JP2012200674A - ルテニウム担持触媒繊維及びその製造方法 - Google Patents

ルテニウム担持触媒繊維及びその製造方法 Download PDF

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宏一郎 陶山
Hiroyuki Yamaoka
裕幸 山岡
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Teruaki Fujii
輝昭 藤井
Sadayoshi Suhara
貞義 須原
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Abstract

【課題】高強度で耐シンタリング性を有する触媒繊維及びその製造方法を提供する。
【解決手段】シリカ成分を主体とする酸化物相(第1相)とシリカ以外の金属からなる金属酸化物相(第2相)との複合酸化物相からなるシリカ基複合酸化物繊維であって、前記金属酸化物相(第2相)を構成する金属酸化物の少なくとも1以上の金属元素の存在割合が繊維表面に向かって傾斜的に増大しており、前記金属酸化物相(第2相)は、それを構成する金属が粒子状に形成され、その粒子間に繊維表面から繊維内部に向かう平均細孔径が2〜30nmのメソポアが形成され、前記メソポア中に平均粒子径が0.5〜25.0nmの金属ルテニウム(Ru)粒子が担持されていることを特徴とする触媒繊維である。
【選択図】図1

Description

本発明は、優れた力学的特性を有する、シリカ基複合酸化物繊維に形成されたメソポア(細孔)中にルテニウム粒子が担持された触媒繊維、及びその製造方法に関する。
ルテニウムは優れた触媒能を持つ元素であり、不均一系では種々の酸化還元反応の、均一系では炭素-炭素結合の形成や環化反応、ラジカル反応の触媒となることが知られている。
中でも、不均一系では水素還元触媒、炭化水素などの改質触媒、CO除去触媒、塩素製造用触媒など、工業的に採用されている例も多い。その為、初期の触媒活性だけでなく、活性の維持、触媒毒への耐性などといった総合的な性能向上と共に、触媒調製工程も短い方が好ましく、簡便に高性能の触媒を調製できることが望まれている。
金属ルテニウム担持触媒は、還元反応に活性を示し、例えば水素還元の高活性な触媒としてよく用いられている。その内の一つである、サバチエ反応は下記反応式1で示されるようにCOを水素により還元し水とCHを生成する反応である。
CO2 + 4H2 → CH4 + 2H2O (反応式1)
この反応は、国際宇宙ステーションのような閉鎖空間における生命維持技術を確立する上で大変重要な位置づけにある、空気再生システムの構築に実用可能な反応として注目されている。しかしながら、この反応を高効率で行うには反応系を300℃以上にする必要がある上、反応自体が発熱反応である為に温度制御も必要となる。このように、エネルギーや物資に限りがある閉鎖空間で行う上で安全面やコスト面に問題を抱えており、この反応を低温化・高効率化できる触媒の開発が望まれている。
これまでの研究により、ルテニウムの担体にTiOを用いた場合、サバチエ反応の高活性な触媒として働くことが明らかにされている。しかし、多くの場合研究の対象となっているTiOは粉末であるため、実際に触媒として用いる場合には、TiO粉末を担持する構造体を必要とする。例えば非特許文献1ではセラミックウールと混合することで、非特許文献2ではアルミナボールに担持されて用いられている。しかしながら、このような場合では使用に伴いTiO粉末の脱落が起こりうるために、粉塵がシステムのトラブルになりやすい宇宙空間では実用に耐えない。その為、金属の担体自身が高強度な構造体であることが望まれている。
特許文献1には、優れた力学的特性を有する、触媒担体として利用可能なシリカ基複合酸化物繊維及びそれを用いた触媒繊維の製造方法が記されている。高強度な繊維状の触媒を用いれば、上記問題を解決することができる。
国際公開WO2008/114597号公報
日本航空宇宙学会 第54回宇宙科学技術連合講演会講演集 2F0P「サバチエ反応による二酸化炭素還元の低温化に関する研究」 日本航空宇宙学会 第49回宇宙科学技術連合講演会講演集 1C02「空気再生・水分解システムの技術立証」
