JP2012210834A - 車両用駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】実走行可能距離と予測走行可能距離との乖離が運転者の利便性に与える影響を抑制することが可能な車両用駆動装置を実現する。
【解決手段】内燃機関Eの停止状態で係合装置CLの係合を指令する係合指令部と、第一回転電機MG1に係合判定トルクTAを出力させる係合判定トルク制御部と、係合判定を実行する係合判定部とを備え、係合判定トルク制御部は、係合装置CLが直結係合状態である場合において停止状態の内燃機関Eに駆動連結された入力部材の回転を開始させるために必要なトルク未満であって、係合装置CLが解放状態である場合において第一回転電機MG1の回転状態を変化させるために必要なトルク以上となるように係合判定トルクTAを設定し、係合判定部は、第一回転電機MG1の回転状態が係合判定閾値NA以上変化した場合に係合状態が指令と異なると判定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、少なくとも3つの回転要素を有する差動歯車装置と、制御装置と、を備えた車両用駆動装置に関する。
上記のような車両用駆動装置の従来技術として、例えば下記の特許文献1に記載された技術がある。特許文献1には、差動歯車装置が3つの回転要素を有する遊星歯車機構により構成され、サンギヤに第一回転電機が駆動連結され、キャリヤに入力部材が駆動連結され、リングギヤに第二回転電機及び出力部材が駆動連結された構成が記載されている。そして、この車両用駆動装置は、キャリヤと入力部材(内燃機関)との駆動連結を解除可能な係合装置を備え、内燃機関を停止した状態で第二回転電機のトルクにより車両を走行させる電動走行モードの実行中に、当該係合装置を解放状態として内燃機関を切り離すことが可能となっている。これにより、電動走行モードの実行中に、サンギヤ(第一回転電機)やキャリヤの回転速度を車速とは独立に設定することができ、例えば、特許文献1に記載のように、第一回転電機の回転速度を積極的に制御することでキャリヤを回転させ、当該キャリヤの回転を利用して補機を駆動することが可能となる。
ところで、特許文献1の構成のように、電動走行モードの実行中に係合装置が解放状態とされる構成では、車両に要求されるトルクが増大した等により内燃機関のトルクを利用して走行するハイブリッド走行モードへの切替が行われる際には、係合装置に係合を指令して当該係合装置を係合状態へと切り替え、内燃機関の回転速度を点火が可能な回転速度まで上昇させる必要がある。また、内燃機関のトルクを適切に出力部材に伝達させるためには、内燃機関を点火により始動した後も係合装置を係合状態に維持する必要がある。
このように、ハイブリッド走行モードを適切に実行するためには、係合装置の係合状態が指令に合致した状態となることが必要である。そして、係合装置の係合状態が指令と異なる場合には、ハイブリッド走行モードを適切に実行することができないため、車両が実際に走行可能な実走行可能距離が、内燃機関の残燃料を考慮して予測される予測走行可能距離に対して短くなるおそれがある。しかしながら、特許文献1にはこのような実走行可能距離と予測走行可能距離との乖離に言及した記載はなく、このような乖離が運転者の利便性に与える影響を抑制することが可能な構成は未だ判明していない。
特開2010−76678号公報
そこで、実走行可能距離と予測走行可能距離との乖離が運転者の利便性に与える影響を抑制することが可能な車両用駆動装置の実現が望まれる。
本発明に係る内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、少なくとも3つの回転要素を有する差動歯車装置と、制御装置と、を備えた車両用駆動装置の特徴構成は、前記入力部材、前記出力部材、及び前記第一回転電機が、それぞれ前記差動歯車装置の異なる回転要素に、当該差動歯車装置の他の回転要素を介することなく駆動連結され、前記第二回転電機が、前記第一回転電機が駆動連結された回転要素以外の前記差動歯車装置の回転要素に、当該差動歯車装置の他の回転要素を介することなく駆動連結され、前記入力部材、前記出力部材、及び前記第一回転電機のいずれかと、前記差動歯車装置の回転要素との駆動連結を解除可能な係合装置を備え、前記制御装置は、前記係合装置が解放状態とされているとともに前記内燃機関が停止している状態で、前記係合装置の係合を指令する係合指令部と、前記係合装置の係合が指令されたことを条件に、前記第一回転電機に係合判定トルクを出力させる係合判定トルク制御を実行する係合判定トルク制御部と、前記係合判定トルク制御の実行中の前記第一回転電機の回転状態の変化に基づき、前記係合装置の係合状態の判定である係合判定を実行する係合判定部と、を備え、前記係合判定トルク制御部は、前記係合装置が直結係合状態である場合において停止状態の前記内燃機関に駆動連結された前記入力部材の回転を開始させるために必要なトルク未満であって、前記係合装置が解放状態である場合において前記第一回転電機の回転状態を変化させるために必要なトルク以上となるように前記係合判定トルクを設定し、前記係合判定部は、前記第一回転電機の回転状態が予め設定された係合判定閾値以上変化した場合に、前記係合装置の係合状態が指令と異なると判定する点にある。
本願において、「回転状態」とは、回転運動に関する物理量を指し、例えば、回転位置(回転角度)、回転速度、又は回転加速度を意味する。
また、本願において、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いている。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。また、このような伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合要素、例えば摩擦係合要素や噛み合い式係合要素等が含まれていてもよい。なお、「駆動力」は「トルク」と同義で用いている。
また、本願では、サンギヤ、キャリヤ、リングギヤを備えた遊星歯車機構等のような3つの回転要素を備えた差動歯車機構を用い、当該差動歯車機構単独で、若しくは複数の差動歯車機構を組み合わせて得られる装置を差動歯車装置と呼ぶ。
また、本願において「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
上記の特徴構成によれば、係合判定トルクが、係合装置が直結係合状態である場合において停止状態の内燃機関に駆動連結された入力部材の回転を開始させるために必要なトルク未満であって、係合装置が解放状態である場合において第一回転電機の回転状態を変化させるために必要なトルク以上となるように設定される。そのため、係合判定トルク制御の実行中における第一回転電機の回転状態の変化量は、係合装置の係合状態によって異なる。この点に鑑み、上記の特徴構成によれば、上記変化量と係合判定閾値との大小関係に基づいて、係合装置の係合判定、具体的には、係合装置の係合状態が指令に合致しているか否かの判定(係合装置の係合状態が指令と異なるか否かの判定)を適切に実行することができる。
なお、係合装置の係合判定は、第一回転電機の出力トルクの制御と回転状態の検出という簡素な構成で実行することができるため、車両が実行する他の制御に大きな影響を与えることなく係合判定を実行することができる。また、係合装置の係合判定は、車速が零の場合とそうでない場合との双方において実行することができるため、例えば車両を走行させる前等の、内燃機関のトルクを利用して車両を走行させる走行モードを実行する必要が生じる前の任意の時点で、係合判定を実行することも可能である。よって、指令に合致した係合装置の係合状態が得られない場合には当該事実を早期に把握することが容易となる。これにより、予測走行可能距離に対して実走行可能距離が短くなることを運転者に対して早期に知らせることが可能となり、実走行可能距離と予測走行可能距離との乖離が運転者の利便性に与える影響を抑制することができる。
また、第一回転電機の回転状態の変化を検出するための構成は、既存の第一回転電機の制御装置を利用する等、コストの増大を抑制しつつ実現することが可能である。そのため、上記の特徴構成によれば、係合装置の係合判定を構造的にも簡素な構成で実行することが可能である。
ここで、前記制御装置は、前記係合判定トルク制御の実行中、前記第一回転電機の回転状態又は出力トルクの変化により前記差動歯車装置を介して前記出力部材に伝達されるトルク変動を抑制する変動抑制トルクを前記第二回転電機に出力させる変動抑制制御を実行する構成とすると好適である。
この構成によれば、係合判定トルク制御の実行中に、車輪に駆動連結される出力部材に伝達されるトルク変動を抑制することができる。よって、車両にショックが発生することを抑制しつつ、係合装置の係合判定を適切に実行することができる。
また、前記係合判定トルク制御部は、前記出力部材又は前記出力部材と連動して回転する部材の回転を制限する出力回転制限装置により、前記出力部材の回転が制限された状態であることを条件として、前記係合判定トルク制御を実行する構成とすると好適である。
この構成によれば、出力部材の回転が制限された状態で係合判定トルク制御が実行されるため、係合判定トルク制御の実行中に出力部材に伝達されるトルク変動を、機械的に抑制することが可能となる。よって、係合装置の係合判定の実行時に車両に生じ得るショックを、簡素な構成で抑制することができる。
また、前記第二回転電機が、前記出力部材が駆動連結された前記差動歯車装置の回転要素に、当該差動歯車装置の他の回転要素を介することなく駆動連結されている構成とすると好適である。
この構成によれば、係合装置により差動歯車装置の回転要素との駆動連結が解除可能とされる部材を、入力部材、出力部材、及び第一回転電機のいずれとしても、内燃機関を停止した状態で第二回転電機のトルクを出力部材に伝達して車輪を駆動する電動走行モードを実現することが可能となる。よって、係合装置の配置に関して設計の自由度が高まり、本発明に係る車両用駆動装置を広範囲に適用することが可能となる。
例えば、前記係合装置を、前記入力部材と前記差動歯車装置の回転要素との駆動連結を解除可能に備える構成としては、前記差動歯車装置は、回転速度の順に第一回転要素、第二回転要素、及び第三回転要素となる3つの回転要素を有し、前記差動歯車装置の他の回転要素を介することなく、前記第一回転要素に前記第一回転電機が駆動連結され、前記第二回転要素に前記入力部材が駆動連結され、前記第三回転要素に前記第二回転電機及び前記出力部材が駆動連結され、前記係合装置は、前記入力部材と前記第二回転要素との間の動力伝達経路上に設けられている構成とすると好適である。
なお、「回転速度の順」は、高速側から低速側に向かう順、又は低速側から高速側に向かう順のいずれかであり、各差動歯車機構の回転状態によりいずれともなり得るが、いずれの場合にも回転要素の順は変わらない。
或いは、前記第二回転電機が、前記第一回転電機が駆動連結された回転要素及び前記出力部材が駆動連結された回転要素以外の前記差動歯車装置の回転要素に、当該差動歯車装置の他の回転要素を介することなく駆動連結され、前記係合装置が、前記入力部材と、当該入力部材が他の回転要素を介することなく駆動連結された前記差動歯車装置の回転要素との間の動力伝達経路上に設けられている構成としても好適である。
この構成によっても、内燃機関を停止した状態で第二回転電機のトルクを出力部材に伝達して車輪を駆動する電動走行モードを実現することができる。
本発明の第一の実施形態に係る車両用駆動装置の機械的構成を示すスケルトン図である。 本発明の第一の実施形態に係る車両用駆動装置のシステム構成を示す模式図である。 本発明の第一の実施形態に係る始動制御の動作を説明するための速度線図である。 本発明の第一の実施形態に係る車両停止時の係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。 本発明の第一の実施形態に係る車両走行時の係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。 本発明の第一の実施形態に係る係合状態が指令に合致する場合の係合判定制御の実行時の各部の動作状態の一例を示すタイムチャートである。 本発明の第一の実施形態に係る係合状態が指令と異なる場合の係合判定制御の実行時の各部の動作状態の一例を示すタイムチャートである。 本発明の第一の実施形態に係る係合判定制御の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の第二の実施形態に係る車両用駆動装置の機械的構成を示すスケルトン図である。 本発明の第二の実施形態に係る係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。 本発明の第三の実施形態に係る車両用駆動装置の機械的構成を示すスケルトン図である。 本発明の第三の実施形態に係る係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。 本発明の第四の実施形態に係る係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。 本発明のその他の実施形態に係る係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。 本発明のその他の実施形態に係る係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。 本発明のその他の実施形態に係る係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。 本発明のその他の実施形態に係る係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。 本発明のその他の実施形態に係る係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。
