JP2012206944A - プロピレン中に含有される一酸化炭素(co)及び/又は硫化カルボニル(cos)を除去する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
ナフサ分解、重質油の流動接触分解等により得られるプロピレンに含まれる硫化カルボニル、一酸化炭素などの不純物を処理して低減させる。
【解決手段】
CO及び/又はCOSを不純物として含むプロピレンをパラジウム・酸化アルミニウムの複合物に接触させることにより、当該CO及び/又はCOSを除去することを特徴とするプロピレンの精製方法。
【選択図】なし
ナフサ分解、重質油の流動接触分解等により得られるプロピレンに含まれる硫化カルボニル、一酸化炭素などの不純物を処理して低減させる。
【解決手段】
CO及び/又はCOSを不純物として含むプロピレンをパラジウム・酸化アルミニウムの複合物に接触させることにより、当該CO及び/又はCOSを除去することを特徴とするプロピレンの精製方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、プロピレン中に含有される一酸化炭素(CO)及び/又は硫化カルボニル(COS)を除去する方法に関するものである。
近年、ポリプロピレン製造用原料としてプロピレンの需要が急速に高まっている。一般に工業用プロピレンは、重質油の接触分解生成物から得られるC3留分の分離等によって製造されている。しかしながら、このようにして得られる工業用プロピレン中には一酸化炭素を始め多種の不純物が含有されている。例えば、一酸化炭素(CO)は数ppm、硫化カルボニル(COS)に至っては数ppm〜数十ppmが含有されていることがある。これら不純物はプロピレンの重合において、触媒を被毒する作用があり、触媒効率の低下といった問題を引き起こす。そのため、これら不純物を除去するための検討が以前より行われてきた。
一般的に、混合ガス中に不純物として含まれる微量な有害成分を選択的に除去する方法としては、大別すると、物理吸着による方法(「物理的除去法」という)と、化学反応により除去する方法(「化学的除去法」という)とに分けられる。具体的には、以下のような除去方法が提案されている。
炭化水素中のCOを除去する方法としては、例えば、石油化学工場からの排ガス中のCOを選択的に除去するため、アルミニウム及び銅化合物を無機担体に担持してなる固体状CO吸収剤により処理する方法が提案されている。しかしながら、ここでの精製対象となる物質は、石油化学工場からの排ガスやエチレン工場からのオフガスであるため、プロピレンで無く、またその用途もメタンリッチガスとしての利用を見込んでいるため、ポリマー原料としての利用とは異なる(特許文献1参照)。
また、天然ガス代替物への石炭及び炭素質物質の変換、及び特に一次ガス化により製造した粗又は合成ガスをメタンに富むパイプライン品質ガスに変換するために、該粗又は合成ガス中のCO及び硫黄分含有ガスをスクラビング(洗浄吸収)により除去し、次いで耐硫黄性ニッケル系メタン化触媒の存在下にガス中の水素とCOを反応させる方法が提案されている。しかし、ここでの精製対象となる物質は、ガス化により製造した粗又は合成ガスであるため、プロピレンではない。これも意図する内容が本願のものとは全く異なる(特許文献2参照)。
一方、炭化水素中のCOSを除去する方法としては、メタノール及びエタノールの製造、オキソ法によるアルデヒド製造、ロジウム触媒を使用するグリコールの製造などに用いられる合成ガスを酸化亜鉛からなり且つアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物を5重量%以下の濃度で含有する吸着剤床に150〜240℃の温度で接触させる方法が提案されている。しかしながら、ここでの精製対象となる物質はプロピレンでは無く、合成ガスである。またその用途もポリマー原料とは異なる(特許文献3参照)。
炭素数2〜6の炭化水素、例えばプロピレン中に含有されるCOSを除去する方法として、プロピレンを液状状態で酸化亜鉛と0〜100℃で接触処理する方法が提案されている。しかし、この方法は、プロピレン中に含有されるCOSを除去することのみを目的とするため、COが十分に除去できない。さらに、プロピレンを予め液状状態にする操作もしくは条件が必要となるため簡便とはいえず、かつCOが十分に除去できないため効率的ではなく改善の余地があった(特許文献4参照)。
