JP2012196774A - 吐出検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液滴が正常に吐出されたか否かを短期間に判定する吐出検査装置の提供。
【解決手段】ノズルから液滴を吐出させる吐出期間と前記ノズルから液滴を吐出させない非吐出期間とを含む吐出検査周期が繰り返されるように前記ノズルから液滴を吐出させる吐出制御手段と、前記吐出期間にて前記ノズルから吐出された液滴に応答して信号強度が変化する検出信号を取得する検出信号取得手段と、前記検出信号から高周波成分を除去するローパスフィルター手段と、前記検出信号を増幅して第1増幅信号を生成する第1増幅手段と、前記吐出検査周期に含まれる拘束期間において前記第1増幅信号の信号強度を所定強度に拘束する拘束手段と、前記第1増幅信号を増幅して第2増幅信号を生成する第2増幅手段と、前記拘束期間から所定期間経過後のサンプリング期間における前記第2増幅信号の信号強度に基づいて前記ノズルから正常に液滴が吐出されたか否かを判定する判定手段と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、液滴が正常に吐出されたか否かを判定する吐出検査装置に関する。
ノズルから吐出された液滴が着弾する振動板を設け、当該振動板が機械的に振動することにより変化する電圧信号に基づいてノズルの目詰まりを判定する液体吐出装置が提案されている(特許文献1、参照)。この液体吐出装置は、バンドパスフィルターによって振動板に着弾した液滴に起因する周波数帯域の信号成分を抽出し、当該信号成分が所定電圧よりも小さい場合にはノズルが目詰まりしていると判定する。
特許第4501461号
しかしながら、バンドパス(ハイパス)フィルターは、振動板に着弾した液滴に起因する電圧信号の信号波形に歪みや遅れを生じさせるという問題があった。特に、電圧信号の信号波形に遅れが生じることにより、ノズルの目詰まりの検査に要する期間が長期化するという問題があった。異なるノズル間で信号波形が重畳されないように、あるノズルから吐出された液滴に起因する電圧信号の信号波形が収束するのを待ってから、次のノズルから液滴を吐出させなければならない。従って、電圧信号の信号波形に遅れが生じると、多数のノズルについて検査を行うための所要期間が長期化する。また、特に引用文献1では、振動板の機械的な振動自体の収束も待つ必要があるため、検査の所要期間が長期化しやすいという問題があった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、液滴が正常に吐出されたか否かを短期間に判定する吐出検査装置の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明の吐出検査装置において、吐出制御手段は、ノズルから液滴を吐出させる吐出期間と、ノズルから液滴を吐出させない非吐出期間とを含む吐出検査周期が繰り返されるようにノズルから液滴を吐出させる。検出信号取得手段は、吐出期間にてノズルから吐出された液滴に応答して信号強度が変化する検出信号を取得する。ローパスフィルター手段は検出信号から高周波成分を除去し、第1増幅手段は検出信号を増幅して第1増幅信号を生成する。そして、拘束手段は、吐出検査周期に含まれる拘束期間において第1増幅信号の信号強度を所定強度に拘束する。第2増幅手段は、第1増幅信号を増幅して第2増幅信号を生成する。判定手段は、拘束期間から所定期間経過後のサンプリング期間における第2増幅信号の信号強度に基づいてノズルから正常に液滴が吐出されたか否かを判定する。
拘束期間は吐出検査周期に含まれるため、吐出検査周期と同等または吐出検査周期よりも短い周期で第1増幅信号の信号強度が所定強度に拘束されることとなる。これにより、信号強度におけるノイズ成分が複数の吐出検査周期にまたがって蓄積されることが防止できる。従って、第1増幅信号に重畳された低周波のノイズ成分の影響を抑制できる。また、ハイパスフィルターを用いて低周波のノイズ成分を抑制する場合と比較して、検出信号の波形歪みや遅れを防止でき、ノズルから液滴を吐出させてから判定手段が判定を行うまでに要する所要期間を短縮化できる。従って、吐出検査周期を多くの回数繰り返して、多数のノズルについての吐出検査を行う場合の所要期間を短縮化できる。一方、ローパスフィルター手段は検出信号から高周波成分を除去するため、第1増幅信号に重畳された高周波のノイズ成分の影響を抑制することができる。従って、ノイズ耐性の高い判定結果を得ることができる。さらに、第1増幅手段の他に第2増幅手段が備えられるため、第1増幅手段における増幅率を抑制しても、第2増幅手段で補うことができる。従って、第1増幅信号が第1増幅手段の出力可能範囲を超えることが防止でき、クリップによる信号波形の歪みが防止でき、信号波形の歪みによる判定精度の低下が防止できる。
また、第1増幅手段はノズルから吐出された液滴に応答して変化する電圧を示す第1増幅信号を第1増幅回路にて生成するようにしてもよい。さらに、拘束手段は、第1増幅回路の出力端子と第2増幅手段の第2増幅回路の入力端子との間に介在する結合コンデンサと、結合コンデンサと第2増幅回路の入力端子との間に設けられた拘束点と、所定電位の電源を生成する電源回路と、拘束期間において当該電源を拘束点に入力させるスイッチと、を備えてもよい。これにより、拘束期間において結合コンデンサに充電された電気量を所定電位に対応する電気量に初期化できる。従って、拘束期間においては第1増幅信号の電圧を所定電位に拘束できるとともに、拘束期間以外においては第1増幅手段が生成した第1増幅信号の電圧を第2増幅回路の入力端子に入力させることができる。
さらに、吐出検査周期におけるサンプリング期間よりも後の2次拘束期間において第1増幅信号の信号強度を所定強度に拘束する2次拘束手段を備えさせてもよい。さらに、判定手段は、2次拘束期間から所定期間経過後の2次サンプリング期間における第2増幅信号の信号強度も加味して、ノズルから正常に液滴が吐出されたか否かを判定してもよい。すなわち、単一の吐出検査周期において、拘束とサンプリングとの組を2回設けることにより、2回のサンプリング期間における第2増幅信号の信号強度を考慮して判定を行うことができ、判定の信頼性を向上させることができる。拘束を行うことにより検出信号の遅れを抑制しつつ低周波のノイズ成分の影響が軽減できるため、拘束とサンプリングとの組を2回設けても吐出検査の所要期間が長期化することが防止できる。
拘束手段は第1増幅信号の信号強度を所定強度に拘束するが、この所定強度を複数の強度に切り替えるスイッチを備えさせてもよい。ここで、第1増幅信号の信号強度を所定強度に拘束することによって、第1増幅信号の信号強度は所定強度を起点として変化することとなる。従って、拘束手段が第1増幅信号の信号強度を拘束する所定強度を切り替えることにより、第1増幅信号の信号強度が変化する強度帯域を調整できる。すなわち、第1増幅信号の信号強度にノイズが重畳された場合でも、所定強度を切り替えることにより第1増幅信号の信号強度が問題とならない強度帯域で変化するようにすることができる。例えば、第1増幅信号の信号強度が第1増幅手段の出力可能範囲を超えないようにすることで、第1増幅信号のクリップによる波形歪みを防止してもよい。
また、検出信号取得手段とローパスフィルター手段と第1増幅手段と拘束手段と第2増幅手段とを含む複数の信号生成手段を備えさせ、検出信号取得手段のそれぞれが互いに異なるノズルから吐出された液滴に応答して信号強度が変化する検出信号を取得するようにしてもよい。これにより、異なるノズルについての吐出検査を並行して行うことができ、多数のノズルについて吐出検査を行う場合の所要期間を短縮化することができる。