1.第一の実施形態
本発明に係る車両用駆動装置の第一の実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、車輪の駆動力源として内燃機関E及び回転電機MG1,MG2の双方を備えた車両(ハイブリッド車両)を駆動するための駆動装置(ハイブリッド車両用駆動装置)とされている。そして、本実施形態に係る車両用駆動装置1は制御装置70(図2参照)を備え、この制御装置70は、図2に示すシステム構成に基づき各駆動力源及び摩擦係合装置CLの動作を制御する。なお、図2において、破線は電力の伝達経路を示し、実線矢印は各種情報の伝達経路を示している。
図1に示すように、本実施形態では、車両用駆動装置1が備える差動歯車装置DGは、サンギヤs、キャリヤca、及びリングギヤrを回転要素として有する遊星歯車機構PGにより構成されている。そして、この遊星歯車機構PGの他の回転要素を介することなく、サンギヤsに第一回転電機MG1が駆動連結され、キャリヤcaに入力部材Iが駆動連結され、リングギヤrに第二回転電機MG2及び出力部材Oが駆動連結されている。なお、入力部材Iは内燃機関Eに駆動連結され、出力部材Oは車輪Wに駆動連結されている。
そして、この車両用駆動装置1は、入力部材Iとキャリヤcaとの駆動連結を解除可能な摩擦係合装置CLを備えている。これにより、内燃機関Eを停止した状態で第二回転電機MG2の出力トルクを出力部材Oに伝達して車輪Wを駆動する電動走行モード(EV走行モード)を実行する際に、内燃機関Eを切り離すことができ、第一回転電機MG1の空転(引き摺り)を回避することによるエネルギ効率の向上や、キャリヤcaの回転を利用した補機(例えばオイルポンプ等)の駆動等が可能となっている。以下、本実施形態に係る車両用駆動装置1の構成について詳細に説明する。
1−1.車両用駆動装置の機械的構成
まず、本実施形態に係る車両用駆動装置1の機械的構成について説明する。車両用駆動装置1は、内燃機関Eに駆動連結される入力部材Iと、車輪Wに駆動連結される出力部材Oと、第一回転電機MG1と、第二回転電機MG2と、少なくとも3つの回転要素を有する差動歯車装置DGと、制御装置70と、を備えている。そして、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、内燃機関Eの出力トルクを、第一回転電機MG1側と、車輪W及び第二回転電機MG2側とに分配する動力分配用の差動歯車装置DGを備えた、いわゆる2モータスプリット方式のハイブリッド車両用の駆動装置として構成されている。
図1に示すように、本実施形態では、差動歯車装置DGは、シングルピニオン型の遊星歯車機構PGにより構成されている。すなわち、差動歯車装置DGは本例では3つの回転要素を有している。そして、これら3つの回転要素を回転速度の順に、第一回転要素e1、第二回転要素e2、及び第三回転要素e3とすると、本実施形態では、遊星歯車機構PGのサンギヤsが第一回転要素e1を構成し、遊星歯車機構PGのキャリヤcaが第二回転要素e2を構成し、遊星歯車機構PGのリングギヤrが第三回転要素e3を構成している。
そして、以下に述べるように、入力部材I、出力部材O、及び第一回転電機MG1が、それぞれ差動歯車装置DGの異なる回転要素に、当該差動歯車装置DGの他の回転要素を介することなく駆動連結されている。また、第二回転電機MG2が、第一回転電機MG1が駆動連結された回転要素以外の差動歯車装置DGの回転要素に、当該差動歯車装置DGの他の回転要素を介することなく駆動連結されている。そして、車両用駆動装置1は、入力部材I、出力部材O、及び第一回転電機MG1のいずれかと、差動歯車装置DGの回転要素との駆動連結を解除可能な摩擦係合装置CLを備えている。
なお、差動歯車装置DGの各回転要素には、当該回転要素と一体回転する回転要素連結部材が連結されている。具体的には、図1に示すように、第一回転要素e1としてのサンギヤsには、第一回転要素連結部材41が連結され、第二回転要素e2としてのキャリヤcaには、第二回転要素連結部材42が連結され、第三回転要素e3としてのリングギヤrには、第三回転要素連結部材43が連結されている。そして、入力部材I、出力部材O、第一回転電機MG1、及び第二回転電機MG2のそれぞれは、これらの回転要素連結部材の何れかに駆動連結されることで、差動歯車装置DGの何れかの回転要素に駆動連結されている。
入力部材Iは、内燃機関Eに駆動連結される。本実施形態では、入力部材Iは軸部材(入力軸)とされている。ここで、内燃機関Eは、燃料の燃焼により動力を出力する原動機であり、例えば、ガソリンエンジン等の火花点火機関やディーゼルエンジン等の圧縮着火機関等を用いることができる。入力部材Iは、内燃機関Eのクランクシャフト等の内燃機関出力軸に駆動連結されている。本実施形態では、入力部材Iは、内燃機関出力軸と一体回転するように駆動連結されており、入力部材Iの回転速度は内燃機関Eの回転速度と等しくなる。なお、内燃機関Eが、ダンパやフライホイール等の他の装置を介して入力部材Iに駆動連結された構成としても好適である。
出力部材Oは、車輪Wに駆動連結される。本実施形態では、出力部材Oは歯車部材とされており、具体的には、出力用差動歯車装置Dに備えられる差動入力ギヤとされている。出力用差動歯車装置Dは、本例では、互いに噛み合う複数の傘歯車を用いた差動歯車機構により構成されており、出力部材Oに伝達されるトルクを駆動輪となる左右の車輪Wに分配する。車輪Wにはブレーキ装置93(本例ではディスクブレーキ)が設けられており、ブレーキペダル91(図2参照)の操作量に応じた制動力が車輪Wに作用する。ブレーキ装置93は、出力部材O又は出力部材Oと連動して回転する部材(本例では車輪Wの軸である車軸)の回転を制限する出力回転制限装置100である。ここで、「出力部材Oと連動して回転する部材」とは、摩擦係合装置CLの係合状態によらず、各部材毎に一意に定まる比例係数で、出力部材Oの回転速度に比例した回転速度で回転する部材である。
第一回転電機MG1は、図示しないケースに固定された第一ステータSt1と、この第一ステータSt1の径方向内側に回転自在に支持された第一ロータRo1と、を有している。第二回転電機MG2は、図示しないケースに固定された第二ステータSt2と、この第二ステータSt2の径方向内側に回転自在に支持された第二ロータRo2と、を有している。第二ロータRo2は、当該第二ロータRo2が固定された第二ロータ軸を介して、第二回転電機出力ギヤ55と一体回転するように駆動連結されている。
図2に示すように、第一回転電機MG1は、第一インバータ4を介して蓄電装置Bに電気的に接続されており、第二回転電機MG2は、第二インバータ5を介して蓄電装置Bに電気的に接続されている。蓄電装置Bは、バッテリやキャパシタ等の公知の各種の蓄電装置を用いることができる。そして、本実施形態では、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2のそれぞれは、蓄電装置Bから電力の供給を受けて動力(トルク)を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生させ、発生した電力を蓄電装置Bに供給するジェネレータ(発電機)としての機能を果たすことが可能とされている。
摩擦係合装置CLは、2つの係合部材を備え、一方の係合部材である第一係合部材CLaに駆動連結された部材と、他方の係合部材である第二係合部材CLbに駆動連結された部材とを、選択的に駆動連結する装置である。本実施形態では、摩擦係合装置CLは、油圧により動作する湿式多板クラッチとして構成されている。そして、本実施形態では、摩擦係合装置CLは、入力部材Iと差動歯車装置DGの回転要素(本例では第二回転要素e2)との駆動連結を解除可能に備えられている。すなわち、本実施形態では、摩擦係合装置CLが、入力部材Iと差動歯車装置DGの回転要素(本例では第二回転要素e2)との間の動力伝達経路上に設けられている。そして、第一係合部材CLaが、入力部材Iと一体回転するように駆動連結された入力側係合部材とされ、第二係合部材CLbが、第二回転要素連結部材42と一体回転するように駆動連結された出力側係合部材とされている。本実施形態では、摩擦係合装置CLが本発明における「係合装置」に相当する。
そして、図1に示すように、本実施形態では、遊星歯車機構PG(差動歯車装置DG)の他の回転要素を介することなく、サンギヤs(第一回転要素e1)に第一回転電機MG1が駆動連結され、キャリヤca(第二回転要素e2)に入力部材Iが駆動連結され、リングギヤr(第三回転要素e3)に第二回転電機MG2及び出力部材Oが駆動連結されている。すなわち、本実施形態では、第二回転電機MG2は、出力部材Oが駆動連結された差動歯車装置DGの回転要素であるリングギヤr(第三回転要素e3)に、当該差動歯車装置DGの他の回転要素を介することなく駆動連結されている。
具体的には、第一ロータRo1が固定された第一ロータ軸が第一回転要素連結部材41と一体回転するように駆動連結されることで、第一回転電機MG1がサンギヤsに駆動連結されている。すなわち、本実施形態では、サンギヤs(第一回転要素e1)の回転速度は、第一ロータRo1(第一回転電機MG1)の回転速度に常に等しくなる。
入力部材Iは、摩擦係合装置CLの第一係合部材CLaに対して、一体回転するように駆動連結されることで、摩擦係合装置CLを介して選択的にキャリヤcaに駆動連結される。すなわち、本実施形態では、摩擦係合装置CLが直結係合状態にある場合には、キャリヤca(第二回転要素e2)の回転速度は、入力部材I(内燃機関E)の回転速度に等しくなる。また、本実施形態では、摩擦係合装置CLの2つの係合部材の間の回転速度差は、入力部材I(内燃機関E)の回転速度とキャリヤca(第二回転要素連結部材42)の回転速度との差となる。
第二回転電機MG2及び出力部材Oは、カウンタギヤ機構Cを介してリングギヤrに駆動連結されている。図1に示すように、カウンタギヤ機構Cは、第一カウンタギヤ53と、第二カウンタギヤ54と、これらが一体回転するように連結するカウンタ軸と、を有して構成されている。第三回転要素連結部材43は、第一カウンタギヤ53と噛み合うカウンタドライブギヤ52を有している。そして、第二回転電機出力ギヤ55がカウンタドライブギヤ52とは周方向(第一カウンタギヤ53の周方向)の異なる位置で第一カウンタギヤ53に噛み合うように配置されることで、第二回転電機MG2がリングギヤrに駆動連結されている。また、出力部材Oは、第二カウンタギヤ54に噛み合うように配置されることで、リングギヤrに駆動連結されている。すなわち、本実施形態では、リングギヤrと第二回転電機MG2と出力部材Oとの間の回転速度の関係は、互いに比例関係にあり、その比例係数(すなわち、回転速度比)は、間に介在する歯車の歯数に応じた値となる。
そして、本実施形態では、カウンタギヤ機構Cには、パーキングロック装置94が併設されている。パーキングロック装置94は、車両の停止中に車輪Wをロックすべく、車両の停止中に出力部材Oが回転しないように固定する装置である。本実施形態では、パーキングロック装置94は、カウンタ軸と一体回転するパーキングギヤ94aと、当該パーキングギヤ94aを係止可能なロック部材94bとを備えている。そして、パーキングロック装置94の状態には、ロック部材94bがパーキングギヤ94aに係合して当該パーキングギヤ94aを係止するロック状態と、ロック部材94bがパーキングギヤ94aから離れて当該パーキングギヤ94aを解放する非ロック状態とがあり、パーキングロック装置94の動作制御を行うパーキングロック装置制御ユニット9(図2参照)により、ロック状態と非ロック状態との間での切り替えが行われる。このパーキングロック装置94も上述したブレーキ装置93と同様、出力部材O又は出力部材Oと連動して回転する部材(本例ではカウンタギヤ機構C)の回転を制限する出力回転制限装置100である。