更に、プロピレン中に含有されるCO及びCOSを同時に除去する方法として、プロピレンを液状状態で、かつ、0〜80℃の温度で酸化銅・酸化亜鉛複合酸化物に接触処理させる方法が提案されている。この方法は、プロピレン中に含有されるCO及びCOSを同時に除去することを特徴とするが、プロピレンを液状状態で処理する方法であるため、プロピレンを液状状態にする操作もしくは条件が必要となる。またCOやCOSの除去は未だ改善の余地があった(特許文献5参照)。
従来から、例えば合成ガスを使用する工業的方法(メタノール及びエタノールの製造、オキソ法等々)においては、感性触媒物質を使用しており、硫黄化合物といった汚染物は感性触媒物質を被毒するところから、原料ガスから汚染物を容量比で1ppmよりも下の濃度レベル、時には0.1ppmよりも下のレベルにまで除去することが必要とされている。(特許文献4参照)
種々の方法により製造された工業用プロピレン中には、通常、一酸化炭素(CO)および/又は硫化カルボニル(COS)が含有されている。この工業用プロピレンを、ポリマー製造用の原料モノマーとして使用する為には、含有されている一酸化炭素(CO)および/又は硫化カルボニル(COS)を1ppmよりも下の濃度レベル、時には0.1ppmよりも下のレベルにまで除去して、重合用触媒を被毒することがないようにしなければならず、さらに簡便かつ効率的な方法が切望されていた。
本発明は、上記公知技術およびその問題点について鑑みてなされたものであり、プロピレン中に含有される一酸化炭素(CO)および/又は硫化カルボニル(COS)を除去する方法に関する。プロピレンをポリマー製造用の原料モノマーとして使用するには、重合用の触媒を被毒させる一酸化炭素(CO)および/又は硫化カルボニル(COS)を重合用触媒に悪影響を及ぼさない程度の含有量にまで、低減することが必要であり、本発明は、簡便かつ効率的に低減する方法に関する。
本発明では、パラジウム・酸化アルミニウムの複合物を吸着材として用いることで、触媒被毒の原因となるプロピレン中のCOおよび/又はCOSを従来よりも効率的に除去することが可能となる。即ち、本発明では、パラジウム・酸化アルミニウムの複合物を吸着材として用いることにより、プロピレン中のCOおよび/又はCOSを吸着して効率的に除去することが可能であることを、初めて知見したものである。
本発明により、COおよび/又はCOSを除去して精製したプロピレンは、特にメタロセン触媒を用いたプロピレン単独重合体やプロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレンブロック共重合体などの重合体製造用原料として使用することで、その後の工程における触媒の被毒が少ないので、飛躍的に安定した触媒効率での生産が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔I〕原料プロピレン
本発明において原料として使用されるプロピレンは、種々の方法によって製造されたCOやCOSを含有する工業用プロピレンを用いることが出来るが、特にエチレンプラントのロードアップや重質油の接触分解生成物から得られるC3留分の分離等によって得られる工業用プロピレン(FCC;Fluid Catalytic Cracking Process)を用いることが好ましい。これら原料プロピレン中に含有されるCO及びCOSは、それぞれ100ppm以下、特に10ppm以下であることが好ましい。仮に、原料プロピレン中に100ppmを超える濃度でCO,COSが含有されている場合には、予め酸化亜鉛処理又は蒸留などの他の手段にてCO,COSの濃度を100ppm以下に低下させておくことが望ましい。
〔I〕原料プロピレン
本発明において原料として使用されるプロピレンは、種々の方法によって製造されたCOやCOSを含有する工業用プロピレンを用いることが出来るが、特にエチレンプラントのロードアップや重質油の接触分解生成物から得られるC3留分の分離等によって得られる工業用プロピレン(FCC;Fluid Catalytic Cracking Process)を用いることが好ましい。これら原料プロピレン中に含有されるCO及びCOSは、それぞれ100ppm以下、特に10ppm以下であることが好ましい。仮に、原料プロピレン中に100ppmを超える濃度でCO,COSが含有されている場合には、予め酸化亜鉛処理又は蒸留などの他の手段にてCO,COSの濃度を100ppm以下に低下させておくことが望ましい。
〔II〕精製処理
(1)吸着材
(a)組成