実施形態の概念を示す模式図である。 吐出検査装置のブロック図である。 吐出検査装置の回路図である。 吐出検査のタイミングチャートである。 (5A)〜(5D)は検出電圧を示すグラフ、(5E)は検出電圧の振幅を示すグラフである。 (6A),(6B)は検出電圧を示すグラフ、(6C)はノイズ抑圧特性を示すグラフである。 第2実施形態にかかる吐出検査装置の要部ブロック図である。 第2実施形態にかかる吐出検査のタイミングチャートである。 (9A),(9B)は他の実施形態にかかる吐出検査のタイミングチャート、(9C)はサンプリング手段のブロック図、(9D)はサンプリング手段の回路図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら以下の順に説明する。
(1)実施形態の概要:
(2)第1実施形態:
(2−1)吐出検査装置の構成:
(2−2)吐出検査装置の動作:
(3)第2実施形態:
(4)他の実施形態:
(1)実施形態の概要:
図1は、実施形態の概要を説明する模式図である。本実施形態の吐出検査装置は、静電容量が寄生するコンデンサの一電極を構成する検出電極31を備え、当該検出電極31に液滴としてのインク滴を着弾させることにより、検出電極31に電荷変化量ΔQを生じさせる。信号生成回路G1,G2は電荷変化量ΔQの応答波を含む検出電圧V2を信号生成する。この検出電圧V2の応答波は、検出電極31にインク滴を吐出させる吐出期間paにおいて極大値に向けて徐々に増加し、インク滴を吐出させない非吐出期間prにおいて収束に向けて徐々に減少する。吐出期間paと非吐出期間prとにより1ノズルについての吐出検査周期pが構成される。インク滴を吐出させるノズルを順次切り替えながら吐出検査周期pを繰り返すことにより、多数のノズルについての吐出検査を順次実行する。ここで、電荷変化量ΔQに応じた検出電圧V2の応答波は、吐出期間paの開始を起点として立ち上がるため、吐出検査周期pと同一の周期で表れることとなる。信号生成回路G1,G2は、クランプ回路55を備える。クランプ回路55は、吐出期間paの開始直前のクランプ期間pc(吐出検査周期pと同一周期で到来)において中間電圧V1を所定電位V1cに拘束する。これにより、中間電圧V1を増幅した検出電圧V2もクランプ期間pcにおいて所定電位V2cに拘束(クランプ)することができる。このように吐出検査周期pと同一の周期で到来するクランプ期間pcにおいて検出電圧V2を所定電位V2cに拘束することにより、吐出検査周期pよりも低周波のノイズ(一点鎖線)が複数の吐出検査周期pにまたがって蓄積されることが防止できる。
吐出検査制御部61は、吐出期間paから非吐出期間prへと移行する期間であるサンプリング期間psにおいて検出電圧V2の電圧値を取得する。すなわち、吐出検査制御部61は、検出電圧V2が増加から減少に転じる期間をサンプリング期間psとすることにより、電荷変化量ΔQの応答波が極大値となるときの検出電圧V2の電圧値を取得する。そして、吐出検査制御部61は、サンプリング期間psにおける検出電圧V2の電圧値が所定の閾値(破線)以上である場合には正常にインク滴が吐出されたと判定する。電荷変化量ΔQにより検出電圧V2が増加を開始する吐出期間paの直前においては、検出電圧V2は既知かつ一定の所定電位V2cに拘束されるため、サンプリング期間psにおける検出電圧V2が所定の閾値以上であることをもって、インク滴による電荷変化量ΔQに応じて変化した検出電圧V2の変化量が適正であったか否かが判定できる。このようにすることにより、低周波のノイズが複数の吐出検査周期pにまたがって蓄積されることを防止しつつ、吐出検査周期p内にて生じた電荷変化量ΔQの応答波の振幅が適正であったか否かを精度よく判定できる。なお、遮断周波数の高いハイパスフィルターによらず、クランプ回路55によって低周波のノイズ除去するため、信号波形の歪みや遅れを抑制できる。従って、吐出検査周期pを短くすることができ、多数のノズルについての吐出検査に要する所要期間を短縮化できる。
(2)第1実施形態:
(2−1)吐出検査装置の構成:
図2は、第1実施形態にかかる吐出検査装置を含む印刷装置1のブロック図である。印刷装置1は、メイン基板10と印刷ヘッド20とノズルキャップ30とシールド構造40と信号生成基板50とサブ基板60とを含む。第1実施形態の印刷装置1は、インクジェットプリンターである。メイン基板10は、メイン制御部11と吐出制御部12とを含む。メイン制御部11は、CPUやRAMやROMやASIC等で構成され、図示しないインターフェース部を介して取得した画像データに基づいて印刷制御データを生成し、当該印刷制御データを吐出制御部12に出力する処理を実行する。また、メイン制御部11は、後述する吐出検査の結果を図示しないユーザーインターフェース部を介して通知させる処理を実行する。吐出制御部12は、CPUやRAMやROMやASICで構成され、印刷制御データに基づいて印刷ヘッド20に出力する駆動データを生成する処理を実行する。なお、吐出制御部12は、所定のラッチ周期(約87μ秒)単位で印刷ヘッド20の駆動制御を行う。ラッチ周期はラッチ信号Slによって特定され、ラッチ信号Slはメイン制御部11によって生成される。なお、ラッチ信号Slは信号レベルが0または1の2値信号であり、ラッチ周期が開始するタイミングごとに信号レベルが1となる。
印刷ヘッド20は、ピエゾ素子21とノズルプレート22とノズル23とを備える。印刷ヘッド20は、図示しないインクタンクからインクの供給を受けており、当該インクのインク滴(液滴)をノズル23から吐出させる。印刷ヘッド20は、多数のノズル23を備え、ノズル23は図示しない記録媒体に対して平行に対向する平面状のノズルプレート22において配列される。多数のノズル23のそれぞれと図示しないインク室とが連通しており、当該インク室にインクタンクからインクが供給される。インク室ごとに備えられたピエゾ素子21には、吐出制御部12が生成した駆動データに基づく駆動パルスが印加される。ピエゾ素子21は、駆動パルスによって機械的に変形してインク室内のインクを加減圧する。これにより、インク滴をノズル23から吐出させる。本実施形態のノズルプレート22は、ステンレスで形成されており、基準電位(0V)に接地されている。
ノズルキャップ30は検出信号取得手段としての検出電極31を備える。検出電極31は、例えばノズルプレート22に対して平行に対向する平面状の電極である。検出電極31とノズルプレート22とが密着するようにノズルキャップ30を動作させることにより、ノズル23におけるインクの乾燥や固化を防止する。検出電極31は着弾したインク滴が浸透可能なメッシュ電極であってもよく、検出電極31の裏側(ノズルプレート22の反対側)に備えられたスポンジ等によってインクを吸収したり、さらに廃液チューブ等によってインクを廃液してもよい。また、印刷時や吐出検査時においては、ノズルキャップ30は印刷ヘッド20から離間し、ノズルプレート22と検出電極31とが所定距離を隔てて平行に対向する。
シールド構造40は、検出電極31と、検出電極31と信号生成基板50とを接続するケーブルを外部の電磁的外乱要因から保護するための保護部を含む。なお、シールド構造40は、検出電極31と信号生成基板50とを一体化させつつ保護するモジュール構造であってもよい。また、シールド構造40は、ノズルキャップ30に備えられた廃液チューブ等も被覆し、廃液チューブ等を電磁的外乱要因から保護してもよい。