上記のような構成を備えることで、この車両用駆動装置1は、内燃機関Eと回転電機MG1,MG2との双方の出力トルクにより走行するハイブリッド走行モード(スプリット走行モード)と、回転電機MG1,MG2(本例では、第二回転電機MG2のみ)の出力トルクのみにより走行する電動走行モード(EV走行モード)とを実行可能に備えている。ハイブリッド走行モードでは、摩擦係合装置CLが直結係合状態とされ、遊星歯車機構PGにより内燃機関Eの出力トルクがサンギヤs(第一回転電機MG1)とリングギヤr(カウンタドライブギヤ52)とに分配される状態となる。EV走行モードにおいては、摩擦係合装置CLが解放状態とされ、内燃機関Eは停止状態とされる。また、内燃機関Eの内部の摩擦力により内燃機関出力軸(入力部材I)の回転速度は基本的に零となり、第一回転電機MG1の回転速度は、基本的に、零となるように制御される。
1−2.車両用駆動装置のシステム構成
1−2−1.システムの全体構成
図2に示すように、本実施形態に係る制御装置70は、回転電機制御部71、走行モード決定部73、始動制御部74、係合指令部75、係合判定部76、及び変動抑制トルク導出部77を備えている。
そして、制御装置70は、CPU等の演算処理装置を中核として備えるとともに、RAMやROM等の記憶装置等を有して構成されている。そして、ROM等に記憶されたソフトウェア(プログラム)又は別途設けられた演算回路等のハードウェア、或いはそれらの両方により、制御装置70の各機能部が構成されている。これらの各機能部は、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。
制御装置70は、車両用駆動装置1を搭載する車両の各部の情報を取得するために、車両の各部に設けられたセンサ等からの情報を取得可能に構成されている。具体的には、図2に示すように、制御装置70は、入力部材センサSe1、出力部材センサSe3、アクセル開度センサSe11、ブレーキ操作センサSe12、シフト位置センサSe13、第一ロータ軸センサSe2、解除対象回転要素センサSe4、及び蓄電状態センサSe10からの情報を取得可能に構成されている。
入力部材センサSe1は、入力部材Iの回転速度を検出するセンサである。入力部材センサSe1により検出される入力部材Iの回転速度は、本例では、内燃機関Eの回転速度に等しい。出力部材センサSe3は、出力部材Oの回転速度を検出するセンサである。なお、本例では、出力部材Oの回転速度は、第二回転電機MG2の回転速度と比例関係にあるため、第二回転電機MG2に備えられた回転センサ(レゾルバ等)の検出結果に基づき出力部材Oの回転速度が取得される構成とすることもできる。制御装置70は、出力部材センサSe3により検出される出力部材Oの回転速度に基づき、車速を導出する。アクセル開度センサSe11は、アクセルペダル90の操作量を検出することによりアクセル開度を検出するセンサである。蓄電状態センサSe10は、蓄電装置Bの状態(蓄電量や温度等)を検出するセンサである。
ブレーキ操作センサSe12は、ブレーキペダル91の操作量を検出するためのセンサである。車両には、ブレーキ装置93(図1参照)の動作制御を行うためのブレーキ装置制御ユニット8が備えられており、制御装置70は、ブレーキ操作センサSe12の検出結果に基づき、ブレーキペダル91の操作量に応じた制動力が車輪Wに作用するように、ブレーキ装置制御ユニット8を制御する。
シフト位置センサSe13は、シフトレバー92の選択位置(シフト位置)を検出するためのセンサである。制御装置70は、シフト位置センサSe13の検出結果に基づき、「ドライブレンジ」、「ニュートラルレンジ」、「後進ドライブレンジ」、「パーキングレンジ」等のいずれのレンジが運転者により選択されたかを検出する。そして、制御装置70は、「パーキングレンジ」が選択された場合にはパーキングロック装置94(図1参照)がロック状態となり、それ以外のレンジが選択された場合にはパーキングロック装置94が非ロック状態となるように、パーキングロック装置制御ユニット9を制御する。
第一ロータ軸センサSe2は、第一回転電機MG1(第一ロータ軸)の回転速度を検出するセンサである、本例では、第一ロータ軸センサSe2により検出される第一回転電機MG1の回転速度は、第一回転要素連結部材41(サンギヤs)の回転速度に等しい。第一ロータ軸センサSe2は、例えば、第一回転電機MG1に備えられた回転センサ(レゾルバ等)とすることができる。
解除対象回転要素センサSe4は、差動歯車装置DGが有する回転要素の内の解除対象回転要素enの回転速度を検出するセンサである。ここで、解除対象回転要素enとは、摩擦係合装置CLによって、入力部材I、出力部材O、及び第一回転電機MG1のいずれかとの駆動連結が解除可能とされている回転要素である。本実施形態では、キャリヤcaが解除対象回転要素enであり、解除対象回転要素センサSe4は、第二回転要素連結部材42の回転速度を検出する。
図2に示すように、車両には内燃機関制御ユニット3が備えられている。内燃機関制御ユニット3は、内燃機関Eの各部を制御することにより、内燃機関Eの動作制御を行う。具体的には、内燃機関制御ユニット3は、内燃機関Eの出力トルクや回転速度の制御目標としての目標トルク及び目標回転速度を設定し、この制御目標に応じて内燃機関Eを動作させることにより、内燃機関Eの動作制御を行う。なお、目標トルクや目標回転速度は、制御装置70からの指令に基づき設定される。また、内燃機関制御ユニット3は、内燃機関Eの停止状態において、制御装置70から始動の指令を受けた場合には、燃料噴射及び点火を開始させ、内燃機関Eを始動状態へと変化させる。また、内燃機関制御ユニット3は、内燃機関Eの始動状態において、制御装置70から停止の指令を受けた場合には、燃料噴射及び点火を停止させて、内燃機関Eを停止状態へと変化させる。
また、図2に示すように、車両には、摩擦係合装置CLの動作制御を行う摩擦係合装置制御ユニット6が備えられている。本実施形態では、摩擦係合装置CLは油圧により動作する摩擦係合装置とされ、摩擦係合装置制御ユニット6は、油圧制御装置2を制御することで摩擦係合装置CLの動作制御を行う。具体的には、摩擦係合装置制御ユニット6は、摩擦係合装置CLに対する油圧指令値を生成し、当該油圧指令値に相当する油圧が摩擦係合装置CLに供給されるように油圧制御装置2を制御する。
ここで、摩擦係合装置CLの2つの係合部材の間の係合状態としては、当該2つの係合部材の間で回転及びトルクが伝達されない「解放状態」と、当該2つの係合部材が回転速度差を有する状態で係合する「スリップ係合状態」と、当該2つの係合部材が一体回転する状態で係合する「直結係合状態」とがある。すなわち、「スリップ係合状態」は、摩擦係合装置CLの2つの係合部材が互いに相対回転する状態で、当該2つの係合部材の間でトルクが伝達される係合状態である。また、「直結係合状態」は、摩擦係合装置CLの2つの係合部材が直結し、当該2つの係合部材の間に差回転がない係合状態である。そして、直結係合状態には、摩擦係合装置CLが伝達するトルクの変動にかかわらず直結係合状態が維持される状態である「定常的な直結係合状態」が含まれる。このような定常的な直結係合状態を得るための油圧は、例えば、油圧制御装置2により生成されるライン圧(基準油圧)となる。
摩擦係合装置CLが2つの係合部材の間で伝達可能なトルクの大きさは、摩擦係合装置CLのその時点での係合圧に応じて決まる。このときのトルクの大きさを、摩擦係合装置CLの伝達トルク容量とする。本実施形態では、摩擦係合装置CLに対する油圧指令値に応じて、比例ソレノイド弁で摩擦係合装置CLへの供給油量及び供給圧の大きさを連続的に制御することにより、摩擦係合装置CLの伝達トルク容量の増減が連続的に制御可能となっている。そして、本実施形態では、摩擦係合装置制御ユニット6は、制御装置70からの係合指令や係合解除指令(解放指令)等に基づき摩擦係合装置CLの伝達トルク容量を制御し、摩擦係合装置CLの状態を制御する。
1−2−2.走行モード決定部の構成
走行モード決定部73は、車両の走行モードを決定する機能部である。走行モード決定部73は、例えば、出力部材センサSe3の検出結果に基づき導出される車速と、アクセル開度センサSe11により検出されるアクセル開度と、蓄電状態センサSe10により検出される蓄電状態(蓄電量や温度等)に基づいて、車両用駆動装置1が実現すべき走行モードを決定する。本実施形態では、走行モード決定部73が決定可能な走行モードには、電動走行モードとハイブリッド走行モードとが含まれる。そして、走行モード決定部73は、基本的に、メモリ等で構成される記憶装置に記憶して備えられた、車速、アクセル開度、及び蓄電状態と、走行モードと、の関係を規定したモード選択マップ(図示せず)を参照して、走行モードを決定する。
このモード選択マップによれば、電動走行モードでの走行中に内燃機関始動条件が成立した場合に、ハイブリッド走行モードへの移行が決定される。ここで、内燃機関始動条件は、停止状態の内燃機関Eを始動させるための条件であり、車両が内燃機関Eのトルクを必要とする状況となった場合に成立する。例えば、車両の停車中や電動走行モードでの走行中に運転者がアクセルペダルを強く踏み込む等して、回転電機MG1,MG2のみでは車両に要求されるトルクが得られない状態となった場合に、内燃機関始動条件が成立する。また、蓄電装置Bの蓄電量が予め定められた閾値以下にまで減少したため、内燃機関Eを始動させてそのトルクにより回転電機MG1,MG2に発電させて蓄電装置Bを充電することが必要になった場合にも、内燃機関始動条件が成立する。
1−2−3.回転電機制御部の構成
回転電機制御部71は、第一回転電機MG1や第二回転電機MG2の動作制御を行う機能部である。具体的には、回転電機制御部71は、第一回転電機MG1の出力トルク及び回転速度の制御目標としての目標トルク及び目標回転速度を設定し、この制御目標に応じて第一回転電機MG1が動作するように、第一インバータ4を制御する。本例では、回転電機制御部71は、トルク制御或いは回転速度制御により第一回転電機MG1の動作制御を行う。ここで、トルク制御は、第一回転電機MG1に対する目標トルクを設定して、第一回転電機MG1の出力トルクを当該目標トルクに合わせる制御である。また、回転速度制御は、第一回転電機MG1に対する目標回転速度を設定して、第一回転電機MG1の回転速度を当該目標回転速度に合わせる制御である。また、第二回転電機MG2についての制御は、第一インバータ4が第二インバータ5に置き換わる点を除いて第一回転電機MG1と同様である。
本実施形態では、上記のトルク制御には、第一回転電機MG1に係合判定トルクTAを出力させる係合判定トルク制御が含まれる。係合判定トルク制御は、回転電機制御部71が備える係合判定トルク制御部72により実行される。この係合判定トルク制御部72の構成については、後の「1−2−6.係合判定トルク制御部の構成」の項で説明する。
1−2−4.係合指令部の構成
係合指令部75は、摩擦係合装置CLが解放状態とされているとともに内燃機関Eが停止している状態(以下、「解放停止状態」という。)で、摩擦係合装置制御ユニット6に対して摩擦係合装置CLの係合を指令する機能部である。本実施形態では、同期状態で摩擦係合装置CLの係合が指令されるように構成されている。ここで、同期状態とは、対象となる2つの回転部材(ここでは、摩擦係合装置CLの2つの係合部材)の間の回転速度差が差回転閾値未満である状態である。この同期状態には、少なくとも一方の回転部材の回転速度が零である状態を含む。上記差回転閾値は、予め設定された所定の閾値であり、例えば10rpm以上100rpm以下の値とすることができる。
摩擦係合装置制御ユニット6は、係合指令部75により摩擦係合装置CLの係合が指令されると、摩擦係合装置CLの伝達トルク容量を零から所定(例えば一定)の変化率で上昇させる制御を行う。本例では、上記のように、同期状態で摩擦係合装置CLの係合が指令されるため、摩擦係合装置制御ユニット6は、摩擦係合装置CLの伝達トルク容量を、零から摩擦係合装置CLが定常的な直結係合状態となる値(以下、「定常直結容量」という。)まで上昇させる。これにより、摩擦係合装置CLが定常的な直結係合状態となる。
一方、摩擦係合装置制御ユニット6は、制御装置70により摩擦係合装置CLの係合解除が指令されると、摩擦係合装置CLの伝達トルク容量を上記定常直結容量から零まで、所定(例えば一定)の変化率で低下させる制御を行う。これにより、摩擦係合装置CLが解放状態となる。