本発明において用いられる吸着材は、パラジウム・酸化アルミニウムの複合物である。これらパラジウム・酸化アルミニウムの複合物の組成は、両成分の合計100重量部に対し、パラジウムが0.05重量部以上8重量部以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1重量部以上6重量部以下、最も好ましくは0.25重量部以上5重量部以下である。パラジウムの含有量が上記範囲未満になると、COおよび/もしくはCOS除去効率が低下する。一方、パラジウムの含有量が上記範囲以上だと、不純物除去能力は飽和をし、触媒コストが高くなるだけで経済的でない。
(b)形状
本発明において用いられる吸着材の形状は、特に制限は無く、ペレット状、粉末状、粒状の他、円滴状、円盤状などに成形されたものでもよい。吸着材の形状は、使用態様に応じて適宜選択すればよく、その大きさも、使用条件に応じて適宜選択できる。
(c)調製
本発明において用いられるパラジウム・酸化アルミニウムの複合物の調整は、通常Pdを酸化アルミニウムに担持することにより調製される。具体的には、例えば、Pd、アルミナ粉末、水及びバインダー(例えば、アルミナゾル、シリカゾル、水ガラス、ジルコニアゾル、硫酸アルミニウム等々)を混合、粉砕して複合物のスラリーを調整する。ついで、該スラリーを噴霧乾燥、焼成、造粒、成形という必要に応じて一連の工程を経て、所望する形状のパラジウム・酸化アルミニウムの複合物を得ることができるが、この調製方法に限定されるものではない。
本発明で用いるパラジウム・酸化アルミニウムの複合物は、市販品がある場合にはそれを使用できることはいうまでも無いことである。
(1)吸着材
(a)組成
本発明において用いられる吸着材は、パラジウム・酸化アルミニウムの複合物である。これらパラジウム・酸化アルミニウムの複合物の組成は、両成分の合計100重量部に対し、パラジウムが0.05重量部以上8重量部以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1重量部以上6重量部以下、最も好ましくは0.25重量部以上5重量部以下である。パラジウムの含有量が上記範囲未満になると、COおよび/もしくはCOS除去効率が低下する。一方、パラジウムの含有量が上記範囲以上だと、不純物除去能力は飽和をし、触媒コストが高くなるだけで経済的でない。
(b)形状
本発明において用いられる吸着材の形状は、特に制限は無く、ペレット状、粉末状、粒状の他、円滴状、円盤状などに成形されたものでもよい。吸着材の形状は、使用態様に応じて適宜選択すればよく、その大きさも、使用条件に応じて適宜選択できる。
(c)調製
本発明において用いられるパラジウム・酸化アルミニウムの複合物の調整は、通常Pdを酸化アルミニウムに担持することにより調製される。具体的には、例えば、Pd、アルミナ粉末、水及びバインダー(例えば、アルミナゾル、シリカゾル、水ガラス、ジルコニアゾル、硫酸アルミニウム等々)を混合、粉砕して複合物のスラリーを調整する。ついで、該スラリーを噴霧乾燥、焼成、造粒、成形という必要に応じて一連の工程を経て、所望する形状のパラジウム・酸化アルミニウムの複合物を得ることができるが、この調製方法に限定されるものではない。
本発明で用いるパラジウム・酸化アルミニウムの複合物は、市販品がある場合にはそれを使用できることはいうまでも無いことである。
(2)処理条件
(a)処理温度
本発明の処理温度は、0〜80℃であり、好ましくは10〜60℃であり、より好ましくは20〜50℃の範囲である。処理温度が高すぎると処理圧力が上昇して処理操作が効率的でなくなる。処理温度が低すぎると除去効率が低くなる。
(a)処理温度
本発明の処理温度は、0〜80℃であり、好ましくは10〜60℃であり、より好ましくは20〜50℃の範囲である。処理温度が高すぎると処理圧力が上昇して処理操作が効率的でなくなる。処理温度が低すぎると除去効率が低くなる。
(b)処理時間
本発明の処理時間としては、プロピレン中のCO、COS濃度、パラジウム・酸化アルミニウムの複合物中のPd量、処理温度、処理圧力等により適宜選択される。通常は1分〜100時間である。
(c)処理圧力
本発明の処理圧力としては、常圧で行なうことができるが、0.2〜5MPa、好ましくは、0.5〜4MPa.圧力下においても行なうことが出来る。
(d)接触方法
プロピレンとパラジウム・酸化アルミニウムの複合物との接触方法としては、通常はプロピレンをガス状で流通接触させるが、これに限定されるものではなく、プロピレンを液状で接触させても良い。パラジウム・酸化アルミニウムの複合物の充填態様としては、接触塔の形状に応じて適宜選択すればよく、一般的には固定床が用いられるが、移動床、流動床などとして充填することもできる。