しかしながら、この方法で作成したルテニウム担持触媒のルテニウムのほとんどは原料に用いた化合物かあるいは酸化物、水酸化物の状態で存在しており、サバチエ反応のような還元反応の触媒に用いる為には金属ルテニウムへの還元という工程が必要となる上、還元時にはルテニウム粒子のシンタリングが懸念される。さらに、こうして作製された金属ルテニウム担持触媒繊維においては、金属ルテニウム粒子は原料に用いたルテニウム化合物が吸着された場所に生成するため、供したルテニウム化合物濃度が高い場合などにはルテニウムが繊維の細孔部以外にも多く担持されることになり、ルテニウムのシンタリングが起こりやすく触媒活性低下の原因となりうる。金属粒子の担持方法としては、金属粒子と担体とを混合する方法が知られているが、この方法では金属粒子は担体表面にも担持されてしまい、耐シンタリング性は高くない。
そこで本発明は、担持後の還元処理を必要とせず、かつルテニウムのシンタリングを防ぐことが可能な、シリカ基複合酸化物繊維の細孔内に選択的に金属ルテニウムが担持された触媒繊維及びその製造方法を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、犠牲剤及びルテニウムを含むルテニウム含有溶液に、シリカ基複合酸化物繊維を接触させながら光を照射することにより、金属ルテニウムが細孔内に担持された触媒繊維を製造できることを見出した。すなわち、本発明は、主として化1により表される主鎖骨格を有する数平均分子量200〜10,000のポリカルボシランを有機金属化合物で修飾した構造を有する変性ポリカルボシラン、又は前記変性ポリカルボシランと有機金属化合物との混合物である、紡糸原液を得る第1工程と、前記紡糸原液から紡糸繊維を得る第2工程と、前記紡糸繊維を酸化雰囲気中で加熱処理することによって、不融化繊維を得る第3工程と、前記不融化繊維を酸化雰囲気中で焼成することによって、シリカ基複合酸化物繊維を得る第4工程と、前記シリカ基複合酸化物繊維の表面側に処理を施すことで表面近傍のシリカを除去してメソポアを形成する第5工程と、犠牲剤及びルテニウムを含むルテニウム含有溶液に、前記シリカ基複合酸化物繊維を接触させながら光を照射する第6工程と、を備えたことを特徴とする触媒繊維の製造方法である。
Figure 2012200674
(但し、式中のRは水素原子、低級アルキル基又はフェニル基を示す。)
また、本発明は、シリカ成分を主体とする酸化物相(第1相)とシリカ以外の金属からなる金属酸化物相(第2相)との複合酸化物相からなるシリカ基複合酸化物繊維であって、前記金属酸化物相(第2相)を構成する金属酸化物の少なくとも1以上の金属元素の存在割合が繊維表面に向かって傾斜的に増大しており、前記金属酸化物相(第2相)は、それを構成する金属が粒子状に形成され、その粒子間に繊維表面から繊維内部に向かう平均細孔径が2〜30nmのメソポアが形成され、前記メソポア中に平均粒子径が0.5〜25.0nmの金属ルテニウム粒子が担持されていることを特徴とする触媒繊維である。
以上のように、本発明によれば、担持後の還元処理を必要とせず、かつルテニウムのシンタリングを防ぐことが可能な、金属状態のルテニウムがシリカ基複合酸化物繊維の細孔内に選択的に担持された触媒繊維及びその製造方法を提供することができる。
本発明に係る触媒繊維を模式的に示す図である。 製造例1において得られたチタニア/シリカ繊維のSTEM写真である。 (A)実施例1において得られたルテニウム担持チタニア/シリカ繊維および(B)比較例1おいて得られたルテニウム担持チタニア/シリカ繊維のESCA測定スペクトルである。 実施例1において得られたルテニウム担持チタニア/シリカ繊維のSTEM写真である。
本発明に係る触媒繊維は、特許文献1に記載の触媒繊維をさらに処理することにより、触媒繊維に形成されたメソポア中にルテニウム(Ru)粒子を担持したものである。
本発明に係る触媒繊維において、シリカ成分を主体とする酸化物相(第1相)は、非晶質であっても結晶質であってもよい。第1相は、シリカと固溶体又は共融点化合物を形成し得る金属元素又は金属酸化物を含有していてもよい。シリカと固溶体を形成し得る金属元素としては、例えば、チタンが挙げられる。シリカと固溶体を形成し得る金属酸化物の金属元素としては、例えば、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム、リチウム、ナトリウム、バリウム、カルシウム、ホウ素、亜鉛、ニッケル、マンガン、マグネシウム、及び鉄が挙げられる。