信号生成基板50は、高電圧モジュール51と高電圧遮断コンデンサ52とローパスフィルター回路53と第1増幅回路54とクランプ回路55と第2増幅回路56と高電圧診断回路57とを含む。
図3は、信号生成基板50の回路図である。信号生成基板50には2組の信号生成回路G1,G2が形成され、信号生成回路G1,G2はそれぞれ高電圧遮断コンデンサ52とローパスフィルター回路53と第1増幅回路54とクランプ回路55と第2増幅回路56とを含む。高電圧モジュール51は、検出電極31に接続され、吐出検査時において高電圧(例えば100〜500V)を負荷抵抗経由で出力する。従って、吐出検査時において、検出電極31と基準電位のノズルプレート22との間に寄生する静電容量CにQ=CV(Vは前記高電圧)の電荷量Qの電荷が蓄積される。吐出検査時において、吐出制御部12はノズル23からインク滴を吐出させる。ノズル23から吐出されたインク滴は検出電極31に着弾し、ノズルプレート22から検出電極31へとインク滴が運んだ電荷により、検出電極31の電荷量Qに微少な電荷変化量ΔQが生じる。このとき、電荷変化量ΔQに対応した微少電流が負荷抵抗を経由して検出電極31に流れる。
吐出検査において、ノズルプレート22と検出電極31との距離は理想的に一定の距離に保たれるが、ノズルプレート22におけるインク滴の吐出に起因してノズルプレート22が振動する場合や、その他の要因に起因してノズルプレート22と検出電極31との少なくとも一方が振動する場合には、ノズルプレート22と検出電極31との間の距離が変化する。これにより、ノズルプレート22と検出電極31との間の静電容量が変化し、検出電極31に微少な電荷変化量ΔQが生じ得る。すなわち、検出電極31に流れる微少電流には、インク滴の着弾に起因する電荷変化量ΔQだけでなく、それ以外のノイズ要因に起因した電荷変化量ΔQに応じた電流も重畳されることとなる。
信号生成回路G1,G2にはそれぞれ独立した検出電極31が接続されており、検出電極31が互いにノズルプレート22の異なる位置に対向する。すなわち、検出電極31にインク滴を着弾させるノズル23が異なっている。なお、それぞれの検出電極31に対して共通する高電圧モジュール51により高電圧を印加することにより、コスト低減を図っている。また、検出電極31は、シールド構造40によって、例えば商用電源や印刷装置1が備える他の回路から発せられる電磁的外乱要因から保護される。信号生成回路G1,G2は、接続する検出電極31の位置を除き互いに同様の構成であるため、ここでは一方についてのみ説明する。高電圧遮断コンデンサ52の一方の電極は、シールド構造40によって保護されたケーブルを介して検出電極31と接続される。このようにシールド構造40を設けた場合であっても、信号生成回路G1,G2の信号生成過程において電磁的外乱要因によって信号にノイズが重畳されることとなる。
高電圧遮断コンデンサ52の他方の電極は、ローパスフィルター回路53と接続される。この高電圧遮断コンデンサ52により、高電圧を遮断してローパスフィルター回路53等を保護するとともに、検出電極31における微少な電荷変化量ΔQに応じた検出信号としての微少電流をローパスフィルター回路53に流すことができる。ローパスフィルター回路53は、微少電流から所定周波数(2kHz)よりも高周波成分を除去するための回路である。これにより、微少電流から高周波のノイズが除去できる。本実施形態においてローパスフィルター回路53は、入力抵抗と接地したコンデンサと出力抵抗とをT型に結線したT型ローパスフィルター回路である。
第1増幅回路54は、ローパスフィルター回路53によって高周波成分が除去された微少電流を入力し、微少電流を電圧に変換しつつ増幅する。第1増幅回路54は、オペアンプA1と正相入力回路54aと帰還抵抗回路54bとを含む。第1増幅回路54の入力インピーダンスは実質的に0であり、オペアンプA1は反転入力端子(−)にてローパスフィルター回路53から微少電流を吸入する。正相入力回路54aは、所定電源電圧(3.3V)を抵抗値が互いに等しい2個の分圧抵抗により分圧して得られた1.65Vの電圧をオペアンプA1の非反転入力端子(+)に入力する。帰還抵抗回路54bは、帰還抵抗R1〜R3とコンデンサC1,C2とを含み、オペアンプA1の出力端子(Vout)と反転入力端子(−)との間に介在する。また、帰還抵抗回路54bの帰還分圧抵抗R3(510Ω)に10μFのコンデンサC2を接続することにより、非反転入力端子(+)と同じ1.65Vの自己バイアス電圧をオペアンプA1に入力する。ここで、第1増幅回路54の増幅係数X1は、帰還抵抗回路54bの各帰還抵抗R1〜R3の抵抗値(R1:1MΩ,R2:5.1kΩ, R3:510Ω)により、X1=1MΩ×(5.1kΩ+510Ω)/510Ω=11MΩで与えられる。従って、オペアンプA1の出力端子(Vout)の出力電圧としての中間電圧V1(第1増幅信号)はV1=−X1×I(Iは反転入力端子(−)にて吸入される微少電流の電流値)で与えられる。なお、増幅係数X1を決定づける各帰還抵抗R1〜R3の抵抗値のばらつきは所定の基準(例えば最大誤差が1%以内)で管理されることが望ましい。
帰還抵抗回路54bには、位相補償用コンデンサC1が備えられる。位相補償用コンデンサC1の静電容量を10〜15pF程度に調整することにより、中間電圧V1の高周波帯域におけるゲインが最適化される。なお、ローパスフィルター回路53をT型ローパスフィルター回路とすることにより、ローパスフィルター回路53の接地したコンデンサと、第1増幅回路54の帰還抵抗回路54bとの間にローパスフィルター回路53の出力抵抗を介在させることができる。これにより、第1増幅回路54を安定させることができ、第1増幅回路54が発振状態に陥ることが防止できる。
拘束手段としてのクランプ回路55は、結合コンデンサC3と電源回路55aとアナログスイッチYとを含む。結合コンデンサC3の一方の電極に第1増幅回路54から中間電圧V1が入力され、結合コンデンサC3の他方の電極に第2増幅回路56が接続される。第2増幅回路56は、オペアンプA2と帰還抵抗R4,R5とを含み、オペアンプA2の非反転入力端子(+)に第1増幅回路54の中間電圧V1が入力される。第2増幅回路56は非反転増幅回路であり、第1増幅回路54の中間電圧V1を増幅し、出力端子(Vout)から検出電圧V2(第2増幅信号)を出力する。ここで、第2増幅回路56の増幅率X2は、帰還抵抗R4,R5の抵抗値(R4:51kΩ,R5:510Ω)により、X2=(51kΩ+510Ω)/510Ω=101倍で与えられる。従って、オペアンプA2の出力端子(Vout)における検出電圧V2はV2=X2×Vで与えられる。ここでも、増幅率X2を決定づける各帰還抵抗R4,R5の抵抗値のばらつきは所定の基準(例えば最大誤差が1%以内)で管理されることが望ましい。