1−2−5.始動制御部の構成
始動制御部74は、解放停止状態において内燃機関始動条件が成立した際に、内燃機関Eの回転速度を始動可能な回転速度(点火回転速度Nf)とするための始動制御を実行する機能部である。この始動制御では、摩擦係合装置CLを直結係合状態に切り替えた後に、内燃機関Eの回転速度が点火回転速度Nfとなる第一回転電機MG1の回転速度(始動回転速度Ni)を目標値として、第一回転電機MG1の回転速度を変化させる制御が実行される。そして、内燃機関Eの回転速度が点火回転速度Nfに到達した状態で、内燃機関制御ユニット3に対して内燃機関Eの始動が指令される。以下、電動走行モードでの走行中に内燃機関始動条件が成立した場合を例として、始動制御部74による始動制御について図3を参照して説明する。
図3は、差動歯車装置DG(本例では遊星歯車機構PG)の動作状態を表す速度線図である。この速度線図において、縦軸は、各回転要素の回転速度に対応している。すなわち、縦軸に対応して記載している「0」は、回転速度が零であることを示しており、上側が正回転(回転速度が正)、下側が負回転(回転速度が負)である。また、並列配置された複数本の縦線のそれぞれが、差動歯車装置DGの各回転要素に対応している。各回転要素に対応する縦線の間隔は、差動歯車装置DGのギヤ比λに対応している。本例では、差動歯車装置DGは遊星歯車機構PGにより構成されており、そのギヤ比λは、サンギヤsとリングギヤrとの歯数比となる。そして、各縦線の上側に記載されている四角形で囲まれた「Em」、「Ei」、「Eo」は、それぞれ、ハイブリッド走行モードの実行時における反力伝達要素Em、入力回転要素Ei、出力回転要素Eoを示している。
また、速度線図上において、第一回転電機MG1の回転速度、第二回転電機MG2の回転速度、内燃機関E(入力部材I)の回転速度、及び出力部材Oの回転速度のそれぞれを、互いに異なる記号で示している。なお、発明の理解を容易にすべく、第一回転電機MG1、第二回転電機MG2、内燃機関E、及び出力部材Oの各部材の回転速度は、差動歯車装置DGの回転要素(回転要素連結部材)までの動力伝達経路上に設けられた伝動部材(摩擦係合装置CLのような回転及びトルクを選択的に伝達する係合要素を除く)による回転速度の変換(変速)後の回転速度を表している。以下の説明における各部材の回転速度に関する記載も、基本的に、上記伝動部材による回転速度の変換後の回転速度を意味する。
具体的には、本実施形態では、第一回転電機MG1は、第一回転要素連結部材41と一体回転するように駆動連結されているため、速度線図上における第一回転電機MG1(サンギヤs)の回転速度は、第一回転電機MG1の実回転速度と一致する。また、内燃機関E(入力部材I)は、摩擦係合装置CLが直結係合状態にある場合には、第二回転要素連結部材42と同じ回転速度で回転するため、速度線図上における内燃機関E(キャリヤca)の回転速度は、内燃機関Eの実回転速度と一致する。
一方、第二回転電機MG2は、カウンタギヤ機構Cを介して第三回転要素連結部材43に駆動連結されているため、速度線図上における第二回転電機MG2(リングギヤr)の回転速度は、第二回転電機MG2の実回転速度に、第二回転電機出力ギヤ55、第一カウンタギヤ53、及びカウンタドライブギヤ52からなる動力伝達系のギヤ比を乗じたものとなっている。同様に、出力部材Oも、カウンタギヤ機構Cを介して第三回転要素連結部材43に駆動連結されているため、速度線図上における出力部材Oの回転速度は、出力部材Oの実回転速度に、差動入力ギヤ(出力部材O)、第二カウンタギヤ54、第一カウンタギヤ53、及びカウンタドライブギヤ52からなる動力伝達系のギヤ比を乗じたものとなっている。
そして、「T2」は第二回転電機MG2から差動歯車装置DGの回転要素(本例ではリングギヤr)に伝達されるトルク(第二回転電機トルク)を示し、「To」は出力部材O(車輪W)から差動歯車装置DGの回転要素(本例ではリングギヤr)に伝達されるトルク(走行トルク、走行抵抗)を示し、これらのトルクに隣接配置された矢印は、上向き矢印が正方向のトルクを表し、下向き矢印が負方向のトルクを表している。なお、以下で参照する各速度線図においても、図3と同様に差動歯車装置DGの動作状態を示している。
図3において、実線は、電動走行モードでの動作状態を表している。電動走行モードでは、摩擦係合装置CLが解放状態となるため、差動歯車装置DGの解除対象回転要素enは自由に回転できる状態となる。本実施形態では、図3に実線で示すように、電動走行モードでは第一回転電機MG1の回転速度は基本的に零とされ、解除対象回転要素en(本例ではキャリヤca)は、車速に応じて定まるリングギヤrの回転速度と、第一回転電機MG1の回転速度に応じて定まるサンギヤsの回転速度と、に基づいて定まる回転速度で回転する。
そして、図3に実線で示される状態から内燃機関Eを始動する際には、摩擦係合装置CLを直結係合状態へと切り替える。本例では、摩擦係合装置CLの2つの係合部材が同期状態となる第一回転電機の回転速度である同期回転速度Nsを目標値として、第一回転電機MG1の回転速度を変化させる制御(図3の「(1)の白抜き矢印」で示す処理)を行った後、係合指令部75が摩擦係合装置CLの係合を指令する。図3に示す例では、同期回転速度Nsは、電動走行モードの実行時における第一回転電機MG1の回転速度(本例では零)よりも低いため、第一回転電機MG1は負方向のトルクを出力してその回転速度が低下するように制御される。なお、回転速度について「上昇」とは、回転速度を正の方向に変化させることを意味し、回転速度について「低下」とは、回転速度を負の方向に変化させることを意味する。
図3の破線は、第一回転電機MG1の回転速度が同期回転速度Nsに到達した状態を表している。この状態で係合指令部75により摩擦係合装置CLの係合が指令され、摩擦係合装置CLが直結係合状態となった後に、始動回転速度Niを目標値として、第一回転電機MG1の回転速度を変化させる制御(図3の「(2)の白抜き矢印」で示す処理)が実行される。なお、対象とする回転速度(例えば第一回転電機MG1の回転速度)が目標値(目標回転速度)に「到達」するとは、当該対象とする回転速度と目標値との間の回転速度差が、目標到達判定閾値未満となった状態を意味する。ここで、目標到達判定閾値は、例えば、10rpm以上100rpm以下の値に設定される。
図3の二点鎖線は、第一回転電機MG1の回転速度が始動回転速度Niに到達した状態、すなわち、内燃機関Eの回転速度が点火回転速度Nfに到達した状態を表している。この状態で内燃機関制御ユニット3に対して内燃機関Eの始動が指令され、内燃機関Eが始動する。なお、本実施形態では、図3から明らかなように、内燃機関Eの出力トルクを利用して走行するハイブリッド走行モードの実行時には、基本的に、出力部材Oの回転速度は内燃機関Eの回転速度と同じく正方向とされる。
上記のように、電動走行モードからハイブリッド走行モードへと切り替えるためには、係合指令部75により摩擦係合装置CLの係合が指令された際に、摩擦係合装置CLが解放状態から直結係合状態へと適切に切り替えられる必要がある。何らかの原因により摩擦係合装置CLを直結係合状態へと適切に切り替えることができない場合には、内燃機関Eを始動することやハイブリッド走行モードを適切に実行することが困難になり、車両が実際に走行可能な実走行可能距離が、内燃機関Eの燃料を考慮して予測される予測走行可能距離に対して短くなるおそれがある。そこで、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、今から説明する係合判定トルク制御部72と係合判定部76とを備えることで、内燃機関Eを始動する必要が生じる前の任意の時点(例えば、車両を走行させる前の時点等)で、摩擦係合装置CLの係合判定を実行することが可能となっている。
1−2−6.係合判定トルク制御部の構成
係合判定トルク制御部72は、摩擦係合装置CLの係合が指令されたことを条件に、より正確には、摩擦係合装置CLの係合判定を行うために当該指令がなされたことを条件に、第一回転電機MG1に係合判定トルクTAを出力させる係合判定トルク制御を実行する機能部である。本実施形態では、係合判定トルク制御部72は、係合判定トルク制御の実行開始時点から予め定められた係合判定時間が経過するまでの間、係合判定トルク制御を実行し続け、係合判定トルク制御の実行開始時点から当該係合判定時間が経過すると、係合判定トルク制御を終了する。すなわち、本実施形態では、係合判定トルク制御部72は、予め定められた係合判定時間の間、第一回転電機MG1に係合判定トルクTAを出力させるように制御する。なお、係合判定時間は、摩擦係合装置CLの係合判定を行うために必要な標準的な時間として、予め実験的に或いは理論的に求められる。
係合判定トルクTAは、上限トルク設定値未満であって下限トルク設定値以上となるように設定される。ここで、上限トルク設定値は、摩擦係合装置CLが直結係合状態(本例では、定常的な直結係合状態)である場合において、停止状態の内燃機関Eに駆動連結された入力部材Iの回転を開始させるために必要な(より正確には最低限必要な)トルクである。この上限トルク設定値は、内燃機関Eのクランキングを開始するために必要なトルクであり、内燃機関Eの慣性モーメント、内燃機関Eを構成する摺動部品や第一回転電機MG1と内燃機関Eとの間の動力伝達経路上に配置された軸受等に起因する摩擦抵抗、及び、差動歯車装置DGのギヤ比λ等に応じて定まる。また、下限トルク設定値は、摩擦係合装置CLが解放状態である場合において、第一回転電機MG1の回転状態(本実施形態では回転速度)を変化させるために必要な(より正確には最低限必要な)トルクである。この下限トルク設定値は、第一回転電機MG1の慣性モーメント及び第一回転電機MG1の回転速度等に応じて定まる。
本実施形態では、係合判定トルクTAとして、上限トルク設定値未満であって下限トルク設定値以上の値に予め設定された固定値が用いられる。そして、本実施形態では、係合判定トルクTAの向きは、当該係合判定トルクTAに起因して内燃機関Eが駆動連結される回転要素(本例ではキャリヤca)に伝達されるトルクの向きが正方向となる方向(本例では正方向)に設定される。
なお、上記のように、下限トルク設定値は、第一回転電機MG1の回転速度に応じて定まる。よって、係合判定トルク制御の実行開始時の第一回転電機MG1の回転速度に応じて、係合判定トルクTAが可変に設定される構成とすることもできる。例えば、第一回転電機MG1の回転速度と係合判定トルクTAとの関係を規定したマップ、又は第一回転電機MG1の回転速度と下限トルク設定値との関係を規定したマップの参照等により、係合判定トルク制御の実行開始時の第一回転電機MG1の回転速度に応じた値の係合判定トルクTAが導出される構成とすることができる。
ここで、上限トルク設定値は、上記のように、第一回転電機MG1の回転速度によって大きく変動しない物理量に応じて定まるため、上限トルク設定値は、係合判定トルクTAが可変に設定される構成においても固定値とすることが可能である。但し、第一回転電機MG1の回転速度による変動を考慮し、例えば、第一回転電機MG1の回転速度と上限トルク設定値との関係を規定したマップの参照等により、係合判定トルク制御の実行開始時の第一回転電機MG1の回転速度に応じた値の係合判定トルクTAが導出される構成とすることもできる。
そして、本実施形態では、摩擦係合装置CLの動作確認条件(以下、単に「動作確認条件」という。)が成立した場合に、係合指令部75が摩擦係合装置CLの係合を指令し、当該指令を条件に、係合判定トルク制御部72が係合判定トルク制御を実行する。ここで、動作確認条件は、摩擦係合装置CLの係合判定を行うための条件であり、本実施形態では、動作確認条件の成立要件には、少なくとも、摩擦係合装置CLが解放状態とされているとともに内燃機関Eが停止している状態(解放停止状態)であることが要件として含まれる。
本実施形態では、動作確認条件の成立要件には、更に、出力回転制限装置100(本例では、ブレーキ装置93又はパーキングロック装置94)により出力部材Oの回転が制限された状態であることが要件として含まれている。すなわち、本実施形態では、出力回転制限装置100により出力部材Oの回転が制限された状態であることを条件として、係合判定トルク制御が実行される構成となっている。なお、ここでは、出力回転制限装置100として、ブレーキ装置93とパーキングロック装置94とを例として挙げたが、車両にその他の出力部材O又は出力部材Oと連動して回転する部材の回転を制限する装置が設けられている場合には、当該装置を本発明に係る出力回転制限装置100とすることもできる。