酸化物相(第1相)は、本発明に係る触媒繊維の内部相を形成しており、力学的特性を負担する重要な役割を演じている。触媒繊維全体に対する第1相の存在割合は98〜40質量%であることが好ましい。触媒繊維表面に、メソポアを効果的に形成し、且つ、高い力学的特性をも発現させるためには、第1相の存在割合を50〜95質量%の範囲内に制御することが好ましい。
金属酸化物相(第2相)を構成する金属酸化物は、本発明に係る触媒繊維の表層にメソポアを形成させる上で重要な役割を演じるものである。触媒繊維の表層部を構成する第2相の存在割合は、2〜60質量%が好ましく、その効果を十分に発揮させ、同時に高強度をも発現させるには、5〜50質量%の範囲内に制御することが好ましい。
金属酸化物相(第2相)を構成する金属酸化物は、半導体材料であって、そのバンドギャップに相当する波長の光を照射したときに励起し、電子−正孔対を形成する材料である必要があり、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zn)及びタングステン(W)のうち少なくとも1以上の酸化物又は複合酸化物である。このうち、チタニア、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、及びジルコニアなどが好適に用いられる。
本発明に係る触媒繊維において、第2相を構成する金属酸化物の少なくとも1以上の金属元素の存在割合の傾斜は、触媒繊維表面から500nmの深さで存在することが好ましい。
本発明に係る触媒繊維において、メソポアの大きさは第2相を構成する金属酸化物の粒子サイズによって制御される。メソポアを化学反応場として用いるためには、メソポアの平均細孔径が2〜30nmであり、5〜20nmであることが好ましい。メソポアの平均細孔径は、ガス吸着法を用いて測定することができる。
本発明に係る触媒繊維においては、メソポア中に金属ルテニウム粒子が担持されている。担持されたルテニウム粒子が金属状態で存在するかは、ESCAによって測定できる。ルテニウム粒子の平均粒子径は、0.5〜25nmであり、1〜15nmであることが好ましく、1〜5nmであることがさらに好ましい。平均粒子径は、TEMを用い測定することができる。ルテニウム粒子の大きさは、メソポアの細孔径によって制限される。担持されたルテニウム粒子の質量は、触媒繊維に対して、0.01〜2.0質量%であることが好ましく、0.1〜0.5質量%であることがさらに好ましい。担持されたルテニウム粒子の質量は、ICP−AESによって測定することができる。
本発明に係る触媒繊維においては、前記メソポア中に担持されている前記ルテニウム粒子の数が、前記メソポア中の単位表面積あたり6x1013個/m以上であることが好ましい。ルテニウム粒子の数は、STEM写真から目視によって数えることにより算出することができる。
本発明に係る触媒繊維は、以下の第1工程乃至第6工程によって、好適に製造される。
(第1工程)
第1工程においては、まず、シリカ基複合酸化物繊維の出発原料として使用する数平均分子量1,000〜50,000の変性ポリカルボシランを製造する。この変性ポリカルボシランの製造方法は、特開昭56−74126号に記載された方法と類似しているが、その中に記載されている官能基の結合状態を注意深く制御する必要がある。これについて以下に概説する。
出発原料である変性ポリカルボシランは、主として化2により表される主鎖骨格を有する数平均分子量200〜10,000のポリカルボシランと、一般式M(OR’)n又はMR’’m(Mは金属元素、R’は炭素原子数1〜20を有するアルキル基又はフェニル基、R’’はアセチルアセトナート、m及びnは1より大きい整数を示す。)を基本構造とする有機金属化合物とから誘導される。
Figure 2012200674

(但し、式中のRは水素原子、低級アルキル基又はフェニル基を示す。)
本発明に係る傾斜組成を有する触媒繊維を製造するためには、上記有機金属化合物の一部のみがポリカルボシランと結合を形成するような、緩慢な反応条件を選択する必要がある。そのためには、不活性ガス中、280℃以下、好ましくは、250℃以下の温度で反応させる必要がある。この反応条件では、上記有機金属化合物はポリカルボシランと反応したとしても、1官能性重合体として結合(すなわち、ペンダント状に結合)しており、大幅な分子量の増大は起こらない。この有機金属化合物が一部結合した変性ポリカルボシランは、ポリカルボシランと有機金属化合物との相溶性を向上させる上で重要な役割を演じる。