以上のように、第1増幅回路54と第2増幅回路56とが順列に接続されるが、これらの間のクランプ点(拘束点)CPにおいてクランプ回路55のアナログスイッチYの一端子T1が接続する。アナログスイッチYの他方の端子T2には電源回路55aが接続される。電源回路55aは、所定電源電圧(3.3V)を抵抗と順方向のダイオード(順方向降下電圧)とによって分圧することにより、一定の所定電位V1c(0.6V)を生成する。この所定電位V1cは、アナログスイッチYの端子T2に入力される。アナログスイッチYは制御端子T3を有し、制御端子T3には吐出検査制御部61からクランプ信号Scが入力される。クランプ信号Scは、信号レベルが0または1の2値信号であり、後述するクランプ期間に限り1となる。アナログスイッチYは、例えばCMOSスイッチであり、クランプ信号Scが1となる期間に限り端子T1,T2間を導通させる。これにより、クランプ期間において所定電位V1cの電源により結合コンデンサC3に充電された電気量が所定電位V1cに対応した電気量に拘束され、クランプ期間以外においては電荷変化量ΔQに応じて結合コンデンサC3の充放電が行われる。すなわち、クランプ期間に限り、クランプ点CPにおける中間電圧V1が所定電位V1cに拘束される。なお、アナログスイッチYを導通させて中間電圧V1を所定電位V1cへと拘束することを、本明細書においてクランプすると表記する場合もある。なお、中間電圧V1を所定電位V1cへとクランプすることにより、第2増幅回路56から出力される検出電圧V2も所定電位V2c=X2×V1cへと拘束されることとなる。
第2増幅回路56は、アナログスイッチYの端子T2の電位をグランドに引き込むためのスイッチWを有し、スイッチWが導通することにより、電源回路55aがアナログスイッチYの端子T2に出力する所定電位V1cを0.6Vから0Vへと切り替えることができる。なお、スイッチWは、吐出検査制御部61から出力される図示しないスイッチ信号によって導通状態が制御される。ところで、結合コンデンサC3は、第1増幅回路54と第2増幅回路56とを交流結合するが、時定数がクランプ開放期間(クランプしない期間)よりも十分に長くなるように、結合コンデンサC3の電気容量と第2増幅回路56の入力インピーダンスとが設定されている。
高電圧診断回路57は、高電圧モジュール51が生成した高電圧を複数の抵抗によって分圧することにより、高電圧診断信号Shを生成する。
図2に示すようにサブ基板60は、吐出検査制御部61を含む。吐出検査制御部61は、CPUやRAMやROMやASIC等のICで構成され、A/Dコンバーター61aを含む。吐出検査制御部61は、所定のサンプリング期間において、第2増幅回路56から出力された検出電圧V2の電圧値をA/Dコンバーター61aにより量子化したデジタル信号を生成する。なお、サンプリング期間は、サンプリング信号Ssに基づいて特定される。サンプリング信号Ssは、信号レベルが1または0の2値信号であり、サンプリング信号Ssの信号レベルが1となる期間に限り吐出検査制御部61が検出電圧V2の電圧値を取得する。判定手段としての吐出検査制御部61は、検出電圧V2の電圧値を示すデジタル信号に基づいてノズル23から正常にインク滴が吐出されたか否かを判定する。ノズル23から正常にインク滴が吐出されると、検出電極31に適正な電荷変化量ΔQが生じ、最終的に第2増幅回路56から出力された検出電圧V2には電荷変化量ΔQに対応した応答波が表れるはずである。吐出検査制御部61は、検出電圧V2の電圧値と所定の閾値との比較により、電荷変化量ΔQに対応した検出電圧V2の応答波が表れたか否かを判定することによって、ノズル23から正常にインク滴が吐出されたか否かを判定する。
また、吐出検査制御部61は、ラッチ信号Slが示すラッチ周期に基づいてクランプ期間を指定するクランプ信号Scを生成し、クランプ回路55のアナログスイッチYに出力する。さらに、吐出検査制御部61は、高電圧診断信号ShをA/Dコンバーター61aによってデジタル信号に変換し、当該デジタル信号が示す電圧値と所定の閾値とを比較することにより、高電圧モジュール51の故障に起因する高電圧の異常(電圧降下,過電圧)や、検出電極31等の接地短絡(リーク)による高電圧の異常電圧降下を監視する。また、吐出検査制御部61は、高電圧モジュール51に高電圧を生成させるための高圧制御信号Skを出力する。高圧制御信号Skは、信号レベルが1または0の2値信号であり、高圧制御信号Skの信号レベルが1となる期間に限り高電圧モジュール51が高電圧を生成する。
(2−2)吐出検査装置の動作:
図4は、吐出検査装置が実行する吐出検査のタイミングチャートである。図4のa欄においては、高圧制御信号Skを示す。高圧制御信号Skの信号レベルが1となる全検査期間P2において高電圧モジュール51が高電圧を出力する。全検査期間P2は、時刻の早い順に前置期間pfと実検査期間P1と後置期間pbとを含む。なお、前置期間pfにおいて高電圧モジュール51に高電圧を出力させておくことにより、実検査期間P1よりも前に高電圧遮断コンデンサ52を十分に充電しておく。
図4のb欄においては、ラッチ周期を示すラッチ信号Slの波形を示す。なお、ラッチ周期の長さをLと表記する。
図4のc欄においては、各ノズル23の吐出状態を示す。本実施形態において、印刷ヘッド20は、2つの検出電極31に対してインク滴を着弾させるノズル23をそれぞれN個ずつ有し、インク滴を着弾させる検出電極31ごとにノズル番号(n=1,2,3・・・N)が付されている。そして、ノズル番号の昇順に各ノズル23の吐出検査が行われる。各ノズル23を吐出検査するために要する期間(吐出検査周期p)は一定であり、吐出検査周期pの長さにノズル数を乗じた期間が全ノズルの吐出検査に要する実検査期間P1となる。本実施形態では、印刷ヘッド20は5760個のノズル23を備え、一方の検出電極31にインク滴を着弾させるノズル23の個数(N)は2880個となる。吐出検査周期pの長さはラッチ周期の長さLの倍数とされ、本実施形態では、吐出検査周期pの長さは1ラッチ周期(L)の12倍とされる。また、吐出検査周期pの開始から6ラッチ周期(6L)経過するまでが吐出期間paとされる。この吐出期間paにおいてメイン基板10の吐出制御部12は、吐出検査対象のノズル23からインク滴を24回吐出させる。すなわち、吐出期間paに含まれる各ラッチ周期において、吐出制御部12は、吐出検査対象のノズル23からインク滴を4回ずつ吐出させる。吐出期間paの終了から吐出検査周期pの終了するまでの期間が非吐出期間prとされる。この非吐出期間prにおいて吐出制御部12は、吐出検査対象のノズル23からインク滴を吐出させない。また、吐出制御部12は、吐出検査対象以外のノズル23からは吐出期間paであるか非吐出期間prであるかに拘わらずインク滴を吐出させない。ただし、吐出制御部12は、吐出検査対象以外のノズル23におけるインク液面をインク滴が吐出されない程度に微振動させる(他の実施形態で詳述)。なお、吐出検査周期pや吐出期間paや非吐出期間prの長さは、吐出制御部12または吐出検査制御部61が読み出し可能な記録媒体(ROMやレジスタ等)に記録されている。ここで、吐出検査周期pや吐出期間paや非吐出期間prの長さの根拠について説明する。
図5A〜5Dは、1ラッチ周期(L)あたりにノズル23からインク滴を4回ずつ吐出するテスト吐出期間patを2ラッチ周期(2L),4ラッチ周期(4L),6ラッチ周期(6L),8ラッチ周期(8L)にわたって継続した場合に、第2増幅回路56から出力された検出電圧V2を示すグラフである。図5A〜5Dの縦軸は検出電圧V2を示し、横軸は時刻を示す。なお、テスト吐出期間patが開始するまでは、クランプ回路55のアナログスイッチYを導通させることにより、第2増幅回路56の入力電圧(中間電圧V1)を所定電位V1cにクランプしておくこととする。また、各種のノイズの影響はないものとする。
