JP2012194152A - 塩害予測装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】屋外において、塩害による金属腐食劣化を監視して正確に予測できるようにする。
【解決手段】対象となる環境に配置されて対象とする金属から構成された同形状の第1試料101および第2試料102と、環境における風を取り込む第1取り込み口131および取り込んだ風を第1試料101の表面に供給する第1供給口132を備える第1導入部103と、上記風を取り込む第2取り込み口141および取り込んだ風を第2試料102の表面に供給する第2供給口142を備える第2導入部104と、第1試料101および第2試料102の電気抵抗を同じ条件で各々測定することで第1試料101および第2試料102の腐食深度を各々測定する腐食深度測定部105と、環境に配置される金属の腐食による劣化時期を予測する腐食予測部106を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、風により飛散する海塩粒子などによる金属部材を腐食させる塩害を予測する塩害予測装置および方法に関するものである。
塩化物成分が原因とされる、いわゆる「塩害」には様々な種類がある。例えば、電気的絶縁部材として碍子が使用されている屋外高圧配電線における塩害がある。海岸に近い地域では海風によって海塩粒子が運ばれ、碍子表面に塩分が付着して結露などの水分の供給によって表面漏洩電流が流れ、最終的には表面閃絡が生じて放電発光し、配電機材に劣化を及ぼすことが知られている。
上述した「放電」による問題とは別に、塩化物成分は金属の「腐食」劣化を加速することが知られており、上記のような電力線に限らず、通信線および電柱における金属部材が海塩粒子と水分によって腐食劣化し、例えば、柱上機材の落下や電線の落下などの原因となる。
前述した碍子上の放電問題に対しては、柱上にパイロット(参照)碍子と放電検出器、風向風速計、雨量計、湿度計を設置して塩害警報を発する塩害監視システムが提案されている(特許文献1参照)。また、同じく碍子上の放電問題の発生防止を目的として、光導波路の透過光損失から、碍子上の付着物質(塩化物成分)量を計測する塩害監視システムが提案されている(特許文献2参照)。
一方、金属の腐食に関しては、金属試料に光照射した反射光量、および金属試料の顕微鏡画像の2値画像によって腐食の程度を監視する技術が提案されている(特許文献3参照)。
特開2008−177062号公報 特開平09−218150号公報 特許第3343517号公報
しかしながら、上述した金属の腐食を監視する方法は、光学的な検出を行うため、屋内の機械室などの海塩粒子調査に適した方法であり、太陽光のある屋外には向かない。また、画像による明暗や濃淡分布による評価のため、金属試料の深さ方向の評価が行えない。このため、上述した方法では、実際の腐食量との定量性が明確でない。このように、従来では、屋外で塩害による金属腐食劣化を監視し、正確に予測することが容易ではないという問題がある。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、屋外において、塩害による金属腐食劣化を監視して正確に予測できるようにすることを目的とする。
本発明に係る塩害予測装置は、対象となる環境に配置されて対象とする金属から構成された同形状の第1試料および第2試料と、環境における風を取り込む第1取り込み口および取り込んだ風を第1試料の表面に供給する第1供給口を備える第1導入手段と、風を取り込む第2取り込み口および取り込んだ風を第2試料の表面に供給する第2供給口を備える第2導入手段と、第1試料および第2試料の電気抵抗を同じ条件で各々測定することで第1試料および第2試料の腐食深度を各々測定する腐食深度測定手段と、測定される第1試料の腐食深度が設定されている閾値に到達する第1時間、測定される第2試料の腐食深度が閾値に到達する第2時間、第1取り込み口の開口面積と第1供給口の開口面積との比、および第2取り込み口の開口面積と第2供給口の開口面積との比の関係から、環境に配置される金属の腐食による劣化時期を予測する腐食予測手段とを少なくとも備え、第1取り込み口の開口面積は、第1供給口の開口面積より広く形成され、第2取り込み口の開口面積は、第2供給口の開口面積より広く形成され、第2取り込み口の開口面積は、第1取り込み口の開口面積より広く形成されている。
上記塩害予測装置において、第1取り込み口の開口面積は、第1供給口の開口面積のn倍(nは2以上の自然数)に形成され、第2取り込み口の開口面積は、第2供給口の開口面積のn2倍に形成されていればよい。また、第1供給口の開口面積と第2供給口の開口面積とは、同じ面積とされていてもよい。また、第1取り込み口および第2取り込み口は、同じ方向を向いていればよい。また、第1取り込み口および第2取り込み口は、風上に向いているとよい。