2官能基以上の多くの官能基が結合した場合は、ポリカルボシランの橋掛け構造が形成されると共に、顕著な分子量の増大が認められる。この場合、反応中に急激な発熱と溶融粘度の上昇が起こる。一方、上述のように1官能基しか反応せず、未反応の有機金属化合物が残存している場合には、反対に溶融粘度の低下が観察される。
本発明に係る触媒繊維の製造においては、未反応の有機金属化合物を意図的に残存させる条件を選択することが望ましい。本発明においては、主として上記変性ポリカルボシランと、未反応状態の有機金属化合物又は2〜3量体程度の有機金属化合物とが共存したものを出発原料として用いるが、変性ポリカルボシランのみでも、極めて低分子量の変性ポリカルボシラン成分が含まれる場合は、同様に出発原料として使用することができる。得られた変性ポリカルボシラン、あるいは変性ポリカルボシランと低分子量の有機金属化合物を混合して紡糸原液を得る。
(第2工程)
第1工程で得られた変性ポリカルボシラン、あるいは変性ポリカルボシランと低分子量の有機金属化合物の紡糸原液(以下、前駆体という場合がある。)を溶融させて原液を造り、場合によってはこれをろ過してミクロゲル、不純物等の紡糸に際して有害となる物質を除去し、これを通常用いられる合成繊維紡糸用装置により紡糸する。紡糸する際の紡糸原液の温度は原料の変性ポリカルボシランの軟化温度によって異なるが、50〜200℃の温度範囲が有利である。上記紡糸装置において、必要に応じてノズル下部に加湿加熱筒を設けてもよい。尚、繊維径は、ノズルからの吐出量と紡糸機下部に設置された高速巻き取り装置の巻き取り速度を変えることにより調整される。また、メルトブロー法あるいはスパンボンド法により、ノズルから吐出した繊維を巻き取らずに直接フェルト形状に成型してもよい。
前記溶融紡糸の他に、第1工程で得られた変性ポリカルボシラン、あるいは変性ポリカルボシランと低分子量の有機金属化合物の紡糸原液を、例えばベンゼン、トルエン、キシレンあるいはその他変性ポリカルボシランと低分子量有機金属化合物を溶融することのできる溶媒に溶解させ、原液を造り、場合によってはこれをろ過してマクロゲル、不純物等紡糸に際して有害な物質を除去した後、前記紡糸原液を通常用いられる合成繊維紡糸装置により乾式紡糸法により紡糸し、巻き取り速度を制御して目的とする繊維を得ることができる。
第2工程においては、必要に応じて、合成繊維紡糸装置に紡糸筒を取り付け、紡糸筒内の雰囲気をベンゼン、トルエン、及びキシレン等のうち少なくとも1以上の気体との混合雰囲気とするか、又は、空気、不活性ガス、熱空気、熱不活性ガス、スチーム、アンモニアガス、炭化水素ガス、及び有機ケイ素化合物ガスのいずれかの雰囲気とすることによって、紡糸筒内における紡糸繊維の固化を制御することができる。
(第3工程)
第3工程においては、第2工程で得られた紡糸繊維を酸化雰囲気中、張力又は無張力の作用下で予備加熱し、前記紡糸繊維の不融化を行う。第3工程は、第4工程の焼成の際に繊維が溶融せず、且つ、隣接繊維と接着しないことを目的に行うものである。処理温度及び処理時間は組成によって異なり、特に制限はないが、一般に、処理温度は50〜400℃、処理時間は数時間〜30時間である。また、上記の酸化雰囲気中には、水分、窒素酸化物、オゾン等、紡糸繊維の酸化力を高めるものが含まれていてもよい。また、酸化雰囲気中の酸素分圧を意図的に変えてもよい。第1工程で用いる出発原料中に含まれる低分子量物の割合によっては、紡糸繊維の軟化温度が50℃を下回る場合もあり、その場合は、あらかじめ上記の処理温度よりも低い温度で、繊維表面の酸化を促進する処理を施してもよい。
本発明に係る触媒繊維においては、第2工程及び第3工程の際に、出発原料中に含まれている低分子量化合物の繊維表面への移行(ブリードアウト)が進行して、目的とする傾斜組成の下地が形成されるものと考えられる。
(第4工程)