図5A〜5Dに示すように、各テスト吐出期間patにおいてノズル23からインク滴を吐出すると上側に凸状の応答波が検出電圧V2に1つ表れる。この応答波は、テスト吐出期間patにおいて検出電極31に着弾した各インク滴が運んだ電荷の総和に対応する電荷変化量ΔQを反映させたものである。この応答波は、テスト吐出期間patの開始における検出電圧V2(クランプにより所定電位V2c)から徐々に増加して極大となり、再び、所定電位V2cへと収束する形状を示す。なお、ノズルプレート22におけるインク滴の着弾位置がノズル23ごとに異なり、吐出されるインク滴のインク量がノズル23ごとにばらつくため、同一のテスト吐出期間patとした場合であってもノズル23ごとに検出電圧V2の応答波の振幅(極大の検出電圧V2と所定電位V2cとの差)が異なる。図5A〜5Dでは、振幅が最大となるノズル23についての応答波を実線で示し、振幅が最小となるノズル23についての応答波を破線で示す。ここで、テスト吐出期間patが長いほどインク滴が着弾する期間が長く、電荷変化量ΔQを反映させた応答波が時刻軸方向に長くなる。なお、電荷変化量ΔQに対応した検出電圧V2の応答波は上述した信号生成回路G1,G2の応答特性上、テスト吐出期間patの終了と同時に所定電位V2cに収束せず、テスト吐出期間patの終了後しばらくしてから所定電位V2cに収束する。テスト吐出期間patの終了時刻において応答波がほぼ極大となる。テスト吐出期間pat後は、インク滴によって電荷が運搬されなくなり、電荷変化量ΔQが収束へと転じるからである。また、テスト吐出期間patが長いほどインク滴が運ぶ電荷の総和が大きくなるため、応答波の振幅が大きくなる。しかし、図5A〜5Dに示すようテスト吐出期間patがある程度長くなると、テスト吐出期間patが長くなっても応答波の振幅は増加しなくなる。
図5Eは、テスト吐出期間patと応答波の振幅(検出電圧V2の極大値)との関係を示すグラフである。同図に示すように、振幅が最大となるノズル23についての応答波(実線)と、振幅が最小となるノズル23についての応答波(破線)とのいずれについても、テスト吐出期間patが5〜6ラッチ周期(5L〜6L)まではテスト吐出期間patが長くなるほど応答波の振幅が増加するが、テスト吐出期間patが5〜6ラッチ周期(5L〜6L)以上となるとテスト吐出期間patが長くなるのに伴う応答波の振幅の増加が鈍くなる。従って、吐出期間paを6ラッチ周期(6L)とすることにより、最大限、応答波の振幅を確保するとともに、吐出期間paが長くなり吐出検査に要する期間が長くなることが防止できる。また、図5Cに示すように、6ラッチ周期(6L)のテスト吐出期間patの終了後さらに6ラッチ周期(6L)が経過するタイミングで応答波が所定電位V2cへと収束している。異なるノズル23間で応答波が重畳されないように、本実施形態では吐出期間paの後の6ラッチ周期(6L)を非吐出期間prとする。吐出検査に要する期間を短縮するために、応答波が収束する範囲において非吐出期間prもできるだけ短く設定するのが望ましい。本実施形態では、吐出期間paと吐出期間paとをそれぞれ6ラッチ周期(6L)として1ノズルあたりの吐出検査周期pを12ラッチ周期(12L≒12×87μ秒≒1m秒)とすることにより、2880個のノズル23を順次検査した場合の実検査期間P1を2.88秒程度に抑制している。図4の説明に戻る。
図4のd欄においては、吐出検査制御部61がクランプ回路55のアナログスイッチYに出力するクランプ信号Scを示す。クランプ信号Scが1となる期間がクランプ期間pcを意味する。本実施形態では、吐出検査周期pにおける非吐出期間prの最後のラッチ周期がクランプ期間pcとされる。すなわち、非吐出期間prから吐出期間paへと移行するタイミングから1ラッチ周期(L)以内の期間がクランプ期間pcとされる。なお、クランプ期間pcが開始する周期は吐出検査周期pと同一となる。クランプ期間pcにおいては検出電圧V2が所定電位V2cに保持され、クランプ期間pc以外の期間においては検出電極31における電荷変化量ΔQに応じて検出電圧V2が変化する。なお、クランプ期間pcは、上述の前置期間pfにも設定される。これにより吐出検査の前に検出電圧V2を所定電位V2cに拘束しておくことができる。
図6A,6Bは、吐出検査周期pよりも低周波のノイズが含まれ、かつ、クランプ期間pcにて中間電圧V1をクランプしない場合とする場合のそれぞれにおける検出電圧V2を示す。ここでは低周波のノイズの電圧波形がサイン波であると仮定する。図6Aに示すように、検出電圧V2には吐出検査周期pごとに検出電極31における電荷変化量ΔQに対応する応答波が表れるが、この応答波に破線で示すように低周波のノイズ(検出電極31の振動起因の電荷変化量ΔQや他の電磁的外乱要因に起因)が重畳されることとなる。これに対して、図6Bのように各吐出検査周期pの直前(終了前1ラッチ周期(L))のクランプ期間pcにて中間電圧V1を所定電位V1cにクランプすることにより、複数の吐出検査周期p間で低周波のノイズを蓄積することが防止できる。すなわち、低周波のノイズが複数の吐出検査周期pにまたがって蓄積されることが防止でき、電荷変化量ΔQの応答波の信号強度に対する低周波のノイズ強度の比を抑制した検出電圧V2を得ることができる。また、中間電圧V1を所定電位V1c付近に拘束できるため、中間電圧V1がオペアンプA1の出力可能電圧範囲外となることが防止でき、クリップによる波形歪みが防止できる。
図6Cは、検出電圧V2のノイズ抑圧特性を示すグラフである。図6Cの横軸はノイズ周波数(対数)を示し、縦軸は信号抑圧比(入力電力/通過電力)(対数)を示す。第1増幅回路54の入力点に各周波数のテストノイズを意図的に注入し、検出電圧V2が示すテストノイズの通過電力を調査する。図6Cに示すように、吐出検査周期pと同等の周期に対応する周波数帯域(200〜2000Hz)のテストノイズは、第2増幅回路56の出力点までほぼ減衰することなく通過し、電荷変化量ΔQの応答波は通過できることが分かる。クランプ期間pcの周期が吐出検査周期pと同一であり、吐出検査周期pよりも短い周期に対応する高周波帯域のテストノイズの波形はクランプの影響を受けないからである。なお、2000Hzよりも高周波帯域のノイズ成分は、ローパスフィルター回路53により抑圧できる。一方、吐出検査周期pよりも長い周期に対応する低周波帯域(〜200Hz)においては、テストノイズの周波数が小さくなるほど抑圧される。具体的に、周波数の1decadeごと(周波数が10倍となるごと)に、テストノイズの通過電力が−20dB減衰する。なお、低周波帯域(〜5Hz)においては信号抑圧比の傾きが緩和されるが。これはクランプによるノイズ抑圧効果を高めるために、第1増幅回路54の増幅係数X1を小さくしたにも拘わらず、低周波帯域(〜5Hz)では、より大きなノイズ成分が抑圧可能なために、ついに第1増幅回路54を構成するオペアンプA1の出力端子(Vout)における中間電圧V1がオペアンプA1の出力可能電圧範囲内にクリップされたことによる波形歪みに起因する。
本実施形態において、第1増幅回路54を構成するオペアンプA1の出力可能電圧範囲は約3.3Vであり、クランプ点CPにおける中間電圧V1の応答波の振幅が出力可能電圧範囲の1/100〜1/10(0.033〜0.33Vpp)となるように第1増幅回路54の増幅係数X1が設定されている。これにより、クランプ点CPにおけるノイズ成分の電圧が−0.6〜2.7V程度で変動する場合でも、中間電圧V1がオペアンプA1の出力可能電圧範囲を超え、当該中間電圧V1がクリップされることが防止できる。すなわち、検出電極31における電荷変化量ΔQの応答波形が中間電圧V1のクリップにより歪むことが防止でき、インク滴が吐出されたか否かを精度よく判定できる。なお、第1増幅回路54の増幅係数X1が小さくても、クランプされた中間電圧V1をさらに増幅する第2増幅回路56が備えられるため、インク滴が吐出されたか否かを判定するのに好適な検出電圧V2を得ることができる。なお、クランプ点CPにおけるノイズ成分の電圧が0〜3.0V程度で変動する場合には、スイッチWを導通させてクランプする所定電位V1cを0.6Vから0Vへと切り替えることにより、応答波のクリップを防止してもよい。図4の説明に戻る。
