであれば特に限定されるものではないが、1nm〜10μmの範囲内であることが好ましい。なかでも10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、特に10nm〜500nmの範囲内であることがより好ましい。
上記範囲より触媒層の厚みが厚い場合、本発明によって製造される色素増感型太陽電池の薄型化が困難となる可能性や、また、触媒層を形成する材料や、形成に要する時間等が多く必要となることから製造コストが高くなりすぎる可能性があるからである。また一方、上記範囲より薄い場合、第2電極基材上に触媒層を形成することが困難となる可能性があるからである。
このような触媒層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法や、上述した材料を含有する触媒層形成用塗工液を、上記第2電極基材上に塗布、乾燥させる塗布法等を挙げることができる。
(iv)第2電極基材
本工程に用いられる第2電極基材の厚みとしては、対向電極基板に要するフレキシブル性の程度や色素増感型太陽電池の用途等に応じて適宜選択されるものであるが、通常、5μm〜2000μmの範囲内であることが好ましい。なかでも、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましく、特に20μm〜200μmの範囲内であることがより好ましい。
2.対向電極基板
次に、本工程によって形成される対向電極基板について説明する。本工程によって形成される対向電極基板は、第2電極基材上に、第2固体電解質層を有するものである。
本工程によって形成される対向電極基板について図面を参照して説明する。図1(e)に例示するように、対向電極基板20は、第2電極基材21の表面に触媒層22が形成され、上記触媒層22上に第2固体電解質層14bを形成したものである。
なお、触媒層は任意の構成であるため、図示はしないが第2電極基材表面に触媒層を形成していない対向電極基板も形成することができる。
C.基板貼合工程
本発明における基板貼合工程について説明する。本発明に用いられる基板貼合工程は、上述した第1固体電解質層および上述した第2固体電解質層を対向するように配置し、貼合する工程である。
本工程における半導体電極基板および対向電極基板を、第1固体電解質層および第2固体電解質層を貼合面として貼り合わせる際の圧力としては、0.01MPa〜0.3MPaの範囲内であることが好ましく、0.01MPa〜0.2MPaの範囲内であることがより好ましく、0.05MPa〜0.1MPaの範囲内であることがさらに好ましい。
貼合時の圧力が上記範囲より大きい場合、半導体電極基板および対向電極基板に破損が生じる可能性があるからであり、また一方、上記範囲より小さい場合、貼合が不十分となる可能性を有するからである。
本工程における第1固体電解質層および第2固体電解質層を貼り合わせる際の温度としては、0℃〜120℃の範囲内であることが好ましく、10℃〜110℃の範囲内であることがより好ましく、25℃〜110℃の範囲内であることが特に好ましい。
貼合時の温度が上記範囲より高い場合、半導体電極基板および対向電極基板に破損および変性等が生じる可能性があるからであり、また一方、上記範囲より小さい場合、貼合が不十分となる可能性を有するからである。
本工程における貼合方法としては、所望の機能を有する色素増感型太陽電池を製造することができるものであれば特に限定されるものではなく、製造される色素増感型太陽電池の形状により適宜選択されるものである。例えば、本発明によって製造される色素増感型太陽電池が長尺状である場合、ロール・トゥ・ロール(以下、RtoRと記載する。)方式等を好適に用いることができる。また、上記色素増感型太陽電池が枚様状である場合、プレス方式等を好適に用いることができる。
本発明におけるRtoR方式としては、長尺に形成されたロール状の上記第1電極基材上および上記第2電極基材上に、上述した各形成工程において、半導体電極基板および対向電極基板を調製した後、走行路上を走行させながらロール等によって圧着し貼合する方式である。
また、本発明におけるプレス方式としては、枚様状に形成された上記第1電極基材上および上記第2電極基材上に、上述した各形成工程によって、上記半導体電極基板および上記対向電極基板を調製した後、圧着して貼合する方式である。
D.色素増感型太陽電池