第4工程においては、第3工程で得られた不融化繊維を酸化雰囲気中、張力又は無張力の作用下、好ましくは500〜1800℃で焼成することによって、シリカ成分を主体とする酸化物相(第1相)と、シリカ以外の金属からなる金属酸化物相(第2相)との複合酸化物相からなり、第2相を構成する金属酸化物の少なくとも1以上の金属元素の存在割合が繊維表面に向かって傾斜的に増大しており、第2相は、それを構成する金属が粒子状に形成されているシリカ基複合酸化物繊維を作製する。第4工程における焼成温度が、第2相を構成する金属の粒子サイズに影響を及ぼす。すなわち、焼成温度を高くすると、第2相を構成する金属の粒子サイズは大きくなる。第2相を構成する金属の粒子サイズによってメソポアの大きさが制御されるため、焼成温度の選択は、目的とするメソポアの大きさに応じて行われる。第4工程において、不融化繊維中に含まれる有機物成分は基本的に酸化されるが、選択する条件によって、炭素や炭化物として繊維中に残存する場合もある。このような状態でも、目的とする機能に支障を来たさない場合はそのまま使用されるが、支障を来たす場合には、更なる酸化処理が施される。その際は、目的とする傾斜組成及び結晶構造に問題が生じない処理温度及び処理時間が選択されなければならない。
(第5工程)
第5工程においては、第4工程で得られたシリカ基複合酸化物繊維の表面側に処理を施すことで表面近傍のシリカを除去し、繊維表面にメソポアを形成させる。このシリカを除去する方法に、特に制限はなく、物理的方法及び化学的方法を用いることができる。その例として、減圧高温下でシリカを蒸発させる方法、及び酸を用いてシリカを溶出させる方法などが挙げられる。特に、第4工程で得られたシリカ基複合酸化物繊維を、2質量%のフッ化水素水溶液に10分程度、あるいは10質量%の水酸化ナトリウム水溶液に12時間程度浸漬することによってシリカを除去する方法が好適である。
(第6工程)
第6工程においては、犠牲剤及びルテニウムを含むルテニウム含有溶液(電析溶液)に、シリカ基複合酸化物繊維を接触させながら光を照射することにより、シリカ基複合酸化物繊維のメソポア内にルテニウム粒子を担持させて、触媒繊維を作製する。ルテニウムが含まれる液に犠牲剤を加えたルテニウム含有溶液にシリカ基複合酸化物繊維を接触させながら、第2相を構成する金属酸化物のバンドギャップに相当するエネルギー以上のエネルギーを有する光を照射することによって、金属酸化物の還元サイト(光の非照射面、つまりメソポア内部)に選択的に、ルテニウム粒子を担持することができる。
ルテニウム含有溶液中のルテニウム化合物としては、RuCl、RuCl水和物などのルテニウム塩化物、KRuCl、〔RuCl3−、KRuClなどのクロロルテニウム酸塩、〔RuCl(HO)2−、〔RuCl(HO)などのクロロルテニウム酸塩水和物、KRuOなどのルテニウム酸の塩、RuOCl、RuOCl、RuOClなどのルテニウムオキシ塩化物、KRuOCl10、CsRuOClなどのルテニウムオキシ塩化物の塩、〔Ru(NH2+、〔Ru(NH3+、〔Ru(NHO〕2+などのルテニウムアンミン錯体、〔Ru(NHCl〕2+、〔Ru(NH〕Cl、〔Ru(NH〕Cl、〔Ru(NH〕Brなどのルテニウムアンミン錯体の塩化物、臭化物、RuBr、RuBr水和物などのルテニウム臭化物、その他のルテニウム有機アミン錯体、ルテニウムアセチルアセトナート錯体、Ru(CO)、Ru(CO)12などのルテニウムカルボニル錯体、[RuO(OCOCH(HO)] OCOCH水和物、Ru(RCOO)Cl(R=炭素数1−3のアルキル基)などのルテニウム有機酸塩、K〔RuClNO)〕、〔Ru(NH(NO)〕Cl、〔Ru(OH)(NH(NO)〕(NO、 Ru(NO)(NOなどのルテニウムニトロシル錯体、ルテニウムホスフィン錯体などの化合物などがあげられる。好ましいルテニウム化合物としては、 RuCl、RuCl水和物などのルテニウム塩化物、 RuBr、RuBr水和物などのルテニウム臭化物などハロゲン化ルテニウム化合物があげられる。更に好ましくは、塩化ルテニウム水和物があげられる。
犠牲剤としては、例えば、ギ酸、水素化ナトリウム、ヒドラジン及びアルコールなどの電子供与体を挙げることができ、アルコールであることが好ましく、経済性や取扱いの安全性の面からメタノール、エタノールであるであることがさらに好ましい。