本発明に係る塩害予測装方法は、対象とする金属から構成された同形状の第1試料および第2試料を対象となる環境に配置する第1ステップと、環境における風を取り込む第1取り込み口および取り込んだ風を供給する第1供給口を備える第1導入手段を用いて第1供給口より風を第1試料に供給し、風を取り込む第2取り込み口および取り込んだ風を供給する第2供給口を備える第2導入手段を用いて第2供給口より風を第2試料に供給する第2ステップと、第1試料および第2試料の電気抵抗を同じ条件で各々測定することで第1試料および第2試料の腐食深度を各々測定する第3ステップと、第1試料の腐食深度が設定されている閾値に到達する第1時間、第2試料の腐食深度が閾値に到達する第2時間、第1取り込み口の開口面積と第1供給口の開口面積との比、および第2取り込み口の開口面積と第2供給口の開口面積との比の関係から、環境に配置される金属の腐食による劣化時期を予測する第4ステップとを少なくとも備え、第1取り込み口の開口面積は、第1供給口の開口面積より広く形成し、第2取り込み口の開口面積は、第2供給口の開口面積より広く形成し、第2取り込み口の開口面積は、第1取り込み口の開口面積より広く形成する。
上記塩害予測方法において、第1取り込み口の開口面積は、第1供給口の開口面積のn倍(nは2以上の自然数)とし、第2取り込み口の開口面積は、第2供給口の開口面積のn2倍とすればよい。また、第1供給口の開口面積と第2供給口の開口面積とは、同じ面積とするとよい。また、第1取り込み口および第2取り込み口は、同じ方向に向かせるとよい。また、第1取り込み口および第2取り込み口は、風上に向かせるとよい。
以上説明したように、本発明によれば、第1導入手段および第2導入手段を用い、第1試料および第2試料により多くの空気を供給するようにしたので、屋外において、塩害による金属腐食劣化を監視して正確に予測できるようになるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態における塩害予測装置の構成を示す構成図である。 図2は、本発明の実施の形態における塩害予測装置の動作を説明するためのフローチャートである。 図3は、塩害予測装置の設置例を示す構成図である。 図4は、腐食予測部106の構成を示す構成図である。 図5は、電気抵抗と腐食との関係を示す特性図である。 図6は、導入部の効果を説明するための説明図である。 図7は、導入部の各寸法の1例を示す説明図である。 図8は、時間の経過とともに進行する腐食深度の変化を示す特性図である。 図9は、本発明の実施の形態における塩害予測装置の他の構成を示す構成図である。 図10は、本実施の形態における塩害予測装置のより詳しい動作(塩害予測方法)について説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における塩害予測装置の構成を示す構成図である。この装置は、まず、対象となる環境に配置されて対象とする金属から構成された同形状の第1試料101および第2試料102と、環境における風を取り込む第1取り込み口131および取り込んだ風を第1試料101の表面に供給する第1供給口132を備える第1導入部103と、上記風を取り込む第2取り込み口141および取り込んだ風を第2試料102の表面に供給する第2供給口142を備える第2導入部104とを備える。第1導入部103および第2導入部104は、いわゆる絞り管である。第1導入部103および第2導入部104は、各々の取り込み口が、同じ方向を向いて配置されていればよい。
また、本装置は、第1試料101および第2試料102の電気抵抗を同じ条件で各々測定することで第1試料101および第2試料102の腐食深度を各々測定する腐食深度測定部105を備える。
また、本装置は、腐食深度測定部105に測定される第1試料101の腐食深度が設定されている閾値に到達する第1時間、測定される第2試料102の腐食深度が閾値に到達する第2時間、第1取り込み口131の開口面積と第1供給口132の開口面積との比、および第2取り込み口141の開口面積と第2供給口142の開口面積との比の関係から、環境に配置される金属の腐食による劣化時期を予測する腐食予測部106を備える。
ここで、第1取り込み口131の開口面積は、第1供給口132の開口面積より広く形成され、第2取り込み口141の開口面積は、第2供給口142の開口面積より広く形成され、第2取り込み口141の開口面積は、第1取り込み口131の開口面積より広く形成されている。従って、第1導入部103および第2導入部104は、各々絞り量が異なる絞り管である。