図4のe欄は吐出検査制御部61がA/Dコンバーター61aにより検出電圧V2の電圧値を取得するサンプリング期間psを示し、図4のf欄の実線は電荷変化量ΔQに対する検出電圧V2の応答波(ノイズ成分は無視)を示す。また、図4のf欄の一点鎖線は吐出期間paにてインク滴を吐出させない場合(電荷変化量ΔQが0となる場合)における検出電圧V2を示す。本実施形態では、吐出期間paから非吐出期間prへと移行するタイミングからサンプリング期間psが開始し、当該開始時刻から1ラッチ周期(L)経過するよりも先にサンプリング期間psが終了する。これにより、検出電極31における電荷変化量ΔQの応答波が極大となるタイミングで検出電圧V2の電圧値を取得できる。ここで、クランプ期間pcの終了からサンプリング期間psの開始までの期間は、電荷変化量ΔQに応答して検出電圧V2が増加を開始して極大となるまでの立ち上がり期間に相当することとなる。また、クランプ期間pcからサンプリング期間psまでの検出電圧V2の変化量が、検出電極31における電荷変化量ΔQの応答波の振幅に相当することとなる。このように、クランプ期間pcからサンプリング期間psまでの期間を、検出電圧V2の変化量が最大限大きくなる期間とすることにより、サンプリング期間psにおける検出電圧V2のノイズ成分の寄与度を相対的に低下させることができる。
また、クランプ期間pcにおける所定電位V2cの電圧値は一定値となるため、サンプリング期間psにおける検出電圧V2の電圧値は検出電極31における電荷変化量ΔQの応答波の振幅に一意に対応する。すなわち、サンプリング期間psにおける検出電圧V2の電圧値が大きいほど検出電極31における電荷変化量ΔQの応答波の振幅が大きいと判断できる。また、電荷変化量ΔQの応答波の振幅が大きければ、インク滴が正常に吐出されたと判断できる。そこで、本実施形態では、図5Cにて破線で示す応答波の最小振幅に相当する振幅閾値Vathに所定電位V2cを加算した電圧値(Vath+V2c)を閾値とし、サンプリング期間psにおける検出電圧V2の電圧値が当該閾値以上である場合には、吐出検査制御部61は、インク滴が正常に吐出されたと判定する。換言すると、クランプ期間pcからサンプリング期間psまでの検出電圧V2の変化量が振幅閾値Vath以上である場合には、インク滴が正常に吐出されたと判定する。なお、振幅閾値Vathは、図5Cにて示す応答波の平均振幅であってもよいし、最小振幅や平均振幅にノイズ成分に対応したマージンを加味した値を振幅閾値Vathとしてもよい。なお、閾値を示すデータは吐出検査制御部61が読み出し可能な記録媒体(ROMやレジスタ等)に記録されている。
吐出検査制御部61は、インク滴が正常に吐出されなかったと判定した場合、インク滴が正常に吐出されなかったノズル23のノズル番号を示すデータをメイン基板10のメイン制御部11に出力する。すると、メイン基板10のメイン制御部11は、インク滴が正常に吐出されなかったノズル23のノズル番号とともにインク滴が正常に吐出されなかった旨を示す通知を行わせる。なお、吐出検査制御部61またはメイン制御部11は、インク滴が正常に吐出されなかったノズル23のノズル番号を示すデータを蓄積し、すべてのノズル23についての吐出検査が終了した段階で、インク滴が正常に吐出されなかったノズル23のノズル番号を一括して通知してもよい。さらに、メイン制御部11は、インク滴が正常に吐出されなかったノズル23の有無や個数に応じて、異常回復動作(フラッシング,吸引等)や再度の吐出検査を行わせるようにしてもよい。
なお、本実施形態では、高電圧遮断コンデンサ52とローパスフィルター回路53と第1増幅回路54とクランプ回路55と第2増幅回路56とを含む信号生成回路G1,G2は2組備えられるため、信号生成回路G1,G2で互いに異なるノズル23の吐出検査を並行して行う。これにより、すべてのノズル23の吐出検査に要する期間を短縮できる。むろん、信号生成回路G1,G2で異なる時期にノズル23の吐出検査を行ってもよい。信号生成回路G1,G2における吐出検査周期pは同期していてもよいし、同期していなくてもよい。
以上説明したように、本実施形態においては、クランプ回路55が吐出検査周期pに同期して中間電圧V1を所定電位V1cにクランプすることにより、検出電圧V2から低周波のノイズ成分を除去でき、ノイズに対する耐性の高い吐出異常判定を実現できる。また、クランプによって低周波のノイズ成分を除去するため、バンドパス(ハイパス)フィルターを使用して低周波のノイズ成分を除去する場合よりも、検出電極31における電荷変化量ΔQの応答波形の歪みや遅れが抑制できる。従って、各ノズル23の吐出検査に要する期間を短縮でき、多数のノズル23の吐出検査を短期間に完了させることができる。
(3)第2実施形態:
図7は、第2実施形態にかかる吐出検査装置の要部ブロック図である。ここでは第1実施形態との相違点のみ説明する。第2実施形態では、2個のクランプ回路551,552が備えられる。クランプ回路552は、2次クランプ回路に相当する。クランプ回路551は結合コンデンサC3側のクランプ点CP1に所定電位V1c1(=0V)を入力し、クランプ回路552は第2増幅回路56側のクランプ点CP2に所定電位V1c2(=0.6V)を入力する。クランプ回路551,552には、それぞれサブ基板60の吐出検査制御部61から個別の配線によりクランプ信号Sc1,Sc2が入力される。
図8は、第2実施形態にかかる吐出検査のタイミングチャートである。図8のd1,d2欄は、クランプ回路551,552にそれぞれ入力されるクランプ信号Sc1,Sc2を示す。クランプ回路551については第1実施形態と同様に非吐出期間prの終了前の1ラッチ周期(L)がクランプ期間pc1とされる。一方、クランプ回路552については吐出期間paの終了前の1ラッチ周期(L)がクランプ期間(2次クランプ期間pc2)とされる。また、図8のe欄に示すように、吐出期間paから非吐出期間prへと移行するタイミングから所定期間前、かつ、クランプ期間pc2よりも前の期間がサンプリング期間ps1とされる。さらに、図8のe欄に示すように、非吐出期間prから吐出期間paへと移行するタイミングから所定期間前、かつ、クランプ期間pc1よりも前の期間がサンプリング期間(2次サンプリング期間ps2)とされる。
図8のf欄の実線は電荷変化量ΔQに対する検出電圧V2の応答波(ノイズ成分は無視)を示す。また、図8のf欄の一点鎖線は吐出期間paにてインク滴を吐出させない場合(電荷変化量ΔQが0となる場合)における検出電圧V2を示す。図8のf欄に示すように、クランプ回路551が吐出期間paの開始直前に所定電位V1c1に中間電圧V1をクランプし、吐出期間paの終了直前に吐出検査制御部61が検出電圧V2の電圧値を取得することにより、所定電位V1c1に対応する所定電位V2c1から検出電圧V2が立ち上がって極大となるまでの応答波の振幅を特定できる。第1実施形態と同様に、吐出検査制御部61は、サンプリング期間ps1に取得した検出電圧V2の電圧値が閾値(第1閾値)以上である場合にインク滴が正常に吐出されたと判定できる。第1閾値は、第1実施形態と同様である。さらに、クランプ回路552が非吐出期間prの開始直前に所定電位V1c2に中間電圧V1をクランプし、非吐出期間prの終了直前に吐出検査制御部61が検出電圧V2の電圧値を取得することにより、所定電位V1c2に対応する所定電位V2c2から検出電圧V2が立ち下がって収束するまでの応答波の振幅を特定できる。吐出検査制御部61は、サンプリング期間ps2に取得した検出電圧V2の電圧値が閾値(第2閾値)以下である場合にインク滴が正常に吐出されたと判定できる。例えば第2閾値は、所定電位V2c2から振幅閾値Vathを減算した値とされる。