次に、本発明によって製造される色素増感型太陽電池について説明する。本発明により製造される色素増感型太陽電池は、第1電極基材と、色素増感剤を担持した金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層と、第1固体電解質層とを有する半導体電極基板および、第2電極基材と、第2固体電解質層とを有する対向電極基板が、上記第1固体電解質層および上記第2固体電解質層が対向するように積層されるものである。
本発明によって製造される色素増感型太陽電池について図面を参照しながら説明する。図1(g)に例示するように、色素増感型太陽電池1は、第1電極基材11と、上記第1電極基材11上に形成され、色素増感剤を担持した金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層13と、多孔質層13上に形成される第1固体電解質層14aとを有する半導体電極基板10、および、第2電極基材21と、第2電極基材21の表面に形成される触媒層22と、触媒層22上に形成される第2固体電解質層14bとを有する対向電極基板20が、第1固体電解質層14aおよび上記第2固体電解質層14bが対向するように配置され、貼合されることによって形成されるものである。
ここで、固体電解質層14は、半導体電極基板10上の第1固体電解質層14aと、対向電極基板20上の第2電極基材14bとが貼合されて形成されるものである。図1(g)においては、説明の便宜上、固体電解質層14が2層からなるものであることを示唆するように図示するが、実際は1層に形成されているものである。
なお、触媒層は任意の構成であり、図示はしないが、触媒層を有していない色素増感型太陽電池も形成することが可能である。
本発明によって製造される色素増感型太陽電池によれば、半導体電極基板および対向電極基板上に塗布形成された第1固体電解質層および第2固体電解質層を貼合することから、構成層同士の密着性を向上させることが可能となり、層間の電荷の移動が安定化することによって、発電特性や耐久性に優れた色素増感型太陽電池とすることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果をそうするものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について、実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例]
(前駆層形成用塗工液の調製)
多孔質酸化チタン微粒子(P25、日本アエロジル社製)5gをエタノール1.67gに投入し、さらにアセチルアセトン0.25g、およびジルコニアビーズ(φ1.0mm)20gを添加した混合液を、ペイントシェーカーにより撹拌し、さらに結着剤としてポリビニルピロリドン(K−30、日本触媒社製)を0.25g添加して前駆層形成用塗工液を調製した。
(前駆層形成工程)
上述した前駆層形成用塗工液を、導電材基材である厚さ0.050mmのチタン箔(210mm×300mm)上にドクターブレード法により10mm×10mmの面積で塗布し、その後120℃、10分間乾燥させ、多数の酸化チタン微粒子を含む膜厚8μmの層を形成した。その酸化チタン微粒子含有層にプレス機を用いて0.1t/cmの圧力で加圧し、その後500℃、30分間焼成した。
(多孔質層形成工程)
次に、色素増感剤として有機色素(D358、三菱製紙社製)を濃度が3.0×10−4mol/Lとなるようにアセトニトリルおよびtert−ブチルアルコールの体積比1:1溶液に溶解させて色素担持用塗工液を調製した。この色素担持用塗工液中に対し、上述した導電性基材上に形成した酸化チタン微粒子の層を3時間浸漬させた。その後、色素担持用塗工液から引き上げ、酸化チタン微粒子に付着した色素担持用塗工液をアセトニトリルにより洗浄後、風乾した。これにより、酸化チタン微粒子の細孔表面に増感色素剤を担持させて多孔質層を形成した。
(第2電極基材の作製)
透明なポリエチレンナフタレート(PEN)製基材上に、透明電極層としてインジウムドープ酸化スズ(ITO)が形成された第2電極基材を用意した。その透明電極層上にポリチオフェン系導電性樹脂(BaytronPAI4083、スタルク社製)をワイヤーバーで塗布し、120℃で5分間乾燥することで、厚さ0.1μmの触媒層を形成させることにより、対向電極を得た。
(第1固体電解質層形成用塗工液の調製)