次に、上述した塩害予測装置の動作(塩害予測方法)について、図2のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS201で、第1試料101および第2試料102を対象となる環境に配置する。次に、ステップS202で、第1導入部103を用いて第1供給口132より上記環境における風を第1試料101に供給し、同時に、第2導入部104を用いて第2供給口142より上記風を第2試料102に供給する。
次に、ステップS203で、腐食深度測定部105が、第1試料101および第2試料102の電気抵抗を同じ条件で各々測定することで第1試料101および第2試料102の腐食深度を各々測定する。
次に、腐食予測部106が、第1試料101の腐食深度が設定されている閾値に到達する第1時間、第2試料102の腐食深度が閾値に到達する第2時間、第1取り込み口の開口面積と第1供給口132の開口面積との比、および第2取り込み口の開口面積と第2供給口142の開口面積との比の関係から、環境に配置される金属の腐食による劣化時期を予測する。
ここで、第1試料101および第2試料102は、電柱などにおいて実際に使用されている金属(銅など)から構成し、例えば、線状(円柱形)などの規定の大きさ(太さおよび長さ)にした金属片として用いればよい。例えば、直径1mmおよび長さ5cm程度とすればよい。第1試料101および第2試料102は、腐食の激しい環境で使用した場合には、より速く消耗するため、交換可能なアダプター形式にしておくとよい。例えば、よく用いられているヒューズなどの形状としておけばよい。
腐食深度測定部105は、定期的に第1試料101および第2試料102に電圧を印加し、電気抵抗を測定することによって腐食の深度を計測する。電気抵抗と腐食深度の関係は予め第1試料101および第2試料102を用いて定量化しておく。また、新規に第1試料101および第2試料102を交換する毎に、計測した電気抵抗と腐食深度の関係を記憶しておく。
腐食予測部106は、故障などが発生する段階まで腐食が進行している状態の腐食深度(電気抵抗)の閾値が設定されており、この閾値との比較により腐食深度測定部105による計測値を評価する。
また、腐食予測部106は、第1試料101の腐食深度が閾値を越えた時刻TAと、第2試料102の腐食深度がある閾値を越えた時刻TBとの関係式から、対象となる金属から構成されている実用部材の劣化時期を算出する。
塩害予測装置は、金属部材を含む運用設備の新規設置時に、同時に付属させて設置する。例えば、図3に示すように、塩害予測装置301を、対象とする金属部材が用いられている電柱302に設置して用いればよい。また、複数の塩害予測装置を用い、同一環境と思われるエリア311毎に代表として1箇所に、所定の間隔で設置してもよい。また、各エリア311より得られる劣化時期(保守期限)を、管理センタ320に発信するようにしてもよい。
以下、劣化時期の予測について、より詳細に説明する。第1導入部103および第2導入部104は、実利用環境における海風を捕集し、この流れを絞ることにより流速を増加させ、より多くの空気を第1試料101および第2試料102に供給することを目的としている。海風は腐食進行の主要な要因であり、金属部材はより多くの海風に当たる(晒される)ほど腐食が進行する。
第1導入部103および第2導入部104を用いることで、測定を行う環境において実際に用いられている金属部材よりも、第1試料101および第2試料102により多くの海風が供給されるため、金属部材よりも先に第1試料101および第2試料102の腐食が進行する。
例えば、第1導入部103は、第1供給口132と第1取り込み口131の面積比が1:nであり、第2導入部104は、第2供給口142と第2取り込み口141の面積比が1:n2であればよい。これ以外については、第1導入部103および第2導入部は同じ構成とする。
この場合、理論的には、第1導入部103の第1試料101は、導入部を用いていない実環境の金属部材よりも1次近似としてn倍速く腐食が進行し、第2導入部104の第2試料102は、導入部を用いていない実環境の金属部材よりも1次近似としてn2倍速く腐食が進行することになる。ただし、厳密には、nの実効倍率が不明であるため、第1試料101の劣化時期(TA)のみから、実際に用いられている金属部材の劣化時期(TX)を正確に予測することができない。
これに対し、第1試料101の劣化時期に加え、第2試料102の劣化時期(TB)を測定(算出)し、両者の劣化時期(劣化速度)の比(倍率)を求めることによって、実際に用いられている金属部材の劣化時期(TX)を正確に予測することが可能となる。