本発明の処理時間としては、プロピレン中のCO、COS濃度、パラジウム・酸化アルミニウムの複合物中のPd量、処理温度、処理圧力等により適宜選択される。通常は1分〜100時間である。
(c)処理圧力
本発明の処理圧力としては、常圧で行なうことができるが、0.2〜5MPa、好ましくは、0.5〜4MPa.圧力下においても行なうことが出来る。
(d)接触方法
プロピレンとパラジウム・酸化アルミニウムの複合物との接触方法としては、通常はプロピレンをガス状で流通接触させるが、これに限定されるものではなく、プロピレンを液状で接触させても良い。パラジウム・酸化アルミニウムの複合物の充填態様としては、接触塔の形状に応じて適宜選択すればよく、一般的には固定床が用いられるが、移動床、流動床などとして充填することもできる。
(3)補足処理
プロピレンを重合に使用する場合に、特にメタロセン触媒などに対する触媒毒となる不純物を含むと、重合の支障となる為に、CO、COS濃度を下げる為に、プロピレンを、パラジウムと酸化アルミニウムからなる複合物(以下単に、「複合物」ともいう)で接触処理することが有用であるが、複合物部分の接触と、各種の慣用の追加可能な精製触媒部分による接触といえる(イ)モレキュラーシーブ接触、(ロ)金属酸化物接触、および(ハ)アルミナ、との併用接触をすることにより、CO、COSその他多種の不純物を除去する接触処理を併用することが有益である。
プロピレンを重合に使用する場合に、特にメタロセン触媒などに対する触媒毒となる不純物を含むと、重合の支障となる為に、CO、COS濃度を下げる為に、プロピレンを、パラジウムと酸化アルミニウムからなる複合物(以下単に、「複合物」ともいう)で接触処理することが有用であるが、複合物部分の接触と、各種の慣用の追加可能な精製触媒部分による接触といえる(イ)モレキュラーシーブ接触、(ロ)金属酸化物接触、および(ハ)アルミナ、との併用接触をすることにより、CO、COSその他多種の不純物を除去する接触処理を併用することが有益である。
このような、いわゆる併用接触による実施態様の例を示すと以下のとおりになる。
(1)モレキュラーシーブ接触後に、複合物による併用接触
(2)金属酸化物接触後に、複合物による併用接触
(3)アルミナ接触後に、複合物による併用接触
(4)複合物処理後に、金属酸化物または金属酸化物の複合酸化物による併用接触
(5)金属酸化物または金属酸化物の複合酸化物による接触後に、複合物、ついで金属酸化物または金属酸化物の複合酸化物による多段併用接触
などの複合物、及び追加可能な精製触媒による接触処理は、プロピレンの性状、品質を考慮して種々の組み合わせの変更および回数などを、任意に多段に設定できる。というのも、パラジウムと酸化アルミニウムからなる複合物による接触は、専ら、CO,COSの含有量を順次低下させるのに対して、この追加可能な精製触媒はそれ以外の触媒毒のような不純物の含有量を順次低下させることにも有益であり、具体的には、例えば、プロピレンを重合に供する場合に、あらゆる触媒毒を無害化することにより、メタロセン触媒の活性を全体的に維持するという点で顕著に有用である。
このように、プロピレンを、予め複合物により接触後に、モレキュラーシーブ接触、金属酸化物または金属酸化物の複合酸化物接触、或いはアルミナなどの追加可能な汎用の各種の精製触媒部分と接触する併用接触も有益である。複合物処理を二段、三段にすることも可能であり、又追加可能な精製触媒部分を任意に多段に併設すること、その接触前後を任意に変えるいずれの態様も本発明の技術範囲に含まれる。
(1)モレキュラーシーブ接触後に、複合物による併用接触
(2)金属酸化物接触後に、複合物による併用接触
(3)アルミナ接触後に、複合物による併用接触
(4)複合物処理後に、金属酸化物または金属酸化物の複合酸化物による併用接触
(5)金属酸化物または金属酸化物の複合酸化物による接触後に、複合物、ついで金属酸化物または金属酸化物の複合酸化物による多段併用接触
などの複合物、及び追加可能な精製触媒による接触処理は、プロピレンの性状、品質を考慮して種々の組み合わせの変更および回数などを、任意に多段に設定できる。というのも、パラジウムと酸化アルミニウムからなる複合物による接触は、専ら、CO,COSの含有量を順次低下させるのに対して、この追加可能な精製触媒はそれ以外の触媒毒のような不純物の含有量を順次低下させることにも有益であり、具体的には、例えば、プロピレンを重合に供する場合に、あらゆる触媒毒を無害化することにより、メタロセン触媒の活性を全体的に維持するという点で顕著に有用である。