動作確認条件の成立要件には、更に別の要件を含むことができる。例えば、車両の主電源がオフからオンに切り替えられたことを、動作確認条件の成立要件に含むことができる。この場合、1日の中で初めて車両の主電源がオフからオンに切り替えられたことや、車両の主電源がオフ状態とされた時間が予め定められた時間以上であることを、更に動作確認条件の成立要件に含むことができる。また、車両の総走行距離が予め定められた走行距離に到達したことを、動作確認条件の成立要件に含むこともできる。
また、本実施形態では、係合判定トルク制御部72による係合判定トルク制御の実行中、第一回転電機MG1の回転状態(本実施形態では回転速度)又は出力トルクの変化により差動歯車装置DGを介して出力部材Oに伝達されるトルク変動を抑制する変動抑制トルクを第二回転電機MG2に出力させる変動抑制制御が、回転電機制御部71により実行される。この変動抑制トルクは、後の「1−2−8.変動抑制トルク導出部の構成」の項で説明する変動抑制トルク導出部77により導出される。
1−2−7.係合判定部の構成
係合判定部76は、係合判定トルク制御の実行中の第一回転電機MG1の回転状態の変化に基づき、摩擦係合装置CLの係合状態の判定である係合判定を実行する機能部である。本実施形態では、係合判定部76は、第一回転電機MG1の回転速度(回転状態の一例)に基づき、上記係合判定を実行する。具体的には、係合判定部76は、係合判定トルク制御の実行中に第一回転電機MG1の回転速度が予め設定された係合判定閾値NA以上変化した場合に、摩擦係合装置CLの係合状態が指令(係合指令部75による指令、以下同様)と異なる(指令に合致しない)と判定し、そうでない場合には、摩擦係合装置CLの係合状態が指令に合致していると判定する。
上記のように、本実施形態では、係合判定トルク制御部72は、予め定められた係合判定時間の間、第一回転電機MG1に係合判定トルクTAを出力させるように制御する。そして、本実施形態では、係合判定部76は、係合判定トルク制御の開始時点における第一回転電機MG1の回転速度と、係合判定トルク制御の終了時点における第一回転電機MG1の回転速度とに基づき、係合判定トルク制御の実行中の第一回転電機MG1の回転速度の変化量(以下、「実行中変化量」という。)を導出し、実行中変化量が係合判定閾値NA以上である場合に係合状態が指令と異なると判定し、実行中変化量が係合判定閾値NA未満である場合に係合状態が指令に合致すると判定する。すなわち、本実施形態では、係合判定トルク制御の実行前後の第一回転電機MG1の回転速度差が、係合判定閾値NAと比較される。
第一回転電機MG1の回転速度は、第一ロータ軸センサSe2の検出結果に基づき取得される。なお、本実施形態では、車速が一定であれば、第一回転電機MG1の回転速度(サンギヤsの回転速度)は、第二回転要素連結部材42(キャリヤca)の回転速度に応じて一意に定まる。そのため、車速が一定とみなせる場合には、第一ロータ軸センサSe2の検出結果に代えて解除対象回転要素センサSe4の検出結果に基づき、第一回転電機MG1の回転速度を取得する構成とすることもできる。
係合判定トルクTAは、上記のように上限トルク設定値未満に設定されるため、摩擦係合装置CLが定常的な直結係合状態にある場合には、係合判定トルク制御を行っても第一回転電機MG1の回転速度は基本的に変化しない。一方、係合判定トルクTAは、上記のように下限トルク設定値以上に設定されるため、摩擦係合装置CLが解放状態である場合には、係合判定トルク制御を行うことで第一回転電機MG1の回転速度が変化する。この際の第一回転電機MG1の回転速度の変化量を「解放時変化量」とすると、上記実行中変化量は、一般的に、摩擦係合装置CLの係合状態が定常的な直結係合状態から解放状態へ向かうに従って、零から上記解放時変化量に近づく。
上記の点に鑑み、係合判定閾値NAは、上記解放時変化量以下の値であって、零より大きな値に設定される。これにより、係合判定部76により係合が指令されたにもかかわらず摩擦係合装置CLが解放状態にある場合には、摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なると判定され、係合判定部76による係合指令により摩擦係合装置CLが定常的な直結係合状態になった場合には、摩擦係合装置CLの係合状態が指令に合致すると判定される。また、係合判定部76による係合指令後の摩擦係合装置CLの係合状態が、解放状態と定常的な直結係合状態との間である場合には、係合判定閾値NAの値が零に近い程、係合状態が指令と異なると判定される係合状態の範囲が広くなる。
本実施形態では、係合判定閾値NAとして、係合状態が指令と異なると判定される上記係合状態の範囲、及び第一回転電機MG1の回転速度の検出誤差等に基づき予め設定された固定値が用いられる。なお、係合判定トルクTAが、第一回転電機MG1の回転速度に応じて可変に設定される構成等では、係合判定閾値NAが、第一回転電機MG1の回転速度に応じて可変に設定される構成とすることもできる。
図4は、車両停止時(出力部材Oの回転速度が零の状態)における係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。ここで、「係合判定制御」とは、動作確認条件の成立後に係合判定部76による係合判定のために順次実行される制御の総称である。本例では、係合判定制御には、摩擦係合装置CLの係合指令、係合判定トルク制御、変動抑制制御、摩擦係合装置CLの解除指令が含まれる。なお、本実施形態では、動作確認条件の成立時の第一回転電機MG1の回転速度が同期回転速度Ns(車速が零の場合には零)と等しくない場合には、同期回転速度Nsを目標値として第一回転電機MG1の回転速度を変化させる制御を行った後に、係合判定制御が実行される。
図4において実線は、係合判定制御の実行前の動作状態を表している。そして、係合指令部75により摩擦係合装置CLの係合が指令されることで、摩擦係合装置CLが定常的な直結係合状態となった場合には、係合判定トルク制御の実行中に第一回転電機MG1の回転速度は実質的に変化せず、図4の実線の状態が維持される。
一方、係合指令部75により摩擦係合装置CLの係合が指令されたにもかかわらず、摩擦係合装置CLが定常的な直結係合状態となっていない場合には、係合判定トルク制御の実行により第一回転電機MG1の回転速度が変化し得る。図4の白抜き矢印は、第一回転電機MG1が出力する正方向の係合判定トルクTAによって当該第一回転電機MG1の回転速度が正方向に変化する様子を表しており、図4の二点鎖線は、係合判定トルク制御の終了時点における動作状態の一例を表している。この例では、係合判定トルク制御の実行中における第一回転電機MG1の回転速度の変化量(実行中変化量)が係合判定閾値NA以上となるため、摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なると判定される。なお、以下で参照する各図面においても、白抜き矢印は、摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なる場合における第一回転電機MG1の回転速度の変化の様子を表している。
図5は、車両走行時(出力部材Oの回転速度が零でない状態)における係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。この図5においても、図4と同様に、実線が係合判定制御の実行前の動作状態を表しており、二点鎖線が、係合指令部75により摩擦係合装置CLの係合が指令されたにもかかわらず、摩擦係合装置CLが定常的な直結係合状態となっていない場合における、係合判定トルク制御の終了時点における動作状態の一例を表している。このように、係合判定制御は、車速が零でない場合にも実行することが可能である。
なお、図5より明らかなように、車速が零でない場合には、係合判定制御の実行前における第一回転電機MG1の回転速度は、零とは異なる値の同期回転速度Nsとなる。この場合、第一回転電機MG1の回転速度を同期回転速度Nsに維持するためには、第一回転電機MG1に所定のトルク(以下、「回転維持トルク」という。)を出力させる必要がある。よって、車速が零でない場合における係合判定トルク制御では、係合判定トルクTAに回転維持トルクを加算(向きを考慮した加算、以下同様)したトルクを第一回転電機MG1が出力するように制御される。なお、回転維持トルクは、第一ロータRo1を支持する軸受等に起因する摩擦抵抗に応じた大きさ(基本的に零に近い大きさ)となる。
1−2−8.変動抑制トルク導出部の構成
変動抑制トルク導出部77は、変動抑制制御の実行時に第二回転電機MG2に出力させる変動抑制トルクを導出する機能部である。上記のように、この変動抑制制御は、係合判定トルク制御部72による係合判定トルク制御の実行中に実行されるように構成されている。
摩擦係合装置CLの係合状態にかかわらず、係合判定トルク制御の実行中には、第一回転電機MG1の回転状態(本実施形態では回転速度)や出力トルクの変化により、差動歯車装置DGを介して出力部材Oにトルク変動が伝達される(図1参照)。変動抑制トルクは、このようなトルク変動を抑制するためのトルクであり、その方向は、当該トルク変動を打ち消す方向とされ、その大きさは、当該トルク変動の大きさに基づき設定される。そして、回転電機制御部71は、第二回転電機MG2の目標トルクを、車両要求トルクに応じて定まる第二回転電機要求トルク(第二回転電機MG2に対して要求されるトルク)に変動抑制トルクを加算したトルクに設定して、第二回転電機MG2の動作制御を行う。
具体的には、例えば、変動抑制トルクの初期値を、摩擦係合装置CLの係合動作が指令に従い進行するとしてフィードフォワード的に演算し、当該初期値に応じたトルクを第二回転電機MG2に出力させる。そして、摩擦係合装置CLの係合状態が指令に合致する場合には、第一回転電機MG1が正方向の係合判定トルクTAを出力すると、キャリヤcaには内燃機関Eに起因する負方向の負荷トルクが作用してその回転速度が零に維持される。そのため、図4から明らかなように、リングギヤrには、係合判定トルクTAに起因する負方向の反力トルクが作用する。変動抑制トルク導出部77は、リングギヤrに作用するこのような反力トルクを抑制すべく、当該反力トルクと方向が反対(本例では正方向)のトルクを変動抑制トルクとして導出する。また、摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なる場合にも、摩擦係合装置CLの係合状態に応じた反力トルクがリングギヤrに伝達される可能性があり、この場合にも、変動抑制トルクによって、当該反力トルクに起因するトルク変動を少なくとも部分的に緩和することが可能である。
1−3.係合判定制御の内容
本実施形態に係る係合判定制御の内容について、図6及び図7を参照して説明する。図6及び図7は、車両停止時において係合判定制御を実行する際のタイムチャートの一例を示す図である。そして、図6は、係合指令部75による係合指令後の摩擦係合装置CLの係合状態が指令に合致する場合を示し、図7は、係合指令部75による係合指令後の摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なる場合を示している。以下、それぞれの場合について順に説明する。
1−3−1.係合状態が指令に合致する場合の係合判定制御の内容
図6に示すように、時刻T0までは、摩擦係合装置CLの伝達トルク容量は零とされており、内燃機関Eが停止した状態となっている。また、車両が停止しているため、第一回転電機MG1の回転速度は零とされるとともに、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の双方がトルクを出力しない状態となっている。
時刻T0で、動作確認条件が成立すると、係合指令部75が、摩擦係合装置CLの係合開始を指令し、摩擦係合装置制御ユニット6は、摩擦係合装置CLの伝達トルク容量を、零から上記定常直結容量まで、所定(本例では一定)の変化率で上昇させるための制御を行う。そして、摩擦係合装置CLの係合動作が指令に従い進行する(指令に合致する)場合に要する定常直結容量に到達するまでの標準的な時間が経過した後の時刻T1において、係合判定トルク制御部72による係合判定トルク制御の実行が開始されるとともに、回転電機制御部71による変動抑制制御の実行が開始される。なお、本例では、係合判定トルク制御の実行が開始されると、第一回転電機MG1の出力トルクが、零から係合判定トルクTAまで一定の変化率で上昇するように制御される。そして、変動抑制制御の実行により、第二回転電機MG2が、第一回転電機MG1の出力トルクの変化率や大きさに応じた変動抑制トルクを出力するように制御される。
なお、本例では、係合指令部75による係合指令後の摩擦係合装置CLの係合状態が指令に合致する場合の例として、摩擦係合装置CLの実際の伝達トルク容量が、図6に示す伝達トルク容量の目標値に従って変化し、時刻T1以前に摩擦係合装置CLが定常的な直結係合状態となる場合を想定している。よって、図6に示すように、係合判定トルク制御の実行によって第一回転電機MG1の回転速度は変化せず、零に維持される。