上述したように、導入部を用いているため、実際に用いられている金属部材の劣化よりも先に、第1試料101および第2試料102の方が早く劣化する。また、取り込み口がより大きい第2導入部104による第2試料102の方が、第1試料101より早く劣化する。従って、第2試料102の劣化時期(TB)と第1試料101の劣化時期(TA)を、順次に測定(検出)し、「TA/TX=TB/TA・・・(1)」の関係式から、金属部材の劣化時期(TX)を正確に予測することができる。このように、本実施の形態によれば、屋外において、塩害による金属腐食劣化を監視して正確に予測できるようになる。これによって、故障発生の前に事前に金属部材を交換するなどの保守対策を実施することができ、故障などを未然に回避することができる。
[実施例]
以下、実施例を用いてより詳細に説明する。
はじめに、本装置の設置について説明する。本実施の形態における塩害予測装置は、前述したように、電柱などの腐食を検知したい金属部材の近傍に設置する。第1導入部103および第2導入部104は、海風を効率よく収集するように、各々の取り込み口を同じ海岸方向(風が吹いてくる方向:風上)に向けて設置する。また、装置には電源および通信線が接続されている。例えば、所定の間隔で各地に設置された複数の塩害予測装置は、ネットワークを介して管理センタと通信可能とされていてもよい。
次に、腐食予測部106について、図4を用いてより詳細に説明する。図4は、腐食予測部106の構成を示す構成図である。腐食予測部106は、腐食データ蓄積部161,腐食判定部162,保守時期算定部163,データ送信部164,機能制御部165を備えている。
腐食データ蓄積部161は、腐食深度測定部105が測定した第1試料101および第2試料102の腐食深度を蓄積する。
腐食判定部162は、腐食データ蓄積部161に記憶された各腐食深度と、予め設定されている閾値とを比較して劣化状態を判定する。
保守時期算定部163は、腐食判定部162が劣化を判定した第1試料101の劣化時期および第2試料102の劣化時期と、第1取り込み口131の開口面積と第1供給口132の開口面積との比、および第2取り込み口141の開口面積と第2供給口142の開口面積との比の関係とから、実際に用いられている金属部材(実用部材)の劣化時期を算出する。
データ送信部164は、保守時期算定部163が算出した保守期限(部材劣化時期)を、設定されている発信先に発信する。また、機能制御部165は、上述した各部の機能を制御する。
ここで、腐食深度測定部105について説明する。腐食深度測定部105は、定期的に第1試料101および第2試料102に電圧を印加し、電気抵抗を測定することによって腐食の深度を計測する。
一般に、大気環境中におかれている金属は、年月の経過とともに表面から腐食する。また、線状金属の両端に電圧を印加して電気抵抗を測定すると、腐食部分には電気が流れなくなるため、抵抗が増加する。この関係を図5に示す。図5は、電気抵抗と腐食との関係を示す特性図である。円柱形状の金属線の場合、表面の腐食深度(肉厚径)と電気抵抗の関係は、図5に示すような減少関係になる。抵抗値の増加から(平均的な)腐食深度が計測できる。電気抵抗と腐食深度の関係は、予め第1試料101および第2試料102を用いて測定することで、定量化しておけばよい。
腐食データ蓄積部161は、腐食深度測定部105による毎回の計測データ(腐食深度)を蓄積する。例えば、腐食深度測定部105が、毎日1回定刻に計測し、この計測結果が、腐食データ蓄積部161に記憶される。
腐食予測部106では、故障などが発生する腐食の進行状態に対応する腐食深度を閾値として記憶してあり、腐食判定部162において、閾値と計測された腐食深度とを比較することで、劣化状態を判定する。例えば、閾値として100μmが設定されている場合、測定された腐食深度が100μmを超えた時点で、腐食判定部162は、測定された試料が劣化状態であると判定(評価)する。
保守時期算定部163は、第1試料101の腐食深度がある閾値を越えた(劣化状態と判断された)時刻TAと、第2試料102の腐食深度がある閾値を越えた(劣化状態と判断された)時刻TBとの関係から、実用部材の劣化時期を算出する。保守時期算定部163は、第1試料101および第2試料102の両方の腐食深度が閾値に達すると、実用部材の劣化時期を算出する。このように、保守時期算定部163が実用部材の劣化時期を算出すると、データ送信部164は、算出された保守期限(劣化時期)を管理センタ(不図示)に発信する。