このように、プロピレンを、予め複合物により接触後に、モレキュラーシーブ接触、金属酸化物または金属酸化物の複合酸化物接触、或いはアルミナなどの追加可能な汎用の各種の精製触媒部分と接触する併用接触も有益である。複合物処理を二段、三段にすることも可能であり、又追加可能な精製触媒部分を任意に多段に併設すること、その接触前後を任意に変えるいずれの態様も本発明の技術範囲に含まれる。
〔III〕ガス濃度測定
(a)CO濃度測定
モレキュラーカーボンカラムを用いたGC/MS分析
(b)COS濃度測定
硫黄分析用カラムを用いたGC−AED分析
(a)CO濃度測定
モレキュラーカーボンカラムを用いたGC/MS分析
(b)COS濃度測定
硫黄分析用カラムを用いたGC−AED分析
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
COの吸着性はプロピレンを吸着材に通す前後の濃度で評価をした。また標準ガスとして、CO
23.1ppm含有のプロピレンガスを用いた。パラジウム・酸化アルミニウムの複合物として、エヌ・イーケムキャット(株)製0.5%Pdアルミナペレット1gをU字管に仕込み、室温にて10及び30cc/minの速度で一定時間プロピレンガスを流した。通過したガスは、shincarbonを充填したパックドカラムにて採取し、GC/MS分析した。吸着材通過後のCO濃度を表1に示す。
COの吸着性はプロピレンを吸着材に通す前後の濃度で評価をした。また標準ガスとして、CO
23.1ppm含有のプロピレンガスを用いた。パラジウム・酸化アルミニウムの複合物として、エヌ・イーケムキャット(株)製0.5%Pdアルミナペレット1gをU字管に仕込み、室温にて10及び30cc/minの速度で一定時間プロピレンガスを流した。通過したガスは、shincarbonを充填したパックドカラムにて採取し、GC/MS分析した。吸着材通過後のCO濃度を表1に示す。
COSの吸着性はプロピレンを吸着材に通す前後の濃度で評価をした。また標準ガスとして、COS
4ppm含有のプロピレンガスを用いた。0.2gの0.5%PdアルミナペレットをU字管に仕込み、室温にて30cc/minの速度でプロピレンガスを流した。通過したガスは、フッ素樹脂バッグにて採取し、GC−AED分析した。吸着材通過後のCOS濃度を表2に示す。
[比較例]
4ppm含有のプロピレンガスを用いた。0.2gの0.5%PdアルミナペレットをU字管に仕込み、室温にて30cc/minの速度でプロピレンガスを流した。通過したガスは、フッ素樹脂バッグにて採取し、GC−AED分析した。吸着材通過後のCOS濃度を表2に示す。
[比較例]
吸着材として酸化銅・酸化亜鉛の複合酸化物(日揮触媒化成(株)製N218)を用いた以外は、実施例と同様の方法で行った。結果を表1と2に示す。
表1の結果をみると、本願の実施例にあっては、プロピレン流通量10cc/min、30cc/minの両方共に、略96%のCOが除去されている。これに対して、酸化銅・酸化亜鉛の複合酸化物を用いる比較例にあっては、プロピレン流通量10cc/minでは、COが除去されるどころか、逆にCO濃度が25.7ppmと高くなっており、初期の標準CO濃度より2.6ppmの増加がみられる。これは予め充填剤に吸着していたCOがプロピレンガスの流通により触媒から解離、検出されたためと推察される。プロピレン流通量30cc/minでは、略35%のCOが除去されているにすぎない。
表2の結果をみると、本願の実施例にあっては、プロピレン流通量30cc/minでは、略92%のCOSが除去されている。これに対して、酸化銅・酸化亜鉛の複合酸化物を用いる比較例にあっては、プロピレン流通量30cc/minでは、略86%のCOSが除去されているにすぎない。
表1および2の結果をみるかぎり、0.5%Pdアルミナペレットの複合物を用いる本願の実施例にあっては、COでは、96%の除去率が達成され、COSでは、92%の除去率が達成されている。これに対し、酸化銅・酸化亜鉛の複合酸化物を用いる比較例にあっては、COでは、本実験においては除去効果を確認することが出来ず、COSでは、86%の除去率が達成されているにすぎない。
[参考実施例1〜3]