ルテニウム含有溶液中のルテニウムの濃度としては、目的とする担持量に応じて調整することができ、ルテニウム化合物がルテニウム含有溶液に溶け得る範囲であれば特に制限はなく、1.0〜50.0ppmの範囲であることが好ましく、5.0〜15.0ppmの範囲であることがさらに好ましい。1.0ppmより少ない場合、所望の触媒活性が得難く、50.0ppmを超えても更なる活性の増大が得られ難いので不経済である。
ルテニウム含有溶液中の犠牲剤の濃度としては、ルテニウム化合物の種類と光の照射時間に応じて調整することができ、犠牲剤添加によりルテニウム化合物がルテニウム含有溶液に不溶とならない範囲であれば特に制限はない。犠牲剤濃度が高い程、照射時間の短縮が期待できる。
照射する光の波長は、前述の通り、第2相を構成する金属酸化物のバンドギャップに相当するエネルギー以上のエネルギーを有する光であれば、特に制限は無い。例えば、第2相がアナターゼ型のチタニアの場合、バンドギャップは3.2eVであるので、これに相当するエネルギー、すなわち387nm以下の波長を用いることができる。光の強度についても特に制限は無いが、光の強度が2.5mW/cm〜7.0mW/cmの範囲であれば、安定した触媒活性の上昇を期待できるため好ましい。この範囲は市販のランプで容易に達成できる為、経済性にも優れる。
以下に、実施例を挙げて本発明に係るシリカ基複合酸化物繊維からなる高性能触媒繊維をさらに詳しく説明するが、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することができる。
(参考例1:ポリカルボシランの製造)
容量5リットルの三口フラスコに、無水トルエン2.5リットル及び金属ナトリウム400gを入れ、窒素ガス気流下、トルエンの沸点まで加熱し、ジメチルジクロロシラン1リットルを1時間かけて滴下した。滴下終了後、10時間加熱還流して、沈殿物を生成させた。この沈殿物をろ過し、メタノール、次いで水を用いて洗浄して、白色粉末のポリジメチルシラン420gを得た。水冷還流器を備えた三口フラスコ中に、得られたポリジメチルシラン250gを入れ、窒素ガス気流下、420℃で30時間加熱反応させて数平均分子量が1200のポリカルボシランを得た。
(製造例1)
参考例1の方法によって合成されたポリカルボシラン50gに、トルエン100g及びテトラブトキシチタン50gを加え、100℃で1時間予備加熱した後、150℃まで緩やかに昇温してトルエンを留去させて、そのまま5時間反応させた後、更に250℃まで昇温し、5時間反応させて変性ポリカルボシランを合成した。この変性ポリカルボシランに、意図的に低分子量有機金属化合物を共存させる目的でテトラブトキシチタン5gを加えて、変性ポリカルボシランと低分子量有機金属化合物との混合物(紡糸原液)を得た。
得られた変性ポリカルボシランと低分子量有機金属化合物との混合物をトルエンに溶解させた後、ガラス製の紡糸装置に仕込み、内部を十分に窒素置換してから昇温してトルエンを留去させて、180℃で溶融紡糸を行った。得られた紡糸繊維を、空気中、段階的に150℃まで加熱し不融化させた後、空気中、900〜1300℃で1時間焼成し、チタニア/シリカ繊維を得た。この繊維を2質量%のフッ化水素水溶液に10分間浸漬することによって繊維表面のシリカを除去し、メソポア構造のチタニア/シリカ繊維(平均直径:10μm)を得た。図2に、焼成温度1200℃におけるメソポア構造のチタニア/シリカ繊維のSTEM写真を示す。
製造例1において得られたチタニア/シリカ繊維は、X線回折の結果、非晶質シリカ及びアナターゼのチタニアからなっていた。また、蛍光X線分析の結果、シリカが78質量%、チタニアが22質量%であった。さらに、EPMA(X線マイクロ・アナライザ)により構成原子の分布状態を測定したところ、繊維の最外周部から1μmの領域でTi/Si(モル比)=0.90〜0.94、最外周から3〜4μmの領域でTi/Si(モル比)=0.12〜0.15、中心部でTi/Si(モル比)=0.03〜0.04であり、繊維表面に向ってチタンが増大する傾斜組成になっていることが確認された。
(実施例1)