次に、第1導入部103および第2導入部104について、より詳細に説明する。第1試料101および第2試料102を、このまま現場環境にて自然放置して腐食を監視した場合には、劣化状態を検知しても、検知した時点では、既に実利用金属部材も劣化状態となっており、破損などの問題が発生している場合がある。場合によっては、第1試料101および第2試料102よりも、実利用金属部材の方が早く腐食が進行し、劣化状態が検知される前に、破損などの問題が発生する場合もある。
金属は大気中にて年月が経過すると表面から腐食するが、海岸に近い地域では、既に腐食している箇所に塩分が付着しやすい状態であり、腐食を加速する環境となっている。海風は、腐食進行の主要な要因であり、金属部材は海風に当たる量が多いほど腐食がより早く進行する。
第1導入部103および第2導入部104は、実利用環境において、より多くの海風を集中的に第1試料101および第2試料102に供給することを目的としたものである。図6の(a)に示すように、導入部などを用いずに自然放置としている試料601では、配置している自然環境に応じた速度で腐食が進行する。これに対し、図6の(b)に示すように、導入部603を用いることで、導入部603の取り込み口の開口の大きさに応じた風を集めて試料602に供給できるので、導入部603がない試料601に比較して、より速く腐食が進行する。
以下、第1導入部103および第2導入部104の各寸法の例について説明する。例えば、図7の(a)に示すように、第1導入部103は、第1供給口132と第1取り込み口131との直径比を1:2とすればよい。この場合、面積比は、1:4(n=4)となる。また、図7の(b)に示すように、第2導入部104は、第2供給口142と第2取り込み口141の直径比を1:4とすればよい。この場合、面積比は、1:16(n2=16)となる。このような各寸法とした第1導入部103および第2導入部104を、組み合わせて構成すればよい。以上のように、第1供給口132と第2供給口142との開口面積を同一とすることで、後述する劣化時期の算出計算を簡略化することができる。
第1導入部103の第1供給口132と第1取り込み口131の直径比は、上述した1:2に限らず、1:3としてもよい。この場合、面積比は、1:9(n=9)となる。これに対応し、第2導入部104の第2供給口142と第2取り込み口141の直径比は1:9とすればよい。この場合、面積比は1:81(n2=81)となる。
次に、腐食速度に対する第1導入部103の第1供給口132の効果を図8に示す。図8は、時間の経過とともに進行する腐食深度の変化を示す特性図である。
まず、上述したように、第1供給口132と第1取り込み口131との面積比を1:4とした場合、第1導入部103を用いた第1試料101の変化は、導入部を用いていない実環境の場合の変化よりも、理論的には、1次近似として4倍速く腐食が進む。また、上述したように、第2供給口142と第2取り込み口141との面積比を1:16とした場合、第2導入部104を用いた第2試料102の変化は、導入部を用いていない実環境の場合の変化よりも、理論的には、1次近似として16倍速く腐食が進む。
しかしながら、実際には、各導入部による腐食速度の増加作用は、理論値ほどにはならず、例えば、第1試料101の腐食状態が閾値腐食深度(閾値腐食厚)に到達する化時期(TA)は、実環境の劣化時期(TX)の1/4よりも遅いものとなる。従って、第1試料101の劣化時期(TA)のみでは、実用部材の劣化時期(TX)を正確に予測することはできない。
ここで、第1導入部103による実環境に対する腐食増加効果(倍率)をαとすると、第1試料101の劣化時期(TA)と実用部材の劣化時期(TX)との関係は、「TA/TX=α・・・(2)」と示すことができる。
一方、第2導入部104による第1導入部103対する腐食増加効果(倍率)もαとすることができるので、第2試料102の劣化時期(TB)と第1試料101の劣化時期(TA)との関係は、「TB/TA=α・・・(3)」となる。
これらのことより、式(2)および式(3)から、「TA/TX=TB/TA・・・(1)」が得られる。
このように、第1導入部103を用いた第1試料101の劣化時期(TA)、および第2導入部104を用いた第2試料102の劣化時期(TB)を観測することによって、導入部による腐食増加効果を求めることができる。
また、第1導入部103を用いた第1試料101の劣化時期(TA)、および第2導入部104を用いた第2試料102の劣化時期(TB)により、「TX=(TA2/TB・・・(4)」から、実用部材の劣化時期(TX)を正確に予測することができる。これによって、故障発生の前に事前に金属部材を交換するなどの保守対策を実施し、故障を未然に回避することができる。