カチオン性ヒドロキシセルロース(ジェルナーQH200、ダイセル化学社製)0.14gをメタノール2.72gに分散させた溶液を、攪拌した。次いで、その溶液に1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(EMIm−B(CN)4)0.18g、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド(PMIm−I)0.5g、及びIを0.025g加えて、撹拌して溶解させた。これにより、コーティング可能な第1固体電解質層形成用塗工液を調製した。
(第1固体電解質層形成工程および第2固体電解質層形成工程)
半導体電極基板の多孔質層上に、上述した第1固体電解質層形成用塗工液として上記固体電解質層をドクターブレード法により塗布し、120℃で乾燥することにより、半導体電極基板上に厚み6μmの第1固体電解質層を形成させた。次に、対向電極基板の触媒層上に、第2固体電解質層形成用塗工液として、上記第1固体電解質層形成用塗工液を用いて、第1固体電解質層形成工程と同様に、ドクターブレード法により塗布し、120℃で乾燥することにより、対向電極基板上に厚み6μmの第2固体電解質層を形成させた。
(基板貼合工程)
半導体電極基板と対向電極基板とを、半導体電極基板上の第1固体電解質層と対向電極基板上の第2固体電解質層とが対向するように配置し、25℃、0.1MPaの加重により貼合することで色素増感型太陽電池を得た。
(比較例1)
第1固体電解質層および第2固体電解質層形成工程時に、半導体電極基板の多孔質層上のみに第1固体電解質層を形成し、対向電極基板上の触媒層上に第2固体電解質層を形成しなかったこと以外は、実施例と同様にして、色素増感型太陽電池を作製し、その電池性能を評価した。
(比較例2)
第1固体電解質層および第2固体電解質層形成工程時に、対向電極基板の触媒層上のみに第2固体電解質層を形成し、半導体電極基板の多孔質層上に第1固体電解質層を形成しなかったこと以外は、実施例と同様にして、色素増感型太陽電池を作製し、その電池性能を評価した。
[評価]
実施例および比較例1〜2で作製した色素増感型太陽電池について、擬似太陽光(AM1.5、入射光強度100mW/cm)を光源として、対向電極基板側から入射させ、ソースメジャーユニット(ケースレー2400型)を用いて電圧印加による電流電圧特性を測定した。
なお、測定に用いた多孔質層の面積は、1cm(1cm×1cm)である。測定結果を表1に示す。
また、65℃に調整したオーブン内に、実施例および比較例1〜2で作製した色素増感型太陽電池を入れて、1000時間経過後の電流電圧特性を測定し、耐久性維持率を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 2012212620
表1にて、半導体電極基板側のみに第1固体電解質層を形成した比較例1、および対向電極基板側のみに第2固体電解質層を形成した比較例2に比べて、上記2基板上に各々第1固体電解質層および第2固体電解質層を形成した実施例では、光電変換効率および短絡電流密度の値が大きくなっていることから、発電特性が向上していることが示唆された。
また、同様に、耐久性維持率においても、実施例は比較例1および比較例2に比べて高い値を示していることから、耐久性にも優れていることが示唆された。
1、100 … 色素増感型太陽電池
10、110 … 半導体電極基板
11、111 … 第1電極基材
12 … 前駆層
13、112 … 多孔質層
14 … 固体電解質層
14a …第1固体電解質層
14b …第2固体電解質層
20、120 … 対向電極基板
21、121 … 第2電極基材
22、122 … 触媒層
103 …電解質層
104 …シール材

Claims (1)

  1. 第1電極基材上に、金属酸化物半導体微粒子を含む前駆層を形成する前駆層形成工程、
    前記前駆層の前記金属酸化物半導体微粒子に色素増感剤を担持させて多孔質層を形成する多孔質層形成工程、および、
    前記多孔質層上に、第1固体電解質層形成用塗工液を塗布して第1固体電解質層を形成する第1固体電解質層形成工程、
    を有する半導体電極基板調製工程と、
    第2電極基材上に、第2固体電解質層形成用塗工液を塗布して第2固体電解質層を形成する第2固体電解質層形成工程を有する対向電極基板調製工程と、
    前記第1固体電解質層および前記第2固体電解質層を対向するように配置し、貼合する基板貼合工程と、
    を有することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
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