そして、時刻T1から上述した係合判定時間が経過すると(時刻T2)、係合判定トルク制御が終了されるとともに、変動抑制制御が終了される。本例では、係合判定トルク制御を終了する際には、第一回転電機MG1の出力トルクが、係合判定トルクTAから零まで一定の変化率で低下するように制御される。また、時刻T2以降の時点(図6の例では時刻T2)において、制御装置70により摩擦係合装置CLの係合解除が指令され、摩擦係合装置制御ユニット6は、摩擦係合装置CLの伝達トルク容量を、定常直結容量から零まで、所定(本例では一定)の変化率で低下させるための制御を行う。
本実施形態では、係合判定閾値NAと比較される実行中変化量は、係合判定トルク制御の実行前後の第一回転電機MG1の回転速度差である。そして、本例では、当該回転速度差は零となり、係合判定閾値NAより小さな値となる。よって、本例では、係合判定部76により、摩擦係合装置CLの係合状態が指令に合致すると判定される。
1−3−2.係合状態が指令と異なる場合の係合判定制御の内容
図7に示すように、時刻T10までは、摩擦係合装置CLの伝達トルク容量は零とされており、内燃機関Eが停止した状態となっている。また、車両が停止しているため、第一回転電機MG1の回転速度は零とされるとともに、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の双方がトルクを出力しない状態となっている。
時刻T10で、動作確認条件が成立すると、係合指令部75が、摩擦係合装置CLの係合開始を指令し、摩擦係合装置制御ユニット6は、摩擦係合装置CLの伝達トルク容量(指令値)を、零から上記定常直結容量まで、所定(本例では一定)の変化率で上昇させるための制御を行う。そして、摩擦係合装置CLの係合動作が指令に従い進行する(指令に合致する)場合に要する定常直結容量に到達するまでの標準的な時間が経過した後の時刻T11において、係合判定トルク制御部72による係合判定トルク制御の実行が開始されるとともに、回転電機制御部71による変動抑制制御の実行が開始される。なお、本例では、係合判定トルク制御の実行が開始されると、第一回転電機MG1の出力トルクが、零から係合判定トルクTAまで一定の変化率で上昇するように制御される。そして、変動抑制制御の実行により、第二回転電機MG2が、第一回転電機MG1の出力トルクの変化率や大きさに応じた変動抑制トルクを出力するように制御される。
本例では、係合指令部75による係合指令後の摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なる場合を想定している。そのため、図7に示すように、摩擦係合装置CLの実際の伝達トルク容量(図7における実線)は、伝達トルク容量の目標値(指令値、図7における破線)に従って変化せず、時刻T11における摩擦係合装置CLの実際の係合状態は、定常的な直結係合状態より解放状態に近い状態(本例では解放状態)となっている。そのため、図7に示すように、係合判定トルク制御の実行により第一回転電機MG1の回転速度が変化する。本実施形態では、係合判定トルクTAが正方向のトルクであるため、第一回転電機MG1の回転速度は係合判定トルク制御の実行開始後に上昇する。そして、本例では、第一回転電機MG1の出力トルクが係合判定トルクTAに到達する前に、第一回転電機MG1の回転速度が係合判定閾値NAを超える。
そして、時刻T11から上述した係合判定時間が経過すると(時刻T12)、係合判定トルク制御が終了されるとともに、変動抑制制御が終了される。なお、本例では、係合判定トルク制御の終了時には、第一回転電機MG1の回転速度は零とは異なる値となっている。よって、係合判定トルク制御を終了する際には、第一回転電機MG1の回転速度が零に戻るまでの時間を短縮すべく、第一回転電機MG1の出力トルクが、係合判定トルクTAから当該係合判定トルクTAとは反対方向(本例では負方向)のトルクとなるまで、一定の変化率で変化(本例では低下)するように制御される。その後、第一回転電機MG1の出力トルクは、第一回転電機MG1の回転速度を零とするように制御され、所定時間の経過後に、第一回転電機MG1の出力トルク及び回転速度の双方が零となる。また、時刻T12以降の時点(図7の例では時刻T12)において、制御装置70により摩擦係合装置CLの係合解除が指令され、摩擦係合装置制御ユニット6は、摩擦係合装置CLの伝達トルク容量(指令値)を、定常直結容量から零まで、所定(本例では一定)の変化率で低下させるための制御を行う。
本実施形態では、係合判定閾値NAと比較される実行中変化量は、係合判定トルク制御の実行前後の第一回転電機MG1の回転速度差である。そして、本例では、当該回転速度差は、図7に示すように係合判定閾値NAより大きな値となる。よって、本例では、係合判定部76により、摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なると判定される。
1−4.係合判定制御の処理手順
次に、本実施形態に係る係合判定制御の処理手順について、図8のフローチャートを参照して説明する。以下に説明する各処理手順は、制御装置70の各機能部により実行される。各機能部がプログラムにより構成される場合には、制御装置70が備える演算処理装置が、上記の各機能部を構成するプログラムを実行するコンピュータとして動作する。
摩擦係合装置CLの動作確認条件が成立すると(ステップ#01:Yes)、係合指令部75により摩擦係合装置CLの係合が指令される(ステップ#02)。次に、係合判定部76が第一回転電機MG1の回転速度を取得するとともに(ステップ#03)、係合判定トルク制御部72による係合判定トルク制御の実行が開始される(ステップ#04)。また、回転電機制御部71による変動抑制制御の実行も開始される(ステップ#05)。
係合判定トルク制御の実行開始からの経過時間が係合判定時間に到達するまでの間(ステップ#06:No)、係合判定トルク制御及び変動抑制制御の双方の実行が継続し、係合判定トルク制御の実行開始からの経過時間が係合判定時間に到達すると(ステップ#06:Yes)、係合判定部76は、第一回転電機MG1の回転速度を取得し(ステップ#07)、ステップ#03にて取得した回転速度との差(第一回転電機MG1の回転速度変化量)が係合判定閾値NA未満であるか否かの判定を行う(ステップ#08)。
係合判定部76は、第一回転電機MG1の回転速度変化量が係合判定閾値NA未満である場合(ステップ#08:Yes)には、摩擦係合装置CLの係合状態が指令に合致すると判定し(ステップ#09)、第一回転電機MG1の回転速度変化量が係合判定閾値NA以上である場合(ステップ#08:No)には、摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なると判定する(ステップ#10)。その後、係合判定トルク制御が終了される(ステップ#11)とともに、変動抑制制御も終了され(ステップ#12)、更に、制御装置70により摩擦係合装置CLの係合解除が指令される(ステップ#13)。
2.第二の実施形態
次に、本発明に係る車両用駆動装置の第二の実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。図9に示すように、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、摩擦係合装置CLの配設位置を除いて、基本的に上記第一の実施形態と同様に構成されている。以下では、本実施形態に係る車両用駆動装置1の構成について、上記第一の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、特に説明しない点については、上記第一の実施形態と同様とする。
図9に示すように、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、摩擦係合装置CLが、入力部材Iと差動歯車装置DGの回転要素(第二回転要素e2)との間ではなく、出力部材Oと差動歯車装置DGの回転要素(第三回転要素e3)との間の動力伝達経路上に設けられている。これにより、差動歯車装置DGは、出力部材Oと差動歯車装置DGの回転要素(第三回転要素e3)との駆動連結を解除可能に備えられている。
具体的には、摩擦係合装置CLの一方の係合部材である第一係合部材CLaには、カウンタドライブギヤ52が一体回転するように駆動連結されており、他方の係合部材である第二係合部材CLbには、第三回転要素連結部材43が一体回転するように駆動連結されている。よって、摩擦係合装置CLは、第二回転電機MG2と差動歯車装置DGの回転要素(第三回転要素e3)との間の動力伝達経路上にも位置し、摩擦係合装置CLを解放状態とすることで、出力部材Oに加えて第二回転電機MG2も、差動歯車装置DGの回転要素(第三回転要素e3)との駆動連結が解除される。
本実施形態では、解除対象回転要素enがリングギヤrとなるため、図9に示すように、解除対象回転要素センサSe4は、リングギヤrの回転速度を検出可能に配置されている。また、本実施形態では、入力部材Iは、第二回転要素連結部材42と一体回転するように駆動連結されており、キャリヤcaの回転速度は、内燃機関Eの回転速度に常に等しくなる。
図10は、本実施形態に係る車両用駆動装置1で実行される係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。図10では、図4と同様に、実線が係合判定制御の実行前の動作状態を表し、二点鎖線が、摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なる場合の係合判定トルク制御の終了時点における動作状態の一例を表している。なお、本実施形態では、摩擦係合装置CLは、リングギヤrと出力部材O及び第二回転電機MG2とを選択的に駆動連結するように設けられているため、摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なる場合には、係合判定トルク制御の実行により、図10において白抜き矢印で示すように、第一回転電機MG1の回転速度が上昇するとともに、リングギヤrの回転速度が低下する。このような構成においても、上記第一の実施形態と同様、係合判定トルク制御の実行中における第一回転電機MG1の回転速度の変化に基づき係合判定を実行することができる。
なお、係合判定トルクTAは上述した上限トルク設定値未満に設定されるため、摩擦係合装置CLの係合状態によらず、係合判定トルク制御の実行によってキャリヤcaの回転速度は変化せず、零に維持される。よって、第一回転電機MG1の回転速度(サンギヤsの回転速度)は、解除対象回転要素enとしてのリングギヤrの回転速度に比例するため、上記第一の実施形態と同様、第一ロータ軸センサSe2の検出結果に代えて解除対象回転要素センサSe4の検出結果に基づき、第一回転電機MG1の回転速度を取得する構成とすることができる。
3.第三の実施形態
次に、本発明に係る車両用駆動装置の第三の実施形態について、図11及び図12を参照して説明する。図11に示すように、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、摩擦係合装置CLの配設位置を除いて、基本的に上記第一の実施形態と同様に構成されている。以下では、本実施形態に係る車両用駆動装置1の構成について、上記第一の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、特に説明しない点については、上記第一の実施形態と同様とする。
図11に示すように、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、摩擦係合装置CLが、入力部材Iと差動歯車装置DGの回転要素(第二回転要素e2)との間ではなく、第一回転電機MG1と差動歯車装置DGの回転要素(第一回転要素e1)との間の動力伝達経路上に設けられている。これにより、差動歯車装置DGは、第一回転電機MG1と差動歯車装置DGの回転要素(第一回転要素e1)との駆動連結を解除可能に備えられている。
具体的には、摩擦係合装置CLの一方の係合部材である第一係合部材CLaには、第一回転電機MG1の第一ロータ軸7が一体回転するように駆動連結され、摩擦係合装置CLの他方の係合部材である第二係合部材CLbには、第一回転要素連結部材41が一体回転するように駆動連結されている。本実施形態では、解除対象回転要素enがサンギヤsとなるため、図11に示すように、解除対象回転要素センサSe4は、サンギヤsの回転速度を検出可能に配置されている。また、本実施形態では、入力部材Iは、第二回転要素連結部材42と一体回転するように駆動連結されており、キャリヤcaの回転速度は、内燃機関Eの回転速度に常に等しくなる。