ところで、第1導入部103および第2導入部104は、各々の取り込み口を、例えば、海岸方向に向けて設置しているが、風向きは常に一定であるとは限らない。これに対し、取り込み口の面積比が異なる2つの導入部を用いることによって、導入部の物理的形状に由来する海風の収集効果の非線形性を全体として相殺し、風向きの影響を受けにくいものとしている。しかしながら、例えば、導入部の取り込み口から供給口に向かう取り込み方向に対し、側方からの風向の風に対しては、十分に取り込みが行えず、逆に遮蔽効果が現れる可能性がある。
このような状態を回避するために、導入部の取り込み方向が、自動的に風向きに沿うように変位可能とすることが考えられる。例えば、図9に示すように、軸受け901に軸支された支柱902と支柱902に連結棒903で連結された垂直尾翼904とを備える風向器に、塩害予測装置を設置すればよい。なお、塩害予測装置は、第1試料101,第2試料102,第1導入部103,第2導入部104,腐食深度測定部105,および腐食予測部106を備える。第1導入部103,第2導入部104は、各々の取り込み方向を、連結棒903および垂直尾翼904が延在する方向に一致させる。
このようにすることで、垂直尾翼904の動きに各導入部の取り込み口が連動するようになり、風を受けた垂直尾翼904の動きにより、各導入部の取り込み口が、風上を向くようになる。この結果、風向きが変化しても、各導入部により効率よく試料に対して風(大気)を導くことができるようになる。
次に、本実施の形態における塩害予測装置の動作(塩害予測方法)について、図10を用いてより詳細に説明する。
まず、ステップS1001で、腐食深度測定部105が、第2試料102の電気抵抗を測定し、ステップS1002で、測定された電気抵抗の値を腐食深度に変換する。次に、ステップS1003で、腐食判定部162が、得られた腐食深度が閾値を超えていることを判断する。ステップS1001〜ステップS1003を繰り返す中で、腐食深度が閾値を超えている場合(ステップS1003のY)、当該腐食深度を得るもととなる電気抵抗値が測定された時刻TBが腐食データ蓄積部161に記憶される(ステップS1004)。例えば、腐食データ蓄積部161には、時刻TBが、第2試料102を識別するための識別情報とともに記憶される。
また、ステップS1005で、腐食深度測定部105が、第1試料101の電気抵抗を測定し、ステップS1006で、測定された電気抵抗の値を腐食深度に変換する。次に、ステップS1007で、腐食判定部162が、得られた腐食深度が閾値を超えていることを判断する。ステップS1005〜ステップS1007を繰り返す中で、腐食深度が閾値を超えている場合(ステップS1007のY)、当該腐食深度を得るもととなる電気抵抗値が測定された時刻TAが腐食データ蓄積部161に記憶される(ステップS1008)。例えば、腐食データ蓄積部161には、時刻TAが、第1試料101を識別するための識別情報とともに記憶される。
以上のようにして、時刻TBおよび時刻TAが得られると、ステップS1009で、保守時期算定部163が、「TX=(TA2/TB・・・(4)」により、実用部材の劣化時期TXを算出する。この後、ステップS1010で、データ送信部164が、算出された劣化時期TXを、例えば、測定箇所の情報と共に管理センタに送信する。このようにして、送信された情報が管理センタで受け付けられると、管理センタで監視していた管理者が、通知された劣化時期になる前に、対応する測定箇所における対象物の保守対策を施す(ステップS1011)。
以上に説明した本発明によれば、屋外の電線や電柱などの金属部材の、実環境における腐食による劣化の時期を、予測することができるので、故障発生の前に部材交換などの保守対策を施すことができ、故障などを未然に回避することができる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、上述した実施の形態では、導入部の断面形状を円形としたが、これに限るものではなく、4角形などの多角形であってもよく、また楕円形としてもよい。
101…第1試料、102…第2試料、103…第1導入部、104…第2導入部、105…腐食深度測定部、106…腐食予測部、131…第1取り込み口、132…第1供給口、141…第2取り込み口、142…第2供給口。

Claims (10)

  1. 対象となる環境に配置されて対象とする金属から構成された同形状の第1試料および第2試料と、
    前記環境における風を取り込む第1取り込み口および取り込んだ風を前記第1試料の表面に供給する第1供給口を備える第1導入手段と、
    前記風を取り込む第2取り込み口および取り込んだ風を前記第2試料の表面に供給する第2供給口を備える第2導入手段と、
    前記第1試料および前記第2試料の電気抵抗を同じ条件で各々測定することで前記第1試料および前記第2試料の腐食深度を各々測定する腐食深度測定手段と、