製造例1において得られたチタニア/シリカ繊維2.41gを縦550mm×横380mm×高さ25mm、厚さ3.3mmのガラス容器に入れ、塩化ルテニウム(III)・n水和物24.9mgを超純水50g、エタノール750gの混合溶媒に溶かし、電析溶液(ルテニウム濃度:12.0ppm)に浸漬し、ブラックライトを5.5mW/cmの強度で4時間照射(電析反応)した。照射後、ガラス容器から繊維を取り出し、水洗、さらに乾燥を行うことによって、実施例1に係る触媒繊維を得た。ESCAにおいて、Ru(Metal)に由来する280.7eVのピークを示した(図3(A))。このことから、担持されたルテニウムは金属状態をとることが分かった。ICP−AESの結果から、実施例1に係る触媒繊維のルテニウム担持量は0.4質量%(対触媒繊維)であった。また、STEM写真(図4)から、担持されたルテニウムは、触媒繊維表面のメソポア内のみに存在していることが分かった。メソポア内のルテニウムは耐シンタリング性に優れる。また、いずれのルテニウムも粒径は1〜3nm程度でチタニア層に高分散で担持されており、触媒として理想的な構造を示した。
(比較例1)
犠牲剤であるエタノールを加えず、超純水800gを溶媒とした以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る触媒繊維を得た。ESCAにおいて、Ru3+,Ru4+に由来するものと考えられる282.1eVにピークを示した(図3(B))。このことから、金属状態ではなくイオン種の塩を形成していることが分かった。

Claims (6)

  1. 主として化1により表される主鎖骨格を有する数平均分子量200〜10,000のポリカルボシランを有機金属化合物で修飾した構造を有する変性ポリカルボシラン、又は前記変性ポリカルボシランと有機金属化合物との混合物である、紡糸原液を得る第1工程と、
    前記紡糸原液から紡糸繊維を得る第2工程と、
    前記紡糸繊維を酸化雰囲気中で加熱処理することによって、不融化繊維を得る第3工程と、
    前記不融化繊維を酸化雰囲気中で焼成することによって、シリカ基複合酸化物繊維を得る第4工程と、
    前記シリカ基複合酸化物繊維の表面側に処理を施すことで表面近傍のシリカを除去してメソポアを形成する第5工程と、
    犠牲剤及びルテニウムを含むルテニウム含有溶液に、前記シリカ基複合酸化物繊維を接触させながら光を照射する第6工程と、
    を備えたことを特徴とする触媒繊維の製造方法。
    Figure 2012200674
    (但し、式中のRは水素原子、低級アルキル基又はフェニル基を示す。)
  2. 前記犠牲剤がメタノール又はエタノールであることを特徴とする請求項1記載の触媒繊維の製造方法。
  3. 前記ルテニウム含有溶液の前記ルテニウムの濃度が1.0〜50.0ppmであることを特徴とする請求項1又は2記載の触媒繊維の製造方法。
  4. 前記光の強度が2.5〜7.0mW/cmであることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の触媒繊維の製造方法。
  5. シリカ成分を主体とする酸化物相(第1相)とシリカ以外の金属からなる金属酸化物相(第2相)との複合酸化物相からなるシリカ基複合酸化物繊維であって、
    前記金属酸化物相(第2相)を構成する金属酸化物の少なくとも1以上の金属元素の存在割合が繊維表面に向かって傾斜的に増大しており、前記金属酸化物相(第2相)は、それを構成する金属が粒子状に形成され、その粒子間に繊維表面から繊維内部に向かう平均細孔径が2〜30nmのメソポアが形成され、前記メソポア中に平均粒子径が0.5〜25.0nmの金属ルテニウム(Ru)粒子が担持されていることを特徴とする触媒繊維。
  6. 前記メソポア中に担持されている前記金属ルテニウム粒子の数が、前記メソポア中の単位表面積あたり6x1013個/m以上であることを特徴とする請求項6記載の触媒繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018035767A (ja) * 2016-09-01 2018-03-08 ダイハツディーゼル株式会社 内燃機関
US11633722B2 (en) * 2020-09-30 2023-04-25 Uchicago Argonne, Llc Catalyst for water splitting
US11883808B2 (en) 2017-08-30 2024-01-30 Uchicago Argonne, Llc Nanofiber electrocatalyst

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