吐出検査制御部61は、サンプリング期間ps1における検出電圧V2の電圧値に基づく判定結果と、サンプリング期間ps2における検出電圧V2の電圧値に基づく判定結果とが一致する場合に、当該判定結果を確定的な判定結果として通知等させる。一方、サンプリング期間ps1における検出電圧V2の電圧値に基づく判定結果と、サンプリング期間ps2における検出電圧V2の電圧値に基づく判定結果とが一致しない場合に、当該判定結果の信頼性が低いとして、再度、同一のノズル23についての吐出検査を行わせる。このような場合、低周波のノイズ成分の影響を受けたと想定される。すなわち、低周波のノイズ成分が単調増加傾向にある場合、サンプリング期間ps1における検出電圧V2の電圧値に基づく判定結果は正常となりやすく、サンプリング期間ps2における検出電圧V2の電圧値に基づく判定結果は異常となりやすい。反対に、低周波のノイズ成分が単調減少傾向にある場合、サンプリング期間ps1における検出電圧V2の電圧値に基づく判定結果は異常となりやすく、サンプリング期間ps2における検出電圧V2の電圧値に基づく判定結果は正常となりやすい。なお、ノイズ成分が低周波であるほど、単一の吐出検査周期pにおいてノイズ成分は単調増加傾向または単調減少傾向を示す確率が高くなる。
以上説明したように、クランプ期間pcとサンプリング期間psとの組を2個設けることにより、単一のノズル23について単一の吐出検査周期pの間に、インク滴が正常に吐出されたか否かを2回判定することができる。クランプ回路551,552により低周波のノイズ成分を除去することにより、検出電極31における電荷変化量ΔQの応答波に遅れを抑制するため、クランプ回路551,552にて2回クランプを行っても、吐出検査周期pを短期間とすることができる。また、サンプリング期間ps1における検出電圧V2の電圧値に基づく判定結果と、サンプリング期間ps2における検出電圧V2の電圧値に基づく判定結果とが一致する場合に当該判定結果を確定することにより、信頼度の高い吐出異常判定が実現できる。特に、低周波のノイズ成分が検出電圧V2に重畳された場合には、サンプリング期間ps1における検出電圧V2の電圧値に基づく判定結果と、サンプリング期間ps2における検出電圧V2の電圧値に基づく判定結果とが不一致となるため、信頼度の高い吐出異常判定が実現できる。単一の吐出検査周期に2回クランプが行われることとなるため、クランプによる低周波のノイズ成分の抑圧効果を高めることができる。
(4)他の実施形態:
前記実施形態においては、ローパスフィルター回路53とクランプ回路55とによって高周波および低周波のノイズ成分を除去・抑制したが、検出電極31において電荷変化量ΔQが生じる周期と近い周期のノイズ成分は検出電圧V2に影響を与え得る。このようなノイズ成分のうち、検出電圧V2に表れる出現タイミングが既知であるノイズ成分については、サンプリング期間psを出現タイミングからずらすことにより影響を軽減できる。ここで、出現タイミングが既知であるノイズ成分とは、印刷装置1が能動的に行う動作に起因するノイズ成分であり、特に印刷ヘッド20の動作に起因するノイズ成分が検出電圧V2に影響を与えやすい。本実施形態では、金属ではなくシリコン結晶によってノズルプレート22が形成されている。シリコン結晶によってノズルプレート22を形成することにより、半導体加工に用いられるシリコンプロセスを用いてノズル23等の微細構造を形成できるメリットがある。しかし、シリコン結晶で形成されたノズルプレート22は、金属で形成されたノズルプレート22よりも導電率が低いため、ノズルプレート22によるシールド効果が第1実施形態よりも低くなる。従って、印刷ヘッド20における各種電気信号に起因するノイズ成分が第1実施形態よりも検出電圧V2に重畳されやすくなる。
図9Aは、本実施形態における検出電圧V2を示すグラフである。同図に示すように、検出電圧V2には、ラッチ周期と同一の周期を有し、ラッチ周期と所定の位相差を有する周期ノイズ成分が重畳される。この周期ノイズ成分は、ピエゾ素子21を微振動駆動させるためにメイン基板10が印刷ヘッド20に出力する駆動パルスに起因して生じる。微振動駆動とは、吐出検査において、吐出検査対象のノズル23以外のノズル23に対応するピエゾ素子21を駆動させることにより、インク滴を吐出させない程度にノズル23におけるインク液面を微振動させるための駆動を指す。
図9Bは、印刷ヘッド20に出力される駆動パルスを示す。図9Bの横軸はラッチ周期の開始から終了までの時刻を示し、縦軸は駆動パルスの電圧を示す。図9Bの上欄は吐出検査対象のノズル23に対応するピエゾ素子21に対して吐出期間paに属する1ラッチ周期(L)にて出力される駆動パルスを示し、図9Bの下欄は吐出検査対象でないノズル23に対応するピエゾ素子21に対して1ラッチ周期(L)にて出力される駆動パルスを示す。図9Bの上欄に示すように吐出期間paにおいては吐出検査対象のノズル23に対応するピエゾ素子21に対してインク滴を吐出させるための吐出波形w1〜w4を4個含む駆動パルスが出力される。一方、図9Bの下欄に示すように吐出検査対象でないノズル23に対応するピエゾ素子21に対してインク液面を微振動させるための微振動波形w5を1個含む駆動パルスが出力される。なお、ラッチ周期において各波形w1〜w5が出力される時刻(位相)は一定であり、特に微振動波形w5はラッチ周期と同一の長さの出力周期(微振動周期)で出力されることとなる。
微振動波形w5を吐出検査対象でないノズル23に対応する多数のピエゾ素子21に対して一様に出力すると、微振動波形w5の出力周期に対応して検出電圧V2にノイズ成分が重畳されることとなる。印刷ヘッド20内から微振動波形w5に起因するノイズ電磁波が発生し、ノズルプレート22を透過して信号生成基板50へと放射されるからである。図9Aに示した検出電圧V2においては、ラッチ周期と同一の長さの周期で微振動波形w5に対応する微振動ノイズ成分が重畳され、その振幅は電荷変化量ΔQの応答波の振幅に近い大きさとなっている。なお、微振動ノイズ成分は電荷変化量ΔQの応答波の周波数と近い周波数(1/12)を有するため、微振動ノイズ成分を除去するようにローパスフィルター回路53を構成すると、電荷変化量ΔQの応答波までもが抑圧されてしまう。また、クランプ回路55によるクランプによっては電荷変化量ΔQの応答波よりも高周波の微振動ノイズ成分は除去できない。そこで、本実施形態においては、微振動周期で生じる微振動ノイズ成分の出現時刻のうち、電荷変化量ΔQの応答波が極大となる吐出期間paの終了時刻に最も近い2つの時刻t n1,t n2の平均時刻tsを中心とした期間をサンプリング期間psとする。具体的に、サンプリング期間psは、平均時刻tsの前後所定期間(ラッチ周期の半分よりも短い)以内の期間とされる。以上のサンプリング期間psにおける検出電圧V2の電圧値に基づいてインク滴が正常に吐出されたか否かを判定することにより、微振動ノイズ成分の影響を抑制し、信頼度の高い吐出異常判定が実現できる。