図12は、本実施形態に係る車両用駆動装置1で実行される係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。図12では、図4と同様に、実線が係合判定制御の実行前の動作状態を表している。また、第一回転電機MG1を表す破線の丸は、摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なる場合の、係合判定トルク制御の終了時点における第一回転電機MG1の回転速度の一例を表している。なお、本実施形態では、摩擦係合装置CLは、サンギヤsと第一回転電機MG1とを選択的に駆動連結するように設けられているため、摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なる場合には、係合判定トルク制御の実行により、図12において白抜き矢印で示すように、サンギヤsから少なくとも部分的に切り離された第一回転電機MG1の回転速度が上昇する。このような構成においても、上記第一及び第二の実施形態と同様、係合判定トルク制御の実行中における第一回転電機MG1の回転速度の変化に基づき係合判定を実行することができる。
4.第四の実施形態
上記第一、第二、及び第三の実施形態では、差動歯車装置DGの他の回転要素を介することなく、第一回転要素e1に第一回転電機MG1が駆動連結され、第二回転要素e2に入力部材Iが駆動連結され、第三回転要素e3に第二回転電機MG2及び出力部材Oが駆動連結された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、図13に示すように、第一回転要素e1に入力部材Iが駆動連結され、第二回転要素e2に第二回転電機MG2及び出力部材Oが駆動連結され、第三回転要素e3に第一回転電機MG1が駆動連結された構成とすることもできる。
図13に示す例では、上記第一、第二、第三の実施形態と異なり、内燃機関Eと回転電機MG1,MG2との双方の出力トルクにより走行するハイブリッド走行モードでは、基本的に、内燃機関Eの出力トルクに対して増幅されたトルクが出力部材Oに伝達されるトルクコンバータモードとなる。そして、本実施形態では、上記第一の実施形態(図1)と同様、摩擦係合装置CLは、入力部材Iと差動歯車装置DGの回転要素(本例では、第一回転要素e1)との間の動力伝達経路上に設けられている。
図13は、本実施形態に係る車両用駆動装置1で実行される係合判定制御の動作を説明するための速度線図である。なお、図中に示すλ1及びλ2は差動歯車装置DGのギヤ比を表し、これらの値は当該差動歯車装置DGを構成する差動歯車機構のギヤ比に基づき定まる。速度線図の表記方法は上述した各実施形態と同様であるためここでは詳細な説明は省略するが、本実施形態に係る係合判定トルク制御部72による係合判定トルク制御では、係合判定トルクTAが負方向のトルクに設定される。そのため、係合判定部76は、係合判定トルク制御の実行中における第一回転電機MG1の回転速度が、負方向に係合判定閾値NA以上変化した場合に、摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なると判定する。なお、本実施形態でも、係合判定トルクTAの上限を定める上限トルク設定値は、差動歯車装置DGのギヤ比λ1,λ2に応じた値となる。
図示は省略するが、図13に示す構成において、摩擦係合装置CLを、入力部材Iと差動歯車装置DGの回転要素との間の動力伝達経路上ではなく、出力部材O及び第二回転電機MG2と差動歯車装置DGの回転要素(本例では、第二回転要素e2)との間の動力伝達経路上に設けた構成や、第一回転電機MG1と差動歯車装置DGの回転要素(本例では、第三回転要素e3)との間の動力伝達経路上に設けた構成としても、同様に、係合判定制御を実行することができる。
5.その他の実施形態
最後に、本発明に係るその他の実施形態を説明する。なお、以下の各々の実施形態で開示される特徴は、その実施形態でのみ利用できるものではなく、矛盾が生じない限り、別の実施形態にも適用可能である。
(1)上記の各実施形態では、第二回転電機MG2が、出力部材Oが駆動連結された差動歯車装置DGの回転要素に、当該差動歯車装置DGの他の回転要素を介することなく駆動連結されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、第二回転電機MG2が、出力部材Oが駆動連結された差動歯車装置DGの回転要素以外の回転要素に、当該差動歯車装置DGの他の回転要素を介することなく駆動連結されている構成とすることもできる。
このような構成として、例えば、図14に示すように、差動歯車装置DGの他の回転要素を介することなく、第一回転要素e1に第一回転電機MG1が駆動連結され、第二回転要素e2に入力部材I及び第二回転電機MG2が駆動連結され、第三回転要素e3に出力部材Oが駆動連結されている構成とすることができる。この構成では、摩擦係合装置CLは、入力部材Iと、当該入力部材Iが他の回転要素を介することなく駆動連結された差動歯車装置DGの回転要素(本例では第二回転要素e2)との間の動力伝達経路上に設けられるが、第二回転電機MG2と差動歯車装置DGの回転要素(本例では第二回転要素e2)との間の動力伝達経路上には、摩擦係合装置CLが位置しない構成とされる。
このような構成においても、摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なる場合には、係合判定トルク制御の実行により第一回転電機MG1の回転速度が変化(本例では上昇)するため(図14の白抜き矢印)、上述した各実施形態と同様、係合判定トルク制御の実行中における第一回転電機MG1の回転速度の変化に基づき係合判定を実行することができる。なお、本例では、摩擦係合装置CLの解放状態においても第二回転電機MG2とキャリヤcaとの間の駆動連結は解除されないため、係合判定トルクTAの下限を定める下限トルク設定値は、第一回転電機MG1の慣性モーメント及び回転速度と、第二回転電機MG2の慣性モーメントとに応じて定まる。
また、図示は省略するが、第二回転電機MG2が、出力部材Oが駆動連結された差動歯車装置DGの回転要素以外の回転要素に、当該差動歯車装置DGの他の回転要素を介することなく駆動連結されている構成として、図13に示す構成において、第二回転要素e2ではなく第一回転要素e1に第二回転電機MG2が駆動連結された構成とすることもできる。この場合、摩擦係合装置CLは、入力部材Iと、当該入力部材Iが他の回転要素を介することなく駆動連結された差動歯車装置DGの回転要素(本例では第一回転要素e1)との間の動力伝達経路上に設けられるが、第二回転電機MG2と差動歯車装置DGの回転要素(本例では第一回転要素e1)との間の動力伝達経路上には、摩擦係合装置CLが位置しない構成とされる。
(2)上記の各実施形態では、内燃機関Eの出力トルクを利用して走行するハイブリッド走行モードの実行時に、基本的に、出力部材Oの回転速度が内燃機関Eの回転速度と同じく正方向とされる構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、図15に示すように、内燃機関Eの出力トルクを利用して走行するハイブリッド走行モードの実行時に、基本的に、出力部材Oの回転速度が、内燃機関Eの回転速度とは異なり負方向とされる構成とすることもできる。
図15に示す構成では、差動歯車装置DGの他の回転要素を介することなく、第一回転要素e1に入力部材Iが駆動連結され、第二回転要素e2に第一回転電機MG1が駆動連結され、第三回転要素e3に第二回転電機MG2及び出力部材Oが駆動連結されている。また、摩擦係合装置CLが、入力部材Iと、当該入力部材Iが他の回転要素を介することなく駆動連結された差動歯車装置DGの回転要素(本例では第一回転要素e1)との間の動力伝達経路上に設けられている。このような構成においても、摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なる場合には、係合判定トルク制御の実行により、第一回転電機MG1の回転速度が変化(本例では上昇)する(図14の白抜き矢印)ため、上述した各実施形態と同様、係合判定トルク制御の実行中における第一回転電機MG1の回転速度の変化に基づき係合判定を実行することができる。
なお、図示は省略するが、図15に示す構成において、摩擦係合装置CLが、入力部材Iと差動歯車装置DGの回転要素との間の動力伝達経路上ではなく、第一回転電機MG1と差動歯車装置DGの回転要素(本例では、第二回転要素e2)との間の動力伝達経路上に設けられた構成や、出力部材O及び第二回転電機MG2と差動歯車装置DGの回転要素(本例では、第三回転要素e3)との間の動力伝達経路上に設けられた構成とすることもできる。
また、図15に示す構成において、第三回転要素e3ではなく第一回転要素e1に第二回転電機MG2が駆動連結された構成とすることもできる。この場合、摩擦係合装置CLは、入力部材Iと、当該入力部材Iが他の回転要素を介することなく駆動連結された差動歯車装置DGの回転要素(本例では第一回転要素e1)との間の動力伝達経路上に設けられるが、第二回転電機MG2と差動歯車装置DGの回転要素(本例では第一回転要素e1)との間の動力伝達経路上には、摩擦係合装置CLが位置しない構成とされる。
(3)上記の各実施形態では、差動歯車装置DGが3つの回転要素を有する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、差動歯車装置DGが4つ以上の回転要素を有する構成とすることもできる。例えば、図16〜図18に示すように、差動歯車装置DGが、回転速度の順に、第一回転要素e1、第二回転要素e2、第三回転要素e3、及び第四回転要素e4となる4つの回転要素を有する構成とすることができる。なお、図16〜図18中に示すλ1,λ2,λ3は差動歯車装置DGのギヤ比を表し、これらの値は当該差動歯車装置DGを構成する差動歯車機構のギヤ比に基づき定まる。そして、本実施形態では、係合判定トルクTAの上限を定める上限トルク設定値は、差動歯車装置DGのギヤ比λ1,λ2,λ3に応じた値となる。
図16〜図18に示す例では、入力部材I、出力部材O、第一回転電機MG1、及び第二回転電機MG2が、それぞれ差動歯車装置DGの異なる回転要素に、当該差動歯車装置DGの他の回転要素を介することなく駆動連結されている。すなわち、図16〜図18に示す例では、上記の各実施形態とは異なり、第二回転電機MG2が、入力部材I、出力部材O、及び第一回転電機MG1が駆動連結された差動歯車装置DGの回転要素以外の回転要素に、当該差動歯車装置DGの他の回転要素を介することなく駆動連結されている。
具体的には、図16に示す例では、差動歯車装置DGの他の回転要素を介することなく、第一回転要素e1に入力部材Iが駆動連結され、第二回転要素e2に出力部材Oが駆動連結され、第三回転要素e3に第二回転電機MG2が駆動連結され、第四回転要素e4に第一回転電機MG1が駆動連結されている。また、図17に示す例では、差動歯車装置DGの他の回転要素を介することなく、第一回転要素e1に第一回転電機MG1が駆動連結され、第二回転要素e2に入力部材Iが駆動連結され、第三回転要素e3に出力部材Oが駆動連結され、第四回転要素e4に第二回転電機MG2が駆動連結されている。また、図18に示す例では、差動歯車装置DGの他の回転要素を介することなく、第一回転要素e1に入力部材Iが駆動連結され、第二回転要素e2に第一回転電機MG1が駆動連結され、第三回転要素e3に第二回転電機MG2が駆動連結され、第四回転要素e4に出力部材Oが駆動連結されている。
図16〜図18に示す例では、摩擦係合装置CLは、入力部材Iと、当該入力部材Iが他の回転要素を介することなく駆動連結された差動歯車装置DGの回転要素との間の動力伝達経路上に設けられている。そして、このような構成においても、摩擦係合装置CLの係合状態が指令と異なる場合には、係合判定トルク制御の実行により、第一回転電機MG1の回転速度が変化する(各図面の白抜き矢印)ため、上述した各実施形態と同様、係合判定トルク制御の実行中における第一回転電機MG1の回転速度の変化に基づき係合判定を実行することができる。
なお、差動歯車装置DGが4つの回転要素を有する構成は図16〜図18に示す例に限られず、図16〜図18に示す構成において、2つの回転要素の順番が入れ替えられた構成とすることも可能である。例えば、図16に示す構成において、第二回転要素e2と第三回転要素e3とが入れ替えられた構成とすることができる。また、図17に示す構成において、第三回転要素e3と第四回転要素e4とが入れ替えられた構成とすることもできる。さらに、図17に示す構成において、第三回転要素e3と第四回転要素e4とが入れ替えられた後に、更に第二回転要素e2と第三回転要素e3とが入れ替えられた構成とすることもできる。