    測定される前記第1試料の腐食深度が設定されている閾値に到達する第1時間、測定される前記第2試料の腐食深度が前記閾値に到達する第2時間、前記第1取り込み口の開口面積と前記第1供給口の開口面積との比、および前記第2取り込み口の開口面積と前記第2供給口の開口面積との比の関係から、前記環境に配置される前記金属の腐食による劣化時期を予測する腐食予測手段と
    を少なくとも備え、
    前記第1取り込み口の開口面積は、前記第1供給口の開口面積より広く形成され、前記第2取り込み口の開口面積は、前記第2供給口の開口面積より広く形成され、前記第2取り込み口の開口面積は、前記第1取り込み口の開口面積より広く形成されていることを特徴とする塩害予測装置。
  2. 請求項1記載の塩害予測装置において、
    前記第1取り込み口の開口面積は、前記第1供給口の開口面積のn倍(nは2以上の自然数)に形成され、
    前記第2取り込み口の開口面積は、前記第2供給口の開口面積のn2倍に形成されている
    ことを特徴とする塩害予測装置。
  3. 請求項1または2記載の塩害予測装置において、
    前記第1供給口の開口面積と前記第2供給口の開口面積とは、同じ面積とされていることを特徴とする塩害予測装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩害予測装置において、
    前記第1取り込み口および前記第2取り込み口は、同じ方向を向いていることを特徴とする塩害予測装置。
  5. 請求項4記載の塩害予測装置において、
    前記第1取り込み口および前記第2取り込み口は、風上に向いていることを特徴とする塩害予測装置。
  6. 対象とする金属から構成された同形状の第1試料および第2試料を対象となる環境に配置する第1ステップと、
    前記環境における風を取り込む第1取り込み口および取り込んだ風を供給する第1供給口を備える第1導入手段を用いて前記第1供給口より前記風を前記第1試料に供給し、前記風を取り込む第2取り込み口および取り込んだ風を供給する第2供給口を備える第2導入手段を用いて前記第2供給口より前記風を前記第2試料に供給する第2ステップと、
    前記第1試料および前記第2試料の電気抵抗を同じ条件で各々測定することで前記第1試料および前記第2試料の腐食深度を各々測定する第3ステップと、
    前記第1試料の腐食深度が設定されている閾値に到達する第1時間、前記第2試料の腐食深度が前記閾値に到達する第2時間、前記第1取り込み口の開口面積と前記第1供給口の開口面積との比、および前記第2取り込み口の開口面積と前記第2供給口の開口面積との比の関係から、前記環境に配置される前記金属の腐食による劣化時期を予測する第4ステップと
    を少なくとも備え、
    前記第1取り込み口の開口面積は、前記第1供給口の開口面積より広く形成し、前記第2取り込み口の開口面積は、前記第2供給口の開口面積より広く形成し、前記第2取り込み口の開口面積は、前記第1取り込み口の開口面積より広く形成することを特徴とする塩害予測方法。
  7. 請求項6記載の塩害予測方法において、
    前記第1取り込み口の開口面積は、前記第1供給口の開口面積のn倍(nは2以上の自然数)とし、
    前記第2取り込み口の開口面積は、前記第2供給口の開口面積のn2倍とすることを特徴とする塩害予測方法。
  8. 請求項6または7記載の塩害予測方法において、
    前記第1供給口の開口面積と前記第2供給口の開口面積とは、同じ面積とすることを特徴とする塩害予測方法。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項に記載の塩害予測方法において、
    前記第1取り込み口および前記第2取り込み口は、同じ方向に向かせることを特徴とする塩害予測方法。
  10. 請求項9記載の塩害予測方法において、
    前記第1取り込み口および前記第2取り込み口は、風上に向かせることを特徴とする塩害予測方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2017047533A1 (ja) * 2015-09-18 2018-07-05 コニカミノルタ株式会社 インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
JP2020143999A (ja) * 2019-03-06 2020-09-10 西日本電信電話株式会社 鋼管柱劣化予測システム

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