図9Cは、サンプリング期間psにのみ検出電圧V2の電圧値を取得する回路を示すブロック図である。検出電圧V2を吐出検査制御部61のA/Dコンバーター61aに出力する場合、サンプリング期間psにおいてのみ1となるサンプリング信号Ssをアナログスイッチであるゲート回路59aに出力してもよい。また、検出電圧V2が閾値より大きいか否かによって2値化した2値化信号を吐出検査制御部61に出力してもよい。これにより、吐出検査制御部61は、検出電圧V2を2値化した信号に基づいてインク滴が正常に吐出されたか否かが判定できる。
図9Dは、検出電圧V2を2値化する場合に、サンプリング期間psにのみ2値化信号を吐出検査制御部61に出力する回路を示すブロック図である。第2増幅回路56からの検出電圧V2は、コンパレーター59bによって閾値電圧と比較され、検出電圧V2が閾値電圧よりも大きい場合にはコンパレーター59bの出力端子における信号レベルが1となる。コンパレーター59bの出力端子は、アンドゲート59cに接続され、サンプリング信号Ssが1である場合に限り、コンパレーター59bの出力信号が吐出検査制御部61に入力される。なお、閾値電圧は、第1実施形態の閾値に対応する電圧である。
なお、前記実施形態において検出電極31はノズルキャップ30に備えられたが、検出電極31は独立して備えられてもよい。また、検出電極31とノズルプレート22との間に静電容量を寄生させればよく、検出電極31を接地し、ノズルプレート22側に高電圧を出力してもよい。さらに、検出電極31はインク滴が着弾するように構成されなくてもよく、例えば互いに平行に対面する検出電極31と対向電極との間において、検出電極31と対向電極とに対して平行にインク滴を吐出させてもよい。また、検出電極31はコンデンサを構成しなくてもよく、帯電したインク滴の接近により誘導電流が流れるように構成されてもよい。さらに、インク滴の吐出に起因した物理量変化の応答波を得るように構成されていればよく、例えば吐出されたインク滴により干渉される可視光等の電磁波の受信強度を検出信号として検出してもよい。これらのいずれの方式により検出信号を検出した場合であっても、低周波のノイズ成分は検出信号に重畳され得るため、クランプ回路55にて応答速度を低下させることなく、低周波のノイズ成分を除去するのが望ましい。むろん、ノズル23はインク滴を吐出するように構成されていればよく、サーマルインクジェット方式によってインク滴が吐出されてもよい。むろん、色の再現を主目的としたインク滴に限らず、吐出されることにより何らかの物理量が変化する液滴であれば本発明の吐出検査手法が適用できる。
また、前記実施形態のように信号生成基板50において2組の信号生成回路G1,G2が備えられる必要はなく、3組以上または1組のみの信号生成回路が備えられてもよい。また、前記実施形態の信号生成回路G1,G2は、インク滴に応答して検出電圧V2が上側に凸となるように信号生成を行ったが、検出電圧V2が下側に凸となってもよい。この場合、検出電圧V2が所定の閾値以下であること、すなわちクランプ期間pcからサンプリング期間psまでの間において検出電圧V2が所定以上減少したことをもって、インク滴が正常に吐出されたと判定できる。なお、第2実施形態のように2次クランプ期間pc2と2次サンプリング期間ps2とを設ける場合、2次クランプ期間pc2から2次サンプリング期間ps2までの間において検出電圧V2が所定以上増加したことをもって、インク滴が正常に吐出されたと判定すればよい。さらに、吐出検査制御部61は、サブ基板60に備えられなくてもよく、例えばメイン基板10に備えられてもよいし、メイン制御部11に組み込まれてもよい。
1…印刷装置、10…メイン基板、11…メイン制御部、12…吐出制御部、20…印刷ヘッド、21…ピエゾ素子、22…ノズルプレート、23…ノズル、30…ノズルキャップ、31…検出電極、40…シールド構造、50…信号生成基板、51…高電圧モジュール、52…高電圧遮断コンデンサ、53…ローパスフィルター回路、54…第1増幅回路、55…クランプ回路、56…第2増幅回路、57…ゲート回路、58…高電圧診断回路、60…サブ基板、61…吐出検査制御部、61a…A/Dコンバーター、I…微少電流、pc…クランプ期間、ps…サンプリング期間、Sc…クランプ信号、Ss…サンプリング信号、Sh…高電圧診断信号。

Claims (5)

  1. ノズルから液滴を吐出させる吐出期間と前記ノズルから液滴を吐出させない非吐出期間とを含む吐出検査周期が繰り返されるように前記ノズルから液滴を吐出させる吐出制御手段と、
    前記吐出期間にて前記ノズルから吐出された液滴に応答して信号強度が変化する検出信号を取得する検出信号取得手段と、
    前記検出信号から高周波成分を除去するローパスフィルター手段と、
    前記検出信号を増幅して第1増幅信号を生成する第1増幅手段と、
    前記吐出検査周期に含まれる拘束期間において前記第1増幅信号の信号強度を所定強度に拘束する拘束手段と、
    前記第1増幅信号を増幅して第2増幅信号を生成する第2増幅手段と、
    前記拘束期間から所定期間経過後のサンプリング期間における前記第2増幅信号の信号強度に基づいて前記ノズルから正常に液滴が吐出されたか否かを判定する判定手段と、
    を備える吐出検査装置。
  2. 前記第1増幅手段は、前記吐出期間にて前記ノズルから吐出された液滴に応答して変化する電圧を示す前記第1増幅信号を第1増幅回路にて生成し、
    前記第2増幅手段は、第2増幅回路にて前記第1増幅信号を増幅するとともに、
    前記拘束手段は、
    前記第1増幅回路の出力端子と前記第2増幅回路の入力端子との間に介在する結合コンデンサと、
    前記結合コンデンサと前記第2増幅回路の入力端子との間に設けられた拘束点と、
    前記所定強度としての所定電位の電源を生成する電源回路と、
    前記拘束期間において前記電源を前記拘束点に入力させるスイッチと、を備える、
    請求項1に記載の吐出検査装置。
  3. 前記吐出検査周期における前記サンプリング期間よりも後の2次拘束期間において前記第1増幅信号の信号強度を所定強度に拘束する2次拘束手段を備え、
    前記判定手段は、前記2次拘束期間から所定期間経過後の2次サンプリング期間における前記第2増幅信号の信号強度と、前記サンプリング期間における前記第2増幅信号の信号強度との組み合わせに基づいて、前記ノズルから正常に液滴が吐出されたか否かを判定する、
    請求項1または請求項2のいずれかに記載の吐出検査装置。
  4. 前記所定強度を複数の強度のいずれかに切り替えるスイッチをさらに備える、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の吐出検査装置。
  5. 前記検出信号取得手段と前記ローパスフィルター手段と前記第1増幅手段と前記拘束手段と前記第2増幅手段とを含む複数の信号生成手段が備えられ、
    前記複数の信号生成手段が備える前記検出信号取得手段のそれぞれは、互いに異なる前記ノズルから吐出された液滴に応答して信号強度が変化する検出信号を取得する、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の吐出検査装置。


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