慣用のプロピレンに対して、重質油分解の不純物の比較的多いFCCプロピレンを若干混合した以下に示すプロピレンをパラジウムと酸化アルミニウムの複合物(複合物)と追加可能な精製触媒による併用接触処理を、実施例1の仕様に準拠して、室温にて10及び30cc/minの速度で一定時間プロピレンガスを流した。通過したガスは、shincarbonを充填したパックドカラムにて採取し、GC/MS分析した。吸着材通過後のCO濃度を測定するという手法により実施することができる。
原料プロピレン プロピレンの接触処理
ナフサ分解/FCC(重量比)
1 85/15 金属酸化物接触後、複合物
2 75/25 モレキュラーシーブ接触後、複合物
3 40/60 アルミナ接触後、複合物、アルミナ接触、複合物
以上の1〜3の態様の接触後の各種態様のプロピレン、実施例1に準拠して、プロピレン流通量(cc/min)を任意に変化させ、CO濃度(ppm)、COS濃度(ppm)を測定することにより、複合物の効果、および併用接触処理の有意性を確認することができる。特に、不純物の比較的多いFCCの場合には、蒸留精製を併用することも有益であり、さらに、参考実施例3のように、複合物、追加可能な精製触媒の接触処理を多段にすることも適正な実施態様である。
慣用のプロピレンに対して、重質油分解の不純物の比較的多いFCCプロピレンを若干混合した以下に示すプロピレンをパラジウムと酸化アルミニウムの複合物(複合物)と追加可能な精製触媒による併用接触処理を、実施例1の仕様に準拠して、室温にて10及び30cc/minの速度で一定時間プロピレンガスを流した。通過したガスは、shincarbonを充填したパックドカラムにて採取し、GC/MS分析した。吸着材通過後のCO濃度を測定するという手法により実施することができる。
原料プロピレン プロピレンの接触処理
ナフサ分解/FCC(重量比)
1 85/15 金属酸化物接触後、複合物
2 75/25 モレキュラーシーブ接触後、複合物
3 40/60 アルミナ接触後、複合物、アルミナ接触、複合物
以上の1〜3の態様の接触後の各種態様のプロピレン、実施例1に準拠して、プロピレン流通量(cc/min)を任意に変化させ、CO濃度(ppm)、COS濃度(ppm)を測定することにより、複合物の効果、および併用接触処理の有意性を確認することができる。特に、不純物の比較的多いFCCの場合には、蒸留精製を併用することも有益であり、さらに、参考実施例3のように、複合物、追加可能な精製触媒の接触処理を多段にすることも適正な実施態様である。
本発明の炭化水素の精製方法は、炭化水素、特にプロピレン中のCO及び/又はCOSを簡便かつ極めて効率的に吸着除去できる。そのため、精製したプロピレンは重合体製造用原料として使用した場合に、重合用触媒、特にメタロセン触媒の被毒が極めて少ないため、飛躍的に安定した触媒効率での生産が可能となる。使用する触媒の持続性が高く維持できるため、ポリプロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレンブロック共重合体等々の製造や、プロピレンを接触反応原料として用いる有機化合物(例えばフェノールやアクリル酸等々)の製造におけるコストを大幅に低減できる。重合用モノマー材料や接触反応原料としての利用が格段に広がる。
Claims (4)
- CO及び/又はCOSを不純物として含むプロピレンをパラジウム・酸化アルミニウムの複合物に接触させることにより、当該CO及び/又はCOSを除去することを特徴とするプロピレンの精製方法。
- 0〜80℃の温度で接触させることを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの精製方法。
- プロピレンとパラジウム・酸化アルミニウムの複合物とを液相または気相で接触させることを特徴とする請求項1または2に記載のプロピレンの精製方法。
- 慣用の追加可能な精製触媒部分として(イ)モレキュラーシーブ接触、(ロ)金属酸化物接触、または(ハ)アルミナ、による接触処理を併用したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロピレンの精製方法。
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WO2019189550A1 (ja) | 2018-03-29 | 2019-10-03 | 日揮触媒化成株式会社 | 吸着剤 |
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