(4)上記の各実施形態では、係合判定トルク制御が予め定められた係合判定時間の間、継続して実行され、係合判定トルク制御の実行前後の第一回転電機MG1の回転速度差が係合判定閾値NAと比較されることで、摩擦係合装置CLの係合状態の判定が実行される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、係合判定トルク制御の開始後に、第一回転電機MG1の回転速度を所定の周期で繰り返し取得する構成とし、係合判定時間の経過前であっても係合判定トルク制御の実行中における第一回転電機MG1の回転速度の変化量が係合判定閾値NA以上となった場合には、当該時点において、係合状態が指令と異なるとの判定を行うとともに係合判定トルク制御が終了される構成とすることもできる。この場合において、係合判定閾値NAを、単位時間当たりの変化量として設定し、係合判定部76が、第一回転電機MG1の回転速度の単位時間当たりの変化量を導出して係合判定閾値NAとの大小関係の判定を行う構成とすることもできる。
(5)上記の各実施形態では、係合判定トルクの下限を定める下限トルク設定値が、第一回転電機MG1の回転状態の一例としての第一回転電機MG1の回転速度に基づき、摩擦係合装置CLの解放状態で当該回転速度を変化させるために必要なトルクとされ、更に、係合判定部76が、第一回転電機の回転状態の一例としての第一回転電機MG1の回転速度の変化に基づき、係合判定を実行する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、下限トルク設定値や係合判定に係る第一回転電機MG1の回転状態を、第一回転電機MG1の回転運動に関するその他の物理量(例えば、回転位置や回転加速度等)として、係合判定閾値NAの設定や係合判定が当該その他の物理量に基づく構成とすることもできる。
例えば、回転状態が回転位置(回転角度)とされる構成では、係合判定部76が、第一回転電機MG1の回転位置の変化量を導出して、当該変化量が係合判定閾値NA以上である場合(回転位置が係合判定閾値NA以上変化した場合)に係合状態が指令と異なると判定する構成とする。この構成は、車両停止時における係合判定制御に好適である。
また、例えば、回転状態が回転加速度とされる構成では、係合判定部76が、第一回転電機MG1の回転加速度の変化量を導出して、当該変化量が係合判定閾値NA以上である場合(回転加速度が係合判定閾値NA以上変化した場合)に係合状態が指令と異なると判定する構成とする。
(6)上記の各実施形態では、出力回転制限装置100により出力部材Oの回転が制限された状態であることを条件として、係合判定トルク制御部72による係合判定トルク制御が実行される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、出力回転制限装置100により出力部材Oの回転が制限された状態であることが動作確認条件の成立要件に含まれず、出力回転制限装置100により出力部材Oの回転が制限されていない場合であっても、係合判定トルク制御が実行され得る構成とすることも可能である。このような構成においても、係合判定トルクTAの大きさを適切に設定することや、変動抑制制御を実行すること等により、車両に発生し得るショックを抑制することが可能である。
(7)上記の各実施形態では、摩擦係合装置CLの動作確認条件の成立要件に、少なくとも、摩擦係合装置CLが解放状態とされているとともに内燃機関Eが停止している状態(解放停止状態)であることが要件として含まれる構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、摩擦係合装置CLの動作確認条件の成立要件に、摩擦係合装置CLが解放状態にあることが含まれない構成や、内燃機関Eが停止状態にあることが含まれない構成とすることもできる。このような構成では、動作確認条件が成立した際、摩擦係合装置CLの係合解除指令を行った後や、内燃機関Eを停止状態とするための制御を行った後に、係合判定制御が実行される構成となる。
(8)上記の各実施形態では、係合判定トルク制御の実行中、変動抑制制御が実行される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、変動抑制制御が、係合判定トルク制御の実行中に実行されない構成とすることも可能である。また、変動抑制制御において、回転速度以外の第一回転電機MG1の回転運動に関する物理量(例えば、回転位置や回転加速度等)の変化によるトルク変動を抑制する構成とすることもできる。
(9)上記の各実施形態では、パーキングギヤ94aがカウンタ軸と一体回転するように設けられた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、パーキングギヤ94aは、出力部材Oと連動して回転するように備えることができる任意の位置に設けることが可能である。例えば、パーキングギヤ94aが、カウンタドライブギヤ52や、第二回転電機出力ギヤ55、或いは出力部材Oと一体回転するように設けられた構成とすることができる。
(10)上記第一、第二、及び第三の実施形態では、差動歯車装置DGが、シングルピニオン型の遊星歯車機構PGにより構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、差動歯車装置DGが、ダブルピニオン型の遊星歯車機構やラビニヨ型の遊星歯車機構により構成されていても良い。また、差動歯車装置DGの具体的構成を示さなかった各実施形態(上記第一、第二、及び第三の実施形態を除く実施形態)においても、差動歯車装置DGの構成としては任意の機構を採用することができる。例えば、4つ以上の回転要素を有する差動歯車装置DGは、2組以上の遊星歯車機構の一部の回転要素間を互いに連結した構成等を用いることができる。
(11)上記の各実施形態では、摩擦係合装置CLが、油圧により動作する摩擦係合装置とされた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、摩擦係合装置CLとして、電磁力に応じて係合圧が制御される電磁式の摩擦係合装置を採用することも可能である。また、上記の各実施形態では、本発明に係る係合装置が摩擦係合装置CLとされた構成を例として説明したが、本発明に係る係合装置を噛み合い式の係合装置(ドグクラッチ)とすることも可能である。
(12)上記の各実施形態では、制御装置70とは別に、内燃機関制御ユニット3、摩擦係合装置制御ユニット6、ブレーキ装置制御ユニット8、及びパーキングロック装置制御ユニット9が備えられた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、これらの別途設けられた各種制御ユニットの少なくとも何れかが制御装置70に一体化された構成とすることも可能である。また、上記の実施形態で説明した機能部の割り当ては単なる一例であり、複数の機能部を組み合わせたり、1つの機能部をさらに区分けしたりすることも可能である。
(13)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載された構成及びこれと均等な構成を備えている限り、特許請求の範囲に記載されていない構成の一部を適宜改変した構成も、当然に本発明の技術的範囲に属する。
本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、少なくとも3つの回転要素を有する差動歯車装置と、制御装置と、を備えた車両用駆動装置に好適に利用することができる。
CL:摩擦係合装置(係合装置)
DG:差動歯車装置
E:内燃機関
I:入力部材
MG1:第一回転電機
MG2:第二回転電機
NA:係合判定閾値
O:出力部材
TA:係合判定トルク
W:車輪
e1:第一回転要素
e2:第二回転要素
e3:第三回転要素
70:制御装置
72:係合判定トルク制御部
75:係合指令部
76:係合判定部
100:出力回転制限装置

Claims (6)

  1. 内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、少なくとも3つの回転要素を有する差動歯車装置と、制御装置と、を備えた車両用駆動装置であって、
    前記入力部材、前記出力部材、及び前記第一回転電機が、それぞれ前記差動歯車装置の異なる回転要素に、当該差動歯車装置の他の回転要素を介することなく駆動連結され、
    前記第二回転電機が、前記第一回転電機が駆動連結された回転要素以外の前記差動歯車装置の回転要素に、当該差動歯車装置の他の回転要素を介することなく駆動連結され、
    前記入力部材、前記出力部材、及び前記第一回転電機のいずれかと、前記差動歯車装置の回転要素との駆動連結を解除可能な係合装置を備え、
    前記制御装置は、前記係合装置が解放状態とされているとともに前記内燃機関が停止している状態で、前記係合装置の係合を指令する係合指令部と、
    前記係合装置の係合が指令されたことを条件に、前記第一回転電機に係合判定トルクを出力させる係合判定トルク制御を実行する係合判定トルク制御部と、
    前記係合判定トルク制御の実行中の前記第一回転電機の回転状態の変化に基づき、前記係合装置の係合状態の判定である係合判定を実行する係合判定部と、を備え、
    前記係合判定トルク制御部は、前記係合装置が直結係合状態である場合において停止状態の前記内燃機関に駆動連結された前記入力部材の回転を開始させるために必要なトルク未満であって、前記係合装置が解放状態である場合において前記第一回転電機の回転状態を変化させるために必要なトルク以上となるように前記係合判定トルクを設定し、
    前記係合判定部は、前記第一回転電機の回転状態が予め設定された係合判定閾値以上変化した場合に、前記係合装置の係合状態が指令と異なると判定する車両用駆動装置。
  2. 前記制御装置は、前記係合判定トルク制御の実行中、前記第一回転電機の回転状態又は出力トルクの変化により前記差動歯車装置を介して前記出力部材に伝達されるトルク変動を抑制する変動抑制トルクを前記第二回転電機に出力させる変動抑制制御を実行する請求項1に記載の車両用駆動装置。
  3. 前記係合判定トルク制御部は、前記出力部材又は前記出力部材と連動して回転する部材の回転を制限する出力回転制限装置により、前記出力部材の回転が制限された状態であることを条件として、前記係合判定トルク制御を実行する請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
  4. 前記第二回転電機が、前記出力部材が駆動連結された前記差動歯車装置の回転要素に、当該差動歯車装置の他の回転要素を介することなく駆動連結されている請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  5. 前記差動歯車装置は、回転速度の順に第一回転要素、第二回転要素、及び第三回転要素となる3つの回転要素を有し、
    前記差動歯車装置の他の回転要素を介することなく、前記第一回転要素に前記第一回転電機が駆動連結され、前記第二回転要素に前記入力部材が駆動連結され、前記第三回転要素に前記第二回転電機及び前記出力部材が駆動連結され、
    前記係合装置は、前記入力部材と前記第二回転要素との間の動力伝達経路上に設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  6. 前記第二回転電機が、前記第一回転電機が駆動連結された回転要素及び前記出力部材が駆動連結された回転要素以外の前記差動歯車装置の回転要素に、当該差動歯車装置の他の回転要素を介することなく駆動連結され、
    前記係合装置が、前記入力部材と、当該入力部材が他の回転要素を介することなく駆動連結された前記差動歯車装置の回転要素との間の動力伝達経路上に設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014121914A (ja) * 2012-12-20 2014-07-03 Toyota Motor Corp ハイブリッド車両の制御装置
JP2015077839A (ja) * 2013-10-15 2015-04-23 いすゞ自動車株式会社 ハイブリッド車両の車重の推定システム及びその推定方法
JP2015101271A (ja) * 2013-11-27 2015-06-04 トヨタ自動車株式会社 ハイブリッド車のエンジン始動制御装置

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